JP2005262092A - 無機微粒子分散液およびその製造方法、並びにインクジェット記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも、水と、高分子分散剤と、金属塩と、を含む水性媒体に無機微粒子を添加した後分散処理を行うことを特徴とする無機微粒子分散液の製造方法、およびこれによって得られた無機微粒子分散液と、これを用いたインクジェット記録媒体である。
【選択図】 なし
Description
これらの記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録媒体に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
このインクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存でも黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像がにじまないこと(経時ニジミが良好な事))、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
さらに、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、印画部の光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
これらの記録媒体、特に、無機微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなるインク受容層を設けたインクジェット記録媒体は、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し且つ高光沢を示すことができる。
一方、該塗布液の粘度を下げ分散性を高めて上記の欠点を解決するためには、ホモジナイザー、ボールミル、ダイノミル等の分散機による長時間の分散を必要とし、無機微粒子分散液の製造に多大なエネルギーを要するという欠点があった。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<2> 前記金属塩が水溶性金属塩であることを特徴とする前記<1>に記載の無機微粒子分散液の製造方法である。
<3> 前記無機微粒子がシリカ微粒子であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の無機微粒子分散液の製造方法である。
<4> 前記高分子分散剤が、芳香族基含有アクリル系カチオンポリマー若しくはポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドであることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の無機微粒子分散液の製造方法である。
<5> 前記水溶性金属塩がジルコニウム化合物であることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の無機微粒子分散液の製造方法である。
<6> 前記水性媒体中に、さらに架橋剤を含有することを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の無機微粒子分散液の製造方法である。
<7> 前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の無機微粒子分散液の製造方法にて製造されたことを特徴とする無機微粒子分散液である。
<8> 前記<7>に記載の無機微粒子分散液を用いた塗布液を塗布してインク受容層を形成することを特徴とするインクジェット記録媒体である。
以下、本発明の無機微粒子分散液およびその製造方法、並びにインクジェット記録媒体について詳細に説明する。
本発明の無機微粒子分散液の製造方法は、水、高分子分散剤および水溶性もしくは疎水性の金属塩を含む水性媒体に無機微粒子を添加し、その後分散処理を行うことを特徴とする。これら添加剤の添加順や添加方法には特に制限はないが、下記に示すように2回以上に分けて添加するか連続的に添加することもできる。すなわち、
(1) 該無機微粒子の分散が、水性媒体中に、高分子分散剤と無機微粒子をそれぞれ2回以上に分けて添加し、分散するか、または
(2) 該無機微粒子の分散が、水性媒体中に、高分子分散剤と無機微粒子をそれぞれ連続的に添加し、分散することにより無機微粒子分散液を得ることができる。
高分子分散剤と無機微粒子の添加を3回以上に分けて添加する場合の分量は、水(溶媒)、無機微粒子の量、攪拌速度等を考慮したうえで適宜決定すればよいが、添加の後半ほど無機微粒子に対する高分子分散剤の比率を大きくすることが好ましい。
そして、回数が無限回の場合、つまり(2)の、高分子分散剤と無機微粒子をそれぞれ連続的に添加する方法におけるそれぞれの時間当たりの添加量は、前記同様に、水(溶媒)、無機微粒子の量、攪拌速度等を考慮したうえで適宜決定すればよいが、添加の後半ほど無機微粒子に対する高分子分散剤の比率を大きくすることが好ましい。
上記の何れの方法にせよ、高分子分散剤と無機微粒子は同時に添加するか、または一部の高分子分散剤の添加を先にする方が、液の粘度が低く保持でき好ましい。
これらの添加終了後もディゾルバーで攪拌を続け、さらに、必要によりサンドグラインダー等で微粒化処理を行なえば無機微粒子分散液が得られる。
前記製造方法において、水性媒体に含有する水(溶媒)としては、蒸留水でもイオン交換水でもよい。該水の含有量は、無機微粒子分散液中75〜95質量%が好ましく、特に80〜90質量%が好ましい。
本発明においては、無機微粒子を良好に分散するため水性媒体に高分子分散剤を添加する。また、後述するように、高分子分散剤は、水性媒体とした場合に媒染剤としての機能を有し、形成画像の耐水性および耐経時ニジミの向上も図ることができる。
上記高分子分散剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、または第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」という。)との共重合体または縮重合体として得られるものが挙げられる。また、これらの高分子分散剤は、水溶性ポリマーまたは水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
上記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。
上記非媒染モノマーも、一種単独でまたは二種以上を組合せて使用できる。
本発明においては、無機微粒子の分散性を向上させる目的から、無機微粒子分散液中に水溶性もしくは疎水性の金属塩を含有する。
