JP2005271454A - 洗浄剤組成物及び熱可塑性樹脂加工装置の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄効果、とりわけ着色剤を含む成形用樹脂の洗浄効果に優れた洗浄剤組成物を提供すること並びに該洗浄剤を使用した熱可塑性樹脂成形装置の洗浄方法を提供する。
【解決手段】未架橋ポリオレフィン樹脂100重量部及び過酸化物0.2〜10.0重量部を含有する架橋性ポリオレフィン樹脂組成物からなる洗浄剤組成物とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形加工を行った後の熱可塑性樹脂加工装置の内部に残留する樹脂、着色剤、充填剤、これらの混合物などを除去、洗浄するための洗浄剤組成物に関するものである。
熱可塑性樹脂は優れた加工性を生かして、プレス成形品、射出成形品、フィルム、シートなどの押出成形品、中空成形品などの多岐に渡る製品が製造されており、その用途はますます拡がりをみせ、デザインの多様化が進んでいる。その結果、少量多品種の成形品の生産が求められており、熱可塑性樹脂加工装置においては、樹脂材料、色、充填剤の切り替えを頻繁に行う必要がある。樹脂材料、色、充填剤などの変更に際しては、その都度加工機の分解掃除を行うことが、変更前の熱可塑性樹脂基材の残留物の変更後の熱可塑性樹脂基材による成形に与える影響を排除する上で確実であるが、加工装置の冷却、分解、クリーニング、組立、加熱が必要であり、生産性の低下をもたらすと共にコストアップの要因となる。そこで生産性を維持するために、従来から樹脂組成物が洗浄剤として使用されている。洗浄剤は、加工装置の分解を行うことなく、樹脂供給部より供給して成形用の樹脂と同様に加工装置から排出するだけで、加工装置内部を洗浄する作用を有するものである。洗浄剤は、加工装置を分解する際にも有効である。即ち、成形加工後の熱可塑性樹脂加工装置の内部には成形用の熱可塑性樹脂基材が残存し、分解のために冷却すると溶融していた樹脂が固化し、スクリューの取り出し等の妨げとなるが、洗浄剤を使用して加工装置の内部の成形用の熱可塑性樹脂基材を除去すると分解時のスクリューの取り出し等が容易となる。
洗浄剤は、熱可塑性樹脂加工装置内部、特に押出機や射出成形機のシリンダーやスクリューに付着して残っている単独樹脂ないし着色剤や充填剤を含む樹脂組成物を機械的に掻き出す排出作用(パージ効果)と拭き取り作用(ワイピング効果)によって洗浄を行なう作用を有するものである。
洗浄剤組成物としては、ゲル分率を35〜90%となるように架橋したポリエチレン系樹脂(特許文献1)、熱可塑性樹脂、特にポリエチレン系樹脂と熱可塑性超高分子量樹脂とからなる樹脂組成物(特許文献2)、アルコキシシリル基を有するポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物(特許文献3)が公知である。
特公昭61−4413号公報 特開平8−155969号公報 特許第2827174号公報
しかし、特許文献1に記載の洗浄剤組成物は、当初から架橋された樹脂を使用しており、また特許文献2に記載の洗浄剤組成物は、超高分子量の樹脂を使用しており、いずれも溶融温度が高いもの、即ち同じ温度であれば溶融粘度が高いものである。このために、パージ効果にはすぐれているが、加工装置の樹脂供給部から洗浄のために供給した場合に、成形樹脂等が付着したスクリューやシリンダー等へのなじみが悪く、ワイピング効果が十分ではなく、改善が求められていた。
特許文献3に記載の洗浄剤組成物は、アルコキシシリル基を反応基として含むものであり、架橋には水が必要である上に架橋速度が遅く、特に着色剤を含む成形用樹脂のワイピング効果にはなお改善の余地があるものであった。
本発明の目的は、洗浄効果、とりわけ着色剤を含む成形用樹脂の洗浄効果に優れた洗浄剤組成物を提供すること並びに該洗浄剤を使用した熱可塑性樹脂成形装置の洗浄方法を提供するものである。
