JP2005264307A - 高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 輝度を測定可能な撮像手段15を使用し、高炉10の出銑孔11から噴出する銑滓流12を、出銑孔11の壁面17から10〜30cmの範囲内で撮像し、この撮像した部分の輝度分布から最大輝度の60%以上となった部分の面積を算出して、銑滓の流出径を求める。
【選択図】 図1
Description
出銑開始後2〜4時間が経過すると、出銑孔から炉外へ排出される銑滓量が、炉内で生成する銑滓量に対して多くなり始める。そして、炉内の貯留銑滓量が減少し、銑滓の上面が出銑孔よりも下方になった後は、銑滓と同時に炉内ガスが出銑孔から炉外へ噴出され始める。
このように、炉内ガスが出銑孔から炉外へ噴出した場合、出銑孔に対して閉塞機からマッド材を充填し、出銑孔を閉塞する作業(閉塞作業)を行う。ここで、炉内ガスが大量に炉外へ噴出される場合には、閉塞作業を行うことが困難になり、この作業を行う作業者の危険を招く。一方、生成した銑滓が炉内に大量に貯留されるトラブルが生じた場合、炉内通気性が悪化し、炉内装入物の荷下がりや還元の異常が生じ、炉熱低下に至るため、生産量の大幅低下に繋がる。
従って、出銑滓作業は、炉内の残銑滓量を推定しながら、適切なタイミング且つ適切な条件で、出銑孔の開孔作業又は閉塞作業を行い、炉内に銑滓が貯留しないように、銑滓の排出を促進させる必要がある。
また、特許文献2には、銑滓の排出を促進させるため、出銑終了時刻を予測する方法が提案されている。これは、出銑孔から排出される溶銑と溶滓の全流出体積速度の変化率と、操業条件とから求められる造滓量に基づき、出銑終了時刻の推定を行うものであり、これにより、適切なタイミングで出銑孔の開孔作業又は閉塞作業を行うことができ、高炉の操業安定化と作業負荷の軽減を図ることができる。
また、特許文献2の方法では、溶銑と溶滓の全流出体積速度を、溶銑及び溶滓をそれぞれ秤量器で測定して求める。この溶滓の秤量測定は、溶滓を水砕として処理する場合がほとんどであり、水砕に含まれる水分の違いや、出銑孔から水砕設備までの移動時間の差から、その重量をリアルタイムで正確に測定することが困難である。従って、銑滓流出速度もリアルタイムで正確に測定することが困難であり、出銑終了時刻の予測精度を高めることが困難であった。
請求項1記載の高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法において、高炉の出銑孔から噴出する銑滓流の撮像領域を、出銑孔の壁面から10〜30cmの範囲内とすることにより、例えば、出銑孔周りに付着した銑滓の影響を避けながら、銑滓の流出径を従来よりも精度よく測定することができる。
従って、銑滓の流出径を更に精度よく測定するには、銑滓流の撮像領域を、出銑孔の壁面から10〜25cmの範囲内とすることが好ましく、更には10〜20cmの範囲とすることが好ましい。
また、撮像した部分の輝度分布から最大輝度の60%以上となった部分の面積を算出して、銑滓の流出径を求めるので、例えば、樋や出銑孔淵に付着した銑滓の影響を取り除くことができる。
従って、銑滓の流出径を更に精度よく測定するには、算出する面積の輝度を、最大輝度の80%以上とすることが好ましく、更には90%以上とすることが好ましい。
請求項2記載の高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法において、出銑孔から噴出する銑滓は、出銑孔からのガスが混入しなければ、出銑孔径と略等しい流出径で排出される。しかし、出銑末期までには銑滓の流出径が徐々に拡大していき、出銑終了直前に出銑滓量が炉内で生成される造銑滓量を上回るため、炉内での銑滓の上面レベルが下がり、銑滓流出径が小さくなる現象が現れる。その後、再び銑滓流出径は拡大し、銑滓流出径が小さくなった時間を起点として、10〜30分後に出銑孔へのガス混入が激しくなるため、最終的に銑滓流出径の算出が困難になると同時に、出銑孔の閉塞に至る。このように、出銑孔にガスが混入した場合は、炉内に対して出銑孔内の浅い部分からのガス混入も活発となり、次回開孔時の出銑孔の深度が短くなるため、次回開孔時の出銑時間が短くなり易い。
従って、銑滓流出径が小さくなった直後に、再度大きくなる点に基づいて出銑終了を予測し、出銑孔の閉塞作業又は開孔作業に取りかかることで、出銑孔内の損耗を防ぐことができる。
請求項3記載の高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法において、出銑滓流の流出径(mm)の単位時間(分)当たりの変化率Δφ/Δtが−0.05以下(Δφ/Δt≦−0.05)の場合、縮径点は出銑孔の詰まりによる影響と混同される恐れがある。一方、Δφ/Δtが−0.03以上(Δφ/Δt≧−0.03)の場合、例えば、縮径点は一時的な出銑孔の閉塞による影響と混同される恐れがある。
