JP2005263719A - ホスフィン酸エステルの製造方法 - Google Patents

ホスフィン酸エステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 効率的かつ高純度でジアルキルホスフィン酸エステルを製造する方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(I)
Figure 2005263719

(式(I)中、Xはハロゲン原子を示し、Rはアルキル基またはアリール基を示す)で表されるジハロリン酸エステルを、下記一般式(II)
Figure 2005263719

(式(II)中、R′はアルキル基を示し、一般式(I)のRと同一であっても異なっていてもよく、Yはハロゲン原子であり、一般式(I)のXと同じであっても異なっていてもよい)で表されるアルキルグリニャール試薬と反応させてジアルキル化し、下記一般式(III)
Figure 2005263719

(式(III)中、Rは一般式(I)におけるのと同義であり、、R′は一般式(II)におけるのと同義である)で表されるジアルキルホスフィン酸エステルを含有する反応液を得た後、該反応液に、エーテル化合物、アミン化合物および環状炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種のマグネシウム無機塩と錯体を形成可能な錯化剤を添加し、生成する析出物をろ別する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ホスフィン酸エステルの製造方法に関する。詳しくはジハロリン酸エステルにアルキルグリニャール試薬を作用させてジアルキル化する方法において、高収率かつ高純度で目的とするジアルキルホスフィン酸エステルを製造する製造方法に関する。本発明により得られるジアルキルホスフィン酸エステル類は、医薬、農薬、触媒、情報電子材料、難燃性樹脂添加剤などの精密化学品として有用である。
ジアルキルホスフィン酸エステルの製造方法としては、オキシ塩化リンにアルキルグリニャール試薬を作用させてジアルキル化したのち、エステル化する方法が知られているが、収率は31%程度と、実用的に不十分であった。(例えば非特許文献1参照)
一般的に知られているように、グリニャール試薬によるリン原子上のアルキル化は選択性が低く、モノアルキル体・ジアルキル体・トリアルキル体の混合物となる。また、それらのアルキル化生成物はグリニャール試薬の存在下で不安定であり、不均化反応などによりさらに複雑な生成物を与えることも知られている。
また本発明者らの検討においてジアルキルホスフィン酸エステル類のアルキル基の炭素数が小さいものは水溶性を有する場合があり、通常のグリニャール反応の後処理で実施される有機溶媒と水による抽出操作では十分な回収効率が得られないことが分かった。
よって工業的に簡便かつ回収率よく目的のジアルキルホスフィン酸エステル類を得るための製造方法が望まれている。
Zhurnal Organicheskoj Khimii(USSR), 1960年,30,p.2995
本発明は、ジアルキルホスフィン酸エステル類を工業的に使用が容易な試薬を用い、工業的に簡便な操作により効率的かつ高純度で製造できる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、ジハロリン酸エステルにアルキルグリニャール試薬を作用させてジアルキル化させる際、反応後の反応溶液に特定種類の化合物を加えた後に析出物をろ別する操作を行うことにより、高収率かつ高純度でジアルキルホスフィン酸エステルが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち本発明の要旨は、下記一般式(I)
Figure 2005263719
(式(I)中、Xはハロゲン原子を示し、Rはアルキル基またはアリール基を示す)で表
される有機リン化合物を、下記一般式(II)
Figure 2005263719
(式(II)中、R′はアルキル基を示し、一般式(I)のRと同一であっても異なっていてもよく、Yはハロゲン原子であり、一般式(I)のXと同じであっても異なっていてもよい)で表されるアルキルグリニャール試薬を用いてジアルキル化して、下記一般式(III)
Figure 2005263719
(式(III)中、Rは一般式(I)におけるのと同義であり、R′は一般式(II)におけるのと同義である)で表される化合物を含有する反応液を得た後、該反応液に、エーテル化合物、アミン化合物および環状炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種のマグネシウム無機塩と錯体を形成可能な錯化剤を添加し、生成する析出物をろ別する工程を有することを特徴とするホスフィン酸エステルの製造方法に存する。
本発明によれば、工業的に使用が容易な試薬を用い、工業的に簡便な操作により効率的かつ高純度でジアルキルホスフィン酸エステル類を製造することが可能となる。
以下、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明する。
