JP3101903B2 - 釉薬原料及び釉薬 - Google Patents

釉薬原料及び釉薬

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JP3101903B2
JP3101903B2 JP07044707A JP4470795A JP3101903B2 JP 3101903 B2 JP3101903 B2 JP 3101903B2 JP 07044707 A JP07044707 A JP 07044707A JP 4470795 A JP4470795 A JP 4470795A JP 3101903 B2 JP3101903 B2 JP 3101903B2
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博昭 内藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タイル等の窯業製品
に、一度の施釉工程で、天然石に近い外観の斑点模様を
施すことの可能な、新規な釉薬及びその原料に関する。
【0002】
【従来の技術】タイル等の窯業製品に斑点模様を形成す
るのに、施釉による場合は、従来、素地表面に基礎釉薬
を刷毛などで塗布又はスプレー掛けをして下地を形成す
る工程と、斑点用釉薬を雨滴が落下するようにスプレー
掛けをして斑点を形成する斑点掛け工程の2工程を、普
通はこの順で、あるいは状況に応じ逆の順次で行ってい
る。また、2種類以上の斑点模様を形成する場合は、異
なる種類の斑点用釉薬をさらに重ね掛けすることで対処
する。美観性に優れた天然石に近い斑点模様は、通常、
この重ね掛けにより形成される。
【0003】施釉による以外の斑点模様を形成する手段
としては、練り込み坏土による手法がある。この手法
は、顔料等で着色した複数の着色坏土粒子を混合した坏
土を用いるものであって、これを成形・焼成することに
より、天然石に非常によく似た外観の製品を得ることが
できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】窯業製品に複数種類の
斑点から成る斑点模様を、前者の施釉により形成する場
合、斑点の種類に見合うだけの複数の釉薬を用意し、各
釉薬ごとに施釉工程(斑点掛け)を行うという、手数の
多くかかる手法を採用している。これは、もし仮に異種
類の釉薬を混合すると、釉薬粒子間で合体等の相互干渉
が生じて色調に悪影響を及ぼし、美観性の高い天然石に
近い斑点模様を得ることが困難になるからである。
【0005】ところで、施釉による斑点模様は、斑点掛
け手法を用いて直径約1〜3mm程度の斑点を出現させ
ることにより形成するものであり、また複数種類の斑点
は、一度に全種類の斑点掛けを同時に行うのではなく、
例えば白の斑点掛けのあと黒の斑点を重ね掛けをすると
いうような手順を踏んで形成する。
【0006】このような重ね掛けの結果、斑点が重なり
合って、天然石と比べて外観が不自然になるという不具
合が生ずることがしばしばある。しかるに前述の如く、
異種類の釉薬粒子を互いに独立した状態で安定に共存さ
せる手段が従来存在せず、それ故、複数種類の粒子が混
在する釉薬を調整することが出来なかったので、かかる
不具合の生じ易い複数回の斑点重ね掛けを行わざるを得
なかった。
【0007】上に述べたような理由により、従来は、複
数種類の釉薬を準備し、各釉薬ごとに施釉するという工
程を採用する結果、釉薬種類の多数化による管理の煩雑
化・製造ライン設備の複雑化・製造工程の長時間化等の
問題を生じさせている。
【0008】また斑点用釉薬の施釉回数が多くなると、
それだけ釉薬の塗りむらが生じる確率が高くなるという
問題のほかに、釉薬の重ね掛けの結果、製品表面に段差
・凹凸を生じさせるおそれがあるという問題を有してい
