JP2005254670A - インクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吐出口が開口された平板形状の基板と、吐出口からインク液滴を吐出する吐出手段とを有するインクジェットヘッドであって、吐出口の周縁の少なくとも一部が、インク液滴の吐出方向に向かって凸状に隆起していることを特徴とするインクジェットヘッドを提供する。
【選択図】図1
Description
また、このクーロン引力等によって、色材粒子が泳動してメニスカス形状に移動し、すなわち、インクが濃縮された状態となっている。
しかしながら、特許文献1に開示のインクジェット記録装置では、形成されるメニスカスの保持性が低く、メニスカス形状が安定しないため、吐出性能が変動してしまう。このため、良好に描画を行うことができないという問題があった。
また、メニスカスの保持性が低いと、形成されるメニスカスが崩壊し、吐出口からインクが溢れてしまう。これにより、吐出口基板の表面が汚れてしまうため、吐出口基板の表面のクリーニング、メンテナンスを行わなければならないという問題点もあった。
ここで、前記吐出方向と平行な面と、前記吐出口周縁の凸状に隆起した部分の最表面とでなす角が鋭角であることが好ましい。
また、前記吐出口周縁の凸状に隆起した部分の先端が鋭角であることがより好ましい。
また、前記インクに静電力を作用させることによって、前記吐出口からインク液滴を吐出させることが好ましい。
ここで、前記吐出方向と平行な面と、前記吐出口周縁の凸状に隆起した部分の最表面とでなす角が鋭角であることが好ましい。
また、前記吐出口周縁の凸状に隆起した部分の先端が鋭角であることがより好ましい。
図1(A)は、本発明のインクジェットヘッドの一実施例の概略構成を示す模式的断面図であり、図1(B)は、図1(A)に示すインクジェットヘッドの吐出口周辺の拡大図である。また、図2(A)および図2(B)は、図1のA−A線およびB−B線矢視図であり、図3は、吐出口基板の斜視図である。
これらの図に示す静電式インクジェットヘッド10は、ヘッド基板12と、インクガイド14と、吐出口28を有する吐出口基板16と、吐出口基板16内において吐出口28の周囲に形成される吐出電極18と、吐出口基板16内部において吐出電極18の図中上方に配置されるガード電極20とを有する。また、詳細は後述するが、吐出口基板16は、絶縁基板32と、第1絶縁層34aと、第2絶縁層34bとを積層して形成される。さらに、吐出口基板16の第2絶縁層34bの吐出口を囲う位置には、凸部38が設けられる。
ヘッド基板12と吐出口基板16とは、対面した状態で所定間隔離間して配置され、両者の間が各吐出口28にインクを供給するインクの主流路30となり、この主流路30と吐出口28(その吐出側の開口端まで)とで、インク流路が形成される。
なお、本発明のインクジェットヘッド10において、吐出電極18の個数や物理的な配置等は自由に選択することができる。例えば、図示例のようなマルチチャンネル構造のみならず、吐出部の列を1列のみ有するものであってもよい。また、記録媒体Pの全域に対応する吐出部の列を有するいわゆる(フル)ラインヘッドでもよく、あるいは、ノズル列の方向と直交する方向に走査されるいわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)であってもよい。また、本発明のインクジェットヘッドは、モノクロおよびカラーのどちらの記録装置にも対応可能である。
後述する吐出口基板16には、インク液滴Rを吐出するための吐出口28が貫通して形成されている。前記インクガイド14は、各吐出口28(吐出部)に対応して配置されており、吐出口28を通過し、その先端部分14aが吐出口基板16の記録媒体P側の表面(絶縁層34bの図中上側の表面(以下、便宜的に、こちら側を上、他方を下とする))よりも上部に突出している。なお、インクガイド14の中央部分には、図中上下方向に毛細管現象によってインクQを先端部分14aに集めるインク案内溝となる切り欠きを形成しても良い。
本発明において、ここで、インクガイド14の最先端部は、金属が蒸着されているのが好ましい。この金属蒸着により、インクガイド14の先端部分14aの誘電率が実質的に大きくなり、強電界を生じさせ易くなり、インクの吐出性を向上できる。
なお、インクQは、画像記録時には、図示されていないインク循環機構によって、所定方向、図示例では、主流路30内を図中右から左へ向かって所定の速度(例えば、200mm/sのインク流)で循環される。
