本発明は、皮膚外用剤に関し、さらに詳しくは、アミノ酸又はその誘導体の経時的な着臭や変色を防止し得る皮膚外用剤に関する。
アミノ酸又はその誘導体の保湿作用などを利用してそれらを含有させた皮膚外用剤が開発されているが、このアミノ酸を含有する皮膚外用剤は、アミノ酸が反応性に富むため、空気中の酸素などとの反応により、経時的な着臭や変色を起こしやすいという問題があった。これを防止するため、これまでにも、香料などを用いて変臭をマスキングしたり、バッファー剤を配合することによってpHを調整することにより、着臭や変色を抑制することが提案されている。
しかしながら、これらの場合、本質的にアミノ酸の反応を起こさせないようにするものでないため、アミノ酸の経時的な着臭や変色を充分に抑制することができず、特にアミノ酸の濃度が高くなると、着臭や変色を充分に抑制することができなかった。
そこで、エチレンジアミン四酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸などのキレート剤を配合したり、該キレート剤と還元剤とを併用して配合することにより、アミノ酸の経時的な着臭や変色を防止しようとする提案がされている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−231335号公報
しかしながら、この場合も効果が充分とはいえず、アミノ酸の濃度が高くなると、アミノ酸の経時的な着臭や変色を充分に抑制することができなかった。
本発明は、上記のような従来の皮膚外用剤の問題点を解決し、アミノ酸又はその誘導体の経時的な着臭や変色を抑制することができる皮膚外用剤を提供することを目的とする。
本発明は、アミノ酸又はその誘導体を配合してなる皮膚外用剤において、キレート剤とピリドキシルセリンとを併用して配合することにより、前記課題を解決したものである。
本発明によれば、アミノ酸又はその誘導体を配合してなる皮膚外用剤において、上記アミノ酸又はその誘導体の経時的な着臭や変色を抑制することができる。本発明によれば、特にアミノ酸又はその誘導体の濃度が高くなった場合においても、その経時的な着臭や変色を抑制することができるので、本発明は、アミノ酸又はその誘導体の配合効果によって、皮膚の保湿能及びバリヤー能を向上させる皮膚外用剤を調製する際に有用である。
本発明において、皮膚外用剤に配合するキレート剤としては、特に限定されることなく一般に使用されているものを用いることができるが、その好適な具体例を例示すると、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、グルコン酸ナトリウム、酒石酸、クエン酸、ポリリン酸、メタリン酸などが挙げられ、また、それらの塩タイプのものとしては、それらの酸のナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。これらのキレート剤は、それらの一種又は二種以上を適宜用いることができ、それらの中でも、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はそれらの塩から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
このキレート剤の皮膚外用剤への配合量は、キレート剤の種類やアミノ酸又はその誘導体の種類や配合量によっても異なるが、皮膚外用剤が含水タイプの場合、0.001〜20質量%が好ましく、特に0.01〜5質量%が好ましい。
すなわち、キレート剤の配合量を上記範囲にすることによって、キレート剤の多すぎによる沈殿や乳化の破壊を防止しつつ、アミノ酸又はその誘導体の経時的な着臭や変色を抑制する作用を充分に発揮させることができる。
本発明において、皮膚外用剤に配合するピリドキシルセリンは、次の化学式
で表され、前記キレート剤との併用によって、アミノ酸又はその誘導体の経時的な着臭や変色を抑制することができる。
そして、このピリドキシルセリンの皮膚外用剤への配合量としては、皮膚外用剤が含水タイプの場合、0.001〜20質量%が好ましく、特に0.01〜5質量%が好ましい。このピリドキシルセリンの皮膚外用剤への配合量を上記範囲とすることによって、ピリドキシルセリンの多すぎによるコストアップやピリドキシルセリン自体の析出を防止しつつ、アミノ酸又はその誘導体の経時的な着臭や変色を抑制することができる。
前記キレート剤とピリドキシルセリンとの配合比率は、特に限定されることがないが、質量比で、キレート剤:ピリドキシルセリン=1:0.002〜1:500が通常採用され、キレート剤に対するピリドキシルセリンの配合比率が上記範囲より少ない場合は、鉄イオンのキレート能が足りなくなる傾向があり、キレート剤に対するピリドキシルセリンの配合比率が上記範囲より多い場合は、鉄以外の金属イオンのキレート能が足りなくなる傾向がある。そして、このキレート剤とピリドキシルセリンとの効果をより適切に発現させるという観点からは、キレート剤:ピリドキシルセリン=1:0.2〜1:5の範囲にすることが好ましい。
本発明の皮膚外用剤にはアミノ酸又はその誘導体が配合されているが、そのアミノ酸としては、例えば、グリシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、アルギニン、プロリンなどの脂肪族、芳香族の中性・酸性・塩基性アミノ酸やイミノ酸などが挙げられる。そして、このアミノ酸としては、塩になっているものでもよく、そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩などが挙げられる。
また、アミノ酸の誘導体としては、例えば、アセチルグルタミン酸、アセチルメチオニン、アセチルシステイン、N,N' −ジアセチル−L−シスチンジメチルエステル、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩などが挙げられる。
そして、このアミノ酸又はその誘導体は、本発明の皮膚外用剤の調製にあたって、その一種又は二種以上を用いることができ、皮膚外用剤に配合することによって、皮膚のはり、しわ、しみなどを改善する効果が得られ、その皮膚外用剤への配合量(皮膚外用剤中の含有量)としては、皮膚外用剤が含水タイプの場合、0.01〜50質量%が好ましく、特に0.1〜20質量%が好ましい。
皮膚外用剤全体中において前記キレート剤とピリドキシルセリンとの量は、特に限定されることはないが、皮膚外用剤全体100質量部中においてキレート剤とピリドキシルセリンとの総量で0.005〜20質量部が通常採用される。皮膚外用剤中におけるキレート剤とピリドキシルセリンとの総量が上記範囲より少ない場合は、着臭や着色を抑制しきれない傾向があり、皮膚外用剤全体中におけるキレート剤とピリドキシルセリンとの総量が上記範囲より多い場合は、キレート剤の析出が見られたり、製品としての充分な保湿性が得られなくなる傾向がある。そして、安定した着臭防止効果、着色防止効果をより適切に発現させるという観点からは、皮膚外用剤全体100質量部中においてキレート剤とピリドキシルセリンとの総量が0.01〜2質量部であることが好ましい。
本発明の皮膚外用剤の調製にあたっては、多くの場合、上記キレート剤、ピリドキシルセリン、アミノ酸又はその誘導体以外にも、皮膚外用剤用基剤と呼ばれるものが配合される。そのような基剤としては、例えば、油剤、ロウ類、エステル油、炭化水素油、シリコーン油、ステロール、乳化剤、保湿剤、水溶性高分子、抗菌剤などが用いられる。それらの具体例を挙げると、次に示す通りである。
例えば、油剤では、液状油剤として、メドフォーム剤、マカデミナナッツ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボガド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、キョウニン油、ホホバ油、ブドウ油、ヒマワリ油、アルモンド油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、卵黄油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリンなどが挙げられる。また、固形油剤としては、セタノール、セトステアリスアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、カカオ脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油、硬化油、硬化ヒマシ油、モクロウ、シアバターなどが挙げられる。また、ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、鯨ロウ、ヌカロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ、セラックロウなどが挙げられる。また、エステル油類としては、オクタン酸セチルなどのオクタン酸エステル、ラウリン酸ヘキシルなどのラウリン酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどのミリスチン酸エステル、パルミチン酸オクチルなどのパルミチン酸エステル、ステアリン酸イソセチルなどのステアリン酸エステル、イソステアリン酸イソプロピルなどのイソステアリン酸エステル、イソパルミチン酸オクチルなどのイソパルミチン酸エステル、オレイン酸イソデシルなどのオレイン酸エステルなどが挙げられる。また、炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。また、シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどの鎖状シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状シリコーンなどが挙げられる。また、ステロールとしては、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、フィトステロール、ラノステロールなどが挙げられる。
また、乳化剤としては、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレート、POE−ソルビタンテトラオレエートなどのPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレートなどのPOEソルビット脂肪酸エステル類、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレートなどのPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコールなどのPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテルなどのPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテルなどのPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニックなどのプロアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸などのPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウなどのPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、トリオレイルリン酸などが挙げられる。
