JP2006247966A - インクジェット記録媒体、及びその製造方法 - Google Patents

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和幸 小池
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Abstract

【課題】 印画濃度が低下することなく、かつ、面状欠陥が少ない優れたインクジェット記録媒体、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 支持体上に無機微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む塗布液と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液を同時に層状に塗布して、インク受容層を形成することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法、及びそれを用いて製造されたインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水性インク、油性インク等の色材として染料、顔料を用いた液状インク、常温では固体で溶融液状化させたのち印画に供する固体状インクを用いるインクジェット記録に適した被記録材に関し、詳しくは、インク受容性能に優れた記録シートを製造する方法、及びそれを用いたインクジェット記録媒体に関する。
近年、情報産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報システムに適した記録方法及び装置も開発され、各々実用化されている。
上記記録方法の中で、インクジェット記録方法は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
また、近年のインクジェットプリンタの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきた。更に、ハード(装置)の発展に伴って、インクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。
上記インクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐光性、耐ガス性、耐水性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像がにじまないこと)、(10)変形しにくく、寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途としては、上記特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
上記要求を満たすべく、支持体上に無機微粒子、ポリビニルアルコ−ル、ジルコニウム化合物またはアルミニウム化合物を含有する多孔質インク吸収層を有し、該ジルコニウム化合物またはアルミニウム化合物のインク吸収層中における分布が不均一であって、支持体から離れた部分に、より多く分布していることにより、滲みの発生が少なく、高い画像濃度が得られる高品位なインクジエツト記録用紙が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、インク吸収層中における分布が不均一であると粘度ムラが発生し好ましくない。
さらに、無機微粒子、親水性バインダ−、分子内にジルコニウム原子またはアルミニウム原子を含む化合物A、該化合物Aと異なる、多価金属原子を分子内に含む化合物Bを該化合物Aの0.1〜10モル%含有するインク吸収層を支持体上に有することにより、ブロンジングを悪化させることなく、水溶性染料を用いたプリント画像を保存したときの滲みの発生を抑え、画像の耐水性を改良したインクジエツト記録用紙が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、支持体上に気相法シリカを含有するインク受容層を有するインクジエツト記録材料において、前記インク受容層が多価金属の水溶性化合物と、pKaが1.0以上の酸とアルカリ金属との塩を含有することにより、インク吸収性及び光沢が高く、ひび割れの発生が無く、更に高湿滲み及び耐光性を改良したインクジエツト記録材料が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、印画濃度を適正に維持しつつ、塗布面状の欠陥については充分満足できるものはなかった。
特開2002−160442号公報 特開2002−274013号公報 特開2001−113819号公報
本発明の目的は、印画濃度が低下することなく、かつ、面状欠陥が少ない優れたインクジェット記録媒体、及びその製造方法を提供することにある。
前記実情に鑑み本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、インク受容層をインク受容層用塗布液と、塩基度の低い水溶性ポリ塩化アルミニウム塗布液とを、同時重層塗布することにより、塗布液の粘度に制約を受けることなく、上記課題を解決しうることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は下記の手段により達成されるものである。
<1> 支持体上に無機微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む塗布液と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液を同時に層状に塗布して、インク受容層を形成することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
<2> 前記2つの塗布液の塗布した後のせん断速度10-2sec-1における粘度が2Pa・s以上であることを特徴とする上記<1>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
<3> 前記水溶性多価金属塩がポリ塩化アルミニウムであることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
<4> 前記ポリ塩化アルミニウムの塩基度が30〜85%であることを特徴とする上記<3>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
<5> 前記インク受容層が、少なくとも無機微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含む塗布液と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液とを同時に層状に塗布して形成した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、(1)前記2つの塗布液を塗布すると同時に、又は(2)前記2つの塗布液を塗布して形成される前記塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与することを特徴とする上記<1>〜<4>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
<6> 上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造されるインクジェット記録媒体。
本発明によれば、印画濃度が低下することなく、かつ、面状欠陥が少ない優れたインクジェット記録媒体、及びその製造方法を提供することできる。
