JP2005260188A - リアクトル - Google Patents

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一義 岩元
Nobuhiro Nishida
信博 西田
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Abstract

【課題】 作業工数の低減および部品点数を少なくすることができ、且つ軽量・小型で内部が汚損されないリアクトルを提供する。
【解決手段】 鉄心7にコイル6を巻装したリアクトルを、該リアクトルの周囲をエポキシ樹脂にて覆い、該エポキシ樹脂の表面にアルミ金属の被膜を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、従来ハイブリット自動車等にインバータ昇圧用として用いられるリアクトルに関する。
現在一般に用いられているリアクトルは、例えば直流昇圧用リアクトルとして図3に示す。銅線を螺旋状に巻いたコイル12をギャップを有する鉄心13に挿入し、フレームを用いて機械的に固定させ、コイルの両端から端子11を引出し、絶縁材料を用いワニス等で含浸・熱硬化させた乾式構造のリアクトル10がある。
また、図4に示すように、前記リアクトル10をワニス等で含浸せずに、内部構造としてアルミ金属容器21に組み込んだ後、硬化性樹脂等を注入し充填した後、アルミ金属容器21に蓋23を被せて、ビス24にて組み立てるリアクトル20等がある。
前記のような従来のリアクトル20は、放熱性を良くするために鉄心およびコイルの周囲に熱伝導性に優れた硬化樹脂を介在させ、更にその外装にアルミ金属容器21を用いて、衝撃性、耐汚損性を向上させる必要があり、その結果、リアクトル20が大型で重量が重くなるという問題点があった。
また、放熱性を向上させるために全周に金属が必要となり、前記硬化樹脂注入後、金属製の蓋23を取り付ける作業が必要なことが、コスト増加につながっていた。そして、蓋23を取り付けるという構造のため、蓋23の隙間から浸入する水分により内部が汚損され、鉄心が錆びるという問題点もあった。
更に、コイルから引出した端子を金属容器21に固定するための市販の端子台22が必要であり、その結果、部品点数も多くなっていた。
また、乾式構造のリアクトル10は、ワニス等で含浸しているので、耐湿性に劣り、塵埃が付着しやすく、湿気、埃に弱いという問題点があった。
本発明は、作業工数の低減と部品点数を少なくすることができ、且つ軽量・小型で内部が汚損されないリアクトルを提供することを目的とする。
本発明のリアクトルは、前記目的を達成するために、鉄心にコイルを巻装したリアクトルにおいて、該リアクトルがエポキシ樹脂層にて覆われ、該エポキシ樹脂層がアルミ金属の被膜で覆われてなることを特徴とする。
本発明のリアクトルは、前記エポキシ樹脂層の表面が粗化されてなり、前記エポキシ樹脂成層の粗化されてなる表面がアルミ金属の被膜で覆われるのが好ましい。これによりアルミ金属被膜の付着がより確実となる。
本発明のリアクトルにおいて、前記リアクトルをエポキシ樹脂で覆うために用いる金型内に、前記リアクトルを配置し、位置決めする固定金具が前記鉄心に固着されているのが好ましい。これにより、金型への位置決め作業が確実、容易に行える。
本発明のリアクトルにおいて、前記鉄心に固着された前記固定金具の一部が前記エポキシ樹脂層の外部に露出され、前記エポキシ樹脂層の表面および前記固定金具の前記エポキシ樹脂層の該部に露出された部分がアルミ金属の被膜で覆われ、前記固定金具の露出された部分が前記アルミの金属被膜と電気的に接続され、前記鉄心の接地が可能となることが好ましい。これにより位置決め用の金具と接地用の金具が兼用でき、部品点数を削減できる。
本名発明のリアクトルにおいて、前記コイルに接続された端子、前記コイルおよび前記鉄心の一体が、該端子がエポキシ樹脂層の外部に引き出された状態で、前記エポキシ樹脂にて覆われ、端子が引き出されている部分が端子台部となることが好ましい。これにより、市販の端子台が不用となり部品点数を少なくすることができる。
