JP2006021422A - インクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク液滴吐出のために吐出電極に印加する駆動電圧を低くすることができ、吐出on時と吐出off時とにおけるインク液滴の吐出性の差が大きく、かつ、電極間における放電等も好適に防止できるインクジェットヘッドを提供すること。
【解決手段】その表面が絶縁層に覆われた、インクに静電力を作用させ、インクを吐出させるための吐出電極と、吐出電極の近傍に配置され、インクに接液している接液電極と、吐出電極電位状態を制御する第1の制御手段と、接液電極の電位状態を制御する第2の制御手段とを有し、第1の制御手段は、吐出信号に応じて、吐出電極に信号電圧を印加し、第2の制御手段は、吐出信号に同期してインク吐出時に接液電極を所定電位状態とし、インク非吐出時に接液電極をフローティング状態とすること。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電式のインクジェット記録の技術分野に属し、詳しくは、低電圧でのインク液滴の吐出が可能で、かつ、電極間での放電を無くして、安定したインク液滴の吐出が可能な静電式のインクジェットヘッド、および、これを利用するインクジェット記録装置に関する。
静電式のインクジェット記録方式は、帯電した微粒子成分を含むインクを用い、画像データに応じて、インクジェットヘッドの吐出電極(駆動電極)に所定の電圧(駆動電圧)を印加することにより、静電力を利用してインクの吐出を制御し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する方式である。
静電式のインクジェット記録方式に限らず、コンパクトなサイズで、高速で描画をするために吐出部の数を多くしようとすると、インク液滴の吐出部(チャンネル)を高密度に形成する必要がある。
すなわち、静電式のインクジェットにおいて吐出部の高密度化を図るためには、各吐出部に対応して配置される吐出電極も高密度化せざるを得ない。ところが、静電式のインクジェットでは、吐出電極を高密度に形成すると、隣接する吐出部間で電界干渉を生じて、吐出するインク液滴のサイズや飛翔方向にバラつきが生じてしまい、正確な記録が行えないという問題があった。
このような問題に対し、例えば、特許文献1には、吐出部に配されるインクを先端に集める複数のインクガイドと、前記インクガイドを区分けする、吐出口(貫通孔)が形成された基板と、この基板上に設けられた複数の吐出電極(個別電極)と、吐出電極の間に設けられたガード電極(シールド電極)と、インクガイドに対向して設けられる対向電極とを有するインクジェット記録装置が開示されている。
このインクジェット記録装置では、ガード電極に、駆動電圧より低く、かつ、吐出電極との間で放電しない程度に高い電圧を印加することによって、隣接する吐出電極間の電界干渉等を抑制している。
特開2000−25233号公報
ところが、特許文献1に開示されるインクジェット記録装置では、吐出電極とシールド電極とが同一面上に設けられ、かつ、露出している。そのため、インク中の色材粒子が電極間に被膜化してしまう場合があり、これにより、電極間で放電が発生してしまい、インク液滴の吐出が不安定になってしまう。
しかも、静電式のインクジェットでは、インク液滴の吐出のために、非常に高い駆動電圧を吐出電極に印加する必要があり、場合によっては、1000Vを超える駆動電圧を吐出電極に印加する必要がある。このような高い駆動電圧が必要な場合には、前記構成を有する特許文献1のインクジェット記録装置では、吐出電極とシールド電極間で放電が発生してしまう場合がある。さらに、吐出電極の外周側の端部から発生する電気力線を遮蔽することができず、隣接する吐出部間での電界干渉を効果的に防止できない場合もある。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、静電式のインクジェットにおいて、インク液滴吐出のために吐出電極に印加する駆動電圧を低くすることができ、すなわち低い駆動電圧でインク液滴の吐出on/offを行うことができ、かつ、電極間における放電等も好適に防止できるインクジェットヘッド、および、これを利用するインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、帯電した微粒子を含むインクを静電力を利用して吐出させて、記録媒体に画像を記録する静電式のインクジェットヘッドであって、その表面が絶縁層に覆われた、前記インクに静電力を作用させ、前記インクを吐出させるための吐出電極と、前記吐出電極の近傍に配置され、前記インクに接液している接液電極と、前記吐出電極の電位状態を制御する第1の制御手段と、前記接液電極の電位状態を制御する第2の制御手段とを有し、前記第1の制御手段は、吐出信号に応じて、前記吐出電極に信号電圧を印加し、前記第2の制御手段は、前記吐出信号に同期してインク吐出時には、前記接液電極を所定電位状態とし、インク非吐出時に前記接液電極をフローティング状態とすることを特徴とするインクジェットヘッドを提供する。
前記所定電位状態は、接地電位状態であることが好ましい。
