JP5019923B2 - プラノプロフェン含有医薬組成物 - Google Patents

プラノプロフェン含有医薬組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5019923B2
JP5019923B2 JP2007082955A JP2007082955A JP5019923B2 JP 5019923 B2 JP5019923 B2 JP 5019923B2 JP 2007082955 A JP2007082955 A JP 2007082955A JP 2007082955 A JP2007082955 A JP 2007082955A JP 5019923 B2 JP5019923 B2 JP 5019923B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pharmaceutical composition
salt
pranoprofen
composition
aqueous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007082955A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007291082A (ja
Inventor
由佳 清林
康子 仁科
江利 松本
宏美 河合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rohto Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Rohto Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Rohto Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Rohto Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP2007082955A priority Critical patent/JP5019923B2/ja
Publication of JP2007291082A publication Critical patent/JP2007291082A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5019923B2 publication Critical patent/JP5019923B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Landscapes

  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は、優れた防腐性及び抗炎症作用を有しているプラノプロフェン含有医薬組成物に関する。更に、水性組成物の状態でも、長期間にわたって組成物が澄明な状態を保持できるプラノプロフェン含有医薬組成物に関する。更に、本発明は、プラノプロフェン含有水性医薬組成物を安定化する方法、及びプラノプロフェン含有医薬組成物に防腐作用を付与する方法に関する。
プラノプロフェンは、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を併せ持つ非ステロイド系抗炎症剤として知られており、安全性も高いことから多くの医薬製剤に使用されている。
ところで、医薬分野では、防腐剤は、プラノプロフェンを含む組成物に限らず、多くの処方において配合されている。医薬分野で使用されている従来の防腐剤には、刺激性や細胞毒性を示すものがあり、安全性が十分に確保できていないものがある。また、従来の防腐剤に対して耐性を示す微生物が報告されており、従来の防腐剤のみの使用では十分な防腐作用が得られないことがある。このような従来の防腐剤の欠点に加え、近年、医薬分野での安全性に対する関心の高まりによって、従来の防腐剤を使用せずに、又はその使用量を低減して、防腐性を十分に備えさせる技術が切望されている。しかしながら、プラノプロフェンは防腐性を有していないため、プラノプロフェンを含む医薬組成物に防腐性を備えさせるには、従来の防腐剤を配合せざるを得ないのが現状であった。
また、プラノプロフェンは、従来実用化されている抗炎症剤の中では、抗炎症作用が比較的穏やかであるため、深刻な炎症に対しては軽減効果が十分に奏されないことがある。そのため、プラノプロフェンの有用性や実用的価値を更に高めるために、プラノプロフェンの抗炎症作用を増強できる処方の開発も望まれている。
更に、プラノプロフェンは、水存在下で不安定化されるという欠点がある。そのため、プラノプロフェンを含む水性医薬組成物では、沈殿物や不溶化物が生じ易くなり、長期間保存すると水性医薬組成物の澄明性が損なわれ、外観が悪化するという欠点がある。特に、上記の欠点は、プラノプロフェンを含む水性医薬組成物を光に晒すことによって一層顕著になることが分かっている。そこで、プラノプロフェンを含む水性医薬組成物を実用化する上で、澄明性を保持し、外観形状を安定に保つことができる処方の開発が望まれている。これまでに、本発明者等は、プラノプロフェン含有水性組成物に、ソルビン酸又はその塩、エチレンジアミン四酢酸又はその塩、及び非イオン界面活性剤を特定の割合で含有させることによって、プラノプロフェンの安定性と水性組成物の澄明性の双方を備えさせることが可能になることを報告している(特許文献1参照)。しかしながら、製剤処方の多様化に応えるために、特許文献1に記載の技術以外でも、プラノプロフェン含有水性医薬組成物において効果的に安定化を図る技術の確立が切望されている。
一方、アルギン酸には、Ca2+イオン等の二価以上の陽イオンによって部分的に架橋されてゲル化(高粘度化)する作用があり、アルギン酸を含む水性組成物を皮膚や粘膜に適用すると、皮膚や粘膜上に存在するCa2+イオンとアルギン酸が接触することにより、皮膚や粘膜上で水性組成物が増粘することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、アルギン酸ついては、プラノプロフェンの抗炎症作用に対する影響は明らかにされていない。また、アルギン酸自体は防腐性を有しておらず、アルギン酸と防腐性との関連性についての報告も一切ない。更に、プラノプロフェンを含む水性組成物において、アルギン酸が、水性組成物の澄明性にどのような作用を及ぼすかについては明らかにされていない。
特開2005-272440号公報 Journal of controlled release 44 (1997), 201-208
