JP2005265993A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 片寄り防止部材を用いることなくエンドレスベルトの片寄りを抑える構成を実現して、エンドレスベルトの両端部での破損の発生を抑制する。
【解決手段】 記録材を搬送する定着ロール61と、定着ロール61に接触しながら移動可能なエンドレスベルト62と、エンドレスベルト62の内側に配置され、エンドレスベルト62を定着ロール61に圧接させて用紙Pが通過するニップ部Nを形成する圧力パッド64とを備え、定着ロール61は、用紙Pが通過する通紙領域の長手方向外側に、通紙領域の摩擦係数よりも高い摩擦係数を有する高摩擦層(摩擦抵抗部)61bが形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 記録材を搬送する定着ロール61と、定着ロール61に接触しながら移動可能なエンドレスベルト62と、エンドレスベルト62の内側に配置され、エンドレスベルト62を定着ロール61に圧接させて用紙Pが通過するニップ部Nを形成する圧力パッド64とを備え、定着ロール61は、用紙Pが通過する通紙領域の長手方向外側に、通紙領域の摩擦係数よりも高い摩擦係数を有する高摩擦層(摩擦抵抗部)61bが形成されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、定着装置等に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電し、この感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体ドラム上から記録紙に転写した後、定着装置によってこのトナー像を記録紙に定着する。このようなプロセスによって画像形成が行なわれる。
かかる画像形成装置に用いられる定着装置は、図8に示したように、円筒状の芯金111の内部に発熱源113を備え、その芯金111の外周面に離型層112が形成された定着ロール110と、この定着ロール110に対して圧接配置され、芯金121の外周面に耐熱性弾性体層122、および耐熱性樹脂被膜あるいは耐熱性ゴム被膜による離型層123が形成された加圧ロール120とで構成されている。そして、定着ロール110と加圧ロール120との間に、未定着トナー像を担持した記録紙を通過させて、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことによって、記録紙にトナー像を定着する。このような定着装置は、加熱ロール方式と呼ばれて、一般に広く利用されている。
ところで、加熱ロール方式の定着装置において高速化を図ろうとする場合には、トナーと記録紙に充分な熱量が供給できるように、ニップ幅を定着速度に比例して広くすることが必要となる。ニップ幅を広くする方法として、定着ロールと加圧ロールとの間の荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法、さらにはロール径を大きくする方法がある。
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが生じる等といった画像品質上の問題が発生する。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが生じる等といった画像品質上の問題が発生する。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
そこで、これらの問題を解消して、画像形成装置の高速化に対応した定着装置を実現するべく、本出願人は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドとを具備し、圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるようにエンドレスベルトを定着ロールに圧接させ、エンドレスベルトと定着ロールとの間にシートを通過させることができるようにベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側を局部的に弾性変形させるように構成した定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。
かかる特許文献1に記載した定着装置(「ベルトニップ方式」という。)では、従来の加熱ロール方式の定着装置における加圧ロールに代え、圧力パッドを用いてエンドレスベルトを定着ロールに圧接させている。このような構成を採用することにより、定着ロールとエンドレスベルトとによって形成されるベルトニップの幅が従来の定着ロールと加圧ロールとのロールニップの幅よりも容易に大きくすることができるとともに、ニップ部において均一で高いニップ圧を付与することができるので、高速化への対応が可能となり、しかも装置の小型化を図ることも容易である。
さらには、定着ロールに圧接させるエンドレスベルトの熱容量は小さく、加えて圧力パッドが非回転状態で配置されているので、定着ロールから伝わる熱が外部に発散され難い構成を実現している。そのため、定着ロールの回転が開始されても、定着ロールからエンドレスベルト側に奪われる熱量は少なく、トナーの溶融に際しての熱効率を高めることができるとともに、ベルトニップでの温度低下も小さいことから、トナーの定着性の向上を図ることができるという利点も有している。
ところで、エンドレスベルトを定着ロールに圧接させるベルトニップ方式の定着装置においては、エンドレスベルトの両端部に例えばフランジ状の片寄り防止部材を配置することでエンドレスベルトの幅方向への移動(ベルトウォーク)を規制し、エンドレスベルトに片寄りが生じることを抑制して、常に定着ロールとエンドレスベルトとが一定の長手領域で接触する状態を維持するように構成している。
しかしながら、画像形成装置が高速化するのに伴ってエンドレスベルトの回動速度も速くなると、エンドレスベルトを幅方向へ移動させる力(スラスト力)もそれに比例して大きくなる。そのため、エンドレスベルトのベルトウォークを規制して片寄りを抑える際に、エンドレスベルトの端部と片寄り防止部材との摩擦力も大きなものとなって、エンドレスベルトの両端部で折れや座屈、亀裂等の破損が生じ易くなるという新たな問題が生じる。かかるエンドレスベルトの両端部における折れや座屈、亀裂等の破損は、エンドレスベルトの円滑な回動を妨げて紙しわや画像不良を引き起こすばかりでなく、最終的にエンドレスベルト自体の破断を生じさせるおそれがある。
しかしながら、画像形成装置が高速化するのに伴ってエンドレスベルトの回動速度も速くなると、エンドレスベルトを幅方向へ移動させる力(スラスト力)もそれに比例して大きくなる。そのため、エンドレスベルトのベルトウォークを規制して片寄りを抑える際に、エンドレスベルトの端部と片寄り防止部材との摩擦力も大きなものとなって、エンドレスベルトの両端部で折れや座屈、亀裂等の破損が生じ易くなるという新たな問題が生じる。かかるエンドレスベルトの両端部における折れや座屈、亀裂等の破損は、エンドレスベルトの円滑な回動を妨げて紙しわや画像不良を引き起こすばかりでなく、最終的にエンドレスベルト自体の破断を生じさせるおそれがある。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、片寄り防止部材を用いることなくエンドレスベルトの片寄りを抑える構成を実現して、エンドレスベルトの両端部での破損の発生を抑制することにある。
かかる目的のもと、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、回動可能なエンドレスベルトと、エンドレスベルトに接触しながら回動する回動部材とを備え、回動部材は、エンドレスベルトの外周面または内周面と接触して、エンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制する抵抗部材が長手方向両端部に配置されたことを特徴としている。かかる定着装置にあっては、抵抗部材は、回動部材の長手方向両端部において、エンドレスベルトの外周面または内周面と接触するが、エンドレスベルトの両端部の厚さ方向のエッジ面とは接触せずに、エンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制することが好ましい。