る。表面性状がこのような質感を持つ製品は、天然石様
の外観を呈しなくなる。
【0009】一方、練り込みタイルにより斑点模様を形
成する手法は、非常に質感の優れた製品が得られるもの
の、素地の全体に顔料を使用する結果、材料コストが高
くつき、製品価格の増大を招いている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、1回の施釉工
程で、練り込みタイルにまさるとも劣らない、天然石に
近い外観の斑点模様を形成することのできる釉薬及びそ
の原料を提供することを目的とする。本発明が採用する
釉薬原料の特徴は、次の7種類である。
【0011】釉薬粒子を高分子凝集剤で凝集して形成
した釉薬粒子フロックより成る釉薬原料。ここで用いる
高分子凝集剤は、カチオン性・アニオン性のほか、ノニ
オン性の高分子凝集剤が使用可能である。 釉薬粒子をアニオン性又はノニオン性高分子凝集剤で
凝集して形成した釉薬粒子の一次フロックを、カチオン
性高分子凝集剤で安定化した釉薬粒子の二次フロックよ
り成る釉薬原料。 釉薬粒子をカチオン性高分子凝集剤で凝集して形成し
た釉薬粒子の一次フロックを、アニオン性又はノニオン
性高分子凝集剤で安定化した釉薬粒子の二次フロックよ
り成る釉薬原料。 造粒して得られた釉薬粒子に疎水化剤を配合して形成
した疎水性釉薬粒子より成る釉薬原料。 釉薬を含むアルギン酸ゼリー粒子より成る釉薬原料。
具体例を示すと、釉薬とアルギン酸塩水溶液とを混ぜた
ものを、多価金属イオンが存在する凝固浴中に滴下又は
噴霧することにより生成した、釉薬を含むアルギン酸ゼ
リー粒子である。 上記の釉薬を含むアルギン酸ゼリー粒子を、高分子
凝集剤で凝集して得られる釉薬粒子フロックより成る釉
薬原料。 アルギン酸塩を配合して造粒した釉薬粒子より成る釉
薬原料。具体的には、釉薬粉体の造粒工程前又は造粒時
に、アルギン酸塩(溶液であっても粉末であってもよ
い)を配合して、造粒した釉薬粒子である。 上記のアルギン酸塩を配合して造粒した釉薬粒子
を、高分子凝集剤で凝集して得られる釉薬粒子フロック
より成る釉薬原料。 造粒して得られた釉薬粒子とアルギン酸塩との混合物
を、高分子凝集剤で凝集して形成した釉薬粒子フロック
より成る釉薬原料。
【0012】なお前記・・の釉薬原料において、
使用する高分子凝集剤は、カチオン性・アニオン性・ノ
ニオン性のいずれを用いてもよく、又、これらの複数種
類を用いることも妨げない。さらに、それらの使用順序
についても限定されない。
【0013】本発明が採用する釉薬は、前記釉薬原料を
用いて製造するものであり、具体的には、前記〜の
釉薬原料については、これを適当な分散媒に懸濁するこ
とにより、また〜の釉薬原料については、多価金属
イオンを含む分散媒に懸濁することにより得られる。
【0014】分散媒の種類は、これを基礎釉となる釉薬
泥漿としてもよいが、水・糊その他の溶液であってもよ
い。
【0015】分散媒に懸濁する釉薬粒子の種類は、1種
類でも2種類以上であってもよく、2種類以上の釉薬原
料を分散媒に懸濁して複数種類の釉薬粒子が混在する釉
薬を製造することができ、反対に、1種類だけの釉薬粒
子が存在する釉薬を製造することも妨げない。
【0016】
【作用】釉薬原料は、高分子凝集剤により釉薬粒子を
凝集させてフロック化したものから成っている。釉薬粒
子をフロック化することにより、斑点模様の形成に適し
た粒径とすることが出来ると共に、分解を受けにくくな
る。それ故、この釉薬原料を用いて製造した釉薬は、
複数種類の釉薬粒子フロックを混合させてもそれらが合
体する等の相互干渉を起こすおそれがなく、各釉薬粒子
を互いに独立した状態で安定に共存させることができ
る。
【0017】なお、カチオン性又はアニオン性の高分子
凝集剤は、電気的凝集力及び物理的凝集力の双方によっ
