JP2005255688A - 点眼剤 - Google Patents

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Abstract


【課題】
低温環境において保存してもプラノプロフェンの結晶が析出することなく、長期にわたり安定性なプラノプロフェンを配合した点眼剤を提供することを課題とする。

【解決手段】
プラノプロフェンの水性液剤にグリチルリチン酸二カリウムを配合することにより、プラノプロフェンの溶解度を増大させ、低温環境で保存してもプラノプロフェンの結晶が析出することなく、さらには酸性領域でも長期間澄明に保つことが可能である点眼剤を提供した。

Description

本発明は、グリチルリチン酸二カリウムおよびプラノプロフェンを配合することを特徴とした点眼剤に関する。
プラノプロフェンは、結膜炎、角膜炎、眼瞼炎等の外眼部および前眼部の炎症性疾患に有用な非ステロイド性抗炎症剤である。プラノプロフェンは水に対する溶解度が低く、25℃の溶解度は、0.047mg/mLであり、pH4.0の緩衝液に対する溶解度は、0.033mg/mL、pH6.80の緩衝液に対する溶解度は1.9mg/mLである(非特許文献1参照)。点眼剤のpHは、通常5.0〜9.0であるが、低温ではプラノプロフェンの水に対する溶解度がさらに低下するため、実用的にはpHを限定しなくてはならない。市販品のpH規格は、7.0〜8.0となっている(非特許文献2参照)。
難水溶性薬物を水に溶解する場合、一般的に非イオン界面活性剤を使用する方法が知られている。例えば、難水溶性のシクロスポリンをポリソルベートやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等で溶解した点眼用水溶液(特許文献1参照)、難水溶性のメフェナム酸に、塩基性物質、ポリビニルピロリドンおよびHLB14〜15の非イオン界面活性剤を含有させた水溶液製剤(特許文献2参照)、陰イオン活性基を有する界面活性剤と非イオン性界面活性剤を一定比率で混合することにより難水溶性のアルガトロバンを可溶化させた水溶液(特許文献3参照)等が挙げられる。しかしながら、これらの技術に使用されている非イオン界面活性剤は、安全性の観点から、点眼剤への使用は極力少量に抑えることが望ましい。また、ポリビニルピロリドンやポリエチレングリコール等の水溶性高分子および酸または塩基性物質を添加してプラノプロフェンを澄明に溶解する技術(特許文献4参照)が知られているが、この開示技術は注射剤、噴霧剤または吸入剤として有用なプラノプロフェン水溶液を提供することを目的とし、貼付剤や点眼剤に対しては否定的な見地で言及されている。また、水溶性高分子の配合量が多くなるため、水溶性高分子に起因する眼刺激性が問題となる。
一方、グリチルリチン酸二カリウムもプラノプロフェンと同様に非ステロイド性抗炎症作用を有する成分であり、さらには抗アレルギー作用も有し、安全性も高いことから、点眼薬や外用薬に広く用いられている。眼科用薬製造(輸入)承認基準(非特許文献3参照)にも収載されている成分であり、抗ヒスタミン成分であるマレイン酸クロルフェニラミン、持続性抗菌剤であるスルファメトキサゾールナトリウム、角膜保護成分であるコンドロイチン硫酸ナトリウムとの配合点眼剤等が市販されている(非特許文献4参照)。しかしながら、プラノプロフェンとグリチルリチン酸二カリウムを同時に配合した点眼剤は知られていない。

