JP2005270459A - 脱臭剤及びその製造方法 - Google Patents

脱臭剤及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005270459A
JP2005270459A JP2004090607A JP2004090607A JP2005270459A JP 2005270459 A JP2005270459 A JP 2005270459A JP 2004090607 A JP2004090607 A JP 2004090607A JP 2004090607 A JP2004090607 A JP 2004090607A JP 2005270459 A JP2005270459 A JP 2005270459A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
deodorizer
metal salt
aluminum
precipitate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004090607A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4543167B2 (ja
Inventor
Masaaki Hirasawa
政明 平澤
Atsushi Ueda
厚 上田
Hiroshi Shioyama
洋 塩山
Tetsuhiko Kobayashi
哲彦 小林
Yusuke Yamada
裕介 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Gasket Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Nippon Gasket Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Gasket Co Ltd, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical Nippon Gasket Co Ltd
Priority to JP2004090607A priority Critical patent/JP4543167B2/ja
Publication of JP2005270459A publication Critical patent/JP2005270459A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4543167B2 publication Critical patent/JP4543167B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 金属酸化物からなる脱臭剤や吸着部材及びその製造方法において、硫化水素に対する除去性能、特には、長期使用性能の優れたものを提供する。
【解決手段】脱臭剤として、銅酸化物成分と、アルミニウム酸化物成分とが、複合、積層、または混合されて、多孔質体をなしたものを用いる。特には、アルミニウム酸化物成分を主成分とする粉末状または多孔質の担体に、銅酸化物成分を主成分とする多孔性の被覆層または結合層が形成されたものを用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、硫化水素などを除去するのに用いられる脱臭剤及び脱臭部材、並びに、これらの製造方法に関する。特には、悪臭を除去すべく、空気中から硫化水素を吸着等により除去するための脱臭剤及びその製造方法に関する。
トイレや生ゴミ、冷蔵庫といった生活まわりや、家畜飼育場、汚水処理場などの現場において、アルデヒド類、アミン類、メルカプタン類その他の悪臭物質を除去するために、脱臭用の酸化分解触媒や吸着剤が種々開発されて用いられている。
一般的な酸化分解触媒は、例えば300℃以上といった高温の加熱が必要であり、家庭用等に適当でない他、加熱のための装置やエネルギーを必要とするという問題があった。
そこで、酸化チタン等の光触媒を用いることも検討されている。例えば、特開平6―209986においては、トイレ等に用いるタイルの表面に酸化チタン及び銅化合物かならる組成物を塗布して焼成することにより、一般外光や室内照明により作動可能な脱臭部材を得たとしている。しかし、光触媒を用いる場合、外光の射し込まない場所や夜間においては、照明の点灯中にしか十分に分解触媒が機能しないという問題があった。
一方、悪臭物質を吸着等により除去する脱臭剤は、従前、活性炭が一般的であったが、より高度の除去性能が求められることから、複合酸化物による脱臭剤が検討されている。特開平8−103487においては、硫化水素等の酸性ガスとアンモニア等の塩基性ガスとを同時に吸着すべく、イオン交換によりゼオライトの表面に亜鉛を導入した亜鉛イオン交換ゼオライトと、マンガン塩及びジルコニウム塩または銅塩を微粉状シリカに沈着させたものとを乳鉢で混合した後に焼成して脱臭剤を得ている。ここで、マンガン塩その他金属塩の沈殿を形成するためには、アンモニア水を加えている。
また、特開平8−266894においては、ケイ酸アルミニウムと塩基性酢酸銅とを、粉末状態で混合して焼成することにより脱臭剤を得ている。
特開平6―209986 特開平8−103487 特開平8−266894
従来の脱臭剤は、硫化水素等に対する除去性能、特には、長期使用に対する適合性が必ずしも十分でない。特には、トイレ等に据え付けられる器具、例えば便座部ヒーターやシャワー装置に設けられる場合、これら家電器具と同程度の寿命が求められる。すなわち、3〜7年といった長期にわたって、交換することなく使用可能な脱臭剤が求められる。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、金属酸化物からなる脱臭剤や脱臭部材、及びこれらを製造する方法において、硫化水素等の悪臭物質に対するに対する除去性能が優れ、特には長期にわたって除去性能を維持できるものを提供しようとする。
