JP2005262257A - 溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 金属薄板にて形成された構造物の重ね継手にレーザー溶接とガスメタルアーク溶接とを行う溶接方法において、重ね継手における上下被溶接物間の隙間の許容量を大幅に拡大することができる溶接方法を提供する。
【解決手段】 金属薄板にて形成された構造物Sの重ね継手の溶接箇所にレーザー溶接装置1によりレーザー光を照射する工程と、レーザー光を照射した後に、レーザー光が照射された溶接箇所にガスメタルアーク溶接装置7によりガスメタルアーク溶接を行う工程とを備える。ガスメタルアーク溶接を行う工程では、溶接用ワイヤ8を負極、構造物Sを正極としてガスメタルアーク溶接を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 金属薄板にて形成された構造物Sの重ね継手の溶接箇所にレーザー溶接装置1によりレーザー光を照射する工程と、レーザー光を照射した後に、レーザー光が照射された溶接箇所にガスメタルアーク溶接装置7によりガスメタルアーク溶接を行う工程とを備える。ガスメタルアーク溶接を行う工程では、溶接用ワイヤ8を負極、構造物Sを正極としてガスメタルアーク溶接を行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、金属薄板にて形成された構造物の重ね継手の接合に用いられる溶接方法に関する。
金属薄板にて形成された構造物の接合には、従来より主に電気抵抗スポット溶接法やアーク溶接法が用いられてきたが、近年、レーザー溶接法が採用されるようになってきた。これは、レーザー溶接を採用した場合には、片側からの溶接で済むとともに、ビード幅が狭いために従来工法である電気抵抗スポット溶接法やアーク溶接法に比べて接合部の設計自由度が大きく、溶接継手としての幅を狭くすることが可能となる利点があるからである。
図3に一般的な重ね継手でのレーザー溶接法の概念を示す。レーザー発振器101から発振されたレーザー光102が集光光学系103で反射されて重ね合わされた被溶接物104の表面に集光され、重ね合わされた被溶接物104同士を接合するようになっている。
このレーザー溶接法では、レーザー光102は非常に強い集光性があり、エネルギー密度の極めて高い集中熱源となるので、溶け込み深さが深く、高速溶接を行うことができる。
このレーザー溶接法では、レーザー光102は非常に強い集光性があり、エネルギー密度の極めて高い集中熱源となるので、溶け込み深さが深く、高速溶接を行うことができる。
しかしながら、レーザー溶接法では、レーザー光102の集光性がよいという特徴の裏返しとして、被溶接物104の重ね合わせ品質を厳格に管理する必要がある。重ね継手では、図3に示す上下の被溶接物104間の隙間Cの許容量は上側被溶接物104の板厚の30%程度であり、これを越えると溶融部105が上側被溶接部104から溶け落ちて、重ね継手の強度が低下する。
このため、従来にあっては、重ね継手の上下両側から被溶接物104に加圧力を加えて重ね継手の隙間Cの寸法を矯正しつつレーザー溶接を施す方法が、特許文献1及び特許文献2に提案されている。また、図4に示すように、金属薄板閉断面構造物であるルーフサイドレール201とルーフパネル202との接合の際には、重ね継手の上下両側から被溶接物に加圧力を付与することができないため、重ね継手の上側のみ、即ちルーフパネル202の上側のみから加圧ローラ203で加圧力を加えて重ね継手の隙間の寸法を矯正しつつレーザー光204で溶接を施す方法が、特許文献3に提案されている。