ここで、抵抗部材は、摩擦力によりエンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制することを特徴とすることもできる。さらに、抵抗部材は、抵抗部材の弾性力によりエンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制することを特徴とすることができる。
ここで、抵抗部材は、摩擦力によりエンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制することを特徴とすることもできる。さらに、抵抗部材は、抵抗部材の弾性力によりエンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制することを特徴とすることができる。
また、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、記録材を搬送する回動可能な回動部材と、回動部材に接触しながら移動可能なエンドレスベルトと、エンドレスベルトの内側に配置され、エンドレスベルトを回動部材に圧接させて回動部材とエンドレスベルトとの間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、回動部材は、記録材が通過する通紙領域の長手方向外側に、通紙領域の摩擦係数よりも高い摩擦係数を有する摩擦抵抗部が形成されたことを特徴としている。
ここで、回動部材は、摩擦抵抗部がエンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制する摩擦抵抗力を生じさせることを特徴とすることができる。また、回動部材は、摩擦抵抗部が通紙領域における外径および硬度と略同様の外径および硬度で形成された構成とすることもできる。さらには、回動部材は、摩擦抵抗部が表面を粗面に形成された構成とすることもできる。加えて、回動部材は、通紙領域では基材に耐熱性弾性体層と離型層とが積層して構成され、摩擦抵抗部では基材に耐熱性弾性体層が被覆して構成されたことを特徴とすることができる。
また、回動部材を加熱する加熱部材、またはエンドレスベルトを加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とすることもできる。
ここで、回動部材は、摩擦抵抗部がエンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制する摩擦抵抗力を生じさせることを特徴とすることができる。また、回動部材は、摩擦抵抗部が通紙領域における外径および硬度と略同様の外径および硬度で形成された構成とすることもできる。さらには、回動部材は、摩擦抵抗部が表面を粗面に形成された構成とすることもできる。加えて、回動部材は、通紙領域では基材に耐熱性弾性体層と離型層とが積層して構成され、摩擦抵抗部では基材に耐熱性弾性体層が被覆して構成されたことを特徴とすることができる。
また、回動部材を加熱する加熱部材、またはエンドレスベルトを加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とすることもできる。
また、本発明を画像形成装置として捉え、本発明の画像形成装置は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着手段とを含み、定着手段は、回動可能な回動部材と、回動部材に接触しながら移動可能なエンドレスベルトと、エンドレスベルトの内側に配置され、エンドレスベルトを回動部材に圧接させて回動部材とエンドレスベルトとの間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と、回動部材の表層に配置され、エンドレスベルトのスラスト方向への移動を抑える抵抗部材とを備えたことを特徴としている。
ここで、定着手段は、抵抗部材が耐熱性ゴムまたは耐熱性エラストマーのチューブで形成されたことを特徴とすることができる。また、定着手段は、抵抗部材がリング状に形成された凸部を有する構成とすることもできる。さらに、定着手段は、抵抗部材が螺旋状に形成された凸部を有する構成とすることもできる。
ここで、定着手段は、抵抗部材が耐熱性ゴムまたは耐熱性エラストマーのチューブで形成されたことを特徴とすることができる。また、定着手段は、抵抗部材がリング状に形成された凸部を有する構成とすることもできる。さらに、定着手段は、抵抗部材が螺旋状に形成された凸部を有する構成とすることもできる。
本発明の効果として、エンドレスベルトの両端部での破損の発生を抑制して、長期に亘り紙しわや画像不良等の発生を抑えて高品質な画像を形成することが可能となった。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、等の電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、各種ロールによって図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置(IIT)や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置(IPS)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。定着装置60は、回動部材の一例としての定着ロール61、エンドレスベルト62、エンドレスベルト62を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64により主要部が構成されている。
定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、および離型層613を積層して構成されたものである。
定着ロール61の内部には、発熱源としてのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、150℃)を維持するように調整している。
エンドレスベルト62は、内部に配置された圧力パッド64とベルト走行ガイド63、さらには後段で述べる両端部に配置されたエッジガイド80によって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール61に対して圧接されて配置されている。
定着ロール61の内部には、発熱源としてのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、150℃)を維持するように調整している。
エンドレスベルト62は、内部に配置された圧力パッド64とベルト走行ガイド63、さらには後段で述べる両端部に配置されたエッジガイド80によって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール61に対して圧接されて配置されている。
圧力パッド64は、エンドレスベルト62の内側において、エンドレスベルト62を介して定着ロール61に押圧される状態で配置され、定着ロール61との間でニップ部Nを形成している。圧力パッド64は、幅の広いニップ部Nを確保するためのプレニップ部材64aをニップ部Nの入口側に配置し、定着ロール61に歪みを与えるための剥離ニップ部材64bをニップ部Nの出口側に配置している。さらに、エンドレスベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、プレニップ部材64aおよび剥離ニップ部材64bのエンドレスベルト62と接する面に低摩擦シート68が設けられている。そして、圧力パッド64と低摩擦シート68とは、金属製のホルダ65に保持されている。
