JP2005263014A - 液圧制御ユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アキュムレータ、ポンプから吐出された作動液がリリーフ通路(共通通路139)を経て吸入室64に供給される。吸入室64に供給された作動液は、吸入通路60,リザーバホース49を経てリザーバ50に戻されたり、吸入室接続通路142,吸入通路接続通路144,吸入通路60を経て戻されたりする。作動液がリザーバ50に流出させられるのに伴ってエアもリザーバ50に排出される。それによって、吸入室64周辺のエアをリザーバ50に速やかに排出させることができる。
【選択図】図9
Description
また、特許文献2には、(a)ブレーキシリンダを備え、車両の車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、(b)ポンプ、ポンプモータ、アキュムレータを備えた動力式液圧源とを含む液圧ブレーキ装置が記載されている。この液圧ブレーキ装置においては、動力式液圧源からブレーキシリンダへの液圧の供給により液圧ブレーキが作動させられる。
本項に記載の液圧制御ユニットは、内部に液通路が形成された1つの保持部材にポンプ、ポンプモータ、アキュムレータが保持される。保持部材は、マニホルドと称することができる。例えば、ポンプの作動に伴って吸入室にエアが発生することがある。それに対して、保持部材のポンプの吸入側の部分にエア抜き通路を設ければ、吸入側のエアを良好に排出させることができる。
そのポンプを駆動するポンプモータと、
前記ポンプから吐出された作動液を加圧した状態で蓄えるアキュムレータと、
これらポンプ、ポンプモータ、アキュムレータを保持するとともに内部に液通路が形成された保持部材と
を含む液圧制御ユニットであって、
前記保持部材の前記ポンプの吸入側の部分に、エア抜き通路が設けられたことを特徴とする液圧制御ユニット。
(2)前記保持部材に、(a)前記リザーバが接続されるリザーバ接続部と、(b)そのリザーバ接続部と前記ポンプの吸入室とを接続する吸入通路とが設けられ、前記エア抜き通路が、その吸入通路と前記ポンプの吸入室との少なくとも一方に接続された(1)項に記載の液圧制御ユニット。
ポンプは、吸入通路を経てリザーバから作動液を汲み上げる。ポンプの作動に伴って吸入室にエアが発生し、吸入室や吸入通路にはエアが溜まり易い。そのため、エア抜き通路を、吸入通路とポンプの吸入室との少なくとも一方に直接接続される状態で設ければ、エアを良好に排出させることが可能となる。
エア抜き通路は、吸入通路と直接接続する際の接続部である吸入通路接続部と、吸入室と直接接続する際の接続部である吸入室接続部との少なくとも一方を有する。
(3)前記エア抜き通路が、前記保持部材の上面に開口を有する状態で設けられる(1)項または(2)項に記載の液圧制御ユニット。
液圧制御ユニットが車両に搭載された場合において、ポンプが保持部材の上部に設けられ、リザーバ接続部が保持部材の上面(水平方向に延びた面)に設けられる場合に、エア抜き通路が保持部材の上面に開口した状態で設けられる。エア抜き通路の開口は、通常は、閉塞部材によって閉状態とされる。
エアは作動液より比重が小さいため保持部材の上方に移動し、エア抜き通路内に溜まり易い。そこで、エアを排出させる必要がある場合等に開口を閉状態から開状態とすれば、開口からエアを排出させることができる。
それに対して、作動液の流れを利用してエアを排出させる場合(エア排出制御を行うことによってエアを排出させる場合)等には、エア抜き通路の開口の向き等は自由に設計することができる。
(4)前記ポンプが、前記保持部材に自身の軸方向に相対移動不能に設けられたシリンダ本体と、そのシリンダ本体に軸方向に相対移動可能に嵌合されたピストンと、前記保持部材に自身の回転軸線回りに相対回転可能に保持され、相対回転に伴って前記ピストンに前記往復運動の少なくとも往方向の駆動力を加える駆動部材と、その駆動部材と前記保持部材との間に設けられた吸入室と、その吸入室と前記シリンダ本体の軸方向に隔たって設けられたポンプ室とを含み、前記ピストンの往復運動に伴って作動液の吸入、吐出を行うプランジャポンプである(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
