JPH11283493A - 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法

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JPH11283493A
JPH11283493A JP8314898A JP8314898A JPH11283493A JP H11283493 A JPH11283493 A JP H11283493A JP 8314898 A JP8314898 A JP 8314898A JP 8314898 A JP8314898 A JP 8314898A JP H11283493 A JPH11283493 A JP H11283493A
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electron
voltage
emitting device
activation
electron source
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JP8314898A
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Toshiichi Onishi
敏一 大西
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高品位画像形成装置を実現し得る電子ビーム
源としての電子放出素子を提供する。 【解決手段】 導電性膜4に電子放出部5となる亀裂を
形成した後、有機物質を含む雰囲気下で素子電極2,3
間に電圧を印加して活性化する際に、活性化開始時には
順方向・逆方向の両方向に電圧を印加し、活性化終了時
には順方向(駆動の際に電圧を印加する方向)にのみ電
圧を印加することを特徴とする電子放出素子の製造方
法。 【効果】 放出電流量を増大させることができると共
に、駆動時の経時劣化を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子、該
電子放出素子を多数個配置してなる電子源、該電子源を
用いて構成した表示装置や露光装置等の画像形成装置、
及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類が知ら
れている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、
「FE型」と称す。)、金属/絶縁層/金属型(以下、
「MIM型」と称す。)や表面伝導型電子放出素子等が
有る。
【0003】FE型の例としては、W.P.Dyke
and W.W.Dolan,“Field Emis
sion”,Advance in Electron
Physics,8,89(1956)あるいはC.
A.Spindt,“Physical Proper
ties of thin−filmfield em
ission cathodes withmolyb
denum cones”,J.Appl.Phy
s.,47,5248(1976)等に開示されたもの
が知られている。
【0004】MIM型の例としては、C.A.Mea
d,“Operation ofTunnel−Emi
ssion Devices”,J.Appl.Phy
s.,32,646(1961)等に開示されたものが
知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、
M.I.Elinson,RadioEng.Elec
tron Phys.,10,1290(1965)等
に開示されたものがある。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、絶縁性基板上
に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流す
ことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリン
ソン等によるSnO薄膜を用いたもの、Au薄膜によ
るもの[G.Dittmer:“ThinSolid
Films”,9,317(1972)]、In
/SnO薄膜によるもの[M.Hartwell a
nd C.G.Fonstad:“IEEE Tran
s.ED Conf.”,519(1975)]、カー
ボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第
1号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として、前述のM.ハートウェルの素子構成を図2
4に模式的に示す。同図において1は基板である。4は
導電性膜で、H型形状のパターンに形成された金属酸化
物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼ばれる
通電処理により電子放出部5が形成される。尚、図中の
間隔L1は、0.5〜1mm、W1は、0.1mmで設
定されている。
【0008】これらの表面伝導型電子放出素子において
は、電子放出を行う前に導電性膜4を予め通電フォーミ
ングと呼ばれる通電処理によって電子放出部5を形成す
るのが一般的である。即ち、通電フォーミングとは、前
記導電性膜4の両端に電圧を印加通電し、導電性膜4を
局所的に破壊、変形もしくは変質させて構造を変化さ
せ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部5を形成する処
理である。尚、電子放出部5では導電性膜4の一部に亀
裂が発生しており、その亀裂付近から電子放出が行われ
る。
【0009】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純であることから、大面積に亙って多数素子を配列形
成できる利点がある。そこで、この特徴を活かすための
種々の応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、
表示装置等の画像形成装置への利用が挙げられる。
【0010】従来、多数の表面伝導型電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子
を配列し、個々の表面伝導型電子放出素子の両端(両素
子電極)を配線(共通配線とも呼ぶ)にて夫々結線した
行を多数行配列(梯子型配置とも呼ぶ)した電子源が挙
げられる(例えば、特開昭64−31332号公報、特
開平1−283749号公報、同2−257552号公
報)。
【0011】また、特に表示装置においては、液晶を用
いた表示装置と同様の平板型表示装置とすることが可能
で、しかもバックライトが不要な自発光型の表示装置と
して、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源
と、この電子源からの電子線の照射により可視光を発光
する蛍光体とを組み合わせた表示装置が提案されている
(アメリカ特許第5066883号明細書)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記電子源、画像形成
装置等に用いられる電子放出素子については、明るい表
示画像を安定して提供できるよう、長時間の駆動に際し
ても安定な電子放出特性及び電子放出の効率向上が要望
されている。
【0013】上記電子放出の効率とは、例えば前述の表
面伝導型電子放出素子であれば、導電性膜の両端に電圧
を印加した際に、これに流れる電流(以下、「素子電
流」という。)と真空中に放出される電流(以下、「放
出電流」という。)との比で評価されるものであり、素
子電流が小さく、放出電流が大きい電子放出素子が望ま
れている。
【0014】上記表面伝導型電子放出素子の電子放出効
率を向上させる方法の一つに、「活性化」と称される処
理を行う方法がある。この活性化処理とは、有機物質を
含む雰囲気中で、素子にパルス電圧を印加し、前述の通
電フォーミングによって形成された亀裂近傍に、炭素或
は炭素化合物を堆積させる処理である。
【0015】電子放出素子の駆動に際して印加される電
圧は、正極から負極への1方向(「順方向」と称す。)
であるため、上記従来の活性化処理においては、かかる
駆動時と同じ順方向に電圧が印加されていた。この様な
活性化処理を施した素子では、主に導電性膜の正極側に
炭素或は炭素化合物が形成され、負極側では僅かにしか
形成されないのが一般的である。一方、活性化処理にお
いて、負極から正極への方向(「逆方向」と称す。)に
も電圧を印加することにより、導電性膜の負極側へも炭
素或は炭素化合物を形成することができる。この様な活
性化処理を施した素子では、電子放出領域が増大し、よ
り大きな放出電流が得られる。
【0016】また、活性化処理を行った場合には、安定
な電子放出特性を得るため、「安定化」と称させる処理
が行われるのが一般的である。この安定化処理とは、活
性化工程における有機物質を排気し、活性化工程以後に
炭素或は炭素化合物が素子上に堆積するのを抑制する処
理である。
【0017】しかしながら、上記活性化処理によって素
子の電子放出特性は改善されるものの、特に導電性膜の
両極側に炭素或は炭素化合物を形成し、放出電流量の著
しい増大を図った場合には、上記安定化処理を行ったと
しても、安定な電子放出特性が得られず、経時的に放出
電流が大きく低下するという問題があった。
【0018】本発明の目的は、上記問題点を解消し、良
好な電子放出特性有し、且つ駆動時における特性劣化を
改善し得る電子放出素子を提供することにある。また本
発明の別の目的は、かかる電子放出素子を複数用いて、
高輝度で且つ安定した表示特性を有する画像形成装置を
提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の構成は、以下の通りである。
【0020】即ち、本発明の第一は、基体上に形成され
た正負一対の電極間に、亀裂領域を含む電子放出部を有
する導電性膜を備える電子放出素子の製造方法であっ
て、導電性膜に亀裂を形成した後、有機物質を含む雰囲
気下で上記電極間に電圧を印加する活性化工程を有し、
該活性化工程において、活性化開始時には順方向・逆方
向の両方向に電圧を印加し、活性化終了時には順方向に
のみ電圧を印加することを特徴とする電子放出素子の製
造方法にある。
【0021】上記本発明第一の製造方法は、更にその特
徴として、「前記活性化工程において、任意の時間にお
ける、順方向に印加される電圧波形の時間積分値をJ
n 、逆方向に印加される電圧波形の時間積分値をJr
した場合、開始時から終了時にかけて、Jr /Jn を減
少させる」こと、「前記活性化工程において、開始時か
ら終了時にかけて、逆方向の印加電圧の波高値を減少さ
せる」こと、「前記活性化工程において、開始時から終
了時にかけて、逆方向の印加電圧のパルス幅を減少させ
る」こと、「前記活性化工程において、開始時から終了
時にかけて、単位時間当たりの逆方向の印加電圧のパル
ス数を減少させる」こと、をも含むものである。
【0022】また、本発明の第二は、上記本発明第一の
方法にて製造されたことを特徴とする電子放出素子にあ
る。
【0023】また、本発明第三は、基体上に、複数の電
子放出素子が配列された電子源の製造方法において、前
記電子放出素子が、上記本発明第一の方法にて製造され
ることを特徴とする電子源の製造方法にある。
【0024】また、本発明の第四は、基体上に、複数の
電子放出素子が配列された電子源において、前記電子放
出素子が、上記本発明第二の電子放出素子であることを
特徴とする電子源にある。
【0025】上記本発明第四の電子源は、更にその特徴
として、「前記複数の電子放出素子が、マトリクス状に
配線されている」こと、「前記複数の電子放出素子が、
梯子状に配線されている」こと、をも含むものである。
【0026】また、本発明の第五は、基体上に、複数の
電子放出素子が配列された電子源と、該電子源から放出
される電子線の照射により画像を形成する画像形成部材
とを有する画像形成装置の製造方法において、前記電子
源が、上記本発明第三の方法にて製造されることを特徴
とする画像形成装置の製造方法にある。
【0027】更に、本発明の第六は、基体上に、複数の
