JP2005270860A - 飛灰の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 シュレッダーダストなどの廃棄物を焼却した際に発生する飛灰など、純水に溶かしたときに酸性を示す飛灰を含むスラリーに、塩酸などの酸を加えてpHを3以下、好ましくは1〜2に調整して重金属をイオン化する酸浸出工程を行った後、必要に応じてろ過して未溶解残渣を除去する工程を行い、銅よりイオン化傾向が大きい金属を投入して銅を析出させる工程と、硫化剤を添加して硫化亜鉛を生成させる工程と、アルカリを添加して銅と亜鉛以外の重金属を回収する工程とを行い、その後、溶液を濃縮して塩類を回収する工程を行う。
【選択図】 図1
Description
まず、シュレッダーダストなどの廃棄物を焼却した際に発生する飛灰を純水に浸し、酸を加えてpHを3以下に調整して、飛灰中のCuやZnの浸出率を高める。pHが2より高いと浸出率が低く、一方、pHが1より低いと置換剤の消耗量と中和剤の使用量が多くなるため、pHの範囲は1〜2であるのが好ましい。使用する酸として、塩酸の他、硫酸や硝酸などの酸を使用することもできるが、硫酸を使用すると、飛灰中のCaと反応して石膏を生成するために残渣の発生量が多くなって廃棄物の量が増加し、硝酸を使用すると、回収する塩類に硝酸根が入って塩類を汚染するために融雪剤などとしての利用が制限されるので、塩酸を使用するのが好ましい。この酸浸出工程は、CuやZnなどの重金属と塩素を溶液に移行させてCuやZnなどの重金属を回収するための前処理であり、浸出により廃棄物の量を削減することができる。
次に、次工程で回収するCu原料の品位の低下の防止(品位の低下の抑制または品位の向上)のためにろ過を行う。但し、残渣の発生率が低い場合には、この工程は必ずしも必要ではない。また、残渣中のPb濃度が高い場合には 残渣を鉛製錬原料として使用することにより、Pbの資源化および固定化を図り、環境への放出を抑制することができる。
次に、イオン化したCuを沈殿銅として回収する。イオン化したCuを固定するために、Cuよりイオン化傾向が大きい金属(アルミニウム、鉄、亜鉛など)を置換剤として使用する(セメンテーション法)。コストの観点から、置換剤としてアルミニウムや金属鉄を使用するのが好ましい。Cu置換時の液のpHが1より低いと置換剤の溶解が進行して置換剤の消耗量が多くなるとともに、中和残渣が増大し、pHが3より高いと置換反応が進み難くなるので、Cu置換時の液のpHは1〜3の範囲が好ましい。なお、シュレダーダストにはアルミニウムや金属鉄が随伴しており、コスト削減のために、焼却設備の焼却残渣から分離回収したアルミニウムや金属鉄を使用することも可能である。置換剤としてZnを使用することも可能であり、反応速度が高い亜鉛粉末を使用してもよい。このCu回収工程により回収されたCuは、Cu品位が50%を超えるため、ろ別して銅製錬原料として資源化することができる。なお、浸出液中のCu濃度が低い場合には、必ずしも置換を行う必要はない。
次に、Cuを分離した溶液に硫化剤を添加して硫化亜鉛を生成させてZnを回収する(Znイオンを硫化亜鉛として回収する)とともに、後の工程で回収する塩類の品質を確保する。Cu置換時にpHが上昇するので、硫化するための液pHは3以上になる。pHが4より高くなると、Feイオンが硫化鉄として沈殿して硫化亜鉛を汚染するため、pHが3〜4であるのが好ましい。また、硫化剤を作用させることによりCdも回収および固定することができる。このZn回収工程で生成した硫化亜鉛は、亜鉛精錬原料として資源化することができる。アルカリ剤によりpH6〜8でZnを水酸化亜鉛として回収することもできるが、FeおよびAlも共沈し、水酸化亜鉛のZn品位が上がらないため、直接製錬原料となる30%より高い品位にならない。
次に、液中のアルミニウムおよび鉄イオンを分離するとともに、後の工程で回収する塩類の品質を確保する。硫化によりZnを分離した溶液に残っている重金属は、アルミニウムと鉄イオンであり、これらを中和して除去するためにpH7〜9の範囲でアルカリ剤を添加し、沈殿除去してろ過を行う。このろ過を容易にするために、空気の吹き込みによりFe2+イオンをFe3+イオンに転換することも有効である。アルカリ剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、消石灰、生石灰などを使用することが可能である。
