JP2005269688A - 車両用発電機および車両用発電装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レギュレータ6からECU9に界磁電流およびデューティ比の現在値を入力できるようにするとともに、これらの入力値に基づいて発電機1を制御できるようにする。これにより、「同一のデューティ比に対する界磁電流の値の変動」、および「デューティ比の変化に対する界磁電流の変化の時間的な遅れ」などの界磁電流のみを利用する場合の問題点を解決することができる。この結果、発電機1において、界磁電流の検出を利用した制御や判定を、確実に安定して行うことができる。
【選択図】図1
Description
従来より、バッテリを充電したり、ヘッドライトなどの電気負荷に電力を供給するため、エンジンにより回転駆動される発電機が車両に搭載されている。この車両用発電機は、電機子コイルに交流起電力を誘起するための界磁コイルと、この交流起電力から得られる発電機出力を、界磁コイルに流す界磁電流を調節することにより制御する出力制御手段とを備える。
例えば、界磁コイルに断線または短絡などの異常が発生すると界磁電流が過大または過小になる。そこで、界磁電流を検出することによって、界磁コイルの異常の有無を判定することが検討されている。また、発電機の回転トルクは、界磁コイルが装着されるロータの回転数および界磁電流と相関があるため、ロータを回転駆動するためのエンジン出力を、検出された界磁電流に基づいて制御することが検討されている。
しかし、界磁電流の検出を利用した界磁コイルの異常判定やエンジン出力の制御は、以下の点において不具合がある。
まず、界磁コイルの異常判定を界磁電流に基づいて行うと、界磁電流が異常なしと判定されても、バッテリの過充電や電気負荷への過剰給電が行われる虞がある。逆に、界磁電流が異常ありと判定されても、実際には界磁コイルに異常が生じていない虞もある。また、エンジン出力の制御を界磁電流に基づいて行うと、電気負荷の投入や遮断などにより電力要求量が急変した場合やエンジン回転数が急変した場合などにエンジン出力の応答性が悪くなる。
まず、界磁電流の値は、例えばデューティ比のような制御信号の特性に応じて決まるが、発電機温度などの発電機の状態の変動により、同一のデューティ比を用いても、得られる界磁電流の値が変動するという問題点がある。また、界磁電流の値は、デューティ比が変化して、以前と異なる制御信号の合成が始まった後で変化するので、時間的な遅れが発生するという問題点がある。
このため、界磁電流の検出を利用した制御や判定は、不安定であり信頼性が低い。
請求項1の手段によれば、車両用発電機は、検出された界磁電流を示す信号(以下、界磁電流検出信号と呼ぶ)と、界磁電流を調節するために合成される制御信号の特性を示す信号(以下、界磁電流制御信号と呼ぶ)とを送信する。
これにより、界磁電流の検出を利用した制御や判定を行う際に、界磁電流の値ばかりでなく制御信号の特性を用いることができる。このため、界磁電流の検出を利用した制御や判定を、確実に安定して行うことができる。
界磁電流の検出を利用した制御や判定を確実に安定して行うことができない要因は、上記のごとく、同一の制御信号に対する界磁電流の値の変動、および制御信号の変化に対する界磁電流の変化の時間的な遅れにあると考えられる。
ここで、同一の制御信号に対する界磁電流の値は、発電機の状態とともに変動するものの、その変動範囲は、制御信号の特性(例えば、デューティ比)の値に応じて決まっている。よって、この変動範囲を制御や判定に反映させるために、界磁電流の値ばかりでなくデューティ比などの制御信号の特性を制御や判定に用いるようにすれば、発電機の状態の影響を除くことができる。
また、界磁電流の変化は、初期段階で制御信号が変化してから最終段階で制御対象に変化が現れるまでの中間段階における変化である。よって、このような中間段階の界磁電流の値を用いるのみでなく、初期段階の制御信号の特性も用いることができれば時間的な遅れを減らすことができる。
