JP2002367508A - 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法

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JP2002367508A
JP2002367508A JP2002127137A JP2002127137A JP2002367508A JP 2002367508 A JP2002367508 A JP 2002367508A JP 2002127137 A JP2002127137 A JP 2002127137A JP 2002127137 A JP2002127137 A JP 2002127137A JP 2002367508 A JP2002367508 A JP 2002367508A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より短い時間での活性化工程で結晶性の良い
炭素あるいは炭素化合物の膜を形成できる電子放出素
子、電子源の製造方法を提供すること。 【解決手段】 基板1上に、互いに間隔をおいて配置さ
れた一対の導電体4を形成する工程と、炭素化合物ガス
の雰囲気中にて、前記一対の導電体の少なくとも一方に
炭素あるいは炭素化合物4aを堆積させる活性化工程と
を有し、前記活性化工程は、第1工程及び第2工程を含
む2段階以上の複数の工程を有し、前記第1工程は、最
終の活性化工程である前記第2工程よりも前記炭素化合
物ガスの分圧が大きい雰囲気中にてなされることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子の製
造方法、電子源の製造方法及び該電子源を用いた画像形
成装置の製造方法の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】電子放出素子の中で、表面伝導型電子放
出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に
平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を
利用するものである。特開平7−235255号公報に
は、Pd等の金属薄膜を用いた表面伝導型電子放出素子
が開示され、その素子構成を図1に模式的に示す。同図
において1は基板である。4は導電性膜で、Pd等の金
属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼
ばれる通電処理により、導電性膜を局所的に破壊、変形
もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした間隔
5を形成する。
【0003】さらに、電子放出特性を改善するため、後
述するように「活性化」と称する処理を行い、上記電子
放出部とその近傍に、炭素・炭素化合物からなる膜(カ
ーボン膜)を形成する場合がある。この工程は、有機物
質を含む雰囲気中で、素子にパルス電圧を印加し、炭素
・炭素化合物を電子放出部周辺に堆積させる方法によ
り、行うことができる(EP-A-660357、特開平07-192614
号、特開平07-235255号、特開平08-007749号)。
【0004】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純で製造も容易であることから、大面積にわたり多数
の素子を配列形成できる利点があり、荷電ビーム源、表
示装置等への応用が研究されている。多数の表面伝導型
電子放出素子を配列形成した例としては、並列に表面伝
導型電子放出素子を配列し、個々の素子の両端を配線
(共通配線とも呼ぶ)で、それぞれ結線した行を多数行
配列した電子源があげられる(例えば、特開昭64−0
31332、特開平1−283749、特開平2−25
7552等)。
【0005】表面伝導型電子放出素子を多数配置した電
子源と電子源より放出された電子によって、可視光を発
光せしめる蛍光体とを組み合わせた表示装置である画像
形成装置があげられる。(例えば、USP506688
3)これらの画像形成装置では、表示画像の均一性を確
保するために、フォーミング及び活性化工程での工夫が
行われており、活性化工程での電気特性に基づいて活性
化工程の終了の判定を行う等の手法も行われている(例
えば、特開平9−6399号公報)。また、以上述べた
表面伝導型電子放出素子以外の電子放出素子として、電
界放出型電子放出素子(FE:Field Emitter)があ
る。このFEの一例として,Spindt型のFEがあ
るが、これは、微小な円錐状のエミッタと、エミッタの
すぐ近くに形成され、エミッタからの電流を引き出す機
能ならびに電流制御機能を持つ制御電極(ゲート電極)
で構成された微小冷陰極である。このSpindt型の
FEをアレイ状に並べた冷陰極がC.A.Spindt
等によって提案されている(C.A.Spindt,A
Thin−Film Field−Emission
Cathode,Journal of Appli
ed Physics,Vol.39,No.7,p
p.3504,1968)。このような、FEにおいて
も近年、有機物質を含む雰囲気中で、ゲート電極とエミ
ッタに接続されたカソード電極間に電圧を印加すること
によりエミッタ表面に炭素化合物を堆積させ、電子放出
効率を向上させる技術が開示されている(特開平10−
50206号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】多数の電子放出素子が
形成された電子源基板には、例えば、N行M列にわたり
マトリクス状に電子放出素子を配置した単純マトリクス
構成の電子源基板等が挙げられる。このような基板に対
して、上述のような炭素あるいは炭素化合物を堆積させ
る活性化工程を行う際には、素子電極と接続されたN行
M列の共通の配線に電圧を印加して行われる。
【0007】活性化工程を行う場合、例えば以下の手法
が行われている。 (1) 1からN行まで1ラインずつ順番に電圧を印
加。 (2) N行を数ブロックに分割して、各ブロックで位
相をずらしたパルスを順次印加するスクロール活性化。 しかし、(1)、(2)いずれの場合でも、素子数が多
くなると、活性化工程に必要な時間が長くなるという問
題があった。また、(2)のようにN行を分割するブロ
ック数を少なくすると、1行に印加する電圧のDuty
(デューティー)が小さくなり、活性化速度が遅くなっ
たり、電子放出量や電子放出効率の低下等が生じ、良好
な電子放出素子が得られなくなる。
【0008】そこで、同時に電圧を印加するラインの本
数を多くすることによって活性化時間の短縮を行うこと
が試みられている。しかしながら、電子放出部とその近
傍に炭素及び炭素化合物を堆積させる活性化工程は、雰
囲気中から素子基板上に吸着した有機物質を分解するこ
とによって行われるので、同時に活性化工程を行う素子
数が多くなると、単位時間当たりに電子源基板上で分
解、消費される有機物質の量も多くなるので、雰囲気中
の有機物質の濃度が変動したり、カーボン膜の形成速度
が遅くなったり、電子源基板の面内の場所により差が生
じたりするため、得られた電子源の均一性が悪くなると
いう問題があった。
【0009】よって、本発明の目的は、より短い時間で
活性化工程を行なうことのできる電子放出素子、電子源
の製造方法を提供することにある。また、本発明の目的
は、より短い時間での活性化工程で結晶性の良い炭素あ
るいは炭素化合物の膜を形成できる電子放出素子、電子
源の製造方法を提供することにある。また、本発明の目
的は、複数の電子放出素子を備える電子源の製造方法に
おいても、より短い時間で活性化工程を行なうことので
きる電子源の製造方法を提供することにある。また、本
発明の目的は、複数の電子放出素子を備える電子源の製
造方法においても、より短い時間での活性化工程で均一
性の良い電子放出素子を備える電子源を作成し得る電子
源の製造方法を提供することにある。また、本発明の目
的は、均一な輝度特性が得られる画像形成装置を得るこ
とのできる画像形成装置の製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に、互
いに間隔をおいて配置された一対の導電体を形成する工
程と、炭素化合物ガスの雰囲気中にて、前記一対の導電
体の少なくとも一方に炭素あるいは炭素化合物を堆積さ
せる活性化工程とを有し、前記活性化工程は、第1工程
及び第2工程を含む2段階以上の複数の工程を有し、前
記第1工程は、最終の活性化工程である前記第2工程よ
りも前記炭素化合物ガスの分圧が大きい雰囲気中にてな
されることを特徴とする電子放出素子の製造方法であ
る。
【0011】また、本発明は、電極間に配置された電子
放出部を含む導電性膜を形成する工程と、炭素化合物ガ
スの雰囲気中にて、前記導電性膜に炭素あるいは炭素化
合物を堆積させる活性化工程とを有し、前記活性化工程
は、第1工程及び第2工程を含む2段階以上の複数の工
程を有し、前記第1工程は、最終の活性化工程である前
記第2工程よりも前記炭素化合物ガスの分圧が大きい雰
囲気中にてなされることを特徴とする電子放出素子の製
造方法である。
【0012】また、本発明は、基板上に、互いに間隔を
おいて配置された一対の導電体を複数対形成する工程
と、炭素化合物ガスの雰囲気中にて、前記一対の導電体
の少なくとも一方に炭素あるいは炭素化合物を堆積させ
る活性化工程とを有し、前記活性化工程は、第1工程及
び第2工程を含む2段階以上の複数の工程を有し、前記
第1工程は、最終の活性化工程である前記第2工程より
も前記炭素化合物ガスの分圧が大きい雰囲気中にてなさ
れることを特徴とする電子源の製造方法である。
【0013】また、本発明は、電極間に配置された電子
放出部を含む導電性膜を複数形成する工程と、炭素化合
物ガスの雰囲気中にて、前記導電性膜に炭素あるいは炭
素化合物を堆積させる活性化工程とを有し、前記活性化
工程は、第1工程及び第2工程を含む2段階以上の複数
の工程を有し、前記第1工程は、最終の活性化工程であ
る前記第2工程よりも前記炭素化合物ガスの分圧が大き
い雰囲気中にてなされることを特徴とする電子源の製造
方法である。
【0014】また、以上の電子源の製造方法は、前記第
1工程における炭素化合物ガスの分圧は、5×10-4P
a以上であること、あるいは、前記第2工程における炭
素化合物ガスの分圧は、5×10-3Pa以下であるこ
と、あるいは、前記第1工程における炭素あるいは炭素
化合物の堆積量は、前記第2工程における炭素あるいは
炭素化合物の堆積量よりも大きいこと、あるいは、前記
第1工程における炭素あるいは炭素化合物の堆積量は、
前記第2工程後の炭素あるいは炭素化合物の堆積量の7
0%以上であること、あるいは、前記第1工程は、前記
導電体または前記導電性膜の電気的特性の評価結果に基
づいて終了されること、あるいは、前記電気的特性は、
前記一対の導電体間または前記電極間に流れる素子電流
であること、あるいは、前記素子電流が、ある基準値を
超えた時点で前記第1工程を終了し、前記基準値が、前
記第2工程終了時に得られる素子電流値以上の値である
こと、あるいは、前記素子電流が、ある基準値を超えた
時点から一定時間後に前記第1工程を終了し、前記基準
値が、前記第2工程終了時に得られる素子電流値以上の
値であること、あるいは、前記電気的特性が、前記活性
化工程で印加される電圧(Vf)より低い電圧(V
f’)における素子電流であること、あるいは、前記V
f’=Vf/2であること、あるいは、前記電気的特性
が、前記一対の導電体間または前記電極間を流れる素子
電流と前記導電体または前記導電性膜から放出される放
出電流であること、あるいは、前記電気的特性は、前記
放出電流と前記素子電流の比であること、あるいは、基
板上の全ての前記一対の導電体または前記導電性膜に対
して前記第1工程を終了した後、炭素化合物の分圧を減
少させる際に前記一対の導電体間または前記電極間に電
圧を印加しないこと、あるいは、前記炭素化合物の分圧
の減少は、炭素化合物の供給源から雰囲気中に導入する
炭素化合物の流量を減少させることにより行うこと、あ
るいは、前記炭素あるいは炭素化合物を堆積させる活性
化工程は、前記炭素化合物ガスの雰囲気中にて、前記一
対の導電体間または前記電極間に電圧を印加する工程を
有すること、あるいは、前記一対の導電体を複数対形成
する工程または前記電子放出部を含む導電性膜の複数を
形成する工程は、基板上に形成された複数の導電体また
は複数の導電性膜に電圧を印加する工程を有すること、
あるいは、前記一対の導電体は、間隔をおいて配置され
た一対の導電性膜と、前記一対の導電性膜の各々に接続
された一対の電極とを有すること、をも含むものであ
る。
【0015】また、本発明は、上記の何れかに記載の電
子源の製造方法によって製造された電子源に対し、該電
子源から放出される電子線により画像を形成する画像形
成部材を有する基体を対向して配置する工程を有するこ
とを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0016】このような電子放出素子の製造方法によれ
ば、より短い時間で結晶性の良い炭素あるいは炭素化合
物の膜が形成でき、特性の安定化が図れる。このような
電子源の製造方法によれば、複数の素子に対して同時に
活性化工程を施した場合でも、炭素化合物ガスの供給量
が不足することはなくなり、該炭素化合物ガスの供給量
不足による電子放出特性の均一性低下を抑制することが
できる。さらに、該炭素化合物ガスの分圧を低くした該
炭素あるいは炭素化合物を堆積させる最終的な工程を行
うことによって、電子放出特性が最適化されるため、均
一性が向上する。
【0017】このような本発明の複数の電子放出素子を
配置した電子源の製造方法によれば、複数の素子に対し
て同時に活性化工程を施し、さらに均一な電子放出特性
を有する電子源が製造できることから、製造工程のタク
トタイムが短くなることによる生産コストの低下によっ
て、安価で均一性の高い電子源および安価で高品位の画
像形成装置を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に係る電子放出素子は、基
板上に、互いに間隔をおいて配置された一対の導電体を
有し、該一対の導電体間に電圧を印加することにより電
子を放出する電子放出素子であり、例えば、先述した表
面伝導型電子放出素子、FEと称される電界放出型電子
放出素子を包含するものである。ここで、FEの場合、
上記一対の導電体は先述したエミッタとゲート電極に相
当し、炭素あるいは炭素化合物はエミッタに堆積され
る。また、表面伝導型電子放出素子の場合、上記一対の
導電体は、以下で詳述される一対の導電性膜に相当し、
炭素あるいは炭素化合物は、該一対の導電性膜の一方あ
るいは両方に堆積される。以下、電子放出素子として、
表面伝導型電子放出素子を例に挙げ本発明の好ましい実
施形態について説明する。
【0019】図1は、表面伝導型電子放出素子の構成を
示す図であり、図1(a)および図1(b)はそれぞれ
平面図と断面図である。図1において1は基板、2と3
は素子電極、4は、第1の間隔5を隔て、素子電極2,
3の各々に接続されている一対の導電性膜、4aは、導
電性膜4上及び第1の間隔内に配置され、第1の間隔5
よりも狭い第2の間隔5aを形成している、炭素あるい
は炭素化合物を主成分とするカーボン膜である。上記表