前記金属塩は、以下の範囲で含有することが望ましい。すなわち、前記金属塩の無機微粒子分散液中における含有量としては、後述する無機微粒子(質量)に対して、0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。該含有量がこの範囲内であると、無機微粒子の分散時における増粘を効果的に抑えることができるため、その結果、製造工程における消費エネルギーをより低減することができ、また、この製造方法を用いることにより低粘度の無機微粒子分散液を得ることができる。
これらの金属塩は、一種単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
本発明の無機微粒子分散液は、無機微粒子が分散されたものである。無機微粒子は、無機顔料微粒子が好適であり、該無機顔料微粒子としては、例えば、シリカ微粒子(気相法シリカもしくは含水シリカ微粒子)、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。
なお、上記の平均一次粒子径は、例えば電子顕微鏡を用いて測定することができる。
本発明の無機微粒子分散液は、後述する水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含有させることができる。
前記架橋剤としては、インク受容層に含まれる水溶性樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点で硼酸またはホウ素化合物が好ましい。前記ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg2B2O5、Co2B2O5)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na2B4O7・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB5O8・4H2O、Ca2B6O11・7H2O、CsB5O5)、等が挙げられる。
また、本発明の無機微粒子分散液には、他の成分として後述のインクジェット記録媒体を構成するインク受容層成分に用いられる、水溶性高分子や媒染剤、界面活性剤などの各種成分等を含有することができる。
本発明のインクジェット記録媒体は、前記の本発明の無機微粒子分散液を用いてなることを特徴とし、既述の本発明の無機微粒子分散液と水溶性樹脂と(より好ましくは界面活性剤と)を含む塗布液(インク受容層用塗布液)を用いてなる少なくとも一層のインク受容層を支持体上に塗布形成して構成されることが好ましい。
本発明に係るインク受容層は水溶性樹脂を含有することが好ましい。水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。また、水溶性樹脂は単独で用いるほか、二種以上を併用することもできる。
前記ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号公報、特公平5−67432号公報、特公平7−29479号公報、特許第2537827号公報、特公平7−57553号公報、特許第2502998号公報、特許第3053231号公報、特開昭63−176173号公報、特許第2604367号公報、特開平7−276787号公報、特開平9−207425号公報、特開平11−58941号公報、特開2000−135858号公報、特開2001−205924号公報、特開2001−287444号公報、特開昭62−278080号公報、特開平9−39373号公報、特許第2750433号公報、特開2000−158801号公報、特開2001−213045号公報、特開2001−328345号公報、特開平8−324105号公報、特開平11−348417号公報等に記載のものが挙げられる。
無機微粒子(好ましくはシリカ微粒子(特に気相法シリカ);x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、インク受容層の膜構造および膜強度にも大きな影響を与える。すなわち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。具体的には、PB比(x/y)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止すると共に、該PB比が小さ過ぎることによって空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5〜10が好ましい。
本発明に係るインク受容層用塗布液は界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコーン系の界面活性剤の中から適宜選択することができる。また、界面活性剤は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
また、インク受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
また必要に応じて、その他各種の公知の添加剤、例えば、媒染剤、酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤、水溶性有機溶剤等をさらに含有することができる。
本発明でインク受容層に含まれる上記媒染剤量は、0.01g/m2〜5g/m2が好ましく、0.1g/m2〜3g/m2がより好ましい。
これら併用できる紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤としては、アルキル化フェノール性化合物(ヒンダードフェノール性化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール性化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、O−,N−およびS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール性化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性または疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
この場合においては、好ましくは、製造効率の点から、インク受容層用塗布液またはこの隣接層形成用の塗布液中に架橋剤を添加し、インク受容層の形成と同時に架橋剤を供給するのが好ましい。特に、画像の印画濃度および光沢感の向上の点で、インク受容層用塗布液に含有するのが好ましい。また、インク受容層用塗布液中の架橋剤の濃度としては、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。