駆動部材は、例えば、偏心カムを備えた回転軸を含むものとすることができ、ポンプモータの駆動により回転させられる。偏心カムのカム面が前記ピストンに対向する状態で設けられ、カム面がピストンに当接した状態で偏心カムが回転させられることによってピストンに少なくとも往方向の駆動力が加えられる。駆動部材の回転軸線は、ピストンの往復運動の運動方向(シリンダ本体の軸線)と直交する。
駆動部材は、保持部材に形成された筒状の嵌合部に、その回転軸線回りに相対回転可能に保持される。嵌合部は、駆動部材の回転軸線と直交する横断面形状がほぼ円形とされている。そして、保持部材の筒状の嵌合部の内周面と駆動部材の外周面との間が吸入室とされる。吸入室は、回転軸線と平行に延び、かつ、回転軸線と直交する横断面形状が概して円環状を成したものである。ピストンの往復運動に伴って吸入室から作動液が汲み上げられてポンプ室に供給され、加圧されて吐出弁から吐出される。このプランジャポンプにおいて、駆動部材の回転軸線がポンプの回転軸線である。
なお、1つの駆動部材に対して、シリンダ本体およびピストンは1対設けても、複数対設けてもよい。
(5)前記吸入通路が、ほぼ上下方向に延びた姿勢で設けられ、前記エア抜き通路が、前記吸入通路との接続部を有するとともに、ほぼ水平方向に延びた吸入通路接続通路を含む(2)項ないし(4)項に記載の液圧制御ユニット。
ポンプが前述のプランジャポンプである場合において、吸入通路を、ポンプの回転軸線と直交する向きに延びた姿勢で設け、吸入通路接続通路を、ポンプの回転軸線と平行な向きに延びた姿勢で設けることができる。液圧制御ユニットは、ポンプの回転軸線が水平方向に延び、吸入通路が吸入室の上部において接続されるとともに上下方向に延びる姿勢で車両に設置される。吸入通路接続通路は、吸入通路に直接接続された吸入通路側接続部を有する。
例えば、作動液をポンプの吸入室に供給し、吸入通路を経てリザーバに流出させることによって、吸入室、吸入通路のエアをリザーバに排出させる制御(エア排出制御)が行われる場合において、吸入通路接続通路が、吸入通路側接続部より上方に向かって傾斜した姿勢(吸入通路から離れるにつれて上方へ向かう姿勢)で設けられる場合には、ポンプの吸入室から排出されたエア、吸入通路に存在するエアが吸入通路接続通路に向かって供給される。それに対して、吸入通路接続通路が、ほぼ水平に延びた姿勢に設けられれば、エア排出制御において吸入通路接続通路にエアが流入することを回避することができる。
(6)前記吸入通路が、ほぼ上下方向に延びた姿勢で設けられ、前記エア抜き通路が、前記吸入通路との接続部を有するとともに、その吸入通路側接続部から下方に傾斜して延びた吸入通路接続通路を含む(2)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
吸入通路接続通路は、ポンプの回転軸線と平行な直線に対して、吸入通路から離間するにつれて下方へ向かう姿勢で設けられる。本項に記載の液圧制御ユニットにおいても、前項における場合と同様の効果が得られる。
(7)前記エア抜き通路が、前記ポンプの吸入室との接続部を有するとともに、ほぼ上下方向に延びた吸入室接続通路を含む(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
エア抜き通路は、吸入室に直接接続される際の接続部である吸入室側接続部を有する吸入室接続通路を含む。吸入通路、吸入室接続通路は、ポンプがプランジャポンプである場合のポンプの回転軸線に対して直交する姿勢で設けられ、液圧制御ユニットは、これら吸入通路、吸入室接続通路が上下方向に延びた状態で車両に搭載される。吸入通路、吸入室接続通路は、互いに平行な姿勢で設けられる。
