JP2000176289A - 排ガス中の炭化水素浄化用触媒および排ガスの浄化方法 - Google Patents

排ガス中の炭化水素浄化用触媒および排ガスの浄化方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】全炭化水素中の低級飽和炭化水素の含有割合が
高い排ガスに対しても浄化率が高く、かつ硫黄化合物が
存在する条件下においても安定した触媒活性を発揮する
という、炭化水素と過剰量の酸素とを含む排ガス中の炭
化水素浄化用触を提供することを主な目的とする。 【構成】超強酸ジルコニアにPdまたはPdとPtとを担持し
てなる、炭化水素と過剰量の酸素とを含む排ガス中の炭
化水素浄化用触媒、およびこれを使用する排ガス浄化方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素を過剰に含む
排ガス中の炭化水素の浄化用触媒および浄化方法に関す
る。
【0002】なお、本明細書において、「酸素を過剰に
含む」とは、「排ガス中の炭化水素、一酸化炭素などの
還元性成分を完全酸化させるに必要な量以上の酸素、窒
素酸化物などの酸化性成分を含む」ことを意味する。
【0003】
【従来の技術】排ガス中に含まれる炭化水素は、光化学
スモッグの原因物質であり、さらにはオゾン層破壊によ
る地球大気環境の悪化要因の一つでもある。従って、排
ガス中の炭化水素処理に関しては、過去数十年間にわた
り種々の研究および対策がなされてきたが、未だ解決す
べき課題が残されている。
【0004】白金、パラジウムなどの白金族金属を担持
した触媒が、排ガス中の炭化水素の酸化分解に優れた効
果を発揮することは知られている。例えば、特開昭51-1
06691号公報は、アルミナ担体に白金とパラジウムとを
担持させた排ガス浄化用触媒を開示している。
【0005】しかしながら、この様な白金族系触媒は、
排ガス中の炭化水素の主成分が化学的安定性の高い低級
飽和炭化水素(メタン、エタン、プロパンなど)である場
合(例えば、天然ガスの燃焼排ガスがそうである)に
は、十分な浄化率を達成し得ないという問題を生じる。
また、これらの白金族系触媒には、燃焼排ガス中に通常
含まれる硫黄酸化物などの活性阻害物質により、経時的
に触媒活性が著しく低下するという欠点がある。灯油、
軽油などの石油系燃料とは異なり、天然ガスは、本来硫
黄化合物を殆ど含んでいない。しかしながら、わが国で
供給されている天然ガス由来の都市ガスには、付臭剤と
して硫黄を含む化合物が添加されており、これらはガス
の燃焼時に硫黄酸化物を生成して、白金族系触媒の活性
阻害要因となる。
【0006】例えば、ランパート(Lampert)らは、パラ
ジウム触媒を用いてメタン酸化を行った場合、メタン中
にわずか0.1ppmの二酸化硫黄が存在するだけで、数時間
内に触媒活性が殆ど失われることを報告している(Appl
ied Catalysis B:Environmental, Vol.14, pp211-223(1
997))。
【0007】また、山本らは、アルミナに白金およびパ
ラジウムを担持させた触媒を用いて都市ガスの燃焼排ガ
ス中の炭化水素を酸化除去する場合には、100時間程度
の短時間内に触媒活性の顕著な低下が見られることを報
告している(平成8年触媒研究発表会講演予稿集;平成
8年9月13日発行)。
【0008】特開平8-332392号公報は、過剰量の酸素が
存在する排ガス中の低濃度炭化水素酸化用触媒として、
ハニカム基材にアルミナ担体を介してパラジウム7g/l以
上と白金3〜20g/lとを担持した触媒を開示している。し
かしながら、この触媒も長期的な耐久性が十分でないた
め、触媒活性は経時的に劣化する。
【0009】炭化水素含有排ガスの1種として、牛、豚
などの家畜の排泄物の発酵などによる生物起源の排ガス
がある。この排ガスにおいても、炭化水素の主要成分
は、メタンであり、酸化除去が困難である。また、この
排ガスには、その起源に由来する有機系の硫黄化合物が
微量ながらも存在するので、触媒を用いて酸化処理を行
う場合には、燃焼排ガス処理の場合と同様に、硫黄被毒