面伝導型電子放出素子は、素子電極2,3間に電圧が印
加されることによって、該導電性膜より電子を放出す
る。
【0020】基板1としては、石英ガラス,Na等の不
純物含有量を減少したガラス,青板ガラス,青板ガラス
にスパッタ法等により形成したSiO2 を積層したガラ
ス基板及びアルミナ等のセラミックス及びSi基板等を
用いることができる。対向する素子電極2,3の材料と
しては、一般的な導体材料を用いることができる。素子
電極間隔L、素子電極長さW、導電性膜4の形状等は、
応用される形態等を考慮して、設計される。尚、図1に
示した構成だけでなく、基板1上に、導電性膜4、対向
する素子電極2,3の順に積層した構成とすることもで
きる。
【0021】導電性膜4には、良好な電子放出特性を得
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましい。その膜厚は,素子電極2,3へのステップカバ
レージ、素子電極2,3間の抵抗値及び後述するフォー
ミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常は、
0.1nmの数倍から数百nmの範囲とするのが好まし
く、より好ましくは1nmより50nmの範囲とするの
が良い。その抵抗値は、Rsが102から107Ω/□の
値である。なおRsは、厚さがt、幅がwで長さがlの
薄膜の抵抗Rを、R=Rs(l/w)とおいたときに現
れる量である。
【0022】フォーミング処理について、ここでは通電
処理を例に挙げて説明するが、フォーミング処理はこれ
に限られるものではなく、膜に亀裂等の間隔を生じさせ
て高抵抗状態を形成する処理を包含するものである。
【0023】導電性膜4を構成する材料は、Pd,P
t,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,F
e,Zn,Sn,Ta,W,Pd等の金属、PdO,S
nO2,In2O3,PbO,Sb2O3 等の酸化物の中か
ら適宜選択される。ここで述べる微粒子膜とは、複数の
微粒子が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が
個々に分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、
あるいは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合
し、全体として島状構造を形成している場合も含む)を
とっている。微粒子の粒径は、0.1nmの数倍から数
百nmの範囲、好ましくは、1nmから20nmの範囲
である。
【0024】第1の間隔5は、導電性膜4の一部に形成
された亀裂などにより構成され、導電性膜4の膜厚、膜
質、材料及び後述する通電フォーミング等の手法等に依
存したものとなる。第1の間隔5内及びその近傍の導電
性膜4上には、炭素あるいは炭素化合物のカーボン膜4
aを有する。
【0025】以下、図2〜図6を参照しながら電子放出
素子の製造方法の一例について説明する。図2〜図5に
おいて、図1に示した部位と同じ部位には同一の符号を
付している。
【0026】1)基板1を洗剤、純水および有機溶剤等
を用いて十分に洗浄し,真空蒸着法、スパッタ法等によ
り、素子電極材料を堆積後,例えばフォトリソグラフィ
ー技術を用いて基板1上に素子電極2、3を形成する
(図2(a))。
【0027】2)素子電極2、3を設けた基板1に、有
機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有機
金属溶液には、前述の導電性膜4の材料の金属を主元素
とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。有
機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング
等によりパターニングし、導電性膜4を形成する(図2
(b))。ここでは,有機金属溶液の塗布法を挙げて説
明したが,導電性膜4の形成法はこれに限られるもので
なく,真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分
散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用いるこ
ともできる。
【0028】3)つづいて、フォーミング工程を施す。
このフォーミング工程の方法の一例として通電処理によ
る方法を説明する。素子電極2、3間に、不図示の電源
を用いて、通電を行うと、導電性膜4の部位に、構造の
変化した電子放出部5が形成される(図2(c))。通
電フォーミングによれば導電性膜4に亀裂が形成され第
1の間隔5が形成される。尚該第1の間隔5が形成され
ることにより導電性膜4に電子放出部が形成され、素子
電極2,3間に電圧を印加するとかかる第1の間隔5の
近傍から電子が放出される。通電フォーミングの電圧波
形の例を図3に示す。電圧波形は、パルス波形が、好ま
しい。これにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連
続的に印加する図3(a)に示した手法とパルス波高値
を増加させながら、電圧パルスを印加する図3(b)に
示した手法がある。
【0029】4)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施す。活性化工程とは、この工程
により、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化す
る工程である。活性化工程は、例えば、有機物質ガスな
どの炭素化合物ガスを含有する雰囲気下で、通電フォー
ミングと同様に、パルスの印加を繰り返すことで行うこ
とができる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、
前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類
などにより異なるため、場合に応じ適宜設定される。
【0030】この処理により、雰囲気中に存在する有機
物質から、炭素あるいは炭素化合物のカーボン膜4a
が、導電性膜4上及び第1の間隔5内に堆積し、第1の
間隔5よりも狭い第2の間隔5aを第1の間隔5内に、
かかる第1の間隔5に沿って形成する(図2(d))こ
とにより、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化す
るようになる。
【0031】ここで、炭素及び炭素化合物とは、例えば
グラファイト(いわいるHOPG’,PG(,GC)を
包含する、HOPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構
造、PGは結晶粒が200Å程度で結晶構造がやや乱れ
たもの、GCは結晶粒が20Å程度になり結晶構造の乱
れがさらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボ
ン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボン
と前記グラファイトの微結晶の混合物を指す)であり、
その膜厚は、50nm以下の範囲とするのが好ましく、
30nm以下の範囲とすることがより好ましい。
【0032】本発明で用いることができる、適当な有機
物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族
炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデ
ヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、
スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、具体的
には、メタン、エタン、プロパンなどCnH2n+2で表
される飽和炭化水素、エチレン、プロピレン、アセチレ
ンなどCnH2n、CnH2nやCnH2n-2等の組成式
で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、メタノール、エ
タノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミ
ン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用で
きる。
【0033】本発明では、これらの有機物質を単独で用
いても良いし、必要に応じては、混合して用いても良
い。また、これらの有機物質を有機物質でない他のガス
と希釈して用いても良い。希釈ガスとして用いることが
できるガスの種類としては、例えば、窒素、アルゴン、
キセノンといった不活性ガスが挙げられる。
【0034】本発明は、活性化工程を少なくとも2段階
以上の複数の工程からなることを特徴とする。特に、第
1段目の活性化工程での雰囲気中に含まれる有機物質の
分圧を、第2段目の活性化工程でのそれよりも大きくす
ることに特徴がある。
【0035】第1段目の活性化工程は、フォーミング工
程で形成された電子放出部にカーボン膜を堆積する工程
であるため、有機物質の消費量が多いと考えられる。従
って、消費されても活性化雰囲気中の有機物質の分圧の
変動が少なくなるように、分圧を大きくすることが好ま
しい。この作用は、後述する電子放出素子を多数有する
電子源を活性化する場合、その特性の均一性を保つため
に有効である。
【0036】一方、第2段目の活性化工程は、第1段目
で堆積されたカーボン膜を強固にする工程であると考え
られている。第1段目で活性化された素子は、カーボン
膜の堆積によって素子電流が流れる状態になっており、
また、電子放出も行われている。第2段目の活性化工程
では、第1段目の活性化工程に比べ、有機物質の分圧が
少ない雰囲気中での工程であるので、亀裂近傍へのカー
ボンの堆積速度は遅くなるので、素子電流に伴う局所的
な加熱と、放出電子の照射によって亀裂近傍で生じてい
るエネルギーの大部分は、堆積したカーボン膜の結晶性
の向上に利用されているものと推測される。
【0037】本発明では、活性化工程における電圧印加
の手法は、電圧値の時間変化、電圧印加の方向、波形等
の条件が考えられる。電圧値の時間変化は、電圧値を時
間とともに上昇させていく手法や、固定電圧で行う手法
で行うことができる。
【0038】また、図4で示すように、電圧印加の方向
は、駆動と同様の方向(順方向)のみ(図4(a))に
印加しても良いし、順方向、逆方向を交互に変化させて
印加(図4(b))しても良い。交互に電圧を印加する
場合、亀裂に対して、対称にカーボン膜が形成されるも
のと思われるので、好ましい。また、波形については、
図4では、矩形波の例を用いたが、正弦波、三角波、鋸
波、等任意の波形を用いることができる。
【0039】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、真空容器内の有機物質排気する工程である。真空容
器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイル
が素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用し
ないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープシ
ョンポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げるこ
とが出来る。真空容器内の有機成分の分圧は、上記の炭
素及び炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧で1.3
×10-6Pa以下が好ましく、さらには1.3×10-8
Pa以下が特に好ましい。
【0040】さらに真空容器内を排気するときには、真
空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子
に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好まし
い。このときの加熱条件は、80〜250℃ 好ましく
は150℃以上で、できるだけ長時間処理するのが望ま
しいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の
大きさや形状、電子放出素子の構成、などの諸条件によ
り適宜選ばれる条件により行う。真空容器内の圧力は極
力低くすることが必要で、1×10-5Pa以下が好まし
く、さらに1.3×10-6Pa以下が特に好ましい。
【0041】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、圧力自体が多少上昇しても十分安定な特
性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を採
用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆
積を抑制でき、また真空容器や基板などに吸着したH2
O、O2なども除去でき、結果として素子電流If放出
電流Ieが安定する。
【0042】本発明の製造方法はまた、このようにして
得られる電子放出素子が複数個、基板上に配列した電子
源の製造方法でもある。
【0043】電子放出素子の配列については、電子放出
素子を行方向及び列方向に行列状に複数個配し、同じ行
に配された複数の電子放出素子の電極の一方を、行方向
の配線に共通に接続し、同じ列に配された複数の電子放
出素子の電極の他方を、列方向の配線に共通に接続する
ものが挙げられる。このようなものは所謂単純マトリク
ス配置である。
【0044】まず単純マトリクス配置について以下に詳
述する。図5において、71は電子源基板、72は列方
向配線、73は行方向配線である。74は電子放出素子
である。
【0045】これらは、真空蒸着法,印刷法,スパッタ
法等を用いて形成された導電性金属等で構成することが
できる。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設計される。ま
た、m本の行方向配線73とn本の列方向配線72との
間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を
電気的に分離している(m、nは共に正の整数)。
【0046】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、列方向配線72を形成した基板71の
全面或は一部に所望の形状で形成され,特に,列方向配
線72と行方向配線73の交差部の電位差に耐え得るよ
うに,膜厚,材料,製法が,適宜設定される。列方向配
線72と行方向配線73は,それぞれ外部端子として引
き出されている。電子放出素子74を構成する一対の電
極(不図示)はそれぞれ、m本の行方向配線73、およ
びn本の列方向配線72と電気的に接続されている。
【0047】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図6と図7及び
図8を用いて説明する。図6は、画像形成装置の表示パ
ネルの一例を示す模式図であり、図7は、図6の画像形