また、保湿剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マルトース、D−マンニット、水アメ、ブドウ糖、果糖、乳糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アデノシンリン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、ピロリドンカルボン酸塩、グルコサミン、シクロデキストリン、トレハロースなどが挙げられる。また、水溶性高分子としては、アラビアゴム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バイレショ、コムギ)、アルゲコロイド(褐藻エキス)などの植物系高分子、デキストラン、サクシノグルカン、プルランなどの微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチンなどの動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプンなどのデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末などのセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキビニルポリマーなどのビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミドなどのアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸などの無機系水溶性高分子などが挙げられる。また、抗菌剤としては、フェノキシエタノール、ビサボロール、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素などが挙げられる。
本発明の皮膚外用剤の調製は、主として、水または水を主剤とする水性液に、上記アミノ酸又はその誘導体、キレート剤、ピリドキシルセリン、基剤などを溶解または分散させることによって行われる。ただし、その調製にあたっては、上記の成分の添加の順序は問題ではなく、例えば、アミノ酸又はその誘導体と基剤などを水または水性液に溶解または分散させてあらかじめ調製しておいたものにキレート剤とピリドキシルセリンとを併用して配合して本発明の皮膚外用剤としてもよいし、また上記成分のすべてを水または水性液にほぼ同時に溶解または分散させることによって本発明の皮膚外用剤を調製してもよい。
そして、本発明の皮膚外用剤の剤型は、特に限定されることなく、例えば、液状、乳液状、ゲル状、クリーム状、懸濁状のいずれでもよい。本発明の皮膚外用剤は、通常、肌と呼ばれる頭皮以外の皮膚に対して用いられるが、頭皮に対して用いてもよい。
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜10および比較例1〜13
これら実施例1〜10および比較例1〜13の皮膚外用剤を調製するにあたり、基剤、キレート剤、ピリドキシルセリンおよびアミノ酸又はその誘導体を準備する必要があるが、基剤に関しては、各実施例および比較例とも同一の成分を用い、かつその配合量も同一にするので、まず、基剤の成分と配合量を表1に示す。
つぎに、上記基剤、キレート剤、ピリドキシルセリンおよびアミノ酸又はその誘導体を用いて、表2〜表6に示す組成で実施例1〜10および比較例1〜13の皮膚外用剤を調製した。各成分の配合量は質量部によるものであるが、表2〜表6においては スペース上の関係で、配合量を示す数値のみを表示している。また、表2〜表6においては、基剤の個々の成分やその配合量を表示せず、基剤全体としての配合量のみを示す。
なお、上記実施例1〜10および比較例1〜13の皮膚外用剤の調製にあたって、キレート剤としては、実施例1〜5ではエデト酸二ナトリウムとヒドロキシエタンジホスホン酸を用い、実施例6〜10ではエデト酸二ナトリウムのみを用い、アミノ酸又はその誘導体は、実施例1〜10および比較例1〜13とも同じものを用いているが、その配合量を順次増加させている。そして、精製水の配合量を示す残余とは全体を100質量部にするのに要する量を意味している。また、用いたアミノ酸又はその誘導体は、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−リシン塩酸塩、L−スレオニン、L−バリン、L−アラニン、L−プロリン、L−セリン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸ナトリウム、グリシン、L−フェニルアラニン、L−トリプトファン、L−ロイシン、グルタミン、N−アセチル−L−メチオニン、dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム、N,N' −ジアセチル−L−シスチンジメチルエステル、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩の20種である。