請求項1の手段によれば、界磁電流検出信号と併せて、界磁電流制御信号に基づいて制御や判定を行うことができるので、界磁電流の検出を利用した制御や判定を確実に安定して行うことができるようになる。
請求項2の手段によれば、車両用発電機は、界磁電流検出信号および界磁電流制御信号を1つのシリアル信号に合成して送信する。
これにより、界磁電流の検出を利用した制御や判定に用いられる信号を1本の信号線で送信することができる。このため、車両用発電機に接続される信号線の本数を削減することができる。
請求項3の手段によれば、界磁電流検出信号および界磁電流制御信号は、発電機制御手段に入力される。そして、発電機制御手段は、界磁電流検出信号および界磁電流制御信号に基づいて車両用発電機を制御する。
請求項4の手段によれば、発電機制御手段は、界磁電流検出信号および界磁電流制御信号に基づいて、界磁コイルの異常の有無を判定する。
界磁コイルに断線や短絡などの異常が発生した時の界磁電流の値も、発電機の状態に応じて変動する。このため、従来の界磁コイル異常判定は、明確な閾値を定めることができないため、判定結果の信頼性が低い。
そこで、界磁電流の変動範囲がデューティ比の値に応じて決まっている点に着目し、界磁電流検出信号とともにデューティ比などの界磁電流制御信号を、界磁コイル異常判定に用いる。これにより、信頼性の高い判定結果を得ることができる。
請求項5の手段によれば、発電機制御手段は、界磁電流制御信号に基づいてエンジン出力を制御する第1エンジン出力制御手段と、界磁電流検出信号に基づいてエンジン出力を制御する第2エンジン出力制御手段とを切り替えることができる。
車両用発電機を駆動するエンジン出力を界磁電流の値に基づいて制御すると、界磁電流の変化は、制御信号が変化してから制御対象であるエンジン出力に変化が現れるまでの中間段階で生じる。このため、界磁電流検出信号のみに基づいてエンジン出力を制御すると、時間的な遅れが大きくなる。
そこで、電力要求量が急変した場合などの非定常時には、デューティ比などの界磁電流制御信号に基づいてエンジン出力を制御する第1エンジン出力制御手段を行う。これにより、電力要求量の急変などに対する時間的な遅れを減らすことができる。
なお、電力要求量が安定している場合などの定常時に、エンジン出力の制御を界磁電流制御信号に基づいて行うと、電力要求量などの微小な変更に対しても制御信号が変更されてしまうため界磁電流が安定せず、エンジン出力も安定しない。
そこで、定常時には、界磁電流検出信号に基づいてエンジン出力を制御する第2エンジン出力制御手段を行う。これにより、定常時のエンジン出力を安定させることができる。
請求項6の手段によれば、発電機制御手段は、界磁電流検出信号と界磁電流制御信号とに基づいて、車両用発電機の温度を計測する。
界磁電流は、発電機の状態、特に発電機温度に応じて変動する。この変動範囲は、上記のようにデューティ比の値に応じて決まっている。よって、界磁電流検出信号と界磁電流制御信号とを用いることができれば、発電機温度を計測することができる。
また、この車両用発電機を備えた車両用発電装置は、界磁電流検出信号および界磁電流制御信号が入力され、入力された界磁電流検出信号および界磁電流制御信号に基づいて車両用発電機を制御する発電機制御手段を備える。
そして、発電機制御手段は、界磁電流検出信号および界磁電流制御信号に基づいて、界磁コイルの異常の有無を判定する界磁コイル異常判定手段、エンジン出力を界磁電流制御信号に基づいて制御する第1エンジン出力制御手段と、エンジン出力を界磁電流検出信号に基づいて制御する第2エンジン出力制御手段とを切り替えるエンジン出力制御手段、界磁電流検出信号および界磁電流制御信号に基づいて、車両用発電機の温度を計測する発電機温度計測手段を有する。
最良の形態2の車両用発電機は、界磁電流検出信号および界磁電流制御信号を1つのシリアル信号に合成して送信するシリアル信号送信手段を備える。
実施例1の車両用の発電機1の構成を図1に基づいて説明する。