成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図8は、N
TSC方式のテレビ信号に応じて表示を行なうための駆
動回路の一例を示すブロック図である。
【0048】図6において、71は電子放出素子74を
複数配した電子源基板、86はガラス基板83の内面に
蛍光膜93とメタルバック85等が形成されたフェース
プレートである。82は、支持枠であり該支持枠82に
は、電子源基板(リアプレート)71、フェースプレー
ト86が低融点のフリットガラスなどを用いて接合され
外囲器164が形成される。72,73は、電子放出素
子の一対の素子電極と接続された列方向配線及び行方向
配線である。
【0049】また、フェースープレート86、リアプレ
ート(電子源基板)71間に、スペーサ169が配置さ
れており大気圧に対して十分な強度をもつ外囲器164
が構成されている。
【0050】図7は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光
膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成す
ることができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配
列によりブラックストライプあるいはブラックマトリク
スなどと呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とから構
成することができる。ブラックストライプ、ブラックマ
トリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要とな
る三原色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒くす
ることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜84に
おける外光反射によるコントラストの低下を抑制するこ
とにある。ブラックストライプの材料としては、通常用
いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導電性があ
り、光の透過及び反射が少ない材料を用いることができ
る。
【0051】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート8
6側へ鏡面反射させることにより輝度を向上させるこ
と、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作
用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によ
るダメージから蛍光体を保護すること等である。メタル
バックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化
処理(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、
その後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製
できる。
【0052】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。前述の封着を行う際に
は、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応
させる必要があり、十分な位置合わせが不可欠となる。
【0053】図6に示した画像形成装置の製造方法の一
例を以下に説明する。得られた外囲器164には、排気
管132が設けられ、図9に示した構成の真空排気装置
によってフォーミング工程以下の工程を行う事が出来
る。図9で、外囲器164は、排気管132を介して、
真空チャンバー133に連結され、さらにゲートバルブ
134を介して排気装置135に接続されている。真空
チャンバー133には、内部の圧力及び雰囲気中の各成
分の分圧を測定するために、圧力計136、四重極質量
分析器137等が取り付けられている。
【0054】外囲器164内部の圧力などを直接測定す
ることは困難であるため、該真空チャンバー133内の
圧力などを測定し、処理条件を制御する。真空チャンバ
ー133には、さらに必要なガスを真空チャンバー内に
導入して雰囲気を制御するため、ガス導入ライン138
が接続されている。該ガス導入ライン138の他端には
導入物質源140が接続されており、導入物質がアンプ
ルやボンベなどに入れて貯蔵されている。
【0055】ガス導入ラインの途中には、導入物質を導
入するレートを制御するための導入制御手段139が設
けられている。該導入量制御手段としては具体的には、
スローリークバルブなど逃す流量を制御可能なバルブ
や、マスフローコントローラーなどが、導入物質の種類
に応じて、それぞれ使用が可能である。図13の装置に
より外囲器164の内部を排気した後、有機物質がガス
導入ライン138から導入される。電子源基板上の行方
向配線と列方向配線の端部と電源(不図示)をケーブル
(不図示)で接続され、電源から電子源基板71上の配
線に電圧を印加する事が出来る。
【0056】また、図10で示すように、列方向配線7
2のみを共通にし、行方向配線73に、位相をずらせた
パルスを順次印加(スクロール)することにより、電子
源基板内の全導電性膜4に電圧を印加する事が出来る。
図中143は電流測定用抵抗を、144は、電流測定用
のオシロスコープを示す。フォーミング工程は、個別素
子で既述した手法と同様な方法を用いることができる。
【0057】本発明の製造方法は、活性化工程を少なく
とも2段階以上の工程に分けて行うことを特徴としてい
る。導電性膜の第1の間隔内とその近傍に炭素及び炭素
化合物を堆積させる活性化工程は、雰囲気中から素子基
板上に吸着した有機物質を分解することによって行われ
る。多数の電子放出素子が形成された電子源基板に対し
て活性化工程を行う場合,特に、活性化工程の時間を短
縮するために、同時に電圧を印加する素子数を増やす場
合は、電子源基板上で分解、消費される有機物質の量が
非常に多くなる。
【0058】一般に、活性化工程の場合、雰囲気中の有
機物質の分圧を小さくして活性化工程を行うことが行わ
れている。このようにして得られた電子放出素子の特性
は、駆動時の経時変化が小さく、電子放出効率も比較的
大きいことが知られている。一方、雰囲気中の有機物質
の分圧を大きくすると、基板上に供給される有機物質の
量が増加するので、このような影響が軽減されるが、カ
ーボン膜の過剰堆積に起因する電子放出効率の低下が生
じる。
【0059】従って、雰囲気中の有機物質の分圧が小さ
い場合や、外囲器のようなガスのコンダクタンスが小さ
い場合、基板上に供給される有機物質の量に対して、活
性化工程で消費される量が多くなり、雰囲気中の有機物
質の濃度が変動したり、カーボン膜の形成速度が遅くな
る。
【0060】そこで、本発明者らは、活性化工程を2段
階に分け、第1段の工程では、有機物質の分圧が高い雰
囲気下で活性化を行い、その後、有機物質の分圧が低い
雰囲気下で活性化を行う、2段階活性化の手法を採用し
ている。これにより、雰囲気中の有機物質の分圧が小さ
い場合や、外囲器のようなガスのコンダクタンスが小さ
い場合でも、多数の素子の活性化を短時間で行うことが
可能になった。
【0061】第1段の工程によって堆積する該炭素ある
いは炭素化合物の堆積量は、最終的な該炭素あるいは炭
素化合物の堆積量の70%以上であることが好ましい。そ
れは、本発明者らが鋭意検討した結果、電子放出特性の
均一性を高めるためには、該工程の後の該有機物質の分
圧を低くした雰囲気で行う最終的な工程における該炭素
あるいは炭素化合物の堆積量をできる限り少なくする必
要があるためである。このときの該炭素あるいは炭素化
合物の堆積量の割合は、ラマン分光分析による定量やAF
M,STMなどによる体積定量などによって求めることがで
きる。
【0062】第1段の工程での該有機物質の分圧として
は、安定な電子放出特性を有するために必要な1素子当
りの炭素あるいは炭素化合物の堆積量と、同時に活性化
する素子数、さらに活性化時間と、有機物質が堆積する
炭素あるいは炭素化合物に変換(反応)される変換効率
(反応効率)によって、最低限必要な分圧を求めること
ができるが、5×10-4Pa以上の雰囲気が好ましい。ま
た、第2段の工程での有機物質の分圧としては、本発明
者らが鋭意検討した結果、5×10-3Pa以下の雰囲気が好
ましいことがわかった。
【0063】本発明では、この2段階の活性化工程の
内、1段目の活性化工程で素子電流や放出電流等の電気
的特性を検出し、この評価結果に基づいて第1段目の活
性化を終了することを特徴とする製造方法である。
【0064】第1段目の活性化は、有機物質の分圧が大
きい雰囲気下の活性化であるため、カーボン膜堆積量が
大きく、素子電流もほぼ最終的な値に近い電流値に引き
上げられる。第2段目の活性化は、素子電流によるジュ
ール熱と放出電子の照射によって、第1段目の活性化で
堆積されたカーボン膜の結晶性を向上させているものと
推測され、これにより、電子放出素子の駆動経時安定性
が向上していると考えられている。
【0065】第1の活性化工程でのカーボン膜の堆積速
度は、フォーミング工程で形成された第1の間隔の形状
や、基板の温度分布、局所的な有機物質の分圧によって
異なる。基板上に多数の電子放出素子を有する電子源基
板を活性化する場合、基板面内の位置によって、この堆
積速度が異なるので、第1の活性化工程で、カーボン膜
の堆積量をそろえることによって、得られる電子源の均
一性が向上することが判明した。
【0066】第1の活性化工程で検出される導電性膜の
電気的特性は、電子放出素子の電極間を流れる素子電
流、導電性膜から放出される放出電流、電子放出効率
(=放出電流/素子電流)が挙げられる。第1の活性化
工程の終了時点を基準となる素子電流値によって行う場
合、その基準電流値は、第2の活性化工程の終了時に得
られる素子電流以上の電流値とした方が好ましい。ま
た、場合によっては、第1の活性化工程の終了は、電気
的特性に基づいて判断された時点から、予め決められた
一定時間後に行っても良い。素子電流は、電子放出部近
傍に堆積しているカーボン膜の増大とともに、吸着して
いる有機物質の量が多い場合も素子電流は大きくなるこ
とが知られている。この吸着による電流は、雰囲気中の
有機物質の分圧によって変動する。
【0067】第1の活性化工程は、第2の活性化工程よ
り雰囲気中の有機物質の分圧が大きいため、このような
有機物質の吸着やイオン化による素子電流への寄与分が
多くなる。本発明では、少なくとも第2の活性化工程で
得られる電流値以上の基準値を用いて第1の活性化工程
を行うことで、第2の活性化工程で大量の有機物質が消
費されることがなくなり、短時間の活性化工程と、電子
源の特性の均一性を確保することができた。
【0068】これらの電流値を測定する際の電圧値は、
活性化工程で印加される電圧値と等しい値であっても良
いし、これより低い電圧値での電流値等であっても良
い。特に、第1の活性化工程では、有機物質の分圧が大
きいので、カーボン膜の堆積が過剰になると、オーミッ
クな電流が増大し、素子電流の非線形性が得られなくな
る。そこで、しきい値電圧での素子電流値を検出して、
第1の活性化工程の終点を決める場合もある。
【0069】活性化電圧より小さい電圧での電流の計測
は、活性化に用いられる電圧波形を階段状にしたり、一
定の時間毎に特性評価用の電圧パルスを印加する等の手
法が挙げられる。また、これらの物性値は、電子源基板
上の個々の素子の電気的特性であっても良いし、配線を
介して検出された多数の素子の電気的特性の合計値又は
平均値であっても良い。
【0070】本発明では、電子源上のすべての素子に対
して、第1の活性化工程を終了させた時から第2の活性
化工程開始時までに、その雰囲気中に含まれる有機物質
の分圧を減少させることが必要となる。一般に、有機物
質の分圧減少は、有機物質の供給源から真空チャンバー
内に導入される有機物質の供給量を減少させることによ
り行われる。本発明では、雰囲気中の有機物質の分圧を
減少させる際には、電子源上のすべての素子に対して電
圧を印加しないことを特徴とする。
【0071】第1の活性化工程終了後、有機物質の分圧
を減少させる際に電子源上の素子に電圧を印加すると、
電圧印加時の有機物質分圧が大きいので、第1の活性化
工程で形成されたカーボン膜上に新たにカーボン膜が堆
積してしまう。過剰なカーボン膜の堆積は、電子放出素
子の特性に悪影響を(特に電子放出効率の低下)を及ぼ
し、また、第1の活性化工程で形成された素子の均一性
が失われる可能性がある。
【0072】活性化工程終了後は、個別素子の場合と同
様に、安定化工程を行うことが好ましい。外囲器164
を加熱して、80〜250℃に保持しながら、イオンポ
ンプ、ソープションポンプなどのオイルを使用しない排
気装置135によりの排気管132を通じて排気し、有
機物質の十分少ない雰囲気にした後、排気管をバーナー
で熱して溶解させて封じきる。
【0073】外囲器164の封止後の圧力を維持するた
めに、ゲッター処理を行なうこともできる。これは、外
囲器164の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加
熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱により、外囲器1
64内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを
加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常
はBa等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、
外囲器164内の雰囲気を維持するものである。
【0074】本発明では、上述した外囲器を形成した後
に、フォーミング工程、活性化工程を行うほかに、これ
らの工程を行った電子源基板を用いて外囲器を作成する
ことも可能である。電子源基板に対して、フォーミング
工程と活性化工程を行う例としては、真空チャンバー内
部に電子源基板を投入して行う手法以外に、図11に示
したような基板ステージと真空容器からなる装置によっ
ても行うことも可能である。基板ステージ215上の電
子源基板210は、その周辺部を除く領域を真空容器2
12で覆われている。真空容器212は、内部空間を有
するフード形状であり、Oリング213によって電子源
基板の周辺部以外は外界からシールされている。
【0075】真空容器内部を排気する際は、電子源基板
の表裏の圧力差による基板の変形や破損を防ぐために、
基板ステージ215に静電チャック216を具備するも
のである。静電チャック216による基板の固定は、該
静電チャックの中に置かれた電極(不図示)と電子源基
板210との間に電圧を印加して静電力により電子源基
板210を基板ステージ215に吸引するものである。
電子源基板210に所定の電位を所定の値に保持するた
め、基板の裏面にはIT0膜などの導電性膜を形成す
る。なお、静電チャック方式による基板の吸着のために
は、静電チャックの中に置かれた電極(不図示)と基板
の距離が短くなっている必要があり、いったん別の方法
で電子源基板210を静電チャック216に押し付ける