吸入室接続通路を吸入室の上部に接続されるとともに上下方向に延びた姿勢で設ければ、ポンプの作動に伴って吸入室において発生したエアはエア抜き通路へ移動して溜まる。そのため、ポンプの通常の作動状態において、吸入室内のエアを少なくすることができる。このことは、吸入室の容積を実質的に大きくしたことと同様の効果を得ることができ、ポンプの大型化を回避しつつ、ポンプの作動に伴ってエアが下流側に供給されることを回避することができる。
また、必要な場合にエア抜き通路の開口部を開状態とすれば、エアを外部に排出させることができる。
(8)前記吸入室接続通路と前記吸入通路とが、互いに平行に、前記ポンプの回転軸線と平行な軸線方向と、前記回転軸線と交差する軸線方向とのいずれか一方に離間した状態で設けられた(7)項に記載の液圧制御ユニット。
吸入通路も吸入室接続通路も吸入室に接続される。これらは、吸入室に対して回転軸線と平行な軸線方向に離間した状態で設けても、回転軸線と交差(例えば、直交)する軸線方向に離間した状態で設けてもよい。エアは吸入室の上部に広く存在すると考えられるため、吸入室と吸入室接続通路とを互いに離間した設ける方が隣接して設ける場合より吸入室全体からエアを排出させることができる、
例えば、吸入通路と吸入室接続通路とがポンプの回転軸線と平行な軸線方向に離間して設けられる場合において、これらの間隔は、吸入室の回転軸線と平行な軸線方向の長さの1/6以上、1/5以上、1/4以上、1/3以上、1/2以上、2/3以上、3/4以上等とすることが望ましい。吸入通路と吸入室接続通路は、吸入室のほぼ両端部に設けることもできる。
(9)前記エア抜き通路が、前記ポンプの吸入室との接続部を有するとともに、ほぼ上下方向に延びた吸入室接続通路と、その吸入室接続通路と前記吸入通路との両方に接続部を有するとともに、ほぼ水平方向に延びた吸入通路接続通路とを含む(2)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
ポンプの吸入室には、吸入通路と吸入室接続通路との両方が上下方向に延びて接続されるとともに、吸入通路と吸入室接続通路とが吸入通路接続通路によって接続される。
エア排出制御によって作動液をポンプの吸入室に供給してリザーバに流出させる場合に、吸入室のエアを、吸入通路を経て排出させたり、吸入室接続通路、吸入通路接続通路、吸入通路を経て排出させたりすることが可能となる。そのため、吸入通路のみを経て排出させる場合に比較して、エアの排出を速やかに行うことが可能となる。
(11)前記エア抜き通路が、前記ポンプの吸入室との接続部を有するとともに、ほぼ水平方向に延びて設けられた吸入室接続通路を含む(10)項に記載の液圧制御ユニット。
リザーバとの接続部が、車両に設置された場合の保持部材の上下方向に延びた面に設けられた場合には、吸入通路が水平方向に延びて設けられ、吸入通路接続通路が上下方向に延びた姿勢で設けられ、吸入室接続通路が水平方向に延びた姿勢で設けられる。この場合には、吸入室接続通路は、吸入通路より上方に位置する状態で設けることが望ましい。
リリーフ通路は、アキュムレータとポンプの吸入室とを接続する状態で設けられる。そのため、アキュムレータに蓄えられた高圧の作動液やポンプから吐出された作動液を利用して吸入室や吸入通路のエアを排出させるのに便利である。
例えば、エア排出制御において、ポンプの作動によってリリーフ弁が閉状態から開状態に切り換わることによって、ポンプの吸入室に作動液が供給されて、吸入通路を経てリザーバに流出させられる場合に、リリーフ通路の吸入室への接続部と吸入通路の吸入室への接続部とが互いに対向した位置に設けられれば、エア排出制御において、リリーフ通路から吸入室に供給された作動液を吸入室のほぼ全体を流れて吸入通路から流出させることができ、エアを良好に排出させることができる。なお、リリーフ弁がソレノイドを含む電磁開閉弁である場合には、ソレノイドに電流を供給することによって閉状態から開状態に切り換え、それによって、アキュムレータの作動液やポンプから吐出した作動液を吸入室に供給することが可能となる。
吸入通路、リリーフ通路は、吸入室において互いに対向した位置に接続することが望ましく、吸入室においてポンプの回転軸線を含む平面に対して反対側に接続されることが望ましい。例えば、液圧制御ユニットが車両に設置された場合において、回転軸線を含む水平面に対して、吸入通路が上部に接続され、リリーフ通路が下部に接続されるようにすることができる。また、吸入通路の接続部とリリーフ通路の接続部とは、回転軸線を中心とする中心角2/3π〜πのうちの選択された角度隔たった状態で設けることが望ましい。
