JP2005264241A - カーボン系膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れたカーボン系膜を形成することのできるカーボン系膜形成方法を提供する。
【解決手段】 炭化水素ガスを含む反応ガスを用いてCVD法により基材の表面にカーボン系膜を形成するカーボン系膜形成方法において、前記反応ガスとして二種類以上の炭化水素ガスを用い、該炭化水素ガスの種類および配合割合の少なくとも一方を変化させて該反応ガスの組成を変化させることにより、膜厚方向において炭素濃度が異なるカーボン系膜を形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭化水素ガスを含む反応ガスを用いてカーボン系膜を形成するカーボン系膜形成方法に関する。
資源保護や環境問題等の観点から、自動車に対してさらなる燃費の向上が要求される。このため、例えば、エンジンを構成するピストンや動弁系部品等の摺動部材において、摩擦によるエネルギー損失をより一層低減することが必要となる。摺動部材の耐摩耗性の向上、摩擦係数の低減化を図るため、摺動面にCrN膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜等の硬質膜を形成する試みがなされている。なかでも、DLC膜等のカーボン系膜は、比較的低温・低圧下での成膜が可能である。このため、基材の選択の幅が広く、種々の摺動部材への適用が期待されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2004−010923号公報 特開2000−144378号公報
上述したように、DLC膜は、比較的低温・低圧下での成膜が可能である。しかし、これまでの方法で形成されたDLC膜は、低摩擦係数、耐摩耗性といった摩擦摩耗の要求性能が充分ではない。したがって、例えば、自動車のエンジン部品に適用した場合、長期間におよぶ高負荷条件下でDLC膜が摩耗し、それにより亀裂が生じて、DLC膜が基材から剥離してしまうおそれがある。
本発明は、このような実状を鑑みてなされたものであり、摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れたカーボン系膜を形成することのできるカーボン系膜形成方法を提供することを課題とする。
本発明のカーボン系膜形成方法は、炭化水素ガスを含む反応ガスを用いてCVD法により基材の表面にカーボン系膜を形成するカーボン系膜形成方法であって、前記反応ガスとして二種類以上の炭化水素ガスを用い、該炭化水素ガスの種類および配合割合の少なくとも一方を変化させて該反応ガスの組成を変化させることにより、膜厚方向において炭素濃度が異なるカーボン系膜を形成することを特徴とする。
本発明のカーボン系膜形成方法は、反応ガスとして二種類以上の炭化水素ガスを用いる。用いる炭化水素ガスの種類および配合割合の少なくとも一方を変えることで、反応ガスの組成は変化する。具体的には、炭化水素ガスの種類や、配合割合を変えることで、反応ガス中の炭素量が変化する。つまり、本発明のカーボン系膜形成方法では、炭化水素ガスの種類や、配合割合を変えて、反応ガス中の炭素量を変えながらカーボン系膜を形成する。これより、形成されたカーボン系膜中の炭素濃度は膜厚方向で異なる。よって、カーボン系膜の特性は膜厚方向で異なる。
例えば、炭素濃度が低い場合には、比較的軟質の膜となり、基材との密着性に優れる。よって、基材側の炭素濃度を低くすることにより、基材との密着性を向上させることができる。また、内部応力も緩和されるため、基材からの剥離を抑制することができる。一方、炭素濃度が高い場合には、ダイヤモンドに似た緻密で硬質な膜となる。よって、膜の最表面側の炭素濃度を高くすることにより、摩擦係数を小さくし、耐摩耗性を向上させることができる。
このように、本発明のカーボン系膜形成方法によれば、炭化水素ガスの種類、配合割合を変化させ反応ガスの組成を変化させることで、基材との密着性が良好で、かつ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れたカーボン系膜を形成することができる。また、用いる炭化水素ガスの好適な選択により、カーボン系膜を効率よく形成でき、成膜速度を速くすることができる。