本発明の製造方法においては、ジハロリン酸エステルにアルキルグリニャール試薬を作用させてジアルキル化させる際、反応後の反応液に、エーテル化合物、アミン化合物および環状炭化水素からなる群から選ばれる化合物を加えた後、析出物をろ別する工程を含む後処理を行い、高収率かつ高純度で目的とするジアルキルホスフィン酸エステルを得るものである。
<ジハロリン酸エステル>
本発明におけるジハロリン酸エステルは、下記一般式(I)
Figure 2005263719
で表される化合物である。
式(I)中、Xはハロゲン原子を示す。具体的には塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
Rは炭素数が1から20のアルキル基または炭素数が1から10のアリール基である。アルキル基とは直鎖状または分岐状もしくは環状のアルキル基である。アリール基とはフェニル基、ナフチル基等であり、前述のアルキル基は任意の数及び位置で置換していても良い。好ましいRとしては炭素数が1から20のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数が1から6のアルキル基である。
<ジハロリン酸エステルの製造>
本発明に用いられるジハロリン酸エステルは、一般的に知られている方法を任意に用いて合成することができる。例えば、オキシ塩化リンに1モル等量の対応するアルコールを作用させて合成できる。(例えば特許公報第2985980号参照)
この場合に使用されるアルコールは下記一般式(IV)で表される化合物である。
Figure 2005263719
R−OH (IV)
式(IV)中、Rは一般式(I)におけるRと同一の基を表す。使用されるアルコールの例としてはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどの炭素数1〜10の脂肪族モノアルコールが例示される。
アルコールの使用量は、オキシ塩化リンのモル数に対して、やや不足の方が選択率の面では有利になるが、少なすぎると反応速度や効率の観点から好ましくないため、通常0.01モル以上、好ましくは0.05モル以上、より好ましくは0.1モル以上の範囲で用いられる。またオキシ塩化リンの3つの塩素基のうち一つのみをアルコールに置換する必要があるので、必要最小量におさえるほうが好ましく、通常10モル以下、好ましくは5モル以下、より好ましくは2モル以下の範囲で用いられる。
この反応は発熱反応であり、反応温度の制御を容易にするために溶媒を使用して反応させることができる。溶媒種としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、等のエーテル類等を使用することができる。このうち好ましくはジイソプロピルエーテルまたはヘキサンであり、より好ましくはジイソプロピルエーテルである。
また無溶媒で反応を行うことも可能である。ただし無溶媒反応の場合、原料オキシ塩化リンの融点が1.25℃であるため、反応温度はそれ以上に設定する必要がある。無溶媒反応は反応後の濃縮・蒸留操作が簡便になる点では有利であるが、反応熱の制御の点からは溶媒を使用する方が安全であり好ましい。
副生する塩化水素の補捉剤としてトリエチルアミンやピリジンなどの塩基を共存させて反応させる方法も有効である。(例えばSynthesis, 311,1993参照)塩基の使用量は、使用するアルコールのモル数に対して、通常モル0.01モル以上、好ましくは0.05モル以上、より好ましくは0.1モル以上の範囲で用いられ、通常100モル以下、好ましくは50モル以下、より好ましくは10モル以下の範囲で用いられる。
この反応の反応温度は、通常−80℃以上、好ましくは−40℃以上であり、上限としては、通常、100℃以下、好ましくは50℃以下である。反応時間は反応の規模及び温度等にもよるが、通常、0.01時間以上、好ましくは0.1時間以上行われ、通常、24時間以内、好ましくは12時間以内に完了する。
これらの方法により得られるジハロリン酸エステルは、そのまま次工程である本発明の反応に使用することもできるが、蒸留精製してから使用することもできる。とくにハロリン酸ジエステルが副生している場合には、これを除去するために蒸留精製することが好ましい。
また塩基を使用してジハロリン酸エステルを合成した場合には塩が析出することがあるが、その析出塩はろ過により除去すればよい。またこれを蒸留単離する場合、ろ液中に塩が極微量でも残存しているとジハロリン酸エステルの一部が分解することがあるので蒸留せずに次工程に供する方が好ましい。塩基を使用せずにオキシ塩化リンとアルコールとを反応させて得られたジクロロリン酸エステルは、蒸留精製しても分解は起こらない。
<アルキルグリニャール試薬>
本発明におけるアルキルグリニャール試薬とは、下記一般式(II)
Figure 2005263719
で表されるものである。
式(II)中、R′はアルキル基である。具体的には前述の一般式(I)におけるRで例示したものと同じ種類の基が使用できる。好ましくは炭素数が1から20のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数が1から6のアルキル基である。R′は一般式(I)におけるRと同じであっても異なっていてもよい。