特開平5−58906号公報 特開平10−29937号公報 特開平10−316569号公報 特開平3−287535号公報 医療用医薬品 品質情報集 No.13(2002) 医薬品添付文書 テイプロフェン点眼液 薬発第623号薬務局長通知(昭和61年) 「新エスビヤン抗菌目薬 添付文書」ゼリア新薬工業株式会社
プラノプロフェンは、水に対する溶解度が低く、特に酸性域における溶解度は極めて低い。このため、プラノプロフェンを配合した点眼剤を例えば5℃以下の低温環境において長期間保存した場合、プラノプロフェンの結晶が析出する可能性がある。一度析出したプラノプロフェンの結晶を室温で再度溶解させることは通常困難であり、使用上問題がある。
本発明の目的は、低温環境に保存してもプラノプロフェンの析出がなく、長期間安定な点眼剤を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意研究した結果、プラノプロフェンに、グリチルリチン酸二カリウムを配合することにより、プラノプロフェンの溶解度を増大させ、長期間安定な点眼剤を製造できることを見出し、本発明を完成した。また、配合するグリチルリチン酸二カリウムは抗炎症作用を有する成分であるので、抗炎症作用効果のより高い点眼剤を提供できる。さらには、弱アルカリ性域で不安定な他の薬効成分を配合することも可能となり、優れた薬効を有する点眼剤を提供できる。
本発明によれば、プラノプロフェンとグリチルリチン酸二カリウムを同時に配合することにより、低温環境においてもプラノプロフェンの結晶が析出することなく、長期間安定な点眼剤を提供することが可能となった。
本発明のプラノプロフェンは、通常の医薬品に使用されるものであればよく、例えば日本薬局方収載品を使用することができる。プラノプロフェンの濃度は、通常0.005〜1.0%(w/v)が好ましく、特に0.05〜0.5%(w/v)が好ましく、更には0.05〜0.2%(w/v)が好ましいが、使用目的、炎症の程度などに応じて適宜増減する。
本発明において使用されるグリチルリチン酸二カリウムは、通常の医薬品に使用されるものであればよく、例えば日本薬局方外医薬品成分規格収載品を使用することができる。グリチルリチン酸二カリウムの濃度は、通常、0.05〜0.5%(w/v)が好ましく、特に0.1〜0.25%(w/v)が好ましい。
本発明の点眼剤は、通例、以下の操作によって調製するが、本発明を達成することができる調製方法であれば良く、特に限定はされない。例えばグリチルリチン酸二カリウムを滅菌精製水に溶解し、必要に応じて他の薬剤を添加溶解する。さらに、プラノプロフェンを添加し、水酸化ナトリウム等のpH調節剤でpHの調整を行い、メンブランフィルター等を用いた濾過滅菌処理等を行うことによって得られる。また、pHの調整に関しては、本発明を達成し得る範囲に調整すればよく、pH値が5.0〜9.0となるように調整することが好ましく、特にpH値が6.0〜8.0となるように調整することが好ましい。このようにして得られた点眼剤は調製直後も、低温条件下および高温多湿条件下での長期保存によっても白濁や沈殿は起こらず安定である。
本発明の点眼剤には、マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸プロメタジン、メキタジン等の抗ヒスタミン成分、クロモグリク酸及びその塩(ナトリウム塩など)、トラニラスト等のケミカルメディエーター遊離抑制成分、アズレンスルホン酸ナトリウム、アラントイン、塩化ベルベリン、イプシロンアミノカプロン酸等の消炎成分、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン等の充血除去成分、グルタミン酸、タウリン、アスパラギン酸マグネシウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のアミノ酸類、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、フラビンアデニンジヌクレオチド等のビタミン類、メチル硫酸ネオスチグミン等の眼機能を調節する成分、硫酸亜鉛等の収斂成分を配合することができる。
さらにはメントール、ボルネオール、カンフル等の清涼化剤、クロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェネチルアルコール、パラオキシ安息香酸エステル類、ソルビン酸カリウム等の保存剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、プロピレングリコール等の等張化剤、エデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、亜硫酸水素ナトリウム等の安定化剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等の粘稠剤、塩酸、クエン酸またはその塩、ホウ酸またはその塩、リン酸またはその塩、酢酸またはその塩、酒石酸またはその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤を配合することができる。
以下に試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
パラオキシ安息香酸メチル0.02g、パラオキシ安息香酸プロピル0.01gおよびホウ酸1.4gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、グリチルリチン酸二カリウム0.1gおよびエデト酸ナトリウム0.005gを溶解させる。これに、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.2に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液をメンブランフィルタ−(0.22μm)で濾過し、10mL容量のポリエチレンテレフタレート製の容器に無菌的に充填し、施栓して点眼剤とした。
実施例2
パラオキシ安息香酸エチル0.03g、リン酸水素二ナトリウム0.1gおよびリン酸二水素ナトリウム0.5gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、グリチルリチン酸二カリウム0.25g、塩酸テトラヒドロゾリン0.025g、塩化ナトリウム0.5gおよびエデト酸ナトリウム0.01gを加えて溶解させる。これに、エタノール0.2mLとプロピレングリコール0.1gにl−メントール0.006gを予め溶解させて添加する。さらに、プラノプロフェン0.1gを加え、予め滅菌精製水に溶解させた水酸化ナトリウム適量を加えてpHを6.5に調整した後、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