本発明の洗浄剤組成物は、未架橋ポリオレフィン樹脂100重量部と過酸化物0.2〜10.0重量部とを含有する架橋性ポリオレフィン樹脂組成物からなることを特徴とする。
係る洗浄剤組成物は、洗浄効果、とりわけ着色剤を含む成形用樹脂の洗浄効果に優れたものである。即ち、本発明の洗浄剤組成物は、熱可塑性樹脂加工装置内部、特に押出機や射出成形機のシリンダーやスクリューに付着して残っている樹脂ないし着色剤や充填剤を含む樹脂組成物を機械的に掻き出す排出作用(パージ効果)と拭き取り作用(ワイピング効果)によって洗浄を行なう作用を有するものであり、洗浄効率が高いために容易に成形用熱可塑性樹脂の色の変更等を行うことができると共に加工装置内での洗浄剤組成物自体の残存が少ないので材料変更後の成形開始を早期に行うことができる。
本発明の洗浄剤組成物は、未架橋のポリオレフィン樹脂と過酸化物にて構成されているので、加工装置に供給されると簡単に溶融する。従って、特許文献1、2のパージ剤と比較すると加工装置にかかる負荷が小さい。溶融した未架橋ポリオレフィン樹脂は、シリンダーやスクリューに馴染みやすく、その結果加工装置内残存する成形用樹脂を拭き取る(ワイピング)作用を発揮する。次いでスクリューやシリンダー等と接触して加工装置内を移動しつつ含有する過酸化物により架橋して樹脂強度が高くなり、容易に変形しなくなって強い掻き出し(パージ)作用を発揮し、ワイピングした成形用樹脂をパージすることによって熱可塑性樹脂加工装置を効率よく洗浄する。
これに対して特許文献1、2に開示された洗浄剤は、架橋ポリマーや超高分子量ポリエチレンを使用しているために、容易に柔らかくならないので加工装置に対する負荷が大きく、またシリンダーやスクリューに馴染みにくいためにワイピング効果が十分ではない。
本願発明の洗浄剤組成物は、製造においても特許文献1記載の洗浄剤よりも以下の優れた効果を有する。
特許文献1記載の洗浄剤は過酸化物で架橋したポリエチレンであるために、製造時に架橋程度のコントロールが難しく、ペレット製造時においては加工安定的を確保するためにはダイス部から押し出されるコード状樹脂を引き取る必要があるにもかかわらず、条件設定が悪くて架橋が進み過ぎた場合には、押し出される洗浄剤自体がパサパサの状態になって、コード状にて引き取ることができないなどの問題を生じて製造工程の安定性が十分ではなかった。
これに対して本願発明の洗浄剤組成物は架橋をしていないために係る問題を生じることがなく、幅広い加工条件で安定して製造することができる。
本発明の洗浄剤組成物は、さらに熱可塑性支持体が添加されていることが好ましい。熱可塑性支持体は、洗浄中に熱可塑性樹脂加工装置内で架橋するポリオレフィン樹脂の装置内の残存量を低減する作用を有する。即ち、未架橋のポリオレフィン樹脂と過酸化物にて構成される成分は、加工装置内での加熱により架橋が進行すると共に連続して後から供給される成分により排出されるが、排除すべき熱可塑性樹脂基材の性質に応じて設定される加熱条件(温度や滞留時間など)によっては、加工装置内にポリオレフィン樹脂架橋体が残留物となる場合がある。熱可塑性支持体は、係る残留物を排除する作用を有する。
熱可塑性支持体の添加量は、未架橋ポリオレフィン樹脂100重量部に対して50〜1900重量部であることが好ましい。熱可塑性支持体の添加量が50重量部未満の場合には、排除すべき熱可塑性樹脂基材の性質に応じて設定される加熱条件によっては、ポリオレフィン樹脂架橋体の残存量が多くなり、1900重量部を超えるとパージ効果が低下するので好ましくない。
本発明の洗浄剤組成物は、さらに滑剤及び界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種を樹脂に対して0.1〜3.0重量%を含有するものであることが好ましい。
係る構成により、洗浄剤組成物の主成分であるポリオレフィン樹脂と加工装置内に残存する成形樹脂や着色剤等との馴染みが向上し、ワイピング性が高くなって洗浄性が向上する。
