JP2005255436A - 光学素子成形装置及び光学素子成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形型10,14とスリーブ4とを用いた成形において、成形型10,14とスリーブ4との間のクリアランスを簡単に制御して、高精度な偏芯精度とし、成形条件の変更に対しても柔軟に対応する。
【解決手段】光学素子成形装置は、加熱軟化された光学素子素材を一対の成形型10,14によって成形して光学素子とする。一対の成形型10,14の位置を規制する筒状のスリーブ4と、光学素子素材をスリーブ4内で一対の成形型10,14によって成形した後の冷却時に、スリーブ4及び成形型10,14の少なくとも一方を温度調節することによりスリーブ4の温度を成形型10,14の温度よりも低く設定する温度設定手段11,9,15とを具備する。
【選択図】図1
【解決手段】光学素子成形装置は、加熱軟化された光学素子素材を一対の成形型10,14によって成形して光学素子とする。一対の成形型10,14の位置を規制する筒状のスリーブ4と、光学素子素材をスリーブ4内で一対の成形型10,14によって成形した後の冷却時に、スリーブ4及び成形型10,14の少なくとも一方を温度調節することによりスリーブ4の温度を成形型10,14の温度よりも低く設定する温度設定手段11,9,15とを具備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学素子成形装置及び光学素子成形方法に関し、特に、偏芯精度の厳しい非球面レンズ等の光学素子の成形において、偏芯精度を確保することが可能な光学素子成形装置及び光学素子成形方法に関する。
光学素子の成形においては、偏芯精度を確保するため、成形型と成形型が挿入されるスリーブ(胴型)との間のクリアランスを最小にすることが必要となっている。このため、特開2000−326354号公報には、上下型とスリーブとを線膨張率が異なる材料によって形成することにより、成形時のクリアランスを最小にすることが記載されている。また、特開平9−20525公報では、上下型を回転させてセッティングすることにより、上下型の軸芯のズレを最小にして偏芯精度を確保することが記載されている。
特開2000−326354号公報
特開平9−20525号公報
しかしながら、線膨張が異なる材料からなる成形型及びスリーブを用いて成形時のクリアランスを制御する方法では、一定の温度範囲でしか成形できず、成形条件が制約されたり、温度分布により成形型とスリーブとにかじりが発生する。このため、初期の条件設定が極めて面倒であり、そのために多くの労力を要している。一方、上下型を回転させる方法については、回転位置決めや設定後における回転位置の固定が面倒であり、労力を必要としている。
以上に加えて、実際に成形で発生する温度分布は予測が困難であり、単に部材線膨張を変更したり、上下型を回転するだけでは、最小のクリアランスを得たり、最小の偏芯を得ることは容易ではない。そのため、成形型及びスリーブの間のクリアランスを制御してその値を小さくでき、高精度な偏芯を確保する成形技術が必要となっている。
本発明は、このような課題に基づいてなされたものであり、成形型とスリーブとを用いた成形において、成形型とスリーブとの間のクリアランスを簡単に制御することができ、これにより高精度な偏芯精度を得ることができ、さらには、成形条件の変更に対しても柔軟に対応することが可能な光学素子成形装置及び光学素子成形方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、加熱軟化された光学素子素材を一対の成形型によって成形して光学素子とする光学素子成形装置において、前記一対の成形型の位置を規制する筒状のスリーブと、前記光学素子素材をスリーブ内で前記一対の成形型によって成形した後の冷却時に、前記スリーブ及び成形型の少なくとも一方を温度調節することによりスリーブの温度を成形型の温度よりも低く設定する温度設定手段と、を具備することを特徴とする。
請求項1記載の発明では、光学素子素材を成形した後の冷却時に、温度設定手段がスリーブまたは成形型の温度調整を行ってスリーブを成形型よりも相対的に低い温度とする。このときの温度差については、スリーブと成形型との間のクリアランスを最小とするように設定することができ、しかも、この設定が簡単となっている。
このようなスリーブと成形型との間の温度差は、光学素子への形状の転写精度とは独立して設定することができる。このため、偏芯精度を高精度に確保した成形を行うことができる。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の光学素子成形装置であって、前記温度設定手段は、前記スリーブに不活性ガスを噴出してスリーブを冷却する冷却手段であることを特徴とする。