水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;シクロヘキサノール等の環状アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン等の一般的な有機溶剤が挙げられる。中でも、メタノール、エタノール等のアルコール類が取り扱い性が良く好ましい。水溶性有機溶剤の添加量は全インク受容層用塗布液の0.1質量%〜15質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体または高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSPおよび/またはLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
さらに、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録媒体の作製は、該シートを構成するインク受容層を、無機微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含むインク受容層用塗布液(第一液)および塩基性溶液(第二液)の少なくとも一方に架橋剤を添加すると共に、前記塗布液(第一液)を支持体上に塗布して塗布層を形成し、かつさらに(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、または(2)前記塗布液(第一液)を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときにpHが8以上の前記塩基性溶液(第二液)を前記塗布層に付与し、前記塗布層を架橋硬化させる方法(Wet on Wet法)により形成することによって好適に行なうことができる。
なお、本発明に係るインク受容層においては、水性媒体とした場合に媒染剤としての効果も有する前記高分子分散剤および前記金属塩を、無機微粒子分散液の製造の段階で既に含んでいるが、これらに加えて公知の媒染剤を併用させることもできる。
気相法シリカを水溶性金属塩と共に水中に添加し(例えば10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えばクレアミックス(エム・テクニック(株)製))を用いて例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で20分間(好ましくは10〜30分間)分散させ無機微粒子分散液とした後、これにさらにホウ素化合物(例えばシリカの0.5〜20質量%)を加えて上記と同じ条件で分散し、ポリビニルアルコール水溶液(例えばシリカ量の1/3程度の質量となるように)を加えてさらに上記と同じ条件で分散を行なうことによって調製することができる。得られた塗布液は均一ゾルであり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布形成することにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。第一液には、必要に応じてさらに、pH調整剤、他の分散剤、界面活性剤、消泡剤、帯電防止剤等を添加することもできる。
[インク受容層用塗布液の調製]
−無機微粒子分散液の調製−
下記のようにして、本発明の無機微粒子分散液を調製した。
内径26cmのステンポットに(1)イオン交換水4596.65gと(2)架橋剤(ホウ酸)30.49gとを加え、均一に溶解されるまでディゾルバー(羽根φ6cm径)を用いて回転数1500rpmで攪拌した後、あらかじめ混合しておいた下記組成の(3)分散剤混合液のうち、最終的に添加する総量の1/3量に当たる65.62gを添加して回転数を3500rpmとし、更に最終的に添加する総量の2/3量に相当する(4)気相法シリカ(レオロシールQS−30、平均一次粒子径7μm、BET法による比表面積300m2/g、(株)トクヤマ製;無機微粒子)500.00gを5分間かけて均等添加した。その後さらに、総量の2/3量に相当する未添加の(5)分散剤混合液131.24gを添加し、次いで総量の1/3量に相当する未添加の(6)気相法シリカ250.00gを15分間かけて均等添加した。その後、120分間さらに攪拌を行なってシリカ微粒子スラリーを調製した。
得られたシリカ微粒子スラリーを高圧ホモジナイザーで1回処理し、固形分比が15.3%の無機微粒子分散液を得た。
・高分子分散剤(ケミスタット7005、40%水溶液、
三洋化成工業(株)製;アクリル系カチオンポリマー) ・・・150.00g
・水溶性金属塩(ジルコゾールZA−30、第一稀元素化学工業(株)製)
・・・46.86g
上記より得た無機微粒子分散液について、液粘度ηを以下のようにして測定した。測定結果を下記表1に示す。
粘度ηは、上記ディゾルバーでの処理において120分間の攪拌を行った後、無機微粒子分散液の液温を30℃とした状態で、粘度計(B型粘度計、東機(株)製)を用いて測定した。ちなみに、液粘度が小さい方が攪拌に要する消費エネルギーの低減に有効である。
上記より得た無機微粒子分散液を、ダイノミルKDL−PILOTにて微分散処理を行なった。微分散処理は、φ0.65mmのジルコニアビーズの充填率70%、周速8m/min、流量590g/minの条件のもと5℃の冷却水で冷却しながら、バッチ式工程で2回処理することにより行なった。このようにして得られた無機微粒子分散液を30℃にて24時間保管後、この無機微粒子分散液986.5gにイオン交換水95.7g、並びに下記の(7)水溶性樹脂水溶液430.8g、(8)界面活性剤(ポリオキシエチレンオレイルエーテル;花王(株)製、エマルゲン109P)12.67g、及び(9)界面活性剤(フッ素界面活性剤;大日本インキ化学(株)製、メガファックF−1405(10%溶液))7.7gを混合して、インク受容層用塗布液を調製した。
下記組成を混合後、95℃、180分間加熱し、30℃まで冷却して水溶性樹脂水溶液とした。
・イオン交換水 ・・・1367.17g
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル ・・・・・・1.28g
(エマルゲン109P、花王(株)製;界面活性剤)
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・・・16.65g
・ポリビニルアルコール ・・・・100.75g
(PVA124、(株)クラレ製)
・ヒドロキシプロピルセルロース ・・・・・・5.67g
(HPC−SSL、日本曹達(株)製)
−支持体の作製−