さらに、ホルダ65には、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように構成されている。すなわち、ベルト走行ガイド63は、エンドレスベルト62内周面と摺擦するため、静止摩擦係数の小さな材質で形成されている。また、ベルト走行ガイド63は、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
そして定着ロール61は、図示しない駆動モータにより矢印C方向に回転し、この回転に従動してエンドレスベルト62も定着ロール61と同じ方向に回動する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像はニップ部Nに作用する圧力と、定着ロール61から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置60では、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材64aによりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
加えて、本実施の形態の定着装置60では、定着ロール61の外周面に対し突出させて剥離ニップ部材64bを配置することにより、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成している。このように剥離ニップ部材64bを配置すれば、定着後の用紙Pは、剥離ニップ部を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、定着ロール61に巻き付くことのない用紙Pの剥離を効果的に行うことができる。
特に、定着ロール61の歪みを局所的に大きくすることによって、小さい歪み量で高い剥離性能を得ることが可能となる。そのため、定着ロール61の離型層613として、薄膜の耐熱性樹脂を用いた場合においても、用紙Pにおける紙しわの発生を抑制することができる。また、耐熱性弾性体層612と離型層613との間の剥がれ等も発生し難く、剥離性能の維持と併せて長期に亘る部品性能の信頼性を向上させることができる。
特に、定着ロール61の歪みを局所的に大きくすることによって、小さい歪み量で高い剥離性能を得ることが可能となる。そのため、定着ロール61の離型層613として、薄膜の耐熱性樹脂を用いた場合においても、用紙Pにおける紙しわの発生を抑制することができる。また、耐熱性弾性体層612と離型層613との間の剥がれ等も発生し難く、剥離性能の維持と併せて長期に亘る部品性能の信頼性を向上させることができる。
さらには、定着ロール61の歪み量を小さく形成できるので、定着ロール61の耐熱性弾性体層612を薄肉化することができる。そのため、定着ロール61の熱容量を小さく構成できるので、ウォームアップタイムを短くするとともに、消費電力の低減を図ることもできる。また、熱伝導率の低い耐熱性弾性体層612を薄肉化できるため、定着ロール61の内面と外面との間の熱抵抗が小さくなって熱応答性の向上を図れるため、画像形成装置の高速化にも適している。
なお、剥離の補助手段として、定着ロール61のニップ部Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
なお、剥離の補助手段として、定着ロール61のニップ部Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
次に、定着装置60を構成する各部材について詳細に述べる。まず定着ロール61では、コア(基材)611は、鉄、アルミニウム、SUS等の熱伝導率の高い金属で形成された外径26mm、長さ350mmの円筒体で構成されている。コア611の外径および肉厚は、本実施の形態の定着装置60では、圧力パッド64の押圧力が小さいため、小径化、薄肉化を図ることができる。
耐熱性弾性体層612としては、耐熱性の高い弾性体であればどのような材料を用いることも可能である。特に、硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましく、具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。
耐熱性弾性体層612としては、耐熱性の高い弾性体であればどのような材料を用いることも可能である。特に、硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましく、具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。
離型層613は、耐熱性の樹脂であればどのような樹脂を用いてもよく、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を用いることができるが、離型層613のトナーに対する離型性や耐摩耗性の観点から、フッ素樹脂が適している。フッ素樹脂としては、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等が使用できる。離型層613の厚みとしては、好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜20μmである。
エンドレスベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が直径30mmの円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトであり、ベース層と、このベース層の定着ロール61側の面または両面に被覆された離型層とから構成されている。ベース層は、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のポリマーにより形成され、その厚みは、30〜200μm、好ましくは50〜125μm、より好ましくは75〜100μm程度である。ベース層の表面に被覆される離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA、PTFE、FEPで形成され、その厚みは5〜100μm、好ましくは10〜30μm程度である。
圧力パッド64は、上述したように、プレニップ部材64a、剥離ニップ部材64bで構成され、ホルダ65に支持されている。プレニップ部材64aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等を用いることができ、定着ロール61側の面は、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状で形成されている。
剥離ニップ部材64bは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸曲面状に形成されている。
剥離ニップ部材64bは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸曲面状に形成されている。
低摩擦シート68は、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減するために設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性・耐熱性に優れた材質が適している。具体的には、シンタード成型したPTFE樹脂シート、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、またガラス繊維にフッ素樹脂からなるスカイブフィルムシートを加熱融着サンドした積層シート等を用いることができる。なお、低摩擦シート68は、プレニップ部材64aや剥離ニップ部材64bと別体に構成しても、プレニップ部材64aや剥離ニップ部材64bと一体的に構成しても、いずれでもよい。
また、ベルト走行ガイド63は、上述したように、エンドレスベルト62の内周面と摺擦するため、摩擦係数が低く、かつ、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質が適しており、PFAやPPS等の耐熱性樹脂が用いられる。
