JP3572352B2 - アリルホスホン酸エステル化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なアリルホスホン酸エステル類及びその簡便な製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
アリルホスホン酸エステル類は、その基本骨格が天然に見出され、酵素などと作用することにより、それ自身が生理活性を示すことが知られている。また、同化合物を出発原料として用い、例えば、カルボニル化合物への付加反応により、効率よくHorner−Emmons反応が達成されることから、天然物に多く存在するポリエン類の合成手法として広く用いられている。
【0003】
このようなアリルホスホン酸エステルを炭素−リン結合の生成を伴って合成する方法としては、一般的に、対応するアリルハライド類をトリアルキルホスファイトで置換する方法が知られている。しかし、この方法では、反応に伴って等モル量の別のハライド化合物が発生するだけでなく、このように新たに生成するハライド類もトリアルキルホスファイトと反応することが可能であるため、副生成物が大量に生じるなどの欠点が知られている。また、この方法では得られるアリルホスホン酸エステルは非環式ものであり、塩基が存在する条件下では、異性化などが伴うことが多く、その単離精製には多大な労力が必要であり、また反応活性が低いという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、第2級環状ホスホン酸エステルを出発原料に用いることによって、アリルホスホン酸エステル化合物を簡便に製造できる方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した問題点を回避するために、容易に入手可能な第2級環状ホスホン酸エステルとアレン類を好ましくは特定触媒の存在下で反応させると、付加反応が進行し、高収率・高選択率で新規なアリルホスホン酸エステルを与えることを見出し、これらの事実に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明によれば、第一に、一般式 (II)
R 1 R 2 C=C=CR 3 R 4 (II)
(式中、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で表されるアレン化合物に、一般式 (III)
HP(O)[OC(R 5 R 6 )C(R 7 R 8 )O)] (III)
(式中、R 5 ,R 6 、R 7 およびR 8 は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す。)で表される環状第2級ホスホン酸エステルを反応させることを特徴とする、一般式 (I)
R 1 R 2 C = CHCR 3 R 4 { P(O)[OC(R 5 R 6 )C(R 7 R 8 )O)] } (I)
(R 1 乃至R 8 は前記と同じ。)で表されるアリルホスホン酸エステル化合物の製造方法が提供される。
第二に、第一の製造方法において、触媒として、周期律表第10族から選ばれた少なくとも1種の金属触媒を使用することを特徴とするアリルホスホン酸エステル化合物の製造方法。
第三に、第一又は第二の製造方法において、金属触媒がパラジウム触媒であることを特徴とするアリルホスホン酸エステル化合物の製造方法が提供される。
【0007】
本発明で得られる前記一般式( I )で表されるアリルホスホン酸エステルは環状エステル構造を有する化合物であり、炭素−炭素結合生成試剤例えば医薬・農薬などの生理活性物質の合成中間体として有用である。また、一般的に環状構造を有することにより、類似の非環状化合物に比べ、化合物の反応活性(加水分解によるホスホン酸への変換など)が著しく向上し、同アリル環状ホスホン酸エステルを用いることにより、通常では、進行しにくい若しくは進行しない化学変換を、より温和な条件下で効率よく進行させることができるものと期待される。
【0008】
本発明の前記一般式(I)で表されるアリルホスホン酸エステル化合物は、前記一般式(II)で表されるアレン化合物に、前記一般式(III)で表される環状第2級ホスホン酸エステルを反応させることにより簡単に合成することができる。
【0009】
本発明において反応原料として用いるアレン化合物は、前記一般式(I)で示されるが、式中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基から選ばれる1価の基を示す。
【0010】
前記アルキル基の炭素数は1〜18、好ましくは1〜10である。その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、デシルなどが例示される。
前記シクロアルキル基の炭素数は5〜18,好ましくは5〜10である。その具体例としては、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシルなどが例示される。
【0011】
前記アリール基の炭素数は6〜14、好ましくは6〜10である。その具体例としては、フェニル、ナフチル、それらの置換体(トリル、キリシル、ベンジルフェニルなど)が例示される。
前記アラルキル基の炭素数は7〜13、好ましくは7〜9である。その具体例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルベンジル、ナフチルメチルなどが例示される。