て釉薬粒子を凝集し、ノニオン性高分子凝集剤は主とし
て物理的凝集力によって釉薬粒子を凝集する。
【0018】釉薬原料は、アニオン性又はノニオン
性の高分子凝集剤と、カチオン性高分子凝集剤とを併用
したものである。2種類の高分子凝集剤を併用すること
により、電気的及び物理的凝集作用を及ぼして分子間の
凝集力を高め、一層安定な釉薬粒子フロックを形成する
ことができる。よって、これらを用いて製造する釉薬も
また、異種類の釉薬粒子フロックを互いに独立した状態
で共存させることができる。
【0019】釉薬原料の疎水化された釉薬粒子につい
ても同様に、これを分散媒に懸濁することにより、釉薬
粒子が安定な独立状態で分散する釉薬を製造することが
できる。
【0020】釉薬原料は、アルギン酸ゼリーに釉薬を
含ませた粒子より成るので、各釉薬粒子相互の干渉が起
こりにくい。依って、複数種類の釉薬原料を分散媒に
懸濁することにより、多種類の釉薬粒子が安定に混在す
る釉薬を簡単に製造することができる。
【0021】釉薬原料は、釉薬粒子の造粒工程前又は
造粒時にアルギン酸塩(溶液であっても粉末であっても
よい)を配合して造粒したものであるから、得られた釉
薬粒子は、釉薬成分とアルギン酸塩とが粒子全体にわた
りほぼ均一に存在したものとなる。
【0022】従って、上記釉薬原料は、これを多価金
属金属イオンを含む分散媒に懸濁することにより、釉薬
粒子内に存在しているアルギン酸塩が多価金属イオンと
反応してゼリー化しするので、釉薬成分を含んだアルギ
ン酸ゼリー粒子が溶液中に分散する釉薬を製造すること
ができる。従って、上記釉薬原料から製造される釉薬
は、前記の釉薬原料から調整される釉薬と同様、複数
種類の釉薬粒子を安定して共存させることができる。
【0023】なお、釉薬原料の釉薬粒子は、粒子の内
外全体にわたりほぼ均一にアルギン酸塩が存在している
ので、造粒後に何らかの理由により粒子が破砕されたと
しても、各破砕部分にはアルギン酸塩が存在することと
なる。それ故、粒子が破砕作用を受けた場合でも、各部
分を多価金属イオンと反応させて確実にゼリー化させる
ことができるという特質を有する。
【0024】釉薬原料は、釉薬を含むアルギン酸ゼリ
ー粒子を高分子凝集剤でフロック化したものである。ま
た釉薬原料は、アルギン酸塩を含む釉薬粒子のフロッ
クより成り、釉薬原料は、造粒して得られた釉薬粒子
とアルギン酸塩との混合物を高分子凝集剤溶液で凝集し
てフロック化したものである。従って、釉薬原料
は、これらを多価金属イオンが存在する分散媒に懸濁す
ることにより、釉薬粒子フロックがゼリー化作用を受け
て、水に対し不溶化する。以上を要するに、釉薬原料
を用いて製造した釉薬はいずれも、フロック化とゼ
リー化という二重の作用を受けた釉薬粒子より成るた
め、分解しにくく且つ斑点模様の形成に適した粒径を備
えることができ、各釉薬粒子の独立性及び安定性がきわ
めて高い。従って、複数種類の釉薬原料を混合した場合
に、これらが合体する等の相互干渉を確実に排除して共
存させることができると共に、溶媒から及ぼされる溶解
作用に対し釉薬粒子が非常に崩壊しにくくなる。
【0025】なお、アルギン酸塩はアニオン性化合物で
あるので、カチオン性の高分子凝集剤を使用した場合、
形成される釉薬粒子フロックは電気化学的に安定とな
る。
【0026】
【実施例】
〔実施例1〕はじめに、釉薬原料の製造例について説
明する。釉薬原料を製造するには、高分子凝集剤の
0.1〜0.6%程度の水溶液を準備し、この中へ比重
1.05〜1.6程度に調整した釉薬泥漿を混合し攪拌
する。あるいは、比重1.1程度に調整した釉薬に、
0.1%程度の高分子凝集剤溶液を添加してもよい。釉
薬粒子は高分子凝集剤の作用を受けて凝集し、フロック
を形成する。高分子凝集剤の濃度・釉薬の濃度・pH・
