JP2005262038A - 炭化水素除去用触媒およびその炭化水素除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 硫黄酸化物を含むガスであっても、炭素数2以上の低級飽和炭化水素(特に、エタン、プロパン)を、高い触媒活性で効率よく酸化除去できる酸化性能および経済性に優れた酸化触媒を提供する。
【解決手段】 ジルコニア担体に白金を担持することにより触媒を形成する。この触媒において、前記白金の割合は、ジルコニア100重量部に対して0.5〜20重量部程度であってもよい。前記触媒は、硫黄成分を含有することにより触媒活性を向上できる。そのため、前記触媒は、さらに、硫黄酸化物で処理されていてもよい。このような触媒に、少なくとも酸素及び炭素数2以上の低級飽和炭化水素(エタン、プロパンなど)を含む被処理ガスを接触させることにより、前記炭素数2以上の低級飽和炭化水素を高い触媒活性で効率よく酸化除去できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガス(例えば、燃焼機器、特に液化石油ガスや天然ガスなどの軽質燃料を用いる内燃機関から排出される排ガス)中の低級飽和炭化水素(炭素数2以上の低級飽和炭化水素)の酸化に用いられる触媒(特に排ガス浄化用触媒)およびその炭化水素酸化方法(特に排ガス浄化方法)に関する。
内燃機関の排気ガス中には、環境上特に有害である窒素酸化物や健康上問題のある一酸化炭素に加えて、微量の炭化水素が含まれる。炭化水素は、大気中において窒素酸化物と反応して光化学スモッグを引き起こすため、その排出は抑制すべきであると考えられており、特に、自動車の排ガスでは、窒素酸化物、一酸化炭素とともに炭化水素の排出も規制されている。
液化石油ガスや天然ガスを燃料とする内燃機関から排出される排ガス中の炭化水素は、低級飽和炭化水素が大部分で、これらは化学的に極めて安定であるため、光化学スモッグの原因とはなるおそれは小さい。しかし、安定であるゆえに、自動車排ガス対策で採用されているような通常の酸化除去方法では、十分な除去率を得ることが難しいという課題がある。
炭化水素や一酸化炭素などの排ガス中に含まれる可燃性成分の接触酸化に貴金属系触媒が有効である。その中でも、特に白金系触媒が低温活性に優れることも知られている。例えば、一酸化炭素の酸化触媒として、特開平7−241467号公報(特許文献1)には、ハニカム担体に担持した白金/アルミナ触媒であって、その白金担持量が1.2〜2.5g/Lである希薄燃焼ガスエンジン排ガス中の一酸化炭素の酸化用触媒が開示されている。また、特開平7−241468号公報(特許文献2)には、同用途に対し、白金−パラジウム/アルミナ触媒が開示されている。この文献には、白金−パラジウム/アルミナ触媒が、白金/アルミナ触媒あるいはパラジウム/アルミナ触媒のいずれよりも優れた性能を示すことが記載されている。
また、炭化水素除去用の触媒として、特開平10−309462号公報(特許文献3)には、燃焼排ガス中の非メタン炭化水素の酸化触媒であって、白金担持量が0.5〜3.0g/Lのハニカム体担持白金/アルミナ触媒が開示されている。しかし、このような触媒では、充分な炭化水素の酸化除去性能が得られない。また、このような触媒では、硫黄酸化物(いわゆるSOx)を含むガスを使用すると、触媒活性およびその耐久性が低下する虞がある。
一方、アルミナ以外の担体を用いた触媒も知られている。例えば、特開2000−254500号公報(特許文献4)には、排ガス中の未燃炭化水素酸化触媒として、チタニアあるいはジルコニア担体に、白金及びパラジウムが担持されている触媒が開示されている。この文献の実施例では、前記炭化水素としてメタンのみを含むガスから、前記メタンを酸化除去している。さらに、この文献には、排ガスが硫黄酸化物を含んでいてもよいことが記載されており、実施例では、メタンおよび二酸化硫黄を含むガスを使用して、メタンの酸化性能を時間変化とともに測定することにより、触媒の耐久性を評価している。しかし、この触媒において、炭素数2以上の炭化水素に対する酸化活性は不明である。
そのため、排ガス中の低級飽和炭化水素、特に、エタン、プロパン、ブタンなどの炭素数2〜5程度の飽和炭化水素の酸化除去技術は確立されているとは言えないのが実情である。
特開平7−241467号公報(請求項1) 特開平7−241468号公報(請求項1) 特開平10−309462号公報(請求項1) 特開2000−254500号公報(請求項1、実施例)
従って、本発明の目的は、炭素数2以上の低級飽和炭化水素(特に、エタン、プロパン)を、高い酸化性能で効率よく酸化除去できる酸化触媒(又は酸化除去触媒)、およびこの触媒を用いた酸化方法(又は酸化除去方法)を提供することにある。
本発明の他の目的は、硫黄酸化物を含むガス(内燃機関から排出される排ガスなど)であっても、触媒活性を低下させることなく触媒の耐久性を高めることができ、優れた酸化性能で効率よく炭素数2以上の低級飽和炭化水素を酸化除去できる経済性に優れた酸化触媒(又は酸化除去触媒)、およびこの触媒を用いた酸化方法(又は酸化除去方法)を提供することにある。
