JP2005259579A - 電子放出素子、電子源ならびに画像表示装置の製造方法および電子放出素子の駆動方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源ならびに画像表示装置の製造方法および電子放出素子の駆動方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005259579A
JP2005259579A JP2004070827A JP2004070827A JP2005259579A JP 2005259579 A JP2005259579 A JP 2005259579A JP 2004070827 A JP2004070827 A JP 2004070827A JP 2004070827 A JP2004070827 A JP 2004070827A JP 2005259579 A JP2005259579 A JP 2005259579A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
conductive film
electric field
potential
emitting device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004070827A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4115410B2 (ja
Inventor
Michiyo Nishimura
三千代 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2004070827A priority Critical patent/JP4115410B2/ja
Priority to US11/075,855 priority patent/US7524227B2/en
Priority to CN2005100545659A priority patent/CN1670887B/zh
Priority to KR1020050020829A priority patent/KR100706767B1/ko
Publication of JP2005259579A publication Critical patent/JP2005259579A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4115410B2 publication Critical patent/JP4115410B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63HTOYS, e.g. TOPS, DOLLS, HOOPS OR BUILDING BLOCKS
    • A63H27/00Toy aircraft; Other flying toys
    • A63H27/12Helicopters ; Flying tops
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J1/00Details of electrodes, of magnetic control means, of screens, or of the mounting or spacing thereof, common to two or more basic types of discharge tubes or lamps
    • H01J1/02Main electrodes
    • H01J1/30Cold cathodes, e.g. field-emissive cathode
    • H01J1/316Cold cathodes, e.g. field-emissive cathode having an electric field parallel to the surface, e.g. thin film cathodes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63HTOYS, e.g. TOPS, DOLLS, HOOPS OR BUILDING BLOCKS
    • A63H27/00Toy aircraft; Other flying toys
    • A63H27/04Captive toy aircraft
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63HTOYS, e.g. TOPS, DOLLS, HOOPS OR BUILDING BLOCKS
    • A63H29/00Drive mechanisms for toys in general
    • A63H29/18Driving mechanisms with extensible rubber bands
    • GPHYSICS
    • G09EDUCATION; CRYPTOGRAPHY; DISPLAY; ADVERTISING; SEALS
    • G09BEDUCATIONAL OR DEMONSTRATION APPLIANCES; APPLIANCES FOR TEACHING, OR COMMUNICATING WITH, THE BLIND, DEAF OR MUTE; MODELS; PLANETARIA; GLOBES; MAPS; DIAGRAMS
    • G09B19/00Teaching not covered by other main groups of this subclass
    • G09B19/10Modelling
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J31/00Cathode ray tubes; Electron beam tubes
    • H01J31/08Cathode ray tubes; Electron beam tubes having a screen on or from which an image or pattern is formed, picked up, converted, or stored
    • H01J31/10Image or pattern display tubes, i.e. having electrical input and optical output; Flying-spot tubes for scanning purposes
    • H01J31/12Image or pattern display tubes, i.e. having electrical input and optical output; Flying-spot tubes for scanning purposes with luminescent screen
    • H01J31/123Flat display tubes
    • H01J31/125Flat display tubes provided with control means permitting the electron beam to reach selected parts of the screen, e.g. digital selection
    • H01J31/127Flat display tubes provided with control means permitting the electron beam to reach selected parts of the screen, e.g. digital selection using large area or array sources, i.e. essentially a source for each pixel group
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J9/00Apparatus or processes specially adapted for the manufacture, installation, removal, maintenance of electric discharge tubes, discharge lamps, or parts thereof; Recovery of material from discharge tubes or lamps
    • H01J9/02Manufacture of electrodes or electrode systems
    • H01J9/022Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes
    • H01J9/027Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes of thin film cathodes

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Business, Economics & Management (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Entrepreneurship & Innovation (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Educational Administration (AREA)
  • Educational Technology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
  • Control Of Indicators Other Than Cathode Ray Tubes (AREA)