Yはハロゲン原子である。具体的には前述の一般式(I)におけるXで例示したものと同じ種類の基が使用でき、好ましくは塩素原子、臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。Yは一般式(I)におけるXと同じであっても異なっていてもよい。
本発明において使用されるアルキルグリニャール試薬は、市販の試薬溶液をそのまま用いることもでき、また調製して使用することもできる。アルキルグリニャール試薬を調製する場合には、対応するアルキルハライドとマグネシウム金属とから、一般的に知られた公知の方法で反応させて調製する。得られたアルキルグリニャール試薬は、公知の手法(例えば、Reagent for Organic Synthesis,,415、1967等)に則り含有濃度の定量を行い、反応に使用する。
アルキルグリニャール試薬の使用量は、ジハロリン酸エステルのモル数に対して、通常1.7モル以上、好ましくは1.8モル以上、より好ましくは1.9モル以上の範囲で用いられ、通常10.0モル以下、好ましくは5.0モル以下、より好ましくは3.0モル以下の範囲で用いられる。
<ジハロリン酸エステルとアルキルグリニャール試薬との反応>
本反応は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施される。
本反応に使用される溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等
の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエーテル類などが例示される。好もしくはエーテル類溶媒であり、より好ましくはテトラヒドロフランである。
これらの溶媒は2種以上を混合して用いることもできる。またアルキルグリニャール試薬の市販試薬を使用する場合には、市販試薬はジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどの溶液になっているので、それらの溶媒が本反応系に混入することになるが特に問題はない。
これらの溶媒は蒸留や脱水剤などにより脱水処理して使用する方が好ましいが、市販の工業品であっても新品であれば使用に問題ないことが多い。
溶媒の使用量はジハロリン酸エステルの重量に対し、通常0.01倍以上、好ましくは0.1倍以上であり、100倍以下、好ましくは50倍以下である。
本反応におけるジハロリン酸エステルとアルキルグリニャール試薬の接触のさせ方としては、一般的に用いられる手法が適用できる。すなわち、反応容器にジハロリン酸エステルと必要に応じて溶媒とを仕込み、所定の温度に冷却したところへアルキルグリニャール試薬を添加する方法が一般的である。
しかしジハロリン酸エステルとアルキルグリニャール試薬のモル比とを特定の範囲に保持しながら反応させると、より高収率、高選択率で目的のジアルキルホスフィン酸エステルを得ることができるのでより好ましい反応方法である。なぜなら、反応中に大過剰量のアルキルグリニャール試薬が存在すると、原料のジハロリン酸エステルやジアルキル化生成物と反応して、エステル部位の脱離や不均化などの副反応を起こし、目的物の収率や純度を低下させるからである。
本反応はジアルキル化なので、ジハロリン酸エステルに対するアルキルグリニャール試薬の理論必要モル量は2モル等量である。よって、アルキル化反応が速やかに進行する反応条件下で、ジハロリン酸エステルとアルキルグリニャール試薬の容器内存在モル比が常に1/2になるように添加することが、余剰のアルキルグリニャール試薬を残さないという点において、理論上最も効率よく所望のアルキル化体を得ることができる条件と考えられる。
そこでアルキル化反応が速やかに進行する反応条件下で、反応容器中のジハロリン酸エステルとアルキルグリニャール試薬との存在モル比をより最適値に近い範囲に制御しながら添加すると、添加したアルキルグリニャール試薬はジハロリン酸エステルとの所望の反応によって速やかに消費されるので、余計な副反応が抑制され、目的のジアルキルホスフィン酸エステルを高収率かつ高純度で製造することが可能となる。
ここで特定の範囲とは、ジハロリン酸エステルとアルキルグリニャール試薬とのモル比が(I)/(II)=10/1〜1/5の範囲であり、好ましくは10/1〜1/3の範囲である。
ジハロリン酸エステル(I)とアルキルグリニャール試薬(II)のモル比の制御は任意の方法で実施することが可能である。例えば、回分式反応器において、1)溶媒などを仕込み反応が充分進行する温度に保持した容器中に、それぞれ別の導入口からジハロリン酸エステルとアルキルグリニャール試薬とを所定量に制御して添加しながら反応させることで実施できる。また、2)反応容器にジハロリン酸エステルを仕込んだところへアルキルグリニャール試薬を、所定のモル比になるように制御して添加することでも実施できるが、その逆、すなわち、3)アルキルグリニャール試薬を仕込んだ反応容器にジハロリン
