JP2005262513A - 絶縁層付き金属箔及び多層プリント配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 多層プリント配線板の製造に用いられ、高耐熱性、高剛性、低熱膨張性を有し、難燃性に優れた絶縁層を形成することができる絶縁層付き金属箔、ならびに、この絶縁層付き金属箔を用いた多層プリント配線板を提供する。
【解決手段】 硬化性樹脂を含有する樹脂組成物と、有機繊維で形成される不織布とから構成される絶縁層が、金属箔に接合された絶縁層付き金属箔であって、前記樹脂組成物は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、無機充填材とを含有することを特徴とする絶縁層付き金属箔、及び、この絶縁層付き金属箔を、内層回路基板に積層し、加熱加圧成形してなることを特徴とする多層プリント配線板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、絶縁層付き金属箔及び多層プリント配線板に関する。
半導体の分野では高密度実装技術の進歩により、半導体素子を従来の面実装からエリア実装に移行していくトレンドが進行している。かかる高密度実装技術に対応すべく、ボールグリッドアレイ(BGA)やチップスケールパッケージ(CSP)など新しいパッケージが登場、増加しつつある。そのため以前にもましてインターポーザ用リジッド基板が注目されるようになり、高耐熱性、低熱膨張性を有する基板の要求が高まってきている。
さらに近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、高密度実装化等が進んでいる。そのため、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して、小型化かつ高密度化されている。このようなプリント配線板等の高密度化への対応として、ビルドアップ多層配線板が多く採用されている。
一般的なビルドアップ多層配線板は、樹脂組成物で構成される100μm厚以下の絶縁層と、導体金属回路で構成される導体層とを積層していくことにより得られる。また、層間接続方法としては、従来のドリル加工に代わって、レーザ法、フォト法等多岐にわたる方法が用いられている。これらの方法は、小径のビアホールを自由に配置することで高密度化を達成するものであり、各々の方法に対応した各種ビルドアップ用層間絶縁材料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ビルドアップ多層配線板による方法では、微細なビアにより層間接続されるので接続強度が低下しやすく、場合によっては熱衝撃を受けると絶縁層樹脂と導体層との熱膨張差から発生する応力によりクラックや断線を生ずるという問題点があり、この点を克服するために絶縁層材料の低熱膨張化が検討されている。しかし、より配線基板の薄型化が進むと、発生する応力に耐え得るだけの充分な強度がなく、絶縁層樹脂のクラックが発生するといった問題点が起こっている。
またビルドアップ材料として、樹脂付き銅箔を用いている多層プリント配線板では、二層以上のビルドアップ層を積層する時、あるいは、コア材の厚みが薄くなるにつれて、多層プリント配線板としての反り、ねじれを抑えることが困難となり、実装時に部品実装不具合が発生するといった問題点が指摘されている。
このような問題点を克服するために、例えば、有機基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させ、これを半硬化状態にした絶縁層を金属箔の表面に設けた絶縁層付き金属箔がある(例えば、特許文献2参照。)。このような材料は、厚い絶縁層を形成でき、絶縁層の寸法安定性を向上させることができるが、高耐熱性、低熱膨張性といった特性においては必ずしも充分なものではなく、更なる特性の向上が望まれていた。
更に、これらのビルドアップ多層配線板には難燃性が求められることが多い。従来、難燃性を付与するため、エポキシ樹脂においては臭素化エポキシ樹脂などのハロゲン系難燃剤を用いることが一般的であった。しかし、ハロゲン含有化合物からダイオキシンが発生するおそれがあることから、昨今の環境問題の深刻化とともに、ハロゲン系難燃剤を使用することが回避されるようになり、広く産業界にハロゲンフリーの難燃化システムが求められるようになってきた。
特開平5−243735号公報 特許3266825号公報
本発明は、多層プリント配線板の製造に用いられ、高耐熱性、高剛性、低熱膨張性を有し、難燃性に優れた絶縁層を形成することができる絶縁層付き金属箔、ならびに、この絶縁層付き金属箔を用いた多層プリント配線板を提供するものである。
このような目的は、下記(1)〜(3)に記載の本発明により達成される。
(1)硬化性樹脂を含有する樹脂組成物と、有機繊維で形成される不織布とから構成される絶縁層が、金属箔に接合された絶縁層付き金属箔であって、前記樹脂組成物は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、無機充填材とを含有することを特徴とする絶縁層付き金属箔。
(2)上記有機繊維は、ポリエステル繊維を含有するものである上記(1)に記載の絶縁層付き金属箔。
(3)上記(1)又は(2)に記載の絶縁層付き金属箔を、内層回路基板に積層し、加熱加圧成形してなることを特徴とする多層プリント配線板。
本発明により、高耐熱性、高剛性、低熱膨張性を有し、難燃性に優れた絶縁層を形成することができる絶縁層付き金属箔を提供することができる。そして、この絶縁層付き金属箔を用いた本発明の多層プリント配線板は、高密度実装に対応できるものである。
以下、本発明の絶縁層付き金属箔及び多層プリント配線板について詳細に説明する。