(13)前記保持部材に、液圧作動装置が接続される作動装置接続部と、その作動装置接続部と前記ポンプの吸入室とを、前記液圧作動装置の液圧を減圧制御可能な減圧制御弁を経て接続する減圧通路とが設けられた(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
減圧通路は、減圧制御弁とポンプの吸入室とを接続する状態で設けられる。そのため、減圧制御弁を経て供給された作動液を利用して吸入室や吸入通路のエアを排出させるのに便利である。減圧通路と吸入通路との相対位置関係については、リリーフ通路と吸入通路との関係と同じとすることができる。
(14)前記保持部材に、前記作動装置接続部と前記ポンプの吐出室とを、前記液圧作動装置の液圧を増圧制御可能な増圧制御弁を経て接続する増圧通路が設けられた(13)項に記載の液圧制御ユニット。
作動装置接続部には、増圧通路、減圧通路が接続され、増圧制御弁、減圧制御弁が設けられる。それによって、液圧作動装置の液圧を増圧、減圧制御することができる。
(15)前記保持部材に、前記アキュムレータと前記ポンプの吸入室とをリリーフ弁を経て接続するリリーフ通路と、液圧作動装置が接続される作動装置接続部と前記ポンプの吸入室とを、前記液圧作動装置の液圧を減圧制御可能な減圧制御弁を経て接続する減圧通路とが、互いに共通部分を有する状態で設けられた(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
本項に記載の液圧制御ユニットにおいては、リリーフ通路と減圧通路とが共通部分を有する。リリーフ通路と減圧通路とが共通部分において吸入室に接続されるようにすれば、吸入室への接続部を1つにすることができる。
(16)前記保持部材に、車両の車輪の回転を抑制する液圧ブレーキのブレーキシリンダが接続されるブレーキシリンダ接続部が設けられ、当該液圧制御ユニットから前記ブレーキシリンダへ向かって供給された作動液の液圧により前記液圧ブレーキが作動させられる(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
ブレーキシリンダの液圧は、液圧制御ユニットにおける増圧制御弁、減圧制御弁の作動により増圧・減圧される。
(17)前記保持部材に、車高調整装置が接続される車高調整装置接続部が設けられ、当該液圧制御ユニットが、前記車高調整装置の液圧を制御するものである(1)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
ブレーキシリンダの液圧により作動させられる液圧ブレーキと
を含む液圧ブレーキ装置であって、
前記吸入通路と前記ポンプの吸入室との少なくとも一方にブリーダプラグを設けたことを特徴とする液圧ブレーキ装置。
本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、ブリーダプラグが、ポンプの吸入室とリザーバからの吸入通路との少なくとも一方に設けられる。それによって、ポンプの吸入室のエアを排出させたり、吸入通路のエアを排出させたりすることができる。
本項に記載の液圧ブレーキ装置には、前述の(1)項ないし(17)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
本液圧ブレーキ装置において、ポンプ、ポンプモータ、アキュムレータが内部に液通路が形成された1つの保持部材に保持された液圧制御ユニットが設けられることは不可欠ではない。また、リリーフ通路、減圧通路が、液圧制御ユニット内(保持部材内)においてポンプの吸入室に接続されることも不可欠ではない。
(19)前記ポンプから吐出される作動液を前記ポンプの吸入室に供給し、前記吸入通路からリザーバへ流出させるエア排出制御部を含む(18)項に記載の液圧ブレーキ装置。