[インクジェット記録媒体の製造方法]
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、支持体上に無機微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む塗布液(第1A塗液)と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液(第1B塗液)とを同時に層状に塗布して、インク受容層を形成することを特徴とする。
一般に、塩基度の低い水溶性多価金属塩を用いると塗布液の粘度が上昇し、その結果、塗布時の粘度上昇による塗布障害が発生する。
本発明は、前記構成とすることにより、塩基度の低い水溶性多価金属塩を用いても、塗布時の粘度を抑制することができ、また、さらに低塩基度の水溶性多価金属塩の塗布液とインク受容層用塗布液との同時塗布後の塗布液の粘度上昇が見込め、高い画像濃度、及び面状欠陥が少ないインクジェット記録媒体とすることができる。
これは、塩基度が低い水溶性多価金属塩を用いて塗布する際に塗布液の粘度が上昇して、塗布を著しく阻害するが、により前記本発明の効果を奏するものである。
以下、本発明にインクジェット記録媒体、及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、無機微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含む塗布液(第1A塗液)と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液(第1B塗液)とを同時に支持体上に層状に塗布することが必要である。
ここで、第1A塗液と第1B塗液とを「同時に」塗布するとは、「一方の塗布液が塗布されたと同時(同時刻)に」のみを意味するのではなく、「一方の塗布液が塗布されて得られた塗布層が次工程に供給する前までの間に」も意味している。即ち、一般に塗布層が形成された後は、乾燥工程に移行することより、具体的には「乾燥前までの間に」が上記の「同時に」の範疇に含まれることを意味しているが特に限定されるものではない。
例えば、第1A塗液が塗布されて形成される塗布層が乾燥工程に移行する前に、もう一方の第1B塗液を塗布するか、又は、その逆に第1B塗液の次に第1A塗液を塗布する場合においても同様である。
また、「層状に塗布する」とは、塗布層の支持体幅方向(横方向)と塗布方向(縦方向)の膜厚の変動が10%以内で連続的に塗布することを意味している。
後述の第1A塗液(インク受容層用塗布液)及び第1B塗液(PAC液)の塗布方法としては、エクストルージョンダイコーター、スロットコーター、カーテンコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の重層塗布可能な塗布方法を用いて行うことができるが、同時塗布が可能なエクストルージョンダイコーター、カーテンコーター、バーコーターを好適に挙げることができる。
また、本発明の製造方法は、前記2つの塗布液(前記第1A塗液と第1B塗液)の塗布した後のせん断速度における粘度が、インクジェット用記録媒体の面状欠陥の発生を抑制するとの観点から2Pa・s以上が好ましく、3Pa・s以上1×107Pa・s以下がより好ましく、4Pa・s以上1×106Pa・s以下が特に好ましい。
ここで、2つの塗布液の塗布した後とは、塗布液がコーターから支持体側に保持された状態をいう。
前記粘度の測定としては、例えば、第1A塗液と第1B塗液を同時塗布した後、1秒後に、下記のサンプリング方法にてサンプリングし、HAAKE社製 Rheo Stress 600で、測定温度50℃、せん断速度10-2sec-1にて粘度を測定することができる。
粘度測定用塗布液サンプリング方法は、塗布1秒後に、厚さ300μm、幅6cm、長さ10cmのアルミニウム板を塗布層とほぼ平行に当て塗布方向にスライドさせ約10gの塗布層を支持体より剥がし取る方法である。本発明においてはこれを採用した。
以下、インク受容層用塗布液(第1A塗液、第1B塗液)について説明する。
(インク受容層塗布液B(PAC液):第1B塗液)
本発明における第1B塗液として、水溶性多価金属塩を含有する。
第1B塗液として、例えば、ポリ塩化アルミニウム(水溶性多価金属塩)、界面活性剤を含むインク受容層用塗布液Bは、以下のようにして調製することができる。
すなわち、水中に、ポリ塩化アルミニウム水溶液、及び界面活性剤を添加して攪拌することで調製できる。
第1B塗液に含有する前記水溶性多価金属塩としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。
具体的には、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
前記水溶性多価金属塩としては、さらに、水溶性のアルミニウム化合物、ジルコニウム化合物及びチタン化合物より選択される少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。
前記アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物がある。特に、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物(ポリ水酸化アルミニウム)が好ましい。
前記ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の式1、2又は3で示され、例えば〔Al6(OH)153+、〔Al8(OH)204+、〔Al13(OH)345+、〔Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
〔Al2(OH)nCl6-nm 式1
〔Al(OH)3nAlCl3 式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりHAP−25、ピュラケムWTの名で、大明化学工業(株)よりアルファイン83、アルファイン33、タイパックの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
前記ポリ塩化アルミニウムの中でも、更に塩基度が30〜85%であることが
好ましく、40〜85%がより好ましく、50〜80%が特に好ましい。
前記塩基度が30〜85%であることにより、第1A塗液と第1B塗液を同時に塗布することが可能であり、塗布1秒後の粘度を上昇させる傾向となる。
本発明に用いられる前記ジルコニウム化合物としては、特に限定されず種々の化合物が使用できるが、例えば、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。特に酢酸ジルコニルが好ましい。
前記チタン化合物としては、特に限定されず種々の化合物が使用できるが、例えば、塩化チタン、硫酸チタンがが挙げられる。
これらの化合物は、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。本発明に於いて、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
前記第1B塗液における水溶性多価金属塩の含有量としては、塗布性と塗布液増粘の観点から、1〜20質量%が好ましく、更に好ましくは2〜15質量%である。
前記水溶性多価金属塩は、単独でも2種以上を併用することもできる。
本発明において、上記水溶性多価金属塩のインク受容層中の含有量は、微粒子に対して0.1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは1〜5質量%である。