電子放出素子が配列された電子源と、該電子源から放出
される電子線の照射により画像を形成する画像形成部材
とを有する画像形成装置において、前記電子源が、上記
本発明第四の電子源であることを特徴とする画像形成装
置にある。
【0028】本発明者は、活性化処理において導電性膜
の両極側に炭素或は炭素化合物を堆積させた電子放出素
子の特性劣化の原因について鋭意検討を重ねた結果、以
下の事を知見し、本発明に至ったものである。
【0029】即ち、上記の活性化処理において、単に極
性を反転させて順方向・逆方向に交互にパルス電圧を印
加した場合には、前述の安定化処理を行ったとしても、
素子駆動時の電圧印加初期において、主に導電性膜の負
極側から微小放出ガスが発生し、これが原因で放出電流
が著しく低下してしまうことが判明した。
【0030】かかる微小放出ガスの発生は、駆動時に順
方向の電圧を素子に印加すると、活性化終了直前まで導
電性膜の両極側に堆積した炭素或は炭素化合物の内、負
極側に堆積したものについては、その堆積時とは異なる
極性の電圧が印加されることによるものと推測してい
る。。
【0031】そこで本発明においては、活性化開始時に
は順方向・逆方向の両方向に電圧を印加し、活性化終了
時には順方向にのみ電圧を印加することで、活性化終了
直前に負極側に炭素或は炭素化合物が堆積するのを抑制
すると共に、負極側に堆積した炭素或は炭素化合物から
活性化終了直前に微小放出ガスを発生させることによ
り、長時間の駆動を行っても放出電流の低下が少ない電
子放出素子を実現したものである。
【0032】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施態様
を示す。
【0033】本発明を適用し得る電子放出素子は、先述
したような冷陰極型の電子放出素子に分類されるもの
で、電子放出機構の点から表面伝導型の電子放出素子と
云える。
【0034】本発明に係る表面伝導型電子放出素子の基
本的構成には大別して、平面型と垂直型がある。まず、
平面型の表面伝導型電子放出素子について説明する。
【0035】図1は、本発明に係る平面型の表面伝導型
電子放出素子の一構成例を示す模式図であり、図1
(a)は平面図、図1(b)は縦断面図である。図1に
おいて、1は基板、2と3は電極(素子電極)、4は導
電性膜、5は電子放出部である。
【0036】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラ
スにスパッタ法等によりSiO2 を積層した積層体、ア
ルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることが
できる。
【0037】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができ、例えばNi、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属或は合金及びPd、Ag、Au、RuO2 、Pd
−Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等から構成され
る印刷導体、In23 −SnO2 等の透明導電体及び
ポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択するこ
とができる。
【0038】素子電極間隔L、素子電極幅W、導電性膜
4の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計され
る。素子電極間隔Lは、好ましくは、数百nmから数百
μmの範囲とすることができ、より好ましくは、素子電
極間に印加する電圧等を考慮して数μmから数十μmの
範囲とすることができる。
【0039】素子電極幅Wは、電極の抵抗値、電子放出
特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲とすること
ができる。素子電極2,3の膜厚dは、数十nmから数
μmの範囲とすることができる。
【0040】尚、図1に示した構成だけでなく、基板1
上に、導電性膜4、対向する素子電極2,3の順に積層
した構成とすることもできる。
【0041】導電性膜4を構成する材料としては、例え
ばPd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,
Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、P
dO,SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 等の
酸化物、HfB2 ,ZrB2,LaB6 ,CeB6 ,Y
4 ,GdB4 等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,
TaC,SiC,WCなどの炭化物、TiN,ZrN,
HfN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等
が挙げられる。
【0042】導電性膜4には、良好な電子放出特性を得
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましい。その膜厚は、素子電極2,3へのステップカバ
レージ、素子電極2,3間の抵抗値及び後述するフォー
ミング条件等を考慮して適宜設定されが、通常は、数Å
〜数百nmの範囲とするのが好ましく、より好ましくは
1nm〜50nmの範囲とするのが良い。その抵抗値
は、Rsが102 から107 Ω/□の値である。なおR
sは、幅がwで長さがlの薄膜の抵抗Rを、R=Rs
(l/w)とおいたときに現れる。
【0043】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あ
るいは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、
全体として島状構造を形成している場合も含む)をとっ
ている。微粒子の粒径は、数Åから数百nmの範囲、好
ましくは、1nmから20nmの範囲である。
【0044】なお、本明細書では頻繁に「微粒子」とい
う言葉を用いるので、その意味について説明する。
【0045】小さな粒子を「微粒子」と呼び、これより
も小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」より
もさらに小さく、原子の数が数百個程度以下のものを
「クラスター」と呼ぶことは広く行われている。
【0046】しかしながら、それぞれの境は厳密なもの
ではなく、どの様な性質に注目して分類するかにより変
化する。また「微粒子」と「超微粒子」を一括して「微
粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書中での記述はこれに
沿ったものである。
【0047】例えば、「実験物理学講座14 表面・微
粒子」(木下是雄 編、共立出版1986年9月1日発
行)では、「本稿で微粒子と言うときにはその直径がだ
いたい2〜3μm程度から10nm程度までとし、特に
超微粒子というときは粒径が10nm程度から2〜3n
m程度までを意味することにする。両者を一括して単に
微粒子と書くこともあってけっして厳密なものではな
く、だいたいの目安である。粒子を構成する原子の数が
2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼
ぶ。」(195ページ 22〜26行目)と記述されて
いる。
【0048】付言すると、新技術開発事業団の“林・超
微粒子プロジェクト”での「超微粒子」の定義は、粒径
の下限はさらに小さく、次のようなものであった。
【0049】「創造科学技術推進制度の“超微粒子プロ
ジェクト”(1981〜1986)では、粒子の大きさ
(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを“超微粒
子”(ultra fine particle)と呼
ぶことにした。すると1個の超微粒子はおよそ100〜
108 個くらいの原子の集合体という事になる。原子の
尺度でみれば超微粒子は大〜巨大粒子である。」(「超
微粒子−創造科学技術」林主税、上田良二、田崎明
編;三田出版 1988年 2ページ1〜4行目)/
「超微粒子よりさらに小さいもの、すなわち原子が数個
〜数百個で構成される1個の粒子は、ふつうクラスター
と呼ばれる」(同書2ページ12〜13行目)。
【0050】上記のような一般的な呼び方をふまえて、
本明細書において「微粒子」とは多数の原子・分子の集
合体で、粒径の下限は数Å〜1nm程度、上限は数μm
程度のものを指すこととする。
【0051】電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成
された高抵抗の亀裂により構成され、導電性膜4の膜
厚、膜質及び後述する通電フォーミングの手法等に依存
したものとなる。電子放出部5の内部には、数Åから数
十nmの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する場合もあ
る。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成する材料の
元素の一部、あるいは全ての元素を含有するものとな
る。電子放出部5及びその近傍の導電性膜4には、後述
の活性化工程により形成される炭素或は炭素化合物を有
する。
【0052】次に、垂直型の表面伝導型電子放出素子に
ついて説明する。
【0053】図2は、本発明に係る垂直型の表面伝導型
電子放出素子の一構成例を示す模式図であり、図1に示
した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号
を付している。21は段差形成部である。基板1、素子
電極2及び3、導電性膜4、電子放出部5は、前述した
平面型の表面伝導型電子放出素子の場合と同様の材料で
構成することができる。段差形成部21は、真空蒸着
法、印刷法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等の絶
縁性材料で構成することができる。段差形成部21の膜
厚は、先に述べた平面型の表面伝導型電子放出素子の素
子電極間隔Lに対応し、数百nmから数十μmの範囲と
することができる。この膜厚は、段差形成部の製法、及
び、素子電極間に印加する電圧を考慮して設定される
が、数十nmから数μmの範囲が好ましい。
【0054】導電性膜4は、素子電極2及び3と段差形
成部21作製後に、該素子電極2,3の上に積層され
る。電子放出部5は、図2においては、段差形成部21
に形成されているが、作成条件、フォーミング条件等に
依存し、形状、位置ともこれに限られるものではない。
【0055】本発明の表面伝導型電子放出素子の製造方
法としては様々な方法があるが、その一例を図3に基づ
いて説明する。尚、図3においても図1に示した部位と
同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付してい
る。
【0056】1)基板1を洗剤、純水及び有機溶剤等を
用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により
素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技
術を用いて基板1上に素子電極2,3を形成する(図3
(a))。
【0057】2)素子電極2,3を設けた基板1上に、
有機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有
機金属溶液には、前述の導電性膜4の材料の金属を主元
素とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。
有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチン
グ等によりパターニングし、導電性膜4を形成する(図
3(b))。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて
説明したが、導電性膜4の形成法はこれに限られるもの
ではなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積
法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用
いることもできる。
【0058】3)続いて、フォーミング工程を施す。こ
のフォーミング工程の方法の一例として通電処理による
方法を説明する。素子電極2,3間に、不図示の電源よ
り通電すると、導電性膜4の部位に、構造の変化した亀
裂領域が形成される。この亀裂領域が電子放出部5を構
成する(図3(c))。通電フォーミングの電圧波形の
例を図4に示す。
【0059】電圧波形は、特にパルス波形が好ましい。
これにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に
印加する図4(a)に示した手法と、パルス波高値を増
加させながらパルスを印加する図4(b)に示した手法
がある。
【0060】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図4(a)で説明する。図4(a)におけるT1
及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。通
常、T1は1μ秒〜10m秒、T2は10μ秒〜100
m秒の範囲で設定される。三角波の波高値(通電フォー
ミング時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子の
形態に応じて適宜選択される。このような条件のもと、
例えば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形
は、三角波に限定されるものではなく、矩形波等の所望
の波形を採用することができる。
【0061】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図4(b)で説明する。
図4(b)におけるT1及びT2は、図4(a)に示し
たのと同様とすることができる。三角波の波高値(通電
フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステ
ップ程度づつ、増加させることができる。
【0062】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性膜4を局所的に破壊,変形しない程
度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる電流を
測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示した時
に通電フォーミングを終了させることができる。
【0063】4)フォーミングを終えた素子には、活性
化工程と呼ばれる処理を施す。この工程により、素子電
流If及び放出電流Ieを著しく変化させることができ
る。
【0064】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様、素子電
極2,3間にパルスの印加を繰り返すことで行うことが
できる。この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリ
ーポンプなどを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲
気内に残留する有機ガスを利用して形成することができ
る他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した真空
中に適当な有機物質のガスを導入することによっても得
られる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述
の素子の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類など
により異なるため、場合に応じ適宜設定される。適当な
有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂
肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、ア
ルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボ
ン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、具
体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2
表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn
2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、
トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、
酢酸、プロピオン酸等が使用できる。この処理により、
雰囲気中に存在する有機物質から、導電性膜4に形成さ
れた電子放出部5に、炭素或は炭素化合物が堆積し、素
子電流If,放出電流Ieが、著しく変化するようにな
る。
【0065】炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファ
イト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含するもの
で、HOPGはほぼ完全なグラファイト結晶構造、PG
は結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたもの、
GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れがさら
に大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモ
ルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グ
ラファイトの微結晶の混合物を指す。)であり、その膜
厚は、50nm以下の範囲とするのが好ましく、30n
m以下の範囲とすることがより好ましい。
【0066】本発明の製造方法では、活性化工程での電
圧印加条件を活性化開始時と終了時で異ならせることを
最大の特徴とする。
【0067】活性化開始時には、正極,負極からなる素
子電極(ここで、正極,負極は、電子放出素子を駆動さ
せる際の電圧印加方向を基準に定義している。)に対し
て、順方向・逆方向の両方向に電圧を印加し、活性化終
了時には、順方向にのみ電圧を印加する。具体的には、
活性化開始時には、例えば図5(a)に示される様な電
圧波形を印加し、活性化終了時には、例えば図5(b)
に示される様な電圧波形を印加する。
【0068】活性化開始時に両方向の電圧印加が行われ
ることにより、炭素或は炭素化合物が素子の両極に堆積
するため、電子放出領域が増大し、大きな放出電流値が
得られる。一方、活性化終了時に順方向にのみ電圧印加
が行われることにより、活性化終了直前に負極側への炭
素或は炭素化合物の堆積が抑制されると共に、負極側に
堆積した炭素或は炭素化合物から、順方向に電圧印加し
た際に脱離する物質を予め除去することができたものと
推定され、素子駆動の際に負極側から微小放出ガスが発
生することに伴う経時劣化が抑制される。
【0069】上記の様に、活性化工程での電圧印加条件
を活性化開始時と終了時で異ならせる場合、開始時から
終了時へと、連続的あるいは段階的に電圧印加条件を変
化させることが好ましい。
【0070】本発明において、図5(a)の活性化開始
時の波形を図5(b)の活性化終了時の波形に変化させ
る際の、具体的な手法例を図6乃至図8に示す。
【0071】図6は、活性化開始時から終了時にかけ
て、逆方向の電圧パルスの波高値を減少させる手法、図
7は、活性化開始時から終了時にかけて、逆方向の電圧
パルスのパルス幅を減少させる手法、図8は、活性化開
始時から終了時にかけて、単位時間当たりの逆方向の電
圧パルスのパルス数を減少させる手法を示している。こ
れらの例からも示されるように、本発明においては、活
性化処理の任意の時間における、順方向に印加される電
圧波形の時間積分値をJn 、逆方向に印加される電圧波
形の時間積分値をJr とした場合、開始時から終了時に
かけて、Jr /Jn を減少させるように波形を変化させ
る手法であれば、どのような手法でも良い。
【0072】ここでは、逆方向の電圧パルスの波高値,
パルス幅,パルス数を変化させる例を示したが、これら
に限定されるものではなく、また、これらを組み合わせ
て変化させても良い。また、図5乃至図8では、矩形波
の例を示したが、正弦波、三角波、鋸波等の任意の波形
を用いることができる。更に、本発明においては、活性
化開始時の順方向の波高値をVact.i 、終了時の順方向
の波高値をVact.e 、駆動時電圧の波高値をVdrive
したとき、Vact.i <Vdrive <Vact.e の関係を満足
するように設定することが好ましい。
【0073】尚、活性化工程の終了判定は、素子電流I
fと放出電流Ieを測定しながら、適宜行うことができ
る。
【0074】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空
容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイ
ルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用
しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープ
ションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げる
ことが出来る。
【0075】前記活性化の工程で、排気装置として油拡
散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生する
オイル成分に由来する有機ガスを用いた場合には、この
成分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の
有機成分の分圧は、上記炭素あるいは炭素化合物がほぼ
新たに堆積しない分圧で1×10-6Pa以下が好まし
く、さらには1×10-8Pa以下が特に好ましい。さら
に真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱
して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物
質分子を排気しやすくするのが好ましい。このときの加
熱条件は、80〜200℃好ましくは150℃以上で、
できるだけ長時間処理するのが望ましいが、特にこの条
件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子
放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件に
より行う。真空容器内の圧力は極力低くすることが必要
で、1〜3×10-5Pa以下が好ましく、さらには1×
10-6Pa以下が特に好ましい。
【0076】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、圧力自体は多少上昇しても十分安定な特
性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を採
用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆
積を抑制でき、結果として素子電流If,放出電流Ie
が、安定する。
【0077】先述したように、本発明による電子放出素
子では、活性化終了時に順方向にのみ電圧を印加するこ
とで、負極側に堆積した炭素或は炭素化合物から、順方
向に電圧印加した際に脱離する物質を予め除去すること
ができるが、かかる微小放出ガス成分の除去をより一層
確実に行うために、上記安定化工程において、素子に駆
動時の電圧印加条件と等しい電圧印加条件で電圧を印加
するのが好ましい。これにより、素子駆動時における負