本発明者らは前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ジルコニアに白金を担持した触媒が、特にエタン、プロパンなどの低級飽和炭化水素に対して高い酸化活性を示すとともに、通常、この種の反応において触媒毒と考えられている硫黄酸化物(SOx)に対する耐性が高いだけでなく、むしろ前記触媒の活性(酸化性能)を促進又は向上させることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の触媒は、酸素の存在下、炭素数2以上の低級飽和炭化水素を酸化するための触媒であって、ジルコニア担体に少なくとも白金が担持されている触媒である。前記触媒において、触媒を構成する金属成分は、実質的にジルコニウムおよび白金のみで構成されていてもよい。また、前記触媒において、白金の割合は、ジルコニア100重量部に対して0.5〜20重量部程度であってもよい。
前記触媒は、さらに硫黄成分(例えば、硫酸根SO4 2-など)を含んでいてもよい。このような硫黄成分を含む触媒では、触媒活性(酸化性能)をより一層向上できる。
本発明は、前記触媒に、少なくとも酸素及び炭素数2以上の低級飽和炭化水素を含む被処理ガスを接触させて、前記炭素数2以上の低級飽和炭化水素を酸化する方法も含まれる。前記触媒は、硫黄酸化物に対する耐性を有しているので、本発明の酸化方法において、前記被処理ガスは、硫黄酸化物を含んでいてもよい。例えば、前記触媒に、酸素、硫黄酸化物、前記低級飽和炭化水素(特に、エタンおよびプロパン)を含む被処理ガスを所定の温度(例えば、温度250〜500℃)で接触させることにより、前記低級飽和炭化水素を酸化(又は酸化除去)してもよい。また、前記触媒は、前記のように硫黄成分により触媒活性を向上できるので、本発明の方法では、前記触媒を硫黄酸化物で処理したのち、前記被処理ガスを接触させてもよい。前記硫黄酸化物の処理量は、例えば、前記触媒の白金1モルに対して少なくとも10モル(例えば、10〜500モル程度)であってもよい。
本発明では、ジルコニア担体に白金を担持するので、炭素数2以上の低級飽和炭化水素(特に、エタン、プロパン)を、高い酸化性能で効率よく酸化除去できる。また、本発明の触媒は、ジルコニアに白金を担持することにより、硫黄酸化物に対する耐性を付与できるのみならず、さらに前記触媒の活性(酸化性能)を向上できるので、硫黄酸化物を含むガス(例えば、内燃機関から排出される排ガスなど)であっても、触媒活性を低下させることなく触媒の耐久性を高めることができ、優れた酸化性能で効率よく炭素数2以上の低級飽和炭化水素を酸化除去でき、経済性に優れている。
[触媒]
本発明の触媒は、ジルコニア(ジルコニウム成分)と白金(白金成分)とで構成されている。すなわち、前記触媒において、白金は少なくともジルコニアに含まれていればよく、例えば、ジルコニアに担持されていてもよく、ジルコニア内に均一に又は分散して含有されていてもよい。本発明の触媒は、通常、ジルコニアを担体とし、このジルコニア担体に少なくとも白金が担持されている。
ジルコニアの比表面積は、例えば、1m2/g以上(例えば、1〜200m2/g程度)であってもよく、通常、2〜150m2/g(例えば、2〜100m2/g)、好ましくは2〜60m2/g(例えば、2〜50m2/g)、さらに好ましくは5〜30m2/g(例えば、10〜30m2/g)程度であってもよい。表面積が小さすぎると白金を高分散に保つことができなくなる一方、表面積が大きすぎると、不安定となって使用中に担体の焼結が進行するおそれがある。
なお、ジルコニア(ZrO2)は、酸化物(ジルコニア)の形態で存在するものの、触媒活性を損なわない範囲で、ジルコニウム化合物(例えば、水酸化物、ハロゲン化物、酸素酸塩、有機酸塩)を含んでいてもよい。また、白金を担持する担体は、少なくともジルコニアで構成されていればよく、ジルコニアと他の担体(アルミナ、チタニア、シリカ、活性炭など)と組み合わせてもよいが、通常、ジルコニア単独で構成されている場合が多い。
触媒を構成する白金(白金成分)は、触媒活性に影響を与えない範囲で、金属単体Ptとして含有されていてもよく、化合物の形態で含有されていてもよい。例えば、白金(白金成分)は、白金単体、酸化白金(二酸化白金など)、塩(硝酸塩などの無機酸塩、有機酸塩、錯塩など)、錯体などの形態で含まれていてもよく、これらの形態が混合していてもよい。白金成分は、通常、少なくとも酸化白金の形態であってもよい。さらに、白金の価数は特に制限されず、二価の白金Pt(II)であってもよく、四価の白金Pt(IV)であってもよい。
本発明の触媒において、白金(白金成分)の割合(又は担持量)は、ジルコニア100重量部に対して、白金の重量換算で、例えば、0.1〜30重量部の範囲から選択でき、例えば、0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度である。白金の割合が少なすぎると触媒活性が低く、また多すぎると白金の粒径が大きくなり、担持された白金が有効に使われなくなる場合がある。