実施例3
パラオキシ安息香酸メチル0.03gおよびホウ酸1.6gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、グリチルリチン酸二カリウム0.5gおよび塩酸ナファゾリン0.003gを加えて溶解させる。さらに、プラノプロフェン0.5gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを7.2に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。これを、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
実施例4
パラオキシ安息香酸メチル0.02g、パラオキシ安息香酸エチル0.01gおよびホウ酸1.2gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、グリチルリチン酸二カリウム0.25g、マレイン酸クロルフェニラミン0.03gおよび塩化ナトリウム0.1gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂を加えてpHを6.2に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。これを、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
実施例5
パラオキシ安息香酸エチル0.01g、パラオキシ安息香酸ブチル0.004gおよびリン酸二水素ナトリウム0.5gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、グリチルリチン酸二カリウム0.15g、塩化ナトリウム0.4g、メチル硫酸ネオスチグミン0.005gおよびエデト酸ナトリウム0.01gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン0.1gを加え、予め滅菌精製水に溶解させた水酸化ナトリウム適量を加えてpHを6.4に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
実施例6
ホウ酸1.8gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、グリチルリチン酸二カリウム0.5g、マレイン酸クロルフェニラミン0.02gおよびソルビン酸0.1gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン0.2gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.8に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
実施例7
パラオキシ安息香酸メチル0.016g、パラオキシ安息香酸プロピル0.008gおよびリン酸二水素ナトリウム0.4gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、グリチルリチン酸二カリウム0.4gおよび塩化ナトリウム0.5gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン0.3gを加え、予め滅菌精製水に溶解させた水酸化ナトリウム適量を加えてpHを7.0に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
実施例8
パラオキシ安息香酸メチル0.018g、パラオキシ安息香酸プロピル0.009g、ホウ酸0.6gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、グリチルリチン酸二カリウム0.25g、マレイン酸クロルフェニラミン0.02g、イプシロンアミノカプロン酸2.0g、エデト酸ナトリウム0.02gを加えて溶解させる。これに、エタノール0.2mLにl−メントール0.003gを予め溶解させて添加する。さらに、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.1に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
実施例9
リン酸二水素カリウム0.4gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、グリチルリチン酸二カリウム0.5g、L-アスパラギン酸カリウム1.0g、塩化ナトリウム0.3gおよびソルビン酸カリウム0.1gを加えて溶解させる。これに、さらに、プラノプロフェン1.0gを加え、予め滅菌精製水に溶解させた水酸化ナトリウム適量を加えてpHを7.6に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
実施例10
パラオキシ安息香酸メチル0.026g、パラオキシ安息香酸プロピル0.014gおよびホウ酸1.2gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、グリチルリチン酸二カリウム0.15g、マレイン酸クロルフェニラミン0.03g、塩化ナトリウム0.2gおよびエデト酸ナトリウム0.005gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.1に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例1
パラオキシ安息香酸メチル0.02g、パラオキシ安息香酸プロピル0.01gおよびホウ酸1.4gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、エデト酸ナトリウム0.005gを溶解させる。これに、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.2に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例2