酸エステルを添加する手法では、所定のモル比を達成することができないので、目的物の収率や純度が低下するため不適である。これらの手法のうち1)の手法で製造することが、よりモル比の制御が簡便に行えるため好ましい。
本反応では試剤の添加開始をもって反応開始とする。ジハロリン酸エステルやアルキルグリニャール試薬の添加時間は、反応の規模及び温度等にもよるが、通常、0.01時間以上、好ましくは0.1時間以上行われ、通常、24時間以内、好ましくは12時間以内に添加は完了する。ジハロリン酸エステルやアルキルグリニャール試薬の添加終了後は、直ちに反応停止操作を行っても良いが、反応をより押し切るために、さらに攪拌を継続する(熟成させる)ことが好ましい。その熟成に要する時間は特に制限はなく任意の時間で実施することができるが、通常24時間以内、好ましくは12時間以内に熟成は完了する。
ジハロリン酸エステルやアルキルグリニャール試薬の添加時の温度は、本アルキル化反応が充分速やかに進行する温度に設定する。通常−80℃以上、好ましくは−40℃以上であり、上限としては、通常、100℃以下、好ましくは50℃以下である。添加終了後の熟成温度も上記と同じ範囲で実施される。
反応装置には特に制限はないが、ジハロリン酸エステルやアルキルグリニャール試薬の添加量制御が簡便な回分式反応器が好ましい。回分式反応装置を使用する場合には、反応容器内に生成物のジアルキルホスフィン酸エステルが徐々に蓄積し、引き続き添加されるアルキルグリニャール試薬と接触することになるが、共存するジハロリン酸エステルの方がアルキルグリニャール試薬との反応性が充分高いので、ジアルキルホスフィン酸エステルの分解や変質は非常に起こりにくく、大きな問題にはならない。
<ジアルキルホスフィン酸エステルの生成>
上記方法により、下記一般式(III)で表されるジアルキルホスフィン酸エステルが生成する。
Figure 2005263719
式(III)中、Rは一般式(I)におけるのと同義であり、R′は一般式(II)におけるのと同義である。
反応の終点はジハロリン酸エステルおよび中間生成物のモノアルキル化物の消失をガスクロマトグラフィーによる分析で確認して行う。反応終了後、余剰のアルキルグリニャール試薬を失活させるために反応液に失活剤を添加する。失活剤としては通常、水、飽和食塩水、飽和塩化アンモニウム水溶液、塩酸・硫酸などの酸水溶液、アンモニア水などの希アルカリ水溶液、メタノール・エタノールなどのアルコール類が例示される。好ましくは水またはアルコール類であり、より好ましくは水、エタノール、メタノールである。
失活剤の添加量は、反応の進行状況やアルキルグリニャール試薬の使用量にもよるが、使用したアルキルグリニャール試薬のモル数に対して、通常モル0.01モル以上、好ましくは0.05モル以上、より好ましくは0.1モル以上の範囲で用いられ、通常100モル以下、好ましくは50モル以下、より好ましくは10モル以下の範囲で用いられる。
失活剤の添加温度は、ジハロリン酸エステルやアルキルグリニャール試薬の添加時の温度と同じ範囲で実施できるが、より好ましい上限は20℃以下である。
この処理の後、後述する錯化剤を添加する前に、反応で用いた溶媒を留去する処理を行うのが好ましい。
<ジアルキルホスフィン酸エステルの単離>
本発明で得られるジアルキルホスフィン酸エステルは高極性物質であり、特にそのアルキル基やエステル部位がメチル基やエチル基のように炭素数の小さい置換基である化合物、例えばジエチルホスフィン酸エチルのような化合物の場合には、極めて水溶性が高い。よって通常グリニャール反応後に実施される水洗浄のような後処理を行うと、水層への目的物のロスが大きく、充分な収量が得られない。
そこで、本発明においては、余剰アルキルグリニャール試薬の失活が終わった反応液に、マグネシウム無機塩と錯体を形成するような錯化剤を添加し、析出したマグネシウム錯体をろ別して、得られる溶液から濃縮や蒸留によってジアルキルホスフィン酸エステルを単離する手法を行う。
本発明の方法において、上記錯化剤としては、エーテル化合物、アミン化合物および環状炭化水素からなる群から選ばれる化合物が使用できる。
エーテル化合物としては、1,4−ジオキサン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、1,2−ジメトキシエタンなどが例示される。アミン化合物としては、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどの含窒素芳香族類、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンなどのアルキルアミン類などが例示される。このうち好ましくは1,4−ジオキサン、ジグライム、ピリジン、シクロヘキサンであり、より好ましくは1,2−ジメトキシエタン、ピリジン、シクロヘキサンであり、最も好ましくはピリジン、シクロヘキサンである。またこれらの錯化剤を複数、任意の比率で組み合わせて使用することもできる。
錯化剤の添加量は、仕込みに使用したアルキルグリニャール試薬のモル数に対して、通常0.01モル以上、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは1モル以上の範囲で用いられ、通常100モル以下、好ましくは50モル以下、より好ましくは10モル以下の範囲で用いられる。