従って、図示例のインクジェットヘッド10においては、吐出電極18は、第1絶縁層
34aの下面側に埋設されたような状態で、ヘッド基板12と吐出口基板16との間隙とで構成される主流路30に下面を露出しており、すなわち、この主流路30で下面をインクQと接液する。
ここで、凸部38の先端部38aは尖状であり、すなわち凸部38の対辺38cと斜辺38dの接合点での角度φは、鋭角である。凸部38は、所定の高さを有する。なお、凸部38の高さとは、吐出口基板16の突出していない部分である第2絶縁層34bの上面から凸部38の先端部38aまでの高さhをいう。
前述のように、図示例においては、吐出口28を2次元的に配列したマルチチャンネル構造を有するので、当然のことであるが、吐出電極18は、図2(B)に示すように、各吐出口28に対応して2次元的に配置されている。
このため、吐出電極18はインクと接していることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、インクと接しない位置、例えば、吐出口基板16の内部に吐出電極を配置してもよい。
また、本実施形態では、吐出電極18を第1絶縁層34aの下面に配置したが、吐出電極の配置位置は特に限定されず、吐出口基板内に配置してもよく、さらに吐出口基板周辺にも限定されず、ヘッド基板上、ヘッド基板内等に配置してもよい。
さらに、各吐出部に1つの吐出電極18を配置したが、これに限定されず、各吐出部に複数の吐出電極を配置する多層電極構造にしてもよい。
ガード電極20は、隣接する吐出電極18間における電気力線を遮蔽して、隣接する吐出電極間における電界干渉を抑制するためのものであり、所定電圧が印加される(接地による0Vを含む)。図示例においては、ガード電極20は接地されて0Vとされている。
このようなガード電極20を有することにより、隣接する吐出電極18間における電界干渉を好適に防止できると共に、吐出電極18とガード電極20との間で、インクQの色材粒子が被膜化して放電することも防止できる。
ガード電極20が無い場合、吐出電極18の内周部から生じる電気力線は、吐出電極18の内側に収束して自チャンネルに作用し、必要な電界を生じさせる。一方、吐出電極18の外周部から生じる電気力線は、外側に発散して他チャンネルに影響を及ぼし、電界干渉を生じる。
また、他チャンネルへの電気力線を効率的に遮蔽するためには、ガード電極20の開口部36の径は、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極18の外径よりも小さくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の内縁部は、自チャンネルの吐出電極18の外縁部より、吐出口28に近接(前進)しているのが好ましい。同様に、本発明者の検討によれば、この近接量は、5μm以上、特に、10μm以上とするのが好ましい。
上記構成を有することにより、吐出口28からの吐出安定性を十分に確保した上で、隣接するチャンネル間における電界干渉に起因するインク着弾位置のバラツキ等を好適に抑制して、安定して高画質な画像記録を行うことが可能となる。
このような場合にも、自チャンネルの吐出電極18に対して、その内縁部が、吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間し、吐出電極18の外縁部より吐出口28に近接するように、ガード電極20を形成すればよい。
対向電極24は、インクガイド14の先端部分14aに対向する位置に配置され、接地される電極基板24aと、電極基板24aの図中下側の表面、すなわちインクジェットヘッド10側の表面に配置される絶縁シート24bで構成される。
記録媒体Pは、対向電極24の図中下側の表面、すなわち絶縁シート24bの表面に、例えば静電吸着によって支持されており、対向電極24(絶縁シート24b)は、記録媒体Pのプラテンとして機能する。
その結果、記録媒体Pは負帯電して負の高電圧にバイアスされ、吐出電圧18に対する実質的な対向電極として作用し、かつ、対向電極24の絶縁シート24bに静電吸着される。
また、記録媒体Pの対向電極24への静電吸着と、記録媒体Pへの負の高電圧への帯電または対向電極24への負のバイアス高電圧の印加とを別々の負の高電圧源によって行っても良いし、対向電極24による記録媒体Pの支持は、記録媒体Pの静電吸着に限られず、他の支持方法や支持手段を用いても良い。