Abstract

【課題】 電子放出に必要な閾電界が低い電子放出素子からの意図しない電子放出の低減すること。
【解決手段】 電子放出素子の製造方法であって、第1導電膜と、第2導電膜と、少なくとも前記第1導電膜に接続するように配置された、電子放出部を構成する材料と、を用意する第1工程と、前記第1工程の後に、前記第2導電膜に印加する電位よりも高い電位を前記第1導電膜に印加した際に電子が放出され始める閾電界強度を、前記第1導電膜に印加する電位よりも高い電位を前記第2導電膜に印加した際に電子が放出され始める閾電界強度よりも高くする第2工程と、を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子放出膜を用いた電子放出素子、該電子放出素子を多数有する画像表示装置の製造方法に関するものである。
電子放出素子には、電界放出型(FE型)や、MIM型、表面伝導型の電子放出素子等がある。これらの電子放出素子は、基本的に、電子放出部を有するカソード電極と、電子放出部から電子を引き出す役割あるいは電子放出部から放出された電子を制御する役割を担う制御電極とを有する。
FE型には、制御電極に開口を設け、その開口内に金属を先鋭化させた(コーン状に形成した)カソード電極を配置する形態(所謂「スピント型」)や、制御電極の開口内に比較的平坦なダイアモンド薄膜(電子放出膜)を有するカソード電極を配置する形態などがある。スピント型の電子放出素子は、例えば特許文献1などに開示されている。また、最近では、スピント型電子放出素子のコーン状のカソード電極の代わりに、カーボンナノチューブなどのカーボンファイバーを用いたFE型電子放出素子もある。また、表面伝導型電子放出素子については、特許文献2〜5などに開示されている。
これら電子放出素子の応用装置としては、例えば、同一基板上に上記電子放出素子を多数配列して構成したフラットパネルディスプレイが挙げられる。特に、電子放出素子を使用したフラットパネルディスプレイでは、自発光型であるために、周囲が明るい場合にも、十分明るくコントラストに優れた表示が可能である特徴が期待されている。
特許第3094459号公報 特許第3062987号公報 特開2002−367508公報 特開平8−162015公報 特開2000−311596公報
近年、フラットパネルディスプレイにおいては、より高精細の画像表示が求められている。そのため、放出される電子のビーム径の小さな電子放出素子が望まれている。一般に、ビーム径の縮小化には、電子放出素子の駆動時(電子放出時)において発生する電界を低く設定することが有利である。したがって、より低電界で電子放出可能な電子放出部を有する電子放出素子の開発が望まれている。
また、フラットパネルディスプレイにおいては、高輝度な表示に加え、高品位な階調表示も必要とされている。高品位な階調表示の実現には、より大きな電子放出量の実現とともに、電子放出を十分に制御することができることも必須となる。そのためには、電子放出素子は、電子放出特性において、明確なしきい特性を有していることが望まれる。すなわち、特定の電界(しきい電界Ethreshold:Ethあるいはしきい電圧Vthreshold:Vth)で電子が放出されはじめるが、それ未満の電界(電圧)では電子がほとんど放出されない特性である。そのため、このような電子放出素子を用いたディスプレイでは、Eth未満(Vth未満)ではOFF状態(暗状態)となり、Eth以上(Vth以上)ではON状態(明状態)となる。このOFF状態(暗状態)とON状態(明状態)との差で、ディスプレイのコントラストが決定される。コントラストが高い程、階調表示に有利となり、ディスプレイの表示品位を高くすることが可能となる。
また、Eth未満の電界範囲(Vth未満の電圧範囲)においては、電子が放出されないことに加え、放出電流に寄与しない電流:すなわち無効電流が少ないことも望まれる。すなわち、電子放出効率(=放出電流/(放出電流+無効電流))が高い電子放出素子が望まれている。高効率とすることで、消費電力を減らすことができるとともに、駆動用のドライバにかかる負担を軽くすることもできるなどの利点がある。
さらに、これらの条件を備えた電子放出素子を、安定して再現よく作製することが重要である。
しかしながら、低電界で電子放出可能な電子放出材(あるいは電子放出膜)は、作製工程において、製造環境の影響を受けやすく、その結果、特性変動などにより期待された電子放出特性を十分に発現できない場合があった。特に、電子放出膜の表面は、電子放出特性への影響が大きいため、表面を汚すことなく素子を作製することが重要である。
また、電子放出素子においては、基板上に多数配列形成する際に、各電子放出素子の電子放出特性が不安定であり、個々の特性がばらついてしまう場合が多かった。したがって、なんらかの手法で、特性をそろえる工夫も必要とされる。
また、これらの電子放出素子を安価に作製することも重要である。そのためには、電子放出素子の構造はできるだけ簡易で、かつ工程数が少ないものが望まれる。特に、制御電極とカソード電極とを、同一基板上に、同じ構造で作製することは、電子放出素子構造の簡素化には有効である。さらに、例えば導電膜と導電膜を被覆する電子放出膜とから形成される場合の様な、複数の部材からカソード電極が構成される場合は、カソード電極と制御電極とを対称な構造にすることは、パターニング工程を簡略化できると共に、最も単純な構成となるので好ましい。すなわち、このような対象な構造においては、制御電極とカソード電極のそれぞれに電子放出可能な領域(電子放出部)が配置されることになる。
しかしながら、低電界で電子放出可能な電子放出部を有する電子放出素子においては、以下の問題点が挙げられる。
1)制御電極側からの電子放出
上述のように、制御電極とカソード電極とが対称な構造を採用すると、制御電極側からの電子放出を生じてしまう場合がある。これは、例えば、複数の電子放出素子を配線で接続し、所望の電子放出素子だけから電子を放出させようとした場合などにおいて、駆動電圧とは逆の電圧が印加されてしまう(カソード電極側の電位が制御電極側の電位よりも高くなる)電子放出素子が存在してしまう場合がある。このような場合には、制御電極とカソード電極との間の電圧値によっては、制御電極側に存在する電子放出可能な部分からの電子放出が起こることになる。
制御電極側から放出された電子は無効電流となる他、多数の電子放出素子を並べた電子源では、特に問題となる。そのため、制御電極側にはカソード電極における電子放出部に相当する部分を設けないことが考えられるが、そのような製造工程ではパターニング工程などの工数が多くなってしまう。また、さらには、そのような工程を採用しても、制御電極側に電子放出材が残留あるいは付着してしまうなどの理由から、制御電極側からの電子放出を完全に排除するのが困難な場合がある。
また、前述のように、製造過程でおこる特性変動を避けるために、放出材の堆積する工程は、作製工程の後段に置かれる場合がある。この場合も、ゲート電極側に電子放出材が堆積し、望まない電子放出部がゲート電極側に形成される恐れがある。
2)アノード電界の寄与による電子放出
また、低電界で電子放出可能な電子放出部を有する電子放出素子を、フラットパネルディスプレイなどに用いる場合には、蛍光体に電子を照射するため、さらに、もう一つの電極(アノード電極)を用いる。このアノード電極は、電子放出素子から放出された電子を引き付け、例えばアノード電極近傍にある蛍光体などの発光体に電子を照射/注入するための役割を主に担う電極である。ディスプレイにおいては、蛍光体などの発光体に照射する電子のエネルギーが大きいことが発光輝度などにおいて重要なので、アノード電極に印加する電位は大きいことが好ましい。また、アノード電極の電位は、常時アノード電極に印加され、その電位自体は一定とすることが好ましい。従って、電子放出量の制御/変調は、制御電極が担う。しかしながら、低電界で電子放出可能な電子放出素子におけるカソード電極および制御電極の電位に対して、アノード電極の電位があまりに大きい(電界が大きい)と、電子放出素子におけるしきい電界Eth(或いは、しきい電圧Vth)が不明瞭になる、あるいは、制御電極の電位による電子放出に必要なしきい電界Eth(或いは、しきい電圧Vth)が低くなってしまう場合がある。すなわち、非選択状態(OFF状態)の電子放出素子から電子が放出されてしまう場合や、選択状態(ON状態)の電子放出素子からの意図しない量の電子放出が続いてしまう場合がある。
したがって、低電界で電子放出可能な電子放出素子を使用する場合には、上記1)、2)の意図しない電子放出を抑制することが必要がある。
本発明は、駆動電圧が低く、ビーム径の制御性がよく、高効率な電子放出素子において、簡易な構成、製造方法でありながら、OFF時(非選択時)の電子放出量を抑え、良好な階調制御が可能な電子放出素子の製造方法を提供することを目的とするものである。さらにそのような製造方法により、明瞭な選択/非選択特性を有する電子源を提供し、コントラストに優れた高精細な表示を行える画像表示装置を提供することをも目的とする。
本発明における第1の発明は、電子放出部を有する第1導電膜と、該第1導電膜と離れて配置された第2導電膜と、を有し、前記第2導電膜に前記第1導電膜の電位よりも高い電位を印加することで駆動する電子放出素子の製造方法であって、(A)第1導電膜と、第2導電膜と、少なくとも前記第1導電膜に接続するように配置された、電子放出部を構成する材料と、を用意する第1工程と、(B)前記第1工程の後に、前記第2導電膜に印加する電位よりも高い電位を前記第1導電膜に印加した際に電子が放出され始める閾電界強度を、前記第1導電膜に印加する電位よりも高い電位を前記第2導電膜に印加した際に電子が放出され始める閾電界強度よりも高くする第2工程と、を有することを特徴とする。
また、前記第2工程が、前記第1導電膜に前記第2導電膜の電位よりも高い電位を印加することで電子を放出させる工程を含む、ことが好ましい。
また、前記第2工程が、前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に、第1および第2電圧を印加する工程と、を有しており、前記第1電圧が、前記第1導電膜の電位が前記第2導電膜の電位よりも高く、前記第2電圧が前記第2導電膜の電位が前記第1導電膜の電位よりも高く、前記第1電圧の絶対値は前記第2電圧の絶対値よりも高い、ことが好ましい。
また、複数の電子放出素子を有する電子源の製造方法、あるいは、該電子源と発光体とを有する画像表示装置の製造方法においては、前記電子放出素子の製造方法が適用されることが好ましい。
また、本発明における第2の発明は、複数の行方向配線および複数の列方向配線と、電子放出部を有する第1導電膜と該第1導電膜と離れて配置された第2導電膜とを各々が含む複数の電子放出素子とを有する電子源の製造方法であって、(A)基体上に、各々が複数の第1導電膜と接続された複数の行方向配線と、各々が複数の第2導電膜と接続された複数の列方向配線と、前記第1導電膜の各々に接続するように配置された電子放出部を構成する材料と、を配置する第1工程と、(B)前記第1工程の後に、前記第2導電膜に印加する電位よりも高い電位を前記第1導電膜に印加した際に電子が放出され始める閾電界強度を、前記第1導電膜に印加する電位よりも高い電位を前記第2導電膜に印加した際に電子が放出され始める閾電界強度よりも高くするように、前記第2導電膜の各々に前記第1導電膜の電位よりも高い電位を印加する第2工程と、を有しており、前記第2工程において、前記第2導電膜の各々に印加する電位は、前記電子源の駆動時において、非選択の電子放出素子を構成する第2導電膜に印加される電位よりも高い、ことを特徴とする。
また、前記第1及び第2の発明においては、前記電子放出素子は、1×10V/cm以下の電界を前記電子放出部に印加することで電子が放出される、ことが好ましい。
また、前記第1及び第2の発明においては、前記第1導電膜と第2導電膜との距離が0.1μm以上である、ことが好ましい。
また、前記第1及び第2の発明においては、前記電子放出部を構成する材料が、カーボンファイバー、絶縁層表面にダイポール層を配置した膜、カーボンを主体として金属粒子を含有した膜、アモルファスカーボン層のいずれかである、ことが好ましい。
また、電子源と発光体とを有する画像表示装置の製造方法においては、前記本発明第2の製造方法が適用される、ことが好ましい。
また、本発明は、上記第1の製造方法により製造された電子放出素子、電子源あるいは画像表示装置の駆動方法であって、前記電子放出素子の駆動時の電圧が、前記第2電圧よりも低いことを特徴とする。
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、低電界で安定な電子放出特性を有する電子放出素子を作製することができ、駆動電圧が低く、ビーム径の制御性がよく、高効率な電子放出素子を作製することができる。また、そのような電子放出素子を、簡易な構成、製造方法で作製した場合でも、OFF時の電子放出量を抑え、良好な階調表示が可能な電子放出素子とすることが可能となる。さらにそのような製造方法により、良好な駆動特性を有する電子源を提供し、画像形成装置を形成することができる。
以下に図面を参照して、本発明を詳細に説明する。但し、下記の例における、各部材の寸法、材質、形状、その相対配置、及びそれらに伴う駆動手法、駆動電圧などは、本発明の範囲をそれらにのみに限定する趣旨のものではない。
図1は本発明が適用可能な電子放出素子の形態例の1つ(第1形態例)を示す模式図である。図1(a)は当該電子放出素子に、さらにアノード電極を加えた電子放出装置の駆動状態の断面模式図であり、図1(b)は電子放出素子の平面模式図である。図中、1は基板、2はカソード電極、3は制御電極であるところのゲート電極、4はアノード電極、5は電子放出膜、6は駆動電源、7はアノード電源である。この電子放出装置は、カソード電極2とゲート電極3の間に、ゲート電極の電位がカソード電極の電位よりも高くなるように駆動電圧Vg[V]を印加すると同時に、アノード電極4に対して、カソード電極の電位を基準にし、且つVgよりも高い電圧Va[V]を印加することにより、電子放出膜5から電子が放出され、電子放出電流Ie[A]がアノードに流れる。
本発明においては、カソード電極2と電子放出膜5とを含めて単に“第1導電膜”あるいは“電子放出部を有する第1導電膜”と呼ぶことができ、また、制御電極(ゲート電極)3と電子放出膜5とを含めて“第2導電膜”あるいは“電子放出部を有する第2導電膜”と呼ぶことができる。
また、上記第1形態例においては、第1導電膜の構造と第2導電膜の構造が同一に形成されるものである。また、ここでは、電子放出膜5とカソード電極とを別々の部材で構成したが、例えば、電子放出膜5に電子を供給しさえすれば電子を放出可能であるならば、カソード電極を省く構成を採用することもできる。この様な形態においては、第1導電膜が電子放出膜のみで構成されることになる。
また、電子放出膜5は、それ自身に電子が供給されさえすれば電子を放出可能であるものを含むだけでなく、後述する図2や図6に示す形態のように、カソード電極の表面に接続されることで電子放出膜としての機能を発現するものであっても良い。その様な場合は、電子放出膜とカソード電極とを機能の観点から明確に区別することに格段の意味はなく、単に第1導電膜が組成の異なる複数の層(膜)から構成され、第1導電膜が電子放出部を有していると理解すべきである。
第1導電膜(電子放出膜5)は、低電界で電子放出可能な電子放出膜であり、電子放出に必要なしきい電界が1×10V/cm以下(100V/μm以下)であることが望ましい。その一例としては、カーボン層が上げられる。
該カーボン層は、金属膜に比べ駆動電界(電子放出に必要な電界強度)を下げることができる。特に、カーボン層としては、図2に模式的に示すように、多数の導電性粒子8をカーボン母材10中に含んでなるカーボン層5が好ましい。該カーボン母材10の比抵抗は、導電性粒子8の比抵抗よりも高く設定される。そのため、基本的には、カーボン母材10は誘電体で構成され、導電性粒子8は導電体で構成される。望ましくは、カーボン母材10の比抵抗を導電性粒子8の比抵抗の100倍以上に設定することで、より低電界で電子放出を行うことができる。
図2の構成において用いられる導電性粒子8としては、金属粒子が好ましく用いられ、金属種としてはVIII族元素が好ましい。さらに好ましくは、炭素に対し触媒性を有する金属が好ましく、具体的には、Co、Ni、Feの中から選択された少なくとも1つの金属を含むことが好ましい。特には、Coが好ましい。Ni、Fe、Coと炭素ではバンド障壁が少ないため、電子注入における障害が少ない。また、導電性粒子8は、上記金属の単結晶を主成分とすることがより大きな放出電流密度を実現する上で好ましい。
また、図2に模式的に示す形態の場合における、カーボン母材10の抵抗率としては、1×10〜1×1014Ωcmの範囲が好ましく、1×10〜1014Ωcm以下の範囲がさらに好ましい。また、カーボン母材10中にはsp結合とsp結合の双方を有することが好ましい。特にグラファイトのミクロな構造(グラフェン)と、sp結合を含有するバンド構造とを持つカーボン層5であれば、電界集中が少なくても電子放出特性は良好である。そのため、上記カーボン母材10の中に導電性粒子8を後述する構成に配置することで、さらなる電界集中の効果を付加することができ、特に好ましい電子放出特性を実現できる。ただし、前述したように、カーボン層5自体の抵抗は高く、実質的に絶縁体として機能することは重要である。そのため、上記カーボン母材10の主成分が、例えばダイアモンドライクカーボン(DLC)等のアモルファスカーボンであると、1×10〜1×1014Ωcm程度の抵抗率を得ることができ、誘電体として機能することができるので好ましい。