ポンプから吐出された作動液は、リリーフ通路を経てポンプの吸入室に供給されるようにしたり、減圧通路を経て供給されるようにしたりすることができる。
図1に示すブレーキ装置は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル10,2つの加圧室を含むマスタシリンダ12,動力により作動させられる動力式液圧源としてのポンプ装置14,左右前後に位置する車輪に対応してそれぞれに設けられたブレーキ16〜19等を含む。ブレーキ16,17が左右前輪のブレーキであり、ブレーキ18,19が左右後輪のブレーキである。ブレーキ16〜19は、ブレーキシリンダ20〜23の液圧により作動させられる液圧ブレーキである。
マスタシリンダ12は、2つの加圧ピストンを含むものであり、2つの加圧ピストンそれぞれの前方の加圧室には運転者によるブレーキペダル10の操作によって、その操作力に応じた液圧が発生させられる。マスタシリンダ12の2つの加圧室には、それぞれ、マスタ通路26,27を介して左右前輪のブレーキシリンダ20,21が接続される。マスタ通路26,27の途中には、それぞれ、マスタ遮断弁29,30が設けられる。マスタ遮断弁29,30は常開の電磁開閉弁である。
また、ポンプ装置14には、4つのブレーキシリンダ20〜23が増圧通路36,ブレーキ通路37を介して接続される。ブレーキシリンダ20〜23には、マスタシリンダ12から遮断された状態でポンプ装置14から液圧が供給されて、液圧ブレーキ16〜19が作動させられる。ブレーキシリンダ20〜23の液圧は液圧制御弁装置38により制御される。
ユニット40に含まれるポンプ装置14,液圧制御弁装置38等によりブレーキシリンダ20〜23の液圧が制御され、液圧ブレーキ16〜19が作動させられるため、以下、ユニット40を液圧制御アクチュエータ40と称する。
液圧制御アクチュエータ40のポート42,43(図1,2参照)には、それぞれ、マスタシリンダ12の2つの加圧室が接続され、ポート44〜47にはブレーキシリンダ20〜23が接続される。前述のポンプ装置14とポート44〜47とを接続する液通路が増圧通路36であり、ポート44〜47に接続されるのがブレーキ通路37である。リザーバ接続口48にはリザーバホース49を介してリザーバ50が接続される。リザーバ50は、低圧容器であり、作動液を大気圧で収容する。
また、アキュムレータ62とポンプ56の吸入室64(図3,5参照)とはリリーフ通路66によって接続されるが、リリーフ通路66にはリリーフ弁68が設けられる。リリーフ弁68は、高圧側であるアキュムレータ62の液圧あるいはポンプ56から吐出される作動液の液圧が設定圧を越えると閉状態から開状態に切り換えられる。
ピストン80は、一端が高圧側のポンプ室94に対向し、他端が低圧側の吸入室64(カム室と称することができる)に対向する。吸入室64は吸入通路60(図3参照),リザーバホース49(図1参照)を介してリザーバ50に連通させられる。また、他端がポンプモータ58の回転に伴って回転する偏心カム98に対向し、一端にスプリング100の付勢力を受ける。ピストン80は、スプリング100によって偏心カム98に当接した状態に保たれる。偏心カム98およびカム軸101は、保持部材39に形成された筒状の嵌合部102に一対のベアリング103a,bを介して回転軸線回りに相対回転可能に保持される。この嵌合部102と偏心カム98の外周面との間が吸入室64とされる。吸入室64は、回転軸線と平行に延びた姿勢で設けられ、回転軸線と直交する横断面形状が概して円環状を成したものである。なお、カム軸101は連結部104を介してポンプモータ58の出力軸に連結される。また、カム軸101の回転軸線がポンプ56の回転軸線である。
ピストン80がシリンダ82から後方へ最も突出する位置が下死点であり、吸入端位置である。この吸入端位置に向かう吸入行程においては、ピストン80がスプリング100の付勢力により偏心カム98に押し付けられた状態で後退させられる。ポンプ室94の液圧よりポンプ吸入通路105の液圧の方が高くなるため、吸入弁106が開かれて作動液が吸入室64からポンプ吸入通路105、吸入弁106を経てポンプ室94に吸入される。その後、ピストン80が偏心カム98によりスプリング100の付勢力に抗して前進させられる。それによりポンプ室94の容積が減少し、液圧が高くなる。ポンプ室94の液圧によって弁子110が弁座108に着座させられ、吸入弁106が閉じられる。