本発明におけるインク受容層の上層部に上記水溶性多価金属塩を存在させることによって、アニオン性染料を色材として有するインクジェット用の液状インクとの間で相互作用が働き、該色材を安定化させて耐水性や耐経時にじみを更に改善することができる。
第1B塗液には前記水溶性多価金属塩に加えて、界面活性剤を含有することが
塗布液の塗布性の点から好ましい。
第1B塗液に含有する前記界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。また、これら界面活性剤は、単独も二種以上を併用してもよい。
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、インク受容層用塗布液に含有してもよい。
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものであり、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体を経て誘導される化合物が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコーンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性として、アミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
前記界面活性剤のインク受容層用塗布液における含有量としては、0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、インク受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
(インク受容層用塗布液A:第1A塗液)
第1A塗液として、例えば、気相法シリカ微粒子、カチオン性樹脂、
ポリビニルアルコール(PVA、水溶性樹脂)、硼酸(架橋剤)、酢酸ジルコニル(架橋剤)、分散剤(例えば、SC−505等)、有機溶剤とを含むインク受容層用塗布液は、以下のようにして調製することができる。なお、第1A液を構成する各成分の詳細については後述する。
すなわち、水中に、気相法シリカ微粒子、カチオン性樹脂(例えば、シャロールDC−902P、分散剤)、架橋剤(例えば、酢酸ジルコニル)を添加して添加して高圧ホモジナイザーやサンドミル等(ビーズミル(株)ジンマルエンターブライゼス製KD−P等)、により分散した後、これに硼酸を加え、分散剤(例えば、SC−505等)を加え、PVA水溶液(例えばPVA量が気相法シリカの1/3程度の質量となるように)を加え、更に有機溶剤(例えば、エタノール)を加えて攪拌することで調製できる。
得られた塗布液は均一ゾルであり、これを以下の塗布方法で支持体上に塗布することで塗布層が得られ、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。このとき、上記のように、硼酸を薄めた後にPVAを加えることにより、PVAの部分的なゲル化を防止することができる。
第1A塗液(インク受容層用塗布液)は、分散機を用いて細粒化することで平均粒子径10〜300nmの水分散液とすることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行なうという点から、媒体撹拌型分散機、コロイドミル分散機または高圧分散機が好ましい。
本発明において、第1A液は酸性溶液であることが好ましく、第1液のpHとしては6.0以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましく、4.0以下であることが更に好ましい。このpHは、前記カチオン性樹脂の種類や添加量を適宜選定することで調整することができる。また、有機又は無機の酸を添加して調整してもよい。第1液のpHが6.0以下であると、第1液中における架橋剤(特にホウ素化合物)による水溶性樹脂の架橋反応をより充分に抑制することができる。
(インクジェット記録媒体の製造方法)
本発明のインクジェット記録媒体におけるインク受容層は、支持体上に無機微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む塗布液(第1A塗液)と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液(第1B塗液)とを同時に層状に塗布して、多孔質インク受容層を形成することを特徴とするものである。
尚、本発明において、前記第1A塗液及び第1B塗液を纏めて第1塗液ともいう。
前記本発明におけるインク受容層は、前記第1A液及び第1B液を用いて形成すればよく、その他のインク受容層を有してもよい。また、インク受容層以外の中間層(例えば、バリアー層)等を設けることもできる。
前記その他のインク受容層は、特に限定されず、公知の構成成分を有するインク受容層とすることができる。
以上の層構成の中でも、支持体上に前記第1A液及び第1B液を用いて形成されるインク受容層を有する構成が画像保存性の観点から好ましい。
本発明における支持体上のインク受容層を形成する前記第1A液の塗布液の塗布量としては、特に限定されるものではないが、150g/m2〜200g/m2であることが好ましく、170g/m2〜190g/m2が更に好ましい。
また、前記第1B液の塗布液の塗布量としては、特に限定されるものではないが、2g/m2〜20g/m2であることが好ましく、5g/m2〜15g/m2が更に好ましい。
前述の通り、本発明において、前記第1A塗液の支持体への塗布としては、支持体への第1B塗液の塗布と同時に、該塗布層に第1A塗液を塗布することが必要である。また、前記第1A塗液と第1B塗液を入れ換えた同時塗布(重層塗布)でもよい。また、別の態様として、第1A塗液、第1B塗液、及び第1A塗液の順に同時塗布(重層塗布)することも好ましい。
また、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、前記第1A液及び第1B塗液を同時に層状に重層塗布することが必要であるが、更に、インク受容層が、少なくとも無機微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含む塗布液(第1A塗液)と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液(第1B液)とを同時に層状に塗布して形成した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、(1)前記塗布液(第1A塗液及び第1B塗液)を塗布すると同時に、(2)前記塗布液(第1A塗液及び第1B塗液)を塗布して形成される前記塗布層の乾燥途中であって減率乾燥を示す前の、いずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液(以下、「第2塗液」ともいう。)を前記塗布層に付与する方法(Wet−On−Wet≪WOW法≫)であることが好ましい。前記塩基性溶液(第2塗液)は架橋剤を含むことが好ましい。
前述の水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤は、上記の第1塗液に含有するが、さらに第2塗液に含有させることがより好ましい。この様に第1塗液に対して、上記(1)同時、又は(2)乾燥途中、の何れかに塩基性溶液(第2塗液)を付与して架橋硬化させたインク受容層は、インク吸収性や膜のひび割れ防止等の利点を有する他に、ハジキ故障等の外観を向上させる上で特に好ましい。
以下、第2塗液について説明する。