錯化剤の添加温度は通常−80℃以上、好ましくは−40℃以上であり、上限としては、通常、100℃以下、好ましくは50℃以下である。
錯化剤を添加して錯体を形成させるのに必要な時間は、通常、0.01時間以上、好ましくは0.1時間以上行われ、通常、24時間以内、好ましくは12時間以内に錯化は完了する。
マグネシウム錯体は通常のろ過操作により単離することができる。その際、マグネシウム錯体は有機溶媒に溶解する場合もあるので、マグネシウム錯体ろ別後の溶液を最少量の水及び/又は食塩水で洗浄除去してから蒸留を行っても良い。この際に使用される食塩水の濃度には特に制限はなく、飽和濃度でも希薄濃度ででも使用することができる。この洗浄工程では、溶解度5〜15%の濃度の食塩水での洗浄が好ましい。
この場合の水及び/又は食塩水の使用量は、ジアルキルホスフィン酸エステルの重量に対し、通常0.01倍以上、好ましくは0.1倍以上であり、上限が通常50倍以下、好ましくは10倍以下である。
グリニャール反応溶媒にテトラヒドロフランのような水溶性溶媒を使用した場合には、テトラヒドロフランを留去し、非水溶性溶媒に置換してから錯化剤を添加してもよい。非水溶性溶媒としては、ジアルキルホスフィン酸エステルを溶解するものであれば特に限定されないが、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエ
ーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類などが例示される。
ジアルキルホスフィン酸エステルの蒸留方法には特に制限はなく、通常の蒸留方法が実施できる。生成物の確認は、必要に応じて、ガスクロマトグラフィー等による分析により行うことができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。
<GC分析条件>
カラム:ヒューレットパッカード HP−5 0.32mm、25m、0.52μm
キャリアーガス:ヘリウム
検出器:FID
検出器温度:200℃
注入口温度:200℃
カラム槽温度:初期温度 50℃
昇温速度 10℃/分
最終温度 250℃
注入量:0.2μL(1%トルエン溶液)
参考例1(原料ジクロロリン酸エチルの製造、イソプロピルエーテル溶媒)
窒素雰囲気下、滴下ロート、温度計、マグネット攪拌器を付した200mL三口フラスコに、オキシ塩化リン25.21g(164mmol)とジイソプロピルエーテル75mLを仕込み、内温を−5℃に保持した。滴下ロートに、エタノール6.32g(137mmol)とジイソプロピルエーテル35mLの混合溶液を仕込み、内温を−5±3℃に保持しながら55分かけて滴下した。同温で1時間攪拌したのち、徐々に室温まで昇温した。
その反応液を90〜95℃の油浴で加熱して、ジイソプロピルエーテルを留去した。この操作により、反応液中に溶解していた塩化水素が気化により除去された。
続けて減圧蒸留を行い、留出温度74度、減圧度25mmHg、オイルバス温90℃で、ジクロロリン酸エチル17.3g(純度99.1%)を無色オイルとして得た。収率77%。(エタノール基準)その他にはクロロリン酸ジエチルが0.9%含まれていた。
参考例2(原料ジクロロリン酸エチルの製造、無溶媒)
窒素雰囲気下、滴下ロート、温度計、マグネット攪拌器を付した50mL三口フラスコに、オキシ塩化リン25.43g(166mmol)を仕込み、内温を5℃に保持した。滴下ロートに、エタノール5.49g(119mmol)を仕込み、内温を5±3℃に保持しながら30分かけて滴下した。同温で30分攪拌したのち、徐々に室温まで昇温した。
その反応液を75℃の油浴で加熱して、反応液中に溶解していた塩化水素を気化により除去した。
続けて減圧蒸留を行い、留出温度68〜73度、減圧度25mmHg、オイルバス温90℃で、ジクロロリン酸エチル14.6g(純度97.8%)を無色オイルとして得た。収率75%。(エタノール基準)その他にはクロロリン酸ジエチルが2.2%含まれていた。
実施例1
窒素雰囲気下、滴下ロート2つ、温度計、マグネット攪拌器を付した100mL四口フ
ラスコに、テトラヒドロフラン6.5mLを仕込み、攪拌しながら内温−10℃に保持した。1つの滴下ロートに、ジクロロリン酸エチル1.01g(東京化成工業(株)製,純度95%,純分として5.89mmol)のテトラヒドロフラン6.5mL溶液を仕込み、もう一方の滴下ロートにエチルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製、2mol/L溶液)7mL(14mmol)を仕込んだ。内温を−10±3℃に保持するように、両方の滴下ロートからそれぞれの溶液を30分かけて滴下した。このとき両溶液の滴下は同時に開始され、ほぼ同時に終了した。その間、滴下速度はほぼ一定で実施された。