【0012】
また、前記R1、R2、R3及びR4は、さらに反応に不活性な官能基、例えば、メトキシ、メトキシカルボニル、シアノ、ジメチルアミノ、フルオロなどで置換されてもよい。
【0013】
本発明で好ましく用いられるアレン化合物を例示すると、メチルアレン、ブチルアレン、シクロヘキシルアレン、フェニルアレン、ジメチルアレン、ジフェニルアレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
本発明においてもう一つの反応原料として用いる第2級環状ホスホン酸エステルは、下記一般式(II)で表されるものであるが、式中、R5,R6、R7およびR8は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す。
【0015】
前記アルキル基の炭素数は1〜6、好ましくは1〜4である。その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ヘキシルなどが例示される。
前記シクロアルキル基の炭素数は3〜12,好ましくは5〜6である。その具体例としては、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシルなどが例示される。
前記アリール基の炭素数は6〜14、好ましくは6〜12である。その具体例としては、フェニル、ナフチル、それらの置換体(トリル、キリシル、ベンジルフェニルなど)が例示される。
【0016】
本発明の反応を効率よく生起させるには、触媒を使用することが好ましい。このような触媒としては周期律表第10族から選ばれる少なくとも1種の金属触媒が挙げられ、具体的には、ニッケル、パラジウム、白金などが例示される。本発明において特に好ましく使用される触媒はパラジウム触媒である。
これらの触媒は種々の構造のものを用いることができるが、好適なものは、いわゆる低原子価のものであり、特に3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とするゼロ価錯体が好ましい。また、反応系中で容易に低原子価に変換される適当な前駆体錯体を用いることも好ましい態様である。
【0017】
さらに、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まない錯体と3級ホスフィンやホスファイトを混合し、反応系中で3級ホスフィンまたはホスファイトを配位子とする低原子価錯体を発生する方法も好ましい態様である。これらのいずれかの方法で有利な性能を発揮する配位子としては、種々の3級ホスフィンや3級ホスファイトを挙げられるが、いわゆる電子供与性が極度に強い物は反応速度の面で必ずしも有利ではない。
【0018】
本発明において、好適に用いることができる配位子を例示すると、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。これに組み合わせて用いられる、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位として含まない錯体としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、酢酸パラジウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、好適に用いられるホスフィンまたはホスファイト錯体としては、ジメチルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる
【0019】
これらの錯体触媒の使用量はいわゆる触媒量でよく、一般的にアレン化合物に対して20モル%以下で十分である。アレン化合物と第2置換ホスホン酸エステル化合物の使用率は、一般的にモル比で1:1が好ましいが、これより大きくても小さくても、反応の生起を阻害するものではない。反応は特に溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて溶媒中で実施することもできる。溶媒としては、炭化水素系もしくはエーテル系の溶媒が一般的に用いられる。反応温度は、あまりに低温では反応が有利な速度で進行せず、あまりに高温では触媒が分解するので、一般的には、室温ないし300℃の範囲から選ばれ、好ましくは50ないし150℃の範囲で実施される。
【0020】
本反応で用いられる金属触媒は、酸素に敏感であり、反応の実施は、窒素やアルゴン、メタン等の不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。反応混合物からの生成物の分離は、クロマトグラフィー、蒸留または再結晶によって容易に達成される。
【0021】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1
1,4−ジオキサン 8ミリリットルに、HP(O)(OCMe2−Me2CO) 2ミリモル、1,2−ヘプタジエン 2ミリモル、触媒として PdMe2(dppf) (dppf = 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)(5モル%)を加え、窒素雰囲気下、100℃で2時間反応させた。反応液を濃縮し、液体クロマトグラフィーにより単離生成すると、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが98%の収率で得られた(トランス体/シス体の比:92/8)。