本発明の脱臭剤は、銅酸化物成分と、アルミニウム酸化物成分とが、複合、積層、または混合されて、多孔質体をなしたものである。特には、アルミニウム酸化物成分を主成分とする粉末状または多孔質の担体に、銅酸化物成分を主成分とする多孔性の被覆層または結合層が設けられたことを特徴とする。ここで、銅酸化物成分及びアルミニウム酸化物成分の語は、典型的な酸化銅や酸化アルミニウムの形態の構造をとるものに限らず、種々の価数や複合・混合状態のものを含むこととする。また、結合層の語は、2つ以上の担体粒子や担体層の間に介在して担体粒子同士や担体層同士を結合させているようなものをいうものとする。
また、本発明の脱臭剤の製造方法は、第1の態様によると、金属塩の水溶液に中和剤を添加し、粉末状または多孔質の担体上に沈殿を形成する工程と、これを焼成して前記担体上に金属酸化物の被覆層または結合層を形成する焼成工程とを含む脱臭剤の製造方法において、前記金属塩として銅塩を用い、前記担体としてアルミニウム酸化物成分を主成分として含むものを用い、また、前記中和剤として尿素を用い、尿素及び金属塩を含む水溶液を50℃以上に加熱することにより前記沈殿を形成することを特徴とする。
本発明の脱臭剤の製造方法は、第2の態様によると、金属塩の水溶液に中和剤を添加して沈殿を形成する工程と、これを焼成する焼成工程とを含む脱臭剤の製造方法において、前記金属塩として銅塩及びアルミニウム塩を用い、また、前記中和剤として尿素を用い、尿素及び金属塩を含む水溶液を50℃以上に加熱することにより前記沈殿を形成することを特徴とする。
好ましくは、前尿素及び金属塩を含む水溶液を50℃以上に加熱した後、40℃以下に冷却してから、前記担体と加え合わせる。また、好ましくは300℃以上で焼成を行う。これらにより、比表面積(BET法)が50m2/g以上の金属酸化物多孔体を、容易に得ることができ、優れた除去性能を実現することができる。
なお、本発明の脱臭剤及びその製造方法は、硫化水素の除去に特に優れるものの、他の悪臭物質の除去にも効果的である。効果的に除去可能な悪臭物質としては、メルカプタン類化合物、アミン類化合物及びアンモニアを挙げることができる。
硫化水素等の悪臭物質に対する吸着等による除去性能が優れ、特には長期にわたって除去性能を維持できる。
本発明において用いられる銅の金属塩は、均一に水に溶解するものであればいずれでも使用可能であり、酢酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩などのカルボン酸塩の他に、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホスフィン酸塩、チオシアン酸塩等を使用することができる。しかし、焼成により分解除去されるカルボン酸を用いるのが、より好ましい。
本発明の製造方法においては、このような酸性金属塩の水溶液に、尿素を添加する。尿素の添加は、フレーク状等の粉末のまま行うこともできるが、水溶液の状態で行うのが、一般には好ましい。例えば、金属塩の水溶液を攪拌しつつ尿素の水溶液を滴下することで、迅速に均一な溶解を達成することができる。
尿素の添加完了後に金属塩水溶液を加熱するのが好ましいが、場合によっては、添加が完了する前に昇温を開始することもできる。
本発明の製造方法においては、尿素を溶解した銅塩水溶液を、50℃以上、好ましくは70℃以上に加熱する。このような加熱により、均一に水酸化アンモニウムが生成する結果、金属水酸化物等からなる沈殿の形成を、均一に行うことができる。沈殿形成時のpHが、典型的には7〜8である。
本発明においては、銅の金属塩からの沈殿を保持する担体として、アルミニウム酸化物成分を主成分として含む複合酸化物ないしは酸化物混合体が用いられる。用いられる担体は、微粉等の粉末状、または、多孔体もしくは繊維集合体等からなる多孔質状である。好ましいものとしては、活性アルミナや各種ゼオライトを挙げることができ、このうちでも活性アルミナの粉末等が特に好ましい。
担体は、尿素を溶解した銅塩水溶液を一旦加熱してアルカリを生成した後、好ましくは40℃以下にまで、さらに好ましくは30℃以下にまで冷却してから加える。
水酸化物等により沈殿を形成する銅と、担体中のアルミニウムとのモル比は、好ましくは、0.3〜6、より好ましくは0.4〜4である。
本発明においては、銅の金属塩からの沈殿をアルミニウム酸化物系の担体により保持するのに代えて、硝酸アルミニウム等のアルニウム塩を用い、銅化合物と同時に沈殿させることで、銅酸化物と、アルミニウム酸化物との複合体ないしは混合体を作製することができる。この際、適宜、アルニウム酸化物系その他の担体を用いることもできる。
沈殿の形成後、または形成前に、バインダー成分及び/または吸着剤成分を添加することもできる。バインダー成分としては、一般的なものであればいずれも使用可能である。例えば、アルミナゾル、シリカゾル、水ガラス等の無機バインダを挙げることができる。場合によっては、ポリビニルアルコール、でんぷんまたはその誘導体といった有機バインダを使用することもできる。また、他の吸着剤成分として、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、または活性炭粒子を添加することもできる。