による触媒活性の急速な低下という問題を生じる。
【0010】上記に明らかにした通り、公知の排ガス中
の炭化水素分解用触媒は、メタン、エタン、プロパンな
どの低級飽和炭化水素、特にメタンに対する分解除去率
が低いこと、さらに硫黄化合物が存在する条件下では、
触媒活性が急速に低下するという問題点を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、全
炭化水素中の低級飽和炭化水素の含有割合が高い排ガス
に対しても浄化率が高く、かつ硫黄化合物が存在する条
件下においても安定した触媒活性を発揮するという、炭
化水素と過剰量の酸素とを含む排ガス中の炭化水素浄化
用触を提供することを主な目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の様な
技術の現状に留意しつつ鋭意研究を重ねた結果、超強酸
性ジルコニアにパラジウムあるいはパラジウムと白金と
を担持させた触媒が、排ガス中の炭化水素を浄化するに
際し、硫黄酸化物の共存下においても、長期にわたり高
い炭化水素分解活性を維持し続けることを見出した。
【0013】本発明は、この様な新しい知見に基づいて
完成されたものであり、下記の排ガス浄化用触媒および
排ガス浄化方法を提供する。 1.超強酸ジルコニアにパラジウムを担持してなる、炭
化水素と過剰量の酸素とを含む排ガス中の炭化水素浄化
用触媒。 2.超強酸ジルコニアが硫酸根ジルコニアである上記項
1に記載の排ガス中の炭化水素浄化用触媒。 3.超強酸ジルコニアがタングステンジルコニアである
上記項1に記載の排ガス中の炭化水素浄化用触媒。 4.酸化された状態にある硫黄およびタングステンの少
なくとも一種を含有する正方晶系酸化ジルコニウムにパ
ラジウムを担持してなる、炭化水素と過剰量の酸素とを
含む排ガス中の炭化水素浄化用触媒。 5.超強酸ジルコニアにパラジウムと白金とを担持して
なる、炭化水素と過剰量の酸素とを含む排ガス中の炭化
水素浄化用触媒。 6.超強酸ジルコニアが硫酸根ジルコニアである上記項
5に記載の排ガス中の炭化水素浄化用触媒。 7.超強酸ジルコニアがタングステンジルコニアである
上記項5に記載の排ガス中の炭化水素浄化用触媒。 8.酸化された状態にある硫黄およびタングステンの少
なくとも一種を含有する正方晶系酸化ジルコニウムにパ
ラジウムを担持してなる、炭化水素と過剰量の酸素とを
含む排ガス中の炭化水素浄化用触媒。 9.超強酸ジルコニアにパラジウムを担持してなる触媒
を使用することを特徴とする、炭化水素と過剰量の酸素
とを含む排ガス中の炭化水素の浄化方法。 10.炭化水素が主としてメタンからなる上記項9に記
載の炭化水素の浄化方法。 11.超強酸ジルコニアにパラジウムと白金とを担持し
てなる触媒を使用することを特徴とする、炭化水素と過
剰量の酸素とを含む排ガス中の炭化水素の浄化方法。 12.炭化水素が主としてメタンからなる上記項11に
記載の炭化水素の浄化方法。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において触媒の担体として
使用する超強酸ジルコニア(superacid zirconia)とは、
酸性度を高める処理を施した酸化ジルコニウムを意味す
る。この様な超強酸ジルコニアは、公知の材料であり
(例えば、“表面”、28巻7号481頁(1990);“表面”、3
4巻2号51頁(1996)など参照)、それぞれの組成に応じてS
O4/ZrO2、WO3/ZrO2などと表記されることがある。
【0015】超強酸ジルコニア自体も、公知の手法によ
り調製することができる。例えば、硫酸根で処理してな
るジルコニア(硫酸根ジルコニア;SO4/ZrO2)は、例えば
基材としての無定型酸化ジルコニウムあるいは水酸化ジ
ルコニウムに硫酸を接触させるか、またはこれらの基材
に硫酸アンモニウムを含浸させた後、500〜650℃程度の
温度で焼成することにより、調製することができる。焼
成温度が低すぎる場合には、結晶化が十分に進行しない
ので、触媒の使用温度での安定性に欠けることがある。
これに対し、焼成温度が高すぎる場合には、硝酸根が揮
発して、触媒としての機能を低下させることがある。焼
成後の担体中の硫酸根(SO4 2-)の担持量は、ジルコニア
重量を基準として、通常0.5〜20%程度であり、より好
ましくは1〜10%程度である。硫酸根の担持量が少な過
ぎる場合には、硫酸根担持の効果が十分に発揮されない
のに対し、担持量が過剰となる場合には、安定した硫酸
根ジルコニア担体が得られ難くなる。
【0016】また、タングステンで処理してなるジルコ
ニア(タングステンジルコニア;WO3/ZrO2)は、無定型酸
化ジルコニウムあるいは水酸化ジルコニウムをタングス
テン酸と湿式混練した後、混練物を乾燥し、650〜850℃
程度の温度で焼成することにより、調製することができ
る。この場合の焼成温度範囲の上限および下限も、上記
とほぼ同様の理由で定められる。焼成後の担体中のタン
グステンの担持量は、ジルコニア重量を基準として、通
常2〜20%程度であり、より好ましくは5〜15%程度であ
る。タングステンの担持量が少な過ぎる場合には、タン
グステン担持の効果が十分発揮されないのに対し、担持
量が過剰となる場合には、安定したタングステンジルコ
ニア担体が得られない。
【0017】超強酸ジルコニアの生成は、ハメット指示
薬などを使用する公知の化学的方法によっても、あるい
はX線回折による結晶学的法によっても容易に確認する
ことができる。すなわち、酸性度を高めない状態の酸化
ジルコニウムは、主として単斜晶からなっているのに対
し、硫酸根ジルコニアおよびタングステンジルコニア
は、主として正方晶からなっている。
【0018】本発明による触媒は、常法に従って製造す
ることができる。すなわち、上記の様にして得られた超
強酸ジルコニアをパラジウムイオンを含有する溶液ある
いはパラジウムイオンと白金イオンとを含有する溶液に
浸漬し、乾燥した後、焼成することにより製造すること
ができる。
【0019】超強酸ジルコニア担体にパラジウムあるい
はパラジウムと白金とを担持させる際に使用する金属イ
オン溶液としては、これら金属の硝酸塩、アンミン錯体
などの溶液を使用すればよい。溶媒は、特に限定されな
いが、水で良く、さらにアセトン、エタノールなどの水
溶性有機溶媒を加えた混合溶媒を使用しても良い。
【0020】触媒の調製に際しては、超強酸ジルコニア
担体にパラジウムあるいはパラジウムと白金とを担持さ
せ、乾燥した、空気中450〜650℃程度、より好ましくは
500〜600℃程度で焼成する。焼成温度が高すぎる場合に
は、担持金属の粒子成長による粗大粒子が形成されるの
に対し、低すぎる場合には、触媒の使用中に粒子成長が
進行するので、触媒活性が不安定となる。
【0021】パラジウム担持触媒におけるパラジウム担
持量は、通常担体重量に対し、1〜25%程度、より好ま
しくは2〜20%程度である。パラジウム担持量が少なす
ぎる場合には、触媒活性が十分に発揮されないのに対
し、多すぎる場合には、パラジウムの粒径が大きくなっ
てその比表面積が減少し、パラジウムが有効に利用され
なくなる。
【0022】パラジウム/白金担持触媒におけるパラジ
ウム担持量は、上記と同様であり、また、白金担持量
は、通常パラジウム重量に対し、5〜100%程度、より好
ましくは10〜50%程度である。白金の担持量が少なすぎ
る場合には、白金の併用による効果の改善が十分に達成
されないのに対し、多すぎる場合には、触媒活性成分と
してのパラジウムの効果を阻害することがある。
【0023】本発明による触媒は、使用状態などに応
じ、常法に従って所望の形状に成型することが出来る。
たとえば、本発明触媒に公知のバインダー(ジルコニア
ゾルなど)を所定の量加えてペレット状に成型したり、
あるいは耐火性ハニカム基体表面にウオッシュコートす
ることが出来る。耐火性ハニカム基体表面にウオッシュ
コートする場合には、上記の様にして製造した触媒をス
ラリー状として基体表面にウオッシュコートしても良
く、あるいは超強酸ジルコニアを予め耐火性ハニカム基
体表面にウオッシュコートした後、上述の手法により所
定の触媒活性成分を担持させても良い。
【0024】本発明による排ガス浄化方法は、上記で得
られた触媒を用いることを特徴とする。排ガス浄化に際
し使用する触媒量は、少な過ぎる場合には、十分な炭化
水素除去率が達成されないのに対し、多すぎる場合に
は、除去率は向上するものの、使用量に見合った性能向
上が得られないので、経済的に不利となり、また触媒層
での圧力損失が増大する。従って触媒量は、ガス時間当
たり空間速度(GHSV)で、1000h-1から500000h-1の範囲内
で、より好ましくは1000h-1から300000h-1の範囲内で使
用することが、望ましい。
【0025】また、本発明触媒の高い活性を有効に利用
するためには、排ガス処理温度は、通常300〜700℃程
度、より好ましくは350〜600℃程度とする。排ガスの処
理温度が低すぎる場合には、炭化水素(特にメタンなど
の低級炭化水素)の分解性能が十分に発揮されないのに
対し、処理温度が高過ぎる場合には、触媒の耐久性が損
なわれる。また、排ガス中の炭化水素の濃度が著しく高
い場合には、触媒層で急激な反応による急速な温度上昇
が生じて、触媒の耐久性を低下させる危険性があるの
で、処理ガスの断熱温度上昇が150℃/hr以下となる条件
下で処理を行うことが望ましい。
【0026】本発明方法を実施するに際し、排ガス中の
酸素濃度が低すぎる場合には、排ガス温度が上記の処理
温度以下とならない様に留意しつつ、適当量の空気を排
ガスに混合し、これを触媒に接触させることができる。
【0027】本発明による排ガスの浄化方法は、排ガス
が水蒸気を含む場合にも、炭化水素の浄化率がほとんど
低下しないという大きな利点を有している。たとえば、
燃焼排ガスは、炭化水素とともに水蒸気(通常5〜15%程
度)を含んでいる。従来技術による排ガス浄化方法にお
いては、水蒸気の存在が炭化水素の浄化率を著しく低下
させることが問題点となっていたが、本発明は、この問
題点を解消することが出来る。
【0028】また、本発明による触媒は、殆どの排ガス
中に含まれていて、触媒活性の大きな阻害/低下要因と
して知られる硫黄酸化物に対しても、高い抵抗性を示す
ので、長期にわたり高い炭化水素浄化特性を発揮する。
【0029】
【発明の効果】本発明触媒は、化学的に安定しているた
め、分解困難なメタンなどの低級炭化水素を含む排ガス
を高い除去率で処理することが出来る。
【0030】また、本発明触媒は、水蒸気が大量に存在
する条件下においても、さらに硫黄酸化物の存在下にお
いても、優れた炭化水素分解性能を発揮する。
【0031】特に、触媒活性成分としてPdとPtとを併用
する場合には、より一層優れた炭化水素分解性能を発揮
する。
【0032】従って、本発明触媒を用いて、炭化水素含
有排ガスの処理を行う場合には、長期にわたって安定し
た炭化水素除去効果が達成される。
【0033】
【実施例】以下、実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより詳細に説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。 実施例1*Pdを担持するタングステンジルコニア触媒の調製 水酸化ジルコニウム120gにタングステン酸(H2WO4)15gと
水140gとを加えて、室温で7時間攪拌した。次いで、生
成物を120℃で2時間乾燥した後、700℃で6時間焼成し
て、タングステンジルコニアを得た。得られたタングス
テンジルコニアのBET法による比表面積は76m2/gであ
り、そのX線回折は主として正方晶のパターンを示し
た。
【0034】硝酸パラジウム水溶液7ml(Pdとして0.5g含
有)に上記で得たタングステンジルコニア10gを15時間浸
漬して、Pdを含浸担持させた後、乾燥し、空気中550℃
で9時間焼成して、Pd/タングステンジルコニア触媒を得
た。 実施例2*PdとPtとを担持するタングステンジルコニア触媒の調
硝酸パラジウム水溶液7ml(Pdとして0.5g含有)に代え
て、硝酸パラジウムとテトラアンミン白金硝酸塩との混
合水溶液7ml(Pdとして0.5gとPtとして0.1gとを含有)を