極側からの微小放出ガスの発生をより一層確実に防止す
ることができ、これに伴う経時劣化が抑制される。
【0078】上述した工程を経て得られた本発明の電子
放出素子の基本特性について、図9,図10を参照しな
がら説明する。
【0079】図9(a)は、真空処理装置の一例を示す
模式図であり、この真空処理装置は測定評価装置として
の機能をも兼ね備え、真空容器には図9(b)の構成の
測定系を備えている。図9(b)においても、図1に示
した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号
を付している。
【0080】図9(b)において、55は真空容器であ
り、この中に電子放出素子が配される。また、51は電
子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源、50
は素子電極2,3間の導電性膜4を流れる素子電流If
を測定するための電流計、54は素子の電子放出部5よ
り放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電
極、53はアノード電極54に電圧を印加するための高
圧電源、52は電子放出部5より放出される放出電流I
eを測定するための電流計である。一例として、アノー
ド電極54の電圧を1KV〜10KVの範囲とし、アノ
ード電極54と電子放出素子との距離Hを2mm〜8m
mの範囲として測定を行うことができる。
【0081】真空容器55内には、更に不図示の真空計
等の真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられてい
て、所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようにな
っている。
【0082】図9(a)では、排気ポンプは、ターボポ
ンプ,ドライポンプからなる通常の高真空装置系を示し
たが、更に、イオンポンプ等からなる超高真空装置系と
により構成することもできる。ここに示した電子放出素
子基板を配した真空処理装置の全体は、不図示のヒータ
ーにより200℃まで加熱できる。また、真空容器に
は、ニードルバルブを介して、所望の種類のガスを導入
することができる。従って、この真空処理装置を用いる
と、前述の通電フォーミング工程以降を行うことができ
る。
【0083】図10は、図9に示した真空処理装置を用
いて測定された放出電流Ie及び素子電流Ifと、素子
電圧Vfとの関係を模式的に示した図である。図10に
おいては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく
小さいので、任意単位で示している。尚、縦・横軸とも
リニアスケールである。
【0084】図10からも明らかなように、本発明を適
用可能な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関
して次の3つの特徴的性質を有する。
【0085】即ち、第1に、本素子はある電圧(閾値電
圧と呼ぶ;図10中のVth)以上の素子電圧を印加す
ると急激に放出電流Ieが増加し、一方閾値電圧Vth
以下では放出電流Ieが殆ど検出されない。つまり、放
出電流Ieに対する明確な閾値電圧Vthを持った非線
形素子である。
【0086】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに単
調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制
御できる。
【0087】第3に、アノード電極54(図9(b)参
照)に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する
時間に依存する。つまり、アノード電極54に捕捉され
る電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御で
きる。
【0088】以上の説明より理解されるように、本発明
を適用可能な表面伝導型電子放出素子は、入力信号に応
じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。こ
の性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成し
た電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能とな
る。
【0089】図10においては、素子電流Ifが素子電
圧Vfに対して単調増加する(MI特性)例を示した
が、素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制御型負
性抵抗特性(VCNR特性)を示す場合もある(不図
示)。これらの特性は、前述の工程を制御することで制
御できる。
【0090】本発明を適用可能な電子放出素子の応用例
について以下に述べる。本発明を適用可能な表面伝導型
電子放出素子を複数個基板上に配列し、例えば電子源あ
るいは、画像形成装置が構成できる。
【0091】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電
子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を
多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向
(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制
御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子から
の電子を制御駆動する梯子状配置のものがある。これと
は別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複
数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極
の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配さ
れた複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線
に共通に接続するものが挙げられる。このようなものは
所謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス配
置について以下に詳述する。
【0092】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素
子については、前述した通り3つの特性がある。即ち、
表面伝導型電子放出素子からの放出電子は、閾値電圧以
上では、対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の
波高値と幅で制御できる。一方、閾値電圧以下では、殆
ど放出されない。この特性によれば、多数の電子放出素
子を配置した場合においても、個々の素子にパルス状電
圧を適宜印加すれば、入力信号に応じて、表面伝導型電
子放出素子を選択して電子放出量を制御できる。
【0093】以下この原理に基づき、本発明を適用可能
な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板につい
て、図11を用いて説明する。図11において、71は
電子源基板、72はX方向配線、73はY方向配線であ
る。74は表面伝導型電子放出素子、75は結線であ
る。
【0094】m本のX方向配線72は、Dx1,Dx
2,……,Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパ
ッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構成するこ
とができる。配線の材料、膜厚、幅は適宜設計される。
Y方向配線73は、Dy1,Dy2,……,Dynのn
本の配線よりなり、X方向配線72と同様に形成され
る。これらm本のX方向配線72とn本のY方向配線7
3との間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、
両者を電気的に分離している(m,nは、共に正の整
数)。
【0095】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線72を形成した基板71の
全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配
線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線
72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引き
出されている。
【0096】表面伝導型電子放出素子74を構成する一
対の素子電極(不図示)は、それぞれm本のX方向配線
72とn本のY方向配線73に、導電性金属等からなる
結線75によって電気的に接続されている。
【0097】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、また夫々異なってもよい。これらの材料は、例えば
前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極を
構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子電
極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0098】X方向配線72には、X方向に配列した表
面伝導型電子放出素子74の行を選択するための走査信
号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。
一方、Y方向配線73には、Y方向に配列した表面伝導
型電子放出素子74の各列を入力信号に応じて変調する
ための、不図示の変調信号発生手段が接続される。各電
子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加さ
れる走査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0099】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0100】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図12と図13
及び図14を用いて説明する。図12は、画像形成装置
の表示パネルの一例を示す模式図であり、図13は、図
12の画像形成装置に使用される蛍光膜の模式図であ
る。図14は、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示
を行うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0101】図12において、71は電子放出素子を複
数配した電子源基板、81は電子源基板71を固定した
リアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜8
4とメタルバック85等が形成されたフェースプレート
である。82は支持枠であり、該支持枠82には、リア
プレート81、フェースプレート86がフリットガラス
等を用いて接続されている。88は外囲器であり、例え
ば大気中あるいは窒素中で、400〜500℃の温度範
囲で10分間以上焼成することで、封着して構成され
る。
【0102】74は、図1に示したような表面伝導型電
子放出素子である。72,73は、表面伝導型電子放出
素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY方
向配線ある。
【0103】外囲器88は、上述の如く、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成され
る。リアプレート81は主に基板71の強度を補強する
目的で設けられるため、基板71自体で十分な強度を持
つ場合は別体のリアプレート81は不要とすることがで
