JP2005272439A - 固形粉末化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粉体を主成分とする化粧料基材を、揮発性の水性溶媒と混合してスラリー状とし、これを容器に充填した後、溶媒を除去して成型して得られる化粧料において、特定の、結合成型剤、複合粉体及び油剤を含有することを特徴とする固形粉末化粧料である。
【選択図】なし
Description
一般的にスラリー成型においては、溶媒を除去する際の粉体の凝集力を利用して固形状に成型するため、成型品の収縮による品質のばらつきや、耐衝撃性の低下、さらに、プレスドタイプの固形粉末化粧料に比べて、粉体の肌への密着性が劣ることによる化粧持続性の低下等の問題があり、これらを解消するために、水性スラリー成型においても、結合成型剤として石膏を配合する技術(例えば特許文献1)や、粉体を油剤や金属石鹸等で疎水化処理して配合する技術(例えば特許文献2)等が知られている。
一方、一般的なメーキャップ化粧料においては、皮脂吸着性のあるハイドロキシアパタイトや酸化亜鉛等を配合し、化粧持続性を向上させる技術が知られているが、これを水性スラリー成型に応用し、ハイドロキシアパタイトや酸化亜鉛を単独で配合すると、親水性が強いため強固に凝集し、成型品は塗布具への取れが悪く、その使用性において不都合を生じた。
このため、耐衝撃性や使用感を損なうことなく、化粧持続性に優れた水性スラリー成型による固形粉末化粧料を提供することが課題とされていた。
即ち本発明は、粉体を主成分とする化粧料基材を、揮発性の水性溶媒と混合してスラリー状とし、これを容器に充填した後、溶媒を除去して成型して得られる化粧料において、該化粧料基材が、成分(A)〜(C);
(A)表面が親水性で結合成型性のある粉体 5〜50質量%
(B)板状粉体表面にハイドロキシアパタイト及び/又は酸化亜鉛を被覆し、更に疎水化処理した複合粉体 1〜30質量%
(C)炭化水素油を含有する油剤 0.5〜20質量%
を含有することを特徴とする固形粉末化粧料を提供するものである。
又、さらに化粧料基材中に、疎水性及び/又は疎水化処理された球状粉体及び/又は、多価アルコール及び/又は親水性界面活性剤を含有する固形粉末化粧料を提供するものである。
表面が親水性である粉体100質量部に対し、外相に存在する水が連続である形態、即ちスラリー状を示す様に、水を200質量部添加して混合する。次に、金皿(直径50mmの円形、深さ4.0mm)に前記スラリーを流し込み、圧縮成型することなく、30℃の恒温槽にて完全乾燥を行う。前記の乾燥した金皿中の固形物について、レオメーター(RHEOTHCH FUDOH RHEO METER レオテックス社製)を用いて、針径2.0mmΦ、針入速度2cm/min、針入0.5mmの条件で、針入荷重値の測定を行い、その結果、上記条件におけるレオメーターが示す最大針入荷重値が30〜300gである粉体を、表面が親水性で結合成型性のある粉体として選択した。
更に、化粧持続性の観点からも、本発明における化粧料基材中の成分(A)以外の粉体は、疎水化処理を施して用いることがより好ましい。
ハイドロキシアパタイト及び酸化亜鉛は親水性が強く、本発明における水性溶媒を用いたスラリー成型では、水との水和結合により強固に凝集し、成型品のひび等の原因となったり、更には、感触的にもざらつき感が大きい。そこで、強い凝集性を抑制しつつ、滑らかな使用感や化粧持続性を向上させるため、板状粉体表面に該粉体を被覆し、更に疎水化処理を施して配合する。
該複合粉体に用いられる疎水化処理剤としては、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いて通常公知の方法により、複合粉体の全質量に対して0.1〜10%程度の表面処理を行い、本発明における固形粉末化粧料に用いる。
炭化水素油は、液状、ペースト状、固形状の何れでも良く、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャトロプシュワックス等が挙げられ、これらの一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
また、成分(C)の油剤は、炭化水素油の割合が40%以上であることが好ましい。水との相互作用が大きい油剤(例えば、アミノ酸コレステロール誘導体や糖鎖を含有する脂肪酸エステル等の抱水性を有する油剤)は、本発明のスラリー成型において、水性溶媒を除去する際に水と相互作用することにより、成型品の表面に乾燥ムラを発生させ外観品質上の問題を生じたり、成型性を低下させたりする場合がある。従って、水との相互作用の無い炭化水素油の割合が40%以上で構成されている油剤を用いれば、外観品質上問題が無く、成型性に優れる固形粉末化粧料を得ることができる。
疎水化処理される球状粉体としては、ポリアクリル酸アルキル、無水珪酸、ポリウレタン等が挙げられ、市販品としては、マツモトマイクロスフェアー シリーズ(松本油脂製薬社製)、ゴッドボール シリーズ(鈴木油脂工業社製)等が挙げられる。前記球状粉体に用いられる疎水化処理剤としては、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いて通常公知の方法により表面処理を行い、本発明における固形粉末化粧料に用いることができる。
アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩等、カチオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等が挙げられる。これらの界面活性剤から選ばれる、一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
成型性の向上や、エモリエント感の付与等を目的として用いられる油剤としては、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン等、皮膜形成剤としては、例えばトリメチルメトキシケイ酸、アクリル変性シリコーン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、水溶性高分子としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カラギーナン、グアガム、寒天、ペクチン等、美容成分としては、例えばビタミン類、アミノ酸類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
(実験例:結合成型剤の選択方法)
粉体100質量部に対して水200質量部を加え、完全にスラリー状とし、金皿(直径50mmの円形、深さ4.0mm)に圧縮成型することなく、該スラリーを流し込み、30℃の恒温槽にて一昼夜乾燥を行い、前述したレオメーターによる手法を用いて最大針入荷重値を測定した結果を表1に示す。
表2に示す組成の固形粉末化粧料を下記の製造方法にて調製し、これらの「化粧持続性」、「耐衝撃性」、「伸び広がりの良さ」、「滑らかさ」、の各項目について以下に示す評価方法及び判断基準により評価し、結果と併せて表2に示す。
A.成分(20)〜(22)を混合し、加熱して50℃に保つ。
B.成分(1)〜(19)を混合分散する。
C.BにAを添加して、混合する。
D.Cに成分(23)及び成分(24)を添加して、混合する。
E.Dに成分(25)及び成分(26)を添加して、混合する。
F.Eを金皿に充填して、30℃の恒温槽にて一昼夜乾燥することにより水性溶媒を取り除き、ファンデーションを得た。
化粧品専門パネル20名に上記本発明品及び比較品のファンデーションを使用してもらい、「化粧持続性」、「伸び広がりの良さ」、「滑らかさ」、について、各自が下記の絶対評価基準にて7段階評価した。更に、試料ごとに全パネルの評点の合計から平均値を算出し、下記判定基準に従って判定した。
(評価基準)
[評価] :[評点]
非常に良好 : 6
良好 : 5
やや良好 : 4
普通 : 3
やや不良 : 2
不良 : 1
非常に不良 : 0
(判定基準)
[評点の平均値] :[判定]
5.0以上 : ◎
3.0以上〜5.0未満 : ○
2.0以上〜3.0未満 : △
2.0未満 : ×
成型品の耐衝撃性に関しては、成型品を容器にセットしたサンプルを、パネル50名に、1週間、持ち運びと使用(顔あるいは上腕への塗布)を繰り返してもらい、成型品のかけ、割れ、はがれの発生の有無を目視にて観察し、その発生レベルを4段階に分けて判定した。その際、1つの実施例に対してn=10となるように、パネルには3〜4個のサンプルを配布した。
(判定基準)
サンプル10個中、かけ、割れ、はがれの発生が1個未満:◎
サンプル10個中、かけ、割れ、はがれの発生が2個未満:○
サンプル10個中、かけ、割れ、はがれの発生が3個未満:△
サンプル10個中、かけ、割れ、はがれの発生が5個以上:×
(成分) (%)
1.タルク (注1) 25
2.マイカ (注2) 10
3.シリコーン5%処理セリサイト (注3を処理) 残量
4.シリコーン5%処理雲母チタン (注5を処理) 35
5.オルガノポリシロキサンエラストマー (注9) 2
6.シリコーン4%処理セリサイト・ハイドロキシアパタイト・
酸化亜鉛複合粉体 (注8を処理) 5
7.パラオキシ安息香酸メチル 適量
8.シリコーン2%処理赤色226 0.5
9.ワセリン 2
10.流動パラフィン 5
11.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2
12.シリコーン油 2
13.α−トコフェロール 適量
14.ジグルセリン 0.5
(水性溶媒) (上記成分100質量部に対して)
15.精製水 80質量部
A.成分(9)〜(13)を混合し、加熱して50℃に保つ。
B.成分(1)〜(8)を混合分散する。
C.BにAを添加して、混合する。
D.Cに成分(14)を添加して、混合する。
E.Dに成分(15)を添加して、混合する。
F.Eを金皿に充填して、30℃の恒温槽にて一昼夜乾燥により水性溶媒を取り除き、アイシャドゥを得た。
実施例2のアイシャドゥは「化粧持続性」、「耐衝撃性」、「伸び広がりの良さ」、「滑らかさ」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。
(成分) (%)
1.タルク (注1) 25
2.マイカ (注2) 20
3.シリコーン5%処理セリサイト (注3を処理) 残量
4.雲母チタン (注5) 5
5.ポリスチレン (注11) 3
6.シリコーン処理4%セリサイト・ハイドロキシアパタイト・
酸化亜鉛複合粉体 (注8を処理) 20
7.パラオキシ安息香酸メチル 適量
8.シリコーン2%処理赤色226 0.2
9.シリコーン2%処理ベンガラ 0.5
10.シリコーン1%処理黄酸化鉄 1
11.シリコーン1%処理黒酸化鉄 0.2
12.ワセリン 1
13.スクワラン 4
14.ジペンタエリトリット脂肪酸エステル (注12) 1
15.シリコーン油 2
16.α−トコフェロール 適量
17.ジプロピレングリコール 1
(水性溶媒) (上記成分100質量部に対して)
18.精製水 80質量部
注11 ガンツパール GS−0605(ガンツ化成社製)
注12 コスモール168ARN(日清オイリオ社製)
A.成分(12)〜(16)を混合し、加熱して50℃に保つ。
B.成分(1)〜(11)を混合分散する。
C.BにAを添加して、混合する。
D.Cに成分(17)を添加して、混合する。
E.Dに成分(18)を添加して、混合する。
F.Eを金皿に充填して、30℃の恒温槽にて一昼夜乾燥により水性溶媒を取り除き、頬紅を得た。
実施例3の頬紅は「化粧持続性」、「耐衝撃性」、「伸び広がりの良さ」、「滑らかさ」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。
(成分) (%)
1.タルク (注1) 30
2.マイカ (注2) 5
3.シリコーン5%処理セリサイト (注3を処理) 残量
4.金属石鹸5%処理ポリウレタン 4
5.シリコーン4%処理セリサイト・ハイドロキシアパタイト・
酸化亜鉛複合粉体 (注8を処理) 30
6.パラオキシ安息香酸メチル 適量
7.シリコーン2%処理ベンガラ 1
8.シリコーン1%処理黄酸化鉄 3
9.シリコーン1%処理群青 2
10.シリコーン1%処理黒酸化鉄 5
11.ワセリン 2
12.流動性パラフィン 5
13.2−エチルヘキサン酸セチル 3
14.シリコーン油 2
15.モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1
(水性溶媒) (上記成分100質量部に対して)
16.精製水 90質量部
A.成分(11)〜(14)を混合し、加熱して50℃に保つ。
B.成分(1)〜(10)を混合分散する。
C.BにAを添加して、混合する。
D.Cに成分(15)を添加して、混合する。
E.Dに成分(16)を添加して、混合する。
F.Eを金皿に充填して、30℃の恒温槽にて一昼夜乾燥により水性溶媒を取り除き、アイブロウを得た。
実施例4のアイブロウは「化粧持続性」、「耐衝撃性」、「伸び広がりの良さ」、「滑らかさ」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。
(成分) (%)
1.タルク (注1) 15
2.合成金雲母 (注4) 20
3.シリコーン5%処理セリサイト (注3を処理) 残量
4.オルガノポリシロキサンエラストマー 2
5.シリコーン4%処理セリサイト・ハイドロキシアパタイト・
酸化亜鉛複合粉体 (注8を処理) 20
6.パラオキシ安息香酸メチル 適量
7.シリコーン2%処理ベンガラ 0.1
8.シリコーン1%処理黄酸化鉄 0.2
9.シリコーン1%処理群青 0.05
10.シリコーン1%処理黒酸化鉄 0.05
11.ワセリン 0.5
12.スクワラン 6
13.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2
14.シリコーン油 2
15.1,3−ブチレングリコール 3
(水性溶媒) (上記成分100質量部に対して)
16.精製水 60質量部
A.成分(11)〜(14)を混合し、加熱して50℃に保つ。
B.成分(1)〜(10)を混合分散する。
C.BにAを添加して、混合する。
D.Cに成分(15)を添加して、混合する。
E.Dに成分(16)を添加して、混合する。
F.Eを金皿に充填して、30℃の恒温槽にて一昼夜乾燥により水性溶媒を取り除き、白粉を得た。
実施例5の白粉は「化粧持続性」、「耐衝撃性」、「伸び広がりの良さ」、「滑らかさ」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。
Claims (6)
- 粉体を主成分とする化粧料基材を、揮発性の水性溶媒と混合してスラリー状とし、これを容器に充填した後、溶媒を除去して成型して得られる化粧料において、該化粧料基材が、次の成分(A)〜(C);
(A)表面が親水性で結合成型性のある粉体 5〜50質量%
(B)板状粉体表面にハイドロキシアパタイト及び/又は酸化亜鉛を被覆し、更に疎水化処理した複合粉体 1〜30質量%
(C)炭化水素油を含有する油剤 0.5〜20質量%
を含有することを特徴とする固形粉末化粧料。 - さらに、化粧料基材中に成分(D)として、疎水性及び/又は疎水化処理された球状粉体を含有することを特徴とする請求項1記載の固形粉末化粧料。
- さらに、化粧料基材中に成分(E)として、多価アルコール及び/又は親水性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の固形粉末化粧料。
- 前記化粧料基材中の全粉体の40質量%以上が板状粉体で構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の固形粉末化粧料。
- 前記水性溶媒が、水又は低沸点アルコール水溶液であり、水性溶媒中の水の割合が80質量%以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかの項に記載の固形粉末化粧料。
- 前記水性溶媒が、化粧料基材100質量部に対して50〜100質量部であることを特徴とする請求項1〜5の何れかの項に記載の固形粉末化粧料。
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