発電機1は、エンジンルームに搭載され、エンジン(図示せず)により回転駆動されて、バッテリ2を充電したり、ヘッドライトなどの電気負荷3に電力を供給したりする。発電機1は、ステータ(図示せず)に装備された電機子コイル4と、ロータ(図示せず)と協働して回転磁界を生成し、電機子コイル4に交流起電力を誘起するための界磁コイル5と、この交流起電力から得られる発電機出力(出力電圧)を、界磁コイル5に流す界磁電流を調節することにより制御する出力制御手段としてのレギュレータ6と、界磁電流を検出する界磁電流検出器7とを備える。そして、発電機1は、発電機1を制御する発電機制御手段としての電子制御装置(以下、ECUと呼ぶ)9とともに、発電装置10を構成する。
界磁電流検出器7は、界磁電流の現在値に応じた検出信号を発生する周知の検出器である。
電流検出回路15は、界磁電流検出器7からの検出信号に応じて、界磁電流の現在値を示す信号(以下、界磁電流検出信号と呼ぶ)を出力する。この界磁電流検出信号は、例えば界磁電流の現在値を示すデジタルコード信号である。なお、実施例1では、電流検出回路15が界磁電流検出信号を送信する検出信号送信手段を構成する。
界磁電流目標値決定回路19は、主に、電圧検出回路18から示される出力電圧の現在値と、出力電圧目標値設定回路14から示される出力電圧の目標値とを比較し、これらの相対的な高低を示す信号を出力する比較回路によって構成される。そして、界磁電流目標値決定回路19は、この信号に基づいて次の界磁電流の目標値を決定する。
実施例1の制御方法を、界磁コイル異常判定手段31、エンジン出力制御手段34、および発電機温度計測手段35を中心に説明する。
界磁コイル異常判定手段31は、図2に示す界磁コイル異常判定フローが実行されることにより、その機能を果たす。以下に、界磁コイル異常判定フローについて説明する。
実施例1では、発電機1のレギュレータ6に、界磁電流検出信号を送信する検出信号送信手段としての電流検出回路15と、界磁電流制御信号を送信する制御信号送信手段としてのデューティ送信回路17とが設けられている。
これにより、発電機1の外部のECU9に、界磁電流検出信号および界磁電流制御信号を入力させることができる。この結果、界磁電流の現在値およびデューティ比の現在値に基づいて各種の制御や判定を行うことができるので、界磁電流の検出を利用した制御や判定をより確実に安定して行うことができる。
すなわち、界磁電流の検出を利用した制御などは、「同一のデューティ比に対する界磁電流の値の変動」、および「デューティ比の変化に対する界磁電流の変化の時間的な遅れ」などのため、不安定であり信頼性が低かった。
実施例1のように構成すれば、界磁電流の現在値ばかりでなく、デューティ比の現在値も利用して制御などを行うことができるので、界磁電流の検出を利用した制御や判定を安定させることができ、その信頼性を高めることができる。
これにより、発電機1の状態に関連づけて、警報制御、保護制御、エンジン制御、発電制御を行うことができる。
これにより、発電機1は、ECU9からの指令信号に応じて界磁電流を調節することにより、出力電圧を制御することができる。
界磁コイル5に断線や短絡などの異常が発生したときの界磁電流の値は、発電機1の状態に応じて変動する。このため、界磁電流の現在値のみに基づいて界磁コイル5の異常の有無を判定しようとすれば明確な閾値を定められないため、判定結果の信頼性が低い。
そこで、図3に示すように界磁電流の変動範囲がデューティ比の値に応じて決まっている点に着目し、界磁電流の現在値とともにデューティ比の現在値に基づいて界磁コイル5の異常の有無を判定すれば、信頼性の高い判定結果を得ることができる。
これに対し、第1エンジン出力制御方法によれば、デューティ比の推移に基づいてエンジン出力が制御されるため、界磁電流の推移に関わらずエンジン出力が制御される。このため、少なくとも時間(e1+e2)よりも短い時間e3の遅れでエンジン出力を制御することができる。