さらに、インクを吐出する吐出口を有する吐出口基板と、前記吐出口基板と対面して所定の間隔離間して配置されるヘッド基板と、前記吐出口基板とヘッド基板との間および前記吐出口で形成されるインク流路とを有し、前記吐出電極は、前記吐出口に対応して、吐出口基板の内部に形成され、前記接液電極は、前記吐出口に対応して、前記吐出口基板の前記吐出口近傍に形成され、前記インク流路に少なくとも一部を露出することが好ましい。
また、前記接液電極は、前記吐出口基板とヘッド基板との間隙において、前記インク流路に少なくとも一部を露出することが好ましい。
また、前記吐出電極よりもインク吐出側に絶縁層を介して、少なくとも隣接する前記吐出電極間を覆うように設けられるガード電極を有することが好ましい。
また、前記ガード電極は、絶縁層に覆われることが好ましい。
また、前記ガード電極は、吐出口基板の平面で見た際において、前記吐出電極の吐出口に近接する側の端部よりも前記吐出口から離間しており、かつ、前記吐出電極の吐出口から離れた側の端部よりも、前記吐出口に近接するように配置されることが好ましい。
さらに、前記吐出電極は、前記吐出口を囲むC字型電極であり、前記接液電極は、前記C字型の吐出電極の切り欠き部分に配置されることが好ましい。
さらに、上記いずれかに記載のインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドと記録媒体を相対的に移動させる手段と、前記インクジェットヘッドの吐出電極と前記記録媒体の間に所定のバイアス電圧を印加する手段とを有することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
このような本発明によれば、静電式のインクジェットにおいて、絶縁層に被覆された吐出電極と、インクに接液された接液電極とを設け、接液電極を吐出時に所定電位状態とすることで、インク液滴を吐出するために吐出電極に印加する駆動電圧、記録媒体(対向電極)にかかるバイアス電圧を従来に比して大幅に低くしても、安定してインク液滴の吐出を行うことができる。
さらに、非吐出時(吐出off時)に接液電極をフローティング状態(非接地浮遊状態)とすることで、非吐出時にインク液滴を吐出しにくくすることができ、吐出時と非吐出時の吐出性の差をより大きくすることができる。すなわち、バイアス電圧を従来よりも高くしても、非吐出時にインク液滴が吐出しないので、吐出時に吐出電極へ印加する所定電圧をより低電圧にすることができる。
これにより、吐出時の吐出性を向上させ、非吐出時の吐出性を低くすることができ、吐出電極に印加する電圧を低くしても、インク吐出時と非吐出時における吐出性の差を大きくして、より安定したインク液滴の吐出を行うことができる。
しかも、本発明によれば、駆動電圧を低くでき、隣接する吐出電極間における電界干渉を低減できるのに加え、好ましくは、吐出電極とは異なる層において、基板平面方向の吐出電極間に、絶縁層に覆われたガード電極を有することにより、両者の相乗効果によって、より好適に吐出電極間での電界干渉を防止でき、しかも、インクの色材粒子の被膜化等に起因する吐出電極とガード電極間における放電も防止することができる。
以下、本発明のインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置について、添付の図面に示される好適な態様を基に、詳細に説明する。
図1(A)に、本発明のインクジェットヘッドの一例の概略構成を示す模式的断面図を、図1(B)に吐出電極18が配置されている面を対向電極側から見た場合における吐出電極18周辺の部分拡大上面図を、図2(A)および図2(B)に、図1(A)のA−A線およびB−B線矢視図を、それぞれ示す。ここで、図2(A)、および図2(B)も図1(B)と同様に対向電極側から見た場合の矢視図である。
同図に示す静電式のインクジェットヘッド10は、ヘッド基板12と、インクガイド14と、吐出口28を有する吐出口基板16とを有して構成される。また、吐出基板16は、第1絶縁層34aと、絶縁基板32と、第2絶縁層34bとを積層して構成される。
ヘッド基板12と吐出口基板16とは、対面した状態で所定間隔離間して配置され、両者の間が各吐出口28にインクを供給するインクの主流路30となり、この主流路30と吐出口28(その吐出側の開口端まで)とで、インク流路が形成される。
また、インクジェットヘッド10の吐出部に対向する位置には、記録媒体Pを支持する対向電極24と、記録媒体Pの帯電ユニット26とが配置される。
このようなインクジェットヘッド10は、顔料等の色材成分を含み、かつ、電荷を有する微粒子(以下、色材粒子とする)を、絶縁性の液体(キャリア液)に分散してなるインクQを静電力により吐出させるものであり、画像データに応じて吐出電極18に印加する駆動電圧をon/off(吐出on/off)することにより、画像データに応じてインク液滴を変調して吐出し、記録媒体P上に画像を記録する。
インクジェットヘッド10は、図2に示されるように、より高速に画像記録を行うために、各吐出部(ノズル(吐出口28))が二次元的に配列された、マルチチャンネル構造を有するものであるが、図1(A)及び(B)においては、構成を明瞭に示すため、1つの吐出部のみを示す。