この化合物は文献未収載の新規物質であり、トランス体のスペクトルデータ以下の通りである。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.58 (dt, 1H, J = 6.7, 15.3 Hz), 5.42 (dt, 1H, J =7.3, 15.3 Hz), 2.65 (dd, 2H, J = 7.3 Hz, JHP = 21.0 Hz), 1.98−2.04 (m, 2H),1.47 (s, 6H), 1.32 (s, 6H), 1.25−1.33 (m, 4H), 0.85 (t, 3H, J = 7.3 Hz)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 39.6。
IR (液膜) 2932, 1466, 1379, 1135, 965 cm−1。
C13H25O3PとしてのHRMS, 計算値: 260.1541, 実測値: 260.1569。
元素分析:計算値C, C, 59.98; H, 9.68. 実測値: C, 60.02; H, 9.76。
【0023 】
実施例2
実施例1と同様な条件下で、Pd(PPh3)4を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが54%の収率で得られた。
【0024】
実施例3
実施例1と同様な条件下で、PdMe2[Ph2P(CH2)3PPh2]を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが63%の収率で得られた。
【0025】
実施例4
実施例1と同様な条件下で、PdMe2[Ph2P(CH2)4PPh2]を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが72%の収率で得られた。
【0026】
実施例5
実施例1と同様な条件下で、PdMe2(PPh3)2を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが61%の収率で得られた。
【0027】
実施例6
実施例1と同様な条件下で、PdMe2(PPh2Me)2を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが70%の収率で得られた。
【0028】
実施例7
実施例1と同様な条件下で、PdMe2(binap) [binap: 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル]を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが81%の収率で得られた。
【0029】
実施例8
1,4−ジオキサン 3ミリリットルに、HP(O)(OCMe2−Me2CO) 1ミリモル、1,2−ヘプタジエン 1ミリモル、触媒として Pd2(dba)2/Ph2P(CH2)4PPh2の混合物(5モルPd%, Pd/P モル比= 1/2)を加え、窒素雰囲気下、100℃で2時間反応させた。反応液を濃縮し、液体クロマトグラフィーにより単離生成すると、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが92%の収率で得られた(トランス体/シス体の比:92/8)。
【0030】
実施例9〜14
1,2−ヘプタジエンの代わりに、表1に示す種々のアレン化合物を用いて、実施例1と同様に反応させて本発明のアリルホスホン酸エステル化合物を得た。反応生成物及び収率を表1にまとめて示した。
【0031】
【表1】
【0032】
これらの生成物は文献未収載の新規物質であり、そのスペクトルデータおよび/または元素分析値は以下の通りである。
【0033】
[実施例9の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.57 (dt様, 1H, J = 5.5, 15.6.0 Hz, JHP = 5.5Hz), 5.42 (dt, 1H, J = 7.3, 15.6 Hz), 2.68 (dd, 2H, J = 7.4 Hz, JHP = 21.1Hz), 1.98−2.11 (m, 1H), 1.48 (s, 6H), 1.33 (s, 6H), 1.02−1.71 (m, 11H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 39.8。
IR (KBr) 2858, 1380, 1250, 1127, 1025, 950,905 cm−1。
C15H27O3PとしてのHRMS, 計算値: 286.1698, 実測値: 286.1696。
【0034】
[実施例10の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.61 (ddt, 1H, J = 1.5, 15.6 Hz, JHP = 4.9 Hz),
5.32 (dt, 1H, J = 7.3, 15.6 Hz), 2.68 (ddd, 2H, J = 1.2, 7.3 Hz, JHP = 21.0 Hz), 1.49 (s, 6H), 1.33 (s, 6H), 1.00 (s, 9H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 40.0。