請求項2記載の発明では、温度設定手段として、スリーブに不活性ガスを噴射して冷却する冷却手段を用いるため、スリーブと成形型との間の温度差を簡単な構造で得ることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の光学素子成形装置であって、前記温度設定手段は、前記成形型の内部から加熱する加熱手段であることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、温度設定手段として、成形型の内部から加熱する加熱手段を用いるため、スリーブと成形型との間の温度差を簡単な構造で得ることができる。
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の光学素子成形装置であって、前記温度設定手段は、前記スリーブ周囲を不活性ガス雰囲気とするガス供給手段と、前記成形型の温度分布に応じてスリーブの所定部分に集中的に不活性ガスを噴射する冷却手段とを有することを特徴とする。
請求項4記載の発明では、冷却手段が成形型の温度分布に応じてスリーブに集中的に不活性ガスを噴射するため、温度分布に応じた冷却を行うことができ、成形の実際で発生した温度分布に好適に適用することができる。
請求項5記載の発明は、請求項1または4のいずれか1項に記載の光学素子成形装置であって、前記成型形は、前記スリーブの内周面と嵌合する本体部と、本体部の外径よりも小さい外径の成形面部とを有していることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、成形型における成形面部が本体部よりも小さな外径となっているため、スリーブが成形面部すなわち光学素子素材に接触することがない。このため、スリーブを冷却する際に、光学素子素材が直接に冷却されることがなく、良好な成形を行うことができる。
請求項6記載の発明は、加熱軟化された光学素子素材を一対の成形型によって成形して光学素子とする光学素子成形方法において、前記一対の成形型の位置を規制する筒状のスリーブ内で前記光学素子素材を成形型によって押圧成形する押圧工程と、この押圧工程で押圧成形された光学素子素材を冷却すると共に、前記スリーブ及び成形型の少なくとも一方を温度調節することにより、スリーブの温度を成形型の温度よりも低く設定する温度設定工程と、を有することを特徴とする。
請求項6記載の発明では、温度設定工程でスリーブの温度を成形型の温度よりも低くして、これらの間に温度差を設けるため、この温度差によって、スリーブと成形型との間のクリアランスを簡単に最小とすることができる。しかも、このスリーブと成形型との間の温度差は、光学素子への形状の転写精度とは独立して設定することができる。このため、偏芯精度を高精度に確保した成形が可能となる。
請求項7記載の発明は、請求項6に記載の光学素子成形方法であって、前記温度設定工程は、前記スリーブに不活性ガスを噴出してスリーブを冷却することを特徴とする。
請求項7記載の発明では、スリーブに不活性ガスを噴射して冷却するため、スリーブと成形型との間の温度差を簡単に得ることができる。
請求項8記載の発明は、請求項6に記載の光学素子成形方法であって、前記温度設定工程は、前記成形型の内部から加熱することを特徴とする。
請求項8記載の発明では、成形型の内部から加熱してスリーブと成形型との間に温度差を形成するため、温度差を簡単に得ることができる。
請求項9記載の発明は、請求項6に記載の光学素子成形方法であって、前記温度設定工程は、前記スリーブ周囲を不活性ガス雰囲気とすると共に、成形型の温度分布に応じてスリーブの所定部分に集中的に不活性ガスを噴射することを特徴とする。
請求項9記載の発明では、成形型の温度分布に応じてスリーブに集中的に不活性ガスを噴射するため、温度分布に応じた冷却を行うことができ、成形の実際で発生した温度分布に好適に適用することができる。
請求項10記載の発明は、請求項6〜9のいずれか1項に記載の光学素子成形方法であって、前記温度設定工程は、前記光学素子素材の軸方向の最大肉厚に対応する範囲の成形型の外周面と前記スリーブの内周面との間を非接触とすることを特徴とする。
請求項10記載の発明では、光学素子素材の軸方向の最大肉厚に対応する範囲の成形型の外周面とスリーブの内周面との間を非接触とするため、スリーブが光学素子素材と接触することがない。このため、スリーブを冷却する際に、光学素子素材が直接に冷却されることがなく、良好な成形を行うことができる。
本発明の光学素子成形装置によれば、スリーブを成形型よりも相対的に低い温度として、これらの間に温度差を設けるため、スリーブと成形型との間のクリアランスを最小とするための設定を簡単な構造で行うことができる。また、この温度差は、光学素子への形状の転写精度とは独立して設定することができるため、偏芯精度を高精度に確保した成形を行うことができる。