上記担体が粉末状である場合に、得られたスラリーを添着液として、ウォッシュコート方式やディッピング方式等により、ハニカム状などの基材に塗布することもできる。このような基材の材料としては、一般にコーディエライト、アルミナ、ムライトまたはフェライト等のセラミック材料からなるものが用いられる。例えば、不織布状のセラミックペーパーやセラミックハニカム等である。しかし、ステンレス鋼等の金属材料からなる基材を用いることもできる。また、トイレ壁面用のタイル材や、便座の構成部材の表面に直接塗布してから焼成することもできる。例えば、電気ヒーター付きの便座の裏面部材をセラミック材料製とし、その表面に上記脱臭剤を設けて脱臭部材とすることができる。
また、このような成形体としての基材を用いず、金属酸化物及び上記担体からなるペースト状の分散液を成形して、ハニカム状やタイル状等の形態とすることもできる。
金属酸化物及び上記担体からなるスラリー液を、そのまま、もしくは、上記の成形体としての基材に塗布した後、または上記のように成形した後、乾燥し、150〜500℃といった低温で加熱して焼成する。焼成は、空気中または空気流通下で行うことができる。また、焼成の温度は、好ましくは200〜400℃、より好ましくは300〜400℃である。
このような方法により、脱臭剤の比表面積(BET法)を、50m2/g以上、より好ましくは約60m2/gまたはそれ以上とすることができる。
<実施例1>
酢酸銅3.0gをイオン交換水30gに溶解した。均一に溶解した後、得られた金属塩水溶液を攪拌しつつ、尿素4.0gを10%水溶液にて加えた。次いで、加熱により室温(25℃)から70℃にまで徐々に加熱した後、この温度を維持するように保温しつつ1時間撹拌を続けた。70℃に昇温した際の水溶液を採取してpHを調べたところ、7〜8であった。
この後、加熱を止めて放置することで室温(25℃)まで徐冷した。室温にまで達した際に、アルミナの微粉(γ-アルミナ;住友化学工業(株)のDK503)1.5gを投入し、撹拌を行った。
ここで、アルミナは、水和を無視した酸化アルミニウム(Al2O3)の式量が約102であって、アルミニウム原子1個あたりでは、この1/2である。一方、酢酸銅は、純粋な酢酸銅(II)(Cu(CH3COO)2)であると仮定すると、式量が182である。このように仮定すると、銅元素成分についての、アルミニウム元素成分に対するモル比Cu/Alは、3.0/1.5X51/182=0.56である。
上記のようにして得られたスラリーを磁器の皿に移し替え、120℃で乾燥した。そして、乾燥した粉末をアルミ製のルツボに入れ、350℃数時間の加熱により焼成を行った。
このように得られた脱臭剤をガラス管の中間に設置して、硫化水素除去性能について調べた。このとき、ガラス管の温度を25℃に保ち、硫化水素濃度50ppmの空気を空間速度50000cc/hr・gで流した。ここで、空間速度50000cc/hr・gとは、1時間あたりに、脱臭剤1gに対して50000ccの空気を流すということである。なお、このとき、空気の実際の流速は、125ml/minであった。
ガラス管からの排出ガス中に残存する未除去の硫化水素の濃度を、ガス検知管により測定した。この際、測定濃度レベルにより、ガステック社の硫化水素用検知管「4LT」「4LK」及び「4LL」のいずれかを適宜に使用した。最も低濃度の場合のガス検知管の分解能は、0.1ppmである。
このように10〜30分の間隔で適宜測定を行うことにより、未除去硫化水素の濃度と、空気を流し始めた時からの経過時間との関係を示すグラフ(図1)を得た。図1のグラフに示すように、約370分の経過まで、未除去硫化水素は全く検出されなかった。また、450分経過後にも、未除去硫化水素の濃度は、2.5ppmに過ぎなかった。
<実施例2,比較例1〜4>
上記実施例1と同様の条件で、銅酸化物が沈着される担体材料について種々変化させた。
実施例2においては、アルミナの微粉に代えて、疎水性ゼオライトの一種であるスメルライト(ユニオン昭和(株))を用いた他は、上記実施例と同様の条件で脱臭剤を作製し試験を行った。ゼオライトは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、及びアルミニウムを含む含水ケイ酸塩であり、アルミニウム酸化物単位の比率は、1/2よりもかなり少ない。
実施例2により得られたグラフを図1中に示す。約180分の経過まで、未除去硫化水素は検出されなかった。約300分の経過後には、未除去硫化水素が5ppm弱であった。
但し、実施例2では、未除去硫化水素が検出され始める時間が、実施例1の場合の2倍以上であった。これは、ゼオライト中に含まれるアルミニウム酸化物単位の比率が、1/2よりも小さいことに対応していると考えられる。すなわち、銅酸化物単位とアルミニウム酸化物単位とが結合ないし複合した個所が、硫化水素の除去作用に大きく寄与するものと推測される。スメルライト中のアルミニウム酸化物単位の比率を0.4と仮定した場合、銅元素成分とアルミニウム元素成分とのモル比Cu/Alは、1.4となる。
比較例1〜3においては、担体材料としてシリカゾルを用いた。このうち、比較例2では焼成温度を200℃とし、比較例3では酢酸銅に代えて、同一重量の酢酸マンガンを用いた。一方、比較例4では、担体材料を全く用いずに銅酸化物を沈殿させた。これら比較例においても、ここで言及されていない他の条件については、実施例1〜2と全く同様である。
得られた結果を、上記実施例1〜2とともに、表1の最下段及び図1中にまとめて示す。表1の最下段及び図1中に示すように、比較例1〜4の脱臭剤では、いずれも除去性能が不充分であった。担体材料としてシリカゾルを用いた比較例1〜3では、いずれも、未除去硫化水素が検出され始めるのが、50〜60分後であった。すなわち、焼成温度が200℃であることや遷移金属種がマンガンであることによっては、大きな影響が見られなかった。一方、担体材料を用いなかった比較例4では、未除去硫化水素が検出され始めるまでの時間が、0〜10分後であって、除去性能が著しく低かった。