本発明の目的は、優れた防腐作用を備えている、プラノプロフェン含有医薬組成物を提供することである。また、本発明の他の目的は、プラノプロフェンの抗炎症作用が増強されている医薬組成物を提供することである。更に、本発明の他の目的は、水性組成物の場合でも、長期間保存しても該水性組成物中で沈殿物や不溶化物が生じることなく澄明性を保持して、外観形状を安定に保つことができる、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する医薬組成物を提供することである。そして更に、本発明は、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性組成物を安定化する方法、及び、プラノプロフェン及び/またはその塩を含有する医薬組成物に防腐作用を付与する方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、驚くべきことに、プラノプロフェン及び/又はその塩と、アルギン酸及び/又はその塩とを併用することによって、これらの成分の単独使用では認められない防腐効果が獲得されることを見出した。また、プラノプロフェン及び/又はその塩の抗炎症作用が、アルギン酸及び/又はその塩との共存によって増強されることを見出した。更に、プラノプロフェン及び/又はその塩と、アルギン酸及び/又はその塩とを併用した水性医薬組成物では、長期間保存しても該水性医薬組成物中に沈殿物や不溶化物が生じることなく、水性医薬組成物の澄明性を安定に保持できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に改良を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる医薬組成物である:
項1-1. (A)プラノプロフェン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、医薬組成物。
項1-2. (B)成分が、グルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比が、0.4〜3.0であるアルギン酸、及び/又はその塩である、項1-1に記載の医薬組成物。
項1-3. 水性組成物である、項1-1又は1-2に記載の医薬組成物。
項1-4. 眼科用組成物である、項1-1乃至1-3のいずれかに記載の医薬組成物。
また、本発明は、下記に掲げる水性医薬組成物の安定化方法である:
項2-1. プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性医薬組成物の安定化方法であって、該水性医薬組成物に(B)アルギン酸及び/又はその塩を配合することを特徴とする、前記水性医薬組成物の安定化方法。
項2-2. (B)成分が、グルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比が、0.4〜3.0であるアルギン酸、及び/又はその塩である、項2-1に記載の安定化方法。
項2-3. 水性医薬組成物が眼科用組成物である、項2-1又は2-2に記載の安定化方法。
更に、本発明は、下記に掲げる防腐剤組成物を提供する:
項3-1. (A)プラノプロフェン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、防腐剤組成物。
項3-2. (B)成分が、グルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比が、0.4〜3.0であるアルギン酸、及び/又はその塩である、項3-1に記載の防腐剤組成物。
項3-3. (A)成分の総量1重量部に対して、(B)成分が総量で0.001〜50重量部の比率で含まれる項3-1又は3-2に記載の防腐剤組成物。
項3-4. 眼科用である、項3-1乃至3-3に記載の防腐剤組成物。
そして更に、本発明は、下記に掲げる防腐作用の付与方法を提供する:
項4-1. プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する医薬組成物に防腐作用を付与する方法であって、該医薬組成物に(B)アルギン酸及び/又はその塩を配合することを特徴とする、防腐作用の付与方法。
項4-2. (B)成分が、グルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比が、0.4〜3.0であるアルギン酸、及び/又はその塩である、項4-1に記載の付与方法。
項4-3. 医薬組成物が眼科用組成物である、項4-1又は4-2に記載の付与方法。
本発明の医薬組成物では、プラノプロフェン及び/又はその塩と、アルギン酸及び/又はその塩とを併用することによって、優れた防腐作用を発現することができる。
また、本発明の医薬組成物は、プラノプロフェンの抗炎症作用が増強されているので、従来のプラノプロフェン含有組成物では対処が困難であった深刻な炎症に対しても、軽減効果を奏し得る。
また、プラノプロフェン及び/又はその塩と、アルギン酸及び/又はその塩とを併用した医薬組成物では、水性組成物の形態にしても、沈殿物や不溶化物の生成を抑制することができ、安定性が向上されている。そのため、水性組成物として調製された本発明の医薬組成物は、長時間保存しても、該医薬組成物の澄明性が保持され、外観形状を良好な状態に保つことができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書中、w/v%は、質量対体積百分率を示し、溶液100mLに溶けている各成分(溶質)の重量gを意味するものである。また、コンタクトレンズという語句は、特記しない限り、ハード、酸素透過性ハード、ソフト等のあらゆるタイプのコンタクトレンズを包含する意味で用いる。また、本明細書において、水性組成物又は水性医薬組成物とは、組成物中に水を少なくとも5重量%以上、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは50重量%以上含有する組成物を意味する。更に、本明細書において、防腐作用又は防腐性とは、細菌の繁殖を防止して、腐敗を生じさせない作用又は性質のことを示し、当該防腐作用又は防腐性には、静菌及び殺菌の双方の作用又は性質を包含される。ここで、静菌とは細菌の菌数を増加させないことであり、殺菌とは細菌を死滅させ菌数を減じさせることである。
(I)医薬組成物
本発明の医薬組成物は、プラノプロフェン及び/又はその塩(以下、単に(A)成分と表記することもある)を含有する。プラノプロフェンは、α−メチル−5H−[1]ベンゾピラノ[2,3-b]ピリジン−7−酢酸とも称される公知化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
