JP2006247966A - インクジェット記録媒体、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体上に無機微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む塗布液と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液を同時に層状に塗布して、インク受容層を形成することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法、及びそれを用いて製造されたインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし
Description
上記記録方法の中で、インクジェット記録方法は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
上記インクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐光性、耐ガス性、耐水性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像がにじまないこと)、(10)変形しにくく、寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途としては、上記特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
しかしながら、インク吸収層中における分布が不均一であると粘度ムラが発生し好ましくない。
即ち、本発明は下記の手段により達成されるものである。
<3> 前記水溶性多価金属塩がポリ塩化アルミニウムであることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
<4> 前記ポリ塩化アルミニウムの塩基度が30〜85%であることを特徴とする上記<3>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、支持体上に無機微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む塗布液(第1A塗液)と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液(第1B塗液)とを同時に層状に塗布して、インク受容層を形成することを特徴とする。
一般に、塩基度の低い水溶性多価金属塩を用いると塗布液の粘度が上昇し、その結果、塗布時の粘度上昇による塗布障害が発生する。
本発明は、前記構成とすることにより、塩基度の低い水溶性多価金属塩を用いても、塗布時の粘度を抑制することができ、また、さらに低塩基度の水溶性多価金属塩の塗布液とインク受容層用塗布液との同時塗布後の塗布液の粘度上昇が見込め、高い画像濃度、及び面状欠陥が少ないインクジェット記録媒体とすることができる。
これは、塩基度が低い水溶性多価金属塩を用いて塗布する際に塗布液の粘度が上昇して、塗布を著しく阻害するが、により前記本発明の効果を奏するものである。
以下、本発明にインクジェット記録媒体、及びその製造方法について詳細に説明する。
ここで、第1A塗液と第1B塗液とを「同時に」塗布するとは、「一方の塗布液が塗布されたと同時(同時刻)に」のみを意味するのではなく、「一方の塗布液が塗布されて得られた塗布層が次工程に供給する前までの間に」も意味している。即ち、一般に塗布層が形成された後は、乾燥工程に移行することより、具体的には「乾燥前までの間に」が上記の「同時に」の範疇に含まれることを意味しているが特に限定されるものではない。
例えば、第1A塗液が塗布されて形成される塗布層が乾燥工程に移行する前に、もう一方の第1B塗液を塗布するか、又は、その逆に第1B塗液の次に第1A塗液を塗布する場合においても同様である。
また、「層状に塗布する」とは、塗布層の支持体幅方向(横方向)と塗布方向(縦方向)の膜厚の変動が10%以内で連続的に塗布することを意味している。
ここで、2つの塗布液の塗布した後とは、塗布液がコーターから支持体側に保持された状態をいう。
前記粘度の測定としては、例えば、第1A塗液と第1B塗液を同時塗布した後、1秒後に、下記のサンプリング方法にてサンプリングし、HAAKE社製 Rheo Stress 600で、測定温度50℃、せん断速度10-2sec-1にて粘度を測定することができる。
粘度測定用塗布液サンプリング方法は、塗布1秒後に、厚さ300μm、幅6cm、長さ10cmのアルミニウム板を塗布層とほぼ平行に当て塗布方向にスライドさせ約10gの塗布層を支持体より剥がし取る方法である。本発明においてはこれを採用した。
以下、インク受容層用塗布液(第1A塗液、第1B塗液)について説明する。
本発明における第1B塗液として、水溶性多価金属塩を含有する。
第1B塗液として、例えば、ポリ塩化アルミニウム(水溶性多価金属塩)、界面活性剤を含むインク受容層用塗布液Bは、以下のようにして調製することができる。
すなわち、水中に、ポリ塩化アルミニウム水溶液、及び界面活性剤を添加して攪拌することで調製できる。
具体的には、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
前記アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物がある。特に、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物(ポリ水酸化アルミニウム)が好ましい。
〔Al(OH)3〕nAlCl3 式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 式3
好ましく、40〜85%がより好ましく、50〜80%が特に好ましい。
前記塩基度が30〜85%であることにより、第1A塗液と第1B塗液を同時に塗布することが可能であり、塗布1秒後の粘度を上昇させる傾向となる。
前記チタン化合物としては、特に限定されず種々の化合物が使用できるが、例えば、塩化チタン、硫酸チタンがが挙げられる。
これらの化合物は、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。本発明に於いて、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
