JP2005272231A5 - 衛生陶器釉薬用固形物および該固形物を用いた衛生陶器の製造方法 - Google Patents
衛生陶器釉薬用固形物および該固形物を用いた衛生陶器の製造方法 Download PDFInfo
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Description
本発明は、衛生陶器釉薬用固形物、該固形物を用いた衛生陶器の製造方法、前記衛生陶器釉薬用固形物を再スラリー化する際の各種性状の調整方法等に関するものである。
本発明の目的は、長期保存を可能にすると共に移送効率を高めることができる衛生陶器釉薬用固形物および該固形物を用いた衛生陶器の製造方法を提供することである。特に、湿式施釉に適した釉薬スラリーを効率良く調製できるような衛生陶器釉薬用固形物を提供することである。
上記のようにして得られた衛生陶器釉薬用固形物は、固形化する前のスラリーの状態で衛生陶器素地成形体の表面への塗布がそのままできるように粒径や粘性等を調整してあるため、水を加えて溶解しただけのスラリーであっても、施釉工程に問題なく使用することができるので好適である。衛生陶器用釉薬原料としては、透明釉(ベース釉)、不透明釉(着色釉薬)、マット釉、ラスター釉、アベンチュリン釉など種々の釉面を形成する陶磁器用釉薬原料が利用できる。
衛生陶器釉薬原料をスラリーの状態で保存しようとすると、静止して放置した場合にはスラリー内の固形分が沈殿し、いわゆる「すわり」という問題が発生する。この問題を回避するには、スラリーを常時撹拌することにより可能になるが、撹拌するための設備および動力が必要になって大きなコストがかかるばかりでなく、スラリーの濃度が変化しやすいために、施釉工程で使用する前に再度濃度や粘性等を調整しなければならない。これに対して、上記のような衛生陶器釉薬用固形物はスラリーの脱水・乾燥物であるから、「すわり」等の長期保存に関わる問題は解消することができる。
本発明の好ましい態様においては、前記衛生陶器釉薬用固形物には、乳濁剤及び/又は発色剤が含有されているようにする。
衛生陶器釉薬原料として、最低限必要な粘土、アルミナなどの骨材、長石などの熔剤を用いた透明釉(ベース釉)であると、釉薬層を多層にし、その最表面層に適用する場合には、問題ないが、単層であると衛生陶器素地表面を隠蔽することはできないので、通常、乳濁剤や顔料などの発色剤を適用する。なお、発色剤を適用する際には、珪酸ジルコニウム(ジルコン)や酸化錫などの乳濁剤が必要になることが多いので、上記骨材、熔剤に乳濁剤を添加したものを基本釉薬として準備しておけば良いことになるが、これによって得られる衛生陶器釉薬用固形物に水を加えて再スラリー化した釉薬スラリーを使用して衛生陶器を製造した場合には、白色釉薬層の衛生陶器のみが得られることになる。使用者の需要の多様化により、衛生陶器の釉薬層は多種の色調が求められるのが現状である。この時、上記の基本釉薬スラリーから得られる衛生陶器釉薬用固形物に、水を加えて再スラリー化する際に同時に発色剤を添加し、撹拌・溶解させることにより、所望の色調が得られるように後調整ができるようになるので好適である。このようにすることにより、異なる発色剤を含有した衛生陶器釉薬用固形物を複数製造して保存しておくよりもはるかに効率が良くなる。また、衛生陶器釉薬用固形物の含水率を0〜25重量%とすることで、固形物の搬送及び再スラリー化が効果的に行なえる。