LBKP100gからなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5g、アニオンポリアクリルアミド1.0g、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1g、カチオンポリアクリルアミド0.5gを、いずれもパルプに対する絶乾重量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
上記より得た支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、得られたインク受容層用塗布液を、支持体のオモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて170ml/m2の塗布量で塗布し、熱風乾燥機にて温度40℃(風速5m/sec)で塗布層の固形分濃度が18%になるまで乾燥させた。この間、塗布層は恒率乾燥を示した。その直後、下記組成よりなる塩基性溶液(pH9.6)に浸漬し、塗布層上にその20g/m2を付着させ、さらに80℃下で10分間乾燥させた。このようにして、乾燥膜厚35μmのインク受容層が設けられた、実施例1のインクジェット記録媒体を得た。このようにして得られたインクジェット記録媒体は、塗工面にブツ状の欠点の見られない良好な面状であった。また、高光沢で、インクジェット記録後の黒濃度が十分得られる高濃度の記録媒体であった。
・架橋剤(ホウ酸、100%) ・・・・・6.5g
・イオン交換水 ・・・723.5g
・塩基性媒染剤 ・・・・・150g
(PAA−03(20%水溶液);日東紡績(株)製)
・表面pH調整剤(塩化アンモニウム、100%) ・・・・・1.0g
・表面pH調整剤(p−トルエンスルホン酸、100%) ・・・・18.0g
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル(2%溶液) ・・・100.0g
(エマルゲン109P、花王(株)製;界面活性剤)
・メガファックF−1405(100%) ・・・・・2.0g
(大日本インキ化学(株)製;フッ素系界面活性剤)
上記より得たインクジェット記録媒体上に、インクジェットプリンタ(PM−970C、セイコーエプソン(株)製)を用いて、マゼンタインクとブラックインクとを隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅0.28mm)を印画し、Xライト310TR(Xライト社製)によってビジュアル濃度を測定した。印画後3時間放置した後、40℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に1日間保管し、再度ビジュアル濃度を測定し、初期濃度に対する濃度の変化量(%)によって評価した。初期濃度に対する濃度の変化量の値が小さい程経時ニジミの発生は抑制されている。
初期濃度に対する濃度の変化量(%)=
(経時後の濃度−初期濃度)/初期濃度×100(%)
なお、結果は下記表1に示す。
実施例1において、無機微粒子分散液の調製に用いたイオン交換水の量を4596.65gから4447.65gに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、無機微粒子分散液を調製して粘度ηを測定すると共に、インク受容層用塗布液を調製し、それを用いて実施例2のインクジェット記録媒体を得た。このようにして得られたインクジェット記録媒体は、塗工面にブツ状の欠点の見られない良好な面状であった。また、高光沢で、インクジェット記録後の黒濃度が十分得られる高濃度の記録媒体であった。更に、表1に示すように、経時ニジミの少ない良好な性能を示した。無機微粒子分散液の固形分比、粘度η、および経時ニジミ評価の結果は下記表1に示す。
実施例1において、無機微粒子分散液の調製に用いたイオン交換水の量を4596.65gから4643.51gに代え、さらに分散剤混合液196.86gを高分子分散剤(ケミスタット7005)150.00gに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、無機微粒子分散液を調製して粘度ηを測定すると共に、インク受容層用塗布液を調製し、それを用いて比較例1のインクジェット記録媒体を得て、経時ニジミの評価を行った。無機微粒子分散液の固形分比、粘度η、および経時ニジミ評価の結果は下記表1に示す。
比較例1において、無機微粒子分散液の調製に用いたイオン交換水の量を4643.51gから4494.51gに代えたこと以外は、比較例1と同様にして、無機微粒子分散液を調製して粘度ηを測定すると共に、インク受容層用塗布液を調製し、それを用いて比較例2のインクジェット記録媒体を得て、経時ニジミの評価を行った。無機微粒子分散液の固形分比、粘度η、および経時ニジミ評価の結果は下記表1に示す。
また、この無機微粒子分散液を用いたインク受容層用塗布液によりインク受容層を塗布・形成したため、その成分中に金属塩を含有している実施例のインクジェット記録媒体においては、インクの経時ニジミを効果的に低減することができた。
また、この無機微粒子分散液を用いたインク受容層用塗布液によりインク受容層を塗布・形成したため、その成分中には金属塩を含有していない比較例のインクジェット記録媒体では、顕著なインクの経時ニジミが発生した。
Claims (8)
- 少なくとも、水と、高分子分散剤と、金属塩と、を含む水性媒体に無機微粒子を添加した後分散処理を行うことを特徴とする無機微粒子分散液の製造方法。
- 前記金属塩が水溶性金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
- 前記無機微粒子がシリカ微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
- 前記高分子分散剤が、芳香族基含有アクリル系カチオンポリマー若しくはポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
- 前記水溶性金属塩がジルコニウム化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
- 前記水性媒体中に、さらに架橋剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の無機微粒子分散液の製造方法にて製造されたことを特徴とする無機微粒子分散液。
- 請求項7に記載の無機微粒子分散液を用いた塗布液を塗布してインク受容層を形成することを特徴とするインクジェット記録媒体。
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