前記水溶性多価金属塩は、単独でも2種以上を併用することもできる。
塗布液の塗布性の点から好ましい。
第1B塗液に含有する前記界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。また、これら界面活性剤は、単独も二種以上を併用してもよい。
第1A塗液として、例えば、気相法シリカ微粒子、カチオン性樹脂、
ポリビニルアルコール(PVA、水溶性樹脂)、硼酸(架橋剤)、酢酸ジルコニル(架橋剤)、分散剤(例えば、SC−505等)、有機溶剤とを含むインク受容層用塗布液は、以下のようにして調製することができる。なお、第1A液を構成する各成分の詳細については後述する。
すなわち、水中に、気相法シリカ微粒子、カチオン性樹脂(例えば、シャロールDC−902P、分散剤)、架橋剤(例えば、酢酸ジルコニル)を添加して添加して高圧ホモジナイザーやサンドミル等(ビーズミル(株)ジンマルエンターブライゼス製KD−P等)、により分散した後、これに硼酸を加え、分散剤(例えば、SC−505等)を加え、PVA水溶液(例えばPVA量が気相法シリカの1/3程度の質量となるように)を加え、更に有機溶剤(例えば、エタノール)を加えて攪拌することで調製できる。
得られた塗布液は均一ゾルであり、これを以下の塗布方法で支持体上に塗布することで塗布層が得られ、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。このとき、上記のように、硼酸を薄めた後にPVAを加えることにより、PVAの部分的なゲル化を防止することができる。
本発明のインクジェット記録媒体におけるインク受容層は、支持体上に無機微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む塗布液(第1A塗液)と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液(第1B塗液)とを同時に層状に塗布して、多孔質インク受容層を形成することを特徴とするものである。
尚、本発明において、前記第1A塗液及び第1B塗液を纏めて第1塗液ともいう。
前記本発明におけるインク受容層は、前記第1A液及び第1B液を用いて形成すればよく、その他のインク受容層を有してもよい。また、インク受容層以外の中間層(例えば、バリアー層)等を設けることもできる。
前記その他のインク受容層は、特に限定されず、公知の構成成分を有するインク受容層とすることができる。
以上の層構成の中でも、支持体上に前記第1A液及び第1B液を用いて形成されるインク受容層を有する構成が画像保存性の観点から好ましい。
また、前記第1B液の塗布液の塗布量としては、特に限定されるものではないが、2g/m2〜20g/m2であることが好ましく、5g/m2〜15g/m2が更に好ましい。
界面活性剤を含むことが好ましい第2塗液(塩基性溶液)は、例えば、以下の様にして調製できる。即ち、イオン交換水に媒染剤(例えば、0.1〜5.0質量%)と界面活性剤類(例えば、総量として0.01〜1.0質量%)と必要に応じて架橋剤(0〜5.0質量%)とを加え充分に攪拌する。第2塗液のpHとしては、特に限定されるものではないが、光沢度及び印画濃度の観点から
7.1以上が好ましく、7.3以上10以下がより好ましく、7.5以上9.5以下が特に好ましい。pH調整はアンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アミノ基含有化合物(エチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリアリルアミン等)等を用いて適宜に行なうことができる。
以下、本発明における無機微粒子、水溶性樹脂、架橋剤等の構成要素について更に詳細に説明する。
本発明に係る前記第1A塗液は、無機微粒子を含有する。
該無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シリカ微粒子が特に好ましい。単独でも複数併用してもよい。
この様に受容層が透明であるということは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性及び光沢度を得る観点より重要である。
本発明においては、上記乾式法で得られる気相法シリカ微粒子(無水シリカ)が好ましく、更に微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であるシリカ微粒子が好ましい。
本発明に係る第1A塗液は、更に水溶性樹脂を含有する。
該水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;親水性のエーテル結合を有する樹脂である、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);親水性構のアミド基又はアミド結合を有する樹脂である、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等を挙げることもできる。
上記の中でも、特にポリビニルアルコール(PVA)類が好ましい。
尚、インク受容層を主に構成する上記の微粒子と水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数素材の混合系であってもよい。
インクジェット記録用媒体において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
微粒子(好ましくはシリカ微粒子;x)と水溶性樹脂(y)との含有比〔PB比(x/y)、水溶性樹脂1質量部に対する無機顔料微粒子の質量〕は、インク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。具体的には、上記PB比(x/y)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5/1〜10/1が好ましい。
本発明に係る第1A塗液は、無機微粒子及び水溶性樹脂等を含む層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含む。該架橋剤による水溶性樹脂の架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
インク受容層用塗布液(第1A塗液)中の架橋剤の濃度としては、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。