滴下終了後、内温−10℃で1時間攪拌したのち、内温20℃に昇温して30分攪拌した。内温5℃に冷却し、エタノール0.2g(4.3mmol)を添加して30分間攪拌した。徐々に昇温し、内温20℃でさらに10分間攪拌したのち、トルエン25mLを加え、減圧下でテトラヒドロフランを留去した。得られたトルエン溶液を内温5℃に冷却し、ピリジン2.22g(28.1mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。得られた白色スラリーをろ過し白色沈殿をろ別、沈殿をトルエン10mLで洗浄しろ液と合わせた。そこへ13%食塩水5mL(生成したジエチルホスフィン酸エチルの重量に対し5倍)を加えて洗浄後、有機層を分離した。残った水層に酢酸エチル35mLを加え抽出し、有機層を先のトルエン層と合わせた。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して無色オイル0.682gを得た。ガスクロマトグラフィーの内部標準法により定量分析したところ、ジエチルホスフィン酸エチルが純度91.9wt%で含まれていた。収率(ジクロロリン酸エチル基準)は70.6%であった。その他にはエチルホスホン酸ジエチルが5.2wt%含まれていた。
またジエチルホスフィン酸エチルの物理化学的性状は以下の通りである。
b.p.:97℃/20mmHg
MS(EI):150(M+)、122、93、65
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):0.97(m,C 3CH2−P
,6H)、1.12(m,C 3CH2−O,3H)、1.52(m,CH3 2−P,4H)、3.89(m,CH3 2−O,)
31P−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):60.0
実施例2
窒素雰囲気下、滴下ロート、温度計、マグネット攪拌器を付した100mL四口フラスコに、テトラヒドロフラン13mL、ジクロロリン酸エチル1.01g(東京化成工業(株)製,純度95%,純分として5.9mmol)を仕込み、攪拌しながら内温−10℃に保持した。滴下ロートに、エチルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製、2mol/L溶液)7.0mL(14mmol)を仕込み、内温を−10±3℃に保持しながら50分かけて滴下した。
滴下終了後、内温−10℃で3時間攪拌したのち、同温のままでエタノール0.2g(4.3mmol)を添加し、10分間攪拌した。徐々に昇温し、内温20℃でさらに10分間攪拌したのち、トルエン25mLを加え、減圧下でテトラヒドロフランを留去した。得られたトルエン溶液を内温5℃に冷却し、ピリジン2.22g(28.1mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。得られた白色スラリーをろ過し白色沈殿をろ別、沈殿をトルエン10mLで洗浄しろ液と合わせた。そこへ13%食塩水5mL(生成したジエチルホスフィン酸エチルの重量に対し5倍)を加えて洗浄後、有機層を分離した。残った水層に酢酸エチル35mLを加え抽出し、有機層を先のトルエン層と合わせた。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して無色オイル0.649gを得た。ガスクロマトグラフィーの内部標準法により定量分析したところ、ジエチルホスフィン酸エチルは92.7wt%で含まれていた。収率(ジクロロリン酸エチル基準)は67.9%であった。その他にはエチルホスホン酸ジエチルが5.6wt%含まれていた。
実施例3
窒素雰囲気下、滴下ロート、温度計、マグネット攪拌器を付した100mL四口フラスコに、テトラヒドロフラン6.5mL、エチルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製、2mol/L溶液)7.0mL(14mmol)を仕込み、攪拌しながら内温−10℃に保持した。滴下ロートに、ジクロロリン酸エチル1.01g(東京化成工業(株)製,純度95%,純分として5.9mmol)のテトラヒドロフラン6.5mL溶液を仕込み、内温を−10±3℃に保持しながら50分かけて滴下した。
滴下終了後、内温−10℃で3時間攪拌したのち、同温のままでエタノール0.2g(4.3mmol)を添加し、10分間攪拌した。徐々に昇温し、内温20℃でさらに10分間攪拌したのち、トルエン25mLを加え、減圧下でテトラヒドロフランを留去した。得られたトルエン溶液を内温5℃に冷却し、ピリジン2.22g(28.1mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。得られた白色スラリーをろ過し白色沈殿をろ別、沈殿をトルエン10mLで洗浄しろ液と合わせた。そこへ13%食塩水5mL(生成したジエチルホスフィン酸エチルの重量に対し5倍)を加えて洗浄後、有機層を分離した。残った水層に酢酸エチル35mLを加え抽出し、有機層を先のトルエン層と合わせた。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して無色オイル0.602gを得た。ガスクロマトグラフィーの内部標準法により定量分析したところ、ジエチルホスフィン酸エチルは85.5wt%であり、副生物としてはエチルホスホン酸ジエチル、リン酸トリエチルおよびトリエチルホスフィンオキサイドがそれぞれ7.6wt%、1.4wt%、4.1wt%含まれていた。ジエチルホスフィン酸エチルの収率(ジクロロリン酸エチル基準)は58.1%であった。