界面活性剤を含むことが好ましい第2塗液(塩基性溶液)は、例えば、以下の様にして調製できる。即ち、イオン交換水に媒染剤(例えば、0.1〜5.0質量%)と界面活性剤類(例えば、総量として0.01〜1.0質量%)と必要に応じて架橋剤(0〜5.0質量%)とを加え充分に攪拌する。第2塗液のpHとしては、特に限定されるものではないが、光沢度及び印画濃度の観点から
7.1以上が好ましく、7.3以上10以下がより好ましく、7.5以上9.5以下が特に好ましい。pH調整はアンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アミノ基含有化合物(エチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリアリルアミン等)等を用いて適宜に行なうことができる。
第1塗液(インク受容層用塗布液)の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に第2塗液(塩基性溶液)が付与されるが、該第2塗液は、塗布後の塗布層が減率乾燥を示すようになる前に付与してもよい。即ち、インク受容層用塗布液の塗布後、この塗布層が恒率乾燥を示す間に塩基性溶液を導入することで好適に製造される。この第2塗液には、媒染剤を含有させてもよい。
ここで、前記「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、「化学工学便覧」(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
上記の通り、第1塗液の塗布後、該塗布層が減率乾燥を示す様になるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に温度50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
減率乾燥速度を示すようになる前に第2塗液を付与する方法としては、(1)第2塗液を塗布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法により噴霧する方法、(3)第2塗液中に該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
上記方法(1)において、第2塗液を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第1塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
第2塗液の塗布量としては、5〜50g/m2が一般的であり、10〜30g/m2が好ましい。
第2塗液の付与後は、一般に温度40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行なわれる。中でも、温度40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。例えば、第1塗液中に含有する架橋剤を硼砂や硼酸とする場合には、温度60〜100℃での加熱を5〜20分間行なうことが好ましい。
また、上記塩基性溶液(第2塗液)を、インク受容層塗布液(第1塗液)を塗布すると同時に付与する場合、第1塗液及び第2塗液を、特に第1塗液のいずれか一方の塗布液が支持体と接触する様にして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることによりインク受容層を形成することができる。
上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を温度40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、温度40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターにより行った場合、同時に吐出される2種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層される第1塗液は、支持体に移る際、既に第2塗液との界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される2液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記の様に同時塗布する際は、第1塗液のいずれか一方の塗布液及び第2塗液の塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記2液間に介在させて同時4重層塗布することが好ましい。
上記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。上記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。ここで、該バリアー層液には、前記媒染剤を含有させることもできる。
支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性や光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なう必要がある。
上記カレンダー処理を行なう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
本発明のインク受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量を持つ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
また、第1A塗液から形成されるインク受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。また、第1B塗液から形成されるインク受容層の細孔径は、メジアン径で0.05〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。空隙率及び細孔メジアン径は、(株)島津製作所製の水銀ポロシメーター「ボアサイザー9320−PC2」を用いて測定することができる。
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、インク受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。該ヘイズ値は、スガ試験機(株)製のヘイズメーター「HGM−2DP」を用いて測定することができる。
以下、本発明における無機微粒子、水溶性樹脂、架橋剤等の構成要素について更に詳細に説明する。
(無機微粒子)
本発明に係る前記第1A塗液は、無機微粒子を含有する。
該無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シリカ微粒子が特に好ましい。単独でも複数併用してもよい。
上記シリカ微粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性及び保持の効率が高く、また屈折率が低いので、適切な微小粒子径まで分散を行なえばインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという利点がある。
この様に受容層が透明であるということは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性及び光沢度を得る観点より重要である。