ピストン80が最も前進した位置が上死点であり、吐出端位置である。ポンプ室94の容積が最小になり、液圧がピストン80の一回の往復運動中において最も高くなる。ポンプ室94と増圧通路36との液圧差に応じた力がスプリング136の付勢力より大きくなると吐出弁126が開かれ、ポンプ室94の作動液が吐出弁126を経て増圧通路36へ吐出される。以下同様の作動が繰り返し行われ、リザーバ50から吸入された作動液が増圧通路36へ吐出され、アキュムレータ62等に供給される。
図3に示すように、ポンプ56の吸入室64には吸入通路60が接続されるとともに、リリーフ通路66,減圧通路74が接続される。吸入通路60は、吸入室64の上部、望ましくは最上部に、上下方向に延びた姿勢、すなわち、ポンプ56の回転軸線と直交する向きに延びた姿勢で接続される。また、図1,4に示すように、吸入室64には、減圧通路74とリリーフ通路66との両方が接続されるのであるが、これらの共通通路139において接続される。換言すれば、減圧通路74にリリーフ通路66が接続されるとともに共通通路139によって吸入室64の下部に接続される。
本実施例においては、共通通路139と吸入通路60とが回転軸線回りに中心角5π/6(150°)隔たった状態で設けられる。
本実施例においては、吸入室接続通路142と吸入通路60とは、ポンプ56の回転軸線に対して直交する姿勢で、かつ、互いに平行に設けられ、吸入通路接続通路144は、回転軸線と平行な姿勢で設けられる。また、吸入通路60と吸入室接続通路142とは、回転軸線と平行な軸線方向に隔たった状態で設けられる。すなわち、液圧制御アクチュエータ40は、吸入通路60,吸入室接続通路142とが上下方向に、かつ、互いに平行となる状態で、吸入通路接続通路144が水平方向に延びた状態で、車両に設置されることになる。本実施例においては、吸入通路60と吸入室接続通路142とは吸入室64の回転軸線と平行な軸線方向の長さの約1/5隔たった状態で設けられる。
記憶部には、図7、8のフローチャートで表されるエア排出プログラムが格納される。
ポンプ装置14においては、液圧源液圧センサ220によって検出された液圧が設定範囲内にあるように、ポンプモータ58が制御され、ポンプ56が作動させられる。
エア排出制御においては、マスタ遮断弁29,30が閉状態とされる。増圧リニアバルブ72が閉状態とされたまま、ポンプ56が作動させられる。ポンプ56から吐出された作動液の液圧によりリリーフ弁68の高圧側の液圧が設定圧を越えると、リリーフ弁68が閉状態から開状態に切り換わって、ポンプ56から吐出された作動液がリリーフ通路66を経てポンプ56の吸入室64に供給される。図9に示すように、共通通路139から吸入室64に供給された作動液は、吸入通路60,リザーバホース49を経て、あるいは、吸入室接続通路142,吸入通路接続通路144,吸入通路60およびリザーバホース49を経てリザーバ50に流出させられる。作動液のリザーバ50への流出に伴って吸入室64,吸入通路60のエアもリザーバ50に排出される。
本実施例においては、走行後、イグニッションスイッチ222がON状態からOFF状態に切り換えられてから設定時間(例えば、80秒とすることができる)以上が経過した場合にエア排出許可条件が満たされたとされる。
エア排出制御は、エア排出終了条件が満たされると終了させられる。エア排出終了条件は、エア排出制御が開始してから設定時間(例えば、1秒とすることができる)が経過した場合に満たされる。
また、共通通路139(リリーフ通路66)が吸入室64の下部に接続され、吸入通路60,吸入室接続通路142が上部に接続されるため、共通通路139から供給された作動液が吸入室64のほぼ全体を流れて排出させられることになるため、吸入室64内のエアを良好にリザーバ50に排出させることができる。