また、プラノプロフェンの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。このような塩としては、例えば、無機塩基との塩[例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等]や、有機塩基との塩[例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機塩基との塩]などが挙げられる。これらのプラノプロフェンの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
また、プラノプロフェン及び/又はその塩は、水和物の形態でも使用できる。
本発明の医薬組成物には、これらのプラノプロフェン及びその塩の中から、一種のものを選択して単独で使用してもよく、二種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。好ましくはプラノプロフェンである。
本発明の医薬組成物中のプラノプロフェン及び/又はその塩の配合割合は、特に制限されるものではなく、該組成物の用途や形態等に応じて適宜設定できる。プラノプロフェン及び/又はその塩の配合割合の一例として、医薬組成物の総量当たり、これらが総量で0.00005〜60重量%、好ましくは0.0001〜30重量%が例示される。
特に、本発明の医薬組成物が水性組成物の場合(以下、水性医薬組成物と表記することもある)であれば、プラノプロフェン及び/又はその塩の配合割合として以下に示す範囲が例示される:
水性医薬組成物中に、プラノプロフェン及び/又はその塩が総量で0.0001〜2w/v%、好ましくは0.0005〜0.2w/v%、更に好ましくは0.001〜0.1w/v%;より具体的には、水性医薬組成物が点眼剤であれば、プラノプロフェン又はその塩が総量で、特に好ましくは0.01〜0.1w/v%、更に特に好ましくは0.01〜0.05w/v%;水性医薬組成物が洗眼剤であれば、プラノプロフェン又はその塩が総量で、特に好ましくは0.001〜0.01w/v%、更に特に好ましくは0.001〜0.005w/v%。
上記割合でプラノプロフェン及び/又はその塩を含むことによって、本発明の医薬組成物において、防腐作用及び抗炎症作用を一層効果的に獲得することができる。
本発明の医薬組成物は、更にアルギン酸及び/又はその塩(以下、単に(B)成分と表記することもある)を含有する。本発明の医薬組成物は、プラノプロフェン及び/又はその塩と、アルギン酸及び/又はその塩を組み合わせて含有することによって、防腐作用を発揮し、更にはプラノプロフェン及び/又はその塩の抗炎症作用を相乗的に増強することが可能になる。更に、本発明の医薬組成物が水性組成物である場合には、アルギン酸及び/又はその塩の存在によって、プラノプロフェン及び/又はその塩を含んでいながらも、沈殿物や不溶化物が生じるのを抑制して澄明な状態に保持することが可能になる。
アルギン酸とは、マンヌロン酸(以下、単に「M」と表示することもある)とグルロン酸(以下、単に「G」と表示することもある)から構成される多糖類であり、マンヌロン酸のホモポリマー画分(MM画分)、グルロン酸のホモポリマー画分(GG画分)、及びマンヌロン酸とグルロン酸がランダムに配列した画分(MG画分)が任意に結合したブロック共重合体である。
本発明に使用されるアルギン酸において、そのグルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比率(M/G比;モル比)については、特に制限されず、例えばM/G比が0.4〜3.0の範囲に含まれるものが広く使用される。アルギン酸を水性組成物に配合する場合において、一般に、M/G比が小さい程、水性組成物の粘性が上昇する傾向がある。かかる事項を考慮すると、水性医薬組成物であれば、プラノプロフェン及び/又はその塩の適用部位における滞留性を向上させるという観点からは、M/G比が2.5以下、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.6以下であることが望ましい。特に、水性組成物の澄明性の保持効果をも一層向上させるという観点からは、M/G比が、好ましくは0.4〜2.0、より好ましくは0.5〜1.6、特に好ましくは1.0〜1.6の範囲に含まれるものを使用することが望ましい。なお、本発明において、M/G比は、アルギン酸をブロック単位で分画し、それぞれを定量することにより算出される値であり、具体的には、A. Haug et al., Carbohyd. Res. 32(1974), p.217-225に記載の方法に従って測定される。
また、本発明に使用されるアルギン酸において、MM画分、GG画分及びMG画分の比率についても、特に制限されず、医薬組成物の用途や形状に応じて適宜選択することができる。
また、本発明で使用されるアルギン酸は、低分子量のものであってもよく、また高分子量のものであってもよい。
また、アルギン酸の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。アルギン酸の塩として、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらのアルギン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の医薬組成物には、これらのアルギン酸及びその塩の中から、一種のものを選択して単独で使用してもよく、二種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。特に、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムは水溶性であり、本発明において好適に使用される。
本発明の医薬組成物中のアルギン酸及び/又はその塩の配合割合は、特に制限されるものではなく、該組成物の用途や形態等に応じて適宜設定できる。アルギン酸及び/又はその塩の配合割合の一例として、医薬組成物の総量当たり、これらが総量で0.0005〜50重量%、好ましくは0.001〜30重量%が例示される。
特に、水性医薬組成物の場合であれば、アルギン酸及び/又はその塩の配合割合として以下に示す範囲が例示される:
水性医薬組成物中に、アルギン酸及び/又はその塩が総量で0.001〜5w/v%、好ましくは0.002〜2w/v%、更に好ましくは0.005〜1w/v%;より具体的には、水性医薬組成物が点眼剤であれば、アルギン酸又はその塩が総量で、特に好ましくは0.001〜0.5w/v%、更に特に好ましくは0.005〜0.2w/v%;水性医薬組成物が洗眼剤であれば、アルギン酸又はその塩が総量で、特に好ましくは0.001〜0.2w/v%、更に特に好ましくは0.005〜0.1w/v%。
本発明の医薬組成物において、プラノプロフェン及び/又はその塩とアルギン酸及び/又はその塩の比率についても特に制限されない。プラノプロフェン及び/又はその塩の抗炎症作用の増強、又は防腐作用の発現を、より一層顕著ならしめるという観点から、プラノプロフェン及び/又はその塩とアルギン酸及び/又はその塩の比率として以下に示す範囲が例示される:
プラノプロフェン及び/又はその塩の総量1重量部に対して、アルギン酸及び/又はその塩が総量で0.001〜50重量部、好ましくは0.01〜30重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部、更に特に好ましくは0.5〜3重量部。
また、水性医薬組成物において上記比率を充足する場合、水性医薬組成物の澄明化をより顕著ならしめ、安定性を効果的に向上させることもできる。
本発明の医薬組成物は、上記成分に加えて、更に緩衝剤を含有していてもよい。本発明の医薬組成物に配合できる緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、ε−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩などが挙げられる。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。本発明の効果を一層効率的に奏させる観点から、上記緩衝剤の中でも、ホウ酸緩衝剤及びリン酸緩衝剤が好適である。特に、ホウ酸緩衝剤は、抗炎症作用の増強効果をより一層顕著ならしめることができ、本発明の医薬組成物において特に好適に使用される。当該ホウ酸緩衝剤の具体例として、ホウ酸及びその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂など)が例示される。特に、ホウ酸、ホウ砂が好適である。
本発明の医薬組成物に緩衝剤を配合する場合、該緩衝剤の配合割合については、使用する緩衝剤の種類や期待される効果等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、医薬組成物の総量当たり、該緩衝剤が0.001〜10重量%、好ましくは0.005〜5重量%となる割合が例示される。特に、水性医薬組成物の場合であれば、緩衝剤の配合割合として、0.01〜3w/v%、好ましくは0.1〜2w/v%、更に好ましくは0.3〜2w/v%、特に好ましくは0.5〜2w/v%となる割合が例示される。
また、本発明の水性医薬組成物は、プラノプロフェン及び/又はその塩の化学的安定性が著しく損なわれない範囲で、生体に許容される範囲内のpHに調節することができる。適切なpHは、該水性医薬組成物の適用部位、剤形等により異なるが、通常6〜9、好ましくは6.5〜8.5、更に好ましくは6.8〜8.2、特に好ましくは7〜8程度である。かかる範囲内から著しく逸脱すると、プラノプロフェン及び/又はその塩の安定性が低下する可能性がある。pHの調節は、前記緩衝剤、或いは当該技術分野で通常使用されているpH調整剤、等張化剤、塩類等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
本発明の水性医薬組成物は、更に必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は適用部位、剤形等により異なるが、通常0.3〜4.2、好ましくは0.3〜2.1、更に好ましくは0.5〜1.8、より好ましくは0.6〜1.5、特に好ましくは0.8〜1.5程度である。浸透圧の調整は無機塩、多価アルコール、糖アルコール、糖類などを用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十四改正日本薬局方に基づき0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。浸透圧比測定用標準液は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650°Cで40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。
本発明の医薬組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有してもよい。かかる成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された各種医薬における有効成分が例示できる。具体的に、眼科用薬において用いられる成分としては、次のような成分が挙げられる。
エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、硝酸ナファゾリン、メチル硫酸ネオスチグミン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、ε−アミノカプロン酸、塩化リゾチーム、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム混合物、スルファメトキサゾール、スルファイソキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルファイソミジンナトリウム、グルコース、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン等。
また、本発明の医薬組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2005(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
マクロゴール、ポロクサマー、ポロキサミン、ポリソルベート80,ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、アルキルジアミノエチルグリシン、塩化ベンザルコニウム、パラベン類、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、カンフル、ゲラニオール、ボルネオール、メントール、ウイキョウ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油、エデト酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウム、クエン酸、トロメタモール、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、酢酸ナトリウム、酢酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、など。