本発明の熱可塑性樹脂加工装置の洗浄方法は、熱可塑性樹脂基材を成形した後の熱可塑性樹脂加工装置の樹脂供給部に請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物を供給し、未架橋ポリオレフィン樹脂の架橋を進行させながら熱可塑性樹脂加工装置に残留する熱可塑性樹脂基材を洗浄剤と共に排出、洗浄することを特徴とする。
係る洗浄方法により、熱可塑性樹脂基材を成形した後の熱可塑性樹脂加工装置の洗浄を短時間で行うことができ、樹脂成形の生産性が向上すると共に洗浄剤組成物の消費量も低減することができる。
本発明の洗浄剤組成物を構成する未架橋ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、エチレンと少量割合(一般に0.1〜15重量%好ましくは0.5〜6重量%)のプロピレン、ブテンなど他の単量体との共重合体等を挙げることができる。
より具体的には、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン樹脂、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体を例示することができる。これらのポリオレフィン樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。未架橋ポリオレフィン樹脂は、MFR値が0.5〜10(g/10分)、より好ましくは1〜8(g/10分)であることが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物を構成する過酸化物としては、公知の過酸化物が特に限定なく使用可能である。具体的には、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ジアシルパーオキサイド等が使用できる。より具体的には、例えばベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
過酸化物は、半減期が洗浄温度において8〜12時間であることが洗浄効果の点で好ましい。未架橋ポリオレフィン樹脂と過酸化物との混合は、公知の混合装置を使用することができ、具体的にはヘンシェルミキサー、Vブレンダー、タンブラーなどによるのが好適である。
本発明の洗浄剤組成物に、必要に応じて添加する熱可塑性支持体としては、加工装置内において、過酸化物により架橋した未架橋ポリオレフィン樹脂の残存物が発生した場合にこれを排除するのに適した溶融粘度を有する樹脂が使用可能である。具体的には、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)等から選択される低流動性ポリエチレン樹脂、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル樹脂(EVA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン樹脂/ブタジエン共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂等が例示される。これらの中でも、低流動性ポリエチレン樹脂やエチレンを含む共重合体等のポリオレフィン樹脂、より好ましくはMFRが1.0(g/10分)以下の低流動性ポリエチレン樹脂、及び/又はポリメチルメタクリレート樹脂の使用が、上述の溶融粘度を有し、洗浄効果に優れており、好ましい。
低流動性ポリオレフィン樹脂は、過酸化物で架橋する性質を有するため、低流動性ポリオレフィン樹脂を熱可塑性支持体として使用する場合には、未架橋ポリオレフィン樹脂と過酸化物とを未架橋ポリオレフィン樹脂の溶融温度以上、過酸化物の分解温度以下で混合して3mm3 〜100mm3 の粒状体とし、該粒状体と低流動性ポリオレフィン樹脂と混合して洗浄剤組成物とする。粒状体は、一般的な樹脂ペレット状でもよく、プレスや押出機によりシート状にした後にカッティングしたものであってもよい。