従って、出銑終了の予測精度を高めるためには、縮径点を−0.045<Δφ/Δt<−0.03の範囲内とすることが好ましく、更には−0.045<Δφ/Δt<−0.035の範囲内とすることが好ましい。
また、拡径点のΔφ/Δtが0.03以下(Δφ/Δt≦0.03)の場合、出銑終了が一時的な出銑孔の拡径による影響と混同される恐れがある。
従って、出銑終了の予測精度を高めるためには、拡径点をΔφ/Δt>0.035とすることが好ましく、更にはΔφ/Δt>0.04とすることが好ましい。
このように、外的影響が抑制、更には除去された銑滓の流出径を求めることで、例えば、出銑終了時刻の予測精度を従来よりも高めることが可能となる。また、出銑終了時刻を精度よく予測することで、出銑滓の作業準備を出銑終了時刻に対応させて行うことが可能となる。
なお、銑滓流出径の経時変化を測定することにより、マッド材充填量の調節や、次回の出銑孔の開孔時における錐経の設定を、出銑孔径に応じて調整できるので、次回の出銑時間を延長することが可能になる。このように、出銑1回当たりでの出銑量を増やすことで、溶銑コスト削減と作業負荷軽減を図ることができる。
また、出銑孔の開孔径及び出銑の状況に応じて、マッド材充填量の調節や、次回の出銑孔の開孔時における錐経の設定を繰り返し調整することで、開孔時の出銑孔の深度も適正な状態に調整できる。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法の説明図、図2は同高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法を適用する銑滓流出径の測定装置の説明図、図3、図4は同高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法を適用して測定した時間経過に伴う銑滓流出径の変化を示す説明図である。
まず、本発明の一実施の形態に係る高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法を適用する銑滓流出径の測定装置(以下、単に測定装置ともいう)14について説明した後、本発明の一実施の形態に係る高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法について説明する。
CCDカメラ15は、出銑孔11から噴出する銑滓流12を、出銑孔11の壁面17からL1〜L2の範囲内、即ち10〜30cmの撮像領域内で撮像できるように、出銑孔11から例えば3m程度離し、撮像領域に対して例えば斜め上45度の位置に固定されている。なお、CCDカメラ15は、出銑孔11に対向する位置に配置しなければ、この噴出方向を中心として、斜め前方のいずれの位置にも配置できる。このため、CCDカメラ15は空冷ボックス18内に収納され、高輻射熱から保護されている。
このコンピュータ16は、CCDカメラ15で撮像された画像の輝度に基づいて画像処理し、予め設定した輝度以上の面積を算出できるものである。なお、予め設定した輝度以上とは、撮像した部分の最大輝度の60%以上、例えば154階調以上を意味する。
上記した各機器により得られた銑滓の流出径は、コンピュータ16の画面上で連続的なグラフとして表示され、この画面の画素数から面積を算出して、銑滓の流出径をリアルタイムに求めることができる。
まず、図1、図2に示すように、出銑孔11の前方の斜め上に配置されたCCDカメラ15により、高炉10の出銑孔11から噴出する銑滓流12を、出銑孔11の壁面17から10〜30cmの範囲内で撮像する。このとき、銑滓流12が撮像できるように、露光制御機器19によって適切な露光時間を調整する。
CCDカメラ15により撮像された銑滓流12の画像は、光ファイバー21を介してコンピュータ16へリアルタイムに送られる。
これにより、図3、図4に示すような、銑滓の流出径(mm)と出銑時間(min)との関係が得られる。なお、出銑末期までには、出銑孔11の直径が徐々に拡大していくため、銑滓の流出径も徐々に拡大していく。
このとき、出銑終了直前に、出銑滓量が高炉10の炉内で生成される造銑滓量を上回るため、炉内での銑滓の上面レベルが下がり、銑滓の流出径が小さくなる現象が現れ、その後、再び銑滓の流出径が拡大する。
上記したΔφ/Δtから拡径点Y1、Y2が得られた後、10〜30分後の時間を出銑終了時刻とする。
なお、Δφ/Δt<−0.05のときは出銑孔11に詰まりが発生したとして処理し、またΔφ/Δt>0.05のときは出銑孔11に異常損耗が発生したとして処理する。