Figure 2005270459
<実施例3〜4,比較例5〜8>
実施例3〜4及び比較例5〜8においては、実施例2と同様の条件にて、仕込み比や酢酸銅の沈殿形成条件を変化させた。すなわち、酢酸銅とスメルライト(ゼオライトの一種)との組み合わせの系に固定しつつ、酢酸銅や尿素の仕込量を変化させるか、またはスメルライトの投入時の温度条件を高温(70℃)に変化させた。実施例3における銅/アルミニウムのモル比Cu/Alは、実施例1及び実施例2の説明で述べた仮定によると、約4となる。
これら実施例及び比較例の条件について表2中にまとめて示すとともに、得られた結果について、図2及び表2の最下段に示す。
Figure 2005270459
まず、実施例3では、実施例2と同様の条件にて、酢酸銅の仕込量を3倍にした。また、実施例4では、実施例2と同様の条件にて、尿素の仕込量を2倍にした。その結果、得られたグラフは、実施例3〜4のいずれも、実施例2の場合とほぼ全く同一となった。すなわち、実施例2〜4の条件の範囲では、脱臭剤としての性能に全く差が見られなかった。
一方、70℃の高温のままにスメルライトを投入した比較例5では、未除去硫化水素が検出され始めるまでの時間が95分と、実施例2〜4の場合の約1/2となった。また、尿素の仕込量を実施例2の場合の1/5とした比較例6では、未除去硫化水素の排出開始が120分となり、やはり、除去性能が不充分であっった。
なお、図3中に示すように、未除去硫化水素濃度の曲線は、比較例5のものと比較例6のものとが、交差しており、約150分経過後の未除去濃度は、比較例5で比較例6よりも大きくなった。比較例5〜6のいずれにおいても、酢酸銅からの沈殿形成が不均一となるとともに、比較例5では、沈殿形成のためのアルカリの絶対量が不足したために、このような結果になったものと思われる。
比較例5の結果について、銅酸化物の単位がスメルライトの表面に均一に分布していないことが原因であると考えるならば、実施例1〜2の相違についての考察を裏付けるものと思われる。すなわち、スメルライト上での水銅酸化物の沈殿形成反応が不均一となった結果、銅酸化物単位とアルミニウム酸化物単位とが複合した活性サイトの形成が少なくなったものと思われる。
他方、比較例7では、酢酸銅の仕込量を実施例2の場合の1/5にしたところ、未除去硫化水素の検出開始時間が60分となり、実施例2の約1/3であった。これは、アルミニウム酸化物単位とともに硫化水素に対する活性サイトを形成するための銅酸化物の単位が実施例2に比べて不足したためと考えられる。
また、比較例8では、高温条件(70℃)のままスメルライトを投入するとともに、酢酸銅の仕込量を実施例2の場合の3倍とした。すなわち、比較例5と同様の条件で、酢酸銅の仕込量を3倍とした。この結果、図3に示すように、約30分の経過後には、硫化水素が検出され、比較例5に比べても、かなり劣る結果となった。これは、比較例5に比べ、遊離してくる酢酸に対するアルカリの量に余裕がない条件で、沈殿形成が一層不均一になったためと思われる。
<比較例9〜13>
比較例9〜13では、上記実施例2と同様の条件で、銅以外の遷移金属種を用いて、脱臭剤を作製し試験を行った。詳しくは、亜鉛、マンガン、ニッケル、鉄及びコバルトについての酢酸金属塩を、実施例2の酢酸銅に代えて同一重量だけ仕込んだ。
得られた結果を、図3、及び表3の最下段にまとめて示す。
Figure 2005270459
未除去硫化水素の検出開始までの経過時間が、亜鉛の場合に約40分、マンガンの場合に約20分であり、ニッケル,鉄及びコバルトの場合にはほとんどゼロであった。また、この後の未除去硫化水素の増加も顕著であった。
以上に説明したように、銅塩水溶液を、尿素による均一沈殿法によりアルミナまたはゼオライトの表面に沈着させて焼成した場合に、他の方法による場合に比べて、顕著に優れた硫化水素除去性能を発揮した。また、担体に含浸させるタイミングが、尿素を添加して一旦加熱してから溶液ないし分散液を十分に冷却した後であるならば、そうでない場合に比べて、著しく優れた性能が得られた。
<アンモニア浄化特性>
上記実施例1と同一の脱臭剤を、全く同様に、ガラス管の中間に設置してアンモニア除去性能について調べた。このとき、ガラス管の温度を25℃に保ち、アンモニア濃度80ppmの空気を空間速度50000cc/hr・g(実際の流速は125ml/min)で流した。そして、ガラス管からの排出ガス中に残存する未除去のアンモニアの濃度について、ガステック社のアンモニアガス用検知管3L(分解能0.2ppm)を用いて測定した。
また、上記実施例1の製造処方において、酢酸銅を酢酸マンガンに置き換えて得た脱臭剤を比較例14として、同一の方法によりアンモニア除去性能を調べた。これらの結果を図4に示す。
図4に示すように、実施例1の脱臭剤では、約90分経過後も未除去アンモニアの濃度が2〜3ppmに過ぎなかった。これに対して、比較例の脱臭剤では、約60分の経過後に、未除去アンモニアの濃度が10ppmを越えていた。
図4の結果から知られるように、本発明の脱臭剤は、酸性の悪臭物質である硫化水素の除去のみならず、塩基性の悪臭物質であるアンモニアの除去においても優れた効果を示す。
未除去硫化水素の濃度と、空気を流し始めた時からの経過時間との関係を示すグラフ(1)であり、特には担体材料による影響を表す。 未除去硫化水素の濃度と、空気を流し始めた時からの経過時間との関係を示すグラフ(2)であり、特には、銅酸化物が沈着される担体材料種の影響を表す。 未除去硫化水素の濃度と、空気を流し始めた時からの経過時間との関係を示すグラフ(3)であり、特には遷移金属-スメルライト系における金属種の影響を表す。 未除去アンモニアの濃度と、空気を流し始めた時からの経過時間との関係を示すグラフである。