ホルダ65には、定着装置60の長手方向に亘って、潤滑剤塗布部材67が配設されている。潤滑剤塗布部材67は、エンドレスベルト62内周面に対して接触するように配置され、アミノ変性シリコーンオイル等の潤滑剤を適量供給する。これにより、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介したエンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗をさらに低減して、エンドレスベルト62の円滑な回動を図っている。
ホルダ65には、定着装置60の長手方向に亘って、潤滑剤塗布部材67が配設されている。潤滑剤塗布部材67は、エンドレスベルト62内周面に対して接触するように配置され、アミノ変性シリコーンオイル等の潤滑剤を適量供給する。これにより、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介したエンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗をさらに低減して、エンドレスベルト62の円滑な回動を図っている。
続いて、本実施の形態の定着装置60の長手方向の構成について述べる。
図3は、定着装置60における長手方向の断面構造を説明する図であり、用紙Pの搬送方向下流側から見た図である。
図3に示すように、エンドレスベルト62の内部に配設されたホルダ65の両端部にはエッジガイド80が配設されている。エッジガイド80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801、ベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の内径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803によって構成されている。
エッジガイド80は、ホルダ65の両端部に両フランジ部802の内側面が固定されるようにして支持されている。その際、ベルト走行ガイド部801は、ホルダ65の端部にオーバーラップするように構成されている。
図3は、定着装置60における長手方向の断面構造を説明する図であり、用紙Pの搬送方向下流側から見た図である。
図3に示すように、エンドレスベルト62の内部に配設されたホルダ65の両端部にはエッジガイド80が配設されている。エッジガイド80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801、ベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の内径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803によって構成されている。
エッジガイド80は、ホルダ65の両端部に両フランジ部802の内側面が固定されるようにして支持されている。その際、ベルト走行ガイド部801は、ホルダ65の端部にオーバーラップするように構成されている。
そして、エンドレスベルト62は、ニップ部Nとその近傍を除いて、両側部の内周面がベルト走行ガイド部801の外周面に支持され、ベルト走行ガイド部801の外周面に沿って回動する。したがって、ベルト走行ガイド部801は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように静摩擦係数の小さな材質で形成され、さらには、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面同士が、エンドレスベルト62の幅よりも大きな間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際にも、エンドレスベルト62の端部がフランジ部802の内側面とは当接することないように、エンドレスベルト62の端部とフランジ部802の内側面とは所定の間隔を持って配置されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面同士が、エンドレスベルト62の幅よりも大きな間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際にも、エンドレスベルト62の端部がフランジ部802の内側面とは当接することないように、エンドレスベルト62の端部とフランジ部802の内側面とは所定の間隔を持って配置されている。
一方、定着ロール61には、コア611の周囲に耐熱性弾性体層612および離型層613が積層して構成された定着層61aが配設され、用紙Pが通紙されてトナー像が定着される長手方向の領域(通紙領域)が定着層61aの配置された領域内に位置するように設置されている。そして、通紙領域の全域に亘って均一なニップ圧を形成するとともに均一な加熱を行なうために、定着ロール61の定着層61aの長手方向の全域において、圧力パッド64が定着ロール61に対向して配設されている。したがって、圧力パッド64の配置領域は定着ロール61の定着層61aの長手方向を含むように、定着層61aよりも長く形成されている。
さらには、定着層61aと圧力パッド64とがエンドレスベルト62を介さず直接接触する領域が形成されないように、エンドレスベルト62は、圧力パッド64と定着層61aとが当接する領域、すなわち定着層61aが配置された領域の全域に亘って配置されている。これは、定着層61aと圧力パッド64とがエンドレスベルト62を介さず直接接触すると、定着層61aと圧力パッド64との間の摺動抵抗により、定着ロール61の駆動トルクが過大なものとなるからである。したがって、定着層61aと圧力パッド64とは、エンドレスベルト62を介して当接されている。
このように、定着ロール61の長手方向の長さ関係としては、定着層61aは通紙領域よりも広く形成され、さらに、圧力パッド64は定着層61aよりも広く構成されている。また、エンドレスベルト62の幅は定着層61aの幅よりも大きく形成されている。そのため、定着ロール61における定着層61aの外側領域(非通紙領域)には、エンドレスベルト62が定着層61aと対向しない所定の幅をもった領域が形成されている。なお、定着ロール61の両端部はコア611のみで構成され、さらにこの両端部では、図示しない支持部材で定着ロール61が回転自在に支持されるとともに、ハロゲンヒータ66が給電されながら支持されている。
このように、定着ロール61の長手方向の長さ関係としては、定着層61aは通紙領域よりも広く形成され、さらに、圧力パッド64は定着層61aよりも広く構成されている。また、エンドレスベルト62の幅は定着層61aの幅よりも大きく形成されている。そのため、定着ロール61における定着層61aの外側領域(非通紙領域)には、エンドレスベルト62が定着層61aと対向しない所定の幅をもった領域が形成されている。なお、定着ロール61の両端部はコア611のみで構成され、さらにこの両端部では、図示しない支持部材で定着ロール61が回転自在に支持されるとともに、ハロゲンヒータ66が給電されながら支持されている。
ここで、本実施の形態の定着ロール61において、定着層61aの長手方向外側(非通紙領域)であって、エンドレスベルト62が対向して配置された領域内、すなわち定着層61a外側のエンドレスベルト62が定着層61aと対向しない領域の定着ロール61の表面に、静摩擦係数が定着層61aよりも高く形成された摩擦抵抗部材としての高摩擦層(摩擦抵抗部)61bが配置されている。高摩擦層61bは、定着層61aと略同じ外径および硬度で形成され、定着層61aと同様に、エンドレスベルト62の表面と圧接されるように構成されている。