本発明の光学素子成形方法によれば、スリーブの温度を成形型の温度よりも低くして温度差を設け、この温度差によってスリーブと成形型との間のクリアランスを簡単に最小とするため、偏芯精度を高精度に確保した成形が可能となる。
以下、本発明を図示する実施の形態により、具体的に説明する。なお、各実施の形態において、同一の部材には同一の符号を付して対応させてある。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光学素子成形装置を示す。この成形装置は、定位置での固定で光学素子素材の成形を行うものである。
図1は、本発明の実施の形態1における光学素子成形装置を示す。この成形装置は、定位置での固定で光学素子素材の成形を行うものである。
図1に示すように、上ベース板2、下ベース板7に対し、円柱状の上軸3、下軸6が対向するように配置されており、上ベース板2及び下ベース板7の外側には、それぞれ上冷却板1及び下冷却板8が設置されて装置全体の温度上昇を防止している。
上軸3には上型10が取り付けられ、下軸6には下型14が取り付けられており、これらの上型10及び下型14によって一対の成形型が構成されている。上型10の外周面には、円筒状のスリーブ4が固定されており、スリーブ4が上型10及び下型14の位置を規制している。この実施の形態において、上型10は、スリーブ4の内周面と嵌合する円柱状の本体部10aと、本体部10aよりも外径が小さくなっており、レンズ成形面を有する略円柱状の成形面部10bとを有している。下型14も上型10と同様に、スリーブ4の内周面と嵌合する円柱状の本体部14aと、この本体部14aよりも外径が小さくなっており、レンズ成形面を有する略円柱状の成形面部14bとを有している。
スリーブ4の周囲には、冷却手段としての冷却管11が配置されている。冷却管11には、スリーブ4の外側の円周方向に均等に配置された噴出孔が形成されており、スリーブ4に向かって不活性ガスを均等に噴出するようになっている。上型10、下型14の内部には、加熱手段としての上型内部ヒータ9、下型内部ヒータ15が設けられており、これにより、上下型10,14は内部からの加熱が可能な構造となっている。
上型10、下型14を含む周囲は、上ベース板2に固定された円筒状のガラス管5によって覆われている。ガラス管5の内部には、上ベース板2に設けた不活性ガス供給管を介してガス供給手段30から不活性ガスが供給される。これにより、ガラス管5の内部を不活性ガス雰囲気16とすることができる。上ベース板2は上昇できるようになっており、成形されたレンズ13等の光学素子の取り出し等の際には上下動する。装置全体の加熱は、ガラス管5の周囲に設置された加熱ヒータ12がメインとなって行われる。なお、上記冷却手段である冷却管11と加熱手段としての上型内部ヒータ9及び下型内部ヒータ15の少なくとも一方が温度設定手段を構成する。
この実施の形態では、上下型10,14によってレンズ13を成形した後の冷却工程において、上下型10,14とスリーブ4との間に意図的に温度差を設定することにより、常温時のクリアランスに比べて成形時のクリアランスを小さくものである。スリーブ4の温度を上下型10,14の温度よりも低くすることにより、これらが膨張する量に差が生じる。すなわち、上下型10,14、スリーブ4の線膨張率をαとし、温度差をΔTとした場合、α×ΔTがクリアランス減少量となる。従って、必要な温度差を設定することにより、上下型10,14とスリーブ4との間のクリアランスを小さくすることができ、偏芯量を最小とする
以上の温度差を設ける手法としては、不活性ガスによってスリーブ4を外周から冷却することによって行うことができる。または、上下型10,14を内部からヒータ9,15によって加熱することで相対的にスリーブ4よりも内部を高温状態に保つことにより行うことができる。
スリーブ4を冷却する場合、光学素子素材であるガラスの温度分布に影響が生じないように、ガラスが押圧される部分は、スリーブ4の内周面と上下型10,14の成形面部10b、14b若しくはスリーブ4の内周面とガラスとが接触しないようにクリアランスを設けてあり、これにより、ガラスが直接に冷却されないようにして、転写精度に対し影響を及ぼさないようにしてある。このようにスリーブ4と上下型10,14に温度差を設けることによる転写精度の変化を防止することができるため、冷却時のスリーブ4と上下型10,14の温度差を、ある程度自在に設定することができ、転写精度を得るための条件とは独立して設定することが可能となる。