また、本発明の医薬組成物には、上記(A)及び(B)成分を併用することにより、防腐性が備わっているので、防腐剤を別途添加しなくてもよいが、必要に応じて、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラベン類、ソルビン酸、フェネチルアルコール、グルコン酸クロルヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、硫酸オキシキノリン等の防腐剤を含んでいてもよい。防腐性という観点からは、本発明の医薬組成物は、塩化ベンザルコニウム、パラベン等の防腐剤に耐性を示すBurkholderia cepaciaに対しても、効果的な殺菌又は増殖抑制を示すことができるという利点がある。
本発明の医薬組成物は、その剤型は任意であり、その用途に応じて種々の形態をとることができる。例えば、液状であってもよく、軟膏等の半固形状、固形状であってもよい。好ましくは液状である。なお、本発明の水性医薬組成物の剤型には、液状のみならず半固形状も含まれる。本発明によれば、プラノプロフェン及び/又はその塩を水性組成物にした場合の従来技術の問題点、即ち沈殿物や不溶化物の発生が解消されている。かかる本発明の利点に鑑みれば、本発明の医薬組成物として、水性医薬組成物、特に液状の水性医薬組成物が好適である。
また、本発明の医薬組成物は、上記(A)及び(B)成分に基づく有用な薬理作用を発現できるため、医薬品や医薬部外品等の製剤として使用できる。本発明の医薬組成物の製剤形態の具体例として、点眼剤[但し、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む]、人工涙液、洗眼剤[但し、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む]、眼軟膏剤等の眼科用組成物;コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等];点鼻剤、鼻洗浄液等の鼻腔用組成物;口腔咽頭薬、含嗽薬(含嗽用剤)等の口腔用組成物;点耳薬;錠剤、顆粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、エキス剤等の経口投与用組成物;注射剤等の皮下投与用組成物等が挙げられる。(A)及び(B)成分の薬理作用を鑑みれば、中でも好ましくは眼科用組成物であり、更に好ましくは点眼剤及び洗眼剤であり、特に好ましくは点眼剤である。
なお、上記コンタクトレンズ用組成物は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズを含むあらゆるコンタクトレンズに適用できるが、特に酸素透過性のハードコンタクトレンズ又はソフトコンタクトレンズに対して吸着し難い成分から構成されているため、上記コンタクトレンズ用組成物は、これらのコンタクトレンズに対してより好適に使用される。
本発明の医薬組成物は、プラノプロフェン及び/又はその塩の抗炎症作用を増強して発現することができるので、抗炎症用の医薬組成物として特に有用である。
本発明の医薬組成物は、目的とする剤型や用途に応じた公知の方法により製造できる。
(II)防腐剤組成物
前述するように、プラノプロフェン及び/又はその塩と、アルギン酸及び/又はその塩とを共存させることにより、Escherichia coliPseudomonas aeruginosaBurkholderia cepacia等の雑菌の繁殖を防止して優れた防腐作用を示すので、本発明は、更に他の観点から、(A)プラノプロフェン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有する防腐剤組成物を提供する。ここで、防腐剤組成物とは、防腐剤として、例えば、医薬組成物等の防腐対象となる組成物(以下、防腐対象組成物と表記する)に配合して使用される添加剤のことを意味する。当該防腐剤組成物において、上記(A)及び(B)成分の種類、及びこれら両成分の比率については、上記「(I)医薬組成物」の項に記載する内容と同様である。
当該防腐剤組成物の使用量についても、特に制限されないが、例えば、防腐対象組成物と(A)及び(B)成分の総量((A)成分及び(B)成分が添加された防腐対象組成物の総重量に対して、上記(A)及び(B)成分の合計量が、0.0005〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%となる割合が例示される。
当該防腐剤組成物は、従来の防腐剤に代えて、又は従来の防腐剤と組み合わせて、防腐対象組成物に添加して使用される。また、当該防腐剤組成物は、塩化ベンザルコニウム、パラベン等の防腐剤に耐性を示すBurkholderia cepaciaに対しても、効果的な殺菌又は増殖抑制を示すため、Burkholderia cepaciaの繁殖防止が求められる防腐対象組成物に対して、特に好適に使用される。
また、当該防腐剤組成物は、液剤、半固形剤、固形剤のいずれの形状の防腐対象組成物に対しても適用できる。当該防腐剤組成物の適用対象(防腐対象組成物)としては、例えば、点眼剤[但し、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む]、人工涙液、洗眼剤[但し、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む]、眼軟膏剤等の眼科用組成物;コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等];点鼻剤、鼻洗浄液等の鼻腔用組成物;口腔咽頭薬、含嗽薬(含嗽用剤)等の口腔用組成物;点耳薬等の経粘膜又は経皮投与用組成物等が挙げられる。また、当該防腐剤組成物は、錠剤、顆粒剤、散剤、液剤、エキス剤等の経口投与用組成物;注射剤等の皮下投与用組成物等を適用対象(防腐対象組成物)としてもよい。これら中でも、眼科用組成物、特に点眼剤及び洗眼剤は、当該防腐剤組成物の適用対象として好適である。
(III) 安定化方法