IR (液膜) 2962, 1462, 1379, 1137, 1017, 965, 936 cm−1。
C13H25O3PとしてのHRMS, 計算値: 260.1541, 実測値: 260.1559。
元素分析:計算値C,59.98; H, 9.68. 実測値: C, 59.72; H, 9.51。
【0035】
[実施例11の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.19−7.37 (m, 5H), 6.52 (dd, 1H, J = 15.8 Hz, JHP= 5.5 Hz), 6.16 (dt, 1H, J = 7.6, 15.8 Hz), 2.90 (dd, 2H, J = 7.6 Hz, JHP =21.9 Hz), 1.48 (s, 6H), 1.34 (s, 6H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ38.4。
IR (KBr) 2990, 1371, 1162, 980, 730 cm−1。
C15H21O3PとしてのHRMS, 計算値: 280.1228, 実測値: 280.1217。
元素分析値、計算値: C, 64.27; H, 7.55. 実測値: C, 64.56; H,7.22。
【0036】
[実施例12の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.20 (dt, 1H, J = 7.9 Hz, JHP = 7.0 Hz), 2.68 (dd,2H, J = 7.9 Hz, JHP = 21.6 Hz), 1.73 (d, 3H, JHP = 5.8 Hz), 1.65 (d, 3H, JHP = 4.0 Hz), 1.48 (s, 6H), 1.33 (s, 6H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 40.1。
IR (液膜)2988, 1379, 1135, 1019, 961 cm−1。
C11H21O3PとしてのHRMS, 計算値: 232.1228, 実測値: 232.1274。
【0037】
[実施例13の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.10 (dt, 1H, J = 8.0 Hz, JHP = 6.7 Hz), 2.64 (dd,2H, J = 8.0 Hz, JHP = 21.7 Hz), 2.07 (bs, 4H), 1.49 (bs, 6H), 1.43 (s, 6H),1.30 (s, 6H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 40.1。
IR (液膜)2858, 1230,1127, 1025, 950 cm−1。
C14H25O3PとしてのHRMS, 計算値: 272.1541, 実測値: 272.1522。
【0038】
[実施例14の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.21−7.45 (m, 10H), 6.20 (dt, 1H, J = 7.92 Hz, JHP= 6.7 Hz), 2.80 (dd, 2H, J = 7.9 Hz, JHP = 22.2 Hz), 1.45 (s, 6H), 1.31 (s,6H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 38.5。
IR (KBr)2980, 2919, 1497, 1444,1398, 1265, 1139, 928, 799, 770 cm−1。
C21H25O3PとしてのHRMS, 計算値: 356.1541, 実測値: 356.1545。
元素分析、計算値:C, 70.77; H, 7.07. 実測値: C, 70.62; H,7.09。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る前記一般式( I )で表されるアリルホスホン酸エステル化合物は、環状ホスホン酸エステル構造を有する化合物であり、炭素−炭素結合生成試剤、例えば特に医薬・農薬などの生理活性物質の合成中間体として有用であり、特に環状ホスホン酸エステル構造を有することから、類似の非環状化合物に比べ、化合物の反応活性が向上し、通常では、進行しにくい若しくは進行しない化学変換を、より温和な条件下で効率よく進行させることができるものと期待される。
また、本発明の上記アリルホスホン酸エステル類の合成方法は、アレン類に環状第2級ホスホン酸エステルを反応させるのみで、簡便、安全、かつ効率的に合成することができ、その分離精製も容易である。
従って、本発明は工業的に多大の効果をもたらす。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なアリルホスホン酸エステル類及びその簡便な製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
アリルホスホン酸エステル類は、その基本骨格が天然に見出され、酵素などと作用することにより、それ自身が生理活性を示すことが知られている。また、同化合物を出発原料として用い、例えば、カルボニル化合物への付加反応により、効率よくHorner−Emmons反応が達成されることから、天然物に多く存在するポリエン類の合成手法として広く用いられている。