成形時に発生する型とスリーブの温度は一定ではなく、温度分布が発生する。この温度分布は、実際には装置の構成により異なる。冷却時は上下型10,14は対応した上下軸3,6から温度を奪われるため、軸方向の温度分布が生じ易くなる。そのため、冷却する方法としては、上下型10,14とスリーブ4の温度差が大きな部分、またはスリーブ4の温度の高くなる部分から冷却するように行ってクリアランスを小さくすることが必要である。この温度分布と冷却の条件とは、最終的には、偏芯を評価した実験で設定することが必要である。このため、スリーブ4の冷却条件を転写精度と独立して設定することができ、この点で大きなメリットとなる。
上下型10,14とスリーブ4との嵌め合いの寸法に関しては、できる限り最小にする必要があるが、小さすぎると抜き差しが面倒となって労力を要したり、成形時は外周部に位置するスリーブ4が自ずと上下型10,14よりも低い温度となるため、こじりが発生しやすくなる。そのため、嵌め合いの差は、最低で常温で4μmとし、機械構成に基づいて発生する温度分布の状態で、成形する温度ではスムーズに摺動できることを確認することが必要となる。かかる状態で、冷却工程で意図的な冷却を加えて残りのクリアランスの制御をし、これにより偏芯を最小にする。
なお、上下型10,14の成形面部10b、14bとの加工精度に関しては、規格を設定して管理すると共に、クリアランスの制御によって目標の偏芯精度を確保するようになっている。
次に、この実施の形態の成形装置を用いた光学素子の成形について説明する。この実施の形態では、光学素子素材として、モールド用の硝材(転移点506℃、軟化点607℃)のファインゴブを用い、平面レンズを成形して偏芯の状態を確認するものである。
上下型10,14とスリーブ4とのクリアランス寸法は実測でMAX6μmの差があり、この状態でスリーブ4との摺動確認を580℃の成形温度で実施して確認した結果、こじりは発生しなかった。このため、スリーブ4への挿入は、問題なく実施可能となっている。
まず、下型14上にファインゴブをセットする。この状態で上型10とスリーブ4とを下降させ、ガラス管5内に成形空間が形成され、この空間を窒素ガスで置換することにより不活性ガス雰囲気16とする。次に、加熱ヒータ12と上型内部ヒータ9、下型内部ヒータ15とによって上型10、下型14、ファインゴブを加熱する。加熱によって押圧温度の565℃まで昇温した時点で、上軸3が下降して押圧を行う。
この押圧が所望量行われた後に冷却が開始される。冷却はヒータ出力を制御する、またはOFFにすることで上冷却板1、下冷却板8に上軸3、下軸6を通じて熱を奪われること、また、不活性ガス雰囲気16により熱を奪われることにより行われる。この冷却時には、軸付近から熱が多く奪われて上型10、下型14が先に冷却されるため、スリーブ4と上型10、下型14の間に発生するクリアランスが大きくなる。また、スリーブ4はファインゴブを押圧している付近(中心付近)すなわち成形面部10b,14bを囲んでいる部分の熱が奪われにくくなっているため、温度が高くなっている。これらにより、クリアランスを小さくするためには、中心付近の外周からスリーブ4を冷却し、上下型10,14よりも速く冷却することが効果的であることがわかる。
この実施の形態において、不活性ガスの置換量は5リットル/minであり、冷却管11から30リットル/minの窒素を噴出して強制冷却を行った。そして、条件を変更して成形したレンズのチルトを測定して、最小のチルトが得られることを確認した。すなわち、通常の成形でn=50(nは成形回数)の成形と、強制冷却の条件を変更して実施したn=50の成形のチルトの結果を測定したところ、通常の成形で得られた平面レンズのチルトはMAX1.5′(1.5分)であったが、強制冷却を実施したものはMAX0.5′と良好なチルトが得られると共にばらつきの幅も小さくなったものである。
このように、この実施の形態では、簡単な構成と容易な条件設定により良好なチルトが得られるものであり、コストの低減や労力の低減に対して大きく貢献できる。形状に関しては、どちらの成形条件でも問題はなかった。
この実施の形態では、上型内部ヒータ9と下型内部ヒータ15とを用いて冷却することにより、偏芯をさらに向上させることができる。すなわち、冷却時に僅かに上型内部ヒータ9及び下型内部ヒータ15を出力することによって上下型10,14を加熱し、冷却速度を制御した。この場合、いくつかの条件を確認して冷却速度を6℃/min、窒素ガス流量を15リットル/minで実施したところが最もチルトが安定した。そして、n=50で確認することにより、0.2′以下のチルトが安定して得られた。このように内部ヒータ9,15を用いる場合には、条件によってはクリアランスがなくなり、こじりが発生して摺動が得られなくなり、条件設定は煩雑になるが、最小の偏芯精度が得られるメリットがある。