本発明の触媒は、ジルコニア担体に少なくとも白金が担持されていればよく、白金に加えて、必要に応じてさらに他の金属(又は金属成分)を含んで(又は担持されて)いてもよい。このような金属としては、周期表第8A族、第1B族、第2B族金属などが例示でき、特に、貴金属(銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウムなど)が挙げられる。他の金属(又は貴金属)の割合は、ジルコニア100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部程度であってもよい。また、他の金属の割合は、白金1重量部に対して、0.1〜15重量部の範囲から選択でき、例えば、1〜10重量部(例えば、2〜10重量部)、好ましくは2〜8重量部、さらに好ましくは3〜8重量部程度であってもよい。
なお、他の金属(貴金属など)は、特定の条件下での触媒活性を向上させる場合がある一方で、特定の条件下で触媒活性を低下させる場合がある。例えば、貴金属(パラジウムなど)を添加することにより、400℃以上の領域におけるエタンの酸化性能が向上する場合がある。一方、他の貴金属の添加量が白金に対して10重量%を超える場合、特に低温領域(300℃以下程度)におけるプロパンなどの酸化性能が低下する場合がある。
そのため、本発明は、他の金属の添加は用途に応じて行うことができ、他の金属(又は貴金属、特にパラジウム)を含んでいなくてもよい。すなわち、本発明の触媒(又はその触媒活性物質)を構成する金属(又は金属成分)は、ジルコニウム及び白金以外の金属(貴金属、特にパラジウム)を含んでいなくてもよい。好ましい態様では、本発明の触媒において、触媒(又は触媒活性物質)を構成する金属成分が、実質的にジルコニウムおよび白金のみで構成されていてもよい。本発明の触媒は、他の金属(特にパラジウム)を含まなくても、効率よく触媒活性を向上することができる。
本発明の触媒は、さらに硫黄成分を含んでいてもよい。例えば、本発明の触媒には、後述するように、前記触媒(すなわち、ジルコニア(担体)に白金が担持されている触媒)が、さらに硫黄含有化合物(特に硫黄酸化物)で処理されている触媒なども含まれる。本発明の触媒[ジルコニア(担体)に白金が担持されている触媒]では、硫黄成分(硫黄酸化物など)に対する耐性又は耐久性を有するのみならず、硫黄成分を含むことにより触媒活性(酸化性能)を一層向上できる。硫黄成分は、少なくとも硫黄原子で構成されていればよく、後述する硫黄成分を含有させる方法などに応じて、例えば、硫黄化合物(例えば、二酸化硫黄などの硫黄酸化物など)、硫黄原子を含むイオン[硫酸根(SO4 2-)など]、塩(硫酸塩など)などの形態で前記触媒に含有されていてもよく、これらの形態が混合して前記触媒に含有されていてもよい。好ましい硫黄成分は、少なくとも硫酸根の形態で存在するようである。
硫黄成分の含有形態は、特に限定されないが、硫黄成分の形態(イオンなど)などに応じて、例えば、配位(金属成分に対する配位)、塩(金属成分との塩形成)、吸着(化学吸着など)などの形態により含有されていてもよい。
硫黄成分の含有割合は、後述する硫黄成分の含有方法にもよるが、例えば、硫黄S換算で、触媒(ジルコニアと担持した白金との総量)100重量部に対して、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜1.5重量部程度であってもよい。また、硫黄成分の含有割合は、硫黄S換算で、ジルコニア(ZrO2)100重量部に対して、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜1.5重量部程度であってもよい。特に、硫酸根(SO4 2-として換算)の含有割合は、ジルコニア(ZrO2)100重量部に対して、0.15〜30重量部、好ましくは0.3〜15重量部、さらに好ましくは0.6〜4.5重量部程度であってもよい。
なお、硫黄成分(硫酸根など)は、後述するように、原料や硫黄成分の含有方法などを選択することにより、比較的多量、例えば、触媒(ジルコニアと白金との総量)又はジルコニア100重量部に対して、硫黄S換算で、1.5〜10重量部、好ましくは2〜9重量部、さらに好ましくは3〜8重量部程度の含有割合で前記触媒に含有させることも可能である。
また、硫黄成分の含有割合は、前記触媒の白金1重量部に対して、硫黄S換算で、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜2重量部程度であってもよい。
本発明の触媒は、非多孔質であってもよく多孔質であってもよい。触媒のBET比表面積は、1m2/g以上(例えば、1〜200m2/g程度)であってもよく、通常、2〜150m2/g(例えば、2〜100m2/g)、好ましくは2〜60m2/g(例えば、2〜50m2/g)、さらに好ましくは5〜30m2/g(例えば、10〜30m2/g)程度であってもよい。