熱可塑性支持体として、過酸化物によって架橋しないポリメチルメタクリレート樹脂等を使用する場合には、上記の低流動性ポリオレフィン樹脂の場合と同様に、過酸化物と未架橋ポリオレフィン樹脂と熱可塑性支持体とを混合して洗浄剤組成物としてもよく、低流動性ポリオレフィン樹脂と過酸化物及び熱可塑性支持体とをそのまま混合して洗浄剤組成物としてもよい。熱可塑性支持体などの熱可塑性樹脂は、市販品を使用することが好ましく、一般的にはペレット状である。
本発明の洗浄剤組成物に添加することが好ましい滑剤としては、シリコーンオイル、高級脂肪酸並びにその金属塩、高級脂肪酸アミド、ワックス等が例示される。高級脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等が例示され、これらの脂肪酸の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が好適なものとして例示される。
滑剤に代えて、或いは滑剤と共に使用される界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレングリコールの高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンモノラウレート等のポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸ジエタノールアミド、高級脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド等のノニオン界面活性剤が好適なものとして例示できる。これらは、いずれも市販品の使用が好ましい。
本発明の洗浄剤組成物には、必要に応じて酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、発泡剤などを添加することができる。
<洗浄剤組成物の作製>
(実施例1)
未架橋ポリオレフィン樹脂として低密度ポリエチレン樹脂ノバテックLD LF405(日本ポリエチレン社製;MFR=2.0)100重量部に有機過酸化物パークミルD(日本油脂社製;ジクミルパーオキサイド)1重量部を添加してヘンシェルミキサーで混合し、シリンダー径50ミリの造粒押出機(池貝鉄工社製)にて有機過酸化物の分解温度以下である120℃にて溶融、混練し、コード状に押し出した後に冷却、裁断して直径3mm,長さ2.5mmの略円柱ペレット状の未架橋ポリエチレン樹脂と過酸化物との組成物を製造した。
この組成物100重量部、熱可塑性支持体として低流動性ポリオレフィン樹脂である高密度ポリエチレン(HDPE)のノバテックHD HF310(日本ポリエチレン社製;MFR=0.06)300重量部及び高級脂肪酸アミド系滑剤花王ワックスEB−G(花王社製)を樹脂合計量に対して1.0重量%をヘンシェルミキサーにて混合し、洗浄剤組成物1を得た。
(実施例2)
滑剤を使用せずに実施例1で得たペレット状の未架橋ポリエチレン樹脂と過酸化物とからなる組成物100重量部とノバテックHD HF310(日本ポリエチレン社製;MFR=0.06)300重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、洗浄剤組成物2を得た。
(実施例3)
未架橋ポリオレフィン樹脂として低密度ポリエチレン樹脂ノバテックLD LF660H(日本ポリエチレン社製;MFR=7.0)を使用し、その100重量部に有機過酸化物パークミルD(日本油脂社製;ジクミルパーオキサイド)1.5重量部を添加し、実施例1と同様にしてペレット状の未架橋ポリエチレン樹脂と過酸化物との組成物を製造した。
この組成物100重量部、熱可塑性支持体として低流動性ポリオレフィン樹脂である高密度ポリエチレン(HDPE)のノバテックHD HF310(日本ポリエチレン社製;MFR=0.06)570重量部及び高級脂肪酸アミド系滑剤花王ワックスEB−G(花王社製)を樹脂合計量に対して0.5重量%をヘンシェルミキサーにて混合し、洗浄剤組成物3を得た。