本発明のカーボン系膜形成方法では、反応ガスとして二種類以上の炭化水素ガスを用い、その種類および配合割合の少なくとも一方を変化させて反応ガスの組成を変化させることにより、膜厚方向において炭素濃度が異なるカーボン系膜を形成する。膜中の炭素濃度を調整することで、基材との密着性が良好で、かつ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れたカーボン系膜を形成することができる。
以下、本発明のカーボン系膜形成方法について詳細に説明する。なお、本発明のカーボン系膜形成方法は、下記の実施形態に限定されるものではない。本発明のカーボン系膜形成方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
上述したように、本発明のカーボン系膜形成方法は、炭化水素ガスを含む反応ガスを用いてCVD法により基材の表面にカーボン系膜を形成するカーボン系膜形成方法であって、前記反応ガスとして二種類以上の炭化水素ガスを用い、該炭化水素ガスの種類および配合割合の少なくとも一方を変化させて該反応ガスの組成を変化させることにより、膜厚方向において炭素濃度が異なるカーボン系膜を形成する。
本発明のカーボン系膜形成方法では、CVD法によりカーボン系膜を形成する。CVD法としては、通常、薄膜の形成に用いられるプラズマCVD法、イオン化蒸着法等を採用すればよい。形成するカーボン系膜は、特に限定されるものではなく、例えば、DLC膜等のようなアモルファス状の膜や、ダイヤモンド構造をもつ硬質膜等が挙げられる。
カーボン系膜を形成する基材の材質は、特に限定されるものではない。例えば、摺動部材の母材となる炭素鋼、合金鋼、鋳鉄等の構造用鋼が好適である。また、基材には、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)等を含む金属膜が予め形成されていることが望ましい。カーボン系膜と基材との間に金属膜を介在させることで、カーボン系膜の基材への密着性をより向上させることができる。金属膜は、各金属の単体からなる膜でもよく、二種類以上の金属を混合して含む膜でもよい。金属膜は、イオンプレーティング法、スパッタリング法等、通常の金属膜形成方法により形成すればよい。金属膜の膜厚は、特に限定されるものではない。
反応ガスとしては、二種類以上の炭化水素ガスを用いる。炭化水素ガスの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、メタン(CH4)、エタン(C26)、アセチレン(C22)、プロパン(C38)、ブタン(C410)等が好適である。これらのガスから選ばれる二種類以上を用いればよい。なお、カーボン系膜の形成過程において、常に二種類以上の炭化水素ガスを混合して用いる必要はない。炭化水素ガスは、カーボン系膜の形成過程を通して、二種類以上用いればよい。
また、反応ガスとして、上記炭化水素ガスに加えて他のガスを用いてもよい。例えば、後の実施形態で示すように、カーボン系膜形成時の初期の段階には、水素ガスを加えることが望ましい。反応ガス中の水素量を増やすことにより、形成されるカーボン系膜中の水素原子が増え、膜が軟質化する。また、水素原子と炭素原子との結合により、カーボン系膜と基材とのなじみ性が向上し、密着性が向上する。また例えば、カーボン系膜にケイ素等を含有させる場合には、反応ガスにシラン系ガス等を加えてもよい。
本発明のカーボン系膜形成方法では、炭化水素ガスの種類および配合割合の少なくとも一方を変化させて反応ガスの組成を変化させる。反応ガスの組成を変化させるためには、炭化水素ガスの種類のみを変更してもよく、配合割合のみを変更してもよい。これらの両方を変更してもよい。炭化水素ガスの種類、配合割合は、反応ガス中に含まれる炭素量を考慮して、適宜調整すればよい。このように、反応ガスの組成を変化することで、膜厚方向に炭素濃度差をもつカーボン系膜が形成される。