図2の構成において、複数の導電性粒子8は、カーボン母材10中に必ずしも均一に分散しているわけではなく、図2に示したように、ある程度の個数からなる集合体(粒子群)9になっており、その集合体9がカーボン母材10中において離散的に配置されている。各集合体9間の間隔は、カーボン層5の平均膜厚以上離れていることが好ましい。尚、カーボン層5の平均膜厚は、カソード電極2の表面もしくは基板1の表面を基準として定義される。離れる間隔(各集合体9間の間隔)としては、具体的には、カーボン層5の平均膜厚の1倍以上であり、好ましくは1.5倍〜1000倍である。これを超える範囲になると、カーボン層5中の電子放出点密度(ESD)が、画像表示装置に要求される電子放出素子の特性を満たすことが難しくなる。
このように、各集合体9が十分に離れることにより、電子放出のためのしきい値(しきい電圧)を下げることができる。これは、集合体9同士が離れることで、各々の集合体9への電界集中を増大させる効果があるためである。尚、本発明においては、図2に示すように、各集合体9間に、集合体9を形成していない導電性粒子8が存在する場合もある。
そして、各々の集合体9を構成する複数の導電性粒子8は、カーボン層5の膜厚方向(カソード電極2側からカーボン層5の表面側に向かう方向)に、実質的に並ぶように配置していることにより、各集合体9に電界を集中させることができる。
カーボン層5の膜厚方向に並ぶ導電性粒子8の数に制限はなく、少なくとも2個以上であればよい。例えば、カーボン層5の膜厚方向に隣り合う2つの粒子が並んでいれば、この隣り合う2つの粒子の一方が他方よりもカソード電極2の表面(或いはカーボン層5の表面)に近い位置に配置されていれば良い。しかし、電子放出のためのしきい値をより低くする上で、好ましくは、カーボン層5の膜厚方向に3個以上が配置されることが好ましく、特に、カソード電極2の表面(カーボン層5の表面)に対して垂直に並んでいることが好ましい。
また、1つの集合体9内において隣り合う導電性粒子8同士は、5nm以下の範囲内に配置されることが好ましい。この範囲を超えると、電子放出のためのしきい電界(Eth)が極端に上がり始め、十分な放出電流を得ることも難しくなる。また、各集合体9において、隣り合う粒子同士は接触していても良い。粒子の平均粒径を超えて間隔があくと電界集中は起こりにくくなるため好ましくない。また、本発明のように、カーボン層5中において、例え隣り合う粒子同士が接触したとしても点接触であるので、隣り合う粒子間の抵抗は高くなる。そのため、カーボン層5の各電子放出点における、放出電流の極端な上昇を抑制することができ、電子放出を安定に行えると推測される。
また、導電性粒子8は実質的にカーボン層5中に完全に埋め込まれていることが好ましいが、一部カーボン層5の表面から露出していても良い。そのため、カーボン層5の表面凹凸は、rms(JIS規格)で、カーボン層5の平均膜厚の1/10以下であることが好ましい。この構成であればカーボン層5の表面粗さに起因する電子ビームの発散を極力抑えることができる。また、上記構成によれば、導電性粒子8の表面が真空中に存在するガスの影響を受けづらいので、安定な電子放出にも寄与していると推測される。
上記した構成の電子放出素子においては、誘電体のカーボン母材10中に、導電性粒子8による伝導経路が離散的に形成されていると推測される。そのため、部分的破壊やダメージを受けることなく良好な電子放出を実現することができる。但し、カーボン層5の全体に渡って均一に導電性粒子8が分散されると、電子放出のためのしきい電界(Eth)の値が高くなってしまう。また、各集合体9の間隔が開き過ぎるとディスプレイに用いる電子放出素子として必要な電子放出電流並びにその電子放出電流を安定に行うために必要な電子放出点密度を得ることができない。結果、安定な電子放出及び安定な表示画像を得ることができなくなってしまう。このため、カーボン層5中の導電性粒子8の密度は、1×1014〜5×1018個/cmであることが好ましく、さらには、1×1015〜5×1017個/cmであるとより低い電界での電子放出を実現することができる。また、同様の理由で、カーボン母材10の主元素に対する導電性粒子8の主元素の濃度が、0.001〜1.5atm%以下の範囲が実用範囲であるが、さらには0.05〜1atm%以下であるとより低い電界での電子放出を実現することができる。上記範囲を超えると、上述したように、電子放出のためのしきい値が高くなってしまう。また、印加する駆動電圧が高くなり、結果、放電破壊を引き起こす場合も生じてしまったり、或いは十分な電子放出点密度が得られなくなる。そのため、画像表示装置に必要な放出電流密度を確保できなくなってしまう。
ここで、上記数値範囲について説明する。集合体9がカーボン層5中に存在する数を、導電性粒子8の密度の関数として図3、図4に示す。尚、図中のXは1つの集合体9を構成する導電性粒子8の数である。
カーボン層5中の導電性粒子8の密度をP個/cm、カーボン層5の膜厚をh、導電性粒子8の平均半径をrとすると、複数の導電性粒子8から構成される領域(集合体9)のカーボン層5中における個数Eは、2rP(8rP)(h/2r−1)/cmである。図3はr=2nmの時のグラフであり、図4はr=5nmの時のグラフである。尚、ここで、rは導電性粒子8の平均粒径の半分の値を示しており、詳しくは後述するが、該平均粒径は1〜10nmが好ましい。
集合体9に電界集中が起こりうる密度で、且つ、Eを多く設定するのが好ましい。電界集中のために導電性粒子8がカーボン層5の膜厚方向に2個以上重なり、且つその個数Eが1×10個/cm以上、好ましくは1×10個/cm以上となるには、r=2nmの場合、P=1×1014個/cmを満たせば良い。また、Eが1×10個/cm以上となるには、r=5nmの場合、最低でもP=1×1014個/cmを満たせば良い。一方で、Pが5×1018個/cmを超えると、導電性粒子8が多すぎて、カーボン層5が単なる導電体となったり、集合体9への電界集中が起こりにくくなる。そのため、ESDが少なくなり電流密度も減少し、電子放出特性には好ましくない。
カーボン層5の膜厚や導電性粒子8の大きさにもよるが、導電性粒子8の大きさを数nmで制御し、カーボン層5の膜厚を数十nmとすると、おおむねPの範囲としては、1×1014個/cm≦P≦5×1018個/cmが好ましい。導電性粒子8の平均粒径(2r)が1〜10nmであり、該導電性粒子8の主元素がCoである場合、上記条件を満たすカーボン層5中のCo濃度は0.001〜1.5atm%となる。理想的にはPの範囲は、1×1015個/cm≦P≦5×1017個/cmが好ましい。例えば図3の例では、各集合体9が導電性粒子8が2個以上重なることで形成される場合、集合体9の個数Eは、1×10〜1×1010個/cm以下である。
ここで、電界集中に関して図5を用いて説明する。伝導経路の高さをh、電子放出部の半径をrとすると(2+h/r)倍となる電界集中が生じ、さらにその先のミクロな形状により、同様な電界集中因子βの電界集中が生じ、総合的にはその掛け算(2+h/r)βなる電界集中がおきる。従って、上述した形態を採用することにより、本発明の電子放出素子においては、より電子放出のしやすい電子放出膜を構成することができると考えられる。
一方、放出されるビームの形状は、カーボン層5の膜厚、導電性粒子8の大きさや形状、電界等の設計にもよるが、カーボン層5の膜厚が100nm以下の薄い膜厚の場合、非発散ビームを形成する点において好ましい範囲である。さらにこの範囲では構造的なストレスも少なく、薄膜プロセスに適している。導電性粒子8の大きさを大きくして同じ割合で膜厚が厚くなると、集合体9のお互いの距離も遠くなり、単位面積あたりの電子放出点の数が少なくなってしまう。100nm以下の薄い膜厚に対する、導電性粒子8の大きさは数nm(1〜10nm)が理想であり、カソード電極2側からカーボン層5の表面に向けて数個の導電性粒子8が配列する形態が好ましい。
さらに、カーボン層5の応力を緩和するには水素を混入させて、その応力を緩和するのがよい。例えばDLCのような炭素を主成分とした膜は硬度が硬く、応力も強い。従って、熱処理を含むプロセス適合性は必ずしも良くない。電子放出膜としては良質でも電子放出素子として、さらには電子源としてはプロセス的に不安定な場合には使用できないという課題も有り、水素による応力緩和によりプロセス製造上で安定な膜が形成できる事も重要である。このため、カーボン層5の炭素元素に対して、0.1atm%以上の水素元素を含ませることで応力緩和を起こすことができ、特に1atm%以上含ませた際にはこの緩和が強く、硬度及びヤング率を小さくすることができる。但し、炭素元素に対する水素元素の比率が20atm%を超えると電子放出特性が悪くなり始めるので、実質的な上限は20atm%である。
また、本発明に好ましく適用できる別のカーボン層5としては、図6に示すように、カソード電極2の表面にカーボン層5を配し、さらに該カーボン層5の表面にダイポール層11を形成したものが挙げられる。尚、図6において、符号1は基板を表し、符号11はダイポール層を表す。また、この形態の場合における、カーボン層5の抵抗率としては、1×10〜1×1014Ωcmの範囲が好ましく、1×10〜1×1014Ωcm以下の範囲がさらに好ましい。
尚、ここでは、ダイポール層11として、カーボン層5の表面(真空との界面)が水素で終端された形態例を示すが、本発明におけるダイポール層11を形成する材料は水素に限定されるものではない。カーボン層5の表面を終端する材料は、カソード電極2と引き出し電極(ゲート電極及び/またはアノード電極)との間に電圧を印加していない状態下において、カーボン層5の表面準位を下げるものであればよいが、好ましくは水素が用いられる。一般に水素原子13はわずかながら正に分極(δ)する。これにより、カーボン層5表面の原子(この場合は炭素原子12)はわずかながら負に分極(δ)され、ダイポール層(電気二重層)11が形成される。
上記したダイポール層11を有する第1導電膜からの電子放出原理を図7のバンド図を使用して説明する。図7(a)は、引き出し電極23に電圧を印加していない場合、図7(b)は、引出し電極23に電圧を印加した場合である。引き出し電極23とは、ゲート電極やアノード電極、または、その両者を合わせたものである。図中、2はカソード電極、5はカーボン層、23は引き出し電極、24は真空障壁、25は電子、26はダイポール層がその表面に形成された絶縁層と真空の界面である。
前述のダイポール層により、図7(a)のように、カソード電極2と引き出し電極23との間に駆動電圧が印加されていないにもかかわらず、前記絶縁層の表面には、電気二重層の電位δ[V]が印加されているのと等価の状態が形成される。
図7(b)に示すように、カソード電極2と引き出し電極23との間に駆動電圧V[V]を印加すると、カーボン層5の電位降下は進行し、これと連動して、真空障壁24も引き下げられる。駆動電圧V[V]によって、カーボン層5をトンネルできる膜厚に適宜設定する(好ましくは10nm以下)と、カソード電極2から供給された電子25の、前記カーボン層5を通りぬける空間的な距離も縮めることができ、結果、トンネル可能な状態となり、真空への電子放出が実現される。
また、カーボン層5の表面を終端する材料は、カーボン層5の表面準位を、カソード電極2と引出し電極23との間に電圧を印加していない状態下において、0.5eV以上好ましくは1eV以上引き下げるものであることが好ましい。但し、本発明の電子放出素子においては、カソード電極2と引出し電極23との間に駆動電圧を印加している時及び駆動電圧を印加していない時の両方において、カーボン層5の表面の準位は正の電子親和力を示す必要がある。
また、カーボン層5の膜厚は、駆動電圧によって決めることができるが、好ましくは20nm以下、さらに好ましくは10nm以下に設定される。また、カーボン層5の膜厚の下限としては、駆動時に、カソード電極2から供給された電子が、トンネルすべき障壁(カーボン層5と真空障壁24)を形成していれば良いが、成膜再現性などの観点から好ましくは1nm以上に設定される。
このように、本発明の電子放出素子においては、カーボン層5が常に正の電子親和力を示すことで、電子放出素子の選択時(ON時)と非選択時(OFF時)での明確な電子放出量のオン・オフの比を確保することができる。
また、さらに、図6に示す形態のカーボン層5が、図2で説明したように、導電性粒子8を配置したものであっても良い。即ち、図2に示したカーボン層5の表面に図6に示すダイポール層11形成した形態であっても良い。
次に、図8を用いて、本発明の製造工程の一例を示す。尚、本発明の製造工程の特徴の一つは、特性調整工程を含むことにある。
ここで説明する電子放出素子の作製工程では、基板上にカソード電極と制御電極を作製する工程および電子放出膜を堆積する工程を含む。工程の順番は前者と後者で逆となる場合も含む。
(工程1)
先ず予め、その表面を十分に洗浄した、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、基板表面にSiOを積層した積層体からなる基板、セラミックスなどの絶縁性基板のうち、いずれか一つを基板1として用い、基板1上に導電性膜31(カソード電極2及び制御電極3となるべき部材)を積層する。(図8(a))
導電性膜31は、蒸着法、スパッタ法等の一般的真空成膜技術により形成される。導電性膜31の材料は、例えば、Be,Mg,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Al,Cu,Ni,Cr,Au,Pt,Pd等の金属または合金材料等から適宜選択される。導電性膜31の厚さとしては、数十nmから数mmの範囲で設定され、好ましくは数百nmから数μmの範囲で選択される。
(工程2)
次いで、図8(b)に示すように導電性膜31上にカーボン層5を堆積する。
カーボン層5は、平坦性のよいことが好ましい。具体的には、表面粗さが、rmsで、カーボン層5の平均膜厚の1/10以下であることが好ましい。また、rmsの値では10nm以下、さらに望ましくは、1nm以下であることが好ましい。平坦性がいいと、先鋭化による電界増強効果がないため、一般には、しきい電界が高くなる傾向にある。そのために、既に図2や図6を用いて詳述したカーボン層5のように、放出機構を工夫した電子放出膜が有効になる。平坦性がいいと、先鋭化による電界増強効果がないため、一般には、しきい電界が高くなる傾向にある。尚、rmsは、平均線から測定曲線までの偏差の二乗を平均した値の平方根で表す、JIS規格である。
(工程3)
フォトリソグラフィー法によりカソード電極2と制御電極3を分離するため、フォトレジストマスク33にてパターニングを行う(図8(c))。
(工程4)
次いで、エッチング処理を行いカソード電極2と制御電極3を分離する(図8(d))。導電性膜31及びカーボン層5のエッチング工程は平滑であるようなエッチング面が望ましく、それぞれの材料に応じて、エッチング方法を選択すれば良い。ドライエッチングでもウエットエッチングでも構わない。
(工程5)
マスク33の除去により、図8(e)に示す形態(図1に示した形態)を形成することができる。
通常、カソード電極2と制御電極3との間の距離w(図1参照)は素子を構成する材料や抵抗値、カーボン層5の電気的特性、必要とする電子放出ビームの形状により適宜設定される。通常、wは数十nm以上、100μm以下に好ましくは設定される。
ただし、距離wを小さくすることは、素子の駆動電圧の低減に最も有効であり、数μm以下にすることが望まれる。しかしながら、距離wを小さくすると、素子の効率が低下する場合がある。これは、放出された電子の一部が、アノード電極に到達する前に、対向するゲート電極側に衝突、吸収されることによるものと考えられる。
効率の低下が顕著になるのは、駆動電圧、電極および放出材の厚さなどの形状によっても変化するが、おおむね、数百nm程度以下である。
したがって、本実施形態における好適なwは100nm以上、10μm以下である。
次に各種の後処理により、電子を出やすくする工程が付加することもできる。この処理の一例としては、アニール処理、プラズマ処理などがある。このような後処理は、図6に示したような表面終端(ダイポール層形成)を形成する場合には、特にこの段階で好ましく行われる。
(工程6)
次に、本発明の特徴である、特性調整工程を行う。
特性調整工程は、ここで示す例においては、順方向の電界を形成した際に第1導電膜側(カソード電極側)からの電子放出に必要なしきい電界(Eth_forward)が、逆方向の電界を形成した際に第2導電膜側(制御電極側)からの電子放出に必要なしきい電界(Eth_reverse)が、Eth_reverse>Eth_forwardの関係を満たす状態にする工程である。
尚、「順方向」とは、カソード電極(第1導電膜)の電位が、駆動時においてカソード電極側(第1導電膜側)から電子を引き出すための電界を作り出す電極(制御電極(第2導電膜)及び/またはアノード電極)の電位よりも低い状態を指す。また、「逆方向」とはカソード電極(第1導電膜)の電位が、駆動時においてカソード電極側(第1導電膜側)から電子を引き出すための電界を作り出す電極(制御電極(第2導電膜)及び/またはアノード電極)の電位よりも高い状態を指す。
典型的な特性調整工程の手法としては、(1)逆方向にのみ電界(電圧)を印加することで、逆方向におけるしきい電界(しきい電圧)を上昇させることにより、Eth_reverse>Eth_forwardを実現する方法と、(2)順方向および逆方向(の双方におけるしきい電界Eth(しきい電圧Vth)を上昇させると共に、Eth_reverse>Eth_forwardを実現する方法のどちらかを選択することができる。