触媒の形状としては、例えば、粉粒状、粒状、ペレット状、ハニカム状などが挙げられる。これらの形状のうち、圧力損失を低減する観点からハニカム状が好ましい。ハニカム形状の触媒は、触媒成分(少なくともジルコニアおよび白金)をハニカム状に成形することにより得てもよいが、後述するように、通常、ハニカム上に、ジルコニアと白金とで構成された層(触媒活性層)を形成して製造する場合が多い。このような触媒活性層は、白金(および必要に応じて他の金属)が担持されたジルコニアを含む単一の層であってもよく、ジルコニアで構成された層と、この層に担持され、かつ白金で構成された層とで形成されていてもよい。ハニカムのセル数は、圧力損失の増大を抑制できる範囲で選択でき、例えば、1〜250個/cm2、好ましくは5〜150個/cm2、さらに好ましくは10〜100個/cm2程度であってもよい。ハニカムの開口率は、例えば、30〜80%(例えば、50〜80%)、好ましくは50〜75%程度であってもよい。
[触媒の製造方法]
本発明の触媒は、通常、ジルコニア(酸化ジルコニウム)に白金を含有(特に担持)させることにより製造でき、通常、ジルコニア(又はジルコニウム成分)に、白金成分(白金イオンなど)添加し、焼成することにより得ることができる。白金を含有させる方法は特に限定されず、含浸法、平衡吸着法などを利用できる。含浸法では、例えば、ジルコニア担体に、白金成分(白金イオンなど)を含む白金金属化合物の溶液(水溶液など)を含浸し、乾燥、焼成することによって前記触媒を得ることができる。
原料となるジルコニアとしては、市販の触媒担体用ジルコニアを用いてもよく、ジルコニウム成分(又はジルコニウム化合物)[例えば、水酸化ジルコニウム、無機酸塩(硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウムなど)、ハロゲン化物(塩化ジルコニウムなど)、有機酸塩(酢酸ジルコニウムなど)など、好ましくは水酸化ジルコニウム]を焼成(例えば、600〜1000℃程度で焼成)して用いてもよい。なお、ジルコニウム成分(例えば、水酸化ジルコニウム)を、後述する硫酸成分で処理してから焼成して得たジルコニア(硫酸根ジルコニア)は、市販のジルコニアなどに比べて、結晶構造が異なる(市販のジルコニアなどでは単斜晶である)ためか、比較的大きい比表面積を有する場合が多い。そのため、このような方法で得られたジルコニアを使用することにより、後述するように、硫黄成分の含有割合を高めてもよい。
白金化合物としては、特に制限されず、種々の白金含有化合物が使用でき、例えば、無機酸塩(硝酸塩など)、ハロゲン化物(塩化物など)、有機酸塩(酢酸塩など)、錯体又は錯塩(例えば、アセチルアセトナト錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体など)が例示できる。特に、塩化物(例えば、塩化白金酸など)、錯体又は錯塩[例えば、ビス(アセチルアセトナト)白金、テトラアンミン白金硝酸塩など]を好適に使用できる。これらの白金化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。含浸に用いる白金化合物の溶液は、水溶液で行う場合には、水溶性の化合物(塩化白金酸、テトラアンミン白金硝酸塩など)を水(純水)に溶解することにより調製できる。また、白金化合物の溶液は、有機金属化合物[ビス(アセチルアセトナト)白金など]を有機溶媒(アセトンなど)に溶解した有機溶媒系であってもよい。さらに、白金化合物の溶液は、必要に応じて水に水溶性の有機溶媒を加えた混合溶媒としてもよい。
なお、前記他の金属(例えば、パラジウムなどの白金以外の貴金属)は、前記白金を含有させる方法と同様の方法を利用して含有(担持)させることができる。例えば、含浸法では、白金化合物および他の金属の化合物(貴金属塩など)の両方を溶解する溶液(水溶液など)を用いて一度にジルコニアに含有させて(特に担持させても)よい。他の金属の金属化合物(貴金属塩など)の種類によっては、白金化合物との混合により沈殿を生じる場合があるので、このような場合には、金属(白金および他の金属)を1種類ずつ順番に含有させても(担持させても)よく、例えば、第1の金属(白金など)を含有(担持)させた後、適宜乾燥や仮焼などの工程を経て、第2の金属(パラジウムなど)を含有(担持)させてもよい。
焼成時に流通するガスは、通常の空気を使用してもよく、空気又は酸素と、窒素などの不活性ガスとを適宜混合したガスを用いてもよい。焼成温度は、安定して高い触媒活性を付与できる範囲であればよく、例えば、450〜650℃の範囲で選択でき、好ましくは500〜600℃程度の範囲であってもよい。焼成温度は高すぎると、担持された金属(白金、前記他の金属)の粒成長が進んで高い活性が得られない場合がある。逆に焼成温度が低すぎても焼成の効果が無く、触媒の使用中に金属(白金、前記他の金属)の粒成長が進んで安定した活性が得られないおそれがある。