本発明の絶縁層付き金属箔は、多層プリント配線板のビルドアップ材料として用いられるものであり、硬化性樹脂を含有する樹脂組成物と、有機繊維で形成される不織布とから構成される絶縁層が、金属箔に接合された絶縁層付き金属箔であって、上記樹脂組成物は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、無機充填材とを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の多層プリント配線板は、上記本発明の絶縁層付き金属箔を、内層回路基板に積層し、加熱加圧成形してなることを特徴とするものである。
まず、本発明の絶縁層付き金属箔について詳細に説明する。
本発明の絶縁層付き金属箔において、絶縁層を構成する樹脂組成物は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーを含有する。これにより、高耐熱性、低熱膨張性、難燃性を向上させることができる。
前記シアネート樹脂は、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法で重合することにより得ることができる。
シアネート樹脂としては特に限定されないが、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。
これらの中でも、下記一般式(I)で表されるノボラック型シアネート樹脂を含むことが好ましい。これにより、ガラス転移温度を高くでき、硬化後の高耐熱性や難燃性をより向上させることができる。
Figure 2005262513
上記一般式(I)で表されるノボラック型シアネート樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、500〜4,500が好ましく、特に600〜3,000が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると機械的強度が低下する場合があり、前記上限値を超えると樹脂組成物の硬化速度が速いため保存性が低下する場合がある。
このノボラック型シアネート樹脂は、例えばノボラック型フェノール樹脂と塩化シアン、臭化シアン等の化合物とを反応させることにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
シアネート樹脂は硬化反応によって水酸基などの分極率の大きな官能基が生じないため、誘電特性が非常に優れている。また剛直な化学構造を有するため耐熱性に優れている。
また、前記シアネート樹脂をプレポリマー化したものも成形性、流動性を調整するために好ましく使用され、本発明のシアネート樹脂に含まれるものである。
プレポリマー化は、通常シアネート樹脂を加熱溶融して行われる。本発明でプレポリマーとは、例えば3量化率が20〜50モル%のものをいう。
前記3量化率は、例えば赤外分光分析装置を用いて求めることができる。なお、シアネート樹脂と前記シアネート樹脂をプレポリマー化したものとを併用しても構わない。
前記シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜60重量%が好ましく、特に10〜50重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると高耐熱化や低熱膨張化する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると架橋密度が高くなり自由体積が増えるため耐湿性が低下する場合がある。
本発明の絶縁層付き金属箔において、使用するエポキシ樹脂は実質的にハロゲン原子を含まない。これにより、絶縁層のハロゲンフリー化を容易に達成することができる。エポキシ樹脂としては特に限定されないが、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
なお、実質的にハロゲン原子を含まないとは、例えばエポキシ樹脂中のハロゲン原子の含有量が1重量%以下のものをいう。
エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の6〜60重量%が好
ましく、特に15〜40重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると、内層回路に用いられている銅箔等との密着性を向上させる効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると本発明の特徴とする高耐熱化や低熱膨張化が充分でない場合がある。
また、前記エポキシ樹脂は、特に限定されないが、第1のエポキシ樹脂と、前記第1のエポキシ樹脂よりも重量平均分子量の大きい第2のエポキシ樹脂との混合物であることが好ましい。これにより、本発明の絶縁層付き金属箔を用いて多層プリント配線板を作製する際に、プレス成形時の内層回路埋め込み性とフロー制御との両立を図ることができる。
前記第1のエポキシ樹脂としては特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもアリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、難燃性、吸湿半田耐熱性を向上することができる。
ここで、アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいう。例えばキシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でもビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は、例えば下記一般式(II)で示すものを用いることができる。
Figure 2005262513
上記一般式(II)で示されるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂のnは、特に限定されないが、1〜10が好ましく、特に2〜5が好ましい。これより少ないとビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が比較的低下するため、取り扱いが困難となる場合がある。また、これより多いと樹脂の流動性が低下し、成形不良等の原因となる場合がある。