上記(2)の手法を用いれば、駆動時における電子放出特性(電子放出させるために印加する電圧Vとその印加電圧Vに応じて放出される電流Iの相関:I−V特性)を制御することになるので、例えば、電子放出素子を多数配列した電子源や画像表示装置における、各電子放出素子の特性の均一化に応用することができる。このような均一化においては、(A)多数の電子放出素子の中で最もしきい電界の高い電子放出素子のしきい電界に、他の電子放出素子のしきい電界を合わせるようにする方法や、(B)所望のしきい電界になる様に全ての電子放出素子のしきい電界を上昇させる方法などを採用することができる。製造コストなどの点からは上記(B)の手法が簡便で好ましい。尚、上記均一化は、しきい電界を完全に合わせることを意味するものではないため、I−V特性が、駆動時において実用的に印加する電圧領域において略等しいものになればよい。
尚、本発明において、Eth_reverse>Eth_forwardを実現する方法は、このような電圧を印加する方法に限定されるものではない。
そして、しきい電界を上昇させるための、より具体的な方法の一例としては、電子放出膜5(第1導電膜及び/または第2導電膜)に最大印加電界Emaxを与える方法が挙げられる。尚、ここで言う「最大印加電界」とは、この特性調整工程以前に電子放出膜5(第1導電膜及び/または第2導電膜)に印加された電界よりも高い電界強度を意味するが、本発明においては、この特性調整工程以前に電子放出膜5(第1導電膜及び/または第2導電膜)に電界が印加されることを前提とする趣旨のものではない。また、本発明の特性調整工程は、電子放出膜5(第1導電膜及び/または第2導電膜)からの電子放出を伴うものである。
ここで、電子放出素子および電子放出装置の駆動時において、電子放出膜(第1導電膜及び/または第2導電膜)に印加される電界(順方向の電界)は、電子放出素子および電子放出装置の構造と、その駆動状態及び駆動電圧によって決定され、また、電子放出膜の位置によっても異なる。
3端子構造(カソード電極、制御電極、アノード電極を有する構造)の電子放出装置の駆動時において、電子放出膜(第1導電膜及び/または第2導電膜)に印加される電界(順方向の電界)は、大まかにはEaとEgとが指針となる。電子放出素子とアノード電極4との間に印加される平均的な電界(Eaav[V/μm])は、アノード電圧をVa[V](典型的にはカソード電極2の電位とアノード電極4の電位との差で定義される)とし、カソード電極2(或いは電子放出膜5)とアノード電極4との間の距離をH[μm]とすると、Eaav=Va/H[V/μm]と定義することができる。
また、カソード電極2と制御電極3との間に印加される平均的な電界(Egav[V/μm])は、カソード電極2と制御電極3との間に印加される電圧をVg[V]とし、カソード電極2(或いはカーボン層5)と制御電極3との間の距離をwとすると、Egav=Vg/w[V/μm]と定義することができる。
さらに電子放出素子(電子放出膜)の構造や位置によっても上記Ea及びEgは異なり、Ea=βa×Eaav、Eg=βg×Egavとなる。βa、βgは、電界増強定数であり、1以上の数値である。アノード電極4が、電子放出素子が配置されている基板と平行に配置される場合、βa≒1である。一方、βgは素子の構造によって大きく異なり、電子放出部が先鋭化されるとβgは数千倍になる場合もある。ここで説明する例のように比較的平坦な電子放出膜を使用した場合では、βgは小さくなるが、構造によっては数倍に増強される。
スピント型や表面伝導型のような電子放出素子の場合、制御電極は電子を引き出すための電極として機能するため、電子放出素子および電子放出装置の駆動時における電界強度は通常、Egav>>Eaavとなる。そして、電子放出部に印加される電界は、制御電極3とカソード電極2との間に印加される電圧で形成される電界(Eg)が支配的であり、Eaの関与はほとんどないか小さい。
電子放出素子或いは電子放出装置において、カソード電極側(第1導電膜側)から電子を引き出すために必要な電界は、3端子構造の場合(カソード電極、制御電極、アノード電極を有する電子放出装置の場合)においては、(1)カソード電極2(第1導電膜)の電位と制御電極3(第2導電膜)の電位との間で決定される場合(カソード電極側(第1導電膜側)からの電子放出が制御電極(第2導電膜)の電位で制御される場合)と、(2)カソード電極2(第1導電膜)の電位とアノード電極4の電位との間で決定される場合(カソード電極側(第1導電膜側)からの電子放出がアノード電極の電位で制御され、制御電極(第2導電膜)は電子放出量を抑制するあるいは止めるためのものである場合)と、(3)カソード電極2(第1導電膜)の電位と制御電極3(第2導電膜)の電位とアノード電極4の電位との間で決定される場合(カソード電極側(第1導電膜側)からの電子放出がアノード電極の電位及び制御電極(第2導電膜)の電位の相互作用で制御される場合)とがある。尚、本発明は3端子構造に限定されるものではない。
そのため、本発明の特性調整工程においては、前述した逆方向の電界は、上記(1)の場合においては、カソード電極の電位が制御電極の電位よりも高い状態において形成される電界を指す。また、上記(2)の場合においては、上記逆方向の電界は、カソード電極の電位がアノード電極の電位よりも高い状態において形成される電界を指す。また、上記(3)の場合においては、上記逆方向の電界は、カソード電極の電位が、アノード電極の電位および制御電極の電位よりも高い状態において形成される電界を指す。
即ち、本発明の特性調整工程においては、少なくとも、上記逆方向の電界を制御電極側(第2導電膜)に印加するものである。そして、また、制御電極に電子放出膜が配置されている、あるいは、製造工程において配置される可能性がある場合に、制御電極側(第2導電膜)に上記逆方向の電界を印加するものである。尚、逆方向の電界は、最も単純な場合は、駆動時において制御電極側に印加されうる最大の電界強度下において形成される電界と、相似形の電界を指す。尚、相似形とは完全な相似な状態を指すものではない。多少電界ベクトルが異なっていても良い。
この工程により、制御電極側(第2導電膜側)からの電子放出に必要な電界強度(Eth_reverse)を上昇させることができ、結果、駆動時における、電圧の印加方法の選択肢を広げることができる。また、電子源や画像表示装置においては、非選択の電子放出素子からの電子放出を抑制でき、また、選択した電子放出素子からの電子放出量の精度の高い制御が行えるので、クロストークや表示品位の低下を抑制することができる。
そのため、駆動時において形成される可能性のある逆方向の電界下において、制御電極側(第2導電膜側)から電子が放出されないようにすることが好ましい。つまり、上記逆方向の電界を印加するに際しては、第2導電膜(制御電極側)からの電子放出に必要なしきい電界(Eth_reverse)を、駆動時に印加されてしまう程度の逆方向の電界よりも高い状態に、シフトさせることが好ましい。このようにすることで、駆動時に制御電極側からの意図しない電子放出を無くすことができる。
また、この特性調整工程においては、上記Eth_reverseを上昇させることに加えて、順方向の電界を、第1導電膜(カソード電極側の電子放出膜)に印加することで、駆動時において第1導電膜側からの電子放出に必要なしきい電界(Eth_forward)を調整することが好ましい。この様にすれば、電子放出素子(電子源)作成時において電子放出素子毎に生じる第1導電膜側からの電子放出に必要なしきい電界のばらつきを低減することができる。尚、順方向の電界は、最も単純な場合は、駆動時においてカソード電極側(第1導電膜側)から電子を引き出すために形成される電界と、相似形の電界を指す。また、駆動時の電子放出特性の安定性および再現性を確保するためにも、上記Eth_forwardの調整において印加される順方向の電界は、前記相似形の電界であって、且つ、駆動時の電界強度よりも高い電界強度であることが好ましい。尚、相似形とは完全な相似な状態を指すものではない。多少電界ベクトルが異なっていても良い。
また、上記特性調整工程は、実効的には、第2導電膜(制御電極側)からの電子放出(及び第1導電膜(カソード電極側)からの電子放出)を伴うので、第2導電膜(及び第1導電膜)に電流を放出させる工程(最大電流Imaxを放出させる工程)と換言することもできる。
またさらに、上記特性調整工程は、実効的には、第2導電膜(制御電極側)からの電子放出(及び第1導電膜(カソード電極側)からの電子放出)をさせるために、電子放出素子または電子放出装置を構成する電極間に電圧を印加する工程(最大電圧Vmaxを印加する工程)と見なすことができる。制御性の観点からは、電圧を基準にして上記特性調整工程を行う場合が、最も簡易なので最も好ましい。尚、上記特性調整工程を電圧値で制御する場合には、駆動時におけるカソード電極と、第1導電側から電子を引き出すための電界を作り出す電極(制御電極および/またはアノード電極)との相対配置と同じ状態で行うことが好ましい。そのため、少なくとも、カソード電極と制御電極の相対配置を、駆動時の相対配置と同様の状態で行うことが好ましい。また、駆動時における各電極の相対配置と違う配置で、上記特性調整工程を電圧値で制御する場合には、前述した駆動時における順方向電界および/或いは逆方向電界に相似な電界をつくり出すような電圧を、電極間(カソード電極と制御電極(及びアノード電極))に印加することが好ましい。
上記した工程(1)〜(5)を経た段階では構造上対称性であっても、上記特性調整工程により、簡便に、実効的な非対称構造とすることができる。また、上記した工程(1)〜(5)に、さらに、なんらかのパターニング工程など(電子放出膜をカソード電極側だけに形成するようにするなど)を付加することで構造上すでに非対称性のあるものに対しては、本工程により、残渣などによる意図しない電子放出材の制御電極への付着などが起こっても、非対称性を確実に実現することができる。非対称性は、電気特性に現れるものであり、外見上は微視的にも検知できない程の微小な変化である場合もあると考えられる。
次に、図9、図10を用いて、本発明の特徴である、電圧値を基準として「特性調整工程」を行う場合の具体例を説明する。
図9(a)、(b)は最大電圧Vmaxを、カソード電極と制御電極間に印加する場合における、本発明の特性調整工程の一例である。
また図9(c)は、特性調整工程を終えた後の電子放出装置の駆動方法の一例である。
図9(a)、図9(b)では、一定のアノード電圧Va[V]をアノード電極4に与えた状況下で、カソード電極2と制御電極3との間に、順方向の電圧Vg[V]を、Vgまで徐々に上昇させ、さらに逆方向の電圧を、−Vg[V]を、−Vgを超え−Vg3まで徐々に上昇させる。
図9(a)は工程をDC電圧で行う例であり、図9(b)はパルス電圧で行う例である。また、図9(a)は、順方向を印加後に逆方向を印加する例であり、図9(b)は、順方向と逆方向を交互に印加する例でもある。
図9(c)は、上記特性調整を終えた電子放出素子をパルス幅変調により駆動する例であり、一定のアノード電圧Vaをアノード電極4に与えた状態下で、カソード電極2と制御電極3間にパルス電圧Vgを変調電圧として駆動する例である。
パルス電圧を印加して駆動する場合は、好ましくは、Vmaxを与える工程で用いたパルス条件より、短いパルス幅或いは、小さいデューティー(パルス幅/パルス周期)とすることが望ましい。特性調整工程に要する時間は、数msec〜数分であって、カーボン層5の種類により幅があり、適宜決定される。
このように、特性調整工程を終えた電子放出素子あるいは電子放出装置においては、特性調整工程において印加した最大電圧以下の電圧で駆動することが好ましい。特性調整工程で印加した電圧以下で駆動することにより、特性調整工程で調整した電子放出特性(I−V特性)を維持することができる。上記具体例のように、特性調整工程で印加したパルス条件より、短いパルス幅或いは、小さいデューティー(パルス幅/パルス周期)とすることが望ましい。
図10は、上記した本発明の特性調整工程の過程および、特性調整工程を経た電子放出素子の電気特性を示すグラフである。
最大電圧Vmaxを与える工程における、アノード電圧Vaを印加した状態での、カソード電極2と制御電極3間の電圧Vgに対する放出電流Ieの特性の変化を示す図である。
なお、制御電極側に正電位を与えるのが順方向であり、カソード電極側に正電位を与えるのが逆方向である。電気特性の図においては、カソード電極の電位を固定し、制御電極に正電位を与えるのが順方向(forward)、負電位を与えるのが逆方向(reverse)として示している。
まず、順方向の電気特性の変化について説明する。
実線36はカソード電極2と制御電極3間の印加電圧をVgまで上昇させた後に一度0[V]まで下げた後に再びVgまで上昇させた際の電気特性である。実線37は駆動電圧をVgまで上昇させた後に一度0[V]まで下げた後に再びVgまで上昇させた際の電気特性である。電子放出のために必要なしきい電圧Vth_f1は、Vth_f2に上昇し、そのIeの量は異なっている。尚、破線は0[V]からVgまで一度も電圧を下げずに上昇させた場合における、印加電圧に対する放出電流値をプロットしたものである。
また、図10において、一度Vgを印加した後に、0[V]まで下げた後(特性調整工程を終えた後)に、駆動電圧をVgまで印加した後のVgまでの電気特性は、図10の実線37と実質的に同じ曲線をたどる。また、以後、0[V]からVgまで電圧を変化させても当該電気特性は実質的に変化しない。
このような特性調整で、電子放出素子の電気特性が安定し、しきい電界が高くなる理由は、製造工程直後に存在していた、低電界で電子放出し得るような不安定な電子放出点が本工程により消滅し、放出電流が安定化することによるものと推定される。それを裏づけることとしては、電気特性測定中に放出点の観察を行うと、実線36と実線37とでは、放出点像が異なり、一旦実線37の工程を経た後は、放出点像は変化しない。
このような電気特性を安定化する工程を、特性調整機能と考えることができる。すなわち、所望の放出電流が得られるように、電子放出膜の電気特性を調整し、いったん調整した後は、その状態で安定させる工程である。
次に、逆方向の電気特性の変化について説明する。
第1形態例においては、第2導電膜側(制御電極側)と第1導電膜側(カソード電極側)が対称な構造であることから、初期の電気特性および、同様の電圧を印加した場合の変化は、前述の順方向の場合とまったく同様の変化を伴うものと考えられる。
ただし、電子電流Ieが観測されるのは、制御電極側からの電子放出である。したがって、順方向でのIeと逆方向でのIeに寄与している放出点はまったく異なったものである。
したがって、電子がアノード電極に向かうのは同じであるが、その到達点はまったく異なっている。
図10に示すように、実線38はカソード電極2と制御電極3間の印加電圧を−Vgまで上昇させた後に一度0[V]まで下げた後に再び−Vgまで上昇させた際の電気特性であり、実線39は駆動電圧を−Vgまで上昇させた後に一度0[V]まで下げた後に再び−Vgまで上昇させた際の電気特性である。電子放出のために必要なしきい電圧VthはVth_r1からVth_r2まで上昇し、そのIeの量も異なっている。尚、破線は0[V]から−Vgまで一度も電圧を下げずに上昇させた場合における、印加電圧に対する放出電流値をプロットしたものである。
また、図10において、一度−Vgを印加した後に、0[V]まで下げた後(特性調整工程を終えた後)に、駆動電圧を−Vgまで印加した後のVgまでの電気特性は、図10の実線39と実質的に同じ曲線をたどる。
さらに、同様の手順で、さらに逆方向電圧を上昇させる。−Vg3まで上げたときには、しきい電圧はVth_r3となる、電気特性は、実線40になる。
このように、逆方向にも、駆動前に最大印加電圧Vmaxであって、且つ順方向より大きい電圧を印加することにより、第2導電膜側の電子放出に必要なしきい電界Eth_rを、第1導電膜側の電子放出に必要なしきい電界Eth_fよりも大きく上昇させることができ、その結果、電気特性を非対称とすることができる。
以上説明したように、本発明によれば、作製時に対称構造として工程を簡素化した場合に、特性調整工程により電子放出特性の非対称性を発現できる。ここで説明した特性調整工程は、電気的な手法であり、電子放出部への本工程の悪影響はない、もしくは小さく、したがって、安定な電気特性が得られる。
そして、本発明においては、この特性調整工程を行った後で、電子放出素子を駆動する(電子を放出させる)際には、上記順方向での特性調整工程における放出電流の最大値(実効的には、上記特性調整工程において電子を放出させる際に順方向に印加した最大の電界強度、または、特性調整工程において電子を放出させる際に順方向に印加した最大の電圧)を超えないようにして駆動するのが望ましい。この様に駆動することにより、上記特性調整工程で得たI−V特性を維持することができる。但し、ここで言う「特性調整工程で得たI−V特性の維持」とは、経時的な電子放出素子のI−V特性の劣化を起こさないことを意味するものではない。
次に、逆方向の最大印加電圧と駆動電圧との関係について説明する。
また、図10に、さらに、逆方向の最大印加電圧を増大し、−Vg4まで大きくした場合についてあわせて示した。逆方向のしきい電圧はVth_r4までさらに上昇している。
図11は本工程での製造方法を示す。
図11(a)に特性調整時、図11(b)に駆動時の一例を示す。
図11(a)の特性調整工程後においては、しきい電圧はVth_r4は、順方向の駆動電圧Vg2よりも大きくなっている。したがって、絶対値の同じで逆方向の電圧である−Vg2では電子放出は十分に抑制されている。
したがって、図11(b)に示すような駆動が可能となる。これは、OFF時の電圧を駆動電圧と同じ絶対値であり符号が異なるだけの駆動である。本駆動方法は、駆動回路を簡易にすることができる可能性がある。
また、本方法でも、図9(c)の駆動方法が可能なのはいうまでもない。そして、図9(c)の駆動においても、特性調整において逆方向の最大印加電界を大きく、逆方向のしきい電界Eth_rを大きくしておくことは、駆動時におけるスパイク状のノイズなどに対しても安定させることができるために好ましい。