本発明においては、形成画像の耐水性及び耐経時にじみの向上を図るために、インク受容層用塗布液(第1A塗液)にさらに媒染剤を含有することがしてもよい。該媒染剤としては、カチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤のいずれも使用できる。中でも、水溶性多価金属塩が好ましい。
上記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(以下、「媒染剤モノマー」と言う。)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染剤ポリマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー、又は水分散性のラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
上記非媒染剤モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
本発明のインク受容層塗布液は、必要に応じて下記成分を含有させて構成される。
即ち、インクジェット記録媒体の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
上記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位又は6位の内、1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
また、無機微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜200μmが好ましい。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に、銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用するのが好ましい。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%〜70質量%が好ましい。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
(支持体の作製)
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解し、パルプスラリーを調製した。
次いで、前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当たり、カチオン性デンプン(日本NSC製 CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光化学製 ポリアクロンST−13)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学製 サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学製 アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」とを混合し、ビーズミル((株)ジンマルエンタープライゼス製 KD−P)を用いて分散させた後、分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後、これに下記(5)のホウ酸と、(6)ジメチルアミン・エピクロルヒドリン・ポリアルキレンポリアミン重縮合物と、(7)ポリビニルアルコール溶解液と、(8)「スーパーフレックス600」と、(9)エタノールを30℃で加え、インク受容層用塗布液Aを調製した。
(1)気相法シリカ微粒子 8.9部
(日本アエロジル(株)製 AEROSIL300SF75)
(2)イオン交換水 58.5部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) 0.8部
(第一工業製薬(株)製分散剤)
(4)「ZA−30」(酢酸ジルコニル) 0.5部
(第一稀元素化学工業(株)製)
(5)ホウ酸(架橋剤) 0.30部
(6)ジメチルアミン・エピクロルヒドリン・ポリアルキレンポリアミン重縮合物(ハイモ(株)製 SC−505)(50%水溶液) 0.2部
(7)ポリビニルアルコール溶解液 26.34部
<溶解液組成>
1)ポリビニルアルコール 1.8部
((株)クラレ製 「PVA235」 鹸化度88% 重合度3500)
2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0.06部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
3)下記化合物1 0.1部
4)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.6部
(協和発酵(株)製 ブチセノール20P)
5)イオン交換水 23.78部
(8)「スーパーフレックス600」(カチオン変性ポリウレタン) 2.2部
(第一工業製薬(株)製)
(9)エタノール 2.3部
(1)塩基度83%のポリ塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業(株)製 アルファイン83) 20部
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2%水溶液) 3部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
(3)イオン交換水 77部
前記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、この上に173ml/m2の塗布量となるように前記インク受容層用塗布液Aを流し、更にその上にPAC液1を10.8ml/m2の塗布量となるよう流し、エクストルージョンダイコーターで同時に塗布を行った。その後、冷風乾燥機にて5℃、相対湿度30%(風速3〜8m/sec)で5分処理後、更に25℃相対湿度25%(風速3〜8m/sec)の乾燥風で20分間乾燥させた。これにより、乾燥膜厚32μmのインク受容層が設けられた、本発明のインクジェット記録用シートを作製した。塗布液AとPAC液1の同時塗布液の粘度は下記の方法でサンプリングしたサンプルを測定した。