前述するように、水性医薬組成物中で、プラノプロフェン及び/又はその塩と、アルギン酸及び/又はその塩とを共存させることにより、水性医薬組成物の澄明性を長期にわたり保持して、水性医薬組成物の安定性を向上させることが可能になる。故に、本発明は、別の観点から、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性医薬組成物に、(B)アルギン酸及び/又はその塩を配合することを特徴とする、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性医薬組成物の安定化方法を提供する。
当該安定化方法において、使用するプラノプロフェン及び/又はその塩の種類、アルギン酸及び/又はその塩の種類、水性医薬組成物中のプラノプロフェン及び/又はその塩の濃度、アルギン酸及び/又はその塩の濃度、その他の配合成分の種類や濃度、水性医薬組成物の用途や形態等については、前記「(I)医薬組成物」の項に記載する水性医薬組成物の場合と同様である。
(IV)防腐作用の付与方法
前述するように、医薬組成物中で、プラノプロフェン及び/又はその塩と、アルギン酸及び/又はその塩とを共存させることにより、Escherichia coliPseudomonas aeruginosaBurkholderia cepacia等の雑菌の繁殖を防止して優れた防腐作用を示す。従って、本発明は、更にプラノプロフェン及び/又はその塩を含有する医薬組成物に防腐作用を付与する方法であって、該医薬組成物に(B)アルギン酸及び/又はその塩を配合することを特徴とする、防腐作用の付与方法を提供する。当該防腐作用の付与方法は、プラノプロフェン及び/又はその塩を含む医薬組成物を防腐する方法と言い換えることもできる。
当該防腐作用の付与方法において、使用するプラノプロフェン及び/又はその塩の種類、アルギン酸及び/又はその塩の種類、医薬組成物中のプラノプロフェン及び/又はその塩の濃度、アルギン酸及び/又はその塩の濃度、その他の配合成分の種類や濃度、医薬組成物の用途や形態等については、前記「(I)医薬組成物」の場合と同様である。
以下に、実施例、試験例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下の試験例1−3では、アルギン酸は、M/G比の規格が1.0〜1.6のLessonia nigrescens由来のものを使用した。
試験例1 防腐性の評価試験
表1に記載の処方に従い、各水性組成物を調製した(実施例1、比較例1及び2、コントロール)。
Figure 0005019923
斯くして調製された水性組成物を用いて、日本薬局方(第15改正)に定める方法に準じて保存効力試験(防腐試験)を行い、各水性組成物の防腐性を評価した。具体的には、Escherichia coli(ATCC 8739株)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC 9027株)、Burkholderia cepacia(JCM 5506株)を、それぞれ、ソイビーン・カゼイン・ダイジェストカンテン平板培地の表面に接種して、33℃で24時間培養を行った。培養菌体を白金耳で無菌的に採取し、適量の滅菌生理食塩水に浮遊させて、約1×10CFU/mLの生菌を含む細菌浮遊液を調製した。この細菌浮遊液に対して、表1に示す各水性組成物を適量添加した後に、25℃で14日間静置した。なお、Escherichia coliの場合には最終的に生菌数が約2.1×10CFU/mLとなるように、Pseudomonas aeruginosaの場合には最終的に生菌数が約1.5×10CFU/mLとなるように、またBurkholderia cepaciaの場合には最終的に生菌数が約2.0×10CFU/mLとなるように、表1に示す各水性組成物を添加した。
保存3、7及び14日後に、1mL当たりの生菌数を測定した。結果を図1に示す。本試験に供した3種全ての細菌に対して、プラノプロフェン又はアルギン酸単独では防腐作用は殆ど認められなかった(比較例1及び2)。これに対して、プラノプロフェンとアルギン酸を併用した場合には、3種全ての細菌に対して、優れた防腐作用が認められた。以上の結果から、プラノプロフェンとアルギン酸が一体不可分の関係になって、初めて防腐作用が獲得されることが明らかとなった。
試験例2 抗炎症作用の評価試験
表2に記載の処方に従い、各水性組成物を調製し0.2μmフィルター(クラボウ株式会社製)で滅菌濾過して用いた(実施例2、比較例1及び3、コントロール)。また、別途、アラキドン酸ナトリウム(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)を生理食塩水(日本薬局方 大塚生食注、大塚製薬株式会社製)に0.5w/v%となるように溶解した後に、0.2μmフィルター(クラボウ株式会社製)で濾過することにより、アラキドン酸溶液を調製した。
Figure 0005019923
斯くして調製した水性組成物及びアラキドン酸溶液を用いて、以下の試験を行い、抗炎症作用について評価した。なお、以下記載する評価方法は、当該技術分野で抗炎症作用の評価のために一般的に採用されている方法に準じている。
まず、日本白色種ウサギ(雄、2kg、オリエンタル酵母株式会社より購入)の右眼にコントロールの水性組成物を5μL、左眼に実施例2、比較例1又は比較例3の水性組成物を5μL点眼した。その30分後に両眼にアラキドン酸溶液を20μL点眼して前房内に炎症を誘発させた。2時間後に、ウサギの眼から前房水を採取した。炎症の進行に伴い血管から房水内に漏出してくる血漿タンパク質量を炎症の指標とし、採取した前房水に含まれるタンパク質濃度をタンパク質定量キット(Bio-Rad Protein Assay、Bio-Rad社製)を用いて定量した。なお、定量の指標となる呈色反応の程度は、分光光度計(Multiscan MS、Labsystems社製)用いて測定した。測定された前房水中のタンパク質濃度から、下記計算式に従って、相対的炎症強度(%)を算出した。なお、有意差検定はStudent-t検定で行った。
Figure 0005019923
得られた結果を図2に示す。アルギン酸を単独で含む水性組成物(比較例1)を投与した眼では、アラキドン酸溶液によって炎症が顕著に誘発された。また、プラノプロフェンを単独で含む水性組成物(比較例3)では、相対的炎症強度が60%程度に低減された。これに対して、プラノプロフェンとアルギン酸を組み合わせて含有する水性組成物(実施例2)では、相対的炎症強度が30%程度と著しく低減されていることが確認された。以上の結果から、アルギン酸単独では、抗炎症作用を示さないが、プラノプロフェンとアルギン酸を併用することにより、プラノプロフェンの抗炎症作用が相乗的に増強されて発現されることが明らかとなった。