攪拌時間等の諸条件を操作することにより、釉薬粒子が
直径3mm以下(天然石に近い斑点模様を得るためには
望ましくは約1〜3mmとする)のフロックを形成する
ように調整する。所望の釉薬粒子フロックが形成された
ならば、これを遠心分離法,濾過法,沈降分離法その他
の適当な手段で取り出すことにより、目的とする釉薬原
料が得られる。
【0027】使用する高分子凝集剤の種類には特に制限
がなく、釉薬泥漿との相性や目的とする釉薬粒子フロッ
クの形態等に応じて、カチオン性・アニオン性・ノニオ
ン性のうちから適当なものを選択することができる。但
し一般に、カチオン性高分子凝集剤の方が、アニオン性
・ノニオン性のものと比べて、フロックがより安定化す
る傾向にある。また、釉薬粒子フロックの粒径は、前述
の3mm以下(天然石に近い模様を得るには約1〜3m
mの範囲)とするのが使い易さの点から見て好ましい
が、製品の仕様に応じて粒径を増減することも差し支え
ない。
【0028】〔実施例2〕次に、釉薬原料及びの製
造例について述べる。釉薬原料は、1種類の高分子凝
集剤によって釉薬粒子フロックを形成するものであるた
め、場合によっては、フロック自体の凝集力が弱く、安
定性を欠くことがある。それ故、数種の釉薬粒子フロッ
クを混合して攪拌したときに、それらが分解したり異種
粒子どうしが合体したりする等の相互干渉を起こし、粒
子の独立性が失われるおそれがある。そこで、2種類の
高分子凝集剤を併用することにより、きわめて安定な釉
薬粒子フロックを形成することが可能である。具体的に
は、前記第1実施例と同様の手順に従って、0.1〜
0.6%程度のアニオン性又はノニオン性の高分子凝集
剤溶液に釉薬泥漿を混合して攪拌することにより釉薬粒
子の一次フロックを形成したのち、これにカチオン性高
分子凝集剤を混合して攪拌し、より安定な二次フロック
を形成する。アニオン性及びノニオン性の高分子凝集剤
は、主としてファン・デル・ワールス力等の分子間力に
よるフロックを形成し、これにカチオン性高分子凝集剤
を配合することにより、ポリカチオンの持つ電気化学的
吸着力によって安定な錯体構造のフロックが形成され
る。
【0029】なお、2種類の高分子凝集剤は、前記の順
序で用いるのが標準的であると考えられるが、これを逆
順にして用いることも妨げない。
【0030】〔実施例3〕釉薬原料は以下のようにし
て製造される。まず通常の方法により製造した釉薬に、
造粒及び乾燥を施して、直径3mm以下(天然石様の模
様とするには望ましくは約1〜3mm程度)の所望粒度
に調整した低含水率の粉体状釉薬を生成する。釉薬の造
粒及び乾燥は、スプレードライヤー・デシンター・アイ
リッヒミキサー等の適当な装置を用いればよい。次い
で、粉体状の釉薬に、灯油・サラダ油・界面活性剤等の
なるべく浸透性の良い疎水化剤を振りかけたり噴霧する
などして、釉薬粒子に浸透させる。これにより、疎水性
の釉薬粒子が形成される。あるいは疎水化剤の存在下で
造粒することにより、疎水性釉薬粒子を形成することも
考えられる。
【0031】こうして得られた疎水性釉薬粒子は、表而
が疎水基で覆われているから、分散媒に懸濁したときに
分解したり沈殿したりすることがなく、依って、各粒子
の独立性が維持されるので、斑点模様の形成に適してい
る。
【0032】〔実施例4〕釉薬原料の一製造例を次に
説明する。はじめに、造粒したのち比重1.5程度に調
整した粉体状釉薬(篩により一定粒度に分級したもの)
と、アルギン酸塩(通常はナトリウム塩を用いる)の水
溶液とを混合したものを用意する。配合比率の一例を示
すと下記のとおりである。 ・粉体状釉薬 10g ・アルギン酸ナトリウム3%水溶液 5〜10g なお、アルギン酸ナトリウム水溶液は比較的粘性が高い
ため、これに粉体状釉薬を混合したときに釉薬粒子が分
解しにくく、造粒時の粒径が保たれる。