本発明の触媒は、前記のように、ペレット状やハニカム状などの任意の形状に成形できる。例えば、ハニカム状触媒は、耐火性ハニカム(例えば、コージェライト、セラミックなど)を触媒成分(少なくともジルコニア及び白金)で被覆(ウオッシュコートなど)する方法や、触媒成分に必要に応じてバインダーを添加し、ハニカム形状に押出成形する方法などが挙げられる。本発明では、圧力損失を低減するという観点から、好ましくは耐火性ハニカム上に触媒成分を被覆(特に、ウオッシュコート)する方法が好ましい。耐火性ハニカム上に触媒成分を被覆(ウオッシュコート)する場合には、(i)上記の方法で調製した触媒(ジルコニアに白金を含有させた触媒)に必要に応じてジルコニアゾルなどを加えてスラリー状にして、耐火性ハニカム上にウオッシュコートしてもよく、(ii)予めジルコニアを同様の方法で耐火性ハニカム上にウオッシュコートし、必要に応じて焼成したのち、上記の方法にしたがって白金などを担持してもよい。耐火性ハニカム(コージェライトなど)に被覆(ウオッシュコート)する場合の触媒の被覆量(コート量)は、耐火性ハニカム1リットルあたり、ジルコニア50〜300g程度、かつ白金(白金Pt換算)0.5〜5g程度とするのがよく、好ましくはジルコニア100〜200g程度、かつ白金(白金Pt換算)1〜3gとしてもよい。
なお、触媒の成形は、練合機、成形機(押出成形機や圧縮成形機など)、打錠機、造粒機、粉砕機などを使用して行ってもよい。
また、前記硫黄成分を含有させる方法としては、特に限定されず、硫黄成分を含む化合物(硫黄含有化合物)で処理する方法、例えば、(i)上記のような方法により調製した触媒(ジルコニアに白金が担持した触媒)を、硫黄成分を含む化合物(硫黄含有化合物)で処理する方法、(ii)前記触媒の調製過程において硫黄成分を含有させる方法(硫黄成分を含む化合物で処理する方法)などが挙げられる。
硫黄含有化合物で処理する方法(i)において、硫黄含有化合物は、特に限定されないが、常温において気体の硫黄含有化合物、通常、硫黄酸化物を使用できる。硫黄酸化物としては、一酸化二硫黄、一酸化硫黄、三酸化二硫黄、二酸化硫黄、三酸化硫黄などが挙げられる。硫黄酸化物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。好ましい硫黄酸化物は、二酸化硫黄、三酸化硫黄であり、特に二酸化硫黄が好ましい。
硫黄含有化合物で処理する方法としては、例えば、前記触媒(ジルコニアに白金が担持した触媒)に、硫黄含有化合物(特に硫黄酸化物)を接触(又は曝露)させる方法が挙げられる。なお、このような方法では、少なくとも硫黄含有化合物(特に硫黄酸化物)を含有するガスを使用すればよく、硫黄含有化合物のみを含むガスを使用してもよく、硫黄含有化合物と他のガス(例えば、酸素、窒素、炭化水素、二酸化炭素など)を含むガス(例えば、排ガス)を使用してもよい。なお、後述するように、前記低級飽和炭化水素を酸化除去するための被処理ガスとして、酸素と前記低級飽和炭化水素と硫黄酸化物(二酸化硫黄など)とを予め含むガス(特に排ガス)を使用すると、このような処理と前記低級飽和炭化水素の酸化除去とを並行して(又は連続して)行うことができるため、環境的にかつコスト的にも有利である。
硫黄含有化合物(特に硫黄酸化物)の処理量(又は接触量又は曝露量)は、前記触媒の白金1モルに対して、硫黄原子S換算で、例えば、少なくとも10モル(例えば、10〜500モル)、好ましくは15〜200モル、さらに好ましくは20〜100モル程度であってもよい。なお、処理量が少なすぎると、触媒の活性化が不十分となることがある。
硫黄含有化合物による処理は、常温下で行ってもよいが、通常、加温下[例えば、100℃以上(例えば、100〜600℃)、好ましくは200〜550℃、さらに好ましくは250〜500℃程度]で行ってもよい。なお、加温は、触媒(又は触媒活性物質)を加温してもよく、接触させる硫黄含有化合物を加温してもよく、これらを組み合わせて加温してもよい。
調製過程で硫黄成分を含有させる方法(ii)としては、硫黄成分を調製過程で含有させる方法、例えば、(1)硫酸成分を含むジルコニウム成分(前記ジルコニウム成分など)を焼成して硫酸根ジルコニアを得る方法、(2)硫酸成分の存在下、ジルコニウム成分と白金成分とを共沈させ、この共沈物を乾燥して焼成する方法、(3)ジルコニウム成分に硫酸成分と白金成分とを担持させ、乾燥、焼成する方法などが例示できる。
硫酸根ジルコニアを得る方法(1)において、硫酸成分としては、硫酸又は硫酸塩(アンモニウム塩、アルカリ又はアルカリ土類金属塩など)などが例示できる。硫酸成分は、通常、水溶液の形態で使用できる。詳細には、硫酸根ジルコニアは、ジルコニウム成分を硫酸成分の存在下で、必要によりアルカリなどによりpH調整して沈殿させ、生成物を乾燥し、焼成して調製してもよい。代表的には、ジルコニウム成分(特に水酸化ジルコニウム)に硫酸成分(硫酸アンモニウムなど)を含有する水溶液を含浸させ、乾燥し、焼成してもよい。焼成温度は、例えば、300〜700℃、好ましくは400〜650℃(例えば、500〜600℃)程度である。焼成時間は、0.1〜100時間(例えば、1〜80時間)程度の範囲から選択できる。焼成は、不活性ガス雰囲気中又は酸化性雰囲気(空気など)中で行ってもよい。そして、前記触媒は、得られた硫酸根ジルコニアに、前記方法などにより白金を含有させる(担持させる)ことにより製造できる。