無機微粒子の平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、特に10nm以下が好ましい。該平均一次粒子径が20nm以下であると、インク吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時にインク受容層表面の光沢性をも高めることができる。
特にシリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基の水素結合により粒子同士が付着し易いため、また該シラノール基と水溶性樹脂を介した粒子同士の付着効果のため、上記の様に平均一次粒子径が20nm以下の場合にはインク受容層の空隙率が大きく、透明性の高い構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
一般にシリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、上記「気相法シリカ」とは、当該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を指す。
気相法シリカは、上記含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2と多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2と少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
本発明においては、上記乾式法で得られる気相法シリカ微粒子(無水シリカ)が好ましく、更に微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であるシリカ微粒子が好ましい。
(水溶性樹脂)
本発明に係る第1A塗液は、更に水溶性樹脂を含有する。
該水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;親水性のエーテル結合を有する樹脂である、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);親水性構のアミド基又はアミド結合を有する樹脂である、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等を挙げることもできる。
上記の中でも、特にポリビニルアルコール(PVA)類が好ましい。
上記水溶性樹脂の含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ、該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
尚、インク受容層を主に構成する上記の微粒子と水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数素材の混合系であってもよい。
上記ポリビニルアルコール(PVA)は、ひび割れ防止の観点から、数平均重合度が1800以上が好ましく、2000以上がより好ましい。また、シリカ微粒子と組合わせる場合には、透明性の観点から水溶性樹脂の種類が重要となる。特に無水シリカを用いる場合、水溶性樹脂としてPVAを用いるのが好ましく、中でも鹸化度70〜99%のPVA樹脂がより好ましい。
上記ポリビニルアルコールとしては、ポリビニルアルコール(PVA)に加え、カチオン変性PVA、アニオン変性PVA、シラノール変性PVA及びその他ポリビニルアルコールの誘導体も含まれる。ポリビニルアルコールは1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記PVAは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くする。この様な三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成し得ると考えられる。
インクジェット記録用媒体において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
(微粒子と水溶性樹脂との含有比)
微粒子(好ましくはシリカ微粒子;x)と水溶性樹脂(y)との含有比〔PB比(x/y)、水溶性樹脂1質量部に対する無機顔料微粒子の質量〕は、インク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。具体的には、上記PB比(x/y)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5/1〜10/1が好ましい。
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。更にシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れ及び剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度が必要である。この様な観点より、上記PB比(x/y)としては5/1以下が好ましく、インクジェットプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点からは、2/1以上であることが好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比(x/y)が2/1〜5/1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
(架橋剤)
本発明に係る第1A塗液は、無機微粒子及び水溶性樹脂等を含む層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含む。該架橋剤による水溶性樹脂の架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
上記架橋剤としては、インク受容層を形成する第1A塗液に含まれる水溶性樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点でホウ素化合物が好ましく、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましく、これを水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと組合わせて使用することが最も好ましい。
本発明においては、上記架橋剤は、前記水溶性樹脂1.0質量部に対して、0.05〜0.50質量部含有されることが好ましく、0.08〜0.30質量部含有されることがより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲であると、水溶性樹脂を効果的に架橋してひび割れ等を防止することができる。
前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合などには、ホウ素化合物以外の下記化合物も架橋剤として用いることができる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。上記の架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
本発明において、上記架橋剤は、インク受容層を形成する際に、インク受容層用塗布液(第1A塗液)中に含有させるが、その他に、インク受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、或いは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、上記インク受容層用塗布液を塗布する、又は架橋剤非含有のインク受容層用塗布液を塗布し乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする等してインク受容層に架橋剤を供給することができる。