(インクジェット記録用シートの作製)
前記実施例1の支持体のオモテ面上に、173ml/m2の塗布量となるように前記インク受容層用塗布液Aを流し、更にその上に前記PAC液1を10.8ml/m2の塗布量となるよう流し、エクストルージョンダイコーターで同時に塗布を行った。その後、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥を示した。そして、減率乾燥を示す前に、下記組成の塩基性溶液(pH=7.8)に3秒浸漬して、前記塗布層上にその13g/m2を付着させ、更に80℃で10分間乾燥させた(硬化工程)。これにより、乾燥膜厚32μmのインク受容層が設けられた、本発明のインクジェット記録用シートを作製した。塗布液AとPAC液1の同時塗布液の粘度は、下記の方法でサンプリングしたサンプルを測定した。
(1)ホウ酸 0.65部
(2)炭酸ジルコニウムアンモニウム(28%水溶液) 0.33部
(第一稀元素化学工業(株)製 ジルコソールAC−7)
(3)炭酸アンモニウム(一級) 3.5部
(関東化学(株)製)
(4)イオン交換水 63.3部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2%水溶液) 30.0部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
実施例2において、インク受容層用塗布液AとPAC液1の塗布順序を逆にした以外は、実施例2と同様に行いインクジェット記録用シートを作製した。
実施例2において、インク受容層用塗布液Aの塗布量を1/2ずつに分け中間にPAC液1になるように同時に塗布した以外は、実施例2と同様に行いインクジェット記録用シートを作製した。
実施例2において、PAC液1の代わりに、下記PAC液2を用いた以外は、実施例2と同様に行いインクジェット記録用シートを作製した。
(1)塩基度53%のポリ塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業(株)製 タイパック) 20部
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2%水溶液) 3部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
(3)イオン交換水 77部
実施例2において、PAC液1の代わりに、下記PAC液3を用いた以外は、実施例2と同様に行いインクジェット記録用シートを作製した。
(1)塩基度33%のポリ塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業(株)製 アルファイン33) 20部
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2%水溶液) 3部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
(3)イオン交換水 77部
実施例1において、PAC液1及び塩基性溶液を用いない以外は、実施例1と同様に行いインクジェット記録用シートを作製した。
上記より得たインクジェット記録用シートについて、下記の評価試験を行なった。その結果を下記の表1に示す。
(測定方法)
インク受容層塗布液Aとポリ塩化アルミニウムを含む液を同時塗布後、又は、インク受容層塗布液Aのみを塗布後、1秒後に、下記のようにサンプリングし、HAAKE社製 Rheo Stress 600にて、測定温度50℃、せん断速度10-2sec-1にて粘度を測定した。
粘度測定用塗布液サンプリング方法は、塗布1秒後に、厚さ300μm、幅6cm、長さ10cmのアルミニウム板を塗布層とほぼ平行に当て塗布方向にスライドさせ約10gの塗布層を支持体より剥がし取る方法である。
エプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM970C」を用いて、前記各インクジェット記録用シートにブラックインクで印画した。該印画サンプルの光学濃度(vis.)を測定した。
得られたインクジェット記録用シートの塗布面状は、50μm以上のサイズの凹状欠点個数を計測して評価した。
評価基準は以下のとおりである。
◎:0個/1000m2
○:1〜15個/1000m2
△:16〜30個/1000m2
×:31個/1000m2以上
Claims (6)
- 支持体上に無機微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む塗布液と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液を同時に層状に塗布して、インク受容層を形成することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
- 前記2つの塗布液の塗布した後のせん断速度10-2sec-1における粘度が2Pa・s以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
- 前記水溶性多価金属塩がポリ塩化アルミニウムである請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
- 前記ポリ塩化アルミニウムの塩基度が30〜85%であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
- 前記インク受容層が、少なくとも無機微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含む塗布液と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液とを同時に層状に塗布して形成した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、(1)前記2つの塗布液を塗布すると同時に、又は(2)前記2つの塗布液を塗布して形成される前記塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与することを特徴とする請求項1〜4に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造されるインクジェット記録媒体。
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