なお、出銑終了時刻の予測が可能となった場合には、事前の出銑準備を十分に行うことができ、出銑孔11の開孔時の錐径、マッド材の充填量、充填方法、成分を変更し、出銑時間の延長を図ることができる。
これにより、出銑時間を延長することができ、その結果、出銑孔11の開孔作業又は閉塞作業の回数を従来よりも低減できるので、作業者の負担軽減及び資材の使用量削減に貢献でき、溶銑コストの低下に繋がる。
ここで使用した高炉は、炉内容積4250m3 、羽口本数36本を有するものであり、本実施例は高炉の同一の出銑孔において行った結果である。なお、本実施例における高炉の操業条件は、当日出銑量10100トン、スラグ生成量300kg/トン、送風流量6600Nm3 /minであった。
銑滓の流出径は、錐によって出銑孔を開孔した後の出銑開始直後から徐々に拡大し始めている。なお、閉塞時のマッド材の充填量は200kg、開孔に使用した錐径は70.0mmであった。
このように、銑滓の流出径は拡大し続け、銑滓の流出径が略安定する出銑時間30分以上において、出銑時間が40分を経過した後、銑滓流出径が急激に小さくなった。そして、出銑時間が50分を経過した後、銑滓流出径が急激に大きくなり、60分を経過した後、再び銑滓流出径が徐々に大きくなり始めた。
また、出銑時間が120分を経過した後、銑滓流出径が急激に大きくなり始めた。
そして、出銑時間が150分を経過した後、銑滓の流出径が縮小し、160分を経過したところで、銑滓の流出径が再度拡径し続けた。このように、銑滓の流出径が縮小した後、20分程度で出銑孔へのガス混入が激しくなり、最終的に銑滓流出径の算出が困難になると同時に、出銑孔が閉塞した。
出銑時間が40分を経過したところでは、Δφ/Δt<−0.05となっている。これは、前記した実施の形態で説明したように、出銑孔に詰まりが生じたことを示す。これにより、すぐさま開孔作業にかかることで、炉内での銑滓貯留を事前に防ぐことができ、安定操業に貢献できる。
また、出銑時間が120分を経過したところでは、Δφ/Δt>0.05となっている。これは、前記した実施の形態で説明したように、出銑孔に異常損耗が生じたことを示す。
従って、出銑終了時刻の予測は、拡径点Y1の時間を起点にし、拡径点Y1から10〜30分で出銑終了に至ることを利用して行った。
出銑孔異常損耗時のガス混入は、炉内に対して出銑孔内の浅い部分からのガス混入も促進することから、次回開孔時の出銑孔の深度が短くなり、出銑時間が短くなり易い。従って、出銑孔の閉塞間際に銑滓の流出径が縮小したときに、出銑孔の閉塞準備を開始した。この際、出銑時間と銑滓流出径の関係に基づいて、例えば、閉塞時のマッド材充填量を前回よりも増加し、また出銑孔の開孔時における錐径の縮小を行うことで、出銑時間の改善を図った。
このように、出銑時間が短く、銑滓流出径の拡大速度が速い場合には、マッド材充填量の増加や開孔時の錐径の縮小化を図ることで、図4に示すように、出銑孔11に詰まりを発生させることなく、また出銑孔11に異常損耗を発生させることなく、安定した出銑作業を実施できた。
加えて、出銑終了時刻の予測は、図3、図4に示すように、出銑終了時間の予測が妥当であるため、炉前作業者の作業負荷の軽減に貢献できることを確認できた。
Claims (3)
- 輝度を測定可能な撮像手段を使用し、高炉の出銑孔から噴出する銑滓流を、前記出銑孔の壁面から10〜30cmの範囲内で撮像し、この撮像した部分の輝度分布から最大輝度の60%以上となった部分の面積を算出して、銑滓の流出径を求めることを特徴とする高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法。
- 請求項1記載の高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法において、銑滓の流出径が一旦小さくなる縮径点、及びこの縮径点から銑滓の流出径が再度大きくなる拡径点に基づき、出銑終了時刻を予測することを特徴とする高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法。
- 請求項2記載の高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法において、銑滓の流出径の単位時間当たりの変化率をΔφ/Δtとしたとき、前記縮径点が−0.05<Δφ/Δt<−0.03、前記拡径点がΔφ/Δt>0.03を満たす点を基に、前記出銑終了時刻を予測することを特徴とする高炉出銑孔の銑滓流出径の測定方法。
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