ことが望ましい。
【0076】図11に示す装置では、静電チャック21
6の表面に形成された溝221の内部を排気して電子源
基板210を大気圧により静電チヤックに押し付け、高
圧電源(不図示)により静電チャックの中に置かれた電
極(不図示)に高電圧を印加することにより、基板を十
分に吸着する。この後真空チャンバー212の内部を排
気しても基板にかかる圧力差は静電チャックによる静電
力によりキャンセルされて、基板が変形したり、破損す
ることが防止できる。更に、該静電チャック216と電
子源基板210の間の熱伝導を大きくするために、上述
の様にいったん排気した溝221内に熱交換のための気
体を導入することが望ましい。気体としては、Heが好
ましいが、他の気体でも効果がある。
【0077】熱交換用の気体を導入することで、溝22
1のある部分での電子源基板210と静電チャック21
6の間の熱伝導が可能となるのみならず、溝221のな
い部分でも単に機械的接触により電子源基板210と静
電チャック216が熱的に接触している場合に比べ、熱
伝導が大きくなるため、全体としての熱伝導は大きく改
善される。これにより、フォーミングや活性化などの処
理の際、電子源基板210で発生した熱が容易に静電チ
ャック216を介して基板ステージ215に移動して、
電子源基板210の温度上昇や局所的な熱の発生による
温度分布の発生が抑えられるほか、基板ステージ215
にヒーターや冷却ユニットなどの温度制御手段を設ける
ことにより、基板の温度をより精度良く制御できる。
【0078】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図8を用いて説明する。図8において、10
1は画像表示表示パネル、102は走査回路、103は
制御回路、104はシフトレジスタである。105はラ
インメモリ、106は同期信号分離回路、107は変調
信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。表示
パネル101は、端子Dox1乃至Doxm、端子Do
y1乃至Doyn、及び高圧端子Hvを介して外部の電
気回路と接続している。端子Dox1乃至Doxmに
は、表示パネル内に設けられている電子源、即ち、m行
n列の行列状にマトリクス配線された電子放出素子群を
一行(n素子)ずつ順次駆動する為の走査信号が印加さ
れる。
【0079】端子Doy1乃至Doynには、前記走査
信号により選択された一行の電子放出素子の各素子の出
力電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。高
圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば10kV
の直流電圧が供給されるが、これは電子放出素子から放
出される電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネ
ルギーを付与する為の加速電圧である。走査回路102
について説明する。同回路は、内部にm個のスイッチン
グ素子を備えたもので(図中,S1ないしSmで模式的
に示している)ある。各スイッチング素子は、直流電圧
源Vxの出力電圧もしくは0V(グランドレベル)のい
ずれか一方を選択し、表示パネル101の端子Dox1
ないしDoxmと電気的に接続される。
【0080】S1乃至Smの各スイッチング素子は、制
御回路103が出力する制御信号Tscanに基づいて
動作するものであり、例えばFETのようなスイッチン
グ素子を組み合わせることにより構成することができ
る。直流電圧源Vxは、本例の場合には電子放出素子の
特性(電子放出しきい値電圧)に基づき走査されていな
い素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧以
下となるような一定電圧を出力するよう設定されてい
る。
【0081】制御回路103は、外部より入力する画像
信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動
作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同期
信号分離回路106より送られる同期信号Tsyncに
基づいて、各部に対してTscanおよびTsftおよ
びTmryの各制御信号を発生する。
【0082】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数分
離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号
分離回路106により分離された同期信号は、垂直同期
信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上
Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分
離された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表
した。該DATA信号はシフトレジスタ104に入力さ
れる。
【0083】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する(即ち、制御信号Tsftは,シフトレジスタ
104のシフトクロックであるということもできる)。
シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放
出素子M素子分の駆動データに相当)のデータは、Id
1乃至Idnのn個の並列信号として前記シフトレジス
タ104より出力される。
【0084】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmryに従
って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶され
た内容は、I’d1乃至I’dnとして出力され、変調
信号発生器107に入力される。
【0085】変調信号発生器107は、画像データI’
d1乃至I’dnの各々に応じて電子放出素子の各々を
適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信号
は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パネル10
1内の電子放出素子に印加される。
【0086】入力信号に応じて、電子放出素子を変調す
る方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式等が
採用できる。電圧変調方式を実施するに際しては、変調
信号発生器107として、一定長さの電圧パルスを発生
し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値を変
調するような電圧変調方式の回路を用いることができ
る。
【0087】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器107として、一定の波高値の電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる
ことができる。シフトレジスタ104やラインメモリ1
05は、デジタル信号式のものをもアナログ信号式のも
のをも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換
や記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0088】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには106の出力部にA/D変
換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ10
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器107に用いられる回路が若干異なった
ものとなる。
【0089】即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式
の場合、変調信号発生器107には、例えばD/A変換
回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パ
ルス幅変調方式の場合、変調信号発生器107には、例
えば高速の発振器および発振器の出力する波数を計数す
る計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリ
の出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せ
た回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパル
ス幅変調された変調信号を電子放出素子の駆動電圧にま
で電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0090】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプなど
を用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフ
ト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式
の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VOC)を
採用でき、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧まで電
圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0091】このような構成をとり得る本発明の画像表
示装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Do
x1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを介して電圧
を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子H
vを介してメタルバック85、あるいは透明電極(不図
示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速され
た電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形
成される。
【0092】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL,SECAM方式など他、
これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、
MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用
できる。
【0093】図12は、はしご型配置の電子源の一例を
示す模式図である。図12において、110は電子源基
板、111は電子放出素子である。112のDx1〜D
x10は、電子放出素子111を接続するための共通配
線である。電子放出素子111は、基板110上に、X
方向に並列に複数個配されている(これを素子行と呼
ぶ)。この素子行が複数個配されて、電子源を構成して
いる。各素子行の共通配線間に駆動電圧を印加すること
で、各素子行を独立に駆動させることができる。即ち、
電子ビームを放出させたい素子行には、電子放出しきい
値以上の電圧を、電子ビームを放出しない素子行には、
電子放出しきい値以下の電圧を印加する。各素子行間の
共通配線Dx2〜Dx9は、例えばDx2、Dx3を同
一配線とすることもできる。
【0094】図13は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図で
ある。120はグリッド電極121は電子が通過するた
め空孔、122はDox1,Dox2,...Doxm
よりなる容器外端子である。123は、グリッド電極1
20と接続されたG1,G2,..Gnからなる容器外
端子、124は各素子行間の共通配線を同一配線とした
電子源基板である。
【0095】図13に示した画像形成装置と、図6に示
した単純マトリクス配置の画像形成装置との大きな違い
は、電子源基板110とフェースプレート86の間にグ
リッド電極120を備えているか否かである。
【0096】図113においては、基板110とフェ−
スプレ−ト86の間には、グリッド電極120が設けら
れている。グリッド電極120は、電子放出素子から放
出された電子ビ−ムを変調するためのものであり、はし
ご型配置の素子行と直交して設けられたストライプ状の
電極に電子ビ−ムを通過させるため、各素子に対応して
1個ずつ円形の開口121が設けられている。グリッド
の形状や設置位置は図12に示したものに限定されるも
のではない。例えば、開口としてメッシュ状に多数の通
過口を設けることもできるし、グリッドを放出素子の周
囲や近傍に設けることもできる。
【0097】容器外端子122およびグリッド容器外端
子123は、不図示の制御回路と電気的に接続されてい
る。本例の画像形成装置では、素子行を1列ずつ順次駆
動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に画像
1ライン分の変調信号を同時に印加する。これにより、
各電子ビ−ムの蛍光体への照射を制御し、画像を1ライ
ンずつ表示すことができる。本発明の画像形成装置は、
テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコ
ンピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用い
て構成された光プリンターとしての画像形成装置等とし
ても用いることができる。
【0098】
【実施例】以下、本発明の電子源、及び画像形成装置の
製造方法の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0099】(実施例1)本実施例の電子源の一部の平
面図を図14(a)に示す。また、一部の素子の断面図
を図14(b)に示す。図において、91は基体、98
は行方向配線(200行)、99は列方向配線(600
列)、4は導電性膜、5は導電性薄膜4の間隙2,3は
素子電極、97は層間絶縁層である。
【0100】次に、製造方法を工程順に従って具体的に
説明する。 工程−1 清浄化した青板ガラス基体91上に素子電極2,3を複
数対、オフセット印刷法によって作成した。素子電極間
隔Lは20μm、素子電極の幅Wを125μmとした。
【0101】工程−2 列方向配線99をスクリーン印刷法で作成した。次に、
厚さ1.0μmの層間絶縁層97をスクリーン印刷法に
より作成した。さらに、行方向配線98を印刷した。
【0102】工程−3 ポリビニルアルコールを重量濃度0.05%、2−プロ
パノールを重量濃度15%、エチレングリコールを重量
濃度1%を溶解した水溶液に、テトラモノエタノールア
ミン−パラジウム酢酸(Pd(NH2CH2CH2OH)
4(CH3COO)2)をパラジウム重量濃度が約0.