さらに、エア抜き通路140が設けられるため、吸入室64の作動液やエアを吸入通路60と吸入室接続通路142との両方から、速やかに排出させることができる。
また、通常の作動状態において、吸入室64に発生したエアが上方へ移動(エア抜き通路140に向かって移動)するため、ポンプ56の作動に伴ってエアを巻き込んでブレーキシリンダ側に供給されることを回避することができる。さらに、エア抜き通路140によって実質的に吸入室の容積を大きくすることができるため、それによっても、偏心カム98の回転部付近のエアを少なくできるという効果が得られる。
さらに、車両において、リザーバ50が液圧制御アクチュエータ40の上面138より下方に設置される場合、すなわち、リザーバ接続部48よりリザーバホース49のリザーバ50に対する接続部49R(図1参照)が下方に位置する場合においても、エア排出制御において、吸入室64からリザーバ50に向かって作動液を流出させることができ、エアをリザーバ50に確実に排出させることができる。
本実施例においては、ポンプ56から吐出された作動液あるいはアキュムレータ62の作動液が液圧制御アクチュエータ40のほぼ全体を流れて減圧通路76、共通通路139を経て吸入室64に供給される。
S21,22において、エア排出許可条件が満たされた場合には、マスタ遮断弁29,30が閉状態とされる。そして、S23において、増圧リニアバルブ72が開状態とされ、減圧リニアバルブ76が開状態とされ、S24において、ポンプ56が作動させられる。S25において、排出終了条件が満たされた場合に、S26において、ポンプモータ58の作動が停止させられ、エア排出作動が終了する。
本実施例においては、リザーバ50に図示しない手動のポンプ装置を設ける。そして、ブリーダプラグ152のキャップ154(図3参照)を外し、図10に示すように、作動液排出用ホース230を接続して、ブリーダプラグ152を緩めることにより、外部へ開放される。作業者による手動のポンプ装置の操作により、高圧の作動液をリザーバ50側からリザーバホース49を経て吸入室64に供給する。
吸入室64に供給された作動液は、吸入室接続通路142、作動液排出用ホース230を経て外部に流出させられ、吸入通路60の作動液は、吸入通路接続通路144、吸入室接続通路142、作動液排出用ホース230を経て外部に流出させられる。この作動液の流出に伴って、吸入通路60内のエア、吸入室64内のエアも外部に排出させることができる。
このように、エア抜き通路140を設ければ、作動液の交換時等に吸入通路60や吸入室64に溜まったエアを良好に排出させることができる。また、吸入通路接続通路144が設けられるため、吸入通路60のエアを速やかに排出させ得るという効果も得られる。
図11、12に示すように、エア抜き通路250は、吸入室接続通路を含まないで吸入通路接続通路252を含む。吸入通路接続通路252は吸入通路60との接続部253aを有する。吸入通路接続通路252は、吸入通路接続部253a側においてほぼ水平方向に延びた部分を有し、開口部150側において上下方向に延びた部分を有する。
本実施例において、エア排出制御が行われる場合には、図11に示すように、吸入室64の作動液は吸入通路60,リザーバホース49を経てリザーバ50に流出させられる。この場合に、吸入通路接続通路252が水平方向に延びた姿勢で設けられるため、吸入室64や吸入通路60のエアが吸入通路接続通路252に供給されることを回避することができる。それによって、吸入室64,吸入通路60内のエアをリザーバ50に確実に排出させることができる。
また、リザーバ50側から高圧の作動液が作業者の操作により供給される場合には、図12に示すように、高圧の作動液が吸入通路60,吸入通路接続通路252,作動液排出用ホース230を経て外部に流出させられ、ホース内のエアが外部に排出させられる。
また、図14に示すように、エア抜き通路300が、吸入通路接続通路を含まないもの、すなわち、吸入通路60への接続部を含まないものとすることができる。エア抜き通路300は、吸入室接続通路142を含む。本実施例においては、吸入室接続通路142にホースを接続し、作業者の操作によりリザーバホース49から高圧の作動液を吸入室64に供給した場合に、吸入室64内のエア、吸入通路60,リザーバホース49内のエアを、吸入室接続通路142を経て外部に排出させることができる。