衛生陶器釉薬原料として、最低限必要な粘土、アルミナなどの骨材、長石などの熔剤を用いた透明釉(ベース釉)であると、釉薬層を多層にし、その最表面層に適用する場合には、問題ないが、単層であると衛生陶器素地表面を隠蔽することはできないので、通常、乳濁剤や顔料などの発色剤を適用する。なお、発色剤を適用する際には、珪酸ジルコニウム(ジルコン)や酸化錫などの乳濁剤が必要になることが多いので、上記骨材、熔剤に乳濁剤を添加したものを基本釉薬として準備しておけば良いことになるが、これによって得られる衛生陶器釉薬用固形物に水を加えて再スラリー化した釉薬スラリーを使用して衛生陶器を製造した場合には、白色釉薬層の衛生陶器のみが得られることになる。使用者の需要の多様化により、衛生陶器の釉薬層は多種の色調が求められるのが現状である。この時、上記の基本釉薬スラリーから得られる衛生陶器釉薬用固形物に、水を加えて再スラリー化する際に同時に発色剤を添加し、撹拌・溶解させることにより、所望の色調が得られるように後調整ができるようになるので好適である。このようにすることにより、異なる発色剤を含有した衛生陶器釉薬用固形物を複数製造して保存しておくよりもはるかに効率が良くなる。また、衛生陶器釉薬用固形物の含水率を0〜25重量%とすることで、固形物の搬送及び再スラリー化が効果的に行なえる。
本発明では、衛生陶器用釉薬原料に、水を加えてボールミルにより湿式粉砕を行い、釉薬用スラリーを得た後、脱水及び/または乾燥することにより、衛生陶器釉薬固形物を得る工程、前記衛生陶器釉薬用固形物に水を加えて釉薬用スラリー状態に戻す再スラリー化工程衛生陶器成形体を得る成形工程、前記成形体に該再スラリー化した釉薬を塗布する施釉工程、前記施釉された成形体を焼成する焼成工程を経て製造されることを特徴とする衛生陶器の製造方法を提供する。
前記衛生陶器釉薬用固形物に、所定のスラリー濃度(例えば、含水率40〜60%)となるように固形物の含水率から計算された量の水を添加し、スターラーやブランジャー等の撹拌機により混合・撹拌の操作(再スラリー化)を行うことにより、施釉工程で使用可能なスラリーとなる。
成形体は、タイルのように塑性成形用坏土を使用して押し出しにより得たり、また、仮焼体として得る場合もあるが、衛生陶器では、衛生陶器素地用スラリー石膏や樹脂製の鋳込み成形型に流し込み、着肉後に脱型することにより素地成形体が得られ、前記素地成形体を乾燥させ、成形体を得る。この得られた成形体の必要部分に前記再スラリー化後の釉薬スラリーを施釉し、1000〜1300℃で焼成することにより衛生陶器が製造される。
成形体は、タイルのように塑性成形用坏土を使用して押し出しにより得たり、また、仮焼体として得る場合もあるが、衛生陶器では、衛生陶器素地用スラリー石膏や樹脂製の鋳込み成形型に流し込み、着肉後に脱型することにより素地成形体が得られ、前記素地成形体を乾燥させ、成形体を得る。この得られた成形体の必要部分に前記再スラリー化後の釉薬スラリーを施釉し、1000〜1300℃で焼成することにより衛生陶器が製造される。
本発明の好ましい態様においては、前記再スラリー化工程には、焼成時の溶融粘性及び溶融距離を調整するために粉体原料を添加する工程が含まれるようにする。
陶磁器の中で、特に、衛生陶器の製造においては、焼成時における釉薬の溶融粘性及び溶融距離は重要なファクターである。即ち、タイルのような水平面に施釉・焼成する場合には、問題がないが、衛生陶器のような垂直面を有する複雑形状のものでは、焼成時の溶融した釉薬の不均一な流れは、タレなどの表面欠陥につながってしまう。また、固形化前の釉薬スラリー及び前記衛生陶器釉薬用固形物を再スラリー化したものを、同一の窯及び同一の条件で焼成する場合にはほぼ一定の溶融粘性及び溶融距離となるので問題となることはない。しかし、前記固形物を別の場所に移送し、異なった条件の窯で焼成される場合も考えられる。そのため、前記固形物を再スラリー化する工程において、粉体原料を後添加することによって焼成時の溶融粘性及び溶融距離を調整するようにできるようになるので好適である。溶融距離は、平板成形体に部分的に施釉し、その後、平板成形体を傾け、その状態で焼成した後に、釉薬が流れる距離を言う。
