JP2005262513A - 絶縁層付き金属箔及び多層プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 硬化性樹脂を含有する樹脂組成物と、有機繊維で形成される不織布とから構成される絶縁層が、金属箔に接合された絶縁層付き金属箔であって、前記樹脂組成物は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、無機充填材とを含有することを特徴とする絶縁層付き金属箔、及び、この絶縁層付き金属箔を、内層回路基板に積層し、加熱加圧成形してなることを特徴とする多層プリント配線板。
【選択図】 なし
Description
またビルドアップ材料として、樹脂付き銅箔を用いている多層プリント配線板では、二層以上のビルドアップ層を積層する時、あるいは、コア材の厚みが薄くなるにつれて、多層プリント配線板としての反り、ねじれを抑えることが困難となり、実装時に部品実装不具合が発生するといった問題点が指摘されている。
(1)硬化性樹脂を含有する樹脂組成物と、有機繊維で形成される不織布とから構成される絶縁層が、金属箔に接合された絶縁層付き金属箔であって、前記樹脂組成物は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、無機充填材とを含有することを特徴とする絶縁層付き金属箔。
(2)上記有機繊維は、ポリエステル繊維を含有するものである上記(1)に記載の絶縁層付き金属箔。
(3)上記(1)又は(2)に記載の絶縁層付き金属箔を、内層回路基板に積層し、加熱加圧成形してなることを特徴とする多層プリント配線板。
本発明の絶縁層付き金属箔は、多層プリント配線板のビルドアップ材料として用いられるものであり、硬化性樹脂を含有する樹脂組成物と、有機繊維で形成される不織布とから構成される絶縁層が、金属箔に接合された絶縁層付き金属箔であって、上記樹脂組成物は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、無機充填材とを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の多層プリント配線板は、上記本発明の絶縁層付き金属箔を、内層回路基板に積層し、加熱加圧成形してなることを特徴とするものである。
まず、本発明の絶縁層付き金属箔について詳細に説明する。
前記シアネート樹脂は、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法で重合することにより得ることができる。
これらの中でも、下記一般式(I)で表されるノボラック型シアネート樹脂を含むことが好ましい。これにより、ガラス転移温度を高くでき、硬化後の高耐熱性や難燃性をより向上させることができる。
このノボラック型シアネート樹脂は、例えばノボラック型フェノール樹脂と塩化シアン、臭化シアン等の化合物とを反応させることにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
プレポリマー化は、通常シアネート樹脂を加熱溶融して行われる。本発明でプレポリマーとは、例えば3量化率が20〜50モル%のものをいう。
前記3量化率は、例えば赤外分光分析装置を用いて求めることができる。なお、シアネート樹脂と前記シアネート樹脂をプレポリマー化したものとを併用しても構わない。
なお、実質的にハロゲン原子を含まないとは、例えばエポキシ樹脂中のハロゲン原子の含有量が1重量%以下のものをいう。
ましく、特に15〜40重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると、内層回路に用いられている銅箔等との密着性を向上させる効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると本発明の特徴とする高耐熱化や低熱膨張化が充分でない場合がある。
ここで、アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいう。例えばキシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でもビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は、例えば下記一般式(II)で示すものを用いることができる。
これらの中でもビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、内層回路に用いられている銅箔等との密着性を向上することができる。
イミダゾール化合物としては特に限定されないが、例えば、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドルキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾールおよび2,4−ジアミノ−6−〔2‘−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2‘−ウンデシルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2‘−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジンを挙げることができる。
これらの中でも脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヒドロキシアルキル基およびシアノアルキル基の中から選ばれる官能基を2個以上有しているイミダゾール化合物が好ましく、特に2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。これにより、絶縁層の耐熱性を向上させ、低熱膨張化することができるとともに、吸水率を低くすることができる。
前記無機充填材としては特に限定されないが、例えば、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ等を挙げることができる。
これらの中でもシリカが好ましく、溶融シリカが低膨張性に優れる点で好ましい。溶融シリカの形状としては特に限定されないが、例えば、破砕状、球状等が挙げられる。これらの中でも、球状シリカを用いると、樹脂組成物の溶融粘度を低くすることができ、有機繊維で形成される不織布への含浸性を良好なものとすることができる。
無機充填材としては特に、平均粒径0.2〜2μmの球状溶融シリカを用いることが好ましい。これにより、上記効果に加えて無機充填剤の充填性を向上させることができる。
これらの中でも、ポリエステル繊維を含有するものであることが好ましく、特に、芳香族ポリエステル繊維であることが好ましい。これにより、低吸湿性とすることができるので、絶縁性、誘電特性を向上させることができる。