このように、エンジン出力制御手段34は、第1エンジン出力制御方法と第2エンジン出力制御方法とを電力要求量の変化率に応じて切り替えることができるので、電力要求量の定常、非定常にかかわらず、エンジン出力の応答性および安定性を確保することができる。
界磁電流は発電機温度に応じて変動するが、この変動範囲はデューティ比の値に応じて決まっている。よって、発電機温度と界磁電流およびデューティ比との相関を示すマップやテーブルを用いれば、発電機温度を計測することができる。
これにより、発電機温度を計測するための別途の温度センサなどが不要となる。なお、上記マップやテーブルに当てはめる界磁電流やデューティ比の値を直近の推移に基づく移動平均値を用いれば、より安定した計測を行うことができる。
本実施例では、ECU9から発電機1に示された出力電圧の目標値により、出力電圧の制御が行われたが、ECU9から発電機1に界磁電流の目標値を示させ、この界磁電流の目標値により出力電圧の制御を行ってもよい。
この場合、界磁コイル異常判定手段31の判定結果に基づく警報ランプ21の点灯は、レギュレータ6の警報回路22およびトランジスタ23により行うことができる。なお、CPU25の方に界磁コイル異常判定手段31の機能が備わっていても、レギュレータ6の方の警報回路22およびトランジスタ23により、警報ランプ21の点灯を行うようにしてもよい。
4 電機子コイル
5 界磁コイル
6 レギュレータ(出力制御手段)
9 ECU(発電機制御手段)
10 発電装置
15 電流検出回路(検出信号送信手段)
17 デューティ送信回路(制御信号送信手段)
31 界磁コイル異常判定手段
34 エンジン出力制御手段
35 発電機温度計測手段
37 送受信回路(シリアル信号送信手段)
Claims (6)
- 界磁コイルに界磁電流を流して電機子コイルに交流起電力を誘起する車両用発電機において、
前記交流起電力から得られる発電機出力を、前記界磁コイルに流す界磁電流を調節することにより制御する出力制御手段と、
検出された前記界磁電流を示す信号を送信する検出信号送信手段と、
前記界磁電流を調節するために合成される制御信号の特性を示す信号を送信する制御信号送信手段と
を備えることを特徴とする車両用発電機。 - 請求項1に記載の車両用発電機において、
前記界磁電流を示す信号および前記制御信号の特性を示す信号を1つのシリアル信号に合成して送信するシリアル信号送信手段を備えることを特徴とする車両用発電機。 - 請求項1または請求項2に記載の車両用発電機を備える車両用発電装置であって、
前記界磁電流を示す信号および前記制御信号の特性を示す信号が入力され、前記界磁電流を示す信号および前記制御信号の特性を示す信号に基づいて前記車両用発電機を制御する発電機制御手段を備えることを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項3に記載の車両用発電装置において、
前記発電機制御手段は、前記界磁電流を示す信号および前記制御信号の特性を示す信号に基づいて、前記界磁コイルの異常の有無を判定する界磁コイル異常判定手段を有することを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項3または請求項4に記載の車両用発電装置において、
前記車両用発電機は、エンジンに駆動されることにより前記電機子コイルに交流起電力を誘起し、
前記発電機制御手段は、前記エンジンの出力を前記制御信号の特性を示す信号に基づいて制御する第1エンジン出力制御手段と、前記エンジンの出力を前記界磁電流を示す信号に基づいて制御する第2エンジン出力制御手段とを切り替えるエンジン出力制御手段を有することを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の車両用発電装置において、
前記発電機制御手段は、前記界磁電流を示す信号および前記制御信号の特性を示す信号に基づいて、前記車両用発電機の温度を計測する発電機温度計測手段を有することを特徴とする車両用発電装置。
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