Claims (9)

  1. アルミニウム酸化物成分を主成分とする粉末状または多孔質の担体に、銅酸化物成分を主成分とする多孔性の被覆層または結合層が設けられたことを特徴とする脱臭剤。
  2. 銅/アルミニウムのモル比が、0.3〜6であることを特徴とする請求項1に記載の脱臭剤。
  3. 金属塩の水溶液に中和剤を添加し、粉末状または多孔質の担体上に沈殿を形成する工程と、これを焼成して前記担体上に金属酸化物の被覆層または結合層を形成する焼成工程とを含む脱臭剤の製造方法において、
    前記金属塩として銅塩を用い、前記担体としてアルミニウム酸化物成分を主成分として含むものを用い、また、前記中和剤として尿素を用い、尿素及び金属塩を含む水溶液を50℃以上に加熱することにより前記沈殿を形成することを特徴とする脱臭剤の製造方法。
  4. 金属塩の水溶液に中和剤を添加して沈殿を形成する工程と、これを焼成する焼成工程とを含む脱臭剤の製造方法において、
    前記金属塩として銅塩及びアルミニウム塩を用い、また、前記中和剤として尿素を用い、尿素及び金属塩を含む水溶液を50℃以上に加熱することにより前記沈殿を形成することを特徴とする脱臭剤の製造方法。
  5. 尿素及び金属塩を含む水溶液を50℃以上に加熱した後、40℃以下に冷却してから、前記担体に含浸させることを特徴とする請求項3または4記載の脱臭剤の製造方法。
  6. 銅/アルミニウムのモル比が、0.3〜6であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の脱臭剤の製造方法。
  7. 150〜500℃の温度で焼成を行うことにより、比表面積が50m2/g以上の金属酸化物多孔体を得ることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の脱臭剤の製造方法。
  8. 前記焼成工程の前に、スラリー液の状態で基材の上に塗布してから焼成を行うことで、該基材上に、請求項3〜7のいずれかの方法によって脱臭剤からなる表面層を形成することを特徴とする脱臭部材の製造方法。
  9. 銅酸化物成分と、アルミニウム酸化物成分とが、複合、積層、または混合されて、多孔質体をなしていることを特徴とする脱臭剤。
JP2004090607A 2004-03-25 2004-03-25 脱臭剤及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4543167B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004090607A JP4543167B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 脱臭剤及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004090607A JP4543167B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 脱臭剤及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005270459A true JP2005270459A (ja) 2005-10-06
JP4543167B2 JP4543167B2 (ja) 2010-09-15