本発明のリアクトルは、鉄心にコイルを巻装したリアクトルにおいて、該リアクトルがエポキシ樹脂層にて覆われ、該エポキシ樹脂層がアルミ金属の被膜で覆われてなることにより、内部の水分等の浸入による汚損がなくなり、該鉄心の錆びを防止することができ、耐衝撃性、耐汚損性、熱伝導率に優れる。また、該アルミ金属の被膜で覆われることにより従来の金属容器が不用となり、軽量・小型のリアクトルか実現可能となる。
更に、本発明のリアクトルは、前記リアクトルをエポキシ樹脂で覆うために用いる金型内に前記リアクトルを配置し、位置決めする固定金具が前記鉄心に固着されており、前記鉄心に固着された前記固定金具の一部が前記エポキシ樹脂層の外部に露出され、前記エポキシ樹脂層の表面および前記固定金具の露出された部分がアルミ金属の被膜で覆われ、前記固定金具の露出された部分が前記アルミの金属被膜と電気的に接続され、前記鉄心の接地が可能となり、前記コイルに接続された端子、前記コイルおよび前記鉄心の一体が、該端子がエポキシ樹脂層の外部に引き出された状態で、前記エポキシ樹脂にて覆われ、端子が引き出されている部分が端子台部となることにより、従来のリアクトルと比較し、部品点数や、作業工数を少なくすることができるので、より低コストで製造できるリアクトルを提供できる。
以下に、図を用いて本発明のリアクトルの実施形態について説明する。
図1および図2は、本発明のリアクトルを、インバータ等に用いられる直流昇圧用リアクトルに用いた場合を示す実施形態である。
図2は、リアクトル1のエポキシ樹脂にて覆う前の状態を示す図である。図2に示すように、鉄心7が、銅線が螺旋状に巻かれてなる2個のコイル6に挿入される。該コイル6は、直列又は並列に接続され、端子5が接続され、該端子5が外部に引き出されリアクトルの機能を果たす。
前記鉄心7に、固定金具4を固着する。該固定金具4を用いて位置決めを行い、リアクトル1を金型へ配置する。
金型に前記リアクトル1を配置後、予熱処理を行い、耐クラック性を有するエポキシ樹脂を真空中で金型内に注入し、加熱硬化を行う。耐クラック性を有するエポキシ樹脂を用いて覆うことにより、耐久性のあるリアクトルが可能となる。硬化後、金型から脱型し、エポキシ樹脂層2で覆われたリアクトル1を取り出す。
前記エポキシ樹脂で覆う際、前記固定金具4および前記端子5の一部は、前記エポキシ樹脂層2の表面に露出した状態で覆う。又、前記端子5が前記コイル6と接続された状態で、前記端子5、前記コイル6および前記鉄心6と一体で前記エポキシ樹脂にて覆われ、前記端子5が引き出されている部分が端子台部8となる。端子台部8が一体となることにより、市販の端子台が不用となり、部品点数を少なくすることができる。
本発明のリアクトルに用いるエポキシ樹脂としては特に限定されるものではなく、一般的なエポキシ樹脂や耐クラック性または、難燃性を有するエポキシ樹脂を使用してもよい。また、必要に応じて耐熱性、高熱伝導性、難燃性を高める目的で無機物や各種難燃剤を添加しても問題ない。
こうしてできた前記エポキシ樹脂層2の表面を、ブラスト機等により、粗化する。これは、この後に行うアルミ金属の被膜3をより強固に付着するためである。粗化の後、前記エポキシ樹脂層2の粗化された表面に電気アルミ溶射を全周に施し、アルミ金属の被膜3で覆う。この際、端子台部8は除いて、電気アルミ溶射を行わなければならない。アルミ金属の被膜3の厚さは、通電性を有する範囲で薄くするのが好ましい。
前記固定金具4が、前記エポキシ樹脂層2から露出され、前記エポキシ樹脂層2の表面に形成された前記アルミ金属の被膜3と接することにより、前記鉄心7が、前記固定金具4を介して接地される事が可能となり、接地のための部品が不用となる。
本発明のリアクトルに、以下に記述する耐クラック性を有するエポキシ樹脂を用いた実施例について説明する。
エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤としてテトラヒドロメチル無水フタル酸、無機質として石英粉末を用いた。