また、キャップ154を外してブリーダプラグ152を緩めることで、吸入室接続通路142内に溜まっていたエアを外部に排出させることができる。
また、エア排出許可条件は、上記実施例におけるそれに限らない。例えば、車両の走行時間が設定時間を超え、かつ、イグニッションスイッチ222がOFFにされて設定時間以上経過した場合にエア排出許可条件が満たされるようにしたり、イグニッションスイッチ222がON状態にあっても、パーキングブレーキが作動状態にある場合(シフト位置がパーキングである場合)に満たされるようにしたりすることもできる。
さらに、リリーフ弁68はソレノイドを有し、ソレノイドへの供給電流の制御により開閉させられるものとすることができる。
また、エア排出制御においては、アキュムレータ62の作動液をリリーフ弁68を経てポンプ56の吸入室64に供給するとともに、増圧リニアバルブ72,減圧リニアバルブ76を経て吸入室64に供給されるようにすることもできる。この場合には、リリーフ弁68を電磁開閉弁とすることが望ましい。あるいは、増圧リニアバルブ72を絞った状態でポンプ56を作動させ、リリーフ弁68がポンプの吐出圧によって開かれるようにすることができる。
さらに、リリーフ通路66や減圧通路74が吸入室64に接続されることは不可欠ではなく、吸入通路60に接続されるようにすることもできる。また、液圧制御アクチュエータ40の外部のリザーバホース49に接続されるようにすることもできる。
さらに、吸入通路60と吸入室接続通路142との間隔および吸入通路60,吸入室接続通路142と共通通路139との間の中心角の少なくとも一方は、上記実施例のそれに限らない。
また、液圧制御アクチュエータ40の構造は、上記実施例におけるそれに限らない等本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
Claims (6)
- リザーバから作動液を汲み上げるポンプと、
そのポンプを駆動するポンプモータと、
前記ポンプから吐出された作動液を加圧した状態で蓄えるアキュムレータと、
これらポンプ、ポンプモータ、アキュムレータを保持するとともに、内部に液通路が形成された保持部材と
を含む液圧制御ユニットであって、
前記保持部材の前記ポンプの吸入側の部分に、エア抜き通路が設けられたことを特徴とする液圧制御ユニット。 - 前記保持部材に、(a)前記リザーバが接続されるリザーバ接続部と、(b)そのリザーバ接続部と前記ポンプの吸入室とを接続する吸入通路とが設けられ、前記エア抜き通路が、その吸入通路と前記ポンプの吸入室との少なくとも一方に接続された請求項1に記載の液圧制御ユニット。
- 前記吸入通路が、ほぼ上下方向に延びた姿勢で設けられ、前記エア抜き通路が、前記吸入通路との接続部を有するとともに、ほぼ水平方向に延びた吸入通路接続通路を含む請求項2に記載の液圧制御ユニット。
- 前記保持部材に、前記アキュムレータと前記ポンプの吸入室とをリリーフ弁を経て接続するリリーフ通路が設けられた請求項1ないし3のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
- 前記保持部材に、液圧作動装置が接続される作動装置接続部と、その作動装置接続部と前記ポンプの吸入室とを、前記液圧作動装置の液圧を減圧制御可能な減圧制御弁を経て接続する減圧通路とが設けられた請求項1ないし4のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
- 前記保持部材に、車両の車輪の回転を抑制する液圧ブレーキのブレーキシリンダが接続されるブレーキシリンダ接続部が設けられ、当該液圧制御ユニットから前記ブレーキシリンダへ向かって供給された作動液の液圧により前記液圧ブレーキが作動させられる請求項1ないし5のいずれか1つに記載の液圧制御ユニット。
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