インク受容層用塗布液(第1A塗液)中の架橋剤の濃度としては、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。
例えば、以下の様にして好適に架橋剤を付与することができる。ここでは、ホウ素化合物を例に説明する。即ち、インク受容層がインク受容層用塗布液(第1塗液)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、該架橋硬化は、(1)上記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)上記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前、の何れかの時に、pHが7.1以上の塩基性溶液(第2塗液)を上記塗布層に付与することにより行われる。架橋剤であるホウ素化合物は、上記の第1塗液の一方(第1A塗液)に含有させるが、第2塗液にも含有させてもよい。
(媒染剤)
本発明においては、形成画像の耐水性及び耐経時にじみの向上を図るために、インク受容層用塗布液(第1A塗液)にさらに媒染剤を含有することがしてもよい。該媒染剤としては、カチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤のいずれも使用できる。中でも、水溶性多価金属塩が好ましい。
前記無機媒染剤の水溶性多価金属塩としては、前記のものが挙げられ、好ましい例も同様である。本発明に於いて、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
本発明において、上記水溶性多価金属塩のインク受容層塗布液(第1A塗液)中の含有量は、無機微粒子に対して0.1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは1〜5質量%である。
前記水溶性多価金属塩は、単独でも用いることができるが、2種以上を併用することが好ましい。
少なくともインク受容層の上層部に上記媒染剤を存在させることによって、アニオン性染料を色材として有するインクジェット用の液状インクとの間で相互作用が働き、該色材を安定化させて耐水性や耐経時にじみを更に改善することができる。
上記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
上記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(以下、「媒染剤モノマー」と言う。)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染剤ポリマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー、又は水分散性のラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
上記媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
また、アリルアミンやジアリルアミン、その誘導体、塩なども利用できる。この様な化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)等が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的な製法である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
上記非媒染剤モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性或いはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、若しくは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。
上記非媒染剤モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。上記非媒染剤モノマーも、1種単独で又は2種以上を組合せて使用できる。
更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレニミン、ポリアリルアミンおよびその変性体、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、又は特開平10−264511、特開2000−43409、特開2000−343811、特開2002−120452に記載のアクリルシリコンラテックスのカチオン性アクリルエマルジョン(ダイセル化学工業(株)製の商品名「アクアブリッドシリーズ ASi−781、ASi−784、ASi−578、ASi−903」)、等も好ましいものとして挙げることができる。
上記媒染剤の分子量としては、質量平均分子量で2000〜300000が好ましい。分子量がこの範囲にあると、耐水性及び耐経時にじみ性を一層向上させることができる。
(他の成分)
本発明のインク受容層塗布液は、必要に応じて下記成分を含有させて構成される。
即ち、インクジェット記録媒体の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
上記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位又は6位の内、1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同3,707,375号明細書、同3,754,919号明細書、同4,220,711号明細書等に記載されている。
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
上記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同309402号公報、同310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同62−262047号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同66−88381号公報、同63−113536号公報;
同63−163351号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−43295号公報、同48−33212号公報、米国特許第4814262号、同第4980275号公報等に記載のものが挙げられる。
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
これら褪色性防止剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。褪色性防止剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。褪色性防止剤の添加量としては、インク受容層塗布液の0.01〜10質量%が好ましい。
本発明において、インク受容層塗布液はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有することができる。上記高沸点有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、該水溶性の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が400以下)等のアルコール類が挙げられる。好ましくは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)である。