きる。即ち、基板71に直接支持枠82を封着し、フェ
ースプレート86、支持枠82及び基板71で外囲器8
8を構成してもよい。一方、フェースプレート86とリ
アプレート81の間に、スぺーサーと呼ばれる不図示の
支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強
度をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0104】図13は、蛍光膜を示す模式図である。蛍
光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみで構成す
ることができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配
列により、ブラックストライプ(図13(a))あるい
はブラックマトリクス(図13(b))等と呼ばれる黒
色導電材91と蛍光体92とから構成することができ
る。ブラックストライプ、ブラックマトリクスを設ける
目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の
各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を
目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射に
よるコントラストの低下を抑制することにある。黒色導
電材91の材料としては、通常用いられている黒鉛を主
成分とする材料の他、導電性があり、光の透過及び反射
が少ない材料を用いることができる。
【0105】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法や印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート8
6側へ鏡面反射することにより輝度を向上させること、
電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用さ
せること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダ
メージから蛍光体を保護すること等である。メタルバッ
クは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理
(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その
後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製でき
る。
【0106】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0107】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、十分
な位置合わせが不可欠となる。
【0108】図12に示した画像形成装置は、例えば以
下のようにして製造される。
【0109】外囲器88内は、前述の安定化工程と同様
に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポ
ンプ等のオイルを使用しない排気装置により不図示の排
気管を通じて排気し、10-5Pa程度の真空度の有機物
質の十分に少ない雰囲気にした後、封止が成される。外
囲器88の封止後の真空度を維持するために、ゲッター
処理を行うこともできる。これは、外囲器88の封止を
行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加
熱等を用いた加熱により、外囲器88内の所定の位置に
配置されたゲッター(不図示)を加熱し、蒸着膜を形成
する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であ
り、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5Pa
以上の真空度を維持するものである。ここで、表面伝導
型電子放出素子のフォーミング処理以降の工程は、適宜
設定できる。
【0110】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図14を用いて説明する。図14において、
101は画像表示パネル、102は走査回路、103は
制御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメ
モリ、106は同期信号分離回路、107は変調信号発
生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0111】表示パネル101は、端子Dx1乃至Dx
m、端子Dy1乃至Dyn及び高圧端子87を介して外
部の電気回路と接続している。端子Dx1乃至Dxmに
は、表示パネル101内に設けられている電子源、即
ち、m行n列の行列状にマトリクス配線された表面伝導
型電子放出素子群を1行(n素子)づつ順次駆動する為
の走査信号が印加される。端子Dy1乃至Dynには、
前記走査信号により選択された1行の表面伝導型電子放
出素子の各素子の出力電子ビームを制御する為の変調信
号が印加される。高圧端子87には、直流電圧源Vaよ
り、例えば10K[V]の直流電圧が供給されるが、こ
れは表面伝導型電子放出素子から放出される電子ビーム
に、蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与する
為の加速電圧である。
【0112】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にm個のスイッチング素子(図中、S1乃至S
mで模式的に示している)を備えたものである。各スイ
ッチング素子は、直流電圧電源Vxの出力電圧もしくは
0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、
表示パネル101の端子Dx1乃至Dxmと電気的に接
続される。各スイッチング素子S1乃至Smは、制御回
路103が出力する制御信号Tscanに基づいて動作
するものであり、例えばFETのようなスイッチング素
子を組み合わせることにより構成することができる。
【0113】直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝
導型電子放出素子の特性(電子放出閾値電圧)に基づ
き、走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子
放出閾値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう
設定されている。
【0114】制御回路103は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同
期信号分離回路106より送られる同期信号Tsync
に基づいて、各部に対してTscan,Tsft及びT
mryの各制御信号を発生する。
【0115】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波
数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期
信号分離回路106により分離された同期信号は、垂直
同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便
宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号か
ら分離された画像の輝度信号成分は、便宜上DATA信
号と表した。このDATA信号は、シフトレジスタ10
4に入力される。
【0116】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ
104のシフトクロックであると言い換えてもよ
い。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分
のデータ(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)
は、Id1乃至Idnのn個の並列信号として前記シフ
トレジスタ104より出力される。
【0117】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmryに従
って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶され
た内容は、Id’1乃至Id’nとして出力され、変調
信号発生器107に入力される。
【0118】変調信号発生器107は、画像データI
d’1乃至Id’nの各々に応じて、表面伝導型電子放
出素子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、
その出力信号は、端子Dy1乃至Dynを通じて表示パ
ネル101内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0119】前述したように、本発明の電子放出素子は
放出電流Ieに関して以下の基本特性を有している。即
ち、電子放出には明確な閾値電圧Vthがあり、Vth
以上の電圧が印加された時のみ電子放出が生じる。電子
放出閾値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変
化に応じて放出電流も変化する。このことから、本素子
にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出閾値
電圧以下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、電
子放出閾値電圧以上の電圧を印加する場合には電子ビー
ムが出力される。その際、パルスの波高値Vmを変化さ
せることにより、出力電子ビームの強度を制御すること
が可能である。また、パルスの幅Pwを変化させること
により、出力される電子ビームの電荷の総量を制御する
ことが可能である。
【0120】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方
式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器107としては、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの波高値を変調できるような電圧変調方式の回路を用
いることができる。パルス幅変調方式を実施するに際し
ては、変調信号発生器107として、一定の波高値の電
圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧
パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を
用いることができる。
【0121】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0122】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには同期信号分離回路106の
出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連して
ラインメモリ105の出力信号がデジタル信号かアナロ
グ信号かにより、変調信号発生器107に用いられる回
路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用
いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、
例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等
を付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器
107には、例えば高速の発振器及び発振器の出力する
波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値