パラオキシ安息香酸エチル0.03g、リン酸水素二ナトリウム0.1gおよびリン酸二水素ナトリウム0.5gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、塩酸テトラヒドロゾリン0.025g、塩化ナトリウム0.5gおよびエデト酸ナトリウム0.01gを加えて溶解させる。これに、エタノール0.2mLにプロピレングリコール0.1gとl−メントール0.006gを加え、予め溶解させて添加する。さらに、プラノプロフェン0.1gを加え、予め滅菌精製水に溶解させた水酸化ナトリウム適量を加えてpHを6.5に調整した後、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例3
パラオキシ安息香酸メチル0.03gおよびホウ酸1.6gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、塩酸ナファゾリン0.003gを加えて溶解させる。さらに、プラノプロフェン0.5gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを7.2に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。これを、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例4
パラオキシ安息香酸メチル0.02g、パラオキシ安息香酸エチル0.01gおよびホウ酸1.2gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、マレイン酸クロルフェニラミン0.03gおよび塩化ナトリウム0.1gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂を加えてpHを6.2に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。これを、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例5
パラオキシ安息香酸エチル0.01g、パラオキシ安息香酸ブチル0.004gおよびリン酸二水素ナトリウム0.5gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、塩化ナトリウム0.4g、メチル硫酸ネオスチグミン0.005gおよびエデト酸ナトリウム0.01gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン0.1gを加え、予め滅菌精製水に溶解させた水酸化ナトリウム適量を加えてpHを6.4に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例6
ホウ酸1.8gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、マレイン酸クロルフェニラミン0.02gおよびソルビン酸0.1gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン0.2gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.8に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例7
ホウ酸1.2gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、塩酸ジフェンヒドラミン0.05gを加えて溶解させる。これに、エタノール0.4mLとポリソルベート80 0.2gを混和させた液にd−カンフル0.01gおよびd−ボルネオール0.01gを予め溶解させて添加する。さらに、塩化ベンザルコニウム液(10%)0.1mLを添加し、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.2に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例8
ホウ酸0.8gおよびクエン酸0.1gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、ポリソルベート80 0.2g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 0.2gおよび塩化ベンゼトニウム液(10%)0.1mLを添加し、混和する。これに、プラノプロフェン0.1gを加え、予め滅菌精製水に溶解させた水酸化ナトリウム適量を加えてpHを6.4に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例9
ホウ酸1.0gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、塩酸テトラヒドロゾリン0.025g、マレイン酸クロルフェニラミン0.015gおよびエデト酸ナトリウム0.005gを加えて溶解させる。これに、エタノール0.4mLにl−メントール0.003gおよびd−ボルネオール0.005gを予め溶解させて添加する。次いで、ポリソルベート80 0.3gおよび塩化ベンザルコニウム液(10%)0.075mLを添加し、混和する。さらに、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.2に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例10
パラオキシ安息香酸メチル0.016g、パラオキシ安息香酸プロピル0.008gおよびリン酸二水素ナトリウム0.4gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、塩化ナトリウム0.5gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン0.3gを加え、予め滅菌精製水に溶解させた水酸化ナトリウム適量を加えてpHを7.0に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例11