試験例3 プラノプロフェン含有水性組成物の安定性評価試験
表3に記載の処方に従い、プラノプロフェン含有水性組成物を調製した(実施例3及び比較例4)。これらのプラノプロフェン含有水性組成物を用いて、以下の試験を行い、光曝露条件下での安定性について評価した。
各々のプラノプロフェン含有水性組成物を透明ガラス製スクリュー管(容量10mL)に8mLずつ充填し、これらを試験サンプルとした(n=2)。この試験サンプルに対して、光安定性試験装置(「Light-Tron LT-120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、室温25℃の下、0.5万lxの光を2時間連続照射し、試験溶液を積算照射量1万lx・hrの光に曝光した。光照射前後の各試験サンプルの濁度(A680)について、680nmにおいて光路長1cmのセルで測定した。
得られた結果を表3に示す。この結果から、アルギン酸には、プラノプロフェンを含む水性組成物において、沈殿物や不溶化物が生じるのを抑制して、澄明な状態を保持させる作用があることが確認された。
Figure 0005019923
実施例4−40
以下表4−7に記載の処方で、点眼剤(実施例4−14、26−33及び38−40)、及び洗眼剤(実施例15−25及び34−37)を調製した。なお、表4−6中、各配合成分の単位はg/100mLである。また、表4−7中、「アルギン酸1)」はM/G比の規格が1.0〜1.6、「アルギン酸ナトリウム2)」はM/G比の規格が0.4〜0.8、「アルギン酸ナトリウム3)」はM/G比の規格が2.0〜3.0、及び「アルギン酸ナトリウム4)」はM/G比の規格が1.0〜1.6のものを示す。
Figure 0005019923
Figure 0005019923
Figure 0005019923
Figure 0005019923
試験例1において、各水性組成物(実施例1、比較例1及び2、コントロール)のEscherichia coliPseudomonas aeruginosa、及びBurkholderia cepaciaに対する防腐性を評価した結果を示す図である。 試験例2において、各水性組成物(実施例2、比較例1及び3、コントロール)の抗炎症作用(相対的炎症強度;%)を評価した結果を示す図である。