他方、記録に際して、記録媒体Pは、対向電極24に供給され、帯電ユニット26によって色材粒子の逆極性すなわち負の高電圧(一例として、−1500V)に帯電されて、バイアス電圧を帯電した状態で、対向電極24に静電吸着される。
この状態で、記録媒体P(対向電極24)とインクジェットヘッド10とを、相対的に移動しつつ、供給された画像データに応じて信号電圧源33から各吐出電極18に駆動電圧(パルス電圧)を印加し、この駆動電圧の印加on/offによって吐出をon/offすることにより、画像データに応じてインク液滴Rを変調して吐出し、記録媒体P上に画像を記録する。
また、このクーロン引力等によって、色材粒子は、いわゆる電気泳動でバイアス電圧が帯電された記録媒体Pに向かって移動する。すなわち、吐出口28のメニスカスにおいては、インクQが濃縮された状態となっている。
さらに有限な時間が経過すると曳糸が成長し、この曳糸の成長、レイリー/ウエーバー不安定性によって発生する振動、メニスカス内における色材粒子の分布不均一、メニスカスにかかる静電界の分布不均一等の相互作用によって曳糸が分断され、インク液滴Rとなって吐出/飛翔し、かつ、バイアス電圧にも引っ張られて、記録媒体Pに着弾する。なお、曳糸の成長および分断は、さらにはメニスカス(曳糸)への色材粒子の移動は、駆動電圧の印加中は連続して発生する。
また、駆動電圧の印加を終了(吐出off)した時点で、バイアス電圧のみが印加された先のメニスカスの状態に戻る。
さらに、吐出口基板とインクメニスカス表面との接触点でのなす角θを大きくすることで、インクメニスカスの保持性を向上させることができ、インクメニスカスを安定して形成できることを見出した。ここで、接触点でのなす角θとは、接触点でのインクメニスカス表面と、吐出口基板の接触点よりも外側の面(図1(B)では、凸部38の斜辺38d)とのなす角である。
これにより、従来のインクジェットヘッドの平板形状の吐出口基板に開口した吐出口にメニスカスを形成した場合、すなわち図8に示すように、吐出口基板86の記録媒体P側の表面と、吐出口基板86の吐出口96側の端部を通り吐出方向と平行な面(基準面)とのなす角が直角である吐出口96にメニスカスを形成した場合に比べて、接触点(先端部38a)での上面38dとインクメニスカスの表面とでなす角θが大きくなる。
このように、凸部を吐出口周りの少なくとも一部に設けることで、インクメニスカスの保持性を向上させることができる。ここで、インクガイドのインク流れ方向と平行な面の幅以上の大きさの凸部を吐出口のインク流れ方向と直交する部分に設けることが好ましく、吐出口全周に設けることがより好ましい。
ここで、撥インク性とは、インクが水性の場合は撥水性を、インクが油性の場合は撥油性であることをいう。
凸部のインクメニスカスとの接触点より外側の表面および吐出口基板の表面を、撥インク性にする方法としては、例えば、吐出口基板および凸部の斜面の表面に撥インク処理を行う方法、吐出口基板および凸部の斜面の表面に撥インクフィルムなどの撥インク材料を貼付、または装着する方法等が挙げられる。
第2絶縁層34bからの凸部38の先端部38aまでの高さhを10μm以上とすることで、インクメニスカスの保持性が向上し、500μm以下とすることで、吐出口の長さを短くすることができ、インクと吐出口内壁との間の抵抗が低減され、インク液滴の吐出応答性が向上し、吐出周波数は、5kHzまで追従することが可能となる。ここで、吐出周波数とは、インク液滴の吐出される周波数である。
また、300μm以下とすることで、、インクと吐出口内壁との間の抵抗がさらに低減され、吐出応答性がさらに向上し、吐出周波数は、10kHzまで追従することが可能となる。
さらに、100μm以下とすることで、、インクと吐出口内壁との間の抵抗がさらに低減され、吐出応答性がさらに向上し、吐出周波数は、15kHzまで追従することが可能となる。
なお、図5に示すインクジェットヘッド40は、前述の図1のインクジェットヘッド10と、吐出口基板の構造および吐出電極の配置位置が異なるのみであるので、同じ部材には、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略し、以下の説明は、異なる点を主に行う。
このように、吐出口基板自体を加工することで隆起部を形成しても、図1に示す実施例と同様にメニスカスの保持性を高くすることができる。