ところで、エンドレスベルト62は、ニップ部Nにおいて定着ロール61から摩擦力を受けることで駆動力が伝達され、定着ロール61に従動して回動している。定着ロール61からエンドレスベルト62への摩擦力は、ニップ部Nにおける定着ロール61と圧力パッド64との間の押圧力(ニップ圧)によって発生することから、エンドレスベルト62が受ける駆動力は、ニップ部Nにおける定着ロール61と圧力パッド64との間のニップ圧によって変動する。すなわち、ニップ部Nにおける幅方向の微小なニップ圧のばらつきや、ニップ部Nに通紙される用紙Pのサイズ、紙厚、紙質等の要因によって、エンドレスベルト62の幅方向にニップ圧分布が生じるために、エンドレスベルト62が定着ロール61から受ける駆動力には、エンドレスベルト62の幅方向に駆動力分布が生じている。そのため、エンドレスベルト62は幅方向における駆動力の不均一性を有しながら、全体として均衡を保って一定の方向に一定の速度で回動している。しかしながら、上記した要因等によって、時には相対的にリア側の駆動力が大きくなったり、時には相対的にフロント側の駆動力が大きくなることで、エンドレスベルト62を幅方向へ移動(ベルトウォーク)させる力(「スラスト力」という。)が生じる。そのために、エンドレスベルト62には、リア側またはフロント側への片寄りが発生する場合がある。
このような状況に対処するために、本実施の形態の定着装置60では、定着層61aの外側(非通紙領域)であって、エンドレスベルト62が定着層61aと対向しない領域の定着ロール61の表面に、高摩擦層61bを配置している。いま、定着層61aの静摩擦係数をμ1、高摩擦層61bの静摩擦係数をμ2(μ1<μ2)とした場合に、定着層61aと高摩擦層61bとは略同じ外径および硬度で形成されているために、ニップ部Nにおけるニップ圧Wは、定着層61aと高摩擦層61bとにおいて平均して略同じ大きさであると仮定することができる。そのため、図4に示したように、エンドレスベルト62が定着ロール61に対して1:1の従動回動している(スリップしない)際には、ニップ部Nにおけるエンドレスベルト62に働くスラスト方向の摩擦力は、定着層61aではμ1・Wであり、高摩擦層61bではμ2・Wである。ここで、μ1<μ2であるから、μ1・W<μ2・Wとなり、定着層61aとエンドレスベルト62との間でスラスト力(μ1・W)が生じたとしても、高摩擦層61bとエンドレスベルト62との摩擦力(μ2・W)が大きいため、エンドレスベルト62はリア側またはフロント側へ片寄ることが抑制される。すなわち、エンドレスベルト62がスラスト力を受けてスラスト方向に移動しようとするのに対して、高摩擦層61bが定着層61aの外側部に配置されることによって、高摩擦層61bをエンドレスベルト62のスラスト方向に対する摩擦抵抗力を発揮する「ブレーキ」として機能させることが可能となる。
また同様に、エンドレスベルト62の移動方向に関する摩擦力も、定着層61aではμ1・Wであり、高摩擦層61bではμ2・Wであるから、μ1・W<μ2・Wとなり、高摩擦層61bの方がエンドレスベルト62の移動方向に関する摩擦力も大きくなる。そのため、エンドレスベルト62には、高摩擦層61bにおいて常にスラスト方向に中央部へ向かう力が働くこととなり、例えエンドレスベルト62にリア側またはフロント側への片寄り(ベルトウォーク)が生じたとしても、この高摩擦層61bによって中央部へ引き戻す力が働くこととなる。すなわち、高摩擦層61bは定着層61aの外側部に配設されているため、エンドレスベルト62にベルトウォークが生じても、エンドレスベルト62はベルトウォークした側から中央部に引き戻され、最終的に中央部に安定して位置することとなる。
このように、本実施の形態の定着装置60では、定着ロール61において、定着層61a外側(非通紙領域)のエンドレスベルト62が定着層61aと対向しない領域に、静摩擦係数が定着層61aよりも高く形成された高摩擦層61bを配置することによって、エンドレスベルト62の片寄りを抑制することが可能となる。そのため、エンドレスベルト62の両端部において、エンドレスベルト62をその内側面に当接することによって片寄りを防ぐための片寄り防止部材を配設する必要がなくなる。その結果、エンドレスベルト62の両端エッジ部が片寄り防止部材と当接する場合のような機械的な衝撃力が加わらないので、エンドレスベルト62の両端エッジ部に折れや座屈、亀裂等といった破損を生じることがなくなり、エンドレスベルト62の円滑な回動を維持することが可能となって、画像形成装置のライフまでの長期に亘って紙しわや画像ずれのない高品質な画像を形成することができる。
次に、高摩擦層61bの形成方法について述べる。
高摩擦層61bは、例えばEPDMやシリコーンゴムのような耐熱性のゴムやエラストマーを幅5〜15mm、例えば幅7mmのチューブ状に成形し、これを定着ロール61の定着層61aの外側に嵌め込み、接着することによって形成することができる。この場合、定着層61aと高摩擦層61bとにおいて、同様なニップ圧Wが付与されるように、高摩擦層61bの外径は定着層61aと同一外径に構成し、硬度も定着層61aと同様に、15〜45°(JIS−A)程度に構成するのが好ましい。
高摩擦層61bは、例えばEPDMやシリコーンゴムのような耐熱性のゴムやエラストマーを幅5〜15mm、例えば幅7mmのチューブ状に成形し、これを定着ロール61の定着層61aの外側に嵌め込み、接着することによって形成することができる。この場合、定着層61aと高摩擦層61bとにおいて、同様なニップ圧Wが付与されるように、高摩擦層61bの外径は定着層61aと同一外径に構成し、硬度も定着層61aと同様に、15〜45°(JIS−A)程度に構成するのが好ましい。
また、高摩擦層61bの表面は、研磨またはブラスト加工等することによって表面を粗面に形成して、高摩擦層61bの静摩擦係数μ2が定着層61aの静摩擦係数μ1よりも大きくなるように構成している。ただし、本実施の形態の定着ロール61では、定着層61aの表面はPFA等のフッ素樹脂で形成しているため、表面を粗面に形成しないEPDMやシリコーンゴムのような耐熱性のゴムやエラストマーのみの構成でも、高摩擦層61bの静摩擦係数μ2が定着層61aの静摩擦係数μ1よりも大きくなるように設定することができる。
なお、表面の粗しは、研磨等による方法のほかに、成形する際に型によって同時に形成することもできる。また、高摩擦層61bをシリコーンゴムのようなシリコーン系のゴムまたはエラストマーで形成することによって、トナーに対する離型性によりトナーの付着を防止することができる。
なお、表面の粗しは、研磨等による方法のほかに、成形する際に型によって同時に形成することもできる。また、高摩擦層61bをシリコーンゴムのようなシリコーン系のゴムまたはエラストマーで形成することによって、トナーに対する離型性によりトナーの付着を防止することができる。
さらに、高摩擦層61bは、定着層61aを構成する耐熱性弾性体層612を、定着層61a外側(非通紙領域)のエンドレスベルト62が定着層61aと対向しない領域まで延ばして構成することもできる。この場合には、高摩擦層61bには耐熱性弾性体層612の上に離型層613は積層しない。その際、定着層61aと高摩擦層61bの耐熱性弾性体層612を例えばEPDMやシリコーンゴムのような耐熱性のゴムやエラストマーで構成し、定着層61aの離型層613をPFA等のフッ素樹脂で構成することによって、高摩擦層61bの静摩擦係数μ2が定着層61aの静摩擦係数μ1よりも大きくなるように設定することができる。この方法は、高摩擦層61bを有する定着ロール61の製造が容易となるという利点がある。
なお、高摩擦層61bとなる耐熱性弾性体層612の表面を研磨やブラスト加工等によって粗面に加工してもよい。
なお、高摩擦層61bとなる耐熱性弾性体層612の表面を研磨やブラスト加工等によって粗面に加工してもよい。
また、高摩擦層61bは、表面に凹凸が形成された構成とすることもできる。図5は、表面に凹凸が形成された高摩擦層61bを説明する図である。図5(a)に示したように、高摩擦層61bは、1mm間隔で複数配置した幅1.5mmのリング(凸部)と、リングの間に形成した深さ1.5〜2mmの溝(凹部)とで構成することができる。この場合も、高摩擦層61bの外径(リングの外径)は定着層61aと同一外径に構成し、硬度も定着層61aと同様に、15〜45°(JIS−A)程度に構成するのが好ましい。