【0033】次に、前記釉薬とアルギン酸塩水溶液との
混合物(以下これを「釉薬アルギン酸混合物」と称す
る。)を、多価金属塩の水溶液(例えば、塩化カルシウ
ム5%水溶液)からなる凝固浴中へ滴下又は噴射する。
液滴状又は霧粒状の状態で凝固浴中へ投入された釉薬ア
ルギン酸混合物は、表面張力で直ちに釉薬粒子を芯部と
する球体になる。それと同時に、外表面のアルギン酸が
多価金属イオンと接触し瞬時にゲル化して球形を保持す
る。しかるのち、球体内部でアルギン酸のゲル化が漸次
進行し、やがて全体が均一なアルギン酸ゼリーとなる。
こうして表面がアルギン酸ゼリーで被覆された釉薬粒子
が形成されたならば、これらを適宜手法で採集すること
により、本発明の釉薬原料を得ることができる。
【0034】当該釉薬原料は、アルギン酸ゼリーで被
覆されているから釉薬粒子が分解しにくく、他の釉薬粒
子と合体する等の相互干渉を起こすおそれも少ないの
で、多種類の釉薬粒子を容易に混在させることができ
る。なお、本実施例では、釉薬粒子の粒径は、粉体状の
釉薬の造粒時においてほぼ決定されている。
【0035】凝固浴に用いる多価金属塩は、カルシウム
塩を用いるのが一般的であり、具体的には、塩化カルシ
ウム・乳酸カルシウム・酢酸カルシウム等の易溶性カル
シウム塩のほか、硫酸カルシウム・クエン酸カルシウム
・炭酸カルシウム・リン酸カルシウム等の難溶性又は不
溶性カルシウム塩を有機酸等の反応促進剤と共に用いる
ことができる。また、反応条件に則して、無機又は有機
のリン酸塩等の反応遅延剤を併用することも妨げない。
【0036】〔実施例5〕続いて、釉薬原料の他の製
造例を述べる。この例では、造粒した粉体状釉薬の代わ
りに釉薬泥漿を用いる。釉薬泥漿とアルギン酸塩水溶液
とを所定の比率で混合し、この混合溶液を、凝固浴(例
えば、塩化カルシウム5%水溶液)中へ滴下又は噴射す
ることにより、釉薬を含むアルギン酸ゼリーの粒子を生
成する。釉薬泥漿とアルギン酸塩水溶液との混合比率の
一例を下記に掲げる。 ・釉薬泥漿(比重約1.5に調整) 2〜3 ・アルギン酸ナトリウム1%水溶液 1
【0037】本実施例5は、釉薬アルギン酸混合溶液を
凝固浴中に滴下又は噴射するときの条件によって釉薬粒
子の粒径が決定される点で、前記実施例4とは異なる。
つまり、混合溶液を滴下又は噴射する際のノズル口径・
流速・噴出圧等の諸条件によって粒径が左右される。従
って、この実施例では、一定粒径の釉薬粒子を得るだけ
でなく、条件の設定によっては、広い粒度分布を持った
釉薬原料を得ることも可能である。
【0038】〔実施例6〕釉薬原料の製造には、アル
ギン酸塩を、釉薬粒子を造粒する前の段階で配合する手
法と、釉薬粒子を造粒する段階で配合する手法の2通り
が考えられる。前者の手法は、例えば、釉薬の原材料を
粉砕する段階、すなわち通常は原材料及び適量の水をボ
ールミルに投入して粉砕し泥漿化するところ、水に代え
てアルギン酸ナトリウム水溶液を配合し、ミル粉砕によ
り釉泥漿を調整すればよい。あるいは、原材料及び水に
アルギン酸ナトリウムの粉末を配合し、ミル粉砕を行っ
てもよい。調整された釉泥漿を、フィルタープレスなど
により脱水したのち、デシンター等にかけて適度の粒径
(例えば直径2ミリ程度)に造粒すれば、目的とすると
ころのアルギン酸塩を均一に含む釉薬粒子から成る釉薬
原料を得ることができる。
【0039】釉薬原料を製造するための後者の手法
は、例えばアイリッヒミキサーの如く混合・攪拌を行い
つつ造粒する造粒機を使用することにより実現される。
すなわち、原材料をボールミル等によって粉砕した釉調
合物を、スプレードライヤーなどを用いて脱水し粉体化
したのち、この粉体と適量のアルギン酸ナトリウム水溶
液とをアイリッヒミキサーに投入して攪拌することによ
り、適度の粒径を持った釉薬粒子を造粒することができ