Family

ID=35170728

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004090607A Expired - Lifetime JP4543167B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 脱臭剤及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4543167B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015164724A (ja) * 2015-04-03 2015-09-17 クラリアント触媒株式会社 金属水素化物含有排ガスの除害剤及び除害方法
JP6310133B1 (ja) * 2017-10-11 2018-04-11 株式会社ユー・イー・エス 脱臭フィルタ
JP2019000805A (ja) * 2017-06-15 2019-01-10 大日精化工業株式会社 触媒成分担持体の製造方法及び触媒成分担持体

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06209986A (ja) * 1993-01-13 1994-08-02 Toto Ltd 脱臭部材
JPH0956799A (ja) * 1995-08-24 1997-03-04 Kuraray Chem Corp 自己再生型吸着剤
JP2000237591A (ja) * 1999-02-23 2000-09-05 Kansai Research Institute 有機化合物分解用触媒およびこの触媒を用いた有機化合物の除去方法
JP2000262907A (ja) * 1999-03-18 2000-09-26 Agency Of Ind Science & Technol 集積化触媒およびその製造方法
JP2002079080A (ja) * 2000-09-04 2002-03-19 Toyobo Co Ltd アルデヒド類吸着分解剤及びその製造方法
JP2004105265A (ja) * 2002-09-13 2004-04-08 Matsushita Electric Ind Co Ltd 脱臭体