このように、高摩擦層61bをリング(凸部)を用いて形成することによって次のような効果を得ることができる。すなわち、図5(b)に示したように、高摩擦層61bがエンドレスベルト62に片寄りを生じさせるスラスト力を受けると、リングに撓み(図中破線)が生じ、その撓みの復元力(弾性力)がエンドレスベルト62に対して、スラスト方向中央部へ向かう力を生じさせる。したがって、図5(a)に示した高摩擦層61bでは、リング表面の高い静摩擦係数によるブレーキ力に加えて、撓みの復元力によって、エンドレスベルト62の片寄りを効果的に抑えることが可能となる。
このように、高摩擦層61bをリング(凸部)を用いて形成することによって次のような効果を得ることができる。すなわち、図5(b)に示したように、高摩擦層61bがエンドレスベルト62に片寄りを生じさせるスラスト力を受けると、リングに撓み(図中破線)が生じ、その撓みの復元力(弾性力)がエンドレスベルト62に対して、スラスト方向中央部へ向かう力を生じさせる。したがって、図5(a)に示した高摩擦層61bでは、リング表面の高い静摩擦係数によるブレーキ力に加えて、撓みの復元力によって、エンドレスベルト62の片寄りを効果的に抑えることが可能となる。
さらに、図5(c)に示したように、高摩擦層61bは、図5(a)に示した場合と同様に、凸部と、凸部の間に形成した溝(凹部)とで構成するが、凸部を螺旋状に形成している。このように凸部を螺旋状に形成することで、定着ロール61の回転に伴って螺旋状凸部が回転することで、スラスト方向中央部へ向かうスラスト力が発生する。したがって、図5(c)に示した高摩擦層61bでは、凸部表面の高い静摩擦係数によるブレーキ力や、撓みの復元力に加えて、螺旋状凸部の回転によるスラスト方向中央部へ向かうスラスト力によって、エンドレスベルト62の片寄りを効果的に抑えることが可能となる。
なお、本実施の形態の定着装置60では、定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、および離型層613を積層して構成した、所謂ソフトロールで構成したが、本発明は、耐熱性弾性体層612を用いない、所謂ハードロールに関しても同様に適用することができる。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置60によれば、定着ロール61において、定着層61a外側(非通紙領域)のエンドレスベルト62が定着層61aと対向しない領域に、静摩擦係数が定着層61aよりも高く形成された高摩擦層61bを配置することによって、エンドレスベルト62の片寄りを抑制することが可能となる。そのため、エンドレスベルト62の両端部において、エンドレスベルト62をその内側面に当接することによって片寄りを防ぐための片寄り防止部材を配設する必要がなくなる。その結果、エンドレスベルト62の両端エッジ部に機械的な衝撃力を与えることなく、エンドレスベルト62の片寄りを抑制する構成が実現できるので、エンドレスベルト62の両端エッジ部に折れや座屈、亀裂等といった破損を生じさせることがなく、エンドレスベルト62の円滑な回動を維持することが可能となって、画像形成装置のライフまでの長期に亘って紙しわや画像ずれのない高品質な画像を形成することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図6は、本実施の形態における定着装置90の構成を示す側断面図である。図6に示すように、本実施の形態の定着装置90は、定着ベルト92、回動部材の一例としての加圧ロール91により主要部が構成されている。そして、定着ベルト92が用紙Pのトナー像担持面側に配置されるとともに、定着ベルト92の内側には発熱源の一例としての抵抗発熱体であるセラミックヒータ82が配設され、セラミックヒータ82からニップ部Nに熱を供給するように構成している。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して定着ベルト92に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
一方、加圧ロール91は定着ベルト92に対向するように配置され、図示しない駆動モータにより矢印D方向に回転し、この回転に従動して定着ベルト92が回動するように構成されている。加圧ロール91は、コア (円柱状芯金)911と、コア911の外周面に被覆した耐熱性弾性体層912と、さらに耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層913とが積層されて構成されている。
さらに、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ベース層と、このベース層の加圧ロール91側の面または両面に被覆された離型層とから構成されている。
また、剥離の補助手段として、定着ベルト92のニップ部Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
さらに、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ベース層と、このベース層の加圧ロール91側の面または両面に被覆された離型層とから構成されている。
また、剥離の補助手段として、定着ベルト92のニップ部Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
そして、図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって定着装置90のニップ部Nに導かれる。用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙P上のトナー像は、ニップ部Nに作用する圧力と、定着ベルト92側のセラミックヒータ82から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置90でも、加圧ロール91とセラミックヒータ82との間でニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
本実施の形態の定着装置90では、加圧ロール91において、用紙Pが搬送される幅方向の領域(通紙領域)の外側(非通紙領域)であって、定着ベルト92と対向する領域に、静摩擦係数が通紙領域よりも高く形成された高摩擦層を配置している。この高摩擦層は、耐熱性弾性体層912のみで構成され、離型層913は配設されていない。また、この高摩擦層の耐熱性弾性体層912表面を粗面で形成することもできる。さらには、高摩擦層として、通紙領域の静摩擦係数よりも高い静摩擦係数を有する異なる材質の耐熱性ゴムまたは耐熱性エラストマーを被覆してもよい。
このように構成することによって、実施の形態1の場合と同様に、定着ベルト92の片寄りを抑制することが可能となる。そのため、定着ベルト92の両端部において、定着ベルト92をその内側面に当接することによって片寄りを防ぐための片寄り防止部材を配設する必要がなくなる。その結果、定着ベルト92の両端エッジ部が片寄り防止部材と当接する場合のような機械的な衝撃力が加わらないので、定着ベルト92の両端エッジ部に折れや座屈、亀裂等といった破損を生じることがなく、定着ベルト92の円滑な回動を維持することが可能となって、画像形成装置のライフまでの長期に亘って紙しわや画像ずれのない高品質な画像を形成することができる。
[実施の形態3]
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態3では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源を有する定着ロールを用い、加圧手段として3本のロールにより張架された加圧ベルトを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態3では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源を有する定着ロールを用い、加圧手段として3本のロールにより張架された加圧ベルトを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図7は本実施の形態の定着装置100の構成を示す側断面図である。この定着装置100は、回動部材の一例としての定着ロール61、加圧ベルト620、加圧ベルト620を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64により主要部が構成されている。