前記第1のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量4,000以下が好ましく、特に重量平均分子量500〜4,000が好ましく、最も800〜3,000が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると、絶縁層表面にタックが生じる場合があり、前記上限値を超えると半田耐熱性が低下する場合がある。
前記第1のエポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜35重量%が好ましく、特に5〜30重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると特に吸湿半田耐熱性を向上させることができる。
前記第2のエポキシ樹脂としては特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でもビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、内層回路に用いられている銅箔等との密着性を向上することができる。
前記第2のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、5,000以上が好ましく、特に5,000〜100,000が好ましく、最も8,000〜80,000が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると、絶縁層表面の製膜性を向上させる効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると、樹脂組成物を用いて樹脂ワニスを調製する際にエポキシ樹脂の溶解性が低下する場合がある。
前記第2のエポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜30重量%が好ましく、特に5〜20重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に製膜性、多層プリント配線板作成時の内層回路との密着性を向上させることができる。
本発明の絶縁層付き金属箔に用いられる樹脂組成物は、イミダゾール化合物を含有することができる。これにより、樹脂組成物の絶縁性を低下することなく、前記シアネート樹脂、およびエポキシ樹脂の反応を促進することができる。
イミダゾール化合物としては特に限定されないが、例えば、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドルキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾールおよび2,4−ジアミノ−6−〔2‘−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2‘−ウンデシルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2‘−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジンを挙げることができる。
これらの中でも脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヒドロキシアルキル基およびシアノアルキル基の中から選ばれる官能基を2個以上有しているイミダゾール化合物が好ましく、特に2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。これにより、絶縁層の耐熱性を向上させ、低熱膨張化することができるとともに、吸水率を低くすることができる。
前記イミダゾール化合物の含有量は、特に限定されないが、シアネート樹脂とエポキシ樹脂との合計100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、特に0.2〜2重量部が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に耐熱性を向上させることができる。
本発明の絶縁層付き金属箔において、絶縁層を構成する樹脂組成物は無機充填材を含有する。これにより、低熱膨張化できるとともに、難燃性の向上を図ることができる。
前記無機充填材としては特に限定されないが、例えば、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ等を挙げることができる。
これらの中でもシリカが好ましく、溶融シリカが低膨張性に優れる点で好ましい。溶融シリカの形状としては特に限定されないが、例えば、破砕状、球状等が挙げられる。これらの中でも、球状シリカを用いると、樹脂組成物の溶融粘度を低くすることができ、有機繊維で形成される不織布への含浸性を良好なものとすることができる。
前記無機充填材の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、特に0.2〜2μmが好ましい。無機充填材の粒径が前記下限値未満であると、樹脂組成物を用いた樹脂ワニスの粘度が高くなるため、絶縁層を作製する際の作業性に影響を与える場合がある。また、前記上限値を超えると、樹脂ワニス中で無機充填剤の沈降等の現象が起こる場合がある。
無機充填材としては特に、平均粒径0.2〜2μmの球状溶融シリカを用いることが好ましい。これにより、上記効果に加えて無機充填剤の充填性を向上させることができる。
前記無機充填材の含有量は、樹脂組成物全体の30〜70重量%が好ましく、特に40〜60重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると低熱膨脹化、低吸水化する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると流動性の低下により成形性が低下する場合がある。