15%となるように溶解して黄色の溶液を得た。
【0103】上記の水溶液の液滴をバブルジェット(登
録商標)方式のインクジェット装置(キヤノン(株)製
バブルジェットプリンタヘッドBC−01を使用)によ
って、各素子電極及び素子電極間に4回同箇所に付与し
た。
【0104】工程−4 工程−3で作成した試料を、350℃で大気中焼成し
た。こうして形成されたPdOからなる微粒子構造の導
電性膜を、上記複数対の素子電極2,3間の夫々に形成
した。以上の工程により基体91上に、図15に示すよ
うな、複数の行方向配線98及び複数の列方向配線99
によってマトリクス配線された複数の導電性膜4を形成
した。
【0105】次に、工程−4を終えた、図15の基体9
1を図16の真空処理装置に設置した。真空ポンプにて
10-5Paの真空度まで排気した。図16の真空処理装
置について説明する。図16は真空処理装置の一例を示
す模式図であり、この真空処理装置はフォーミング工
程,活性化工程,安定化工程を行えるだけではなく、測
定評価装置としての機能をも兼ね備えている。尚、図1
6においては、図示の便宜上、行方向配線98、列方向
配線99、層間絶縁層97、素子電極2,3、導電性膜
4は省略している。
【0106】図16において、75は真空容器であり、
76は排気ポンプである。71は、上記各導電性膜4に
電圧Vfを印加するための電源、70は素子電極2,3
間の導電性膜4を流れる素子電流Ifを測定するための
電流計、74は、各導電性膜4に形成された電子放出部
より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード
電極である。73はアノード電極74に電圧を印加する
ための高圧電源、72は、各導電性膜4に形成された電
子放出部より放出される放出電流Ieを測定するための
電流計である。一例として、アノード電極の電圧を1k
V〜10kVの範囲とし、アノード電極74と基体91
との距離Hを2mm〜8mmの範囲として測定を行うこ
とができる。また、77は活性化工程を行う際に使用す
る有機ガス発生源である。
【0107】真空容器75内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。排気ポンプ76は、ターボポンプ、ドライポン
プ、イオンポンプ等からなる超高真空装置系により構成
した。ここに示した電子源基体を配した真空処理装置の
全体は、不図示のヒーターにより350℃まで加熱でき
る。
【0108】工程−5 続いて、図16の真空処理装置内でフォーミング工程を
施した。真空容器75内を10-5Paまで排気後、基体
91上の行方向配線98及び列方向配線99を介して複
数の導電性膜4の各々に電圧を印加してフォーミングを
行なった。尚、上記電圧の印加は、各ライン(行方向配
線)毎に行った。上記電圧の印加により、各導電性膜4
の部位に亀裂が形成された。ここで、通電フォーミング
の電圧波形はパルス波形で、パルス波高値を0Vから
0.1Vステップで増加させる電圧パルスを印加した。
電圧波形のパルス幅とパルス間隔はそれぞれ1mse
c,10msecとした矩形波とした。通電フォーミン
グ処理の終了は、導電性膜の抵抗値が1MΩ以上とし
た。
【0109】図17に本実施例で用いたフォーミング波
形を示す。なお、素子電極2,3において、一方の電極
を低電位として他方を高電位側として電圧は印加され
る。 工程−6 10-5Paまで排気後、1段階目の活性化工程として、
トルニトリルを分圧にして1×10-2Paまで導入し、
基体91上の行方向配線98及び列方向配線99を介し
て上記複数の導電性膜4の各々に電圧を印加した。この
電圧印加は、各ライン(行方向配線)毎に線順次走査で
行われ、パルス波高値を15Vで固定,パルス幅を1m
sec,パルス間隔を10msecとした矩形波のパル
スの印加が行われた。尚、各ライン(行方向配線)に対
して1分間の電圧印加を行った。以上により1段階目の
活性化工程を終了した。
【0110】次に2段階目の活性化工程として、トルニ
トリルを分圧にして1×10-4Paまで排気装置によっ
て低下させ、1段階目の活性化工程と同様に各ライン
(行方向配線)に対して10分間程度の電圧印加を行
い、各ラインとも素子電流が平均で15mAになったと
き、2段階目の活性化工程を終了した。
【0111】図18に、以上の1段階目及び2段階目の
活性化工程で用いたパルス波形を示す。本実施例では、
素子電極2,3に対して交互に低,高電位がパルス間隔
毎に入れ替わるように印加した。ここで、図19に、本
実施例の活性化工程における素子電流の経時変化を示し
た。1段階目の活性化工程では著しい素子電流の増加が
見られるものの、2段階目の活性化工程では素子電流の
増加が少ないことがわかる。
【0112】1段目の活性化工程終了時と2段階目の活
性化工程終了時に、各導電性膜4上に堆積した炭素ある
いは炭素化合物をラマン分光分析(レーザー波長:51
4.5nm、スポット径:約1μm)により解析した結
果、計測された1580cm-1付近と1335cm-1付
近のピークの積分強度の変化から、1段階目の活性化工
程で堆積した炭素あるいは炭素化合物の堆積量は、2段
階目の活性化工程終了時の最終的な炭素あるいは炭素化
合物の堆積量の85%であった。以上の工程により、各
導電性膜4には図1(a)、(b)で示したように、炭
素膜4aが形成された。
【0113】工程−7 つづいて安定化工程を行った。安定化工程は、真空容器
内の雰囲気などに存在する有機ガスを排気し、各導電性
膜4上への更なる、炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑
制し、素子電流If,放出電流Ieを安定させる工程で
ある。真空容器全体を250℃に加熱して、真空容器内
壁や基体91上に吸着した有機物質分子を排気した。こ
のとき、真空度は1×10-6Paであった。以上の工程
により、図 14で示した、本実施例の電子源を作成し
た。
【0114】その後、この真空度で各電子放出素子の特
性を測定した結果、平均値で素子電流If=1.5m
A,放出電流Ie=2μAであった。特性の均一性を評
価するため、各電子放出素子の特性の平均値で分散値を
割った値を算出した結果、素子電流If値が15%,放
出電流Ie値が20%であった。
【0115】(比較例)実施例1の工程―5までを終え
た基体91に対して、実施例1の工程―6における活性
化工程を、トルニトリルの分圧を1×10-4Paとし
て、基体91上の行方向配線98及び列方向配線99を
介して複数の導電性膜4の各々に電圧を印加することで
行なった。この電圧印加は、各ライン(行方向配線)毎
に線順次走査で行われ、パルス波高値を15Vで固定、
パルス幅を1msec,パルス間隔を10msecとし
た矩形波のパルスを印加することで行われ、各ライン
(行方向配線)に60分間印加された。以降、2段階目
の活性化工程を行わなかった以外は、実施例1と同様に
電子源を作成した。特性の均一性評価のため、実施例1
と同様に、各電子放出素子の特性の平均値で分散値を割
った値を算出した結果、素子電流If値が25%,放出
電流Ie値が30%であった。
【0116】(実施例2)本実施例では、表示等に用い
る画像形成装置を説明する。図6は、本実施例における
画像形成装置の基本構成図であり、図7(a)は、蛍光
膜である。電子源の一部の平面図を図20に示す。ま
た、図20中のA−A’断面図を図21に示す。但し、
図20、図21で、同じ記号を示したものは、同じもの
を示す。ここで71は基板、72は図6のDoyn端子
に接続された列方向配線(下配線とも呼ぶ)、73は図
6のDoxm端子に接続された行方向配線(上配線とも
呼ぶ)、4は電子放出部を含む薄膜、2、3は素子電
極、151は層間絶縁層、152は素子電極2と下配線
72と電気的接続のためのコンタクトホールである。
【0117】本実施例の電子源には、行方向配線上に6
00個、列方向配線上に200個の電子放出素子が形成
されている。次に製造方法を図22、23により工程順
に従って具体的に説明する。
【0118】工程−a 青板ガラス(厚さ2.8mm)上に厚さ0.5mmのシ
リコン酸化膜をスパッタ法で形成した基体71上に、真
空蒸着により厚さ5nmのCr、厚さ600nmのAu
を順次積層した後、ホトレジスト(AZ1370ヘキス
ト社製)をスピンナーにより回転塗布、ベークした後、
ホトマスク像を露光、現像して、下配線72のレジスト
パターンを形成し、Au/Cr堆積膜をウヱットエッチ
ングして、所望の形状の下配線72を形成する(図22
(A))。
【0119】工程−b 次に厚さ1.0mmのシリコン酸化膜からなる層間絶縁
層151をRFスパッタ法により堆積する(図22
(B))。
【0120】工程−c 工程−bで堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール
152を形成するためのホトレジストパターンを作り、
これをマスクとして層間絶縁層151をエッチングして
コンタクトホール152を形成する(図22(C))。
エッチングはCF4とH2ガスを用いたRIE(Rea
ctive Ion Etching)法によった。
【0121】工程−d その後、素子電極2と素子電極3間ギャップGとなるべ
きパターンをホトレジスト(RD−2000N−41日
立化成社製)形成し、真空蒸着法により、厚さ5nmの
Ti、厚さ100nmのNiを順次堆積した。ホトレジ
ストパターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜を
リフトオフした。素子電極間隔L1については5mmと
し、素子電極の幅W1を300mm、を有する素子電極
2、3を形成した(図22(D))。
【0122】工程−e 素子電極3の上に上配線73のホトレジストパターンを
形成した後、厚さ5nmのTi、厚さ500nmのAu
を順次真空蒸着により堆積し、リフトオフにより不要の
部分を除去して、所望の形状の上配線73を形成した
(図23(E))。
【0123】工程−f 膜厚100nmのCr膜を真空蒸着により堆積・パター
ニングし、そのうえに有機Pd(ccp4230奥野製
薬(株)社製)をスピンナーにより回転塗布、300℃
で10分間の加熱焼成処理をした。また、こうして形成
されたPdO微粒子からなる導電性膜4の膜厚は10n
m、シート抵抗値は5×104Ω/□であった。その
後、Cr膜153および焼成後の導電性膜4を酸エッチ
ャントによりエッチングして所望のパターンを形成した
(図23(F))。
【0124】工程−g コンタクトホール152部分以外にレジストを塗布する
ようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ5nmの
Ti、厚さ500nmのAuを順次堆積した。リフトオ
フにより不要の部分を除去することにより、コンタクト
ホール152を埋め込んだ(図23(G))。
【0125】以上の工程により絶縁性の基体71上に、
複数の列方向配線(下配線)72、複数の行方向配線
(上配線)73、両配線間を絶縁する層間絶縁層15
1、両配線によって、素子電極2、3を介してマトリク
ス配線された複数の導電性膜4を形成した。つぎに、以
上のようにして作成された電子源基板を用いて表示装置
を構成した例を、図6、図24を用いて説明する。
【0126】電子源基板71上の上配線73上に、導電
性フリットペーストをディスペンサで塗布し、スペーサ
160の一方の端部をこの上に配置した状態で焼成を行
い、電子源基板上にスペーサを立てた。次に、スペーサ
160の別の端部にディスペンサを用いて塗布した後、
フェースプレート85側では黒色導電材(ブラックスト
ライプ)に合わせて配置し、フリットガラスが塗布され
たと支持枠と共に、420℃で10分以上焼成すること
で図に示した外囲器164を作成した。図6において、
74は以降の工程にて作成される電子放出素子、72、
73はそれぞれ列方向及び行方向の配線である。図24
は、列配線方向での外囲器の断面の概略図である。
【0127】スペーサ160と上配線及びフェースプレ
ート86との固定には、表面にAuメッキを行ったソー