陶磁器の中で、特に、衛生陶器の製造においては、焼成時における釉薬の溶融粘性及び溶融距離は重要なファクターである。即ち、タイルのような水平面に施釉・焼成する場合には、問題がないが、衛生陶器のような垂直面を有する複雑形状のものでは、焼成時の溶融した釉薬の不均一な流れは、タレなどの表面欠陥につながってしまう。また、固形化前の釉薬スラリー及び前記衛生陶器釉薬用固形物を再スラリー化したものを、同一の窯及び同一の条件で焼成する場合にはほぼ一定の溶融粘性及び溶融距離となるので問題となることはない。しかし、前記固形物を別の場所に移送し、異なった条件の窯で焼成される場合も考えられる。そのため、前記固形物を再スラリー化する工程において、粉体原料を後添加することによって焼成時の溶融粘性及び溶融距離を調整するようにできるようになるので好適である。溶融距離は、平板成形体に部分的に施釉し、その後、平板成形体を傾け、その状態で焼成した後に、釉薬が流れる距離を言う。
本発明の好ましい態様においては、前記粉体原料は、長石、石灰石、亜鉛華、ドロマイト、ネフェリン、前記衛生陶器釉薬用固形物と略同一組成のフリットから選ばれる少なくとも1種類以上であるようにする。
長石、石灰石、亜鉛華、ドロマイト、ネフェリン等は、釉薬原料の中で熔剤としての役割を担うものであるから、これらを衛生陶器釉薬用固形物を再スラリー化する際に後添加することにより、添加後に得られるスラリーは焼成時に溶融開始温度が低くなるので、窯火度の低い窯においては適正な溶融粘性及び溶融距離に調節することができるので好ましい。また、同一組成の非フリット釉薬とフリット釉薬を比較した場合、一般的に同一焼成条件ではフリット釉薬の方が溶融開始温度が低くなる傾向がある。よって、衛生陶器釉薬用固形物と略同一組成のフリットを後添加することにより、釉薬組成をほとんど変更せずに溶融距離を調節することができるので好ましい。これらの粉体は最終釉薬スラリーでの粒径に近い状態に予め微粉砕しておくことが、再スラリー化の調整時間短縮のため、望ましい。
長石、石灰石、亜鉛華、ドロマイト、ネフェリン等は、釉薬原料の中で熔剤としての役割を担うものであるから、これらを衛生陶器釉薬用固形物を再スラリー化する際に後添加することにより、添加後に得られるスラリーは焼成時に溶融開始温度が低くなるので、窯火度の低い窯においては適正な溶融粘性及び溶融距離に調節することができるので好ましい。また、同一組成の非フリット釉薬とフリット釉薬を比較した場合、一般的に同一焼成条件ではフリット釉薬の方が溶融開始温度が低くなる傾向がある。よって、衛生陶器釉薬用固形物と略同一組成のフリットを後添加することにより、釉薬組成をほとんど変更せずに溶融距離を調節することができるので好ましい。これらの粉体は最終釉薬スラリーでの粒径に近い状態に予め微粉砕しておくことが、再スラリー化の調整時間短縮のため、望ましい。
本発明の好ましい態様においては、前記粉体原料は、珪砂、アルミナ、カオリン、粘土、珪酸ジルコニウム、酸化錫から選ばれる少なくとも1種類以上であるようにする。
珪砂、アルミナ、カオリン等は、釉薬原料の中で骨剤としての役割を担うものであるから、これらを衛生陶器釉薬用固形物を再スラリー化する際に後添加することにより、添加後に得られるスラリーは焼成時に溶融開始温度が高くなるので、窯火度の高い窯においては適正な溶融粘性及び溶融距離に調節することができるので好ましい。また、乳濁剤として使用する珪酸ジルコニウムや酸化錫は、衛生陶器焼成後もガラスに溶解しない結晶性の成分であり、この成分が増加すると同一焼成温度では溶融粘性が高くなる傾向にある。よって、衛生陶器釉薬用固形物に珪酸ジルコニウムや酸化錫を後添加することにより、溶融粘性を調節することができるので好ましい。これらの粉体は最終釉薬スラリーでの粒径に近い状態に予め微粉砕しておくことが、再スラリー化の調整時間短縮のため、望ましい。
珪砂、アルミナ、カオリン等は、釉薬原料の中で骨剤としての役割を担うものであるから、これらを衛生陶器釉薬用固形物を再スラリー化する際に後添加することにより、添加後に得られるスラリーは焼成時に溶融開始温度が高くなるので、窯火度の高い窯においては適正な溶融粘性及び溶融距離に調節することができるので好ましい。また、乳濁剤として使用する珪酸ジルコニウムや酸化錫は、衛生陶器焼成後もガラスに溶解しない結晶性の成分であり、この成分が増加すると同一焼成温度では溶融粘性が高くなる傾向にある。よって、衛生陶器釉薬用固形物に珪酸ジルコニウムや酸化錫を後添加することにより、溶融粘性を調節することができるので好ましい。これらの粉体は最終釉薬スラリーでの粒径に近い状態に予め微粉砕しておくことが、再スラリー化の調整時間短縮のため、望ましい。