る。なお、この場合、アイリッヒミキサーに釉調合物の
粉体・アルギン酸ナトリウム粉末・水又はバインダーを
投入して攪拌することにより、目的とする釉薬粒子を造
粒してもよい。
【0040】〔実施例7〕釉薬原料の製造は、前
述の実施例1又は実施例2の手順に準じて行えばよい。
高分子凝集剤は、カチオン性・アニオン性・ノニオン性
のいずれであってもよく、また、これらのうちの複数種
類を使用することも妨げない。
【0041】なお、アルギン酸塩溶液(通常は、アルギ
ン酸ナトリウム水溶液を用いる)はアニオン性化合物で
あるから、カチオン性高分子凝集剤を使用した場合、電
気化学的に非常に安定な釉薬粒子フロックを形成するこ
とが可能である。
【0042】〔実施例8〕前述のようにして得られた釉
薬原料〜は、これを釉薬泥漿・水・糊その他の適当
な分散媒に懸濁することにより、本発明に係る釉薬を得
ることができる。その際、分散媒のpHを調整したり分
散剤を併用したりする等の適宜操作を必要に応じて加え
ることを妨げるものではない。
【0043】分散媒として釉薬泥漿を用いる場合、当該
釉薬泥漿が基礎釉となって下地を形成し、懸濁した釉薬
原料が斑点模様を付与する。この場合、懸濁する釉薬原
料は1種類だけでも、2種類以上でも、所望に応じ選択
できる。
【0044】他方、分散媒として水・糊等を用いる場合
は、なるべく2種類以上の釉薬原料を懸濁させること
が、より自然な外観を呈する斑点模様をうえで必要であ
ろうと考えられる。
【0045】〔実施例9〕釉薬原料を用いて釉薬
を製造する場合は、多価金属イオンを含む分散媒に釉薬
原料を懸濁する。釉薬原料は、釉薬成分とアルギン酸
塩とが全体にわたりほぼ均一に存在する釉薬粒子から成
り、釉薬原料はこれを高分子凝集剤でフロック化した
ものであり、釉薬原料は釉薬粒子とアルギン酸塩との
混合物とをフロック化したものであるから、これらを多
価金属金属イオンを含む分散媒に懸濁することにより、
釉薬粒子内またはフロック内に存在しているアルギン酸
塩が多価金属イオンと反応してゼリー化し、釉薬成分を
含むアルギン酸ゼリー粒子又はフロックが溶液中に分散
する釉薬を製造することができる。釉薬原料から
製造される釉薬の各釉薬粒子又はフロックは、ゼリー化
によって水に対し不溶性となるため独立性と安定性に非
常に優れ、依って、複数種類の釉薬粒子又はフロックを
相互干渉を起こさせることなく共存させることができ
る。
【0046】なお釉薬原料の各粒子又はフロック
は、内外全体にわたりほぼ均一にアルギン酸塩が存在し
ている。それ故、造粒後又はフロック化後に何らかの理
由で粒子が破砕作用を受けたとしても、各破砕部分には
アルギン酸塩が存在するので、多価金属イオンを含む分
散媒に懸濁した際、各破砕部分を多価金属イオンと反応
させて確実にゼリー化させることができるという特質を
有する。
【0047】前記〔実施例8〕及び〔実施例9〕に記載
する釉薬のうち、釉薬原料から調整される釉薬は、ゼ
リー化した釉薬粒子をさらにフロック化したものであ
り、釉薬原料から調整される釉薬は、釉薬粒子フロ
ックを後でゼリー化したものである。つまり、いずれも
釉薬粒子がフロック化とゼリー化という二重の作用を受
けて水に対し不溶化しているため、各釉薬粒子の独立性
及び安定性がきわめて高い。それ故、複数種類の釉薬原
料を混合した場合、これらが合体する等の相互干渉を確
実に排除して共存させることができると共に、溶媒から
及ぼされる溶解作用に対し釉薬粒子が非常に崩壊しにく
くなる、という特質を有している。
【0048】
【発明の効果】本発明に係る釉薬原料は、釉薬粒子の安
定性を向上させると共に独立性を確保することが出来た
ものであるから、色調や粒径等が異なる複数種類の釉薬
粒子を同時に分散媒に懸濁した場合でも、異種粒子間で
相互干渉を起こしたり悪影響を与え合ったりするという