本発明の絶縁層付き金属箔において、樹脂組成物には、特に限定されないが、更にカップリング剤を含有することが好ましい。これにより、樹脂と無機充填剤との界面の濡れ性を向上させることができ、有機繊維で形成される不織布に対して樹脂および充填剤を均一に含浸・担持させ、耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を向上させることができる。
前記カップリング剤としては、通常用いられるものなら何でも使用できるが、これらの中でもエポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノシランカップリング剤及びシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用すること好ましい。これにより、無機充填剤の界面との濡れ性が高くでき、耐熱性をより向上させることができる。
前記カップリング剤の含有量は、特に限定されないが、無機充填剤100重量部に対して0.05〜3重量部が好ましい。含有量が前記下限値未満であると無機充填剤を十分に被覆できず耐熱性を向上させる効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると絶縁層の曲げ強度が低下する場合がある。
本発明の絶縁層付き金属箔に用いられる樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で上記成分以外の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば消泡剤、レベリング剤等を挙げることができる。
本発明の絶縁層付き金属箔において用いられる有機繊維で形成される不織布(以下、単に「有機不織布」ということがある)としては特に限定されないが、例えば、ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維などを含有するものを用いることができる。このようなガラス転移温度の高い樹脂繊維から形成される有機不織布を用いることで、絶縁層の耐熱性を向上させることができる。また、プリント配線板を製造する各工程での熱履歴温度の範囲内において、線膨張係数を低く抑えることができ、金属箔との膨張係数の差から生じる内部応力歪みを低減させることができる。
これらの中でも、ポリエステル繊維を含有するものであることが好ましく、特に、芳香族ポリエステル繊維であることが好ましい。これにより、低吸湿性とすることができるので、絶縁性、誘電特性を向上させることができる。
本発明の絶縁層付き金属箔を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、
(1)樹脂組成物を有機溶剤等に溶解・分散させた樹脂組成物ワニスを調製し、金属箔にこのワニスをコーター等により塗工し、この塗工面に有機不織布を重ね合わせ、加熱乾燥する。続いて、有機不織布の上面側から再び上記ワニスを塗工し、加熱乾燥して、有機不織布を含む絶縁層が金属箔に接合された絶縁層付き金属箔を得る方法、
(2)有機不織布を上記ワニスに浸漬して含浸させ、これを加熱乾燥してプリプレグを得る。次に、このプリプレグを金属箔と離型フィルムとで挟み、加熱加圧成形してプリプレグと金属箔を一体化させ、離型フィルムを除去して、有機不織布を含む絶縁層が金属箔に接合された絶縁層付き金属箔を得る方法
などが挙げられる。
前記樹脂ワニスの調製に用いられる溶剤は、前記樹脂組成物中の熱硬化性樹脂成分やイミダゾール化合物に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範
囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
前記樹脂ワニス中の固形分は、特に限定されないが、前記樹脂組成物の固形分30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。
本発明の絶縁層付き金属箔において、絶縁層の厚さは、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、特に20〜80μmが好ましい。
また、本発明の絶縁層付き金属箔において用いられる金属箔を構成する金属としては特に限定されないが、例えば銅および/または銅系合金、アルミおよび/またはアルミ系合金、鉄および/または鉄系合金等が挙げられる。
次に、本発明の多層プリント配線板について説明する。
本発明の多層プリント配線板は、上記本発明の絶縁層付き金属箔を、内層回路基板に積層し、加熱加圧成形してなることを特徴とする。
本発明の多層プリント配線板を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、絶縁層付き金属箔の絶縁層側を、内層回路基板の片面または両面に積層し、これを好ましくは140〜240℃、0.5〜4MPa、0.5〜1.5時間で加熱加圧成形して、内層回路基板表面の凹凸を充填して成形することにより、多層プリント配線板を製造することができる。なお、内層回路基板としては例えば、銅張積層板の両面にエッチング等により導体回路を形成し、黒化処理したものなどを用いることができる。
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
(I)樹脂ワニスの調製