(1)樹脂組成物を有機溶剤等に溶解・分散させた樹脂組成物ワニスを調製し、金属箔にこのワニスをコーター等により塗工し、この塗工面に有機不織布を重ね合わせ、加熱乾燥する。続いて、有機不織布の上面側から再び上記ワニスを塗工し、加熱乾燥して、有機不織布を含む絶縁層が金属箔に接合された絶縁層付き金属箔を得る方法、
(2)有機不織布を上記ワニスに浸漬して含浸させ、これを加熱乾燥してプリプレグを得る。次に、このプリプレグを金属箔と離型フィルムとで挟み、加熱加圧成形してプリプレグと金属箔を一体化させ、離型フィルムを除去して、有機不織布を含む絶縁層が金属箔に接合された絶縁層付き金属箔を得る方法
などが挙げられる。
囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
前記樹脂ワニス中の固形分は、特に限定されないが、前記樹脂組成物の固形分30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。
本発明の多層プリント配線板は、上記本発明の絶縁層付き金属箔を、内層回路基板に積層し、加熱加圧成形してなることを特徴とする。
本発明の多層プリント配線板を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、絶縁層付き金属箔の絶縁層側を、内層回路基板の片面または両面に積層し、これを好ましくは140〜240℃、0.5〜4MPa、0.5〜1.5時間で加熱加圧成形して、内層回路基板表面の凹凸を充填して成形することにより、多層プリント配線板を製造することができる。なお、内層回路基板としては例えば、銅張積層板の両面にエッチング等により導体回路を形成し、黒化処理したものなどを用いることができる。
(I)樹脂ワニスの調製
シアネート樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂PT−60(ロンザ株式会社製、重量平均分子量2600)12重量%、ノボラック型シアネート樹脂PT−30(ロンザ株式会社製、重量平均分子量700)23.3重量%、第1のエポキシ樹脂として、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000P、エポキシ当量275、重量平均分子量2000)12重量%、第2のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂エピコート4275(ジャパンエポキシレジン株式会社製、重量平均分子量57000)12重量%を用い、これにイミダゾール化合物(四国化成工業株式会社製、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)0.5重量%を添加したものをメチルエチルケトンに溶解、分散させた。更に、無機充填剤として球状溶融シリカSO−25H(アドマテックス株式会社製、平均粒径0.5μm)40重量%および界面活性剤としてエポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%添加して、高速攪拌機を用いて10分間攪拌して樹脂組成物の固形分60重量%の樹脂ワニスを得た。
上記樹脂ワニスを厚さ18μmの銅箔のアンカー面に、コンマコーターにて塗工し、引き続いて、その塗工面に有機不織布として芳香族ポリエステル不織布(坪量25g/m2、三菱製紙株式会社製)を重ねあわせることで、不織布に樹脂ワニスを含浸させ、乾燥工程を経て、その後、コンマコーターにて上記不織布の上面側から同じ樹脂ワニスを塗工し、乾燥後の厚さが70μmの絶縁層を有する絶縁層つき銅箔を得た。
所定の内層回路が両面に形成されたハロゲンフリーFR−4内層回路基板(銅箔厚み18μm、絶縁層厚み0.2mm、L/S=120/180μm、クリアランスホール1mmφ、3mmφ、スリット2mm)の表裏に、上記絶縁層付き金属箔の絶縁層が内層回路側にくるように1枚ずつ重ねて、これを真空プレス装置にて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行い、多層プリント配線板を得た。
使用する樹脂ワニスの配合量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス、絶縁層付き金属箔、及び、多層プリント配線板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂PT−30を25重量%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂NC−3000Pを22.3重量%、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂エピコート4275を12重量%、イミダゾール化合物0.5重量%、球状溶融シリカSO−25Hを40重量%、エポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
使用する樹脂ワニスの配合量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス、絶縁層付き金属箔、及び、多層プリント配線板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂PT−60を12重量%、ノボラック型シアネート樹脂PT−30を10重量%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂NC−3000Pを25.3重量%、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂エピコート4275を12重量%、イミダゾール化合物0.5%、球状溶融シリカSO−25Hを40重量%、エポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
使用する樹脂ワニスの配合量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス、絶縁層付き金属箔、及び、多層プリント配線板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂PT−60を5重量%、ノボラック型シアネート樹脂PT−30を10.2重量%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂NC−3000Pを12重量%、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂エピコート4275を12重量%、イミダゾール化合物0.5%、球状溶融シリカSO−25Hを60重量%、エポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
エポキシ樹脂を使用せずに、他の樹脂の配合量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス、絶縁層付き金属箔、及び、多層プリント配線板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂PT−60を40重量%、ノボラック型シアネート樹脂PT−30を19.3重量%、イミダゾール化合物0.5%、球状溶融シリカSO−25Hを40重量%、エポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
シアネート樹脂を使用せずに、他の樹脂の配合量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス、絶縁層付き金属箔、及び、多層プリント配線板を得た。
ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂NC−3000Pを16.3重量%、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂エピコート4275を43重量%、イミダゾール化合物0.5%、球状溶融シリカSO−25Hを40重量%、エポキシシランカップリング剤A
−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
使用する樹脂ワニスの配合量を以下のようにして、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製した。
次に、有機不織布を使用せずに、上記樹脂ワニスを厚さ18μmの銅箔のアンカー面にコンマコーターにて塗工し、加熱乾燥することで、乾燥後の厚さが70μmの樹脂組成物のみからなる絶縁層を有する絶縁層つき銅箔を得た。これ以降は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂PT−60を33重量%、ノボラック型シアネート樹脂PT−30を10重量%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂NC−3000Pを16.3重量%、イミダゾール化合物0.5%、球状溶融シリカSO−25Hを40重量%、エポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
難燃性は、多層プリント配線板の銅箔を全面エッチングし、UL−94規格、垂直法により測定した。
絶縁層付き金属箔の絶縁層側に銅箔を積層し、真空プレス装置にて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行った後、銅箔を全面エッチングし絶縁層硬化物を得た。
得られた絶縁層硬化物から、10mm×60mmのテストピースを切り出し、DMA(TAインスツルメント(株)製)を用いて5℃/分で昇温し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
絶縁層付き金属箔の絶縁層側に銅箔を積層し、真空プレス装置にて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行った後、銅箔を全面エッチングし絶縁層硬化物を得た。
得られた絶縁層硬化物から、4mm×20mmのテストピースを切り出し、TMA(TAインスツルメント(株)製)を用いて線膨張係数を10℃/分で測定した。
多層プリント配線板を全面エッチングし、目視にて成形ボイドの有無を観察した。
多層プリント配線板より50mm×50mmのテストピースを切り出し、JIS K 6481に準拠して片面全面およびもう片面の1/2の銅箔をエッチングし除去した。これを125℃のプレッシャークッカーで2時間処理した後、260℃の半田槽に銅箔面を下にして180秒間浮かべ、膨れ、剥がれの有無を確認した。
絶縁層付き銅箔の銅箔を全面エッチング除去したものを、厚さ1.0mmとなるように複数枚重ね、その両側に銅箔を積層し、真空プレス装置にて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行った。その後、銅箔を全面エッチングし、得られた積層板から97mm×25mm、53mm×25mm、37mm×25mmのテストピースを切り出し、トリプレート線路共振法により比誘電率、誘電正接を測定した。
多層プリント配線板を全面エッチングし、得られた積層板をUV YAGレーザ(三菱電機社製)で加工し、デスミア処理後のビアホールの上部及び断面の樹脂残りを顕微鏡観察し、樹脂残りのないもの、及び、部分的に樹脂残りはあるが、実用上問題ないものを「良好」とした。
絶縁層付き金属箔の絶縁層側に銅箔を積層し、真空プレス装置にて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行い、銅箔を全面エッチングし絶縁層硬化物を得た。
この試料を用い、JIS K 7161に準拠して、試験速度50mm/minで引っ張り試験を行った。
一方、比較例1はエポキシ樹脂を配合しない樹脂組成物を用いたが、耐熱性が低下した。比較例2はシアネート樹脂を配合しない樹脂組成物を用いたが、難燃性を付与することができず、ガラス転移温度が低下し、誘電特性や機械的強度、低熱膨張性においても劣るものとなった。そして、比較例3は有機不織布を使用せずに、絶縁層付き金属箔を作成したが、誘電特性が若干低下し、また機械的強度においても劣るものとなった。
し、難燃性に優れた絶縁層を形成することができる絶縁層付き金属箔であり、高密度化に対応できる多層プリント配線板要のビルドアップ材料として好適に用いることができるものである。そして、本発明の多層プリント配線板は、高密度実装に対応したプリント配線基板として好適に用いることができるものである。
Claims (3)
- 硬化性樹脂を含有する樹脂組成物と、有機繊維で形成される不織布とから構成される絶縁層が、金属箔に接合された絶縁層付き金属箔であって、前記樹脂組成物は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、無機充填材とを含有することを特徴とする絶縁層付き金属箔。
- 前記有機繊維は、ポリエステル繊維を含有するものである請求項1に記載の絶縁層付き金属箔。
- 請求項1又は2に記載の絶縁層付き金属箔を、内層回路基板に積層し、加熱加圧成形してなることを特徴とする多層プリント配線板。
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