カーボン系膜における炭素濃度差の態様は、特に限定されるものではない。例えば、膜厚方向において、炭素濃度が段階的に変化するよう、濃度差を階段状につけてもよく、炭素濃度が略連続的に変化するような濃度勾配をもたせてもよい。例えば、炭素濃度が、基材側からカーボン系膜の表面に向かって高くなるカーボン系膜を形成する場合には、反応ガス中の炭素量を始めは少なくし、その後増加させればよい。つまり、始めは、単位体積当たりの炭素原子数の少ない炭化水素ガス(CH4等)の配合割合を大きくし、その後、炭素原子数の多い炭化水素ガス(C38等)の配合割合を大きくしていけばよい。
本発明のカーボン系膜形成方法は、炭素(C)をターゲットとしたPVD法と併用することができる。この場合、カーボン系膜を形成する炭素は、反応ガスおよびCターゲットから供給される。PVD法には、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられる。例えば、スパッタリング法と併用する場合、真空容器内に基材とCターゲットとを配置して、反応ガスおよびアルゴン等の放電用ガスを導入する。そして、放電によりプラズマを生成させ、反応ガス中のプラズマイオン化されたC、CH等と、アルゴンイオンによりスパッタリングされCターゲットから飛び出した炭素原子とを基材に付着させて、カーボン系膜を形成すればよい。また、PVD法を併用することで、カーボン系膜にクロム、モリブデン、タングステン、チタン等の金属を含有させることができる。カーボン系膜に金属を含有させると、金属成分が、摺動時に供給される油中の添加剤と反応し、膜の摩擦摩耗特性が向上する。この場合には、例えば、Cターゲットに加え、含有させる金属のターゲットを用いてスパッタリングを行えばよい。
本発明のカーボン系膜形成方法と、炭素をターゲットとしたPVD法とを併用することで、以下の効果が得られる。第一に、プラズマイオン化されたC、CHが、Cターゲット表面に吸着することで、Cターゲット表面に電流が流れ易くなる。その結果、Cターゲットから飛来する炭素量が増加して、カーボン系膜を効率よく形成することができる。
第二に、炭化水素ガス由来の炭素は、Cターゲットから飛来した炭素どうしを結合する役割を果たす。このため、カーボン系膜を、ダイヤモンド構造に近い緻密な構造にすることができる。
第三に、プラズマイオン化されたC、CHは、Cターゲットから飛来する炭素粒子の表面に吸着する。これより、飛来する炭素粒子の粒径は大きくなる。また、粒径の大きな炭素粒子が付着し、表面張力も作用することで、形成されたカーボン系膜の表面は、微細な凹凸をもち、吸湿作用を有するため、エンジンオイル等のオイルが供給され易い状態となる。よって、摺動時における潤滑性が向上し、摩擦係数は小さくなる。さらに、凸部の炭素は、相手材にダメージを与えることなく転写される。よって、摺動時には、炭素どうしの固体潤滑効果で摩擦係数は小さくなり、耐摩耗性も向上する。
第四に、本発明のカーボン系膜形成方法では、二種類以上の炭化水素ガスを用いて反応ガスの組成を変化させる。このため、反応ガスの流量を増減することなく組成を変化させることができる。よって、容器内の圧力変動に伴うCターゲットの電圧およびバイアス電圧の変動は抑制され、形成されるカーボン系膜の品質が安定する。
第五に、スパッタリング法だけでカーボン系膜を形成する場合と比較して、膜の形成速度を速くすることができる。
本発明のカーボン系膜形成方法と、炭素をターゲットとしたPVD法とを併用する場合、Cターゲットの電圧・電流、バイアス電圧・電流、基材温度、容器内圧力等をモニタリングすることが望ましい。例えば、C38等のような分子量の大きい炭化水素ガスを用いた場合、プラズマ化により完全に分解される前のイオンが、Cターゲットに吸着する。この吸着物によって、Cターゲットの電圧−電流バランスが崩れるおそれがある。Cターゲットの電圧−電流バランスが崩れると、Cターゲットからの炭素放出量が変動し、形成されるカーボン系膜の品質に影響を与える。よって、Cターゲットの電圧等をモニタリングし、その変動に応じて適宜反応ガスの流量、組成を調整することで、より品質の安定したカーボン系膜を形成することができる。