ここで、本実施形態のような隆起部44aは、例えば平板形状の基板をエンボス加工することによって、作製することができる。
なお、図6に示すインクジェットヘッド50は、図5に示したインクジェットヘッド40と吐出口基板の形状が異なるのみであるので、同じ部材には、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略し、以下の説明は、異なる点を主に行う。
このような形状においても、先端部52bを通り吐出方向と平行な面(基準面)と上面52d(最表面)とのなす角の角度γを鋭角とすることができるので、先端部52bでのインクメニスカスとのなす角を大きくすることができ、インクメニスカス保持性を向上させることができる。さらに、隆起部先端部の角度、つまり上面52dと下面52cとのなす角の角度βも鋭角となるため、吐出口でのメニスカス保持性がより向上する。
特に、上述のように、本発明のインクジェットヘッドは、吐出口基板とインクメニスカス表面との接触点となる部分の吐出口基板の少なくとも一部を、凸部や隆起部の先端部が尖った形状、すなわち、凸部や隆起部の最表面と、基準面とのなす角が鋭角となる形状とすることで、最表面とメニスカス表面とのなす角が大きくなり、インクメニスカス保持性をより向上させることができる。
さらに、凸部や隆起部の先端部が鋭角、すなわち、凸部や隆起部とインクメニスカス表面との接触点となる部分の凸部や隆起部の角度が鋭角となる形状とすることで、インクメニスカス保持性をさらに向上させることができる。
なお、このようなキャリア液の固有電気抵抗の上限値は1016Ωcm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。キャリア液の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ぺリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ペンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
これらのうち、粒子形成の容易さの観点から、重量平均分子量が2,000〜1000,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜5.0の範囲内であるポリマーが好ましい。さらに、前記定着の容易さの観点から、軟化点、ガラス転移点または、融点のいずれか1つが40℃〜120℃の範囲内にあるポリマーが好ましい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
また、色材粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクQの電気伝導度、σ2は、インクQを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクQを用いることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
また、インクQの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/mさらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクQの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
(1)色材あるいはさらに分散樹脂粒子をあらかじめ混合(混練)した後、必要に応じて分散剤を用いてキャリア液に分散し、荷電調整剤を加える方法。
(2)色材、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、キャリア液に同時に添加して、分散し、荷電調整剤を加える方法。
(3)色材および荷電調整剤、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、同時にキャリア液に添加して、分散する方法。
同図に示すインクジェット記録装置60(以下、プリンタ60とする)、記録媒体Pに片面4色印刷を行う装置で、記録媒体Pの搬送手段、画像記録手段、および溶媒回収手段を有するものであり、これらを筐体61に収容して構成される。