(実施例4)
実施例3で得たペレット状の未架橋ポリエチレン樹脂と過酸化物とからなる組成物100重量部に対してポリメチルメタクリレート樹脂スミペックスMH(住友化学工業社製;MFR=2.0)150重量部を添加して洗浄剤組成物4を得た。
(実施例5)
実施例3で得たペレット状の未架橋ポリエチレン樹脂と過酸化物とからなる組成物100重量部に対して高密度ポリエチレン(HDPE)のノバテックHD HF310(日本ポリエチレン社製;MFR=0.06)9重量部及び高級脂肪酸アミド系滑剤花王ワックスEB−G(花王社製)を樹脂合計量に対して0.5重量%をヘンシェルミキサーにて混合し、洗浄剤組成物5を得た。
(比較例1)
実施例1において造粒押出機より押し出されたコード状低密度ポリエチレン樹脂ノバテックLD LF405と有機過酸化物パークミルDとの組成物を、押し出された直後にコード状のまま230℃に加熱した架橋管を通過させて加熱架橋した後に冷却、裁断して架橋ポリエチレンペレットを得た。この架橋ポリエチレンペレット100重量部に対して、ノバテックHD HF310を300重量部と花王ワックスEB−Gを樹脂合計量に対して1.0重量%を添加してヘンシェルミキサーにて混合し、洗浄剤組成物6を得た。
(比較例2)
未架橋ポリエチレン樹脂と過酸化物の混合物を使用せずに、低流動性ポリオレフィン樹脂である高密度ポリエチレン(HDPE)のノバテックHD HF310(日本ポリエチレン社製;MFR=0.06)100重量部と高級脂肪酸アミド系滑剤花王ワックスEB−G(花王社製)を樹脂量に対して1.0重量%をヘンシェルミキサーにて混合し、洗浄剤組成物7を得た。
(比較例3)
実施例3で得たペレット状の未架橋ポリエチレン樹脂と過酸化物とからなる組成物100重量部、熱可塑性支持体として低流動性ポリオレフィン樹脂である高密度ポリエチレン(HDPE)のノバテックHD HF310(日本ポリエチレン社製;MFR=0.06)3000重量部及び高級脂肪酸アミド系滑剤花王ワックスEB−G(花王社製)を樹脂合計量に対して0.5重量%をヘンシェルミキサーにて混合し、洗浄剤組成物8を得た。
<評価方法>
(1)成形樹脂除去評価
[洗浄と評価サンプルの作製]
1)樹脂成形
ホモポリプロピレンである三井ポリプロJ105W(三井ポリプロ製)100重量部にブルー系顔料マスターバッチであるREMAFIN BLUE 915CG(クラリアント社製)を2.5重量部添加した混合物を、型締圧55トンの射出成形機(東芝機械製)を使用して縦65mm,幅25mm,厚さ1.5mmのプレートを5枚成形した。
2)洗浄
成形後の射出成形機から残存する成形用樹脂をスクリューを回転させて排出した後に洗浄剤組成物を200gホッパーから投入し、スクリューを回転させて100gの洗浄剤の架橋体を排出した。一旦スクリューを停止し、5分間後に再びスクリューを回転させて残りの洗浄剤の架橋体を排出した。
3)置換
次いで色替え後の成形用樹脂の熱可塑性樹脂である三井ポリプロJ105Wを200g投入して加熱し、スクリューを回転させて射出成形機内に残存する洗浄剤組成物を該樹脂と共に全量排出した。
4)サンプル成形
4)−1 評価サンプル成形
色替え後の成形用樹脂として三井ポリプロJ105W 100重量部に白色顔料マスターバッチであるREMAFIN WHITE EEF90(クラリアント社製)を1.0重量部添加した混合物300gを洗浄後の射出成形機に投入して縦65mm,幅25mm,厚さ1.5mmのプレートを成形した。最初の3ショットの成形プレートを廃棄して4ショット目の成形プレートを評価サンプルとした。
4)−2 基準サンプル成形
上記の2)洗浄、3)置換を行わず、色替え後の成形用樹脂の熱可塑性樹脂である三井ポリプロJ105Wを300g射出成形機に供給してスクリューを回転させて完全に排出した後にスクリューを抜き、金属ブラシで掃除をして完全に成形用樹脂を除去した。清掃後のスクリューを射出成形機に装着し、4)−1に記載した色替え後の成形用樹脂組成物300gを供給して排出することにより洗浄と置換を行った後に、上記4)−1記載のように成形し、4ショット目の成形プレートを基準サンプルとした。