ダライムガラス球をフィラーを含有した導電性フリット
ペーストを用いた。このとき、ソーダライム球の平均粒
径は約8μmとした。また、フィラー表面の導電層形成
は、無電解メッキ法を用い、下地に約0.1μmのNi
膜、その上にAu膜を約0.04μm形成して作製し
た。この導電性フィラーをフリットガラス粉末に対して
30重量%混合し、さらにバインダーを加えて導電性フ
リットペーストを調整した。
【0128】また、スペーサ160は、エッチング法で
幅0.6mm、長さ75mm、高さ4mmに加工したソ
ーダライムガラスを用い、スペーサ160上に酸化ニッ
ケル膜からなる半導電性膜161を設けた。酸化ニッケ
ル膜は、スパッタリング装置を用いて酸化ニッケルをタ
ーゲットにし、アルゴン/酸素混合雰囲気中でスパッタ
リングを行うことにより作製した。なお、スパッタリン
グ時の基板温度は250℃で行った。
【0129】また、スペーサの配置は、1本の上配線上
に、2枚のスペーサを並べて配置し、さらに、10ライ
ン毎にスペーサを配置して、画素領域がスペーサ160
によって上配線方向で10分割されているように配置し
た。
【0130】フェースプレート上の蛍光膜93は、黒色
導電材91と蛍光体92とで構成された、ブラックスト
ライプ配列のカラーの蛍光体95、96、97を用い
た。先にブラックストライプを形成し、その間隙部に各
色蛍光体を塗布し、蛍光膜93を作製した。ガラス基板
に蛍光体を塗布する方法はスラリー法を用いた。また、
蛍光膜93の内面側にはメタルバック85を設けた。メ
タルバック85は、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面
の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、
その後Alを真空蒸着することで作製した。前述の封着
を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子と
を対応させなくてはいけないため、十分な位置合わせを
行った。また、電子源基板上の上配線の両端部と下配線
の端部では、フラットケーブルによって外部に設置され
た電源(不図示)に電気的接続を行った。
【0131】以上のようにして完成した外囲器164を
排気管を介し、磁気浮上型ターボモレキュラーポンプで
排気された前述された図9に示される真空装置と接続
し、フォーミング工程以降の工程を以下のように行っ
た。
【0132】外囲器内部を10-2Paまで排気した後、
外部に設置された、電源から、パルス幅1msの矩形波
をスクロール周波数4.2Hzで順次、上配線に印加し
た。電圧値は、12Vとした。また、下配線は、グラン
ドに接地した。図9に示された真空装置のチャンバー1
33内部に水素と窒素の混合ガス(2%水素、98%窒
素)を導入し、圧力は1000Paに保った。ガス導入
は、マスフローコントローラ139によって制御し、一
方、チャンバー133からの排気流量は、排気装置13
5と流量制御用のコンダクタンスバルブによって制御し
た。
【0133】10分間通電処理を行ったところ、導電性
膜を流れる電流値がほぼ0になり、電圧印加を中止し、
チャンバー133内部の水素と窒素の混合ガスを排気し
てフォーミングを完了させ、基体71上の複数の導電性
膜に亀裂を形成することで電子放出部を作成した。
【0134】次に、活性化工程を以下の第1と第2の2
段階の工程で行った。 <第1の活性化工程>上記真空装置の真空チャンバー1
33を経由して、外囲器164内にベンゾニトリルを
6.6×10-2Paで導入した。図25は、外囲器の容
器外端子と活性化工程で電圧印加するための電源との接
続を示した図である。容器外端子Doy1〜Doyn
(n=600)を共通にして接地した。
【0135】一方、容器外端子Dox1〜Dox50、
容器外端子Dox51〜Dox100、容器外端子Do
x101〜Dox150、容器外端子Dox151〜D
ox200をそれぞれスイッチングボックスA、B、
C、Dを介して、電源A、B、C、Dに接続した。な
お、それぞれのスイッチングボックスと容器外端子の間
には、配線を流れる電流を測定するための電流計から構
成される電流評価系A、B、C、Dを接続した。
【0136】電源A〜Dは、制御装置からの同期信号に
よって制御され、活性化波形の位相をそろえ、また、そ
れぞれのスイッチングボックスと電源を同期させること
によって、Dox1〜Dox50とDox51〜Dox
100、Dox101〜Dox150とDox151〜
Dox200の50ラインのラインブロックの中で、そ
れぞれ10ラインを選択し、この10ラインに時分割
(スクロール)で電圧を印加した。
【0137】これによって、外囲器中の電子源基板の4
本の上配線に同時に電圧が印加され、それぞれの上配線
に接続された導電性膜4に対して、第1の活性化工程を
行った。活性化工程での電圧印加条件は、波高値は±1
4V、パルス幅1msec、パルス間隔10msecの
両極の矩形波(図4(b))を用いた。
【0138】10ラインのスクロール中に各上配線に流
れる電流値を電流評価系で測定し、この電流値が1Aを
超えたところで、スイッチングボックスを制御して対応
する上配線への電圧印加を中断した。この工程を、5回
繰り返し、すべての導電性膜4を活性化した。
【0139】<第2の活性化工程 >その後、外囲器1
64内のベンゾニトリルの圧力を6.6×10-4Paま
で下げた。第1の活性化工程と同様に、10ラインに時
分割で電圧を印加し、対応する導電性膜4に接続された
の電極2、3間に電圧を印加し、第2の活性化工程を行
った。活性化工程での印加電圧波形は、第1の活性化工
程と同様に行い、活性化時間を一律30分間行った。終
了時の上配線に流れる素子電流は、800mAから1A
の範囲であった。尚、各導電性膜4上には図1(a)、
(b)に示したように炭素膜4aが形成されていた。
【0140】最後に安定化工程として、約1.33×1
0-4Paの圧力で、150℃10時間のベーキングを行
った後、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで
溶着し外囲器164の封止を行った。
【0141】以上のように完成した本実施例の画像形成
装置において、各電子放出素子には、容器外端子Dox
1ないしDoxm(m=200)とDoy1ないしDo
yn(n=600)を通じ、走査信号及び変調信号を不
図示の信号発生手段よりそれぞれ、印加することによ
り、電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタルバック
85に6kV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速
し、蛍光膜93に衝突させ、励起・発光させることで画
像を表示した。
【0142】また、行方向配線と列方向配線のそれぞれ
からパルス電圧を印加し、画像形成装置内の各電子放出
素子の電子放出特性(素子電流If、放出電流Ie)の
ばらつきを測定したところ、Ifで11%、Ieで15
%であった。ここで、ばらつきは、各素子のIf、Ie
値の平均値でその分散値を割った値とした。
【0143】(実施例3)実施例2の第1の活性化工程
で、素子電流の評価を行わず、全ライン活性化時間を1
分として行った以外は同様に行った。得られた画像形成
装置における各電子放出素子の電子放出特性(If、I
e)のばらつきを測定したところ、Ifで15%、Ie
で20%であった。
【0144】(実施例4)第1の活性化工程での電圧波
形を図26に示した波形で行い、活性化電圧の半分の電
圧(Vf1/2)での素子電流(If1/2)を測定し
ながら活性化を行った以外は実施例2と同様に行った。
図26で、T1は10ms、T2は0.9ms、T3は
0.1msとした。各ラインでのIf1/2が0.6m
Aを超えた時点で、各ラインへの電圧の印加を中止し
た。得られた画像形成装置における各電子放出素子の電
子放出特性(If、Ie)のばらつきを測定したとこ
ろ、Ifで9%、Ieで11%であった。
【0145】(実施例5)実施例2の活性化工程で上配
線に流れる電流値が600mAを越えたところで第1の
活性化工程を終了した。第2の活性化工程以降は実施例
1と同様に行った。第2の活性化工程終了時の上配線に
流れる素子電流は、350mAから500mAの範囲で
あった。また、得られた画像形成装置における各電子放
出特性(If、Ie)のバラツキを測定したところ、I
fで25%、Ieで30%であった。また、第2の活性
化工程の時間を延長して行ったところ、素子電流が約6
00mAになるために、約2.5時間要した。
【0146】(実施例6)実施例6は、個々の導電性膜
に流れるの素子電流を評価することによって、第1の活
性化工程を行った例であり、フォーミング工程までは、
実施例2と同様に行った。
【0147】<第1の活性化工程>図27は、本実施例
で用いた外囲器の容器外端子と活性化工程で電圧を印加
するための電源との接続を示した図である。下配線を流
れる電流を測定するために、容器外端子Doy1〜Do
yn(n=600)を電流計から構成される電流測定系
を介して、共通にして接地した。一方、容器外端子Do
x1〜Dox50、容器外端子Dox51〜Dox10
0、容器外端子Dox101〜Dox150、容器外端
子Dox151〜Dox200をそれぞれ、スイッチン
グボックスA、B、C、Dを介して、電源A、B、C、
Dに接続した。尚、それぞれのスイッチングボックスと
容器外端子の間には、配線を流れる電流を測定するため
の電流計から構成される電流評価系A、B、C、Dを接
続した。
【0148】電源A〜Dは、制御装置からの同期信号に
よって制御され、活性化波形の位相をそろえ、また、そ
れぞれのスイッチングボックスと電源を同期させること
によって、Dxo1〜Dxo50とDxo51〜Dxo
100、Dxo101〜Dxo150とDxo151〜
Dox200の50ラインのラインブロックの中で、そ
れぞれ10ラインを選択し、この10ラインに時分割
(スクロール)で電圧を印加した。これによって、外囲
器中の電子源基板の4本の上配線に同時に電圧が印加さ
れ、それぞれの上配線に接続された導電性膜4に対し
て、第1の活性化工程を行った。
【0149】活性化工程での電圧印加条件は、波高値は
±14V、パルス幅1msec、パルス間隔10mse
cの両極の矩形波(図4(b))を用いた。ただし、1
0秒毎(1000スクロール毎)に、制御装置によって
電源A〜Dの内、順次1つの電源のみを出力させ(他の
3つの電源の出力電圧をゼロにして)、Dxo1〜Dx
o50とDxo51〜Dxo100、Dxo101〜D
xo150とDxo151〜Dox200の50ライン
のラインブロックの中で、それぞれ10ラインを選択
し、この10ラインに時分割(スクロール)で30ms
間、電圧を印加した。
【0150】この時の下配線に流れる電流を測定し、活
性化中の上配線に接続された個々の導電性膜に流れる素
子電流を測定した。活性化中での600個の導電性膜の
素子電流の平均値が2mAを超えたところで、スイッチ
ングボックスを制御して対応する上配線への電圧印加を
中断した。この工程を、5回繰り返し、すべての導電性
膜4を活性化した。第2の活性化工程以降は実施例2と
同様に行った。得られた画像形成装置における各電子放
出素子の電子放出特性(If、Ie)のばらつきを測定
したところ、Ifで10%、Ieで14%であった。
【0151】(実施例7)実施例7は、素子電流と電子
放出素子から放出される電流値を測定し、電子放出効率
ηを評価することによって第1の活性化工程の終点を制
御した。フォーミング工程までは、実施例2と同様に行
った.。
【0152】<第1の活性化工程>また、外囲器の容器
外端子と活性化工程で電圧印加するための電源との接続
は、図25の接続を用いた。また、活性化電圧は、実施
例6と同様に10ライン単位のスクロールで行い、10
秒毎(1000スクロール毎)に、制御装置によって電
源A〜Dの内、順次1つの電源のみを出力させ(他の3
つの電源の出力電圧をゼロにして)、Dxo1〜Dxo
50とDxo51〜Dxo100、Dxo101〜Dx