Claims (4)

  1. (A)プラノプロフェン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、医薬組成物。
  2. (B)成分が、グルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比が、0.4〜3.0であるアルギン酸、及び/又はその塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 水性組成物である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 眼科用組成物である、請求項1乃至3に記載の医薬組成物。
JP2007082955A 2006-03-28 2007-03-27 プラノプロフェン含有医薬組成物 Active JP5019923B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007082955A JP5019923B2 (ja) 2006-03-28 2007-03-27 プラノプロフェン含有医薬組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006089493 2006-03-28
JP2006089493 2006-03-28
JP2007082955A JP5019923B2 (ja) 2006-03-28 2007-03-27 プラノプロフェン含有医薬組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007291082A JP2007291082A (ja) 2007-11-08
JP5019923B2 true JP5019923B2 (ja) 2012-09-05

Family

ID=38762068

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007082955A Active JP5019923B2 (ja) 2006-03-28 2007-03-27 プラノプロフェン含有医薬組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5019923B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009096793A (ja) * 2007-06-01 2009-05-07 Rohto Pharmaceut Co Ltd プラノプロフェン含有水性医薬組成物

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008082948A2 (en) * 2006-12-29 2008-07-10 Bausch & Lomb Incorporated Ophthalmic alginate composition related methods of manufacture and methods of use

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0143109A1 (en) * 1983-11-23 1985-06-05 Yoshitomi Pharmaceutical Industries, Ltd. Pranoprofen gelled ointment
JP5147156B2 (ja) * 2003-08-08 2013-02-20 ロート製薬株式会社 角膜障害抑制剤

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009096793A (ja) * 2007-06-01 2009-05-07 Rohto Pharmaceut Co Ltd プラノプロフェン含有水性医薬組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007291082A (ja) 2007-11-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6359586B2 (ja) 眼科組成物
EP2002841A1 (en) Ophthalmic composition comprising xanthan gum and glucose
JP2005330276A (ja) 防腐剤及びこれを含有する水性組成物
JP5653466B2 (ja) フルニソリド含有粘膜適用組成物
JP5275214B2 (ja) 酸化に不安定な成分を含む眼科用安定組成物
KR101322527B1 (ko) 잔탄 검 및 테르페노이드를 포함하는 점안제
JP6868595B2 (ja) 水性眼科組成物
JP2013010754A (ja) トラニラストを含有する水性組成物
JP6148957B2 (ja) プラノプロフェン含有水性組成物
JP2015071554A (ja) オロパタジン含有点眼剤
JP2003206241A (ja) 眼科用剤
JP5258329B2 (ja) プラノプロフェン含有水性医薬組成物
JP5019923B2 (ja) プラノプロフェン含有医薬組成物
JP5927045B2 (ja) 眼科用水性組成物
JP2019510757A (ja) ポリクオタニウムを含む抗菌性組成物
JP5682005B2 (ja) トラニラスト含有水性組成物
JP5013735B2 (ja) 眼粘膜適用製剤
JP5499535B2 (ja) 眼科用組成物及びなみだ目改善剤
JP5379186B2 (ja) 防腐剤及びこれを含有する水性組成物
JP2007277233A (ja) 眼科用組成物
JP2005247795A (ja) 安定な点眼剤
JP2005247804A (ja) 点眼剤
JP7191524B2 (ja) 眼科組成物
JP2005247796A (ja) 点眼剤
JP2008001660A (ja) ジフェンヒドラミン含有水性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120306

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120522

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120612

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5019923

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150622

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150622

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250