実施例4
窒素雰囲気下、滴下ロート2つ、温度計、マグネット攪拌器を付した500mL四口フラスコに、テトラヒドロフラン97.5mLを仕込み、攪拌しながら内温−10℃に保持した。1つの滴下ロートに、参考例1で製造したジクロロリン酸エチル15.0g(純分として91.2mmol)のテトラヒドロフラン97.5mL溶液を仕込み、もう一方の滴下ロートにエチルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製、2mol/L溶液)105mL(210mmol)を仕込んだ。内温を−10±3℃に保持するように、両方の滴下ロートからそれぞれの溶液を110分かけて滴下した。
このとき両溶液の滴下は同時に開始され、ほぼ同時に終了した。その間、滴下速度はほぼ一定で実施された。それぞれの平均滴下速度は、ジハロリン酸エステルが0.83mmol/min、アルキルグリニャール試薬が1.91mmol/minとなり、そのモル比は0.4/1に相当する。
滴下終了後、内温−10℃で1時間攪拌したのち、内温20℃に昇温して30分攪拌した。内温5℃に冷却し、エタノール2.95g(64.0mmol)を添加して30分間攪拌した。徐々に昇温し、内温20℃でさらに10分間攪拌したのち、減圧下でテトラヒドロフランを留去した。トルエン375mLを加え、内温5℃に冷却し、ピリジン33.3g(421mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。得られた白色スラリーをろ過し白色沈殿をろ別、沈殿をトルエン75mLで洗浄しろ液と合わせた。そこへ飽和食塩水37.5mLと水37.5mLを加えて洗浄後、有機層を分離した。残った水層に酢酸エチル350mLを加え抽出し、有機層を先のトルエン層と合わせた。減圧下濃縮して淡黄色オイル12.448gを得た。ガスクロマトグラフィーの内部標準法により定量分析したところ、ジエチルホスフィン酸エチルが純度78.0wt%で含まれていた。収率(ジクロロリン酸エチル基準)は70.9%であった。 その他にはエチルホスホン酸ジエチルが4.5wt%含まれていた。
この淡黄色オイルを、ジャケット付きのVigrew管を設置した蒸留装置を用いて減圧蒸留し、留出温度97度、減圧度20mmHg、オイルバス温130℃で、ジエチルホスフィン酸エチル6.89g(純度99.9wt%)を無色オイルとして得た。収率ジクロロリン酸エチル基準)は50.3%であった。
比較例1
窒素雰囲気下、滴下ロート2つ、温度計、マグネット攪拌器を付した100mL四口フラスコに、テトラヒドロフラン6.5mLを仕込み、攪拌しながら内温−10℃に保持した。1つの滴下ロートに、ジクロロリン酸エチル1.12g(東京化成工業(株)製,純度95%,純分として6.5mmol)のテトラヒドロフラン6.5mL溶液を仕込み、もう一方の滴下ロートにエチルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製、2mol/L溶液)6.9mL(13.8mmol)を仕込んだ。内温を−10±3℃に保持するように、両方の滴下ロートからそれぞれの溶液を60分かけて滴下した。
このとき両溶液の滴下は同時に開始され、ほぼ同時に終了した。その間、滴下速度はほぼ一定で実施された。それぞれの平均滴下速度は、ジハロリン酸エステルが0.108mmol/min、アルキルグリニャール試薬が0.23mmol/minとなり、そのモル比は0.47/1に相当する。
滴下終了後、内温−10℃で1時間攪拌したのち、内温20℃に昇温して30分攪拌した。内温5℃に冷却し、エタノール0.63g(13.7mmol)を添加して30分間攪拌した。徐々に昇温し、内温20℃でさらに10分間攪拌したのち、減圧下でテトラヒドロフランを留去した。得られた白色スラリーをろ過し白色沈殿をろ別、沈殿を5℃に冷却した酢酸エチル4mLで洗浄しろ液と合わせた。それに酢酸エチル6mLを追加してから、水5mLを加えて洗浄後、有機層を分離した。残った水層に酢酸エチル10mLを加え抽出し、有機層を合わせた。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して無色オイル0.667gを得た。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ジエチルホスフィン酸エチルが90.7%、エチルホスホン酸ジエチルが7.9%、、リン酸トリエチルが0.3%、トリエチルホスフィンオキサイドが1.1%で含まれていた。ジエチルホスフィン酸エチルの収率(ジクロロリン酸エチル基準)は62%であった。
比較例2
窒素雰囲気下、滴下ロート、温度計、マグネット攪拌器を付した50mL三口フラスコに、テトラヒドロフラン6.5mL、ジクロロリン酸エチル1.00g(東京化成工業(株)製,純度95%,純分として5.8mmol)を仕込み、攪拌しながら内温5℃に保持した。滴下ロートに、エチルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製、2mol/L溶液)6.5mL(14mmol)およびテトラヒドロフラン6.5mLを仕込み、内温を5±3℃に保持しながら60分かけて滴下した。