【0003】
このようなアリルホスホン酸エステルを炭素−リン結合の生成を伴って合成する方法としては、一般的に、対応するアリルハライド類をトリアルキルホスファイトで置換する方法が知られている。しかし、この方法では、反応に伴って等モル量の別のハライド化合物が発生するだけでなく、このように新たに生成するハライド類もトリアルキルホスファイトと反応することが可能であるため、副生成物が大量に生じるなどの欠点が知られている。また、この方法では得られるアリルホスホン酸エステルは非環式ものであり、塩基が存在する条件下では、異性化などが伴うことが多く、その単離精製には多大な労力が必要であり、また反応活性が低いという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、第2級環状ホスホン酸エステルを出発原料に用いることによって、アリルホスホン酸エステル化合物を簡便に製造できる方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した問題点を回避するために、容易に入手可能な第2級環状ホスホン酸エステルとアレン類を好ましくは特定触媒の存在下で反応させると、付加反応が進行し、高収率・高選択率で新規なアリルホスホン酸エステルを与えることを見出し、これらの事実に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明によれば、第一に、一般式 (II)
R 1 R 2 C=C=CR 3 R 4 (II)
(式中、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で表されるアレン化合物に、一般式 (III)
HP(O)[OC(R 5 R 6 )C(R 7 R 8 )O)] (III)
(式中、R 5 ,R 6 、R 7 およびR 8 は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す。)で表される環状第2級ホスホン酸エステルを反応させることを特徴とする、一般式 (I)
R 1 R 2 C = CHCR 3 R 4 { P(O)[OC(R 5 R 6 )C(R 7 R 8 )O)] } (I)
(R 1 乃至R 8 は前記と同じ。)で表されるアリルホスホン酸エステル化合物の製造方法が提供される。
第二に、第一の製造方法において、触媒として、周期律表第10族から選ばれた少なくとも1種の金属触媒を使用することを特徴とするアリルホスホン酸エステル化合物の製造方法。
第三に、第一又は第二の製造方法において、金属触媒がパラジウム触媒であることを特徴とするアリルホスホン酸エステル化合物の製造方法が提供される。
【0007】
本発明で得られる前記一般式( I )で表されるアリルホスホン酸エステルは環状エステル構造を有する化合物であり、炭素−炭素結合生成試剤例えば医薬・農薬などの生理活性物質の合成中間体として有用である。また、一般的に環状構造を有することにより、類似の非環状化合物に比べ、化合物の反応活性(加水分解によるホスホン酸への変換など)が著しく向上し、同アリル環状ホスホン酸エステルを用いることにより、通常では、進行しにくい若しくは進行しない化学変換を、より温和な条件下で効率よく進行させることができるものと期待される。
【0008】
本発明の前記一般式(I)で表されるアリルホスホン酸エステル化合物は、前記一般式(II)で表されるアレン化合物に、前記一般式(III)で表される環状第2級ホスホン酸エステルを反応させることにより簡単に合成することができる。
【0009】
本発明において反応原料として用いるアレン化合物は、前記一般式(I)で示されるが、式中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基から選ばれる1価の基を示す。
【0010】
前記アルキル基の炭素数は1〜18、好ましくは1〜10である。その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、デシルなどが例示される。
前記シクロアルキル基の炭素数は5〜18,好ましくは5〜10である。その具体例としては、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシルなどが例示される。
【0011】
前記アリール基の炭素数は6〜14、好ましくは6〜10である。その具体例としては、フェニル、ナフチル、それらの置換体(トリル、キリシル、ベンジルフェニルなど)が例示される。
前記アラルキル基の炭素数は7〜13、好ましくは7〜9である。その具体例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルベンジル、ナフチルメチルなどが例示される。
【0012】
また、前記R1、R2、R3及びR4は、さらに反応に不活性な官能基、例えば、メトキシ、メトキシカルボニル、シアノ、ジメチルアミノ、フルオロなどで置換されてもよい。
【0013】
本発明で好ましく用いられるアレン化合物を例示すると、メチルアレン、ブチルアレン、シクロヘキシルアレン、フェニルアレン、ジメチルアレン、ジフェニルアレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
本発明においてもう一つの反応原料として用いる第2級環状ホスホン酸エステルは、下記一般式(II)で表されるものであるが、式中、R5,R6、R7およびR8は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す。