本発明の好ましい態様においては、前記粉体原料は、前記衛生陶器釉薬用固形物100重量部に対して、0.01〜20重量部であるようにする。
衛生陶器釉薬用固形物100重量部に対して、再スラリー化する際に後添加する粉体原料が20重量部を超えると、熱膨張係数等の他の釉薬特性に与える影響が無視できなくなってしまうため不適である。また、再スラリー化する際に後添加する粉体原料がごく少量であると溶融開始温度を調整する効果が得られないので、0.01重量部以上にする必要がある。
焼成後の釉薬層の色調は焼成条件の僅かな変動であっても大きく影響を受けるものである。焼成条件の変動があっても釉薬層の色調を一定の管理幅内に収まるようにするために、該固形物を再スラリー化した釉薬スラリーをそのまま衛生陶器成形体の表面に適用し、焼成して先発試験を行う。先発試験で焼成された釉薬の色調を分光測色計にて測定されるL*、a*、b*表色系色空間に基づいて算出される色差ΔE*の値等から、目的とする色調とのズレを求める。ここで、衛生陶器釉薬用固形物を再スラリー化する際に前記ズレが無くなるように発色剤を添加することにより、目的とする色調の釉薬色に補正することができるようになるので好適である。
本発明の好ましい態様においては、前記発色剤の添加量は、前記衛生陶器釉薬用固形物100重量部に対して、0.01〜20重量部であるようにする。
発色剤として使用する顔料等は、衛生陶器焼成後もガラスに溶解しない結晶性の成分であり、前記衛生陶器釉薬用固形物100重量部に対して、再スラリー化する際に後添加する発色剤が20重量部を超えると、熱膨張係数等の他の釉薬特性に与える影響が無視できなくなってしまうため不適である。また、再スラリー化する際に後添加する発色剤がごく少量であると色調補正の効果が得られないので、0.01重量部以上にする必要がある。
解膠剤は、スラリーの中で釉薬原料粒子に吸着し電荷を持つことで、粒子どうしの電気的反発力が生じるため、分散剤として働くものである。従って、解膠剤は、粘性を下げる働きを有する。一方、凝集剤はスラリー中で釉薬原料粒子に吸着し電荷を奪い電気的反発が得られなくなることにより、粒子どうしの結合を促進する効果を持つものである。従って、凝集剤は、粘性を上げる働きを有する。これらを衛生陶器釉薬用固形物を再スラリー化する際に後添加することにより、添加後に得られるスラリーの粘性を低い側、高い側の何れにも調整することができるようになるので好ましい。
衛生陶器釉薬用固形物100重量部に対して、再スラリー化する際に後添加する解膠剤または凝集剤が5.0重量部を超えると、釉薬全体の組成に影響を与えてしまうため不適である。また、再スラリー化する際に後添加する解膠剤または凝集剤がごく少量であると粘性を調整する効果が得られないので、0.001重量部以上にする必要がある。
衛生陶器釉薬用固形物100重量部に対して、再スラリー化する際に後添加する解膠剤または凝集剤が5.0重量部を超えると、釉薬全体の組成に影響を与えてしまうため不適である。また、再スラリー化する際に後添加する解膠剤または凝集剤がごく少量であると粘性を調整する効果が得られないので、0.001重量部以上にする必要がある。
結合剤は、水中における粘性調整機能と釉薬スラリー乾燥時に釉薬層の強度を向上させるバインダー機能を有するものである。また、腐食防止剤は、釉薬スラリーに含有される有機物成分が栄養分となりバクテリア等の細菌が繁殖することを防止する機能を有するものである。
衛生陶器釉薬用固形物100重量部に対して、再スラリー化する際に後添加する結合剤及び/または腐食防止剤が10重量部を超えると、釉薬全体の組成に影響を与えてしまうため不適である。また、再スラリー化する際に後添加する結合剤及び/または腐食防止剤がごく少量であると粘性を増加させる効果及び/または腐食を防止する効果が得られないので、0.001重量部以上にする必要がある。