上記高沸点有機溶剤のインク受容層用塗布液中における含有量としては、0.05〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜0.6質量%である。
また、無機微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
(支持体)
支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。この様な材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜200μmが好ましい。
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。該光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記の様な支持体が挙げられる。
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に、銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
上記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜300μmが好ましい。
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用するのが好ましい。
次に、レジンコート紙など紙支持体に用いられる原紙について述べる。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%〜70質量%が好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好適に用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれている様に、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。更にポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られる様なマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本実施例では、インクジェット記録用媒体の一例としてインクジェット記録用シートを作製するものとし、また、実施例中の「部」及び「%」は、特に指定しない限り質量基準を表さすものとする。
[実施例1]
(支持体の作製)
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解し、パルプスラリーを調製した。
次いで、前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当たり、カチオン性デンプン(日本NSC製 CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光化学製 ポリアクロンST−13)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学製 サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学製 アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
前記のようにして調製したパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6Kg/cmに設定して乾燥を行った後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニルアルコール((株)クラレ製 KL−118)を1g/m2塗布して乾燥し、カレンダー処理を行った。なお、原紙の坪量は166g/m2で抄造し、厚さ160μmの原紙(基紙)を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを26g/m2となる様にコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の熱可塑性樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥重量が0.2g/m2となる様に塗布した。続いて、表面にコロナ処理し、10質量%の酸化チタンを有する密度0.93g/m2のポリエチレンを24g/m2になるように溶融押出機を用いてコーティングして、支持体を得た。
(インク受容層用塗布液Aの調製)
下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」とを混合し、ビーズミル((株)ジンマルエンタープライゼス製 KD−P)を用いて分散させた後、分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後、これに下記(5)のホウ酸と、(6)ジメチルアミン・エピクロルヒドリン・ポリアルキレンポリアミン重縮合物と、(7)ポリビニルアルコール溶解液と、(8)「スーパーフレックス600」と、(9)エタノールを30℃で加え、インク受容層用塗布液Aを調製した。
<インク受容層用塗布液Aの組成>
(1)気相法シリカ微粒子 8.9部
(日本アエロジル(株)製 AEROSIL300SF75)
(2)イオン交換水 58.5部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) 0.8部
(第一工業製薬(株)製分散剤)
(4)「ZA−30」(酢酸ジルコニル) 0.5部
(第一稀元素化学工業(株)製)
(5)ホウ酸(架橋剤) 0.30部
(6)ジメチルアミン・エピクロルヒドリン・ポリアルキレンポリアミン重縮合物(ハイモ(株)製 SC−505)(50%水溶液) 0.2部
(7)ポリビニルアルコール溶解液 26.34部
<溶解液組成>
1)ポリビニルアルコール 1.8部
((株)クラレ製 「PVA235」 鹸化度88% 重合度3500)
2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0.06部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
3)下記化合物1 0.1部
4)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.6部
(協和発酵(株)製 ブチセノール20P)
5)イオン交換水 23.78部
(8)「スーパーフレックス600」(カチオン変性ポリウレタン) 2.2部
(第一工業製薬(株)製)
(9)エタノール 2.3部
Figure 2006247966
<PAC液1の組成>
(1)塩基度83%のポリ塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業(株)製 アルファイン83) 20部
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2%水溶液) 3部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
(3)イオン交換水 77部