【0015】
前記アルキル基の炭素数は1〜6、好ましくは1〜4である。その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ヘキシルなどが例示される。
前記シクロアルキル基の炭素数は3〜12,好ましくは5〜6である。その具体例としては、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシルなどが例示される。
前記アリール基の炭素数は6〜14、好ましくは6〜12である。その具体例としては、フェニル、ナフチル、それらの置換体(トリル、キリシル、ベンジルフェニルなど)が例示される。
【0016】
本発明の反応を効率よく生起させるには、触媒を使用することが好ましい。このような触媒としては周期律表第10族から選ばれる少なくとも1種の金属触媒が挙げられ、具体的には、ニッケル、パラジウム、白金などが例示される。本発明において特に好ましく使用される触媒はパラジウム触媒である。
これらの触媒は種々の構造のものを用いることができるが、好適なものは、いわゆる低原子価のものであり、特に3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とするゼロ価錯体が好ましい。また、反応系中で容易に低原子価に変換される適当な前駆体錯体を用いることも好ましい態様である。
【0017】
さらに、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まない錯体と3級ホスフィンやホスファイトを混合し、反応系中で3級ホスフィンまたはホスファイトを配位子とする低原子価錯体を発生する方法も好ましい態様である。これらのいずれかの方法で有利な性能を発揮する配位子としては、種々の3級ホスフィンや3級ホスファイトを挙げられるが、いわゆる電子供与性が極度に強い物は反応速度の面で必ずしも有利ではない。
【0018】
本発明において、好適に用いることができる配位子を例示すると、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。これに組み合わせて用いられる、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位として含まない錯体としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、酢酸パラジウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、好適に用いられるホスフィンまたはホスファイト錯体としては、ジメチルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる
【0019】
これらの錯体触媒の使用量はいわゆる触媒量でよく、一般的にアレン化合物に対して20モル%以下で十分である。アレン化合物と第2置換ホスホン酸エステル化合物の使用率は、一般的にモル比で1:1が好ましいが、これより大きくても小さくても、反応の生起を阻害するものではない。反応は特に溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて溶媒中で実施することもできる。溶媒としては、炭化水素系もしくはエーテル系の溶媒が一般的に用いられる。反応温度は、あまりに低温では反応が有利な速度で進行せず、あまりに高温では触媒が分解するので、一般的には、室温ないし300℃の範囲から選ばれ、好ましくは50ないし150℃の範囲で実施される。
【0020】
本反応で用いられる金属触媒は、酸素に敏感であり、反応の実施は、窒素やアルゴン、メタン等の不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。反応混合物からの生成物の分離は、クロマトグラフィー、蒸留または再結晶によって容易に達成される。
【0021】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1
1,4−ジオキサン 8ミリリットルに、HP(O)(OCMe2−Me2CO) 2ミリモル、1,2−ヘプタジエン 2ミリモル、触媒として PdMe2(dppf) (dppf = 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)(5モル%)を加え、窒素雰囲気下、100℃で2時間反応させた。反応液を濃縮し、液体クロマトグラフィーにより単離生成すると、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが98%の収率で得られた(トランス体/シス体の比:92/8)。
この化合物は文献未収載の新規物質であり、トランス体のスペクトルデータ以下の通りである。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.58 (dt, 1H, J = 6.7, 15.3 Hz), 5.42 (dt, 1H, J =7.3, 15.3 Hz), 2.65 (dd, 2H, J = 7.3 Hz, JHP = 21.0 Hz), 1.98−2.04 (m, 2H),1.47 (s, 6H), 1.32 (s, 6H), 1.25−1.33 (m, 4H), 0.85 (t, 3H, J = 7.3 Hz)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 39.6。