衛生陶器釉薬用固形物100重量部に対して、再スラリー化する際に後添加する結合剤及び/または腐食防止剤が10重量部を超えると、釉薬全体の組成に影響を与えてしまうため不適である。また、再スラリー化する際に後添加する結合剤及び/または腐食防止剤がごく少量であると粘性を増加させる効果及び/または腐食を防止する効果が得られないので、0.001重量部以上にする必要がある。
本発明によれば、長期保存を可能にすると共に移送効率を高めることができる衛生陶器釉薬用固形物および該固形物を用いた衛生陶器の製造方法を提供することができる。
本発明における衛生陶器釉薬用原料としては、珪砂、ソーダ長石、カリ長石、リチウム長石、石灰石、アルミナ、粘土、タルク、炭酸ソーダ、炭酸バリウム、硼砂、亜鉛華、ドロマイト、珪灰石などの公知の陶磁器用釉薬原料を使用することができ、これらの衛生陶器釉薬用原料は必要に応じて適宜配合して使用することができる。また、焼成後に得られる釉薬を着色層とするために、発色剤等を必要に応じて添加することができる。発色剤としては、例えば、酸化鉄、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化アンチモン等の金属酸化物、乳濁剤としての珪酸ジルコニウム(ジルコン)、酸化錫等を適宜利用することができる。更に、釉薬原料組成の好ましい範囲を示せば、表1の通りである。
釉薬スラリーは、上記衛生陶器釉薬用原料に所定量の水および必要に応じて発色剤及び解膠剤または凝集剤等を添加し、シリンダーミル、ボールミル、ビーズミル等の公知の粉砕機により原料の粒径(D50:レーザ回折式粒度分布計を用いて測定した粒度分布測定データにおける微粒子側からの微粒子の累積が50%に達した時の粒子の粒径を示す。)が1〜10μmになるように調製する。
上記粉末に水と必要に応じて上記の解膠剤、凝集剤等を添加して撹拌することにより釉薬用スラリーとして、使用する焼成窯の条件等に合わせて再スラリー化する。ここで使用する水は、塩化物イオン(Cl−)や硫酸イオン(SO4 2−)等の凝集・沈殿を生じさせるようなイオンを多量に含有していないことが望ましい。本発明の目的に応じ、衛生陶器釉薬用固形物を遠方に移送して使用する場合には、上記条件を満たす水を入手することが難しい場合も考えられ得る。このような水が入手不可能な場合は、蒸留あるいはイオン交換を行った後の蒸留水あるいはイオン交換水を使用するようにする。なお、これらの解膠剤、凝集剤、後述する結合剤、腐食防止剤等は、固形物を形成する前の、釉薬スラリーの原料として、予め添加しておき、固形物を形成してもよい。
上記の再スラリー化前の粉末に発色剤が含有されていない場合には、易分散顔料を添加して撹拌することにより、簡便な操作且つ短時間で所望の着色釉とすることが可能となる。ここで、易分散顔料とは、上記の各種金属酸化物ないし複合酸化物の顔料粒子表面に水系溶媒に対して分散する性質を有する分散体を保持させたもののことである。前記分散体としては、アルカリ金属の塩類等から成る無機電解質と、セルロース系、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド等の水溶性高分子または硫酸エステル塩、スルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤の内の少なくとも1種類を使用したものが好ましい。なお、発色剤として通常の顔料を適用する際には、衛生陶器釉薬固形物の再スラリー化する容器とは、別に顔料と上記無機電解質、アニオン系界面活性剤あるいは水溶性高分子を用いて、予め、分散性が良くなるような前処理をして、その後に再スラリー化の容器に投入するような方法を適用することで、易分散顔料と同様の効果を期待できる。
Claims (16)