o150とDxo151〜Dox200の50ラインの
ラインブロックの中で、それぞれ10ラインを選択し、
この10ラインに時分割(スクロール)で30ms間、
電圧を印加した。
【0153】10秒毎の上配線のスクロールの際に、上
配線に接続された600個の導電性膜4に流れる素子電
流Ifと放出電流Ieの合計値を測定した。なお、放出
電流の測定には、高圧電源(不図示)により、フェース
プレート上の蛍光膜に100Vの電圧を印加して行っ
た。
【0154】各上配線単位での電子放出効率η(=放出
電流Ie/素子電流If)を計算し、その値が0.05
%を下回った時点で、その配線への電圧印加を中止し
た。この工程を、5回繰り返し、すべての導電性膜を活
性化した。第2の活性化工程以降は実施例2と同様に行
った。得られた画像形成装置における各電子放出素子の
電子放出特性(If、Ie、η)のばらつきを測定した
ところ、Ifで11%、Ieで13%、ηで13%であ
った。
【0155】(実施例8)実施例2の第1の活性化工程
で、上配線の電流値が1Aを超えた時点から、5分後に
上配線への電圧印加を中断した。上記以外は、実施例2
同様に行った。得られた画像形成装置における各電子放
出素子の電子放出特性(If、Ie)のばらつきを測定した
ところ、Ifで10%、Ieで12%であった。
【0156】(実施例9)図28に示した構成の電子源
基板を以下のように作成した。まず、SiO2層を形成
したガラス基板(サイズ350×300mm、厚さ2.8mm)上に
フセット印刷法によりPtペーストを印刷し、加熱焼成
して、厚み50nmの素子電極202、203を形成し
た。
【0157】次に、スクリーン印刷法によりAgペース
トを印刷し、加熱焼成する事により、列方向配線(下配
線)207(720本)及び行方向配線(上配線)20
8(240本)を形成し、列方向配線207と行方向配
線208交差部にはスクリーン印刷法により絶縁性ペー
ストを印刷し、加熱焼成して絶縁層209を形成した。
また、列方向配線207と行方向配線208と外部の電
源と電気的な接続を行うために、電子源基板210の端
部に配線の取り出しパターン211をスクリーン印刷法
で形成した。また、後述する静電チャックによる基板保
持のために、ガラス基板の裏面にITO膜218(10
0nm厚)をスパッタ法で成膜した。
【0158】次に、素子電極202、203間にバブル
ジェット方式の噴射装置を用い、パラジウム錯体溶液を
滴下し、350度で30分間加熱して酸化パラジウムの
微粒子からなる導電性膜204を形成した。導電性膜2
04の膜厚は20nmであった。以上のようにして、複
数の導電性膜204が、複数の行方向配線208及び複
数の列方向配線207によってマトリクス配線された電
子源基板210を作成した。
【0159】以上のように作成した電子源基板210に
対し、図11に示すような真空排気装置を用いて、以下
のフォーミング工程と活性化工程とを行った。図11に
示すように、ステージ215上に設置された電子源基板
210を、電子源基板上210に設けられた取り出しパ
ターン211(図29参照)を除く領域を覆う真空容器
212によって覆った。電子源基板210と真空容器2
12間は、電子源基板上に作成された素子部領域を囲む
ようにOリング213を配置し、素子部領域は、外界に
対してシールされている。ステージには、電子源基板2
10をステージ上に固定するための静電チャック216
を有していて、電子源基板210の裏面に形成されたI
TO膜214と静電チャック内部の電極間に1kVを印
加して、電子源基板210をチャックした。
【0160】次に、真空容器内部を磁気浮上型ターボモ
レキュラーポンプ217で排気し、フォーミング工程以
降の工程を以下のように行った。真空容器内部を10-4Pa
まで排気した。また、上配線、下配線への電圧印加は、
真空容器外部に出ている、各配線の取り出しパターン2
11にコンタクトピンを接触させた。ここで、上配線2
08の取り出しパターン211にはコンタクトピンCox
1〜Coxm(m=240) を、一方、下配線207の取り出
しパターン211にはCoy1〜Coyn(n=720)(不図
示)をされぞれ接触させた。
【0161】これを介して、外部に設置された、電源2
18から、パルス幅1msの矩形波をスクロール周波数
4.2Hzで順次、上配線に印加した。電圧値は、12Vとし
た。また、下配線は、グランドに接地した。真空容器内
部に水素と窒素の混合ガス(2%水素、98%窒素)を
導入し、圧力は1000Paに保った。ガス導入は、マスフ
ローコントローラ220によって制御し、一方、真空容
器からの排気流量は、排気装置と流量制御用のコンダク
タンスバルブ219によって制御した。10分間通電処
理を行ったところ、導電性膜を流れる電流値がほぼ0に
なり、電圧印加を中止し、真空容器内部の水素と窒素の
混合ガスを排気して、フォーミングを完了させ、電子源
基板上のすべての導電性膜に亀裂を形成することで電子
放出部を作成した。
【0162】次に、活性化工程を以下の第1と第2の2
段階の工程で行った。 <第1の活性化工程>真空容器内にp-トルニトリルを1.
3×10-3Paを導入した。図30は、本実施例で用いた外
囲器の容器外端子と活性化工程で電圧印加するための電
源との接続を示した図である。まず、下配線207に接
触しているコンタクトピンCoy1〜Coyn(n=720)を共
通にして接地した。一方、上配線208に接触している
コンタクトピンCox1〜Cox240を、30ピン単位で8分
割し、それぞれをスイッチングボックスA〜Hを介し
て、電源A〜Hに接続した。なお、それぞれのスイッチ
ングボックスとコンタクトピンの間には、配線を流れる
電流を測定するための電流計から構成される電流評価系
A〜Hを接続した。
【0163】電源A〜Hは、制御装置からの同期信号に
よって制御され、活性化波形の位相をそろえ、また、そ
れぞれのスイッチングボックスと電源を同期させること
によって、Dox1〜Dox240を30ライン単位で分割し
たラインブロックの中で、それぞれ10ラインを選択し、
この10ラインに時分割(スクロール)で電圧を印加し
た。これによって、電子源基板の8本の上配線に同時に
電圧が印加され、それぞれの上配線に接続された導電性
膜に対して、第1の活性化工程を行った。尚、活性化工
程での電圧印加条件は、波高値は±14V、パルス幅1mse
c、パルス間隔10msecの両極の矩形波(図4(b))を用
いた。10ラインのスクロール中に各上配線に流れる電流
値を電流評価系で測定し、この電流値が1.3Aを超えたと
ころで、スイッチングボックスを制御して対応する上配
線への電圧印加を中断した。この工程を、3回繰り返
し、すべての素子を活性化した。
【0164】<第2の活性化工程 >その後、真空容器
内のp-トルニトリルの圧力を1.3x10-4Paまで下げた。第
1の活性化工程と同様に、10ラインに時分割で電圧を印
加し、対応する導電性膜204の電極2、3間に電圧を
印加し、第2の活性化工程を行った。活性化工程での印
加電圧波形は、第1の活性化工程と同様に行い、活性化
時間を一律30分間行った。終了時の上配線に流れる素子
電流は、1.0Aから1.2Aの範囲であった。以上の工程を終
了した電子源基板210は、ガラス枠及び蛍光体を配置
したフェースプレートと位置合わせを行い、低融点ガラ
スを用いて封着し、真空外囲器を作製した。更に、実施
例2と同様に、前記外囲器内を真空排気した状態で、ベ
ーキング、封止工程等の工程を施し、図6に示す画像形
成装置を作製した。得られた画像形成装置における各電
子放出素子の電子放出特性(If、Ie)のばらつきを測定
したところ、Ifで9%、Ieで10%であった。
【0165】(実施例10)以下に述べる本実施例は、
電子源として、spindt型の電子放出素子を用いた例であ
る。図31には、電子放出素子の作成方法を、図32に
は、この電子放出素子MTXを配置した電子源の構成図
を示す。まず、ガラス基板上に、SiO2の絶縁層30
2を介して、ストライプパターンでアルミニウム電極を
マトリクス配置で成膜、パターンニングし、カソード電
極301、ゲート電極303を作成した。ゲート電極3
03及び絶縁膜302に円形の小穴304を通常のフォ
トリソプロセスによって形成する。アルミナ等よりなる
犠牲層305を導電性基板301に対して浅い角度で蒸
着した。この工程によりゲート口径は縮小すると共にゲ
ート303は犠牲層305に覆われる。エミッタ電極と
なるモリブデン306を導電性基板301に対して垂直
方向から蒸着した。このようにすると、ゲート口は蒸着
の進展に伴って小さくなるので、小穴304の内部に円
錐形状の陰極307が形成された。犠牲層305をウェ
ットエッチングによりリフトオフして不要のモリブデン
306を除去する。得られた電界放射型電子源を実施例
2と同様に、外囲器を作成した。実施例2と同様に、外
囲器内部を真空排気装置によって排気後、ベンゾニトリ
ルを用いて活性化工程を行った。
【0166】<第1の活性化工程>外囲器内部に、ベン
ゾニトリルを1x10-2Pa導入した後に、上方に配置された
アノード電極に5kVの電圧を印加した状態で、カソー
ド電極301とゲート電極303間に100Vのパルス
状の電圧の印加を2分間行なった。このときのアノード
電流を測定すると、ベンゾニトリルを導入していない真
空雰囲気でのアノード電流の10倍に上昇した。
【0167】<第2の活性化工程>次に、外囲器内部の
ベンゾニトリルを1x10-4Paに減少させた後に、アノード
電極に5kV電圧を印加した状態で、カソード電極30
1とゲート電極303間に100Vのパルス状の電圧を
印加を20分間行なった。この20分間に、アノード電
流は2倍に上昇した。活性化終了後、実施例2と同様に
安定化工程として、約1.33×10-4Paの圧力で、150℃
10時間のベーキングを行った後、不図示の排気管をガス
バーナーで熱することで溶着し外囲器の封止を行った。
得られた画像形成装置における各電子放出素子の電子放
出特性14%であった。
【0168】以上説明した実施例の通り、複数の電子放
出素子を同時に処理する活性化工程において、原料とな
る有機物質ガスが不足することなく、電子放出部及びそ
の近傍に、炭素を含む堆積物を堆積させることが可能と
なり、有機物質ガスの供給不足による電子放出特性の均
一性低下を防ぐことができる。さらに複数の活性化工程
を設け、最終的な活性化工程では、該最終的な活性化工
程の前段階の活性化工程よりも有機物質ガスの分圧を低
くすることによって、電子放出特性の最適化が進行し、
ロット内及びロット間での各素子の電子放出特性を均一
で安定性の高いものとすることができる。
【0169】従って、これらにより、輝度ムラの少ない
高品位で安定性の高い画像形成装置を再現性良く提供で
きる。さらに、活性化工程においては、電子放出特性の
均一性を低下させることなく、複数の電子放出素子を同
時に製造することが可能となるため、工程のタクトタイ
ムを短くすることによる生産コストの低下を期待するこ
とができる。
【0170】
【発明の効果】以上のように本発明は、より短い時間で
活性化工程を行なうことのできる電子放出素子、電子源
の製造方法を提供することができる。また、本発明は、
より短い時間での活性化工程で結晶性の良い炭素あるい
は炭素化合物の膜を形成できる電子放出素子、電子源の
製造方法を提供することができる。また、本発明は、複
数の電子放出素子を備える電子源の製造方法において
も、より短い時間で活性化工程を行なうことのできる電
子源の製造方法を提供することができる。また、本発明
は、複数の電子放出素子を備える電子源の製造方法にお
いても、より短い時間での活性化工程で均一性の良い電
子放出素子を備える電子源を作成し得る電子源の製造方
法を提供することができる。また、本発明は、均一な輝
度特性が得られる画像形成装置を得ることのできる画像
形成装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法にて製造される電子放出素子
の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の電子放出素子の製造方法を説明するた