前記共沈させる方法(2)では、前記ジルコニウム成分のうち、水溶性化合物(硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、酢酸ジルコニウムなど)を使用してもよい。また、共沈は、前記と同様にpH調整して行ってもよい。担持させる方法(3)では、ジルコニウム成分を硫酸成分と白金成分とで処理(浸漬又は含浸処理など)して担持させ、乾燥して焼成してもよい。前記方法(3)では、水不溶性化合物(水酸化ジルコニウムなど)を使用してもよい。また、前記方法(3)において、担持処理は、噴霧などにより行ってもよい。なお、方法(2)及び(3)において、焼成条件などは前記方法(1)と同様である。
なお、これらの(ii)調製過程において硫黄成分を含有させる方法(例えば、(1)硫酸成分を含むジルコニウム成分(水酸化ジルコニウムなど)を焼成して硫酸根ジルコニアを得る方法など)では、ジルコニアの結晶構造を正方晶に制御できるためか、硫黄成分を比較的高い割合(例えば、触媒又はジルコニア100重量部に対して、硫黄S換算で、1.5〜10重量部程度)で含有させることができる場合が多い。
[酸化除去方法]
本発明の触媒は、炭素数2以上の低級飽和炭化水素(例えば、エタン、プロパン、ブタンなどのC2-5飽和炭化水素、特にC2-3飽和炭化水素)を酸化除去するのに有用である。すなわち、本発明では、前記触媒に、少なくとも酸素及び炭素数2以上の低級飽和炭化水素を含む被処理ガスを接触させることにより、前記炭素数2以上の低級飽和炭化水素を酸化除去できる。
前記ガス(被処理ガス)は、酸素および前記低級飽和炭化水素のみを含んでいてもよく、酸素と前記低級飽和炭化水素と他のガス[水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、硫黄酸化物(いわゆるSOx)、窒素、窒素酸化物(いわゆるNOx)、アンモニア、前記低級飽和炭化水素の範疇に含まれない炭化水素(メタン、エチレン、プロピレンなどの不飽和炭化水素など)など]とを含んでいてもよい。これらの他のガスは、単独で又は2種以上組み合わせて前記被処理ガスに含まれていてもよい。被処理ガスは、通常、酸素と低級飽和炭化水素と他のガスとを含む混合ガス[特に、酸素、硫黄酸化物、低級飽和炭化水素(特にエタンおよびプロパン)を含むガス]である場合が多い。このような混合ガスとしては、具体的には、排ガス、例えば、内燃機関から排出される排ガスなどが挙げられる。
被処理ガス(排ガスなど)において、前記低級飽和炭化水素の含有量は、特に限定されず、例えば、0.1ppm以上(例えば、0.1〜5000ppm)、好ましくは1ppm以上(例えば、1〜3000ppm)、さらに好ましくは10ppm以上(例えば、10〜1000ppm)程度であってもよい。本発明の触媒は、触媒活性が高いため、前記低級飽和炭化水素濃度が、比較的高濃度、例えば、500ppm以上(例えば、500〜3000ppm、好ましくは1000〜2000ppm程度)であっても、効率よく酸化除去できる。
また、酸素の含有量は、前記低級飽和炭化水素を確実に酸化できる範囲であれば特に限定されないが、例えば、被処理ガス中、例えば、1〜30体積%、好ましくは1〜20体積%、さらに好ましくは2〜15体積%程度であってもよい。なお、被処理ガス(排ガス)中の酸素濃度が極端に低い場合には、反応速度(酸化速度)が低下するおそれがある。このような場合には、被処理ガス(排ガス)にあらかじめ所要の量の空気を混ぜてもよい。
なお、水蒸気の割合は、被処理ガス中、例えば、0.1〜40体積%、好ましくは1〜30体積%、さらに好ましくは2〜20体積%程度であってもよい。また、二酸化炭素の割合は、被処理ガス中、例えば、0.1〜20体積%、好ましくは0.5〜15体積%、さらに好ましくは1〜10体積%程度であってもよい。
さらに、硫黄酸化物の含有量は、被処理ガス(排ガス)中、例えば、0.1〜100ppm、好ましくは0.2〜70ppm、さらに好ましくは0.3〜30ppm程度であってもよい。排ガス中には、通常、上記範囲(例えば、0.3〜30ppm程度)の硫黄酸化物が含まれる場合が多く、本発明の触媒では、この程度の硫黄酸化物濃度では、触媒活性を維持でき、しかも、活性が向上する場合が多い。なお、本発明の触媒は、硫黄酸化物が共存することにより活性が向上するが、硫黄酸化物の濃度が高すぎすると十分な酸化除去効果が得られない場合がある。