上記のように調製された実施例1〜10および比較例1〜13の皮膚外用剤を40℃で60日間保存した後、その着臭および変色の度合を20人のモニターに評価させた。その結果を表7と表8に示す。それらの評価方法は、次の通りである。
着臭防止効果の評価方法
40℃で60日間保存後の皮膚外用剤の臭を20人のモニターにかがせ、「強く着臭を感じた」、「着臭を感じた」、「わずかな着臭を感じた」、「特に着臭を感じなかった」のいずれかに評価させた。その結果を表7に人数で示す。
変色防止効果の評価方法
40℃で60日間保存後の皮膚外用剤の変色の度合を20人のモニターに肉眼で観察させて、「強く変色を感じた」、「変色を感じた」、「わずかな変色を感じた」、「特に変色を感じなかった」のいずれかに評価させた。その結果を表8に人数で示す。
表7に示す結果から明らかなように、キレート剤としてエデト酸二ナトリウムとヒドロキシエタンジホスホン酸とを併用し、このキレート剤とピリドキシルセリンとを併用して配合した実施例1〜5の皮膚外用剤は、40℃で60日間保存後も、「強く着臭を感じた」ものや「着臭を感じた」ものはまったくなく、20種に及ぶアミノ酸又はその誘導体(以下、このアミノ酸又はその誘導体を「アミノ酸類」という)をそれぞれ0.6%という高い濃度にした実施例5の皮膚外用剤でも、20人のモニターの中の17人が「特に着臭を感じなかった」と評価していて、上記のように、「強く着臭を感じた」ものや「着臭を感じた」ものはまったくなかった。
また、キレート剤としてエデト酸二ナトリウムのみを用い、このキレート剤としてのエデト酸二ナトリウムとピリドキシルセリンとを併用して配合した実施例6〜10の皮膚外用剤も、40℃で60日間保存後も、「強く着臭を感じた」ものや「着臭を感じた」ものはまったくなく、20種に及ぶアミノ酸類をそれぞれ0.6%という高い濃度にした実施例10の皮膚外用剤でも、20人のモニターの中の17人が「特に着臭を感じなかった」と評価していて、上記のように、「強く着臭を感じた」ものや「着臭を感じた」ものはまったくなかった。
これに対して、キレート剤やピリドキシルセリンを配合していない比較例1〜5の皮膚外用剤では、アミノ酸類の濃度が低い比較例1の皮膚外用剤でも、「着臭を感じた」と評価するものが現れ、アミノ酸類の濃度が高くなった比較例4〜5の皮膚外用剤においては、20人のモニターの全員が「強く着臭を感じた」と評価していた。
また、キレート剤のみ配合し、ピリドキシルセリンを配合しなかった比較例6〜10の皮膚外用剤でも、アミノ酸類の濃度が低い比較例6の皮膚外用剤で、「着臭を感じた」と評価するものが現れ、アミノ酸類の濃度が高くなった比較例9〜10の皮膚外用剤においては、20人のモニター中の17人以上が「強く着臭を感じた」と評価していた。
そして、キレート剤を配合せず、ピリドキシルセリンのみを配合した比較例11〜13の皮膚外用剤では、アミノ酸類の濃度が比較的低い比較例11の皮膚外用剤でも、「着臭を感じた」と評価するものが現れ、アミノ酸類の濃度が高くなった比較例12〜13の皮膚外用剤においては、「強く着臭を感じた」と評価するものが多くなっていった。
また、表8に示す結果から明らかなように、キレート剤としてエデト酸二ナトリウムとヒドロキシエタンジホスホン酸とを併用し、このキレート剤とピリドキシルセリンとを併用して配合した実施例1〜5の皮膚外用剤は、40℃で60日間保存後も、「強く変色を感じた」ものや「変色を感じた」ものがまったくなく、20種に及ぶアミノ酸類をそれぞれ0.6%という高濃度にした実施例5の皮膚外用剤においても、20人のモニターの中の16人が「特に変色を感じなかった」と評価しており、「変色を感じた」ものや「強く変色を感じた」ものはまったくなかった。
そして、キレート剤としてエデト酸二ナトリウムのみを用い、このキレート剤としてのエデト酸二ナトリウムとピリドキシルセリンとを併用して配合した実施例6〜10の皮膚外用剤も、40℃で60日間保存後も、「強く変色を感じた」ものや「変色を感じた」ものがまったくなく、20種に及ぶアミノ酸類をそれぞれ0.6%という高い濃度にした実施例10の皮膚外用剤においても、20人のモニターの中の13人が「特に変色を感じなかった」と評価していて、上記のように、「強く変色を感じた」ものや「変色を感じた」ものはまったくなかった。
これに対して、キレート剤やピリドキシルセリンを配合しなかった比較例1〜5の皮膚外用剤では、アミノ酸類の濃度が低い比較例1の皮膚外用剤でも、「変色を感じた」と評価するものが現れ、アミノ酸類の濃度が比較的低い比較例2の皮膚外用剤においても、「強く変色を感じた」と評価をするものが現れ、アミノ酸類の濃度が高い比較例5の皮膚外用剤においては、20人のモニターの全員が「強く変色を感じた」と評価していた。
また、キレート剤のみ配合し、ピリドキシルセリンを配合しなかった比較例6〜10の皮膚外用剤でも、アミノ酸類の濃度が低い実施例6の皮膚外用剤で、「変色を感じた」と評価するものが現れ、アミノ酸類の濃度が比較的低い比較例8の皮膚外用剤で、「強く変色を感じた」と評価するものが現れ、アミノ酸類の濃度が高い比較例10の皮膚外用剤においては、20人のモニターの全員が「強く変色を感じた」と評価していた。
そして、キレート剤を配合せず、ピリドキシルセリンのみを配合した比較例11〜13の皮膚外用剤では、アミノ酸類の濃度が比較的低い比較例11の皮膚外用剤でも、「変色を感じた」と評価するものが現れ、アミノ酸類の濃度が高くなった比較例12〜13の皮膚外用剤では、「強く変色を感じた」と評価するものが多くなっていった。