上記の工程後に残留する溶液は、アルカリ金属やアルカリ土類金属が主体の塩化物の溶液であり、融雪剤などとして利用するためには、結晶化させる必要がある。この結晶化を行うために、加熱、減圧蒸留、電気透析、RO膜などを単独または組み合わせて、溶解度以上に濃縮した後、冷却して液中から晶析させることにより塩類を回収する。塩類の濃度が高い場合には、直接加熱することにより水を蒸発させて塩類を回収することも可能である。この塩類回収工程で回収された塩類は、塩化カルシウムや塩化ナトリウムが主体であり、融雪剤などに利用することができる。
まず、シュレッダーダストなどの廃棄物を焼却した際に発生し、回収目的であるCuとZnを高濃度で含有する飛灰として、表1に示す組成を有し、純水に溶かしたときのpHが3.8の弱酸性を示す焼却飛灰を用意した。
実施例1におけるセメンテーション法によるCuの回収率を調べるため、Alの添加濃度に対する各成分のイオン濃度を調べた。その結果を図2に示す。この図から、Alの添加濃度が増加するにしたがって液中のCuの濃度(図中△で示す)は減少し、固体として析出しているのがわかる。特にAlの添加濃度が0.038モル/dm3のときにCuの濃度が初期濃度3524.1mg/dm3から1.2mg/dm3まで減少することが確認された。
実施例1において浸出液中のCuイオンをセメンテーション法で回収した後、液中に残っているZnイオンを硫化処理によって回収する工程について検討するため、NaHSによりpHを変化させた場合の各成分のイオン濃度を調べた。その結果を図3に示す。この図から、液中のpHを3.2に調整すれば、Znイオンの濃度(図中○で示す)が初期濃度587.1mg/dm3から1.84mg/dm3まで減少することが確認され、Znイオンが硫化物を生成して沈殿していることがわかった。このとき、液中のFeの濃度(図中◇で示す)とCaの濃度(図中□で示す)はほとんど変化しないことから、pH3.2であればZnのみをZnSとして分離することができることが確認された。
Claims (12)
- 飛灰を含むスラリーのpHを3以下に調整して重金属をイオン化する酸浸出工程を行った後、重金属を回収する重金属回収工程を行い、その後、塩類を回収する塩類回収工程を行うことを特徴とする、飛灰の処理方法。
- 前記飛灰が、純水に溶かしたときに酸性を示す飛灰であることを特徴とする、請求項1に記載の飛灰の処理方法。
- 前記酸浸出工程においてpHを1〜2に調整することを特徴とする、請求項1または2に記載の飛灰の処理方法。
- 前記スラリーに塩酸を加えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の飛灰の処理方法。
- 前記重金属回収工程が、銅を回収する銅回収工程と、亜鉛を回収する亜鉛回収工程とを含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の飛灰の処理方法。
- 前記銅回収工程が、酸浸出工程後の溶液に銅よりイオン化傾向が大きい金属を投入して銅を析出させる工程であることを特徴とする、請求項5に記載の飛灰の処理方法。
- 前記亜鉛回収工程が、前記銅回収工程後の溶液に硫化剤を添加して硫化亜鉛を生成させる工程であることを特徴とする、請求項5または6に記載の飛灰の処理方法。
- 前記重金属回収工程が、前記銅回収工程と前記亜鉛回収工程の後に、銅と亜鉛以外の重金属を回収する工程を含むことを特徴とする、請求項5乃至7のいずれかに記載の飛灰の処理方法。
- 前記銅と亜鉛以外の重金属を回収する工程が、前記亜鉛回収工程後の溶液にアルカリを添加する工程であることを特徴とする、請求項8に記載の飛灰の処理方法。
- 前記塩類回収工程が、前記重金属回収工程後の溶液を濃縮する工程であることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の飛灰の処理方法。
- 前記濃縮する工程が、加熱、減圧蒸留、電気透析およびRO膜のいずれかを単独で使用し、あるいはこれらを組み合わせて使用する工程であることを特徴する、請求項10に記載の飛灰の処理方法。
- 前記重金属回収工程を行う前に、前記酸浸出工程後の溶液をろ過して未溶解残渣を除去する工程を行うことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の飛灰の処理方法。
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