以下、本発明のカーボン系膜形成方法の一実施形態として、スパッタリング法を併用したDLC膜の形成方法を説明する。図1にDLC膜の形成工程を示す。図1において、基材1は、図示しないCターゲット、Crターゲットとともに真空容器内に配置される。そして、適宜、放電用のアルゴン(Ar)ガスと、反応ガスとが導入される。図1に示すように、まず、(a)洗浄工程で、基材1の表面を、アルゴンイオンでエッチングして洗浄する。次に、(b)金属膜形成工程で、Crをターゲットとしたスパッタリングにより、基材1の表面に厚さ0.1〜0.2μmのCr膜2を形成する。
次に、(c)第一DLC膜形成工程で、H2、CH4からなる反応ガスが導入される。本工程では、この反応ガスと、C、Crをターゲットとしたスパッタリングとにより、第一DLC膜3を形成する。本工程における容器内のガス組成は、95%Ar−1%H2−4%CH4である。また、本工程では、Crターゲットのスパッタ出力を、時間の経過とともに減少させる。このため、第一DLC膜3のCr濃度は、Cr膜2側から第一DLC膜3の表面に向かって除々に低下する。本工程では、厚さ約0.8μmの第一DLC膜3を形成する。
次に、(d)第二DLC膜形成工程で、CH4、C38からなる反応ガスが導入される。本工程では、この反応ガスと、Cをターゲットとしたスパッタリングとにより、第二DLC膜4を形成する。本工程と、前の第一DLC膜形成工程とでは、用いる炭化水素ガスの種類および配合割合が変更される。さらに、本工程では、CH4とC38との配合割合を時間の経過とともに変更して、反応ガスの組成を炭素量が増加するよう変化させる。具体的には、本工程における容器内のガス組成は、以下(1)→(5)の順に変化する。(1)90%Ar−9%CH4−1%C38、(2)91%Ar−7%CH4−2%C38、(3)92%Ar−5%CH4−3%C38、(4)93%Ar−3%CH4−4%C38、(5)95%Ar−1%CH4−4%C38。これより、第二DLC膜4の炭素濃度は、第一DLC膜3側から第二DLC膜4の表面に向かって高くなる。また、反応ガス中のプラズマイオン化されたC、CHは、Cターゲットから飛来する炭素粒子の表面に吸着する。これより、飛来する炭素粒子の粒径は大きくなる。本工程では、厚さ約1μmの第二DLC膜4を形成する。
次に、(e)第三DLC膜形成工程で、C38からなる反応ガスが導入される。本工程では、この反応ガスと、Cをターゲットとしたスパッタリングとにより、第三DLC膜5を形成する。本工程と、前の第二DLC膜形成工程とでは、用いる炭化水素ガスの種類および配合割合が変更される。本工程における容器内のガス組成は、95%Ar−5%C38である。つまり、本工程における反応ガスの炭素量は、前の第二DLC膜形成工程よりも多い。このため、より多くのイオン化されたC、CHが吸着し、飛来する炭素粒子の粒径はより大きくなる。粒径の大きな炭素粒子が付着することで、第三DLC膜5の表面は凹凸状を呈する。本工程では、厚さ約0.2μmの第三DLC膜5を形成する。本発明のカーボン系膜は、第一DLC膜3、第二DLC膜4、第三DLC膜5から構成される。
本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。基材1には、予めCr膜2が形成される。このため、形成される第一〜第三DLC膜3〜5の基材1への密着性が向上する。また、第一DLC膜3を形成する際に水素ガスを用いたため、第一DLC膜3には水素原子が多く含まれる。このため、第一DLC膜3は軟質化して、Cr膜2との密着性が向上する。さらに、第一DLC膜3にはCrが濃度勾配をもって含まれる。これより、第一DLC膜3とCr膜2との密着性はさらに向上する。また、第二DLC膜4の炭素濃度は、第一DLC膜3側から第二DLC膜4の表面に向かって高くなる。そして、第三DLC膜5の炭素濃度は最も高い。CH4、C38からの炭素は、Cターゲットから飛来した炭素どうしを結合する役割を果たす。このため、第二DLC膜4および第三DLC膜5は、ダイヤモンド構造に近い緻密な膜となる。また、第三DLC膜5の表面は、微細な凹凸をもつ。このため、オイルの保持力が高く、摺動時の摩擦係数は小さい。
