JP2005272271A - カーボンナノチューブの製造方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブの製造方法及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板の表面の法線方向に配向した良質な単層カーボンナノチューブを提供し、この単層カーボンナノチューブを用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】基板101の上に直径が3nm程度の触媒金属粒103を形成し、基板101を、所定の熱CVD装置の成膜室内に搬入して固定し、成膜室の内部を排気して所定の圧力にまで減圧した後、成膜室内にArなどの不活性ガスを導入してパージし、不活性ガスが充填された成膜室内で、基板101を例えば950〜1000℃程度に加熱し、成膜室内にメタンガス(炭素原料ガス)を導入し、加熱された基板101の表面に炭素原料ガスが供給された状態とし、触媒金属粒103の部分より、単層カーボンナノチューブ104を垂直に成長させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板に垂直に配向したカーボンナノチューブの製造方法及びカーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法に関するものである。
カーボンナノチューブは、グラファイトが円筒状に閉じた単層又は同軸多層の筒状物質であり、直径は4〜50nm程度、長さは1〜10μmオーダーの微細な構造体である。カーボンナノチューブは、優れた電気的特性及び光学的特性を有し、電界効果トランジスタ、単電子トランジスタ、発光素子等、微細電子素子への応用が期待されている(非特許文献1,2参照)。上述した各素子にカーボンナノチューブを適用する場合、所定の基板上に位置や寸法を制御してカーボンナノチューブを形成することが重要になる。
基板の上にカーボンナノチューブを成長させる技術には、触媒CVD(Chemical Vapor Deposition)法がある。触媒CVD法によるカーボンナノチューブの形成では、原料ガスとして炭化水素を用い、600〜1000℃程度に加熱した基板上で、鉄やコバルトなどの遷移金属を触媒としてカーボンナノチューブを成長させる。
触媒CVD法には、炭化水素の熱分解のみの熱CVD法と、プラズマを併用するプラズマCVD法とがある。プラズマCVDでは、プラズマと基板との間に電界が発生するため、発生した電界によってカーボンナノチューブが垂直に配向して成長する(非特許文献3参照)。しかし、プラズマCVDでは、一般に成長するカーボンナノチューブは同軸多層のカーボンナノチューブである。また、プラズマによる損傷のため、成長したカーボンナノチューブは欠陥が多く、前述したような電子素子に用いるのは適当でない。
一方、熱CVD法では、炭化水素と触媒金属の組み合わせにより、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブを作り分けることが可能である。また、成長温度を高くすることにより、結晶性の比較的高いカーボンナノチューブを成長すことができる。一般に、熱CVD法で成長するカーボンナノチューブは、基板表面を這って成長する(非特許文献4参照)。成長するカーボンナノチューブの密度が非常に高い場合には、カーボンナノチューブが垂直に形成される場合がある。これは、プラズマCVDの場合の電場効果とは別に、密に生えたカーボンナノチューブ同士が互いに支えあうことにより、基板に垂直な方向に伸びる結果である。
ところで、電子素子への応用では、単層カーボンナノチューブを基板の所望の位置に単独で形成することも必要である。例えば、基板に垂直な方向に成長した単層カーボンナノチューブをトランジスタとして用いることができれば、基板表面に沿った単層カーボンナノチューブを用いる場合より、トランジスタ1個あたりの専有面積を少なくすることができる。
また、垂直に形成されたカーボンナノチューブと基板表面に沿ったカーボンナノチューブとを組み合わせることにより、立体的に回路を構成することも可能になる。あるいは、立体的回路の中で、垂直な単層カーボンナノチューブを垂直方向の素子間配線として用いることもできる。
他には、垂直配向単層カーボンナノチューブを電界放出による単一電子源として使用することも期待できる。垂直配向単層カーボンナノチューブが密に存在する場合に比較し、1本の単層カーボンナノチューブが他から十分に離れて存在する場合には、1本の単層カーボンナノチューブの先端により多くの電界が集中するため強い電界放出が生じ、また、電子放出の位置が限定しやすいという利点もある。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
田中一義編、化学フロンティア2、カーボンナノチューブ−ナノデバイスへの挑戦、化学同人、2001年。 S. J.Wind, J.Appenzeller, R.Martel, V.Derycke, and Ph.Avouris, "Vertical Scaling of Carbon Nanotube Field-effect Transistors Using Top Gate Electrodes" Appl. Phys. Lett. 80, 3817-3819 (2002). H.Murakami, M.Hirakawa, C.Tanaka, and H.Yamakawa, "Field Emission from Well-aligned, Patterned, Carbon Nanotube Emitters", Appl. Phys. Lett. 76, 1776-1778 (2000). Y.Homma, T.Yamashita, P.Finnie and T.Ogino: "Single-Walled Carbon Nanotube Growth on Silicon Substrates Using Nanoparticle Catalysts", Jpn. J. Appl. Phys. Part 2, 41, L89-L91 (2002).