IR (液膜) 2932, 1466, 1379, 1135, 965 cm−1。
C13H25O3PとしてのHRMS, 計算値: 260.1541, 実測値: 260.1569。
元素分析:計算値C, C, 59.98; H, 9.68. 実測値: C, 60.02; H, 9.76。
【0023 】
実施例2
実施例1と同様な条件下で、Pd(PPh3)4を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが54%の収率で得られた。
【0024】
実施例3
実施例1と同様な条件下で、PdMe2[Ph2P(CH2)3PPh2]を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが63%の収率で得られた。
【0025】
実施例4
実施例1と同様な条件下で、PdMe2[Ph2P(CH2)4PPh2]を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが72%の収率で得られた。
【0026】
実施例5
実施例1と同様な条件下で、PdMe2(PPh3)2を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが61%の収率で得られた。
【0027】
実施例6
実施例1と同様な条件下で、PdMe2(PPh2Me)2を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが70%の収率で得られた。
【0028】
実施例7
実施例1と同様な条件下で、PdMe2(binap) [binap: 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル]を触媒として用いたところ、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが81%の収率で得られた。
【0029】
実施例8
1,4−ジオキサン 3ミリリットルに、HP(O)(OCMe2−Me2CO) 1ミリモル、1,2−ヘプタジエン 1ミリモル、触媒として Pd2(dba)2/Ph2P(CH2)4PPh2の混合物(5モルPd%, Pd/P モル比= 1/2)を加え、窒素雰囲気下、100℃で2時間反応させた。反応液を濃縮し、液体クロマトグラフィーにより単離生成すると、2−(2−ヘプテニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン2−オキシドが92%の収率で得られた(トランス体/シス体の比:92/8)。
【0030】
実施例9〜14
1,2−ヘプタジエンの代わりに、表1に示す種々のアレン化合物を用いて、実施例1と同様に反応させて本発明のアリルホスホン酸エステル化合物を得た。反応生成物及び収率を表1にまとめて示した。
【0031】
【表1】
【0032】
これらの生成物は文献未収載の新規物質であり、そのスペクトルデータおよび/または元素分析値は以下の通りである。
【0033】
[実施例9の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.57 (dt様, 1H, J = 5.5, 15.6.0 Hz, JHP = 5.5Hz), 5.42 (dt, 1H, J = 7.3, 15.6 Hz), 2.68 (dd, 2H, J = 7.4 Hz, JHP = 21.1Hz), 1.98−2.11 (m, 1H), 1.48 (s, 6H), 1.33 (s, 6H), 1.02−1.71 (m, 11H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 39.8。
IR (KBr) 2858, 1380, 1250, 1127, 1025, 950,905 cm−1。
C15H27O3PとしてのHRMS, 計算値: 286.1698, 実測値: 286.1696。
【0034】
[実施例10の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.61 (ddt, 1H, J = 1.5, 15.6 Hz, JHP = 4.9 Hz),
5.32 (dt, 1H, J = 7.3, 15.6 Hz), 2.68 (ddd, 2H, J = 1.2, 7.3 Hz, JHP = 21.0 Hz), 1.49 (s, 6H), 1.33 (s, 6H), 1.00 (s, 9H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 40.0。
IR (液膜) 2962, 1462, 1379, 1137, 1017, 965, 936 cm−1。
C13H25O3PとしてのHRMS, 計算値: 260.1541, 実測値: 260.1559。
元素分析:計算値C,59.98; H, 9.68. 実測値: C, 59.72; H, 9.51。
【0035】
[実施例11の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.19−7.37 (m, 5H), 6.52 (dd, 1H, J = 15.8 Hz, JHP= 5.5 Hz), 6.16 (dt, 1H, J = 7.6, 15.8 Hz), 2.90 (dd, 2H, J = 7.6 Hz, JHP =21.9 Hz), 1.48 (s, 6H), 1.34 (s, 6H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ38.4。