加圧ベルト620は、インレットロール631、圧力ロール632および張架ロール633の3本のロールにより張架されている。そして、加圧ベルト620は、定着ロール61が矢印E方向へ回転するのに伴い、定着ロール61に従動して矢印F方向に回動する。その進行速度は、定着ロール61の表面速度と同じである。
加圧ベルト620は、インレットロール631、圧力ロール632および張架ロール633の3本のロールにより張架されている。そして、加圧ベルト620は、定着ロール61が矢印E方向へ回転するのに伴い、定着ロール61に従動して矢印F方向に回動する。その進行速度は、定着ロール61の表面速度と同じである。
加圧ベルト620は、定着ロール61の外周面に当接してニップ部Nを形成しているが、このニップ部Nには、加圧ベルト620の内側に圧力パッド64が加圧ベルト620を介して定着ロール61に向けて付勢された状態で配置されている。したがって、ニップ部Nにおいては、高いニップ圧が均一に付与されている。
また、加圧ベルト620は、ベース層とその表面(定着ロール61側の面、または両面)に被覆された離型層とから構成されている。そして、ベース層としては、耐熱強度の高い樹脂で形成され、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等が適している。ベース層の厚さは、例えば50〜125μm程度に形成される。ベース層の表面に形成される離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA等が5〜20μmの厚さでコーティングされたものが好ましい。さらには、必要であればベース層と離型層との間に厚さ100〜200μmの弾性層を積層させた構成を採ることもできる。弾性層の材料としては、シリコーンゴム等を使用することができる。
また、加圧ベルト620は、ベース層とその表面(定着ロール61側の面、または両面)に被覆された離型層とから構成されている。そして、ベース層としては、耐熱強度の高い樹脂で形成され、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等が適している。ベース層の厚さは、例えば50〜125μm程度に形成される。ベース層の表面に形成される離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA等が5〜20μmの厚さでコーティングされたものが好ましい。さらには、必要であればベース層と離型層との間に厚さ100〜200μmの弾性層を積層させた構成を採ることもできる。弾性層の材料としては、シリコーンゴム等を使用することができる。
さらに、加圧ベルト620を張架する3個のロールは、ステンレス製のインレットロール631、スチールコアに弾性体層としてシリコーンゴムが被覆された圧力ロール632、およびステンレス製の張架ロール633であり、10kgの張力で加圧ベルト620を張架している。また、インレットロール631の内部には、加熱源としてハロゲンヒータ635が配設されている。そして、図示しない温度センサおよび制御部40(図1参照)によりその表面温度は120℃に制御され、加圧ベルト620に予熱を与えている。
次に、押圧部材としての圧力パッド64は、幅の広いニップ部Nを確保するための弾性体部材と、弾性体部材が加圧ベルト620の内周面と接触する面に設けられた低摩擦層とで構成され、金属等からなるホルダ65に保持されている。低摩擦層を表面に有する弾性体部材は、定着ロール61側がほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状に形成され、定着ロール61に対して押圧されて配置され、ニップ部Nの入口側領域を形成している。弾性体部材としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性の高い弾性体や、板バネ等を用いることができる。弾性体部材上に形成された低摩擦層は、加圧ベルト620内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性のある材質であることが望ましい。具体的には、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、フッ素樹脂シート、フッ素樹脂塗膜等を用いることができる。
なお、圧力パッド64としては、本実施の形態のようにパッド状に成型されたものの他に、例えば、ロール状に成型されたものを用いることもでき、加圧ベルト620を介して定着ロール61表面に付勢させて従動回転させてもよい。ただし、本実施の形態のようにパッド状に成型された圧力パッド64の方が、当接するニップ部N全域に亘って、広く均一にニップ圧を付与することができる。
なお、圧力パッド64としては、本実施の形態のようにパッド状に成型されたものの他に、例えば、ロール状に成型されたものを用いることもでき、加圧ベルト620を介して定着ロール61表面に付勢させて従動回転させてもよい。ただし、本実施の形態のようにパッド状に成型された圧力パッド64の方が、当接するニップ部N全域に亘って、広く均一にニップ圧を付与することができる。
このような構成により、本実施の形態の定着装置100においては、図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送され、トナー像を担持した用紙Pは、このニップ部Nを通過する際に加熱および加圧されてトナー像が用紙Pに定着される。本実施の形態の定着装置100でも、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状の圧力パッド64によりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
また、圧力パッド64に対し用紙P搬送方向の下流側に配置された圧力ロール632は、加圧手段としての圧縮コイルスプリング(不図示)によって、加圧ベルト620を介して定着ロール61の中心軸に向けて付勢されており、定着ロール61の当接部に局所的な高圧を生じさせている。それによって、定着ロール61の表面の耐熱性弾性体層612は弾性変形してひずみが生じ、ニップ部Nの出口では、この定着ロール61のひずみにより、用紙Pが定着ロール61側から剥離される。ここで、この定着ロール61に対する局所的な高圧を低荷重で効率良く与えるために、圧力ロール632は定着ロール61より小径で、その表面は硬質に形成されていることが望ましい。
なお、剥離の補助手段として、定着ロール61のニップ部Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
なお、剥離の補助手段として、定着ロール61のニップ部Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
本実施の形態の定着装置100では、定着ロール61は実施の形態1の場合と同様に構成され、定着ロール61において、定着層61aの外側(非通紙領域)の加圧ベルト620が定着層61aと対向しない領域に、静摩擦係数が定着層61aよりも高く形成された高摩擦層61bを配置している。このように構成することによって、加圧ベルト620の片寄りを抑制することが可能となる。そのため、インレットロール631、圧力ロール632、および張架ロール633といった加圧ベルト620を張架するいずれか1または複数のロールの両端部において、加圧ベルト620をその内側面に当接することによって片寄りを防ぐための片寄り防止部材を配設する必要がなくなる。その結果、加圧ベルト620の両端エッジ部が片寄り防止部材と当接する場合のような機械的な衝撃力が加わらないので、加圧ベルト620の両端エッジ部に折れや座屈、亀裂等といった破損を生じることがなく、加圧ベルト620の円滑な回動を維持することが可能となって、画像形成装置のライフまでの長期に亘って紙しわや画像ずれのない高品質な画像を形成することができる。