なお、本発明の触媒は、前記のように、硫黄成分を含むことにより触媒活性が一層向上する。そのため、本発明では、前述のように、前記触媒を硫黄酸化物で処理した後(例えば、前記触媒の白金1モルに対して少なくとも10モルの処理量で硫黄酸化物を処理して)、この処理された触媒に前記被処理ガスを接触させて前記低級不飽和炭化水素を酸化除去してもよい。特に、被処理ガスが硫黄酸化物を含む(例えば、0.3〜30ppm程度の硫黄酸化物を含む)場合、前記触媒をこのような被処理ガスで処理したのち、さらに連続して前記触媒に被処理ガスを接触させて酸化除去してもよい。このような方法では、前記触媒の使用に伴って触媒活性を向上させつつ(硫黄成分を含有させつつ)酸化除去でき、予め触媒を硫黄成分により処理する必要がないため、環境上およびコスト的に有利である。
なお、排ガス中には、不飽和炭化水素や一酸化炭素が含まれることがあるが、本発明の触媒は、高い酸化活性を有するので、これらの成分も有効に除去できる。
被処理ガスと前記触媒との温度(接触温度)は、効率よく酸化除去できる範囲で選択でき、例えば、200℃以上(例えば、250〜600℃)、好ましくは250〜550℃(例えば、250〜500℃)、さらに好ましくは300℃以上(例えば、300〜500℃)程度であり、600℃以下の温度で接触させるのが望ましい。接触温度は、被処理ガスの温度であってもよく、触媒の温度(例えば、触媒層又は触媒活性層の温度)であってもよく、これらの双方の温度であってもよい。特に、プロパンでは、250℃以上(例えば、250〜550℃程度)、エタンでは350℃以上(例えば、350〜550℃程度)であれば、有効な酸化除去性能が得られる場合が多い。本発明では、比較的高温(例えば、300℃以上)であっても、触媒活性を保持できる。
なお、本発明の触媒は、高い活性を有するが、あまりに低温では活性が下がり、所望の酸化性能が得られない虞があるので、接触温度(例えば、触媒層の温度)が比較的高温(例えば、250℃以上)に保たれるようにするのが好ましい。また、600℃を超えるような温度での使用では、触媒の耐久性が悪化するおそれがある。さらに、前記炭化水素の濃度が著しく高いときには、触媒層(又は触媒活性層)で急激な反応が起こって、触媒の耐久性に影響を及ぼすので、触媒層での温度上昇が150℃以下となる条件で用いるのが好ましい。なお、被処理ガス(排ガス)の温度が高すぎる場合には、触媒の急速な劣化を引き起こすおそれがある。このような場合には、被処理ガスの温度が前記の好適な温度範囲を下回らないように留意しつつ、被処理ガスにあらかじめ所要の量の空気を混ぜるなどより温度調整してもよい。
酸化除去において、使用する前記触媒の量は、少なすぎると有効な酸化性能が得られないので、ガス時間当たり空間速度(GHSV)で、例えば、200,000h-1以下[例えば、1000〜200000h-1、好ましくは1000〜150000h-1、さらに好ましくは2000〜100000h-1程度]であってもよい。なお、ガス時間当たり空間速度(GHSV)を低くするほど触媒量が多くなるため、酸化性能は向上するが、比較的低いGHSV(例えば、1000h-1以下)で用いるような場合には、経済性の問題に加えて、触媒層での圧力損失が大きくなる問題が生じるおそれがある。
触媒に対する被処理ガスの線速度(LV)は、例えば、0.02〜20m/秒、好ましくは0.05〜5m/秒、さらに好ましくは0.3〜3m/秒程度の範囲から選択できる。
触媒層の長さは、触媒活性を損なわない範囲で選択でき、例えば、0.01〜10m、好ましくは0.05〜5m、さらに好ましくは0.1〜1m程度であってもよい。
本発明の触媒は、低級飽和炭化水素の除去に高い酸化性能を有するので、高価な貴金属を大量に用いたり、あるいは性能を確保するために被処理ガスを加熱したりする必要がなく、特に液化石油ガスや天然ガスなどの軽質燃料を用いる内燃機関から排出される排ガス中の低級飽和炭化水素の酸化除去を経済的に有利な条件で行うことができる。しかも、排ガスを本発明の触媒に接触させることにより、排ガスの清浄化が実現できるほか、排ガス中の炭化水素の有する化学エネルギーを排ガスの熱エネルギーに変換できるので、処理後のガスを排熱回収装置に通じればエネルギー利用効率の向上も実現される。このため、本発明の触媒は、燃焼機器、特に液化石油ガスや天然ガスなどの軽質燃料を用いる内燃機関から排出される排ガスの処理に特に有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
ジルコニア(日本電工(株)製、「N−PC」、比表面積28m2/g)100重量部にジルコニアゾル(第一希元素化学工業(株)製、「ジルコゾール」)100重量部と水80重量部を加えてボールミルによりスラリーを調製し、コージェライトハニカム(50mm角×50mm厚、6.45平方センチメートルあたりのセル数210)にコートして、550℃で焼成し、ハニカム1リットルあたりジルコニア140gをコートした担体を作製した。得られた担体にテトラアンミン白金硝酸塩溶液(Ptとして3重量%含有)を吸収(吸水)させて、550℃で焼成し、ハニカム1リットルあたりPtを2g担持したPt/ジルコニア触媒(以下では、Pt(2)/ジルコニアと記す)を調製した。