従来の問題点を解消することができる。それ故、かかる
釉薬原料を用いて製造される釉薬は、異種粒子が安定に
共存し且つ各粒子の粒径が所要の大きさに保持されるも
のである。従って、本発明に係る釉薬によれば、ただ一
度の施釉工程を行うだけで、複数種類の斑点がそれぞれ
独立して散在する天然石に近いきわめて自然な外観の斑
点模様を製品表面に形成することができるため、製造時
間の短縮化・製造ラインの簡素化・生産能率の向上等の
多くの優れた効果がもたらされる。
【0049】その上、従来、釉薬を複数回重ね塗りして
いたことによる施釉むら・段差の形成等の問題が解決さ
れ、練り込みタイルと同等の質感を施釉のみによって表
現することができるから、製造コストの大幅な低廉化を
期待することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 8/14 C04B 41/86

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 釉薬粒子を高分子凝集剤で凝集して形成
    した釉薬粒子フロックより成ることを特徴とする釉薬原
    料。
  2. 【請求項2】 前記高分子凝集剤がノニオン性高分子凝
    集剤である請求項1に記載の釉薬原料。
  3. 【請求項3】 釉薬粒子をアニオン性又はノニオン性高
    分子凝集剤で凝集して形成した釉薬粒子の一次フロック
    を、カチオン性高分子凝集剤により安定化させた釉薬粒
    子の二次フロックより成ることを特徴とする釉薬原料。
  4. 【請求項4】 釉薬粒子をカチオン性高分子凝集剤で凝
    集して形成した釉薬粒子の一次フロックを、アニオン性
    又はノニオン性高分子凝集剤により安定化させた釉薬粒
    子の二次フロックより成ることを特徴とする釉薬原料。
  5. 【請求項5】 造粒して得られた釉薬粒子に疎水化剤を
    配合して形成した疎水性釉薬粒子より成ることを特徴と
    する釉薬原料。
  6. 【請求項6】 釉薬を含むアルギン酸ゼリー粒子より成
    ることを特徴とする釉薬原料。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の釉薬を含むアルギン酸
    ゼリー粒子を、高分子凝集剤で凝集して形成した釉薬粒
    子フロックより成る釉薬原料。
  8. 【請求項8】 アルギン酸塩を配合して造粒した釉薬粒
    子より成ることを特徴とする釉薬原料。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のアルギン酸塩を配合し
    て造粒した釉薬粒子を、高分子凝集剤で凝集して形成し
    た釉薬粒子フロックより成る釉薬原料。
  10. 【請求項10】造粒して得られた釉薬粒子とアルギン酸
    塩との混合物を高分子凝集剤で凝集して形成した釉薬粒
    子フロックより成ることを特徴とする釉薬原料。
  11. 【請求項11】請求項1乃至7のいずれか1項に記載の
    釉薬原料を、分散媒に懸濁して成ることを特徴とする釉
    薬。
  12. 【請求項12】請求項8乃至10のいずれか1項に記載
    の釉薬原料を、多価金属イオンを含む分散媒に懸濁して
    成ることを特徴とする釉薬。
  13. 【請求項13】2種類以上の釉薬原料を分散媒に懸濁し
    て成る請求項11又は12のいずれかに記載の釉薬。
  14. 【請求項14】分散媒が釉薬泥漿である請求項11,1
    2又は13のいずれかに記載の釉薬。
  15. 【請求項15】分散媒が水,糊,その他の溶液である請
    求項11,12又は13に記載の釉薬。
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