と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレー
タ)を組み合わせた回路を用いる。必要に応じて、比較
器の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型
電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅
器を付加することもできる。
【0123】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプ等を
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路等を付加することもできる。パルス幅変調方式の場
合には、例えば電圧制御型発振回路(VCO)を採用で
き、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧に
まで電圧増幅するための増幅器を付加することもでき
る。
【0124】このような構成をとり得る本発明を適用可
能な画像形成装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dx1乃至Dxm、Dy1乃至Dynを介して電
圧を印加することにより、電子放出が生じる。高圧端子
87を介してメタルバック85あるいは透明電極(不図
示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速され
た電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形
成される。
【0125】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついてはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL、SECAM方式等の他、
これらよりも多数の走査線からなるTV信号(例えば、
MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用
できる。
【0126】次に、前述の梯子型配置の電子源及び画像
形成装置について、図15及び図16を用いて説明す
る。
【0127】図15は、梯子型配置の電子源の一例を示
す模式図である。図15において、110は電子源基
板、111は電子放出素子である。112は、電子放出
素子111を接続するための共通配線D1〜D10であ
り、これらは外部端子として引き出されている。電子放
出素子111は、基板110上に、X方向に並列に複数
個配置されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行
が複数個配置されて、電子源を構成している。各素子行
の共通配線間に駆動電圧を印加することで、各素子行を
独立に駆動させることができる。即ち、電子ビームを放
出させたい素子行には、電子放出閾値以上の電圧を印加
し、電子ビームを放出させたくない素子行には、電子放
出閾値以下の電圧を印加する。各素子行間に位置する共
通配線D2〜D9は、例えばD2とD3、D4とD5、
D6とD7、D8とD9を一体の同一配線とすることも
できる。
【0128】図16は、梯子型配置の電子源を備えた画
像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図であ
る。120はグリッド電極、121は電子が通過するた
めの開口、D1乃至Dmは容器外端子、G1乃至Gnは
グリッド電極120と接続された容器外端子である。1
10は各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基
板である。図16においては、図12、図15に示した
部位と同じ部位には、これらの図に付したのと同一の符
号を付している。ここに示した画像形成装置と、図12
に示した単純マトリクス配置の画像形成装置との大きな
違いは、電子源基板110とフェースプレート86の間
にグリッド電極120を備えているか否かである。
【0129】図16においては、基板110とフェース
プレート86の間には、グリッド電極120が設けられ
ている。グリッド電極120は、表面伝導型電子放出素
子111から放出された電子ビームを変調するためのも
のであり、梯子型配置の素子行と直交して設けられたス
トライプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各素
子に対応して1個ずつ円形の開口121が設けられてい
る。グリッド電極の形状や配置位置は、図16に示した
ものに限定されるものではない。例えば、開口としてメ
ッシュ状に多数の通過口を設けることもでき、グリッド
電極を表面伝導型電子放出素子の周囲や近傍に設けるこ
ともできる。
【0130】容器外端子D1乃至Dm及びグリッド容器
外端子G1乃至Gnは、不図示の制御回路と電気的に接
続されている。
【0131】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)して行くのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
【0132】以上説明した本発明の画像形成装置は、テ
レビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコン
ピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて
構成された光プリンターとしての画像形成装置等として
も用いることができる。
【0133】
【実施例】以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
なく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素の置
換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0134】[実施例1]本実施例に係る表面伝導型電
子放出素子の構成は、図1(a),(b)の平面図及び
断面図と同様である。
【0135】本実施例に係る表面伝導型電子放出素子の
製造法を、図17乃至図19を用いて説明する。
【0136】絶縁性基板1として石英基板を用い、これ
を洗剤、純水及び有機溶剤にて十分に洗浄を行った(図
17(a))。
【0137】レジスト材(RD−2000N;日立化成
社製)を2500rpmで40秒間スピンナー塗布し、
80℃で25分間加熱しプリベークした(図17
(b))。
【0138】電極間隔Lが2μm、電極幅Wが500μ
mの素子電極形状に対応するマスクを用いて密着露光し
(図17(c))、RD−2000N用現像液で現像し
た後、120℃で20分間加熱しポストベークした。
【0139】抵抗加熱蒸着機を用いて、素子電極材料と
してNiを毎秒0.3nmで膜厚が100nmになるま
で蒸着し(図17(d))、アセトンでリフトオフし、
アセトン,イソプロピルアルコール、続いて酢酸ブチル
で洗浄後、乾燥した(図17(e))。
【0140】Crを全面に膜厚40nmになるまで蒸着
した(図18(a))後、レジスト材(AZ1370;
ヘキスト社製)を2500rpmで30秒間スピンナー
塗布し、90℃で30分間加熱しプリベークした(図1
8(b))。
【0141】導電性膜のパターンと同様の開口を有する
マスクを用いて露光し(図18(c))、現像液MIF
312で現像した(図18(d))後、120℃で30
分間加熱しポストベークした。
【0142】(NH4 )Ce(NO36 /HClO4
/H2 O=17g/5cc/100ccの組成の溶液に
30秒浸漬し、クロムをエッチングした(図17
(e))後、アセトン中で10分間超音波攪拌してレジ
ストを剥離した(図18(f))。
【0143】有機パラジウム溶液(ccp4230;奥
野製薬(株)製)を800rpmで30秒間スピンナー
塗布し、300℃で10分間焼成し、酸化パラジウム
(PdO)微粒子(平均粒径:7nm)を主体とする微
粒子状の導電性膜4を形成した(図18(g))。
【0144】Cr膜をリフトオフし、所望のパターンを
有する導電性膜4を得た(図18(h))。このパター
ンは、その幅(素子の幅)を300μmとし、素子電極
2と3のほぼ中央部に配置した。また、この導電性膜4
の膜厚は10nm、シート抵抗値は5×104 Ω/□で
あった。
【0145】以上のように作製された素子を図9の真空
処理装置の真空容器55内に設置した後、真空容器55
内を真空ポンプにて排気した。真空容器55内の真空度
が2.7×105 Paに達した後、素子に素子電圧Vf
を印加するための電源51より、素子電極2,3間に電
圧を印加し、通電処理(フォーミング処理)を行った
(図19(a))。これにより、導電性膜4には亀裂領
域からなる電子放出部5が形成された(図19
(b))。
【0146】本実施例では、フォーミング処理の電圧波
形として図4(b)に示したような波形(但し、三角波
ではなく矩形波)を用いた。尚、この電圧波形のパルス
幅T1を1m秒、パルス間隔T2を10m秒とし、矩形
波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は0.1V
ステップで昇圧し、フォーミング処理を行った。また、
フォーミング処理中は、同時に、0.1Vの電圧で、T
2間に抵抗測定用パルスを挿入し、抵抗を測定した。フ
ォーミング処理の終了は、抵抗測定パルスでの測定値
が、約1MΩ以上となった時とし、同時に、素子への電
圧の印加を終了した。フォーミング終了時の矩形波の波
高値(即ち、フォーミング電圧VF)は、5.0Vであ
った。
【0147】以上のようにして作製された素子につい
て、室温下でアセトンを約1.3×10-2Pa導入し
て、素子電極間に電圧を印加して活性化処理を行った。
活性化開始時の電圧波形は、波高値が±10V、パルス
幅が100μ秒、パルス間隔が5m秒の両極の矩形波
(順方向、逆方向等しく印加)を用いた。その後、矩形
波の波高値は±10Vから±14Vまで3.3mV/s
ecで徐々に電圧を増加させ、同時に逆方向のパルス幅
を100μ秒から0へと減少させ、活性化終了時には、
波高値が+14V、パルス幅が100μ秒、パルス間隔
が10m秒の片極の矩形波(順方向のみ印加)となるよ
うに、連続的に印加電圧条件を変化させた。
【0148】以上の活性化処理を行った後、アセトンを
排気し、素子及び真空容器全体を150℃で10時間加
熱して安定化工程を行った。
【0149】以上のようにして得られた素子の特性を、
引き続き図11の真空処理装置を用いて測定した。尚、
アノード電極54の電圧は1KV、アノード電極54と
電子放出素子との距離Hは4mm、真空容器55内の真
空度は約10-6Paとし、素子電極2,3間に波高値1
3.5V、パルス幅0.1ms、パルス間隔10ms
(100Hz)の矩形波を印加して測定を行った。
【0150】その結果、初期の素子電流Ifは4mA、
放出電流Ieは3.5μA、電子放出効率η=Ie/I
f(%)は0.088%となり、1時間後には、素子電
流は2.8mA、放出電流は2.3μA、電子放出効率
ηは0.082%となった。
【0151】また、素子電流,放出電流の減少率δf,
δeは、それぞれ70%と66%であった。但し、素子
電流,放出電流の減少率δf,δeは、例えば測定開始
時(t=0)から1時間後(t=1)における減少率で
あれば、 δf=If(t=1)/If(t=0)×100 δe=Ie(t=1)/Ie(t=0)×100 と定義した。
【0152】[比較例1]実施例1と同様の素子に同様
のフォーミングを行った後に、室温下でアセトンを約
1.3×10-2Pa導入して、素子電極間に電圧を印加
して活性化処理を行った。活性化開始時の電圧波形は、
波高値が±10V、パルス幅が100μ秒、パルス間隔
が5m秒の両極の矩形波(順方向、逆方向等しく印加)
を用いた。その後、矩形波の波高値は±10Vから±1
4Vまで3.3mV/secで徐々に電圧を増加させ
た。
【0153】活性化工程以降は実施例1と同様に行い、
得られた電子放出素子の特性を実施例1と同様に評価し
た。
【0154】その結果、初期の素子電流Ifは5mA、