また、本方法の好ましい最大印加電界の印加手法について説明する。
本発明での特性調整工程においては、電圧印加の際には引き出し電極(制御電極又は/及びアノード電極)によって、電子が放出される。特に、逆方向には、順方向より高い電圧が印加されるため、特性調整工程中には、駆動時よりも大きな電流が、制御電極側から放出されることになる。したがって、特性調整工程においては、当該工程中に流れる電流により、電子放出素子が破壊されないことが必要となる。
そのためには、特性調整工程においても、電子線励起によるアノード材からの放出ガスで放電等が起きないことが重要である。そのためには、適当な真空度を維持することは重要である。
また、特性調整工程において、パルス波高値を所望の値にして一定時間固定する方法も考えられるが、印加電圧は、徐々に波高値を上昇することが望まれる。また、場合によっては、真空度、その他をモニタリングしながら、電圧値の上昇を帰還するなどの考慮も必要である。
したがって、むやみに、逆方向電圧を大きくすることも好ましくない。
前述で示したように、駆動時に必要となるオン・オフ比を保てる程度の電圧を印加すること望ましい。
また、特性調整工程において、アノード電極の電圧印加は必ずしも必要ではないが、アノード電極と制御電極の両者へ電圧を印加することがより望ましい。これは、特にアノード電極による電界の影響が大きい場合に顕著である。
アノード電極に電圧を印加しない場合、(カソード電極と制御電極だけに電圧を印加する場合)、放出された電子は駆動時とは異なる電界分布を受ける。放出電子の一部はそれぞれ対極した電極側にむかうと考えられる。
逆方向に電圧を印加した場合は、制御電極側から放出された電子は、カソード電極側に向かうことになる。カソード電極側に衝突した電子の一部は、吸収されると熱に変換されると考えられる。この電子の衝突や、発生する熱は、カソード電極側の電子放出膜に悪影響を及ぼす可能性がある。これは、電子放出特性の変化につながる可能性がある。
したがって、特性調整工程においては、駆動時と同様の電界分布とすることが望ましい。
したがって、電子放出素子を適用する電子放出装置が、3端子構造(アノード電極とカソード電極とゲート電極の3つの電極を有する)の場合には、実際に当該装置を駆動する際における、上記3つの電極の互いの相対配置と同じ相対配置下で、上記特性調整を行うことが好ましい。このことは、4端子構造の電子放出装置においても同様である。
次に本発明を適用した電子放出素子の応用例について以下に述べる。本発明の電子放出素子の複数個を基体上に配列し、例えば電子源、或いは画像表示装置などの電子放出装置が構成できる。
電子放出素子の配列については、種々のものを採用することができる。一例として、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子を構成するカソード電極2或いは制御電極3の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配された複数の電子放出素子を構成するカソード電極2或いは制御電極3の他方を、Y方向の配線に共通に接続する、いわゆるマトリクス配置がある。
以下、本発明を適用可能な電子放出素子を複数配して得られるマトリクス配置の電子源について、図12を用いて説明する。図12において、41は電子源基体、42はX方向配線、43はY方向配線である。44は本発明による電子放出素子である。
m本のX方向配線42は、Dx,Dx,…Dxからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等を用いて形成された金属等で構成することができる。配線の材料、膜厚、幅は、適宜設計される。Y方向配線43は、Dy,Dy,…Dyのn本の配線よりなり、X方向配線42と同様に形成される。これらm本のX方向配線42とn本のY方向配線43との間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を電気的に分離している(m,nは、共に正の整数)。
不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO等で構成される。例えば、X方向配線42を形成した基体41の全面或いは一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配線42とY方向配線43の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線42とY方向配線43は、それぞれ外部端子として引き出されている。
電子放出素子44を構成するカソード電極2、制御電極3は、m本のX方向配線42とn本のY方向配線73とによって電気的に接続されている。
カソード電極2、制御電極3を構成する材料と配線材料が同一である場合には、配線42,43はそれぞれカソード電極配線、制御電極配線ということもできる。
X方向配線42には、X方向に配列した電子放出素子44の行を選択するための走査信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方向配線43には、Y方向に配列した電子放出素子44の各列を入力信号に応じて、変調するための不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出素子44に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給される。尚、ここでは、制御電極3に走査信号を印加し、カソード電極2に変調信号を印加した例を示したが、制御電極3に変調信号を、カソード電極2に走査信号を印加する形態であってもよい。
上記構成においては、単純なマトリクス配線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とすることができる。このような単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した画像表示装置について、図13を用いて説明する。図13は、本発明の画像表示装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
図13において、41は電子放出素子を複数配した電子源基体、51は電子源基体41を固定したリアプレート、56はガラス基体53の内面に画像形成部材である蛍光体としての蛍光膜54とメタルバック55等が形成されたフェースプレートである。52は支持枠であり、支持枠52には、リアプレート51、フェースプレート56がフリットガラス等を用いて接続されている。57は外囲器であり、例えば大気中或いは、窒素中で、400〜500℃の温度範囲で10分以上焼成することで、封着して構成される。
外囲器57は、上述の如く、フェースプレート56、支持枠52、リアプレート51で構成される。リアプレート51は主に基体41の強度を補強する目的で設けられるため、基体41自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート51は不要とすることができる。即ち、基体41に直接支持枠52を封着し、フェースプレート56、支持枠52及び基体41で外囲器57を構成しても良い。一方、フェースプレート46、リアプレート51間に、スペーサーとよばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度をもつ外囲器57を構成することもできる。
次に、封着工程を施した外囲器(パネル)を封止する。
封止工程は、外囲器(パネル)57を加熱しながら、排気装置により排気管(不図示)を通じて排気し、外囲器内部を排気した後、排気管を封じきることによって行われる。外囲器57の封止後の圧力を維持するために、ゲッター処理を行うこともできる。ゲッターはBa等の蒸発型や、非蒸発型を用いることできる。また、ここでは、封着後に排気管を封止する方法を示したが、真空チャンバー中で封着工程を行えば、上記封止工程を封着工程後に別途設ける必要がなくなる。
以上の工程によって製造されたマトリクス配置の電子源を用いて構成した画像表示装置は、各電子放出素子に、容器外端子Dx〜Dx、Dy〜Dyを介して電圧を印加することにより、所望の電子放出素子から電子を放出させることができる。また、高圧端子58を介してメタルバック55、或いは透明電極(不図示)に高圧Vaを印加して、電子ビームを加速する。加速された電子は、蛍光膜54に衝突し、発光が生じて画像が形成される。
本発明による画像表示装置は、テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光プリンターとしての画像表示装置等としても用いることができる。
本発明による画像表示装置でも、実際の駆動の前に、前述した特性調整工程を行うことにより、安定した駆動ができる。特性調整工程は、電子源基板作製後に、該基板と特性調整工程専用のアノード基板を介して電界を印加してもよいし、封着工程を施した後の外囲器(パネル)の状態で行ってもよい。しかしながら、好ましくは、封着工程後に特性調整工程を行う。
また、電子放出装置を構成する各電極の相対位置と同じ相対位置において、特性調整工程を行う例を示したが、本発明は上記相対位置に限定されるものではない。即ち、例えば、電子放出装置を構成する各電極の相対位置を考慮した上で、実際に当該装置を駆動する際に、カソード電極側(制御電極側)に印加される電界強度よりも高い電界強度を該カソード電極側(制御電極側)に印加すればよい。そのため、パネルの封着工程の前に上記特性調整工程を行う場合において、例えばアノード電極4を、封着工程後のアノード電極4の位置よりも、リアプレートから遠ざける代わりに、アノード電極4の電圧を上げることでEmaxの印加を実現することもできる。
さらに、上記した特性調整工程を利用して、作成工程時などにおいて生じた個々の電子放出素子のI−V特性のばらつきの低減に適用することもできる。
即ち、特性調整工程において、個々の電子放出素子が、実質的に同一のIe(電子放出電流)及びまたはIf(カソード電極とゲート電極間を流れる電流)となるように、個々の電子放出素子の特性を変化させることができる。この方法により、個々の電子放出特性をそろえることができ、作製時のばらつきがあっても、ディスプレイなどの表示画像の均一性を向上させることができる。
図14に単純マトリクス構造での電子源の駆動方法の一例について説明する。
線順次走査でパルス幅変調を行う場合の駆動方法として説明する。説明を簡略にするために、走査側配線は、ON状態とOFF状態の2状態とし、信号側配線も、ON状態とOFF状態の2状態とし、代表となる4状態を示した。
走査側がON状態では、Vsを印加し、OFF状態ではVnsを印加する。一方、信号側は、ON状態では、Vmを印加し、OFF状態ではVnmを印加する。
走査側、信号側が、両方ON状態が、選択時(ON時)であり、各電子放出素子には、(Vm−Vs)の電圧が印加される。これが駆動電圧となる。また、両方がOFF状態では、非選択時(OFF時)、であり、各電子放出素子には、(Vnm−Vns)の電圧となる。走査側、信号側のどちらか片側がOFF状態である場合は、各電子放出素子には、(Vm−Vns)もしくは、(Vnm―Vs)の電圧となる。この場合も、非選択時(OFF時)になる必要がある。ただし、片側がOFF状態である場合は、半選択時と呼び、非選択である場合と区別する。
図14(a)、図14(b)は、駆動方法の一例である。
図14(a)は、半選択電圧を、順方向の駆動電圧の約半分とする例である。この駆動方式は、駆動状態において、非選択時にも、半選択時にも、逆方向電界が各電子放出素子にかからないため、本発明における製造工程をとらなくても駆動可能である。ただし、半選択時にもOFF時とするためには、順方向のしきい電圧はVth_f>半選択電圧となる必要がある。
一方、図14(b)は、別の駆動方法である。半選択時は、電位0(電圧0)であり、通常の場合は、容易にOFFとなる。一方、非選択時は、駆動電圧と同じ量の電圧が逆方向に印加される。したがって、本発明の作製方法をとらない対称構造の電子放出素子では実現できない駆動方法である。本発明における作製方法で本駆動を可能とするためには、すなわち、非選択時にOFFとするためには、逆方向のしきい電圧をVth_r>駆動電圧とする必要がある。
このような駆動は、前述の図11で説明したような、逆方向の特性調整工程を施した製造方法を利用すれば可能となる。
電子源をマトリクス駆動する場合のオン・オフ比と、画像表示装置の階調表示について説明する。
階調表示は、電子源の駆動のパルス波形の電圧振幅を変調するか、パルス幅を変調するか、あるいは、両者を組み合わせることによって行われる。すなわち、パルス波形によって投入される、電荷の総量を変化させることによって行われる。
オン・オフ比とは、単純には、最大電荷量を与えた場合(オン時)の電荷量と、半選択あるいは非選択時(オフ時)に与えられるパルスにおける電荷量の比で与えられる。
画像表示装置を考えた場合は、さらにオン状態とオフ状態で駆動した場合に、それぞれ発光される蛍光体の輝度の比が、オン・オフ比に応じた輝度の比(コントラスト)となる。当然オン・オフ比が大きい程、コントラストの高い画像形成装置となる。
さらに階調表示を考えると、コントラストが高い程、その分割数は大きくでき、階調表示に有利となる。
画像形成装置のコントラストは、100:1以上、望ましくは、1000:1以上であり、その際に必要な電子源のオン・オフ比は、1000:1以上、望ましくは、10000:1以上となる。
図15に本発明が好ましく適用可能な電子放出素子の第2形態例を示す。
図15(a)は駆動状態の電子放出素子の断面模式図、図15(b)は電子放出素子の平面模式図である。図中、1は基板、2はカソード電極、3は制御電極、4はアノード電極、5は電子放出膜、6は駆動電源、7はアノード電源、61は絶縁層、65は開口である。電子放出素子としては、カソード電極2と制御電極3の間に駆動電圧Vg[V]を印加すると同時に、アノード電極4にVgよりも高い電圧Va[V]を印加することにより、第1導電膜側(電子放出膜5)から電子が放出され、電子放出電流Ie[A]が流れる。
本発明における第2形態例は、電子放出素子のゲート電極と制御電極とは非対称に形成されるものである。しかしながら、電子放出膜5を構成する材料がゲート電極にも形成されるもの、あるいは、不容易に電子放出材がゲ制御電極にも形成されてしなう場合がある。
本発明における第2形態例の製造工程も、第1形態例と同様に電子放出素子を作製する工程と、特性調整工程とを含む。
第2形態例においては、特性調整工程は、非対称性の拡大を行うものである。
図16に、本発明に好適な図2の形態の電子放出素子を例に挙げて電子放出素子を作製する工程の一例を示す。
(工程1)
先ず予め、その表面を十分に洗浄した、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、基板表面にSiOを積層した積層体からなる基板、セラミックスの絶縁性基板のうち、いずれか一つを基板1として用い、基板1上にカソード電極2、絶縁層61、制御電極3を積層する(図16(a))。
カソード電極2、および制御電極3は、蒸着法、スパッタ法等の一般的真空成膜技術により形成することができる。カソード電極2、および制御電極3の材料は、例えば、Be,Mg,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Al,Cu,Ni,Cr,Au,Pt,Pd等の金属または合金材料等から適宜選択される。カソード電極2、および制御電極3の厚さとしては、数十nmから数mmの範囲で設定され、好ましくは数百nmから数μmの範囲で選択される。
絶縁層61は、スパッタ法等の一般的な真空成膜法、CVD法、真空蒸着法で形成される。その厚さとしては、カソード電極2―ゲート電極3間距離が電子放出特性の電気特性を決定するしきい電界と関連するため、必要な電子放出特性に適した厚さが選ばれる。通常、数nmから数百μmの範囲で設定されるが、好ましくは数百nmから数μmの範囲から選択される。望ましい材料としてはSiO,SiN,Al,CaFなどの高電界に絶えられる耐圧の高い材料が望ましい。
(工程2)
フォトリソグラフィー法によりフォトレジストマスク63にてパターニングを行う(図16(b))。
(工程3)
次いで、エッチング処理を行い開口65を形成する(図16(c))。制御電極3、絶縁層61、カソード電極2のエッチング工程は平滑であるようなエッチング面が望ましく、それぞれの材料に応じて、エッチング方法を選択すれば良い。ドライエッチングでもウエットエッチングでも構わない。
(工程4)
マスク33の除去により、図16(e)に示す形態(図15に示した形態)の電子放出素子を形成することができる。
通常、開口幅wは素子を構成する材料や抵抗値、必要とする電子放出ビームの形状により適宜設定される。通常、wは数百nm以上、100μm以下に好ましくは設定される。
(工程5)
次いで、カーボン層5を堆積する。
カーボン層5は、図16(e)のように、堆積したい領域に開口を有するマスク64を介して、図16(f)で示すように堆積される。
カーボン層5は、第1形態例で説明したものと同様に低電界で電子放出する材料、構成が好ましい。
最後に各種の後処理により、電子を出やすくする工程が付加することもできる。後処理の一例としては、アニール処理、プラズマ処理などがある。このような後処理は、図6に示したような表面終端(ダイポール層形成)を形成する場合には、特にこの段階で好ましく行われる。
(工程6)
次に、本発明の特徴である、特性調整工程を行う。
本工程では、第1形態例で説明した特性調整工程における、逆方向の電界を印加し、それにより図17で示すような電気特性の変化が起こる。