使用する以外は実施例1と同様にして、Pd+Pt/タングス
テンジルコニア触媒を得た。 実施例3*Pdを担持する硫酸根ジルコニア触媒の調製 硫酸アンモニウム8gを水70gに溶解した水溶液を水酸化
ジルコニウム基材80gに加え、15時間保持した後、110℃
で3時間乾燥した後、590℃で3時間焼成して、硫酸根ジ
ルコニアを得た。得られた硫酸根ジルコニアのBET法に
よる比表面積は126m2/gであり、そのX線回折は主として
正方晶のパターンを示した。
【0035】硝酸パラジウム水溶液8ml(Pdとして0.5g含
有)に上記で得た硫酸根ジルコニア10gを15時間浸漬し
て、Pdを含浸担持させた後、乾燥し、空気中500℃で6時
間焼成して、Pd/硫酸根ジルコニア触媒を得た。 比較例1*Pdを担持するアルミナ触媒の調製 空気中800℃で2時間焼成したアルミナ(住友化学工業
(株)製、“NK-124”)5gを硝酸パラジウム水溶液20ml
(Pdとして0.25g含有)に15時間浸漬して、Pdを含浸担持
させた後、乾燥し、空気中550℃で2時間焼成して、Pd/
アルミナ触媒を得た。 実施例4*触媒耐久性評価試験 実施例1〜2および比較例1で得られた触媒を粒径1〜2
mmの大きさに打錠成型し、各成型体0.75mlを充填した反
応器を使用して、メタン1000ppm、酸素10%、二酸化炭
素6%、水蒸気9%、二酸化硫黄8ppm、残部ヘリウムから
なる模擬排気ガスを当初はガス時間当たり空間速度(GHS
V)40000h-1で2時間、次いでガス時間当たり空間速度(GH
SV)80000h-1の条件下に流通させて、触媒層温度450℃の
条件で耐久性評価試験を行った。反応層入口および出口
でのガス組成は、水素炎イオン化検知器を有するガスク
ロマトグラフにより測定した。
【0036】メタンの転化率の経時変化を表1に示す。
ここでメタンの転化率(%)は、以下の式によって計算さ
れる値を意味する。
【0037】 CH4転化率(%)=CO2out/(CH4out+CO2out)×100 式中、CH4outは触媒層出口のCH4濃度を示し、CO2outは
触媒層出口の二酸化炭素濃度を示す。
【0038】
【表1】
【0039】注1;1時間目および2時間目の値は、ガス
時間当たり空間速度(GHSV)40000h-1で測定した値であ
る。 注2;“−”とあるのは、測定していないことを意味す
る。
【0040】表1に示す結果から明らかな様に、本発明
による触媒は、触媒活性を低下させる大きな要因である
二酸化硫黄の存在下においても、長時間にわたり安定し
た活性を持続している。
【0041】特に、PdとPtとを併用する実施例2触媒に
おいては、触媒活性の安定性がより一層高くなっている
ことが明らかである。 実施例5*メタン転化率評価試験(1) 実施例3および比較例1で得られた触媒を粒径1〜2mmの
大きさに打錠成型し、各成型体1.5mlを充填した反応器
を使用して、メタン1000ppm、酸素10%、二酸化炭素6
%、水蒸気9%、二酸化硫黄3ppm、残部ヘリウムからな
る模擬排気ガスをガス時間当たり空間速度(GHSV)80000h
-1で流通させて、触媒層温度450℃の条件で触媒活性評
価試験を行った。メタン転化率(%)の経時的変化を図1
に示す。
【0042】本発明による触媒は、二酸化硫黄の存在下
においても、長期にわたり安定したメタン分解性能を維
持し続けることが明らかである。 実施例6*メタン転化率評価試験(2) 実施例2および比較例1で得られた触媒を粒径1〜2mmの
大きさに打錠成型し、各成型体1.5mlを充填した反応器
を使用して、メタン2000ppm、酸素10%、一酸化炭素100
0ppm、二酸化炭素6%、水蒸気10%、二酸化硫黄0.3pp
m、残部窒素からなる模擬排気ガスをガス時間当たり空
間速度(GHSV)80000h-1で流通させて、触媒層温度450℃
の条件で触媒活性評価試験を行った。メタン転化率(%)
の経時的変化を図2に示す。
【0043】比較例1触媒は、初期には実施例2触媒に
優るメタン転化活性を示すが、短時間内に活性を失い始
め、殆ど失活してしまう。これに対し、本発明による触