- 衛生陶器用釉薬スラリーの作製に用いられる、衛生陶器釉薬用固形物であって、衛生陶器用釉薬原料に水を加えてボールミルにより湿式粉砕を行い、釉薬用スラリーを得た後、脱水及び/または乾燥することにより、前記固形物の粒径が0.1〜10mm、且つ、含水率が2〜25重量%の固形物としたことを特徴とする衛生陶器釉薬用固形物。
- 衛生陶器用釉薬スラリーの作製に用いられる、衛生陶器釉薬用固形物であって、衛生陶器用釉薬原料に水を加えてボールミルにより湿式粉砕を行い、釉薬用スラリーを得た後、脱水及び/または乾燥することにより、前記凝集物の形状がフレーク状またはヌードル状、且つ、含水率が2〜25重量%の固形物としたことを特徴とする衛生陶器釉薬用固形物。
- 前記衛生陶器釉薬用固形物には、乳濁剤及び/又は発色剤が含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載の衛生陶器釉薬用固形物。
- 前記スラリーからの脱水はフィルタープレス機により行い、脱水後の固形物の含水率は15〜25重量%であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の衛生陶器釉薬用固形物。
- 前記スラリーの乾燥はスプレードライヤーにより行い、乾燥後の固形物の含水率は2〜15重量%であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の衛生陶器釉薬用固形物。
- 前記スラリーの乾燥はスプレードライヤーにより行い、乾燥後の固形物の含水率は2〜10重量%であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の衛生陶器釉薬用固形物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載される衛生陶器釉薬用固形物に水を添加し攪拌して釉薬用スラリー状態に戻す再スラリー化工程、衛生陶器成形体を得る成形工程、前記成形体に該再スラリー化した釉薬を塗布する施釉工程、前記施釉された成形体を焼成する焼成工程を経て製造されることを特徴とする衛生陶器の製造方法。
- 前記再スラリー化工程には、焼成時の溶融粘性及び溶融距離を調整するために粉体原料を添加する工程が含まれることを特徴とする請求項7に記載の衛生陶器の製造方法。
- 前記粉体原料は、長石、石灰石、亜鉛華、ドロマイト、ネフェリン、前記衛生陶器釉薬用固形物と略同一組成のフリットから選ばれる少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項8に記載の衛生陶器の製造方法。
- 前記粉体原料は、珪砂、アルミナ、カオリン、粘土、珪酸ジルコニウム、酸化錫から選ばれる少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項8に記載の衛生陶器の製造方法。
- 前記粉体原料の添加量は、前記衛生陶器釉薬用固形物100重量部に対して、0.01〜20重量部とすることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の衛生陶器の製造方法。
- 前記再スラリー化工程には、焼成後の釉薬層の色調を調整するために発色剤を添加する工程が含まれることを特徴とする請求項7に記載の衛生陶器の製造方法。
- 前記発色剤は、易分散顔料であることを特徴とする請求項12に記載の衛生陶器の製造方法。
- 前記発色剤の添加量は、前記衛生陶器釉薬用固形物100重量部に対して、0.01〜20重量部とすることを特徴とする請求項12または13に記載の衛生陶器の製造方法。
- 前記再スラリー化工程には、スラリーの粘性を調整するために解膠剤または凝集剤を0.001〜5.0重量部添加する工程が含まれることを特徴とする請求項7に記載の衛生陶器の製造方法。
- 前記再スラリー化工程には、結合剤及び/または腐食防止剤を0.001〜10重量部添加する工程が含まれることを特徴とする請求項7に記載の衛生陶器の製造方法。
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