放出電流Ieは4.3μA、電子放出効率ηは0.08
8%となり、1時間後には、素子電流は3.3mA、放
出電流は2.6μA、電子放出効率ηは0.079%と
なった。また、素子電流,放出電流の減少率δf,δe
は、それぞれ64%と60%であった。
【0155】以上の実施例1及び比較例1より、活性化
開始時に順方向・逆方向の両極に印加すると共に、パル
ス幅を変化させることで活性化終了時には順方向にのみ
印加して活性化工程を行うことにより、駆動時における
放出電流の低下が少ない電子放出素子を得ることができ
た。
【0156】[実施例2]実施例1と同様の素子に同様
のフォーミングを行った後に、室温下でアセトンを約
1.3×10-2Pa導入して、素子電極間に電圧を印加
して活性化処理を行った。活性化開始時の電圧波形は、
波高値が±10V、パルス幅が100μ秒、パルス間隔
が5m秒の両極の矩形波(順方向、逆方向等しく印加)
を用いた。その後、矩形波の波高値は±10Vから±1
4Vまで3.3mV/secで徐々に電圧を増加させた
後、逆方向のパルスの波高値を−12,−10,…,0
Vと段階的に減少させ、活性化終了時には、波高値が+
14V、パルス幅が100μ秒、パルス間隔が10m秒
の片極の矩形波(順方向のみ印加)となるように、連続
的に印加電圧条件を変化させた。
【0157】活性化工程以降は実施例1と同様に行い、
得られた電子放出素子の特性を実施例1と同様に評価し
た。
【0158】その結果、初期の素子電流Ifは4.5m
A、放出電流Ieは4μA、電子放出効率ηは0.08
7%となり、1時間後には、素子電流は3.3mA、放
出電流は2.8μA、電子放出効率ηは0.084%と
なった。また、素子電流,放出電流の減少率δf,δe
は、それぞれ73%と70%であった。
【0159】[比較例2]実施例1と同様の素子に同様
のフォーミングを行った後に、室温下でアセトンを約
1.3×10-2Pa導入して、素子電極間に電圧を印加
して活性化処理を行った。活性化開始時の電圧波形は、
波高値が+10V、パルス幅が100μ秒、パルス間隔
が5m秒の片極の矩形波(順方向のみ印加)を用いた。
その後、矩形波の波高値は+10Vから+14Vまで
3.3mV/secで徐々に電圧を増加させた。
【0160】活性化工程以降は実施例1と同様に行い、
得られた電子放出素子の特性を実施例1と同様に評価し
た。
【0161】その結果、初期の素子電流Ifは3mA、
放出電流Ieは2μA、電子放出効率ηは0.066%
となり、1時間後には、素子電流は2.0mA、放出電
流は1.3μA、電子放出効率ηは0.065%となっ
た。また、素子電流,放出電流の減少率δf,δeは、
それぞれ67%と65%であった。
【0162】以上の実施例2及び比較例2により、活性
化開始時に順方向・逆方向の両極に印加すると共に、パ
ルス幅を変化させることで活性化終了時には順方向にの
み印加して活性化工程を行うことにより、放出電流値が
大きく、且つ駆動時における放出電流の低下が少ない電
子放出素子を得ることができた。
【0163】[実施例3]本実施例では、図15に示し
たような梯子状配置の電子源基板を用いて、図16に示
したような画像形成装置を構成した例を説明する。
【0164】実施例1と同様の製造方法で、電子放出素
子を電子源基板110上にライン状に多数作製した。次
に、この電子源基板110をリアプレート81上にフリ
ットガラスを用いた固定した後、電子源基板110の上
方に、電子通過孔121を有するグリッド電極120を
共通配線112と直交する方向に配置した。更に電子源
基板110の5mm上方に、フェースプレート86(ガ
ラス基板の内面に蛍光膜とメタルバックが形成されて構
成される)を支持枠82を介して配置し、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81の接合部にフ
リットガラスを塗布し、大気中で400℃乃至500℃
で10分間以上焼成することで封着した(図16参
照)。
【0165】フェースプレートに形成した蛍光膜は、図
13(a)に示すように、黒色導電材91と蛍光体92
とで構成され、ブラックストライプ配列のカラーの蛍光
膜を用いた。この蛍光膜は、先にブラックストライプを
形成し、その間隙部に各色蛍光体を塗布して作製した。
ガラス基板に蛍光体を塗布する方法は、スラリー法を用
いた。
【0166】また、蛍光膜の内面側にはメタルバックを
設けた。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面
側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」と呼ばれ
る)を行い、その後、Alを真空蒸着することで作製し
た。
【0167】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行った。
【0168】以上のようにして完成したガラス容器(外
囲器88)内の雰囲気を排気管(不図示)を通じ真空ポ
ンプにて排気し、十分な真空度に達した後、容器外端子
D1〜Dmを通じて素子電極間に電圧を印加し、前述の
フォーミング処理を行い、電子放出部を形成した。次
に、ガラス容器内にアセトンを1.3×10-2Pa導入
し、容器外端子D1〜Dmを通じて素子電極間に電圧を
印加し、活性化工程を行った。活性化工程での電圧印加
条件は、実施例1と同様に行った。その後、アセトンを
排気した。
【0169】最後に、約1.3×10-4Pa程度の真空
度で、120℃で10時間のベーキングを行った後、実
施例1と同様の安定化工程を行い、不図示の排気管をガ
スバーナーで熱することで溶着し、外囲器88の封止を
行った。
【0170】以上のようにして作製したパネルの容器外
端子D1乃至DmとG1乃至Gn、及び高圧端子87を
夫々必要な駆動系に接続し、画像形成装置を完成した。
各電子放出素子に、容器外端子D1乃至Dmを通じ電圧
を印加することにより電子放出させ、放出された電子は
グリッド電極120の電子通過孔121を通過した後、
高圧端子87を通じメタルバックに印加された数KV以
上の高圧により加速され、蛍光膜に衝突し、励起・発光
させる。その際、グリッド電極120に情報信号に応じ
た電圧を容器外端子G1乃至Gnを通じ印加することに
より、電子通過孔121を通過する電子ビームを制御
し、画像を表示することができる。
【0171】本実施例では、絶縁層であるSiO2 (不
図示)を介し、電子源基板110の10μm上方に50
μm径の電子通過孔121を有するグリッド電極120
を配置することで、加速電圧として6KVを印加したと
き、電子ビームのオンとオフは50V以内の変調電圧で
制御できた。
【0172】また、表示画像は、良好なコントラストが
得られ、数時間連続して表示させても、殆ど変化しなか
った。
【0173】[実施例4]本実施例では、実施例1と同
様の工程により作製された電子放出素子を単純マトリク
ス配置した図11に示したような電子源基板を用いて、
図12に示したような画像形成装置を作製した例を示
す。
【0174】電子源基板の一部の平面図を図20に示
す。また、図20中のA−A’の断面図を図21に、製
造手順を図22及び図23に示す。尚、図20〜図23
において同じ符号は同じ部材を示す。ここで、71は電
子源基板、72はX方向配線(下配線とも呼ぶ)、73
はY方向配線(上配線とも呼ぶ)、151は層間絶縁
層、152は素子電極2と下配線72と電気的接続のた
めのコンタクトホールである。
【0175】本実施例の製造方法を、図22及び図23
に基づいて工程順に従って具体的に説明する。尚、以下
の各工程−a〜hは図22及び図23の(a)〜(h)
に対応するものである。
【0176】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5μmのシリコン酸
化膜をスパッタ法で形成した基板71上に真空蒸着によ
り、厚さ50ÅのCr、厚さ6000ÅのAuを順次積
層した後、ホトレジスト(AZ1370;ヘキスト社
製)をスピンナーにより回転塗布し、ベークした後、ホ
トマスク像を露光、現像して、下配線72のレジストパ
ターンを形成し、Au/Cr堆積膜をウエットエッチン
グして、所望の形状の下配線72を形成した。
【0177】工程−b 次に、厚さ1.0μmのシリコン酸化膜からなる層間絶
縁層151をRFスパッタ法により堆積した。
【0178】工程−c 工程bで堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール1
52を形成するためのホトレジストパターンを作り、こ
れをマスクとして層間絶縁層151をエッチングしてコ
ンタクトホール152を形成した。エッチングはCF4
とH2 ガスを用いたRIE(Reactive・Ion
・Etching)法を用いた。
【0179】工程−d その後、素子電極2,3と素子電極間ギャップとなるべ
きパターンをホトレジスト(RD−2000N−41;
日立化成社製)で形成し、真空蒸着法により、厚さ50
ÅのTi、厚さ1000ÅのNiを順次堆積した。ホト
レジストパターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti堆積
膜をリフトオフし、素子電極間隔Lが3μm、幅Wが3
00μmの素子電極2,3を形成した。
【0180】工程−e 素子電極2,3の上に上配線73のホトレジストパター
ンを形成した後、厚さ50ÅのTi、厚さ5000Åの
Auを真空蒸着により順次堆積し、リフトオフにより不
要の部分を除去して、所望の形状の上配線73を形成し
た。
【0181】工程−f 膜厚1000ÅのCr膜153を真空蒸着により堆積・
パターニングし、その上に有機Pd(ccp4230;
奥野製薬(株)製)をスピンナーにより回転塗布、30
0℃で10分間の加熱焼成処理した。こうして形成され
た主としてPdOよりなる微粒子からなる導電性膜4の
膜厚は100Å、シート抵抗値は5×104 Ω/□であ
った。
【0182】工程−g Cr膜153及び焼成後の導電性膜4を酸エッチャント
によりエッチングして所望のパターンを形成した。
【0183】工程ーh コンタクトホール152部分以外にレジストを塗布する
ようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ50Åの
Ti、厚さ5000ÅのAuを順次堆積した。リフトオ
フにより不要の部分を除去することにより、コンタクト
ホール152を埋め込んだ。
【0184】次に、以上のようにして作製した未フォー
ミングの電子源基板71を用いて表示装置を構成した例
を図12と図13を用いて説明する。
【0185】上述のようにして多数の導電性膜4をマト
リクス配線した電子源基板71(図20)をリアプレー
ト81上に固定した後、電子源基板71の5mm上方
に、フェースプレート86(ガラス基板83の内面に螢
光膜84とメタルバック85が形成されて構成される)
を支持枠82を介し配置し、フェースプレート86、V
支持枠82、リアプレート81の接合部にフリットガラ
スを塗布し、大気中で400℃乃至500℃で10分以
上焼成することで封着した(図12)。尚、リアプレー
ト81への電子源基板71の固定もフリットガラスで行
なった。
【0186】フェースプレートに形成した蛍光膜84
は、図13(a)に示すように、黒色導電材91と蛍光
体92とで構成され、ブラックストライプ配列のカラー
の蛍光膜を用いた。この蛍光膜84は、先にブラックス
トライプを形成し、その間隙部に各色蛍光体を塗布して
作製した。ガラス基板に蛍光体を塗布する方法は、スラ
リー法を用いた。
【0187】また、蛍光膜の内面側にはメタルバック8
5を設けた。メタルバック85は、蛍光膜作製後、蛍光
膜の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」
と呼ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸着すること
で作製した。
【0188】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行った。
【0189】以上のようにして完成したパネル(外囲器
88)内の雰囲気を、不図示の排気管を通じてオイルを
使用しない真空ポンプにて1.3×10-4Paまで排気