第2形態例では、構造上の非対称性により、初期状態ですでに、順方向に比べ、逆方向のしきい電界は初期において高くなっている(図17中破線で示す)。しかしながら、逆方向のしきい電界は、順方向の駆動電界に比べ、その絶対値がまだ小さい。したがって、前述の図11(b)で示す駆動を行うと、非選択状態(OFF状態)で電子が放出される構成になっている。
本発明における特性調整工程を行うことで、逆方向のしきい電界は、さらに上昇して、絶対値で駆動電界を越え図17に実線で示す曲線とすることができる。それにより図11(b)の駆動も可能となる。
本発明において、逆方向で観測される電流Ieは、ゲート電極上に堆積された電子放出材からの電子放出である。しかしながら、特性調整工程を行うことによって、ゲート電極に引き続いた電子放出材があっても、その電子放出材からの電子放出は、駆動状態においては、抑制された状態をとることができる。
以上説明したように、本発明における第2形態例においては、電子放出膜の形成工程を後にしても、かつ、レジストマスクの剥離工程のような溶液内に電子放出膜を接触させることがない工程をとることができる。その際、ゲート電極付近に堆積された電子放出膜を構成する材料があっても、良好な電子放出特性が得られる。
尚、上記第2形態態例の電子放出素子においても、第1形態例において説明した順方向の特性調整工程を行うことで、電子放出素子の電子放出特性を制御できる。また、電子源や画像表示装置において、各電子放出素子のI−V特性のばらつきを低減することもできる。また、電子源や画像表示装置などの構成についても、第1形態例で説明した構成における電子放出素子の形態を置換するだけで転用することができる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
[実施例1]
図8、図9で示す作製方法による実施例を示す。
なお、電子放出材は、図6に示したダイポール層11を有するカーボン層5を有する電子放出素子を作製した。
(工程1)
先ず、基板1に石英ガラスを用い、十分洗浄を行った後、スパッタ法によりカソード電極2及びゲート電極3となる導電性膜31として厚さ100nmのTiNを成膜した(図8(a))。
(工程2)
スパッタ法により、カーボン層5を膜厚4nm程度堆積した。ターゲットとしては、グラファイトを用い、アルゴン雰囲気中で成膜を行った。本カーボン層5は、抵抗率が1×1011Ω・cmであった。(図8(b))。
(工程3)
レジストマスク33をフォトリソグラフィー法を用いて膜厚1μmで作製した。(図8(c))wは1μmとした。
(工程4)
次に、カーボン層とTiN電極とを連続してドライエッチングした。尚、TiN電極を完全にエッチングするために石英ガラス基板も多少エッチングされる条件を選択した(図8(d))。
(工程5)
次に、レジストマスク33を剥離液を用いて除去した。(図8(f))。
さらに、カーボン層5を、熱処理炉34の中で、下記に示す条件により、メタンと水素の混合ガス雰囲気で熱処理した。
熱処理温度:600℃
加熱方式:ランプ加熱
処理時間:60分
混合ガス比:メタン/水素=15/6
熱処理時圧力:6KPa
この工程により、カーボン層5表面に、ダイポール層11を形成した。この状態でのカーボン層5の表面は、非常に平坦であり、rms=0.2nm(膜のみをSi基板に堆積させ、熱処理行った場合に測定)であった。
(工程6)
本構成の電子放出素子を、真空チャンバ内に配置した。このときアノード電極4はITO電極上に蛍光体を配置したものとし、Hは3mmに配置した。
続いて、図9(b)の工程により順方向および逆方向に素子に最大印加電圧を印加した。
本実施例においては同様に最大印加電界を与える工程ではVa、Vgの両者ともにかけて行った。
Vaは5kVとし、Vgのパルスは、パルス幅1msec、繰り返し500Hz、デューティー50%とし、Vg1は18V、Vgは25V、Vg3は32Vとした。
これにより、電子放出に必要なしきい値は、Vth_f1=−Vth_r1=8V、Vth_f2=―Vth_r2=13Vに上昇した。また、Vth_r3=−16Vになった。
すなわち、特性調整工程終了後には、Vth_f=13Vに、Vth_r=−16Vになっている。
さらに、真空チャンバ内で同様の配置で、本素子をV=13V〜25Vでアナログ電圧変調したが、パルス波高値に応じた輝度が得られた。また、25V/13Vでのオン・オフ比は500:1以上となり、良好なコントラストが得られた。
本素子では、平坦性が高いが、低しきい電界で放出する素子となっており、本実施例のカーボン層5の駆動時(電子放出時)に必要な電界は、15V/μmである。
本実施例に示すように、素子形状が対称で簡易な構成であるにもかかわらず、低電界で電子放出可能で、安定な駆動が可能な電子放出素子が作製可能であった。
[実施例2]
次に、実施例2として、図2で示すカーボン膜を利用した例を示す。
(工程1)
実施例1と同様とした。
(工程2)
次いでHFCVD法によりカーボン層5としてDLC膜を30nm程度堆積した。DLC膜は、抵抗率が1×1012Ω・cmと高い膜であった。成長条件を以下に示す。
ガス:CH
基板バイアス:−50V
ガス圧:267mPa
基板温度:室温
フィラメント:タングステン
フィラメント温度:2100℃
次いでイオン注入法でコバルトを25keV、ドーズ量3×1016個/cmでカーボン層5内に注入した。
(工程3)〜(工程5)
実施例1と同じとした。ただし、ドライエッチング条件は、カーボン膜の膜厚にあわせて調整した。
次に、アセチレン0.1%雰囲気(99.9%水素)中で550℃、60分間ランプ加熱で熱処理を行った。これにより、本実施例の電子放出素子を完成させた。
本例のカーボン層5の表面も、非常に平坦であり、rms=0.5nm(膜のみをSi基板に堆積させ処理行った場合に測定)であった。
(工程6)
本構成の電子放出素子を、実施例1と同様に、真空チャンバ内に配置した。このとき実施例1と同様にアノード電極4はITO電極上に蛍光体を配置したものとし、Hは2mmに配置した。
続いて、図9(b)の工程により素子に最大印加電圧を印加した。Vaは10kVとし、Vgのパルスは、パルス幅5msec、繰り返し40Hz、デューティー20%とした。Vg1は20V、Vgは30V、Vg3は45Vとした。
これにより、電子放出に必要なしきい値は、Vth_f1=−Vth_r1=10V、Vth_f2=―Vth_r2=18Vに上昇した。また、Vth_r3=−25Vになった。
すなわち、特性調整工程終了後には、Vth_f=18Vに、Vth_r=−25Vになっている。
さらに、真空チャンバ内で同様の配置で、駆動電圧35Vで図11(c)で示すパルス幅変調を行った。このとき、アノード電極4である蛍光体は、パルス幅に応じた輝度が得られた。また、35V/0Vでのオン・オフ比は1000:1以上となり、良好なコントラストが得られた。
本実施例の電子放出素子は、カーボン層5の平坦性が高いが、低しきい電界で放出する素子となっており、駆動時に必要な電界は、20V/μmであった。
本実施例においても、実施例1と同様の良好な電子放出素子が駆動できた。
本実施例において、DLC膜中に注入したコバルト粒子は、(工程5)のガス中でのアニール処理によって凝集し、カーボン層5内に結晶構造のコバルトが部分的に形成されている。その結果、コバルト粒子の集合体9がカーボン層5中に部分的に形成される。尚、DLC膜もアニール処理によって、成膜時のDLC膜とは、状態が変化している。TEMで観察すると、部分的にはグラファイト化している部分もある。
このコバルト粒子の集合体は、部分的に導電性を高めている。従って、コバルト粒子周辺では、その他の部分に比べて、電子が表面に到達しやすい。また、このコバルト粒子の集合体は、DLC膜との誘電率の差で、その頂点に電界が集中しやすい構造となっており、全体的は電子放出しやすい構造になっている。
本実施例においても、実施例1と同様に、平坦性のよい電子放出膜からの安定した電子放出が行われた。
また、本実施例のカーボン層では、離散的な電子放出点が得られる。しかし、放出点密度は注入されるコバルトの濃度、形成されたコバルト粒子のサイズに依存して決定できる。
本実施例では、導電性粒子をコバルトで示したが、他の金属粒子を用いることができ、また、母材もDLC膜に限定されるものではない。
[実施例3]
図15に模式的に示した構成の電子放出素子を作製した。
(工程1)
まず、基板1に石英ガラスを用い、十分洗浄を行った後スパッタ法によりカソード電極2として厚さ500nmのTaを形成した。
(工程2)
次に、絶縁層61として厚さ(h)=1μmのSiO、ゲート電極3として厚さ100nmのTaをこの順で堆積した。
(工程3)
フォトリソグラフィー法で、ポジ型フォトレジスト(AZ1500/クラリアント社製)のスピンコーティング、フォトマスクパターンを露光し、現像し、マスクパターンを形成した。
(工程4)
マスクパターンをマスクとして、Taのゲート電極3をCFガスを用いてドライエッチングし、次いでSiO膜17をバッファードフッ酸でエッチングして、開口w=5μmを形成した。
(工程5)
マスクパターンを完全に除去した。
(工程6)
次いで、金属100μmの開口を有したデポマスクを使用し、図16(e)で示すようにカーボン層5としてアモルファスカーボン層をホットフィラメントCVD(HF−CVD)法により、膜厚100nmで堆積した。
HF−CVD法は、以下の条件であり、膜厚は成膜時間で調整した。
フィラメント:タングステン
フィラメント温度:1800℃
基板温度:室温
ガス:メタン
ガス圧:0.1Pa
基板−フィラメント間距離:50mm
基板バイアス:350V(導電性膜31に電圧を印加)
基板には、フィラメントからの電子が照射され、室温であっても極表面では活性化しており、ガスが分解されてアモルファスカーボン層が堆積できる条件となっている。作製したアモルファスカーボン層は、TEM観察では、不完全ではあるが部分的にグラファイト構造のある膜であった。表面は微細な凹凸が存在したが、その表面粗さは、Rms=6nm(膜のみをn−Si基板に堆積させた場合に測定)であった。
本構成の電子放出素子を、実施例1、2と同様に、真空チャンバ内に配置した。このとき実施例1と同様にアノード電極4はITO電極上に蛍光体を配置したものとし、Hは2mmに配置した。
続いて、図17の電気特性となるように、素子に逆方向のみ最大印加電圧を印加した。Vaは10KVとし、Vgのパルスは、パルス幅1msec、繰り返し500Hz、デューティー50%とした、Vgは、−85Vとした。
これにより、逆方向のしきい値が、当初は50Vだったが、65Vに上昇した。
さらに、真空チャンバ内で同様の配置で、図11(b)で示すパルス幅変調の駆動を行った。尚、このときVg=60Vにした。本工程により、アノード電極4である蛍光体は、パルス幅に応じた輝度が得られた。また、60V/0Vでのオン・オフ比は1000:1以上となり、良好なコントラストが得られた。
本実施例の電子放出素子は、駆動時に必要な電界は、50V/μmであった。
また、本実施例の電子放出構造では、Egは絶縁層61の厚さhによって決定されるため、実施例1の構造より、狭い距離に設定できる可能性があり、駆動電圧をさらに小さくできる可能性がある。また、電子ビーム径は、開口径wに依存しており、開口径wを小さくすることで、ビームサイズを小さくできる。
また、開口の数は1素子に多数設けてもいいし、開口の形も円形に限らず、矩形等他の形状を選択することが可能である。
本実施例で作製した電子放出素子においては、低電界で電子放出可能であるにも関わらず、長期に渡り安定な電子放出特性を得ることができた。
また、本実施例で示した電子放出素子においては、電子放出材を堆積した後、エッチング工程や剥離工程を行わなくてすむため、特性の劣化を防ぐことができる。また、開口径wを5μmからをさらに小さくした場合にも、同様の工程が利用できる。
[実施例4]
本実施例では実施例1で作成した電子放出素子を行方向に1000個×列方向に1000個、マトリクス状に配置した電子源基板80を用いて画像表示装置を作製した。
配線42、43は、図12のように、X方向配線42をカソード電極2に接続し、Y方向配線43をゲート電極3に接続した。各素子44は、横300μm、縦300μmのピッチで配置した。
電子源基板41を作製し、リアプレート51に固定した後、アノード電極4であるメタルバック55と蛍光体膜54とを有するフェースプレート56と対向し外枠52を介して封着して、図13で示すパネルを形成した。
電子源基板41とリアプレート51間距離Hは、3mmになるように構成した。
この状態で、特性調整工程を行った。尚、このとき、各素子の順方向での最大電圧において放出電流量Ieが全ての素子でほぼ一定になるようにした。
すなわち、予め全ての素子44のカソード電極2とゲート電極3間にVg[V]=25Vを印加し、その際に各素子44の放出電流Ieの値をメモリを使用して、記憶した。そして、放出電流が大きい素子は、順方向の電圧印加工程をさらに微量増加させて調節し、駆動電圧時の電圧(この場合、25V)において、電子放出量がそろうように調整した。
本方法により、電極間距離の違いによる、駆動電圧の違いが補正され、ほぼ均一な電流が可能となった。
さらに、順方向の最大印加電圧の1.5倍の逆電圧を40Vを印加するようにした。
この画像形成装置を、図14(a)で示す駆動を行った。
Vs=0V、Vns=12.5V、Vm=25V、Vnm=12.5V、Va=5kVとした。
実施例1で示したように、本素子では、Eth_r=13Vとなり、半選択時の電圧12.5Vより大きい。したがって、半選択時のオフ特性も非選択時と同様に良好であり、画像形成装置としてマトリックス駆動が可能であり、良好な表示特性となった。
また、特性調整時に、特性調整機能を利用してIeを均一にしているため、均一性の優れた画像表示装置が形成できた。また、長時間の駆動にも安定であった。
[実施例5]
実施例4と同様の電子源基板41を作製し、電子源基板41とリアプレート51間距離Hを1.5mmになるように図13で示すパネルを形成した。
また、Va=10kVで駆動するものとした。
次に特性調整を行った。
まず、順方向、逆方向にVg1=22Vを印加した状態で、電子放出に必要な電流量に達した。
その時の電気特性を、図18(a)に示した。Vg1=22Vで、Vth_f1=10Vとなっている。
実施例4と同じ電子源基板を使用しているのに、電気特性が異なるのは、本構成では、Eaの寄与が大きくなったことによるものである。
実施例4では、Ea_av=5kV/3mm=1.67V/μmに対し、本実施例では、Ea_av=10kV/1.5mm=6.7V/μmと4倍になっている。
しかしながら、図11(a)の駆動を行うための半選択電圧は11Vであるが、これは、Vth_r1=10Vより大きく、半選択電圧で完全にはOFFできない。
次に、逆方向にVg2=−30Vを印加したところ、図18(a)で示す実線となり、Vth_r2=24Vになった。
本電子源をこの画像形成装置を、図18(b)で示す駆動を行った。
Vs=−11V、Vns=11V、Vm=11V、Vnm=−11Vとした。
半選択時は、0Vであり、非選択時は−22Vとなり、半選択、非選択時の両者ともOFF特性を確保できた。したがって、画像形成装置としてマトリックス駆動が可能であり、良好な表示特性となった。
本実施例では、実施例4に比べ、駆動電圧を低減することが可能であった。
また、本実施例では、実施例4よりビームサイズは小さくなっていることが確認できた。これは、Eaが大きいことと、駆動電圧が小さいことによるものである。したがって、同実施例の構成(横300μm、縦300μmのピッチ)より小さくすることが可能であることがわかった。
本発明による電子放出素子の一例の模式図である。 本発明による電子放出素子のカーボン層の好ましい一例の断面模式図である。 本発明による電子放出素子のカーボン層中の導電性粒子の密度と該粒子の集合体の個数との関係を示すグラフである。 本発明による電子放出素子のカーボン層中の導電性粒子の密度と該粒子の集合体の個数との関係を示すグラフである。 本発明による電子放出素子のカーボン層におけるh/r比と電界増強因子βとの関係を示す図である。 本発明に用いうる、ダイポール層を有するカーボン層の構成を模式的に示す図である。 図6のカーボン層における電子放出原理を示す図である。 本発明における電子放出素子の製造工程の一例を示す工程図である。 本発明の特性調整工程とその後の駆動における印加電圧の説明図である。 本発明の特性調整工程を経た電子放出素子の電気特性を示す図である。 本発明の特性調整工程とその後の駆動における印加電圧の説明図である。 本発明の電子放出素子を用いた電子源の一例を示す平面模式図である。 本発明の電子放出素子を用いた画像表示装置の一例を示す斜視図である。 本発明による画像表示装置の駆動の一例を示す説明図である。 本発明による電子放出素子の別の一例の模式図である。 本発明における電子放出素子の製造工程の一例を示す工程図である。 本発明の特性調整工程を経た電子放出素子の電気特性を示す図である。 本発明の特性調整工程を経た電子放出素子の電気特性と駆動方法を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 カソード電極
3 ゲート電極
4 アノード電極
5 カーボン層
6 駆動電源
7 アノード電源
8 導電性粒子
9 集合体
10 母材
11 ダイポール層
12 炭素
13 水素
23 引き出し電極
24 真空障壁
25 電子
31 導電性膜
32 マスク
33 レジストマスク
41 電子源基体
42 X方向配線
43 Y方向配線
44 電子放出素子
51 リアプレート
52 支持枠
53 ガラス基体
54 蛍光膜
55 メタルバック
56 フェースプレート
57 外囲器
58 高圧端子
61 絶縁層