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06209986A (ja) * 1993-01-13 1994-08-02 Toto Ltd 脱臭部材
JPH0956799A (ja) * 1995-08-24 1997-03-04 Kuraray Chem Corp 自己再生型吸着剤
JP2000237591A (ja) * 1999-02-23 2000-09-05 Kansai Research Institute 有機化合物分解用触媒およびこの触媒を用いた有機化合物の除去方法
JP2000262907A (ja) * 1999-03-18 2000-09-26 Agency Of Ind Science & Technol 集積化触媒およびその製造方法
JP2002079080A (ja) * 2000-09-04 2002-03-19 Toyobo Co Ltd アルデヒド類吸着分解剤及びその製造方法
JP2004105265A (ja) * 2002-09-13 2004-04-08 Matsushita Electric Ind Co Ltd 脱臭体

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015164724A (ja) * 2015-04-03 2015-09-17 クラリアント触媒株式会社 金属水素化物含有排ガスの除害剤及び除害方法
JP2019000805A (ja) * 2017-06-15 2019-01-10 大日精化工業株式会社 触媒成分担持体の製造方法及び触媒成分担持体
JP6310133B1 (ja) * 2017-10-11 2018-04-11 株式会社ユー・イー・エス 脱臭フィルタ
JP2019069079A (ja) * 2017-10-11 2019-05-09 株式会社ユー・イー・エス 脱臭フィルタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP4543167B2 (ja) 2010-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5102034B2 (ja) 酸化タングステン系光触媒及びその製造方法並びに消臭・防汚機能を有する繊維布帛
JP5486497B2 (ja) 脱臭触媒及びこれを用いた脱臭方法並びに該触媒の再生方法
US20120189489A1 (en) Complex metal oxide catalyst, filter module including complex metal oxide catalyst, and air cleaner including complex metal oxide catalyst
JP2002285691A (ja) 内装材
JP2004250239A (ja) 活性管状酸化チタン粒子、該酸化チタン粒子を含む触媒および消臭剤
JP5303130B2 (ja) 炭素系物質燃焼触媒及びその製造方法、触媒担持体及びその製造方法
JP2691751B2 (ja) 触媒構造体及びその製造方法と装置
JP4543167B2 (ja) 脱臭剤及びその製造方法
JP2002138376A (ja) 内装材
KR20020009353A (ko) 배기가스중 질소산화물 및 다른 유해물질을 제거하는데사용되는 복합 촉매 및 그 제조방법
KR20170140494A (ko) 구리-망간 촉매가 코팅된 탄화규소 허니컴
CN105233847A (zh) 蜂窝陶瓷催化剂及其制备方法和应用
JP2001276194A (ja) 脱臭触媒材料
JP5610329B2 (ja) ケイ酸塩でコーティングされた酸化チタン揮発性有機化合物分解材料
JP5571939B2 (ja) 揮発性有機化合物の分解装置及び分解方法
JP2005329360A (ja) 浄化材及びその製造方法
JP2011125793A (ja) 金属担持結晶性シリカアルミノフォスフェート触媒の製造方法および金属担持結晶性シリカアルミノフォスフェート触媒
JP4580197B2 (ja) 広い波長領域において光触媒活性を有する酸化チタン光触媒およびその製造方法
JP5901148B2 (ja) 酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート成型体触媒およびその製造方法
JPH0924272A (ja) 自己再生型吸着剤
JP2009274912A (ja) リン酸銅水溶液の製造方法および脱臭材とその製造方法。
JP4849862B2 (ja) 新規ヘテロポリ酸塩、それを用いた光触媒、及び光触媒機能性部材
JP2004076002A (ja) 光触媒機能を有する水硬性複合材料及びその製造方法
KR20040102487A (ko) 광촉매가 코팅된 담체를 이용한 유동층 광화학반응기 및광촉매 필터 및/또는 흡착성 광촉매 필터를 이용한 필름형광화학반응기를 포함하는 공기정화장치 및 이의 용도
TWI609718B (zh) 用於降解混合氣體的光催化過濾器及其製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061010

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090203

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20090324

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090402

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100506

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100601

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350