上記実施形態に基づいて、本発明のカーボン系膜形成方法により、試験片の表面にDLC膜を形成した。また、比較のため、従来の方法により、試験片の表面にDLC膜を形成した。これらの試験片の摩擦試験を行い、摩擦係数および最大摩耗深さを測定した。以下、順に説明する。
(1)実施例の試験片の作製
ブロック試験片を基材として、前出図1に示された(a)〜(e)の工程により、その摺動面にDLC膜を形成した。ブロック試験片は、SUS440C製であり、ビッカース硬さ665、表面粗さ(Ra)0.01〜0.02である。DLC膜の形成には、スパッタリング装置(株式会社神戸製鋼所製「UBMS202」)を使用した。装置内部圧力は0〜0.1Paの範囲で調整し、基材温度は約200℃とした。Cターゲット出力は0.5〜2.5kW、Crターゲット出力は0.1〜1.5kWの範囲でそれぞれ調整した。バイアス電圧は、50V〜200Vの範囲で調整した。また、導入する放電ガス、反応ガスの流量は、合わせて200ml/minとなるよう調整した。なお、反応ガスの組成は、上記実施形態に示したように変化させた。得られたブロック試験片を、実施例の試験片とした。
(2)比較例の試験片の作製
上記(1)と同様のブロック試験片を基材として、従来の方法により、その摺動面にDLC膜を形成した。従来の方法と、上記(1)の方法との相違点は、反応ガスの組成を変化させずにDLC膜を形成する点である。すなわち、反応ガスとしてCH4のみを用い、容器内のガス組成を95%Ar−5%CH4と一定とした。それ以外は、上記(1)と同様に行った。得られた試験片を比較例の試験片とした。
(3)摩擦試験
作製したブロック試験片と、相手材となるリング試験片とを、摩擦試験機(LFW−1、ファレックス社製)に設置し、摩擦試験を行った。摩擦試験の方法は以下の通りである。ブロック試験片の上から初期面圧で320MPaの荷重をかけ、ブロック試験片の摺動面とリング試験片とを当接させた状態で、リング試験片を回転速度160rpmで回転させた。ブロック試験片とリング試験片との当接部には、潤滑油(5W30ベースオイル)を80℃の油浴から供給した。試験時間は30分とした。
図2に、実施例、比較例の各試験片の摩擦係数の経時変化を示す。また、図3に、実施例、比較例の各試験片の最大摩耗深さの測定結果を示す。図2、図3には、摺動面にDLC膜を形成しなかったブロック試験片の結果も併せて示す。
図2に示すように、他の二つの試験片と比較して、実施例の試験片の摩擦係数は小さいことがわかる。また、実施例の試験片では、摩擦係数が試験開始直後から速やかに低下した。図3に示すように、他の二つの試験片と比較して、実施例の試験片では、最大摩耗深さが小さいことがわかる。つまり、実施例の試験片は摩耗し難いことがわかる。以上より、本発明のカーボン系膜形成方法によれば、摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れたカーボン系膜を形成できることが確認された。
本発明のカーボン系膜形成方法の一実施形態であるDLC膜の形成工程を示す。 摩擦係数の経時変化を示す。 最大摩耗深さの測定結果を示す。
符号の説明
1:基材 2:Cr膜 3:第一DLC膜 4:第二DLC膜 5:第三DLC膜

Claims (4)

  1. 炭化水素ガスを含む反応ガスを用いてCVD法により基材の表面にカーボン系膜を形成するカーボン系膜形成方法であって、
    前記反応ガスとして二種類以上の炭化水素ガスを用い、該炭化水素ガスの種類および配合割合の少なくとも一方を変化させて該反応ガスの組成を変化させることにより、膜厚方向において炭素濃度が異なるカーボン系膜を形成することを特徴とするカーボン系膜形成方法。
  2. 前記カーボン系膜における前記炭素濃度は、前記基材側から当該カーボン系膜の表面に向かって高くなる請求項1に記載のカーボン系膜形成方法。
  3. 炭素をターゲットとしたPVD法を併用した請求項1に記載のカーボン系膜形成方法。
  4. 前記炭化水素ガスは、CH4、C26、C22、C38、C410から選ばれる請求項1に記載のカーボン系膜形成方法。
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