Claims (14)

  1. 電子放出部を有する第1導電膜と、該第1導電膜と離れて配置された第2導電膜と、を有し、前記第2導電膜に前記第1導電膜の電位よりも高い電位を印加することで駆動する電子放出素子の製造方法であって、
    (A)第1導電膜と、第2導電膜と、少なくとも前記第1導電膜に接続するように配置された、電子放出部を構成する材料と、を用意する第1工程と、
    (B)前記第1工程の後に、前記第2導電膜に印加する電位よりも高い電位を前記第1導電膜に印加した際に電子が放出され始める閾電界強度を、前記第1導電膜に印加する電位よりも高い電位を前記第2導電膜に印加した際に電子が放出され始める閾電界強度よりも高くする第2工程と、
    を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  2. 前記第2工程は、前記第1導電膜に前記第2導電膜の電位よりも高い電位を印加することで電子を放出させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子の製造方法。
  3. 前記第2工程は、前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に、第1および第2電圧を印加する工程と、を有しており、
    前記第1電圧は、前記第1導電膜の電位が前記第2導電膜の電位よりも高く、前記第2電圧が前記第2導電膜の電位が前記第1導電膜の電位よりも高く、
    前記第1電圧の絶対値は前記第2電圧の絶対値よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子の製造方法。
  4. 1×10V/cm以下の電界を前記電子放出部に印加することで電子が放出されることを特徴とする請求項1乃至3に記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 前記第1導電膜と第2導電膜との距離が0.1μm以上であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の電子放出素子の製造方法。
  6. 前記電子放出部を構成する材料が、カーボンファイバー、絶縁層表面にダイポール層を配置した膜、カーボンを主体として金属粒子を含有した膜、アモルファスカーボン層のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至5に記載の電子放出素子の製造方法。
  7. 複数の電子放出素子を有する電子源の製造方法であって、前記電子放出素子が請求項1乃至6に記載の製造方法により製造されることを特徴とする電子源の製造方法。
  8. 電子源と発光体とを有する画像表示装置の製造方法であって、前記電子源が請求項7に記載の製造方法により製造されることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  9. 複数の行方向配線および複数の列方向配線と、電子放出部を有する第1導電膜と該第1導電膜と離れて配置された第2導電膜とを各々が含む複数の電子放出素子とを有する電子源の製造方法であって、
    (A)基体上に、各々が複数の第1導電膜と接続された複数の行方向配線と、各々が複数の第2導電膜と接続された複数の列方向配線と、前記第1導電膜の各々に接続するように配置された電子放出部を構成する材料と、を配置する第1工程と、
    (B)前記第1工程の後に、前記第2導電膜に印加する電位よりも高い電位を前記第1導電膜に印加した際に電子が放出され始める閾電界強度を、前記第1導電膜に印加する電位よりも高い電位を前記第2導電膜に印加した際に電子が放出され始める閾電界強度よりも高くするように、前記第2導電膜の各々に前記第1導電膜の電位よりも高い電位を印加する第2工程と、
    を有しており、
    前記第2工程において、前記第2導電膜の各々に印加する電位は、前記電子源の駆動時において、非選択の電子放出素子を構成する第2導電膜に印加される電位よりも高いことを特徴とする電子源の製造方法。
  10. 1×10V/cm以下の電界を前記電子放出部に印加することで電子が放出されることを特徴とする請求項9に記載の電子源の製造方法。
  11. 前記第1導電膜と第2導電膜との距離が0.1μm以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の電子源の製造方法。
  12. 前記電子放出部を構成する材料が、カーボンファイバー、絶縁層表面にダイポール層を配置した膜、カーボンを主体として金属粒子を含有した膜、アモルファスカーボン層のいずれかであることを特徴とする請求項9乃至11に記載の電子源の製造方法。
  13. 電子源と発光体とを有する画像表示装置の製造方法であって、前記電子源が請求項9乃至12に記載の製造方法により製造されることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  14. 請求項3に記載の製造方法により製造した電子放出素子の駆動方法であって、電子放出素子の駆動時の電圧が、前記第2電圧よりも低いことを特徴とする電子放出素子の駆動方法。
JP2004070827A 2004-03-12 2004-03-12 電子放出素子、電子源ならびに画像表示装置の製造方法および電子放出素子の駆動方法 Expired - Fee Related JP4115410B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004070827A JP4115410B2 (ja) 2004-03-12 2004-03-12 電子放出素子、電子源ならびに画像表示装置の製造方法および電子放出素子の駆動方法
US11/075,855 US7524227B2 (en) 2004-03-12 2005-03-10 Method of producing an electron emission device, method of producing an electron source, method of producing an image display device, and method of driving an electron emission device
CN2005100545659A CN1670887B (zh) 2004-03-12 2005-03-11 电子发射器件、电子源及图像显示装置的制造方法
KR1020050020829A KR100706767B1 (ko) 2004-03-12 2005-03-12 전자방출소자의 제조방법, 전자원의 제조방법, 화상표시장치의 제조방법 및 전자방출소자의 구동방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004070827A JP4115410B2 (ja) 2004-03-12 2004-03-12 電子放出素子、電子源ならびに画像表示装置の製造方法および電子放出素子の駆動方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005259579A true JP2005259579A (ja) 2005-09-22
JP4115410B2 JP4115410B2 (ja) 2008-07-09