(インクジェット記録用シートの作製)
前記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、この上に173ml/m2の塗布量となるように前記インク受容層用塗布液Aを流し、更にその上にPAC液1を10.8ml/m2の塗布量となるよう流し、エクストルージョンダイコーターで同時に塗布を行った。その後、冷風乾燥機にて5℃、相対湿度30%(風速3〜8m/sec)で5分処理後、更に25℃相対湿度25%(風速3〜8m/sec)の乾燥風で20分間乾燥させた。これにより、乾燥膜厚32μmのインク受容層が設けられた、本発明のインクジェット記録用シートを作製した。塗布液AとPAC液1の同時塗布液の粘度は下記の方法でサンプリングしたサンプルを測定した。
[実施例2]
(インクジェット記録用シートの作製)
前記実施例1の支持体のオモテ面上に、173ml/m2の塗布量となるように前記インク受容層用塗布液Aを流し、更にその上に前記PAC液1を10.8ml/m2の塗布量となるよう流し、エクストルージョンダイコーターで同時に塗布を行った。その後、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥を示した。そして、減率乾燥を示す前に、下記組成の塩基性溶液(pH=7.8)に3秒浸漬して、前記塗布層上にその13g/m2を付着させ、更に80℃で10分間乾燥させた(硬化工程)。これにより、乾燥膜厚32μmのインク受容層が設けられた、本発明のインクジェット記録用シートを作製した。塗布液AとPAC液1の同時塗布液の粘度は、下記の方法でサンプリングしたサンプルを測定した。
<塩基性溶液の組成>
(1)ホウ酸 0.65部
(2)炭酸ジルコニウムアンモニウム(28%水溶液) 0.33部
(第一稀元素化学工業(株)製 ジルコソールAC−7)
(3)炭酸アンモニウム(一級) 3.5部
(関東化学(株)製)
(4)イオン交換水 63.3部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2%水溶液) 30.0部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
[実施例3]
実施例2において、インク受容層用塗布液AとPAC液1の塗布順序を逆にした以外は、実施例2と同様に行いインクジェット記録用シートを作製した。
[実施例4]
実施例2において、インク受容層用塗布液Aの塗布量を1/2ずつに分け中間にPAC液1になるように同時に塗布した以外は、実施例2と同様に行いインクジェット記録用シートを作製した。
[実施例5]
実施例2において、PAC液1の代わりに、下記PAC液2を用いた以外は、実施例2と同様に行いインクジェット記録用シートを作製した。
<PAC液2の組成>
(1)塩基度53%のポリ塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業(株)製 タイパック) 20部
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2%水溶液) 3部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
(3)イオン交換水 77部
[実施例6]
実施例2において、PAC液1の代わりに、下記PAC液3を用いた以外は、実施例2と同様に行いインクジェット記録用シートを作製した。
<PAC液3の組成>
(1)塩基度33%のポリ塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業(株)製 アルファイン33) 20部
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2%水溶液) 3部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
(3)イオン交換水 77部
[比較例1]
実施例1において、PAC液1及び塩基性溶液を用いない以外は、実施例1と同様に行いインクジェット記録用シートを作製した。
(評価試験)
上記より得たインクジェット記録用シートについて、下記の評価試験を行なった。その結果を下記の表1に示す。
(1)粘度評価
(測定方法)
インク受容層塗布液Aとポリ塩化アルミニウムを含む液を同時塗布後、又は、インク受容層塗布液Aのみを塗布後、1秒後に、下記のようにサンプリングし、HAAKE社製 Rheo Stress 600にて、測定温度50℃、せん断速度10-2sec-1にて粘度を測定した。
粘度測定用塗布液サンプリング方法は、塗布1秒後に、厚さ300μm、幅6cm、長さ10cmのアルミニウム板を塗布層とほぼ平行に当て塗布方向にスライドさせ約10gの塗布層を支持体より剥がし取る方法である。
(2)印画濃度評価
エプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM970C」を用いて、前記各インクジェット記録用シートにブラックインクで印画した。該印画サンプルの光学濃度(vis.)を測定した。
(3)塗布面状評価
得られたインクジェット記録用シートの塗布面状は、50μm以上のサイズの凹状欠点個数を計測して評価した。
評価基準は以下のとおりである。
◎:0個/1000m2
○:1〜15個/1000m2
△:16〜30個/1000m2
×:31個/1000m2以上
Figure 2006247966
表1から明らかな通り、支持体上のいずれの層にPAC液を塗布した塗工層を形成した実施例はいずれにおいても、印画濃度、塗布面状ともに良好であることが分かった。一方、PAC液を使用しない比較例は、印画濃度、塗布面状ともに不良であることが分かった。

Claims (6)

  1. 支持体上に無機微粒子、水溶性樹脂及び架橋剤を含む塗布液と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液を同時に層状に塗布して、インク受容層を形成することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
  2. 前記2つの塗布液の塗布した後のせん断速度10-2sec-1における粘度が2Pa・s以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  3. 前記水溶性多価金属塩がポリ塩化アルミニウムである請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  4. 前記ポリ塩化アルミニウムの塩基度が30〜85%であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  5. 前記インク受容層が、少なくとも無機微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含む塗布液と、少なくとも1種の水溶性多価金属塩を含む塗布液とを同時に層状に塗布して形成した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、(1)前記2つの塗布液を塗布すると同時に、又は(2)前記2つの塗布液を塗布して形成される前記塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与することを特徴とする請求項1〜4に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造されるインクジェット記録媒体。
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