シアネート樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂PT−60(ロンザ株式会社製、重量平均分子量2600)12重量%、ノボラック型シアネート樹脂PT−30(ロンザ株式会社製、重量平均分子量700)23.3重量%、第1のエポキシ樹脂として、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000P、エポキシ当量275、重量平均分子量2000)12重量%、第2のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂エピコート4275(ジャパンエポキシレジン株式会社製、重量平均分子量57000)12重量%を用い、これにイミダゾール化合物(四国化成工業株式会社製、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)0.5重量%を添加したものをメチルエチルケトンに溶解、分散させた。更に、無機充填剤として球状溶融シリカSO−25H(アドマテックス株式会社製、平均粒径0.5μm)40重量%および界面活性剤としてエポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%添加して、高速攪拌機を用いて10分間攪拌して樹脂組成物の固形分60重量%の樹脂ワニスを得た。
(II)絶縁層付き金属箔の製造
上記樹脂ワニスを厚さ18μmの銅箔のアンカー面に、コンマコーターにて塗工し、引き続いて、その塗工面に有機不織布として芳香族ポリエステル不織布(坪量25g/m、三菱製紙株式会社製)を重ねあわせることで、不織布に樹脂ワニスを含浸させ、乾燥工程を経て、その後、コンマコーターにて上記不織布の上面側から同じ樹脂ワニスを塗工し、乾燥後の厚さが70μmの絶縁層を有する絶縁層つき銅箔を得た。
(III)多層プリント配線板の製造
所定の内層回路が両面に形成されたハロゲンフリーFR−4内層回路基板(銅箔厚み18μm、絶縁層厚み0.2mm、L/S=120/180μm、クリアランスホール1mmφ、3mmφ、スリット2mm)の表裏に、上記絶縁層付き金属箔の絶縁層が内層回路側にくるように1枚ずつ重ねて、これを真空プレス装置にて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行い、多層プリント配線板を得た。
(実施例2)
使用する樹脂ワニスの配合量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス、絶縁層付き金属箔、及び、多層プリント配線板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂PT−30を25重量%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂NC−3000Pを22.3重量%、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂エピコート4275を12重量%、イミダゾール化合物0.5重量%、球状溶融シリカSO−25Hを40重量%、エポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
(実施例3)
使用する樹脂ワニスの配合量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス、絶縁層付き金属箔、及び、多層プリント配線板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂PT−60を12重量%、ノボラック型シアネート樹脂PT−30を10重量%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂NC−3000Pを25.3重量%、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂エピコート4275を12重量%、イミダゾール化合物0.5%、球状溶融シリカSO−25Hを40重量%、エポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
(実施例4)
使用する樹脂ワニスの配合量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス、絶縁層付き金属箔、及び、多層プリント配線板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂PT−60を5重量%、ノボラック型シアネート樹脂PT−30を10.2重量%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂NC−3000Pを12重量%、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂エピコート4275を12重量%、イミダゾール化合物0.5%、球状溶融シリカSO−25Hを60重量%、エポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
(比較例1)
エポキシ樹脂を使用せずに、他の樹脂の配合量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス、絶縁層付き金属箔、及び、多層プリント配線板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂PT−60を40重量%、ノボラック型シアネート樹脂PT−30を19.3重量%、イミダゾール化合物0.5%、球状溶融シリカSO−25Hを40重量%、エポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
(比較例2)
シアネート樹脂を使用せずに、他の樹脂の配合量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス、絶縁層付き金属箔、及び、多層プリント配線板を得た。
ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂NC−3000Pを16.3重量%、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂エピコート4275を43重量%、イミダゾール化合物0.5%、球状溶融シリカSO−25Hを40重量%、エポキシシランカップリング剤A