媒は、二酸化硫黄の存在下においても、長期にわたり安
定したメタン分解性能を維持し続けていることが明らか
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例3触媒のメタン転化活性の長期持
続性を示すグラフである。
【図2】本発明実施例2触媒のメタン転化活性の長期持
続性を示すグラフである。
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月2日(1999.3.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】CH4転化率(%)=(1-CH4out/CH4in)×100 式中、CH4outは触媒層出口のCH4濃度を示し、CH4inは触
媒層入口のCH4濃度を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中平 貴年 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 増田 正孝 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 平野 竹徳 鹿児島県出水市上鯖淵1385−2 九州キャ タリストリサーチ有限会社内 Fターム(参考) 4D048 AA18 AB01 BA08X BA27X BA30X BA31X BA41X BA46X BB01 4G069 AA01 AA03 BA05A BA05B BB06A BB06B BB10A BB10B BC60A BC60B BC72A BC72B BC75A BC75B CA02 CA03 CA07 CA15 DA06 EA02Y EC02Y

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超強酸ジルコニアにパラジウムを担持して
    なる、炭化水素と過剰量の酸素とを含む排ガス中の炭化
    水素浄化用触媒。
  2. 【請求項2】超強酸ジルコニアが硫酸根ジルコニアであ
    る請求項1に記載の排ガス中の炭化水素浄化用触媒。
  3. 【請求項3】超強酸ジルコニアがタングステンジルコニ
    アである請求項1に記載の排ガス中の炭化水素浄化用触
    媒。
  4. 【請求項4】酸化された状態にある硫黄およびタングス
    テンの少なくとも一種を含有する正方晶系酸化ジルコニ
    ウムにパラジウムを担持してなる、炭化水素と過剰量の
    酸素とを含む排ガス中の炭化水素浄化用触媒。
  5. 【請求項5】超強酸ジルコニアにパラジウムと白金とを
    担持してなる、炭化水素と過剰量の酸素とを含む排ガス
    中の炭化水素浄化用触媒。
  6. 【請求項6】超強酸ジルコニアが硫酸根ジルコニアであ
    る請求項5に記載の排ガス中の炭化水素浄化用触媒。
  7. 【請求項7】超強酸ジルコニアがタングステンジルコニ
    アである請求項5に記載の排ガス中の炭化水素浄化用触
    媒。
  8. 【請求項8】酸化された状態にある硫黄およびタングス
    テンの少なくとも一種を含有する正方晶系酸化ジルコニ
    ウムにパラジウムを担持してなる、炭化水素と過剰量の
    酸素とを含む排ガス中の炭化水素浄化用触媒。
  9. 【請求項9】超強酸ジルコニアにパラジウムを担持して
    なる触媒を使用することを特徴とする、炭化水素と過剰
    量の酸素とを含む排ガス中の炭化水素の浄化方法。
  10. 【請求項10】炭化水素が主としてメタンからなる請求
    項9に記載の炭化水素の浄化方法。
  11. 【請求項11】超強酸ジルコニアにパラジウムと白金と
    を担持してなる触媒を使用することを特徴とする、炭化
    水素と過剰量の酸素とを含む排ガス中の炭化水素の浄化
    方法。
  12. 【請求項12】炭化水素が主としてメタンからなる請求
    項11に記載の炭化水素の浄化方法。
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