なお、本実施の形態の定着装置100では、定着ロール61に高摩擦層61bを配置しているが、上述したように、ニップ部Nに定着ロール61表面に付勢させて従動回転するロール状に成型された圧力パッド64を用いて、このロール状圧力パッド64の両端部であって非通紙領域内に高摩擦層を配置する構成を用いることもできる。この場合も、ロール状圧力パッド64の両端部に配置された高摩擦層は、ロール状圧力パッド64の高摩擦層より長手方向内側の領域よりも摩擦抵抗を高く形成する。このような構成によっても、定着ロール61に高摩擦層61bした場合と同様に、加圧ベルト620の片寄りを抑制することが可能となる。また、その際、定着ロール61に高摩擦層61bを配置した構成を同時に用いることもできる。
このように、高摩擦層61bが形成される回動部材としては、加圧ベルト620の外周面に接触するように配置される定着ロール61や、加圧ベルト620の内周面に接触するように配置される圧力パッド64のいずれも用いることができる。
このように、高摩擦層61bが形成される回動部材としては、加圧ベルト620の外周面に接触するように配置される定着ロール61や、加圧ベルト620の内周面に接触するように配置される圧力パッド64のいずれも用いることができる。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未定着トナー像を定着する定着装置への適用、さらには転写ベルト、感光体ベルト、帯電ベルトへの適用がある。また、インクジェト方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未乾燥インク像を乾燥する定着装置への適用がある。
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60,90,100…定着装置、61…定着ロール、61a…定着層、61b…高摩擦層、62…エンドレスベルト、63…ベルト走行ガイド、64…圧力パッド、64a…プレニップ部材、64b…剥離ニップ部材、65…ホルダ、66…ハロゲンヒータ、67…潤滑剤塗布部材、68…低摩擦シート、69…温度センサ、70…剥離部材、82…セラミックヒータ、91…加圧ロール、92…定着ベルト、620…加圧ベルト、631…インレットロール、632…圧力ロール、633…張架ロール
Claims (13)
- 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
回動可能なエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトに接触しながら回動する回動部材とを備え、
前記回動部材は、前記エンドレスベルトの外周面または内周面と接触して、当該エンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制する抵抗部材が長手方向両端部に配置されたことを特徴とする定着装置。 - 前記抵抗部材は、摩擦力により前記エンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記抵抗部材は、当該抵抗部材の弾性力により前記エンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
前記記録材を搬送する回動可能な回動部材と、
前記回動部材に接触しながら移動可能なエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトの内側に配置され、当該エンドレスベルトを前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該エンドレスベルトとの間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
前記回動部材は、前記記録材が通過する通紙領域の長手方向外側に、当該通紙領域の摩擦係数よりも高い摩擦係数を有する摩擦抵抗部が形成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記回動部材は、前記摩擦抵抗部が前記エンドレスベルトのスラスト方向への移動を規制する摩擦抵抗力を生じさせることを特徴とする請求項4記載の定着装置。
- 前記回動部材は、前記摩擦抵抗部が前記通紙領域における外径および硬度と略同様の外径および硬度で形成されたことを特徴とする請求項4記載の定着装置。
- 前記回動部材は、前記摩擦抵抗部が表面を粗面に形成されたことを特徴とする請求項4記載の定着装置。
- 前記回動部材は、前記通紙領域では基材に耐熱性弾性体層と離型層とが積層して構成され、前記摩擦抵抗部では当該基材に当該耐熱性弾性体層が被覆して構成されたことを特徴とする請求項4記載の定着装置。
- 前記回動部材を加熱する加熱部材、または前記エンドレスベルトを加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とする請求項4記載の定着装置。
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
前記定着手段は、
回動可能な回動部材と、
前記回動部材に接触しながら移動可能なエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトの内側に配置され、当該エンドレスベルトを前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該エンドレスベルトとの間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と、
前記回動部材の表層に配置され、前記エンドレスベルトのスラスト方向への移動を抑える抵抗部材と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記定着手段は、前記抵抗部材が耐熱性ゴムまたは耐熱性エラストマーのチューブで形成されたことを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
- 前記定着手段は、前記抵抗部材がリング状に形成された凸部を有することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
- 前記定着手段は、前記抵抗部材が螺旋状に形成された凸部を有することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004075075A JP2005265993A (ja) | 2004-03-16 | 2004-03-16 | 定着装置および画像形成装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013186352A (ja) * | 2012-03-08 | 2013-09-19 | Ricoh Co Ltd | 定着装置、画像形成装置 |
US20150037077A1 (en) * | 2013-08-02 | 2015-02-05 | Samsung Electronics. Co., Ltd. | Image fixing device and image forming apparatus having the same |
-
2004
- 2004-03-16 JP JP2004075075A patent/JP2005265993A/ja active Pending
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US20150037077A1 (en) * | 2013-08-02 | 2015-02-05 | Samsung Electronics. Co., Ltd. | Image fixing device and image forming apparatus having the same |
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