また、金属薄板閉断面構造物の溶接では、片側からの溶接が可能なアーク溶接法が用いられる場合がある。このアーク溶接法としては、従来から汎用されているものとして、ティグ溶接(イナートガスタングステンアーク溶接)、プラズマアーク溶接、及びガスメタルアーク溶接が知られている。ティグ溶接は、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で、タングステン電極と母材間にアークを発生させて、溶加材をアークで溶かしつつ溶接するものである。プラズマアーク溶接は、溶接トーチ内の2電極間に通電してアークを発生させ、その周囲にアルゴンと水素とを混合した作動ガスを送り込んで、作動ガスをアークの熱で電離してイオンと電子とが混在したガス体であるプラズマとし、このプラズマの熱で溶接するものである。ティグ溶接及びプラズマアーク溶接は、電極が消耗しないので、非消耗電極方式溶接法と呼ばれている。一方、ガスメタルアーク溶接は、アルゴンなどの不活性ガスや炭酸ガスおよびこれらの混合ガス雰囲気中で、電極をなすとともに溶加材としての溶接用ワイヤを連続的に供給しながら、この溶接用ワイヤと母材間にアークを発生させて、溶接用ワイヤをアークで溶かしつつ溶接するものである。ガスメタルアーク溶接は、電極が消耗するので、消耗電極方式溶接法と呼ばれている。
一方、レーザー溶接とティグ溶接とを複合させる溶接方法が、例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7に開示されている。レーザー溶接とティグ溶接とを複合させた場合の溶け込み量は単純に両溶接法の溶け込み量の和よりも大きくなる。これはレーザー照射によって、溶接部にキーホールが形成されるため、ティグの加熱が鋼材の表面からだけではなく、キーホール内部からも行われるためであると考えられている。また、レーザーの反射がティグアークによって緩和され、レーザーの鋼材への吸収率が向上するためと考えられている。また、レーザー溶接とプラズマアーク溶接とを複合させる溶接方法が、例えば、特許文献8に開示されている。特許文献8に開示された溶接方法によれば、レーザー光がプラズマジェットにより補強されて広範な熱源となり、この結果レーザー溶接のみの場合に発生していたポロシティが無くなり、高精度で、かつ強力な溶接を行うことができる。
また、レーザー溶接とガスメタルアーク溶接とを複合した溶接方法が、例えば、非特許文献1に開示されている。この溶接方法によれば、レーザー溶接に比べて隙間許容量が拡大することが示されている。
特開昭59−179284号公報
特開平4−258391号公報
特開平8−90264号公報
特開昭62−263869号公報
特許第1798896号公報
特開平9−122950号公報
特開平10−272578号公報
特開平10−216979号公報
U.Dilthey et al: Prospects by Combining and Coupling Laser Beam and Arc Welding Processes. IIW Doc. XII-1565(1999)
しかしながら、これら従来の溶接方法にあっては、以下の問題点があった。
即ち、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3で示すように、金属薄板にて形成された構造物の重ね継手をレーザー溶接する場合には、被溶接物間の隙間を厳格に管理するために被溶接物に加圧力を加えて隙間を矯正しつつ溶接を施す必要があるが、金属薄板構造物の形状が複雑な場合や板厚構成が多岐にわたる場合には高精度の加圧制御が困難となり継手強度が低下するという問題があった。
即ち、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3で示すように、金属薄板にて形成された構造物の重ね継手をレーザー溶接する場合には、被溶接物間の隙間を厳格に管理するために被溶接物に加圧力を加えて隙間を矯正しつつ溶接を施す必要があるが、金属薄板構造物の形状が複雑な場合や板厚構成が多岐にわたる場合には高精度の加圧制御が困難となり継手強度が低下するという問題があった。
また、ティグ溶接、プラズマアーク溶接、及びガスメタルアーク溶接などのアーク溶接法では、レーザー溶接法に比べて熱源の収束性が劣ることや溶接速度が遅いために、金属薄板構造物に対して溶接入熱が過大であり溶融部が抜け落ちる欠陥が発生しやすく、継手強度を低下させるという問題があった。
更に、特許文献4、5、6、7、及び8に開示されたように、レーザー溶接とティグ溶接あるいはプラズマアーク溶接とを複合した溶接方法では、溶接速度の高速化を図ることができるが、ティグ溶接及びプラズマアーク溶接はいずれも非消耗電極方式溶接法であるため、重ね継手における上下被溶接物間の隙間の許容量を大きくすることができず、溶融部が抜け落ちする欠陥に起因する継手強度の低下をきたすという問題を解決することができない。
更に、特許文献4、5、6、7、及び8に開示されたように、レーザー溶接とティグ溶接あるいはプラズマアーク溶接とを複合した溶接方法では、溶接速度の高速化を図ることができるが、ティグ溶接及びプラズマアーク溶接はいずれも非消耗電極方式溶接法であるため、重ね継手における上下被溶接物間の隙間の許容量を大きくすることができず、溶融部が抜け落ちする欠陥に起因する継手強度の低下をきたすという問題を解決することができない。
加えて、非特許文献1に記載されたように、レーザー溶接とガスメタルアーク溶接とを複合した溶接方法では、溶接速度の高速化を図ることができるとともに、ガスメタルアーク溶接が消耗電極方式溶接法であるためレーザー溶接に比べて重ね継手における上下被溶接物間の隙間の許容量を大きくすることができる。しかし、ただ単にレーザー溶接とガスメタルアーク溶接とを複合しただけでは、重ね継手における上下被溶接物間の隙間の許容量の拡大量が不十分で、溶融部が抜け落ちする欠陥を効果的に防止することができなかった。
従って、本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属薄板にて形成された構造物の重ね継手にレーザー溶接とガスメタルアーク溶接とを行う溶接方法において、重ね継手における上下被溶接物間の隙間の許容量を大幅に拡大することができる溶接方法を提供することにある。
従って、本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属薄板にて形成された構造物の重ね継手にレーザー溶接とガスメタルアーク溶接とを行う溶接方法において、重ね継手における上下被溶接物間の隙間の許容量を大幅に拡大することができる溶接方法を提供することにある。
上記諸問題を解決するため、本発明のうち請求項1に係る溶接方法は、金属薄板にて形成された構造物の重ね継手の溶接箇所にレーザー光を照射する工程と、前記レーザー光を照射した後に、前記レーザー光が照射された前記溶接箇所にガスメタルアーク溶接を行う工程とを備えた溶接方法において、前記ガスメタルアーク溶接を行う工程では、溶接用ワイヤを負極、前記構造物を正極としてガスメタルアーク溶接を行うことを特徴としている。
また、本発明のうち請求項2に係る溶接方法は、請求項1記載の発明において、前記レーザー光を照射する工程では、YAGレーザー光を照射することを特徴としている。
また、本発明のうち請求項2に係る溶接方法は、請求項1記載の発明において、前記レーザー光を照射する工程では、YAGレーザー光を照射することを特徴としている。
本発明のうち請求項1に係る溶接方法によれば、ガスメタルアーク溶接を行う工程で、溶接用ワイヤを負極、金属薄板にて形成される構造物を正極としてガスメタルアーク溶接を行うようにしているので、溶接により生じる溶接部の溶け込みが浅くなり、重ね継手における上下被溶接物間の隙間に凸形のビードが形成されるため、重ね継手における上下被溶接物間の隙間の許容量を大幅に拡大することができる。
また、本発明のうち請求項2に係る溶接方法によれば、請求項1記載の発明において、レーザー光を照射する工程で、YAGレーザー光を照射するようにしている。一般的にレーザー光はアークに対して相互作用(吸収や反射)が起こり、レーザーエネルギーが溶接において有効に使われない場合が多いが、波長1.06μmのYAGレーザー光はアークとの相互作用が起こりにくく、レーザーエネルギーを溶接において有効に使用することができる。
また、本発明のうち請求項2に係る溶接方法によれば、請求項1記載の発明において、レーザー光を照射する工程で、YAGレーザー光を照射するようにしている。一般的にレーザー光はアークに対して相互作用(吸収や反射)が起こり、レーザーエネルギーが溶接において有効に使われない場合が多いが、波長1.06μmのYAGレーザー光はアークとの相互作用が起こりにくく、レーザーエネルギーを溶接において有効に使用することができる。
次に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係る溶接方法が適用される溶接装置の概略図である。図2は溶接される被溶接物の一例を示し、(A)は被溶接物の平面図、(B)は被溶接物の正面図、(C)は(A)の2C−2C線に沿う拡大断面図である。
図1において、上下に重ね合わされた被溶接物(金属薄板にて形成された構造物の重ね継手)Sの上方に、レーザー溶接装置1とガスメタルアーク溶接装置7とが設置される。
図1において、上下に重ね合わされた被溶接物(金属薄板にて形成された構造物の重ね継手)Sの上方に、レーザー溶接装置1とガスメタルアーク溶接装置7とが設置される。
ここで、レーザー溶接装置1は、YAGレーザー光を発振するYAGレーザー装置2と、YAGレーザー装置2に接続され、YAGレーザー装置2から発振されたYAGレーザー光を伝送する光ファイバ3と、光ファイバ3に接続され、YAGレーザー光を被溶接物Sの溶接箇所に照射する集光装置4とを具備している。集光装置4は、レンズ6とこのレンズ6を保持するレンズホルダ5とからなり、光ファイバ3から伝送されるYAGレーザー光をレンズ6により被溶接物Sの溶接箇所に集光するようにしている。
また、ガスメタルアーク溶接装置7は、トーチノズル9内をワイヤ供給源(図示せず)から溶接用ワイヤ8を連続的に供給しつつ、不活性ガス源12から供給されるアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で、溶接用ワイヤ8と被溶接物Sとの間にアーク10を発生させて、溶接用ワイヤ8をアーク10で溶融しつつ被溶接物Sの溶接箇所を溶接する。接用ワイヤ8と被溶接物Sとの間にアーク10を発生させるために、電源部11の負極を溶接用ワイヤに接続し、電源部11の正極を被溶接物Sに接続し、溶接用ワイヤ8を負極、被溶接物Sを正極として被溶接物Sと溶接用ワイヤ8との間に電圧を付加するようにしている。
次に、被溶接物Sの溶接箇所への溶接方法について説明すると、先ず、被溶接物Sの溶接箇所に、レーザー溶接装置1によりYAGレーザー光を被溶接物Sの上方から照射し、レーザー溶接を行う。その後、YAGレーザー光が照射された被溶接物Sの溶接箇所に、ガスメタルアーク溶接装置7により被溶接物Sの上方からガスメタルアーク溶接を行う。これにより、図2(A)、図2(B)に示すように、被溶接物Sの上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の溶接箇所に溶接部13が形成される。そして、ガスメタルアーク溶接では溶接用ワイヤ8を溶融して上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cを埋めつつ溶接が行われるため、図2(C)に示すように、溶接部13が上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cを埋める。
そして、ガスメタルアーク溶接において、溶接用ワイヤ8を負極、被溶接物Sを正極として溶接を行っているため、図2(C)に示すように、溶接部13の溶け込みが浅く、上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cに凸形のビード14が形成される。このため、重ね継手における上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cの許容量を大幅に拡大することができる。これにより、溶接部13が抜け落ちする欠陥を効果的に防止し、重ね継手の強度低下を防止することができる。
被溶接物Sの溶接箇所にガスメタルアーク溶接を行わず、レーザー溶接のみを行う場合には、上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cの許容量は上側被溶接物S1 の板厚の30%程度であり、これを越えると溶融部13が上側被溶接部S1 から溶け落ちて、重ね継手の強度が低下する。
一方、被溶接物Sの溶接箇所にガスメタルアーク溶接のみを行う場合には、溶接速度が最大1m/ min程度であり、溶接入熱が過大となり溶接部13の抜け落ち欠陥を生じやすい。
一方、被溶接物Sの溶接箇所にガスメタルアーク溶接のみを行う場合には、溶接速度が最大1m/ min程度であり、溶接入熱が過大となり溶接部13の抜け落ち欠陥を生じやすい。
これに対して、被溶接物Sの溶接箇所にレーザー溶接を行った後、ガスメタルアーク溶接を行うようにすると、レーザー光を照射された被溶接物Sは溶融・蒸発してその一部が電離してプラズマとなり、この高温領域ではレーザー照射により金属蒸気密度および金属イオン密度が高いことに加えて、被溶接物Sからの熱電子放出エネルギーあるいは被溶接物Sへの熱電子吸収エネルギーも大幅に低下するため、ここにガスメタルアークを照射することにより容易にアークの陽極点あるいは陰極点になりやすくアークの発生・維持が安定化し、アークが集中するようになる。このため、溶接速度が6m/ minを越えても溶接が可能となり、高速溶接が可能となる。これにより、被溶接物Sの溶接箇所への溶接入熱がガスメタルアーク溶接を単独で行う場合に対して30%以下となり、溶接部13の抜け落ち欠陥が生じがたくなる。また、ガスメタルアーク溶接では連続的に供給される溶接用ワイヤ8を溶融して上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cを埋めつつ溶接が行われるため、上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cの許容量をある程度大きくすることができる。
しかし、ガスメタルアーク溶接において、溶接用ワイヤ8を正極、被溶接物Sを負極として溶接を行うと、上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cの許容量の拡大量が不十分で、溶接部13が抜け落ちする欠陥を効果的に防止することができない。
従って、ガスメタルアーク溶接において、溶接用ワイヤ8を負極、被溶接物Sを正極として溶接を行うようにし、図2(C)に示すように、上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の溶け込みを浅くし、上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cに凸形のビード14を形成するようにし、重ね継手における上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cの許容量を大幅に拡大するようにしている。
従って、ガスメタルアーク溶接において、溶接用ワイヤ8を負極、被溶接物Sを正極として溶接を行うようにし、図2(C)に示すように、上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の溶け込みを浅くし、上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cに凸形のビード14を形成するようにし、重ね継手における上側被溶接物S1 及び下側被溶接物S2 の隙間Cの許容量を大幅に拡大するようにしている。
また、レーザー溶接装置1によりレーザー光を照射する工程では、YAGレーザー光を照射するようにしている。一般的にレーザー光はアークに対して相互作用(吸収や反射)が起こり、レーザーエネルギーが溶接において有効に使われない場合が多いが、波長1.06μmのYAGレーザー光はアークとの相互作用が起こりにくく、レーザーエネルギーを溶接において有効に使用することができる。
なお、本実施形態が適用される被溶接物Sは金属薄板にて形成される構造物であるが、その材質としては、炭素鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金等が挙げられる。また、金属薄板の適用板厚範囲は、溶接入熱、溶接速度等の溶接条件に依存するが、一般的には0.3mm以上6mm以下である。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、レーザー光を照射する工程では、YAGレーザー光を照射する必要は必ずしもなく、CO2 レーザー光等を照射するようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、レーザー光を照射する工程では、YAGレーザー光を照射する必要は必ずしもなく、CO2 レーザー光等を照射するようにしてもよい。
上側被溶接物として板厚が0.6mm、1.0mm、1.6mm、2.0mmの4鋼種の鋼板を用いた。重ね継手として上下鋼板間の隙間を、上側鋼板の板厚が0.6mmの場合0.40mm、0.60mm、0.80mm、1.00mm、1.20mm、1.40mmとし、上側鋼板の板厚が1.0mmの場合0.40mm、0.60mm、0.80mm、1.00mm、1.40mm、1.80mmとし、上側鋼板の板厚が1.6mmの場合0.60mm、0.80mm、1.00mm、1.20mm、1.60mm、2.00mmとし、上側鋼板の板厚が2.0mmの場合0.80mm、1.00mm、1.20mm、1.60mm、2.00mm、2.40mmとした試験片を準備した。
YAGレーザー光を照射するレーザー溶接とガスメタルアーク溶接とを複合したハイブリッド溶接法で、溶接用ワイヤの極性を負極、母材(被溶接物、上側鋼板)の極性を正極とした本発明例と、溶接用ワイヤの極性を正極、母材の極性を負極とした比較例とにより溶接を行った。各溶接法の溶接条件を表1に示す。
また、溶接試験の結果を表2に示す。
溶接試験の評価は、抜け落ちがなく継手強度が十分な溶接部が得られた場合を「○」とし、抜け落ちは生じないが溶け込み深さの僅かな低下などにより溶接継手の品質が若干低下する場合を「△」とし、溶接部が抜け落ちた場合を「×」とした。また、上側鋼板と下側鋼板とがつながらない場合も継手強度が零のため「×」とした。
表2を参照すると、上側鋼板の板厚が厚くなるほど、溶接部の抜け落ちが生じない上下鋼板間の隙間の許容量が拡大していることがわかる。そして、上下鋼板間の隙間の許容量は、上側鋼板の板厚が0.6mm、1.0mm、1.6mm、2.0mmのいずれの場合であっても比較例に対して本発明例が拡大していることが分かる。
従って、本発明は、ガスメタルアーク溶接を行う工程で、溶接用ワイヤを負極、金属薄板にて形成される構造物を正極としてガスメタルアーク溶接を行うようにすることにより、重ね継手における上下被溶接物間の隙間の許容量を大幅に拡大することができ、溶接部が抜け落ちする欠陥を効果的に防止し、重ね継手の強度低下を防止することができる。
表2を参照すると、上側鋼板の板厚が厚くなるほど、溶接部の抜け落ちが生じない上下鋼板間の隙間の許容量が拡大していることがわかる。そして、上下鋼板間の隙間の許容量は、上側鋼板の板厚が0.6mm、1.0mm、1.6mm、2.0mmのいずれの場合であっても比較例に対して本発明例が拡大していることが分かる。
従って、本発明は、ガスメタルアーク溶接を行う工程で、溶接用ワイヤを負極、金属薄板にて形成される構造物を正極としてガスメタルアーク溶接を行うようにすることにより、重ね継手における上下被溶接物間の隙間の許容量を大幅に拡大することができ、溶接部が抜け落ちする欠陥を効果的に防止し、重ね継手の強度低下を防止することができる。
1 レーザー溶接装置
2 YAGレーザー装置
3 光ファイバ
4 集光装置
5 レンズホルダ
6 レンズ
7 ガスメタルアーク溶接装置
8 溶接用ワイヤ
9 トーチノズル
10 アーク
11 電源部
12 不活性ガス源
S 被溶接物(金属薄板にて形成された構造物の重ね継手)
2 YAGレーザー装置
3 光ファイバ
4 集光装置
5 レンズホルダ
6 レンズ
7 ガスメタルアーク溶接装置
8 溶接用ワイヤ
9 トーチノズル
10 アーク
11 電源部
12 不活性ガス源
S 被溶接物(金属薄板にて形成された構造物の重ね継手)
Claims (2)
- 金属薄板にて形成された構造物の重ね継手の溶接箇所にレーザー光を照射する工程と、前記レーザー光を照射した後に、前記レーザー光が照射された前記溶接箇所にガスメタルアーク溶接を行う工程とを備えた溶接方法において、
前記ガスメタルアーク溶接を行う工程では、溶接用ワイヤを負極、前記構造物を正極としてガスメタルアーク溶接を行うことを特徴とする溶接方法。 - 前記レーザー光を照射する工程では、YAGレーザー光を照射することを特徴とする請求項1記載の溶接方法。
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