[洗浄効果の評価]
上記の4ショット目の成形プレートの色相を測定して洗浄剤組成物の射出成形機の洗浄効果を評価した。色相の測定は、分光光度計(ミノルタ製)を使用して行い、評価サンプルと基準サンプルの色相から、JIS Z 8730のL*** 表示系によって色差(ΔE)値を求めた。ΔE値は、小さいほど洗浄効果が優れていることを示す。ΔE値が2.5以下の場合、評価を○とし、2.5を超えた場合、評価を×として表示した。
(2)残存洗浄剤評価
[洗浄と評価サンプルの作製]
1)樹脂成形
ホモポリプロピレンである三井ポリプロJ105W(三井ポリプロ製)100重量部に白色顔料マスターバッチであるREMAFIN WHITE EEF90(クラリアント社製)を1.0重量部添加した混合物を、型締圧55トンの射出成形機(東芝機械製)を使用して縦65mm,幅25mm,厚さ1.5mmのプレートを5枚成形した。
2)洗浄
成形後の射出成形機から残存する成形用樹脂を、スクリューを回転させて排出した後に洗浄剤組成物を200gホッパーから投入し、スクリューを回転させて100gの洗浄剤組成物を排出した。一旦スクリューを停止し、5分間後に再びスクリューを回転させて残りの洗浄剤組成物を排出した。
3)置換
次いで色替え後の成形用樹脂の熱可塑性樹脂であるポリスチレン樹脂東洋スチロールMW−1−321(東洋ポリスチレン)200gを投入して加熱し、スクリューを回転させて射出成形機内に残存する洗浄剤組成物を該樹脂と共に全量排出した。
4)評価サンプル成形
色替え後の成形用樹脂として東洋スチロールMW−1−321(東洋ポリスチレン)300gを洗浄後の射出成形機に投入して縦65mm,幅25mm,厚さ1.5mmのプレートを成形した。最初の3ショットの成形プレートを廃棄して4ショット目の成形プレートを評価サンプルとした。
[洗浄効果の評価]
上記の4ショット目の成形プレートを目視にて洗浄に使用した洗浄剤組成物が残存しているか否かを評価した。洗浄剤が残存している場合には、透明なポリスチレン樹脂中に洗浄剤の汚れが発生する。評価結果は、成形プレートに洗浄剤の汚れが認められないものを○、わずかに認められるものを△、はっきり認められるものを×として表示した。
<評価結果>
評価結果は(表1)に示した。この結果から、本願発明の洗浄剤組成物は、洗浄前の成形に使用した成形樹脂の洗浄効果に優れ、洗浄剤自体が熱可塑性樹脂加工装置内に残存しにくいものであった。これに対して、特許文献1開示の洗浄剤に相当する架橋したポリエチレン樹脂を使用した比較例1、本発明の過酸化物を含む架橋性ポリエチレン樹脂を使用せずに熱可塑性支持体である低流動性ポリオレフィンのみを使用した比較例2、及び架橋性ポリエチレン樹脂と熱可塑性支持体である低流動性ポリオレフィンとを使用しているが、架橋性ポリエチレン樹脂の配合量が少なすぎる比較例3は、成形樹脂の洗浄効果が十分ではなかった。
Figure 2005271454

Claims (3)

  1. 未架橋ポリオレフィン樹脂100重量部及び過酸化物0.2〜10.0重量部を含有する架橋性ポリオレフィン樹脂組成物からなる洗浄剤組成物。
  2. さらに滑剤及び界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種を樹脂に対して0.1〜3.0重量%を含有する請求項1に記載の洗浄剤組成物。
  3. 熱可塑性樹脂基材を成形した後の熱可塑性樹脂加工装置の樹脂供給部に請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物を供給し、未架橋ポリオレフィン樹脂の架橋を進行させながら熱可塑性樹脂加工装置に残留する熱可塑性樹脂基材を洗浄剤と共に排出、洗浄する熱可塑性樹脂加工装置の洗浄方法。
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