特に、高精度の偏芯精度が要求される場合には、内部ヒータを用いた成形が有効である。また、中程度の偏芯で良い場合は、不活性ガス雰囲気16内で置換する不活性ガスの量を増加して対応するだけで、チルト量を減らすことが可能である。通常での置換量が例えば、5リットル/minの場合に対し、冷却時のみ例えば、20リットル/minに増加させることにより、偏芯をn=50でMAX1.1′とすることが可能となる。この場合には、冷却管11の設置が不要となり、装置としての簡略化が可能となる。このように成形精度に応じて対応することにより、効率を向上することができる。
この実施の形態のように、常温でクリアランスを有して組み立てが容易にできる状況に加えて、簡単な条件設定でクリアランスの制御ができ、高精度な偏芯を得ることができる。これにより、コストの低減や開発期間の短縮に対しても大きく貢献することができる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2の光学素子成形装置を示す。この成形装置は、複数の成形機31がケーシング17内で矢印方向に移動させることにより複数の工程を経て成形を完了する構造となっている。
図2は、本発明の実施の形態2の光学素子成形装置を示す。この成形装置は、複数の成形機31がケーシング17内で矢印方向に移動させることにより複数の工程を経て成形を完了する構造となっている。
それぞれの成形機31は、実施の形態1と同様に、上下型10,14及びスリーブ4を組み合わせて構成されるものであり、上下型10,14は、本体部10a、14aと、これよりも小さな外径となっている成形面部10b、14bとを備えている。また、上下型10,14は、それぞれ上ベース18、下ベース20に取り付けられているが、これらの上下ベース18,20は、ヒータを内蔵しており、それぞれの工程で必要とする温度に設定することが可能となっている。さらに、上ベース18は移送時や押圧時における上下動が可能となっている。
ケーシング17は、一端側(右端側)に入口シャッタ19、他端側(左端側)に出口シャッタ23を備え、これらのシャッタ19,23とケーシング17との間の空間で成形が行われる。また、この空間内には、窒素ガス等の不活性ガスに置換されるようになっている。
成形機31は工程1から工程4まで順次移動する。移動は、上下型10,14、スリーブ4、ファインゴブを含んだセット状態の成形機31が図示を省略したアームによって一括して搬送されることにより行われる。
工程1は加熱工程であり、工程2は押圧による成形工程、工程3は冷却工程であり、工程4は工程3に続く冷却であり、成形したレンズ13を取出可能な温度にまで冷却する工程である。このため、工程4はヒータではなく冷却管が内蔵されている。工程2と工程3との間には、仕切り板22が設けられており、仕切り板22を境として雰囲気を遮断することができる。工程3では、強制冷却のための冷却管11が設置されており駆動手段としてのシリンダ21によって上下動可能となっている。
以上の構造における基本的な作動は実施の形態1と同様となっている。この実施の形態では、実施の形態1と同様に、モールド用の硝材(転移点506℃ 軟化点607℃)のファインゴブを使用して、平面レンズを成形して偏芯の状態を確認した。常温における上下型10,14とスリーブ4との間のクリアランスは実測で7μmであり、組み立ては問題なく実施可能となっている。また、温度を580℃に上昇して自然に発生する温度差での確認ではこじりは発生しなかった。
下型14にファインゴブ設置し、さらにスリーブ4、上型10を設置して成形装置内に投入する。工程1では成形温度565℃まで加熱される。この実施の形態では、各工程を3分の時間で実施した。次に、工程2で上ベース18により押圧することにより所望量の変形を行い、工程3で冷却する。工程3での冷却は、移送した時点で下ベース19により冷却され、次いで上ベース18の接触により上ベース18が冷却される。このときには、雰囲気から自然に冷却される作用も行われる。
下型14、上型10の順で冷却されるため、スリーブ4とのクリアランスは下側が大きくなる。これらより、クリアランスを小さくするためには、下型14付近(本実施の形態では下型14の本体部14bに対応するスリーブ4の外周面)からスリーブ4を冷却し、上下型10,14の冷却よりも速く冷却することが効果的である。
強制冷却においては、工程3で冷却管11から下型14に対して窒素ガスを噴射する。工程3では、型温度が接触により急激に低下するため、噴射量も多くする必要がある。検討の結果、50リットル/minの噴射量とした。
仕切り板22は型移送時に開閉することにより、それぞれの工程中は閉められており、強制冷却のガスによって工程2、工程1に影響を及ぼさないようになっている。その後、工程4に移送され、取り出しができる温度(100℃以下)に冷却されて成形を完了する。