滴下終了後、内温5℃で1時間攪拌したのち昇温し、内温20℃で1時間攪拌した。内温5℃に冷却し、エタノール0.63g(13.7mmol)を添加し、10分間攪拌した。徐々に昇温し、内温20℃でさらに10分間攪拌したのち、析出した白色沈殿をろ別、沈殿を酢酸エチル4mLで洗浄しろ液と合わせた。そこへ水5mLを加えて洗浄後、有機層を分離した。残った水層に酢酸エチル10mLを加え抽出し、有機層を先のトルエン層と合わせた。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して無色オイル0.276gを得た。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ジエチルホスフィン酸エチルが84.2%、エチルホスホン酸ジエチルが8.8%、、リン酸トリエチルが0.1%、トリエチルホスフィンオキサイドが1.3%で含まれていた。ジエチルホスフィン酸エチルの収率(ジクロロリン酸エチル基準)26.5%であった。
比較例3
窒素雰囲気下、滴下ロート、温度計、マグネット攪拌器を付した50mL三口フラスコに、ジエチルエーテル6.5mL、エチルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製、2mol/L溶液)6.5mL(13mmol)を仕込み、攪拌しながら内温−5℃に保持した。滴下ロートに、ジクロロリン酸エチル1.00g(東京化成工業(株)製,純度95%,純分として5.9mmol)のジエチルエーテル6.5mL溶液を仕込み、内温を−5±3℃に保持しながら30分かけて滴下した。
滴下終了後、内温−5℃で10分攪拌したのち、内温5℃に昇温して3時間、つづいて内温20℃で1時間攪拌した。内温5℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム10mLを添加して30分間攪拌したところ、白色ガム状析出物が沈殿した。上澄み液をデカントで取り出し、沈殿をジエチルエーテル10mLで洗い、上澄み液と合わせた。水5mL、続いて飽和食塩水10mLで洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、固体の混じった無色オイル23mgを得た。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ジエチルホスフィン酸エチルが76.5%、エチルホスホン酸ジエチルが13.7%、、リン酸トリエチルが5.4%、トリエチルホスフィンオキサイドが4.4%で含まれていた。ジエチル
ホスフィン酸エチルの収率(ジクロロリン酸エチル基準)は2.0%であった。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 2005263719
    (式(I)中、Xはハロゲン原子を示し、Rはアルキル基またはアリール基を示す)で表されるジハロリン酸エステルを、下記一般式(II)
    Figure 2005263719
    (式(II)中、R′はアルキル基を示し、一般式(I)のRと同一であっても異なっていてもよく、Yはハロゲン原子であり、一般式(I)のXと同じであっても異なっていてもよい)で表されるアルキルグリニャール試薬と反応させてジアルキル化し、下記一般式(III)
    Figure 2005263719
    (式(III)中、Rは一般式(I)におけるのと同義であり、、R′は一般式(II)におけるのと同義である)で表されるジアルキルホスフィン酸エステルを含有する反応液を得た後、該反応液に、エーテル化合物、アミン化合物および環状炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種のマグネシウム無機塩と錯体を形成可能な錯化剤を添加し、生成する析出物をろ別する工程を有することを特徴とするホスフィン酸エステルの製造方法。
  2. エーテル化合物、アミン化合物および環状炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が1,2−ジメトキシエタン、ピリジンおよびシクロヘキサンから選ばれるものである、請求項1に記載のホスフィン酸エステルの製造方法。
  3. 一般式(II)におけるRおよびR′がエチル基である、請求項1または2に記載のホスフィン酸エステルの製造方法。
  4. さらに、析出物をろ別した後のろ液を水及び/又は食塩水で洗浄する工程を有する、請求項1から3のいずれかに記載のホスフィン酸エステルの製造方法。
  5. 洗浄時の水及び/又は食塩水の使用量が、一般式(I)で表される化合物の重量に対し、0.01倍以上50倍以下である、請求項4に記載のホスフィン酸エステルの製造方法。


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