した。その後、容器外端子Dx1乃至DxmとDy1乃
至Dynを通じ素子電極2,3間に電圧を印加し、導電
性膜4をフォーミング処理することで、電子放出部5を
作製した。尚、フォーミング処理の電圧波形は、実施例
3と同様とした。
【0190】以上のようにして作製された電子放出部5
は、パラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置さ
れた状態となり、その微粒子の平均粒径は30Åであっ
た。
【0191】次に、外囲器88内にアセトンを1.3×
10-2Pa導入し、容器外端子Dx1乃至DxmとDy
1乃至Dynを通じ素子電極2,3間に電圧を印加し、
活性化工程を行った。活性化工程での電圧印加条件は、
実施例1と同様に行った。その後、アセトンを排気し
た。
【0192】最後に、約1.3×10-4Pa程度の真空
度で、120℃で10時間のベーキングを行った後、実
施例1と同様の安定化工程を行い、不図示の排気管をガ
スバーナーで熱することで溶着し、外囲器88の封止を
行った。
【0193】以上のようにして作製したパネルの容器外
端子Dx1乃至DxmとDy1乃至Dyn、及び高圧端
子87を夫々必要な駆動系に接続し、画像形成装置を完
成した。以上のように完成した本発明の画像表示装置に
おいて、各電子放出素子には、容器外端子Dx1乃至D
xmとDy1乃至Dynを通じ、電圧を印加することに
より、電子放出させ、高圧端子87を通じ、メタルバッ
ク85に数KV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速
し、螢光膜84に衝突させ、励起・発光させることで画
像を表示することができる。
【0194】本実施例の画像表示装置においては、良好
なコントラストが得られ、数時間連続して表示させて
も、表示画像は殆ど変化しなかった。
【0195】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、活
性化開始時には順方向・逆方向の両方向に電圧印加が行
われ、活性化終了時には順方向にのみ電圧印加が行われ
ることにより、電子放出領域が増大し、大きな放出電流
値が得られると共に、素子駆動時における電子放出量の
経時劣化が抑制される。これにより、電子放出効率が高
く、且つ安定な電子放出特性を有する電子放出素子が得
られる。
【0196】また、上記本発明の電子放出素子を複数配
置することで、動作安定性に優れた電子源を作製でき、
さらに、本発明の画像形成装置においては、明るく表示
安定性に優れた画像を形成でき、例えばカラーフラット
テレビが実現される。
【0197】また、本発明による電子放出素子は、この
他にも電子線(EB)描画装置、記録装置等にも適用す
ることが可能であり、本発明の製造方法によれば、これ
らの装置を簡単な工程で作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出素子の一例である平面型の表
面伝導型電子放出素子を模式的に示した図である。
【図2】本発明の電子放出素子の一例である垂直型の表
面伝導型電子放出素子を模式的に示した図である。
【図3】図1の電子放出素子の製造方法の一例を説明す
るための図である。
【図4】本発明の電子放出素子の製造に際して採用でき
る通電フォーミング処理における電圧波形の一例を示す
模式図である。
【図5】本発明に係る活性化工程の開始時及び終了時の
印加電圧波形の一例を示す模式図である。
【図6】本発明に係る活性化工程の開始時から終了時ま
で印加電圧の波高値を変化させる一例を示す模式図であ
る。
【図7】本発明に係る活性化工程の開始時から終了時ま
で印加電圧のパルス幅を変化させる一例を示す模式図で
ある。
【図8】本発明に係る活性化工程の開始時から終了時ま
で印加電圧のパルスの数を変化させる一例を示す模式図
である。
【図9】本発明の電子放出素子の製造に用いることので
きる真空処理装置(測定評価装置)の一例を示す概略構
成図である。
【図10】本発明の表面伝導型電子放出素子の放出電流
Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の典型的
な例を示す図である。
【図11】本発明の適用可能な単純マトリクス配置の電
子源の一例を示す模式図である。
【図12】本発明の適用可能な画像形成装置の表示パネ
ルの一例を示す模式図である。
【図13】表示パネルにおける蛍光膜の一例を示す模式
図である。
【図14】画像形成装置にNTSC方式のテレビ信号に
応じて表示を行うための駆動回路の一例を示すブロック
図である。
【図15】本発明の適用可能な梯子型配置の電子源の一
例を示す模式図である。
【図16】本発明の適用可能な画像形成装置の表示パネ
ルの一例を示す模式図である。
【図17】実施例1に係る電子放出素子の製造方法を説
明するための工程図である。
【図18】実施例1に係る電子放出素子の製造方法を説
明するための工程図である。
【図19】実施例1に係る電子放出素子の製造方法を説
明するための工程図である。
【図20】実施例4に係るマトリクス配線した電子源基
板の一部平面を示す模式図である。
【図21】図20のA−A’断面模式図である。
【図22】実施例4に係る電子源基板の製造方法を説明
するための工程図である。
【図23】実施例4に係る電子源基板の製造方法を説明
するための工程図である。
【図24】従来例の表面伝導型電子放出素子の平面図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2,3 素子電極 4 導電性膜 5 電子放出部 21 段差形成部材 50 素子電流Ifを測定するための電流計 51 電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電
源 52 電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定
するための電流計 53 アノード電極54に電圧を印加するための高圧電
源 54 電子放出部5より放出される電子を捕捉するため
のアノード電極 55 真空容器 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 表面伝導型電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 87 高圧端子 88 外囲器 91 黒色導電材 92 蛍光体 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 110 電子源基板 111 電子放出素子 112 電子放出素子を配線するための共通配線 120 グリッド電極 121 電子が通過するための開口 151 層間絶縁層 152 コンタクトホール 153 Cr膜

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に形成された正負一対の電極間
    に、亀裂領域を含む電子放出部を有する導電性膜を備え
    る電子放出素子の製造方法であって、 導電性膜に亀裂を形成した後、有機物質を含む雰囲気下
    で上記電極間に電圧を印加する活性化工程を有し、 該活性化工程において、活性化開始時には順方向・逆方
    向の両方向に電圧を印加し、活性化終了時には順方向に
    のみ電圧を印加することを特徴とする電子放出素子の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記活性化工程において、任意の時間に
    おける、順方向に印加される電圧波形の時間積分値をJ
    n 、逆方向に印加される電圧波形の時間積分値をJr
    した場合、開始時から終了時にかけて、Jr /Jn を減
    少させることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素
    子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記活性化工程において、開始時から終
    了時にかけて、逆方向の印加電圧の波高値を減少させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の電子放出素子の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記活性化工程において、開始時から終
    了時にかけて、逆方向の印加電圧のパルス幅を減少させ
    ることを特徴とする請求項2に記載の電子放出素子の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記活性化工程において、開始時から終
    了時にかけて、単位時間当たりの逆方向の印加電圧のパ
    ルス数を減少させることを特徴とする請求項2に記載の
    電子放出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法に
    て製造されたことを特徴とする電子放出素子。
  7. 【請求項7】 前記電子放出素子が、表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項6に記載の電子放
    出素子。
  8. 【請求項8】 基体上に、複数の電子放出素子が配列さ
    れた電子源の製造方法において、前記電子放出素子が、
    請求項1〜5のいずれかに記載の方法にて製造されるこ
    とを特徴とする電子源の製造方法。
  9. 【請求項9】 基体上に、複数の電子放出素子が配列さ
    れた電子源において、前記電子放出素子が、請求項6ま
    たは7に記載の電子放出素子であることを特徴とする電
    子源。
  10. 【請求項10】 前記複数の電子放出素子が、マトリク
    ス状に配線されていることを特徴とする請求項9に記載
    の電子源。
  11. 【請求項11】 前記複数の電子放出素子が、梯子状に
    配線されていることを特徴とする請求項9に記載の電子
    源。
  12. 【請求項12】 基体上に、複数の電子放出素子が配列
    された電子源と、該電子源から放出される電子線の照射
    により画像を形成する画像形成部材とを有する画像形成
    装置の製造方法において、前記電子源が、請求項8に記
    載の方法にて製造されることを特徴とする画像形成装置
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 基体上に、複数の電子放出素子が配列
    された電子源と、該電子源から放出される電子線の照射
    により画像を形成する画像形成部材とを有する画像形成
    装置において、前記電子源が、請求項9〜11のいずれ
    かに記載の電子源であることを特徴とする画像形成装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1302968A2 (en) * 2001-10-11 2003-04-16 Canon Kabushiki Kaisha Methods of manufacturing electron-emitting device, electron source, and image forming apparatus
US7230372B2 (en) 2004-04-23 2007-06-12 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source, image display apparatus, and their manufacturing method

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US7582002B2 (en) 2004-04-23 2009-09-01 Canon Kabushiki Kaisha Manufacturing method of electron emitting device, electron source and image display apparatus

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