−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
(比較例3)
使用する樹脂ワニスの配合量を以下のようにして、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製した。
次に、有機不織布を使用せずに、上記樹脂ワニスを厚さ18μmの銅箔のアンカー面にコンマコーターにて塗工し、加熱乾燥することで、乾燥後の厚さが70μmの樹脂組成物のみからなる絶縁層を有する絶縁層つき銅箔を得た。これ以降は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂PT−60を33重量%、ノボラック型シアネート樹脂PT−30を10重量%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂NC−3000Pを16.3重量%、イミダゾール化合物0.5%、球状溶融シリカSO−25Hを40重量%、エポキシシランカップリング剤A−187(日本ユニカー株式会社製)を、無機充填材に対して0.5重量%とした。
各実施例および比較例で得られた絶縁層付き金属箔及び多層プリント配線板について、次の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
Figure 2005262513
(I)難燃性
難燃性は、多層プリント配線板の銅箔を全面エッチングし、UL−94規格、垂直法により測定した。
(II)ガラス転移温度
絶縁層付き金属箔の絶縁層側に銅箔を積層し、真空プレス装置にて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行った後、銅箔を全面エッチングし絶縁層硬化物を得た。
得られた絶縁層硬化物から、10mm×60mmのテストピースを切り出し、DMA(TAインスツルメント(株)製)を用いて5℃/分で昇温し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
(III)線膨張係数
絶縁層付き金属箔の絶縁層側に銅箔を積層し、真空プレス装置にて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行った後、銅箔を全面エッチングし絶縁層硬化物を得た。
得られた絶縁層硬化物から、4mm×20mmのテストピースを切り出し、TMA(TAインスツルメント(株)製)を用いて線膨張係数を10℃/分で測定した。
(IV)成形性
多層プリント配線板を全面エッチングし、目視にて成形ボイドの有無を観察した。
(V)吸湿半田耐熱性
多層プリント配線板より50mm×50mmのテストピースを切り出し、JIS K 6481に準拠して片面全面およびもう片面の1/2の銅箔をエッチングし除去した。これを125℃のプレッシャークッカーで2時間処理した後、260℃の半田槽に銅箔面を下にして180秒間浮かべ、膨れ、剥がれの有無を確認した。
(VI)誘電率・誘電正接
絶縁層付き銅箔の銅箔を全面エッチング除去したものを、厚さ1.0mmとなるように複数枚重ね、その両側に銅箔を積層し、真空プレス装置にて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行った。その後、銅箔を全面エッチングし、得られた積層板から97mm×25mm、53mm×25mm、37mm×25mmのテストピースを切り出し、トリプレート線路共振法により比誘電率、誘電正接を測定した。
(VII)レーザー加工性
多層プリント配線板を全面エッチングし、得られた積層板をUV YAGレーザ(三菱電機社製)で加工し、デスミア処理後のビアホールの上部及び断面の樹脂残りを顕微鏡観察し、樹脂残りのないもの、及び、部分的に樹脂残りはあるが、実用上問題ないものを「良好」とした。
(VIII)引っ張り強度
絶縁層付き金属箔の絶縁層側に銅箔を積層し、真空プレス装置にて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行い、銅箔を全面エッチングし絶縁層硬化物を得た。
この試料を用い、JIS K 7161に準拠して、試験速度50mm/minで引っ張り試験を行った。
表1から明らかなように、実施例1〜4は、ガラス転移温度が高く、熱膨張率が小さく、誘電特性、加工性、難燃性、機械的強度が良好であり、これらの特性のバランスに優れたものであった。
一方、比較例1はエポキシ樹脂を配合しない樹脂組成物を用いたが、耐熱性が低下した。比較例2はシアネート樹脂を配合しない樹脂組成物を用いたが、難燃性を付与することができず、ガラス転移温度が低下し、誘電特性や機械的強度、低熱膨張性においても劣るものとなった。そして、比較例3は有機不織布を使用せずに、絶縁層付き金属箔を作成したが、誘電特性が若干低下し、また機械的強度においても劣るものとなった。
本発明は、多層プリント配線板の製造に用いられ、高耐熱性、高剛性、低熱膨張性を有
し、難燃性に優れた絶縁層を形成することができる絶縁層付き金属箔であり、高密度化に対応できる多層プリント配線板要のビルドアップ材料として好適に用いることができるものである。そして、本発明の多層プリント配線板は、高密度実装に対応したプリント配線基板として好適に用いることができるものである。

Claims (3)

  1. 硬化性樹脂を含有する樹脂組成物と、有機繊維で形成される不織布とから構成される絶縁層が、金属箔に接合された絶縁層付き金属箔であって、前記樹脂組成物は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、無機充填材とを含有することを特徴とする絶縁層付き金属箔。
  2. 前記有機繊維は、ポリエステル繊維を含有するものである請求項1に記載の絶縁層付き金属箔。
  3. 請求項1又は2に記載の絶縁層付き金属箔を、内層回路基板に積層し、加熱加圧成形してなることを特徴とする多層プリント配線板。
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