IR (KBr) 2990, 1371, 1162, 980, 730 cm−1。
C15H21O3PとしてのHRMS, 計算値: 280.1228, 実測値: 280.1217。
元素分析値、計算値: C, 64.27; H, 7.55. 実測値: C, 64.56; H,7.22。
【0036】
[実施例12の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.20 (dt, 1H, J = 7.9 Hz, JHP = 7.0 Hz), 2.68 (dd,2H, J = 7.9 Hz, JHP = 21.6 Hz), 1.73 (d, 3H, JHP = 5.8 Hz), 1.65 (d, 3H, JHP = 4.0 Hz), 1.48 (s, 6H), 1.33 (s, 6H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 40.1。
IR (液膜)2988, 1379, 1135, 1019, 961 cm−1。
C11H21O3PとしてのHRMS, 計算値: 232.1228, 実測値: 232.1274。
【0037】
[実施例13の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.10 (dt, 1H, J = 8.0 Hz, JHP = 6.7 Hz), 2.64 (dd,2H, J = 8.0 Hz, JHP = 21.7 Hz), 2.07 (bs, 4H), 1.49 (bs, 6H), 1.43 (s, 6H),1.30 (s, 6H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 40.1。
IR (液膜)2858, 1230,1127, 1025, 950 cm−1。
C14H25O3PとしてのHRMS, 計算値: 272.1541, 実測値: 272.1522。
【0038】
[実施例14の生成物]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.21−7.45 (m, 10H), 6.20 (dt, 1H, J = 7.92 Hz, JHP= 6.7 Hz), 2.80 (dd, 2H, J = 7.9 Hz, JHP = 22.2 Hz), 1.45 (s, 6H), 1.31 (s,6H)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ 38.5。
IR (KBr)2980, 2919, 1497, 1444,1398, 1265, 1139, 928, 799, 770 cm−1。
C21H25O3PとしてのHRMS, 計算値: 356.1541, 実測値: 356.1545。
元素分析、計算値:C, 70.77; H, 7.07. 実測値: C, 70.62; H,7.09。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る前記一般式( I )で表されるアリルホスホン酸エステル化合物は、環状ホスホン酸エステル構造を有する化合物であり、炭素−炭素結合生成試剤、例えば特に医薬・農薬などの生理活性物質の合成中間体として有用であり、特に環状ホスホン酸エステル構造を有することから、類似の非環状化合物に比べ、化合物の反応活性が向上し、通常では、進行しにくい若しくは進行しない化学変換を、より温和な条件下で効率よく進行させることができるものと期待される。
また、本発明の上記アリルホスホン酸エステル類の合成方法は、アレン類に環状第2級ホスホン酸エステルを反応させるのみで、簡便、安全、かつ効率的に合成することができ、その分離精製も容易である。
従って、本発明は工業的に多大の効果をもたらす。
Claims (3)
- 一般式 (II)
R 1 R 2 C=C=CR 3 R 4 (II)
(式中、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で表されるアレン化合物に、一般式 (III)
HP(O)[OC(R 5 R 6 )C(R 7 R 8 )O)] (III)
(式中、R 5 ,R 6 、R 7 およびR 8 は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す。)で表される環状第2級ホスホン酸エステルを反応させることを特徴とする、一般式 (I)
R 1 R 2 C = CHCR 3 R 4 { P(O)[OC(R 5 R 6 )C(R 7 R 8 )O)] } (I)
(R 1 乃至R 8 は前記と同じ。)で表されるアリルホスホン酸エステル化合物の製造方法。 - 触媒として、周期律表第10族から選ばれた少なくとも1種の金属触媒を使用することを特徴とする請求項1のアリルホスホン酸エステル化合物の製造方法。
- 金属触媒がパラジウム触媒であることを特徴とする請求項1又はは2のアリルホスホン酸エステル化合物の製造方法。
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