また、搬送手段は、フィードローラ対62、ガイド64、ローラ66(66a,66bおよび66c)、搬送ベルト68、搬送ベルト位置検知手段69、静電吸着手段70、除電手段72、剥離手段74、定着・搬送手段76およびガイド78を有する。画像記録形成手段は、ヘッドユニット80、インク循環系82、ヘッドドライバ84、および記録媒体位置検出手段86を有する。さらに、溶媒回収手段は、排出ファン90および溶媒回収装置92を有する。
異物除去手段としては、公知の吸引除去、吹き飛ばし除去、静電除去等の非接触法や、ブラシ、ローラー等による接触法によるものの1以上を組み合わせて使用すればよい。また、フィードローラ対62を微粘着ローラとし、さらにフィードローラ対62のクリーナを設けて、フィードローラ対62による記録媒体Pのフィード時に塵埃・紙粉等の異物の除去を行っても良い。
搬送ベルト68は、ヘッドユニット80による画像記録時には、記録媒体Pの走査搬送手段に加え、記録媒体Pを保持するプラテンとして機能し、さらに、画像記録後、定着・搬送手段76まで搬送する。従って、搬送ベルト68は、寸法安定性に優れ、耐久性を有する材料で形成されるのが好ましく、例えば、金属、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、その他の樹脂およびそれらの複合体で形成される。
すなわち、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持するとき、図1に示す電極基板24aと絶縁シート24bからなる対向電極24として機能するものである。
また、搬送ベルト68の記録媒体Pに接する表面は平滑であるのが好ましく、これにより、記録媒体Pの良好な吸着性が得られる。
図示例においては、静電吸着手段70は、記録媒体Pを帯電させるスコロトロン帯電器70aと、スコロトロン帯電器70aに接続される負の高圧電源70bとを有する。記録媒体Pは、フィードローラ対62および搬送ベルト68によって搬送されつつ、負の高圧電源70bに接続されたスコロトロン帯電器70aにより、負のバイアス電圧を帯電され、かつ、搬送ベルト68の絶縁層に静電吸着される。
なお、図示例では、静電吸着手段70で記録媒体Pの静電吸着および帯電を行っているが、静電吸着手段と帯電手段とを別々に設けてもよい。
ヘッドユニット80は、前記本発明のインクジェットヘッドを用いて、画像データに応じてインク液滴を吐出して、記録媒体Pに画像を記録する。ここで、本発明のインクジェットヘッドは、記録媒体Pの帯電電位をバイアス電圧とし、吐出電極18に駆動電圧を印加することにより、バイアス電圧に駆動電圧を重畳し、インク液滴Rを吐出し、記録媒体Pに画像を記録するのは、前述のとおりである。この際、搬送ベルト68の加熱手段を設け、記録媒体Pの温度を高めることで、記録媒体P上におけるインク液滴Rの定着を促進することができ、滲みをより一層抑制して画質の向上を図ることができる。
なお、ヘッドユニット80等による画像記録に関しては、後に詳述する。
図示例において、除電手段72は、コロトロン除電器72aと、交流電源72bと、一端が接地された直流高圧電源72cとを有する、いわゆるACコロトロン除電器である。なお、除電手段は、これ以外にも、例えばスコロトロン除電器、固体チャージャ、放電針等の種々の手段や方法などが利用でき、また、上述の静電吸着手段70のように、導電性ローラや導電性プラテンを用いる構成も好適に使用される。
剥離手段74としては、剥離用ブレード、逆回転ローラ、エアナイフ等公知の技術が利用可能である。
画像が定着された記録媒体Pは、ガイド78に案内されて図示しない排紙ストッカーに排紙される。
なお、加熱定着の場合、記録媒体Pとして、コート紙やラミネート紙を用いた場合には、急激な温度上昇により紙内部の水分が急激に蒸発し紙表面に凹凸が発生する、ブリスターと呼ばれる現象が生じる可能性がある。これを防止するために、複数の定着器を配置し、記録媒体Pが徐々に昇温するように、各定着器の電力供給および記録媒体Pまでの距離の一方または両方を変えるのが好ましい。
また、定着・搬送手段76における定着の際の記録媒体Pの移動速度には、特に限定はなく、画像形成時の搬送ベルト68による搬送速度と同じであっても良いし、異なっていても良い。画像形成時の搬送速度と異なる場合には、定着・搬送手段76の直前に記録媒体Pの速度バッファを設けるのも好ましい。
前述のように、プリンタ60の画像記録手段は、インクジェットを吐出するヘッドユニット80、ヘッドユニット80にインクQの供給および回収を行うインク循環系82、図示されないコンピュータ、RIP(Raster Image Processor)等の外部機器からの出力画像信号によりヘッドユニット80を駆動するヘッドドライバ84、記録媒体Pにおける画像記録位置を決定するために記録媒体Pを検出する記録媒体位置検出手段86を有する。
ヘッドユニット80は、フルカラー画像の記録を行うためのシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインク吐出に対応して、4つのインクジェットヘッド80aを有し、画像データを供給されたヘッドドライバ84からの信号に従って、インク循環系82によって供給されるインクQをインク液滴Rとして吐出して、搬送ベルト68によって所定速度で搬送されている記録媒体Pに画像を記録する。各色のインクジェットヘッド80aは、搬送ベルト68の搬送方向に配列されている。
なお、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッド80aは、前記本発明のインクジェットヘッドである。
従って、図示例においては、搬送ベルト68に記録媒体Pを保持させた状態で、ヘッドユニット80に対して記録媒体Pを搬送し、1回通過させる、すなわち1回の走査搬送を行うのみで、記録媒体Pの全面に画像が形成される。従って、吐出ヘッドをシリアルスキャンする場合に比べて、高速での画像記録(描画)が可能となる。
この際においては、各インクジェットヘッドの吐出口28の列(単列でもマルチチャンネルでもよい)を搬送ベルト68の搬送方向と一致させてヘッドユニット80を構成し、ヘッドユニット80を記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に走査する公知の走査手段を設ける。
画像記録は、通常のシャトルタイプのインクジェットプリンタと同様にに行えばよく、吐出口28の列の長さに応じて、搬送ベルト68によって記録媒体Pを間欠的に搬送しつつ、この間欠搬送に同期して、停止時にヘッドユニット80を走査して、記録媒体Pの全面に画像を記録する。
このようにして、ヘッドユニット80によって記録媒体Pの全面に形成された画像は、前述のように、記録媒体Pが定着・搬送手段76によって挟持搬送されることにより、定着・搬送手段76によって定着される。
このシステム制御部は、コンピュータやRIP、画像スキャナ、磁気ディスク装置、画橡データ伝送装置等の外部装置から受け取った画像データに、色分解、適当な画素数や階調数への分割演算等を行って、ヘッドドライバ84がヘッドユニット80(インクジェットヘッド)を駆動するための画像データとする部位である。また、システム制御部は、搬送ベルト68による記録媒体Pの搬送タイミングに合わせたヘッドユニット80によるインクの吐出タイミングの制御を行う。吐出タイミングの制御は、記録媒体位置検出手段86からの出力や、搬送ベルト68または搬送ベルト68の駆動手段へ配置したエンコーダからの出力信号を利用して行われる。
なお、記録媒体位置検出手段86は、ヘッドユニット80によるインク液滴の吐出位置に搬送されてくる記録媒体Pを検出するためのもので、フォトセンサ等の公知の検出手段を用いることができる。
ここで、ヘッドドライバ84は、ラインヘッド適用時など、制御する吐出部の数(チャンネル数)が多数有る場合には、描画を分割し、公知の抵抗マトリクス型駆動法や抵抗ダイオードマトリクス型駆動法を用いてもよい。これにより、ヘッドドライバ84の使用IC数を低減することができ、コストを低下させると共に制御回路サイズを抑制することができる。
インクタンクは、各色のインクQを貯留しており、インクQがポンプで汲み出されてヘッドユニット80へ送られる。ヘッドユニット80からインクが吐出されることにより、インク循環系82で循環しているインクの濃度が低下するので、インク循環系82では、インク濃度検出器によってインク濃度を検出し、それ応じて補給用インクタンクから適宜インクを補充して、インク濃度を所定の範囲に保つのが望ましい。
攪拌装置としては回転羽、超音波振動子、循環ポンプ等が使用できる。
インクの温度制御装置としてはヘッドユニット80、インクタンク、配インク管系等に、ヒータやペルチェ素子等の発熱素子または冷却素子を配し、温度センサ、例えばサーモスタットにより制御する方法等、公知の方法が使用できる。温度制御装置をインクタンク内に配置する場合には、温度分布を一定にするように攪拌装置と共に配するのがよい。また、タンク内の濃度分布を一定に保つための攪拌装置は、インクの固形成分の沈澱・濃縮の抑制するための攪拌装置と共用しても良い。
排出ファン90は、プリンタ60の筐体61内部の空気を吸い込んで溶媒回収装置92へ送るためのものである。
溶媒回収装置92は、溶媒蒸気吸収材を備えており、排出ファン90によって吸い込まれた溶媒蒸気を含む気体の溶媒成分をこの溶媒蒸気吸収材に吸着し、溶媒が吸着回収された後の気体をプリンタ60の筐体61外に排出する。溶媒蒸気吸収材としては、各種の活性炭などが好適に使用される。
12、102 ヘッド基板
14、104 インクガイド
14a、104a 先端部分
16、44、52 吐出口基板
18、42 吐出電極
20 ガード電極
24 対向電極
24a 電極基板
24b 絶縁シート
26 帯電ユニット
26a スコロトロン帯電器
26b バイアス電圧源
28 吐出口
30 主流路
32、46、54 絶縁基板
33 信号電圧源
34a 第1絶縁層
34b 第2絶縁層
36 開口部
38、39 凸部
44a、52a 隆起部
48、56 絶縁層
60 インクジェットプリンタ
62 フィードローラ
64 ガイド
66 ローラ
68 搬送ベルト
69 搬送ベルト位置検知手段
70 静電吸着手段
72 除電手段
74 剥離手段
76 定着・搬送手段
78 ガイド
80 ヘッドユニット
82 インク循環系
84 ヘッドドライバ
86 記録媒体位置検出手段
90 排出ファン
92 溶媒回収装置
106 絶縁性基板
108 制御電極
110 対向電極
114 DCバイアス電圧源
116 パルス電圧源
118 流路
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴
Claims (9)
- 吐出口が開口された平板形状の基板と、前記吐出口からインク液滴を吐出する吐出手段とを有するインクジェットヘッドであって、
前記吐出口の周縁の少なくとも一部が、インク液滴の吐出方向に向かって凸状に隆起していることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記吐出方向と平行な面と、前記吐出口周縁の凸状に隆起した部分の最表面とでなす角が鋭角であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記吐出口周縁の凸状に隆起した部分の先端が鋭角であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記インクに静電力を作用させることによって、前記吐出口からインク液滴を吐出させる請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 帯電した色材粒子を含むインクに静電力を作用させることにより吐出口からインク液滴を吐出させるインクジェットヘッドであって、
前記インク液滴が吐出される吐出口が開口された吐出口基板と、
この吐出口基板と所定間隔を離して配置され、前記吐出口基板との間にインク流路を形成するヘッド基板と、
前記ヘッド基板の、前記吐出口基板の前記吐出口と対応する位置に設けられ、先端が前記吐出口を貫通するインクガイドと、
前記吐出口に対応して形成され、前記インクに静電力を作用させて前記吐出口から前記インク液滴を吐出させるための吐出電極とを有し、
前記吐出口の周縁の少なくとも一部が、インク液滴の吐出方向に向かって凸状に隆起していることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記吐出方向と平行な面と、前記吐出口周縁の凸状に隆起した部分の最表面とでなす角が鋭角であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットヘッド。
- 前記吐出口周縁の凸状に隆起した部分の先端が鋭角であることを特徴とする請求項5または6に記載のインクジェットヘッド。
- 前記隆起部の高さが、10μm以上500μm以下である請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェットヘッドを用いて、画像データに応じた画像を記録媒体上に記録することを特徴とするインクジェット記録装置。
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