Pt(2)/ジルコニアを、直径14mm、長さ17mmに切り出し、石英反応管に充填して触媒層とした。触媒層の温度を所定の温度に保って、エタン150ppm、プロパン150ppm、酸素10%、水蒸気10%、残部窒素の反応ガスを毎分2.7リットルの流量で流通して、触媒層前のガス(すなわち、前記反応ガス)に含まれるエタンおよびプロパン濃度と、触媒層後のガス(すなわち、触媒層に接触した後の前記反応ガス)に含まれるエタンおよびプロパン濃度それぞれガスクロマトグラフで測定して、エタンおよびプロパンの除去率を計算した。
なお、得られた触媒の初期活性(硫黄酸化物添加前の触媒活性)の測定は、250℃、275℃、300℃で行った。次いで、反応ガスに硫黄酸化物(二酸化硫黄SO2)3ppmを添加して300℃で20時間処理し、硫黄酸化物添加後の活性を250℃、275℃で測定し、さらに300℃で20時間の処理を行った。
300℃における硫黄酸化物添加前、硫黄酸化物添加後(2,6,20,40時間後)のプロパン除去率を表1に、エタン除去率を表2にそれぞれ示す。Pt(2)/ジルコニア触媒は硫黄酸化物の共存により著しい活性増大を示すことが分かる。
表3には、硫黄酸化物添加前後の250℃、275℃におけるプロパン除去率を示す。Pt(2)/ジルコニア触媒は、この温度域では初期はほとんど活性を示さないが、硫黄酸化物で活性化した後は250℃程度の低い温度域でも高い性能を示すことが分かる。
前記の試験に引き続いて、反応ガス組成は維持して、500℃で20時間の処理を行い、さらに350℃から500℃におけるエタン及びプロパン除去率を測定した。プロパン除去率を表4に、エタン除去率を表5に示す。このような高温で処理した後でも、実施例の触媒が高い性能を維持していることが分かる。
実施例2
テトラアンミン白金硝酸塩溶液(Ptとして3重量%含有)の代わりに、テトラアンミン白金硝酸塩とテトラアンミンパラジウム硝酸塩との混合溶液(Ptとして1.5重量%、Pdとして7.5重量%含有)を用いた他は、実施例1と同様にしてハニカム1リットルあたりPtを1gとPdを5g担持したPt−Pd/ジルコニア触媒(以下では、Pt(1)−Pd(5)/ジルコニアと記す)を調製し、実施例1と同じ条件で評価した。結果を表1〜5に示す。低温での性能はPt(2)/ジルコニアに劣るものの、400℃以上では、同等かそれ以上の性能を示した。
比較例1
アルミナ(住友化学工業(株)製、「NK−124」)100重量部とアルミナゾル(日産化学工業(株)製、「#520」)100重量部を用いた他は実施例1と同様にして、ハニカム1リットルあたりアルミナを105gコートした担体を作製した。これを用いて、実施例1と同様にしてハニカム1リットルあたりPtを1.5g担持したPt/アルミナ触媒(以下では、Pt(1.5)/アルミナと記す)を調製し、実施例1と同じ条件で評価した。結果を表1〜5に示す。この触媒でも、硫黄酸化物による活性化はあるもののその程度は小さかった。Pt量の差異を考慮してもPt(2)/ジルコニアに比べると活性は著しく低い。さらにその原因は明らかではないが、400℃付近で活性が不安定となり、昇温していくうちに一度活性が低下するという現象を示した。エタンの除去率は500℃でも29%とかなり低い値にとどまった。
比較例2
比較例1と同じ担体を用いて実施例2と同様の方法で貴金属を担持し、ハニカム1リットルあたりPtを1gとPdを5g担持したPt/アルミナ触媒(以下では、Pt(1)−Pd(5)/アルミナと記す)を調製し、実施例1と同じ条件で評価した。結果を表1〜5に示す。いずれの温度域においてもその酸化性能は実施例の触媒に及ばなかった。
Figure 2005262038
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Claims (8)

  1. 酸素の存在下、炭素数2以上の低級飽和炭化水素を酸化するための触媒であって、ジルコニア担体に少なくとも白金が担持されている触媒。
  2. 触媒を構成する金属成分が、実質的にジルコニウムおよび白金のみで構成されている請求項1記載の触媒。
  3. 白金の割合が、ジルコニア100重量部に対して0.5〜20重量部である請求項1記載の触媒。
  4. さらに、硫酸根を含む請求項1記載の触媒。
  5. 請求項1記載の触媒に、少なくとも酸素及び炭素数2以上の低級飽和炭化水素を含む被処理ガスを接触させて、前記炭素数2以上の低級飽和炭化水素を酸化する方法。
  6. 酸素、硫黄酸化物、エタンおよびプロパンを含む被処理ガスを温度250〜500℃で接触させる請求項5記載の方法。
  7. 請求項1記載の触媒を硫黄酸化物で処理したのち、被処理ガスを接触させる請求項5記載の方法。
  8. 硫黄酸化物の処理量が、請求項1記載の触媒の白金1モルに対して少なくとも10モルである請求項7記載の方法。
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