パラオキシ安息香酸エチル0.02g、ホウ酸1.5gおよびコンドロイチン硫酸ナトリウム0.3gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、エデト酸ナトリウム0.01gを溶解させる。これに、エタノール0.3mLとプロピレングリコール0.1gとポリソルベート80 0.1gを混和し、l−メントール0.005gおよびd−カンフル0.01gを加え、予め溶解させて添加する。さらに、プラノプロフェン0.2gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.8に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例12
パラオキシ安息香酸メチル0.018g、パラオキシ安息香酸プロピル0.009g、ホウ酸0.6gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、マレイン酸クロルフェニラミン0.02g、イプシロンアミノカプロン酸2.0g、エデト酸ナトリウム0.02gを加えて溶解させる。これに、エタノール0.2mLにl−メントール0.003gを予め溶解させて添加する。さらに、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.1に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例13
リン酸二水素カリウム0.4gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、L-アスパラギン酸カリウム1.0g、塩化ナトリウム0.3gおよびソルビン酸カリウム0.1gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン1.0gを加え、予め滅菌精製水に溶解させた水酸化ナトリウム適量を加えてpHを7.6に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例14
ホウ酸1.6gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、メチル硫酸ネオスチグミン0.003gおよびアミノエチルスルホン酸0.3gを加えて溶解させる。これに、ポリソルベート80 0.25gおよびグルコン酸クロルヘキシジン液(20%)0.05mLを添加し、混和する。さらに、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.2に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
比較例15
パラオキシ安息香酸メチル0.026g、パラオキシ安息香酸プロピル0.014gおよびホウ酸1.2gを予め加温した適量の滅菌精製水に溶解させる。常温まで冷却し、マレイン酸クロルフェニラミン0.03g、塩化ナトリウム0.2gおよびエデト酸ナトリウム0.005gを加えて溶解させる。これに、プラノプロフェン0.05gを加え、予め滅菌精製水に溶解させたホウ砂適量を加えてpHを6.1に調整し、滅菌精製水を加えて全量を100mLとする。この液を、実施例1と同様に、充填および施栓して点眼剤とした。
〔試験例1〕
(プラノプロフェンの溶解度に及ぼすグリチルリチン酸二カリウムの効果)
グリチルリチン酸二カリウム0.1g、0.25gまたは0.5gを1.2%(w/v)リン酸二水素ナトリウム水溶液100mLに溶解し、各溶液に溶解過剰量のプラノプロフェンを加え、水酸化ナトリウムによりpHを6.0に調整した。これらの液を5℃にて10日間保存した後、メンブランフィルター(0.22μm)で濾過し、その濾液を試験液とした。別に、対照としてグリチルリチン酸二カリウムが無添加の1.2%(w/v)リン酸二水素ナトリウム水溶液100mLに、溶解過剰量のプラノプロフェンを加え、以下試験液と同様に操作して、対照試験液を調製した。試験液および対照試験液のプラノプロフェン含量を逆相分配高速液体クロマトグラフ法で定量して比較した。
プラノプロフェンの溶解度を示した表である。
Figure 2005255688
表1から明らかなように、グリチルリチン酸二カリウムの添加により、プラノプロフェンの溶解度が約1.5〜1.9倍程度増大した。グリチルリチン酸二カリウムの添加量が多いほど、溶解度の増大が顕著であった。
〔試験例2〕
(実施例および比較例の低温保存における外観安定性試験)
実施例および比較例の点眼剤を5±1℃または0±1℃で8週間静置保管した後、室温で2時間放置後、プラノプロフェン結晶の析出の有無を白色蛍光燈を用いて3000〜5000ルクスの明るさの位置で、肉眼で観察して評価した。評価は、プラノプロフェンの結晶が認められず澄明な場合を−とし、僅かに認められる場合を±、認められる場合を+、多く認められる場合を++として行った。点眼剤は肉眼で観察するとき、澄明でたやすく検出される不溶性異物があってはならない。このため、点眼剤の外観安定性として、−がよい。±、+および++はプラノプロフェンの結晶が析出するため、点眼剤の外観安定性として不適である。特に+、++は外観安定性が極めて悪く不適である。実施例および比較例における外観安定性の評価結果を表2および3に示した。
実施例における外観安定性の評価結果を示した表である。

Figure 2005255688
比較例における外観安定性の評価結果を示した表である。

Figure 2005255688
表2および表3の外観安定性の評価結果から明らかなように、グリチルリチン酸二カリウムを配合していない比較例1〜15の点眼剤は、低温環境下でプラノプロフェンの結晶の析出が認められたのに対して、プラノプロフェンとグリチルリチン酸二カリウムを配合した点眼剤は、低温環境下でも外観変化が認められず、プラノプロフェンの結晶の析出が防止された。


Claims (4)

  1. プラノプロフェンとグリチルリチン酸二カリウムを配合し、非イオン性界面活性剤を含有しないことを特徴とする点眼剤。
  2. プラノプロフェンとグルチルリチン酸二カリウムを配合し、更にパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウムから選ばれるいずれか1つ以上を配合することを特徴とする点眼剤。
  3. グリチルリチン酸二カリウムの濃度が0.05〜0.5%(w/v)である請求項1または請求項2に記載の点眼剤。
  4. プラノプロフェンの濃度が0.005〜1.0%(w/v)である請求項1または請求項2に記載の点眼剤。
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