めの図である。
【図3】フォーミング電圧の例を示す図である。
【図4】活性化電圧の例を示す図である。
【図5】複数の電子放出素子のマトリクス配置を示す模
式図である。
【図6】本発明の製造方法にて作成される画像形成装置
の一例を示す図である。
【図7】蛍光膜の例を示す図である。
【図8】画像形成装置の表示を行なうための駆動回路の
一例を示す図である。
【図9】本発明に係わる活性化工程を行なうための真空
装置の一例を示す模式図である。
【図10】本発明に係わるフォーミング工程、活性化工
程のための結線方法を示す模式図である。
【図11】本発明に係わる活性化工程を行なうための真
空装置の別の例を示す模式図である。
【図12】複数の電子放出素子の別の配線方法を示す模
式図である。
【図13】本発明の製造方法にて作成される画像形成装
置の別の例を示す図である。
【図14】本発明の実施例に係る電子源の一部を示す図
である。
【図15】本発明の実施例に係るフォーミング前の電子
源基板の一部を示す図である。
【図16】実施例1で用いられた真空装置の模式図であ
る。
【図17】実施例1で用いられたフォーミング電圧の波
形図である。
【図18】実施例1で用いられた活性化電圧の波形図で
ある。
【図19】実施例1の活性化工程での素子電流の増加特
性図である。
【図20】実施例2に係る電子源の一部を示す図であ
る。
【図21】図20の電子源の部分断面図である。
【図22】実施例2の電子源の製造工程を説明する図で
ある。
【図23】実施例2の電子源の製造工程を説明する図で
ある。
【図24】実施例2の画像形成装置の一部断面図であ
る。
【図25】実施例2の活性化工程のための結線方法を示
す模式図である。
【図26】実施例4で用いられた活性化電圧の波形を示
す図である。
【図27】実施例6の活性化工程のための結線方法を示
す模式図である。
【図28】実施例9に係る電子源の一部を示す図であ
る。
【図29】電子源基板の配線の取り出しパターンを示す
模式図である。
【図30】実施例9の活性化工程のための結線方法を示
す模式図である。
【図31】spindt型電子放出素子の作成工程を説
明するための図である。
【図32】spindt型電子放出素子を用いた電子源
の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2,3 素子電極 4 導電性膜 4a カーボン膜 5 第1の間隔(電子放出部) 5a 第2の間隔 71 電子源基板 72 列方向配線 73 行方向配線 74 電子放出素子 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 164 外囲器 If 素子電流 Ie 放出電流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5C127 AA01 CC11 CC12 DD06 DD07 DD15 DD19 DD42 DD43 DD57 DD83 DD84 DD94 EE04

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、互いに間隔をおいて配置され
    た一対の導電体を形成する工程と、炭素化合物ガスの雰
    囲気中にて、前記一対の導電体の少なくとも一方に炭素
    あるいは炭素化合物を堆積させる活性化工程とを有し、
    前記活性化工程は、第1工程及び第2工程を含む2段階
    以上の複数の工程を有し、前記第1工程は、最終の活性
    化工程である前記第2工程よりも前記炭素化合物ガスの
    分圧が大きい雰囲気中にてなされることを特徴とする電
    子放出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 基板上に、互いに間隔をおいて配置され
    た一対の導電体を複数対形成する工程と、炭素化合物ガ
    スの雰囲気中にて、前記一対の導電体の少なくとも一方
    に炭素あるいは炭素化合物を堆積させる活性化工程とを
    有し、前記活性化工程は、第1工程及び第2工程を含む
    2段階以上の複数の工程を有し、前記第1工程は、最終
    の活性化工程である前記第2工程よりも前記炭素化合物
    ガスの分圧が大きい雰囲気中にてなされることを特徴と
    する電子源の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1工程における炭素化合物ガスの
    分圧は、5×10-4Pa以上であることを特徴とする請
    求項2に記載の電子源の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2工程における炭素化合物ガスの
    分圧は、5×10-3Pa以下であることを特徴とする請
    求項2に記載の電子源の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1工程における炭素あるいは炭素
    化合物の堆積量は、前記第2工程における炭素あるいは
    炭素化合物の堆積量よりも大きいことを特徴とする請求
    項2に記載の電子源の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1工程における炭素あるいは炭素
    化合物の堆積量は、前記第2工程後の炭素あるいは炭素
    化合物の堆積量の70%以上であることを特徴とする請
    求項2に記載の電子源の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第1工程は、前記導電体の電気的特
    性の評価結果に基づいて終了されることを特徴とする請
    求項2に記載の電子源の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記電気的特性は、前記一対の導電体間
    に流れる素子電流であることを特徴とする請求項7に記
    載の電子源の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記素子電流が、ある基準値を超えた時
    点で前記第1工程を終了し、前記基準値が、前記第2工
    程終了時に得られる素子電流値以上の値であることを特
    徴とする請求項8に記載の電子源の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記素子電流が、ある基準値を超えた
    時点から一定時間後に前記第1工程を終了し、前記基準
    値が、前記第2工程終了時に得られる素子電流値以上の
    値であることを特徴とする請求項8に記載の電子源の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 前記電気的特性が、前記活性化工程で
    印加される電圧(Vf)より低い電圧(Vf’)におけ
    る素子電流であることを特徴とする請求項7記載の電子
    源の製造方法。
  12. 【請求項12】 Vf’=Vf/2であることを特徴と
    する請求項11記載の電子源の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記電気的特性が、前記一対の導電体
    間を流れる素子電流と前記導電体から放出される放出電
    流であることを特徴とする請求項7記載の電子源の製造
    方法。
  14. 【請求項14】 前記電気的特性は、前記放出電流と前
    記素子電流の比であることを特徴とする請求項13記載
    の電子源の製造方法。
  15. 【請求項15】 電極間に配置された電子放出部を含む
    導電性膜を形成する工程と、炭素化合物ガスの雰囲気中
    にて、前記導電性膜に炭素あるいは炭素化合物を堆積さ
    せる活性化工程とを有し、前記活性化工程は、第1工程
    及び第2工程を含む2段階以上の複数の工程を有し、前
    記第1工程は、最終の活性化工程である前記第2工程よ
    りも前記炭素化合物ガスの分圧が大きい雰囲気中にてな
    されることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 電極間に配置された電子放出部を含む
    導電性膜を複数形成する工程と、炭素化合物ガスの雰囲
    気中にて、前記導電性膜に炭素あるいは炭素化合物を堆
    積させる活性化工程とを有し、前記活性化工程は、第1
    工程及び第2工程を含む2段階以上の複数の工程を有
    し、前記第1工程は、最終の活性化工程である前記第2
    工程よりも前記炭素化合物ガスの分圧が大きい雰囲気中
    にてなされることを特徴とする電子源の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記第1工程における炭素化合物ガス
    の分圧は、5×10-4Pa以上であることを特徴とする
    請求項16に記載の電子源の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記第2工程における炭素化合物ガス
    の分圧は、5×10-3Pa以下であることを特徴とする
    請求項16に記載の電子源の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記第1工程における炭素あるいは炭
    素化合物の堆積量は、前記第2工程における炭素あるい
    は炭素化合物の堆積量よりも大きいことを特徴とする請
    求項16に記載の電子源の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記第1工程における炭素あるいは炭
    素化合物の堆積量は、前記第2工程後の炭素あるいは炭
    素化合物の堆積量の70%以上であることを特徴とする
    請求項16に記載の電子源の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記第1工程は、前記導電性膜の電気
    的特性の評価結果に基づいて終了されることを特徴とす
    る請求項16に記載の電子源の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記電気的特性は、前記電極間に流れ
    る素子電流であることを特徴とする請求項21に記載の
    電子源の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記素子電流が、ある基準値を超えた
    時点で前記第1工程を終了し、前記基準値が、前記第2
    工程終了時に得られる素子電流値以上の値であることを
    特徴とする請求項22に記載の電子源の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記素子電流が、ある基準値を超えた
    時点から一定時間後に前記第1工程を終了し、前記基準
    値が、前記第2工程終了時に得られる素子電流値以上の
    値であることを特徴とする請求項22に記載の電子源の
    製造方法。
  25. 【請求項25】 前記電気的特性が、前記活性化工程で
    印加される電圧(Vf)より低い電圧(Vf’)におけ
    る素子電流であることを特徴とする請求項21記載の電
    子源の製造方法。
  26. 【請求項26】 Vf’=Vf/2であることを特徴と
    する請求項25記載の電子源の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記電気的特性が、前記電極間を流れ
    る素子電流と前記導電性膜から放出される放出電流であ
    ることを特徴とする請求項21記載の電子源の製造方
    法。
  28. 【請求項28】 前記電気的特性は、前記放出電流と前
    記素子電流の比であることを特徴とする請求項27記載
    の電子源の製造方法。
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