ところが、これまでは、単層カーボンナノチューブを1本だけ孤立させて基板上に垂直に成長させることが、実現されていなかった。プラズマCVDでは、良質の単層カーボンナノチューブを成長させることが、プラズマ損傷のため不可能である。また、熱CVDでは、単層カーボンナノチューブを1本1本孤立させて成長できるが、これらは基板表面に這って成長するか、あるいは、構造間を橋渡しして成長するかで、単独で垂直に成長させることは実現されていなかった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、基板の表面の法線方向に配向した良質な単層カーボンナノチューブを提供し、この単層カーボンナノチューブを用いた半導体装置を提供することを目的とする。
本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、基板の表面上に粒径が5nm以下の触媒金属の微粒子を形成する工程と、基板を950℃以上に加熱した状態で基板の表面上に炭素原料ガスを供給し、微粒子を起点として基板の表面の法線方向に配向した単層カーボンナノチューブを成長する工程とを少なくとも備えるものである。
上記カーボンナノチューブの製造方法において、触媒金属は、鉄、コバルト、及びニッケルの少なくとも1つであればよく、炭素原料ガスは、メタンガスであればよい。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体からなる基板の表面上に粒径が5nm以下の触媒金属の微粒子を形成する工程と、基板を950℃以上に加熱した状態で基板の表面上に炭素原料ガスを供給し、微粒子を起点として基板の表面の法線方向に配向した単層カーボンナノチューブを成長する工程と、単層カーボンナノチューブの上部が露出するように、基板の上に絶縁膜を形成する工程と、単層カーボンナノチューブの上部に接続する電極を絶縁膜の上に形成する工程とを少なくとも備える。
この製造方法によれば、単層カーボンナノチューブが基板と電極とに接続する2端子素子が形成される。
上記半導体装置の製造方法において、絶縁膜を形成した後、絶縁膜の表面上に露出する単層カーボンナノチューブの上部を部分的に除去し、単層カーボンナノチューブの上部に開口部を形成する工程と、開口部より単層カーボンナノチューブの筒内に所定の分子を収容する工程とを少なくとも備える。
この製造方法によれば、単層カーボンナノチューブが基板と電極とに接続する2端子素子が形成され、単層カーボンナノチューブの筒内に収容される分子により、素子の特性が変化する。
また、上記半導体装置の製造方法において、単層カーボンナノチューブとともに、基板の表面に沿う方向に配向する他のカーボンナノチューブを、前記単層カーボンナノチューブと所定距離離間した位置に形成する工程と、他のカーボンナノチューブに接続するゲート配線を形成する工程とにより、単層カーボンナノチューブをチャネルとし、他のカーボンナノチューブをゲート電極とした3端子素子が製造できる。
以上説明したように、本発明によれば、粒径を5nm以下とし、基板温度を950℃以上とした触媒CVD法により、基板の表面の法線方向に配向した良質な単層カーボンナノチューブが容易に製造できるようになり、また、この単層カーボンナノチューブを用いた半導体装置が容易に得られるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるカーボンナノチューブの製造方法例を示す工程図である。
まず、図1(a)に示すように、例えば、膜厚100nm程度の熱酸化膜が表面に形成されているシリコンからなる基板101の上に、触媒金属として例えば鉄からなる金属薄膜102が形成された状態とする。金属薄膜102は、例えば、真空蒸着法やスパッタ法により形成できる。図1では、熱酸化膜の記載は省略している。
基板101は、シリコンに限らず、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、あるいは酸化アルミニウムなどであってもよい。金属薄膜102は、膜厚0.5nm以下、好ましくは0.3nm以下の膜厚に形成する。触媒金属としては、鉄(Fe)の他に、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)などを用いることができる。これらの中で、鉄、コバルト、ニッケルが、触媒CVD法によるカーボンナノチューブの製造でよく用いられている。
次に、例えばArガスなどの不活性ガス中で基板101を加熱し、金属薄膜102を部分的に凝集させ、図1(b)に示すように、基板101の上に触媒金属粒103が形成された状態とする。触媒金属粒103は、例えば直径が3nm程度の微粒子である。金属薄膜102の膜厚を0.3nm以下の薄膜としておくことで、粒径が3nm以下の触媒金属粒103が形成できる。言い換えると、触媒金属粒103の粒径は、金属薄膜102の膜厚により制御可能である。なお、以降に説明するように、触媒金属粒103は、粒径が5nm以下であればよい。
次に、基板101を、所定の熱CVD装置の成膜室内に搬入して固定する。ついで、成膜室の内部を排気して所定の圧力にまで減圧した後、成膜室内にArなどの不活性ガスを導入してパージする。Arガスは、圧力が66kPa程度となるまで導入する。
ついで、不活性ガスが充填された成膜室内で、基板101を例えば950〜1000℃程度に加熱し、成膜室内に例えばメタンガスなどの炭素原料ガスを導入し、加熱された基板101の表面に炭素原料ガスが供給された状態とする例えば、メタンガスが300cm3/minの流量で1分間供給された状態とする。
上述したCVD法により、図1(c)に示すように、基板101の上の触媒金属粒103の部分より、単層カーボンナノチューブ104が、基板101の表面を含む平面に対して法線方向に配向した状態で成長する。言い換えると、基板101に垂直に配向した単層カーボンナノチューブ104が形成される。
図2に、単層カーボンナノチューブ104の透過型電子顕微鏡写真を示す。図2は、基板101の表面を、電子線の入射方向と平行にした状態で観察した結果を示している。なお、図2(b)は、図2(a)をより高い倍率で観察した写真である。図2より明らかなように、前述した製造方法により、カーボンナノチューブが基板表面に対してほぼ垂直に形成される。
メタンを原料とした熱CVD法において、鉄あるいはコバルトの微粒子を触媒として800℃以上の温度にすれば、単層カーボンナノチューブを成長できることが既に知られている。この場合、成長した単層カーボンナノチューブは、触媒金属粒子を配置した基板の表面を這うように伸びる。
触媒微粒子から単層カーボンナノチューブが成長を開始する瞬間には、単層カーボンナノチューブの伸びる方向に制限は無いはずである。しかし、現実には、基板表面に沿って成長した単層カーボンナノチューブだけが観察されている。この事実は、単層カーボンナノチューブが、基板表面から離れる方向に伸びていく途中で、単層カーボンナノチューブが基板表面に倒れてしまうことを示唆している。
単層カーボンナノチューブは、触媒粒子から成長するが、成長が起こる炭化水素ガスの雰囲気下では、微細な触媒金属粒子は融解していると考えられる。触媒金属粒子が10nm程度と大きい場合、成長する単層カーボンナノチューブの直径は一般に触媒金属粒子の粒径よりも小さい。触媒金属粒子が融解している場合、長く伸びた単層カーボンナノチューブはCVD装置の機械的振動(ガスを排気するためのポンプの振動など)により揺らされ、基板表面に接触する確率が高い。
単層カーボンナノチューブの先端が基板表面に接触すれば、分子間力により単層カーボンナノチューブは基板に引き寄せられ、単層カーボンナノチューブの他の部分も基板表面に接触していく。このため、ほとんどの単層カーボンナノチューブが、基板の表面に接触した状態になるものと考えられる。
基板に垂直な単層カーボンナノチューブを得るには、基板の垂直方向に成長しようとしている単層カーボンナノチューブが、基板表面に接触するのを防ぐことが重要である。
発明者らは、成長過程のカーボンナノチューブが、基板表面に接触せずに成長する状態は、次に示すことにより実現できるものと考えた。まず、触媒金属粒子から伸び始めた単層カーボンナノチューブの転倒を防ぐためには、成長する単層カーボンナノチューブの直径が触媒金属粒子の直径にほぼ等しいことが必要である。
触媒金属粒子の直径と単層カーボンナノチューブの直径とが、ほぼ等しい場合、単層カーボンナノチューブの根元の一部が基板の表面に接触した状態が得られ、基板表面にチューブが倒れこむのが防げるものと推測される。また、この状態では、単層カーボンナノチューブの根元の端面全体が基板表面に分子間力で固定されるため、単層カーボンナノチューブは基板に対してほぼ垂直になる。
さらに、根本の端面全体が基板表面に接した時点で、触媒金属からの炭素の供給が停止するため、単層カーボンナノチューブの成長が停止する。このため、垂直配向した単層カーボンナノチューブの長さは、100〜300nmとあまり長くならないものと考えられる(図2(a)参照)。
ここで、上述した成長過程で、成長(基板)温度が十分に高くなければ、成長する単層カーボンナノチューブには多くの欠陥が導入され、垂直方向に直線上に成長しにくくなる。従って、成長温度を十分に高くして、成長過程のカーボンナノチューブに欠陥が入りにくくすることが重要となる。なお、触媒金属と基板を構成する材料とが合金を形成する温度以上にすることは、あまり好ましくない。触媒金属と基板を構成する材料とがある程度合金を形成しても、カーボンナノチューブは成長するが、完全に合金化するとカーボンナノチューブの成長が抑制されるようになる。
以上に考察したように、触媒金属粒子の直径が、単層カーボンナノチューブの直径にほぼ等しく、また、欠陥の少ない状態で成長する条件とすることで、基板に垂直に配向した単層カーボンナノチューブが製造できるようになるものと考えられる。
発明者らの実験によれば、直線的な単層カーボンナノチューブが大部分となる成長温度は、950℃以上である。従って、成長温度は、950℃以上であればよい。この温度条件としたとき、単層カーボンナノチューブの直径は、最大5nmとなり、5nm以下のものが大部分を占めている。従って、触媒金属粒子の直径は、5nm以下であればよい。
なお、触媒金属粒子径よりも細い単層カーボンナノチューブは成長できるが、触媒金属粒子径よりも太い単層カーボンナノチューブは成長できない。従って、触媒金属粒子径の直径が5nmより小さいほど、基板に垂直に配向した単層カーボンナノチューブの生成割合(効率)が高まると期待される。
次に、上述したことにより製造したカーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法例について説明する。
始めに、図1に示した方法と同様にし、例えば、n形もしくはp形のシリコンなどの半導体基板301に上に、例えばコバルトからなる触媒金属粒302を起点とし、半導体基板301の法線方向に配向した単層カーボンナノチューブ303が形成された状態とする(図3(a))。
次に、図3(b)に示すように、半導体基板301の上にレジスト膜304が形成された状態とする。レジスト膜304は、例えば、公知の塗布法により単層カーボンナノチューブ303の高さより薄く形成し、レジスト膜304の上に単層カーボンナノチューブ303の上部が突出した状態とする。なお、レジスト膜304は、例えば加熱や紫外線を照射することで、硬化した状態としておく。なお、レジスト膜307の換わりに、例えばCVD法により形成できる酸化シリコン膜や窒化シリコン膜などの絶縁膜を用いるようにしてもよい。
次に、図3(c)に示すように、レジスト膜304の上に、例えば蒸着法などにより金属膜305が形成された状態とする。金属膜305は、例えば、金,白金,チタンのいずれか、又はこれらの合金を用いることができる。ついで、単層カーボンナノチューブ303の形成箇所が残るように金属膜305をパターニングし、図3(d)に示すように、単層カーボンナノチューブ303に接続する上部電極306が形成された状態とする。上部電極306は、公知の微細加工技術を用いて形成すればよい。
以上示した製造方法により、図3(d)に示すように、単層カーボンナノチューブ303を挟んで、半導体基板301を一方の電極とし、上部電極306を他方の電極とした2極型の素子(2端子素子)が得られる。
次に、図1に示したことにより製造したカーボンナノチューブを用いた、他の半導体装置の製造方法例について説明する。
始めに、図1に示した方法と同様にし、例えば、n形もしくはp形のシリコンなどからなる半導体基板401に上に、例えばコバルトからなる触媒金属粒402を起点とし、半導体基板401の法線方向に配向した単層カーボンナノチューブ403が形成された状態とする(図4(a))。
次に、図4(b)に示すように、半導体基板401の上に、例えばポリイミド樹脂などのレジスト膜404が形成された状態とする。レジスト膜404は、例えば、公知の塗布法により単層カーボンナノチューブ403の高さより薄く形成し、レジスト膜404の上に単層カーボンナノチューブ403の上部が突出した状態とする。なお、レジスト膜404は、例えば加熱や紫外線を照射することで、硬化した状態としておく。
次に、大気中で420℃程度の加熱処理を20分間程度行うことにより、図4(c)に示すように、単層カーボンナノチューブ403の、レジスト膜404の上面に突出した先端部を除去し、開放した部分が形成された状態とする。なお、レジスト膜404を形成する前に、単層カーボンナノチューブ403の上端部を部分的に除去し、先端部が開放した状態としてもよい。前もって開放部分を形成しておくことで、レジスト膜404を形成した後に高温の処理が必要なく、レジスト膜404に耐熱性の低い材料を用いることが可能となる。
次に、図4(d)に示すように、基板404を、例えばフラーレン類などの分子405が存在する雰囲気中に暴露し、単層カーボンナノチューブ403の筒内に分子405が導入された状態とする。例えば、C60,C70,C82などのフラーレン類を真空槽の中で600℃に加熱することで、飽和蒸気圧のフラーレン分子が真空槽の中を満たす状態となる。この状態の真空槽内に、基板404を暴露することで、先端部が開放した単層カーボンナノチューブ403の筒内が、フラーレン類からなる分子405で満たされた状態となる。
以上に説明したことにより、単層カーボンナノチューブ403の筒内が分子405で満たされた後、図4(e)に示すように、レジスト膜404の上に、例えば蒸着法などにより金属膜406が形成された状態とする。金属膜406は、例えば、金,白金,チタンのいずれか、又はこれらの合金を用いることができる。ついで、単層カーボンナノチューブ403の形成箇所が残るように金属膜406をパターニングし、単層カーボンナノチューブ403に接続する上部電極が形成された状態とする。
以上示した製造方法により、単層カーボンナノチューブ403を挟んで、半導体基板401を一方の電極とし、上部電極を他方の電極とした2極型の素子(2端子素子)が得られる。また、図4に示す製造方法によれば、単層カーボンナノチューブ403の筒内に所定の分子を収容できるので、単層カーボンナノチューブ403の電気的特性を改変することができる。
ところで、カーボンナノチューブを用い、電界効果型のトランジスタを実現することができる。図5は、2つのカーボンナノチューブを用いた電界効果型トランジスタの構成例を模式的に示す斜視図である。図5に示すトランジスタについて説明すると、例えばn形のシリコンからなる半導体基板501の上に、所定の間隔をあけて形成された凸部502,503を備え、また、凸部502と凸部503との上部に接続する単層カーボンナノチューブ504を備える。単層カーボンナノチューブ504の一端は、例えば凸部502の上に形成されたコンタクト電極505に接続している。単層カーボンナノチューブ504は、凸部502と凸部503とに架橋して形成され、半導体基板501の表面に沿っている。
また、半導体基板501の上に、単層カーボンナノチューブ504と所定距離離間した箇所に、半導体基板501の表面の法線方向に配向した単層カーボンナノチューブ506が形成されている。単層カーボンナノチューブ504,コンタクト電極505,及び単層カーボンナノチューブ506は、レジスト膜507により埋め込まれ、コンタクト電極505の上端は、レジスト膜507の上部に形成されたゲート配線508に接続し、単層カーボンナノチューブ506の上端は、レジスト膜507の上部に形成された上部電極配線509に接続している。
図5に示す電界効果型トランジスタは、単層カーボンナノチューブ506をチャネルとし、単層カーボンナノチューブ506に流れるキャリアの濃度を、電圧が印加された単層カーボンナノチューブ504からの電界により制御する3端子素子である。従って、単層カーボンナノチューブ504は、ゲート電極として機能する。言い換えると、単層カーボンナノチューブ504と単層カーボンナノチューブ506とは、電圧の印加による単層カーボンナノチューブ504からの電界が、単層カーボンナノチューブ506に作用する程度の間隔(所定距離)に配置する必要がある。
次に、図5に示した電界効果型トランジスタの製造方法について説明する。
まず、半導体基板501の表面を、公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とにより微細加工し、図6(a)に示すように、半導体基板501の表面に、凸部502,503が形成された状態とする。凸部502,503は、例えば、直径が0.2μm、高さが0,3μmの柱状構造体であり、間隔が0.5μmである。また、凸部502,503は、直径1μm,高さ0.6μmの円柱であり、間隔が1μm程度であってもよい。
次に、図6(b)に示すように、凸部502,503の上面、及び半導体基板501の所定箇所に、触媒金属からなる触媒金属粒601,602が形成された状態とする。触媒金属粒601,602は、例えば、直径3nm程度である。
次に、図1に示した製造方法と同様にすることで、金属触媒流602に、半導体基板501の表面の法線方向に配向した単層カーボンナノチューブ506が形成された状態とする。このとき同時に、凸部502上の触媒金属粒601から成長した単層カーボンナノチューブ504が、凸部503との間に架橋して成長する。
凸部502と凸部503とのように、微細柱の対がある半導体基板501の上に化学気相成長法を用いてカーボンナノチューブを成長すると、微細柱の柱頭間を電線のように架橋して単層カーボンナノチューブが成長する(Y.Homma,T.Yamashita,Y.Kobayashi,and T.Ogino,"Growth of suspended carbon nanotube networks on 100-nm-scale silicon pillars" Appl. Phys. Lett. vol.81, pp.2261-2263, (2002))。上記の架橋状のカーボンナノチューブの形成確率は、微細柱の間隔が高さの2倍以内のときに高くなることが知られている。
次に、図6(d)に示すように、凸部502,503及び単層カーボンナノチューブ504などを覆うように、半導体基板501の上にレジスト膜507が形成された状態とする。レジスト膜507は、例えば紫外線照射や加熱処理などにより硬化した状態とする。
次に、レジスト膜507の凸部502の上部にコンタクトホールを形成し、図6(e)に示すように、形成したコンタクトホール内に充填するコンタクト電極505が形成された状態とする。
この後、レジスト膜507の表面に露出するコンタクト電極505の上面に接続するゲート配線508と、単層カーボンナノチューブ506の上面に接続する上部電極509が形成された状態とすれば、図5に示した電界効果型トランジスタとなる。また、図4に説明したように、単層カーボンナノチューブ506の筒内に、所望の分子を充填するようにしてもよい。
本発明の実施の形態におけるカーボンナノチューブの製造方法例を示す工程図である。 単層カーボンナノチューブ104の透過型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態におけるカーボンナノチューブを用いた半導体装置の製造方法例を示す工程図である。 本発明の実施の形態におけるカーボンナノチューブを用いた他の半導体装置の製造方法例を示す工程図である。 本発明の実施の形態におけるカーボンナノチューブを用いた他の半導体装置の構成例を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施の形態におけるカーボンナノチューブを用いた他の半導体装置の製造方法例を示す工程図である。
符号の説明
101…基板、102…金属薄膜、103…触媒金属粒、104…単層カーボンナノチューブ、301…半導体基板、302…触媒金属粒、303…単層カーボンナノチューブ、305…金属膜、306…上部電極。

Claims (6)

  1. 基板の表面上に粒径が5nm以下の触媒金属の微粒子を形成する工程と、
    前記基板を950℃以上に加熱した状態で前記基板の表面上に炭素原料ガスを供給し、前記微粒子を起点として前記基板の表面の法線方向に配向した単層カーボンナノチューブを成長する工程と
    を少なくとも備えることを特徴としたカーボンナノチューブの製造方法。
  2. 請求項1記載のカーボンナノチューブの製造方法において、
    前記触媒金属は、鉄、コバルト、及びニッケルの少なくとも1つである
    ことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のカーボンナノチューブの製造方法において、
    前記炭素原料ガスは、メタンガスであることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  4. 半導体からなる基板の表面上に粒径が5nm以下の触媒金属の微粒子を形成する工程と、
    前記基板を950℃以上に加熱した状態で前記基板の表面上に炭素原料ガスを供給し、前記微粒子を起点として前記基板の表面の法線方向に配向した単層カーボンナノチューブを成長する工程と、
    前記単層カーボンナノチューブの上部が露出するように、前記基板の上に絶縁膜を形成する工程と、
    前記単層カーボンナノチューブの上部に接続する電極を前記絶縁膜の上に形成する工程と
    を少なくとも備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
    前記絶縁膜を形成した後、前記絶縁膜の表面上に露出する前記単層カーボンナノチューブの上部を部分的に除去し、前記単層カーボンナノチューブの上部に開口部を形成する工程と、
    前記開口部より前記単層カーボンナノチューブの筒内に所定の分子を収容する工程と
    を少なくとも備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
    前記単層カーボンナノチューブと共に、前記基板の表面に沿う方向に配向する他のカーボンナノチューブを、前記単層カーボンナノチューブと所定距離離間した位置に形成する工程と、
    前記他のカーボンナノチューブに接続するゲート配線を形成する工程と
    を少なくとも備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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