Family

ID=34918550

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004070827A Expired - Fee Related JP4115410B2 (ja) 2004-03-12 2004-03-12 電子放出素子、電子源ならびに画像表示装置の製造方法および電子放出素子の駆動方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US7524227B2 (ja)
JP (1) JP4115410B2 (ja)
KR (1) KR100706767B1 (ja)
CN (1) CN1670887B (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006054087A (ja) * 2004-08-11 2006-02-23 Sony Corp カソードパネルのコンディショニング方法、冷陰極電界電子放出表示装置のコンディショニング方法、及び、冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
JP2007329014A (ja) * 2006-06-08 2007-12-20 Ulvac Japan Ltd Fed用カソード基板

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3535871B2 (ja) * 2002-06-13 2004-06-07 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、画像表示装置及び電子放出素子の製造方法
JP4154356B2 (ja) 2003-06-11 2008-09-24 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、画像表示装置及びテレビ
TWI288294B (en) * 2004-03-19 2007-10-11 Hon Hai Prec Ind Co Ltd A manufacturing method of a cavity of a light guide plate
JP4667031B2 (ja) 2004-12-10 2011-04-06 キヤノン株式会社 電子放出素子の製造方法、および該製造方法を用いた、電子源並びに画像表示装置の製造方法
KR101217553B1 (ko) * 2006-05-03 2013-01-02 삼성전자주식회사 전계방출소자의 구동 방법 및 이를 이용한 에이징 방법
JP2008218195A (ja) * 2007-03-05 2008-09-18 Canon Inc 電子源、画像表示装置及び情報表示再生装置
JP2009032443A (ja) * 2007-07-25 2009-02-12 Canon Inc 電子放出素子、電子源および画像表示装置、並びに情報表示再生装置
JP2009104916A (ja) * 2007-10-24 2009-05-14 Canon Inc 電子放出素子、電子源、画像表示装置および電子放出素子の製造方法
JP2009110755A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Canon Inc 電子放出素子、電子源、画像表示装置および電子放出素子の製造方法
JP2009117203A (ja) * 2007-11-07 2009-05-28 Canon Inc 電子放出素子の製造方法、電子源の製造方法、および、画像表示装置の製造方法
JP2009140655A (ja) * 2007-12-04 2009-06-25 Canon Inc 電子放出素子、電子源、画像表示装置および電子放出素子の製造方法
JP2009146639A (ja) * 2007-12-12 2009-07-02 Canon Inc 電子放出素子、電子源、画像表示装置、および、電子放出素子の製造方法
JP2009146751A (ja) * 2007-12-14 2009-07-02 Canon Inc 電子放出素子、電子源、および、画像表示装置
TWI437602B (zh) * 2011-12-23 2014-05-11 Au Optronics Corp 場發射元件與場發射顯示裝置
CN103779158B (zh) * 2012-10-23 2017-02-15 上海联影医疗科技有限公司 用于x射线球管的场发射电子源
US20230064256A1 (en) * 2021-08-27 2023-03-02 Qualcomm Incorporated Bi-directional sidelink resource selection with bi-directional resource allocation indication

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5209687A (en) 1990-12-28 1993-05-11 Sony Corporation Flat panel display apparatus and a method of manufacturing thereof
JP3094459B2 (ja) 1990-12-28 2000-10-03 ソニー株式会社 電界放出型カソードアレイの製造方法
DE69130920T2 (de) 1990-12-28 1999-09-16 Sony Corp Flache Anzeigeeinrichtung
JP3062987B2 (ja) 1994-09-21 2000-07-12 キヤノン株式会社 電子源及び画像形成装置の製法
JP2859823B2 (ja) 1994-12-07 1999-02-24 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法
DE69919242T2 (de) 1998-02-12 2005-08-11 Canon K.K. Verfahren zur Herstellung eines elektronenemittierenden Elementes, Elektronenquelle und Bilderzeugungsgerätes
JP3075535B2 (ja) * 1998-05-01 2000-08-14 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JP3102787B1 (ja) * 1998-09-07 2000-10-23 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、及び画像形成装置の製造方法
JP2002367508A (ja) 1999-02-25 2002-12-20 Canon Inc 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JP3423661B2 (ja) * 1999-02-25 2003-07-07 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JP3437519B2 (ja) 1999-02-25 2003-08-18 キヤノン株式会社 電子放出素子の製造方法および調整方法
US6842437B1 (en) * 1999-03-04 2005-01-11 Hughes Electronics Corporation System for providing satellite bandwidth on demand employing uplink frame formatting for smoothing and mitigating jitter and dynamically changing numbers of contention and data channels
JP3639809B2 (ja) * 2000-09-01 2005-04-20 キヤノン株式会社 電子放出素子,電子放出装置,発光装置及び画像表示装置
JP3610325B2 (ja) * 2000-09-01 2005-01-12 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JP3969981B2 (ja) 2000-09-22 2007-09-05 キヤノン株式会社 電子源の駆動方法、駆動回路、電子源および画像形成装置
JP4741764B2 (ja) 2001-09-26 2011-08-10 キヤノン株式会社 電子放出素子
JP3907626B2 (ja) * 2003-01-28 2007-04-18 キヤノン株式会社 電子源の製造方法、画像表示装置の製造方法、電子放出素子の製造方法、画像表示装置、特性調整方法、及び画像表示装置の特性調整方法
JP3826120B2 (ja) 2003-07-25 2006-09-27 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
JP5480742B2 (ja) * 2010-07-28 2014-04-23 株式会社クボタ 作業車のキャノピ装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006054087A (ja) * 2004-08-11 2006-02-23 Sony Corp カソードパネルのコンディショニング方法、冷陰極電界電子放出表示装置のコンディショニング方法、及び、冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
JP4678156B2 (ja) * 2004-08-11 2011-04-27 ソニー株式会社 カソードパネルのコンディショニング方法、冷陰極電界電子放出表示装置のコンディショニング方法、及び、冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
JP2007329014A (ja) * 2006-06-08 2007-12-20 Ulvac Japan Ltd Fed用カソード基板

Also Published As

Publication number Publication date
CN1670887A (zh) 2005-09-21
US20050202745A1 (en) 2005-09-15
CN1670887B (zh) 2010-04-28
US7524227B2 (en) 2009-04-28
JP4115410B2 (ja) 2008-07-09
KR20060044334A (ko) 2006-05-16
KR100706767B1 (ko) 2007-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7524227B2 (en) Method of producing an electron emission device, method of producing an electron source, method of producing an image display device, and method of driving an electron emission device
JP3969981B2 (ja) 電子源の駆動方法、駆動回路、電子源および画像形成装置
JP4741764B2 (ja) 電子放出素子
US7399215B2 (en) Method of manufacturing electron-emitting device and electron source
US7843118B2 (en) Electron-emitting device, electron source using the same, image display apparatus, and information displaying and reproducing apparatus
KR100702037B1 (ko) 전자방출소자 및 그 제조방법
US20060061289A1 (en) Electron emission device, electron source, and image display having dipole layer
JP3826120B2 (ja) 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
JP4298156B2 (ja) 電子放出装置及び画像形成装置
JP4667031B2 (ja) 電子放出素子の製造方法、および該製造方法を用いた、電子源並びに画像表示装置の製造方法
JP2007214032A (ja) 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
US7327080B2 (en) Hybrid active matrix thin-film transistor display
JP4086753B2 (ja) 画像形成装置及びその駆動制御方法
US6847337B2 (en) Driving apparatus and driving method for an electron source and driving method for an image-forming apparatus
JP3935476B2 (ja) 電子放出素子の製造方法および画像表示装置の製造方法
US7005807B1 (en) Negative voltage driving of a carbon nanotube field emissive display
JP2003092056A (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置
JP2003100200A (ja) 電子放出素子、電子源、及び画像形成装置
JP2003016917A (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置
JP2003016906A (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置
JP2005026238A (ja) 電子放出装置、電子放出素子、電子源、画像表示装置及びテレビジョン放送の表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070313

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070807

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071005

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071226

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20080111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080219

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080304

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080408

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080415

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110425

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110425

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130425

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130425

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140425

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees