JP2005262125A - セラミックスハニカム製h2s除去材の再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Mnを含む複合酸化物を担持したセラミックスハニカム製H2S除去材の使用後のH2S除去材を、加熱アルカリ水溶液中で洗浄処理するか、あるいは真空中で加熱処理して、表面に沈着したS(硫黄)を除去する。
表面のSを除去することにより、複合酸化物の触媒機能を再び発揮させ、H2S除去性能を回復させる。
【選択図】 図7
Description
しかしながら、薬液洗浄法等、水を使用する方法にあっては使用後の大量の水を処理する必要があり、また土壌脱臭法にあっても、使用後の土壌は環境汚染にも繋がることになる。燃焼法は、燃焼エネルギを必要とするばかりでなく、燃焼後に亜硫酸成分を生成し、環境汚染の要因にもなる。さらに、活性炭吸着法では、活性炭を再利用しようとすると燃焼を必要とし、上記燃焼法と同様の弊害がある。
このような弊害を少なくする観点から、例えば特許文献1,2,3では、Mn等を含む複合酸化物を担持させたセラミック製ハニカムを用いることも提案されている。
機能が低下した吸着材ないしフィルタをそのまま廃棄することは、環境を汚染させ、また貴重なMn資源等の有効利用の観点からは得策ではない。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、Mnを含む複合金属酸化物を担持したセラミックスハニカム製H2S除去用吸着材ないしフィルタ(以下、「除去材」と記す。)をリサイクルする方法を提供することを目的とする。
S除去処理としては、加熱アルカリ水溶液中での洗浄処理または真空中での加熱処理が採用される。
再利用により、Mn等の貴重な金属資源の有効利用が図れ、かつ環境を汚染することがないH2Sの除去が可能となる。
H2Sの吸着除去は、密閉・静置系材よりもガスフロー系の方が吸着効率に優れるので、本明細書中では、Mn等を含む複合酸化物を空隙率の大きいセラミックスハニカムに担持させ、H2S含有ガスを、当該セラミックスハニカムを透過させたときの、透過前後のガス中のH2S量および透過後のセラミックスハニカムの重量増を測定した。
比表面積が大きいのである程度の物理吸着力は働くかもしれないが、基本的にガスはただ通り抜けていくだけである。したがって、基材に何らかの処理をして、ガス分子を吸着できるようにする必要がある。
複合酸化物としては、上記Mn2O3−CuO−Co2O3系に限定する必要はなく、Si,Zn,Fe,Ni等をも含み得る。触媒として活性の高い金属という点からMnが必須であり、Cuを含むものが好ましい。
初めに、複合酸化物粉体、コロイダルシリカおよび超純水を、含まれている固形分が一定割合になるように混合し、均一に分散するまで攪拌して複合酸化物のスラリーを作製した。スラリー作製後、基材を浸漬させ、その後水分が完全に抜けきるまで十分に乾燥させた。
乾燥後のセラミックスハニカムの断面微細構造をSEMによって観察すると、図3にみられるようになっている。絡み合った繊維状物質の繊維と繊維の間の隙間に微粒子が小さな塊となって詰め込まれて固定されていることがわかる。この小さな塊がMn等の複合酸化物である。
図4にみられるように、極めて優れたH2S除去性能を有することがわかる。
そこで、60時間にわたってH2S除去に使用したMn系複合酸化物担持のセラミックスハニカムの表面を観察したところ、表面に白濁物質が沈着していた。この白濁物質を含め、セラミックスハニカム全体を、H2S除去の前後にXPS(X線光電子分光分析装置)で分析した。
その結果、Mn系複合酸化物の表面で、H2Sの還元反応が進行し、S(硫黄)が残留することがわかった。
図6に、XPSで得られた硫黄のH2S除去前後のピーク図を示す。この図はS(硫黄)の2p軌道のピークであり、ここから、確かに硫化水素は複合酸化物によって吸着されたことがわかる。また、硫黄が単体、つまり0価で存在しているので、硫化水素が酸化されたことも読み取れる。
セラミックスハニカムの表面に付着されたスラリーはMn2O3,CuO,Co2O3およびSiであることから、Mn2O3,CuOおよびCo2O3の表面でそれぞれ次のような反応が進行していたと推測される。
・Mn 2 O 3
Mn2O3+H2S → Mn2S3+H2O
Mn2S3+O2 → Mn2O3+SO2↑
Mn2S3+SO2 → Mn2O3+S
SO2+H2S → S+H2O
CuO+H2S → CuS+H2O
CuS+O2 → CuO+SO2↑
CuO+H2O → Cu(OH)2
Cu(OH)2+H2S → CuS+H2O
SO2+H2S →S+H2O
・Co 2 O 3
Co2O3+H2S → Co2S3+H2O
Co2S3+O2 → Co2O3+S
H2S+SO2 → S+H2O
・全体
H2S+O2 → S+H2O
したがって、金属酸化物表面を覆った触媒毒であるS(硫黄)を何らかの方法で除去してやれば、再生フィルタとしてリサイクルできる可能性がある。
実用可能なS除去法として、加熱したアルカリ水溶液中に浸漬して洗浄する方法、および真空中で加熱する方法が挙げられる。
アルカリ水溶液として、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムの水溶液が挙げられる。水酸化カリウムや水酸化ナトリウムの水溶液は、10〜20wt%の濃度で用いることが好ましい。20wt%を超えるほどに濃度が高すぎると基材を壊すことになる。逆に低すぎると除去効率が低下する。水溶液は20〜60℃に加熱して用いることが好ましい。
さらに、洗浄効果を高める意味で、超音波等の撹拌・振動を加えても良い。
しかし、ハニカムを構成するセラミックスがアルミナ−シリカ質等、酸性物質であると、ハニカムの基材が溶解されるおそれがあるので、アルカリ水溶液は、非酸性物質からなるフィルタに適用することが好ましい。
S(硫黄)単体の沸点は、大気圧の下では445℃である。そして、真空状態では真空度に応じて低下する。例えば2.65×10-2Paでは115℃になる。したがって、真空下で少なくとも150℃以上の温度で加熱すれば、確実にS(硫黄)は除去できることになる。
Sを完全に加熱気化させるには、加熱時間は長いほど確実ではあるが、作業効率をも考えると2時間程度以下に止めることが好ましい。150℃で2時間も加熱すればSは十分に除去される。
セラミックスハニカムの表面に沈着したSが除去されれば、Mn系複合酸化物表面が露出されることになるので、触媒作用は復活する。すなわち、H2S除去材として再び使用することが可能となる。
セラミックスハニカムとして、市販の汎用品を使用した。またMnを含む複合酸化物として市販のMn−Cu−Co系複合酸化物粒子を、さらにコロイダルシリカとして市販の汎用品を用いた。
複合酸化物粉体、コロイダルシリカ、超純水を、含まれている固形分の質量割合で、複合酸化物粉体;12質量%,コロイダルシリカ;3質量%になるように混合し、均一に分散するまで攪拌して複合酸化物のスラリーを作製した。スラリー作製後、10cm×10cmで厚さ3cmのハニカムを浸漬させ、その後水分が完全に抜けきるまで十分に乾燥させて、複合酸化物が0.09g/ccの割合で付着したフィルタを作製した。このフィルタの比表面積は105m2/gであった。
この使用後のフィルタを2.65×10-2Paの真空下に置き、100℃で1時間保持した後のセラミックスハニカムの重量を測定し、除去したS量を算出し、順じ、120℃,150℃および200℃でそれぞれ1時間加熱してその温度でのS除去量を算出した。
その結果を、図7に示す。また、その後真空機器の内壁に析出した析出物を分析するとともに、析出物の量を計量したところ、析出物は硫黄であり、その量も除去したS量とほぼ同量であり、かつ、上記H2S除去処理で増加した量とほぼ同量であった。
その再生フィルタのH2S除去性能を時間に沿って算出したところ、図8に示すような結果が得られた。
再生フィルタは新規フィルタに比べてH2S除去性能が低下する時間は短いものの、H2S除去機能を十分に有しているので、再利用が可能である。
以上の結果から、Mn系複合酸化物を担持したセラミックスハニカム製フィルタを使用した後、その表面に沈着した物質がS(硫黄)であること、そのSは真空下で加熱することにより除去することができ、H2S除去用のフィルタとして再び使用できることを確認することができた。
Claims (3)
- Mnを含む複合酸化物を担持したセラミックスハニカム製H2S除去材であって、使用に供したセラミックスハニカム製H2S除去材にS除去処理を施すことを特徴とするセラミックスハニカム製H2S除去材の再生方法。
- S除去処理が、加熱アルカリ水溶液中での洗浄処理である請求項1に記載のセラミックスハニカム製H2S除去材の再生方法。
- S除去処理が、真空中での加熱処理である請求項1に記載のセラミックスハニカム製H2S除去材の再生方法。
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JP2004080180A JP2005262125A (ja) | 2004-03-19 | 2004-03-19 | セラミックスハニカム製h2s除去材の再生方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007125509A (ja) * | 2005-11-04 | 2007-05-24 | Snt Co | 硫黄化合物除去剤、その製造方法、及び硫黄化合物除去用フィルター |
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2004
- 2004-03-19 JP JP2004080180A patent/JP2005262125A/ja active Pending
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