前記実施形態と同様のリアクトル1を本実施例にて用いる。前記リアクトル1を固定金具4を用いて位置決めを行い金型に配置する。この後予熱処理を行い、前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂、前記硬化剤および前記無機質を混合し真空中で金型内に注入する。そして、加熱硬化を行い、金型から脱型し、エポキシ樹脂層2で覆われたリアクトル1を取り出す。前記エポキシ樹脂で覆う際、固定金具4および端子5の一部は、エポキシ樹脂層2の表面に露出するように覆う。又、前記端子5が前記コイル6と電気的に接続された状態で、前記端子5が前記コイルおよび前記鉄心と一体で前記エポキシ樹脂にて覆われ、前記端子5が引き出されている部分が端子台部8となる。
このようにして得られたエポキシ樹脂層2が耐クラック性を有するか確認するため、アルミ金属の被膜3を行わずに、耐クラック性の試験を行う。耐クラック性の試験は以下の手順にて行う。
前記エポキシ樹脂層2を、気中、冷(−10℃)の状態で1時間、熱(+130℃)の状態で1時間放置し、この状態を1サイクルとして、300サイクル繰り返す。
前記耐クラック性の試験後、前記エポキシ樹脂層2の表面を観察したところ、表面には、クラックは認められなかった。この結果、本実施例では、耐クラック性を有する耐久性に優れたエポキシ樹脂層2を得ることができた。
前記エポキシ樹脂層2を、ブラスト機等により、粗化した後、前記エポキシ樹脂層2の粗化された表面に電気アルミ溶射を全周に施し、0.8〜1.2mmのアルミ金属の被膜で覆う。この際、前記端子台部8を除いて、アルミ金属の被膜で覆わなければならない。
この結果、本実施例にて、より耐久性、放熱性にすぐれたリアクトルが実施可能となる。
本発明のリアクトルの斜視図である。 本発明のリアクトルをエポキシ樹脂層で覆おう前の斜視図である。 従来の乾式構造のリアクトルの(a)平面図、(b)側面図、(c)平面図である。 従来のリアクトルの斜視図である。
符号の説明
1 リアクトル
2 エポキシ樹脂層
3 アルミ金属の被膜
4 固定金具
5 端子
6 コイル
7 鉄心
8 端子台部
10 リアクトル
11 端子
12 コイル
13 鉄心
20 リアクトル
21 アルミ金属容器
22 端子台
23 蓋
24 ビス

Claims (5)

  1. 鉄心にコイルを巻装したリアクトルにおいて、該リアクトルがエポキシ樹脂層にて覆われ、該エポキシ樹脂層がアルミ金属の被膜で覆われてなることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記エポキシ樹脂層の表面が粗化されてなり、前記エポキシ樹脂成層の粗化されてなる表面がアルミ金属の被膜で覆われてなることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記リアクトルを前記エポキシ樹脂で覆うために用いる金型内に前記リアクトルを配置し、位置決めする固定金具が前記鉄心に固着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記鉄心に固着された前記固定金具の一部が前記エポキシ樹脂層の外部に露出され、前記エポキシ樹脂層の表面および前記固定金具の露出された部分がアルミ金属の被膜で覆われ、前記固定金具の前記エポキシ樹脂層の外部に露出された部分が前記アルミの金属被膜と電気的に接続され、前記鉄心の接地が可能となることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のリアクトル。
  5. 前記コイルに接続された端子、前記コイルおよび前記鉄心の一体が、該端子がエポキシ樹脂層の外部に引き出された状態で、前記エポキシ樹脂にて覆われ、該端子が引き出されている部分が端子台部となることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のリアクトル。

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