得られたチルト量は、n=50で強制冷却を行った場合、MAX0.8′、強制冷却を行わない場合、1.7′であった。このように構成が異なった成形機に対しても、偏芯精度を向上させることが可能となっている。従って、簡単な構造で偏芯精度を向上できるため、コスト低減、労力低減、適用可能なレンズの拡大を図ることができる。
1 上冷却板
3 上軸
4 スリーブ
5 ガラス管
6 下軸
8 下冷却板
9 上型内部ヒータ
10 上型
11 冷却管
12 加熱ヒータ
13 レンズ
14 下型
15 下型内部ヒータ
3 上軸
4 スリーブ
5 ガラス管
6 下軸
8 下冷却板
9 上型内部ヒータ
10 上型
11 冷却管
12 加熱ヒータ
13 レンズ
14 下型
15 下型内部ヒータ
Claims (10)
- 加熱軟化された光学素子素材を一対の成形型によって成形して光学素子とする光学素子成形装置において、
前記一対の成形型の位置を規制する筒状のスリーブと、
前記光学素子素材をスリーブ内で前記一対の成形型によって成形した後の冷却時に、前記スリーブ及び成形型の少なくとも一方を温度調節することによりスリーブの温度を成形型の温度よりも低く設定する温度設定手段と、
を具備することを特徴とする光学素子成形装置。 - 前記温度設定手段は、前記スリーブに不活性ガスを噴出してスリーブを冷却する冷却手段であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形装置。
- 前記温度設定手段は、前記成形型の内部から加熱する加熱手段であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形装置。
- 前記温度設定手段は、前記スリーブ周囲を不活性ガス雰囲気とするガス供給手段と、前記成形型の温度分布に応じてスリーブの所定部分に集中的に不活性ガスを噴射する冷却手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形装置。
- 前記成型形は、前記スリーブの内周面と嵌合する本体部と、本体部の外径よりも小さい外径の成形面部とを有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子成形装置。
- 加熱軟化された光学素子素材を一対の成形型によって成形して光学素子とする光学素子成形方法において、
前記一対の成形型の位置を規制する筒状のスリーブ内で前記光学素子素材を成形型によって押圧成形する押圧工程と、
この押圧工程で押圧成形された光学素子素材を冷却すると共に、前記スリーブ及び成形型の少なくとも一方を温度調節することにより、スリーブの温度を成形型の温度よりも低く設定する温度設定工程と、
を有することを特徴とする光学素子成形装置。 - 前記温度設定工程は、前記スリーブに不活性ガスを噴出してスリーブを冷却することを特徴とする請求項6に記載の光学素子成形方法。
- 前記温度設定工程は、前記成形型の内部から加熱することを特徴とする請求項6に記載の光学素子成形方法。
- 前記温度設定工程は、前記スリーブ周囲を不活性ガス雰囲気とすると共に、成形型の温度分布に応じてスリーブの所定部分に集中的に不活性ガスを噴射することを特徴とする請求項6に記載の光学素子成形方法。
- 前記温度設定工程は、前記光学素子素材の軸方向の最大肉厚に対応する範囲の成形型の外周面と前記スリーブの内周面との間を非接触とすることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の光学素子成形方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007083719A1 (ja) * | 2006-01-19 | 2007-07-26 | Asahi Glass Co., Ltd. | プレス成型装置 |
TWI684745B (zh) * | 2018-08-08 | 2020-02-11 | 國立高雄科技大學 | 光學鏡片之模具的校正系統 |
TWI703306B (zh) * | 2018-08-08 | 2020-09-01 | 國立高雄科技大學 | 光學鏡片之模具的校正方法 |
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2004
- 2004-03-10 JP JP2004067137A patent/JP2005255436A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007083719A1 (ja) * | 2006-01-19 | 2007-07-26 | Asahi Glass Co., Ltd. | プレス成型装置 |
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