なお、本発明のインクジェットヘッド10において、吐出電極の個数や物理的な配置等は自由に選択することができる。例えば、図示例のようなマルチチャンネル構造のみならず、吐出部の列を1列のみ有するものであってもよい。また、記録媒体Pの全域に対応する吐出部の列を有するいわゆる(フル)ラインヘッドでもよく、あるいは、ノズル列の方向と直交する方向に走査されるいわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)であってもよい。また、本発明のインクジェットヘッドは、モノクロおよびカラーのどちらの記録装置にも対応可能である。
図示例のインクジェットヘッド10において、インクガイド14は、突状先端部分14aを持つ所定厚みのセラミック製平板からなり、各吐出部毎にヘッド基板12の上に配置されている。
後述する吐出口基板16には、インク液滴Rを吐出するための吐出口28が貫通して形成されている。前記インクガイド14は、各吐出口28(吐出部)に対応して配置されており、吐出口28を通過し、その先端部分14aが吐出口基板16の記録媒体P側の表面(絶縁層34bの図中上側の表面(以下、便宜的に、こちら側を上、他方を下とする))よりも上部に突出している。なお、インクガイド14には、図中上下方向に毛細管現象によってインクQを先端部分14aに集めるインク案内溝となる切り欠きを形成しても良い。
図示例において、インクガイド14の先端部分14aの側は、対向電極24側へ向かうに従って次第に細く略三角形(ないしは台形)に成形されている。なお、インクガイド14の形状は、インクQ、特に、インクQ内の色材粒子成分を吐出口基板16の吐出口28を通って先端部分14aに濃縮させることができれば、特に、制限的ではなく、例えば、先端部分14aは、突状でなくても良いなど適宜変更してもよいし、従来公知の形状とすることができる。
本発明において、ここで、インクガイド14の最先端部は、金属が蒸着されているのが好ましい。この金属蒸着により、インクガイド14の先端部分14aの誘電率が実質的に大きくなり、強電界を生じさせ易くなり、インクの吐出性を向上できる。
前述のように、ヘッド基板12と吐出口基板16とは、所定間隔離間して配置されており、両者の間隙によって、吐出口28(インクガイド14)にインクQを供給するためのインクリザーバ(インク室)として機能するインクの主流路30が形成されている。
なお、インクQは、画像記録時には、図示されていないインク循環機構によって、所定方向、図示例では主流路30内を図中左から右へ向かって所定の速度(例えば、200mm/sのインク流)で循環される。
吐出口基板16は、第1絶縁層34a、絶縁基板32、および第2電極層34bを積層して構成されるものであり、インク液滴Rを吐出するための吐出口28が基板を貫通して形成され、各吐出口28には、先端を上方に突出してインクガイド14が挿通している。
また、吐出口基板16には、各吐出口28に対応して吐出電極18が形成され、さらに、各吐出電極18間には、ガード電極20が形成される。
図示例のインクジェットヘッド10においては、吐出口基板16は、絶縁性の材料から成る絶縁基板32の下面に吐出電極18および接液電極19を形成し、次いで、絶縁基板32の下面全面を覆って第1絶縁層34aを形成し、次いで、絶縁基板32の上面にガード電極20を形成し、さらに、絶縁基板32の上面全面を覆って第2絶縁層34bを形成し、その後、例えば公知のエッチング技術によって、接液電極19に対応する領域の第1絶縁層34aを取り除いてなる構成を有する。
従って、図示例のインクジェットヘッド10においては、吐出電極18は、絶縁基板32の下面に支持された状態で、その表面は第1絶縁層34aに覆われている。また、接液電極19は、絶縁基板32の下面に支持された状態で主流路30に露出して、主流路30において、下面および端面(内縁部端面および外縁部端面)をインクQと接液する。
本発明においては、このように、主流路30と吐出口28とで構成されるインク流路において、接液電極19がインク流路に露出し、インクQと接液する構成を有することにより、インク液滴の吐出性を、大幅に向上させている。この点については、後に、吐出の作用と共に詳述する。
図1(B)に示すように、吐出電極18は、絶縁基板32の下面(ヘッド基板12側の面)に、吐出口基板16を貫通して開孔する吐出口28の周囲を囲むように、インク流の上流側の一部の電極が取り除かれた円弧状、つまりC型電極として配置されている。また、吐出電極18は、表面を第1絶縁層34aによって覆われている。
さらに、吐出電極18は、画像デ−タや印字データ等の吐出データ(吐出信号)に応じて、所定電位の駆動電圧を発生する信号電圧源38に接続されている。
なお、吐出電極18は、C型電極に限定されず、吐出口から所定間隔離間して、板状の電極を平行に配置した平行電極、リンク状の円形電極等、各種の形状が利用可能である。好ましくは、吐出口28の外周を囲うように配置される囲繞電極が例示され(一部、切り欠いても可)、中でも、略円形電極であるのが好ましく、円形電極であるのがより好ましい。
図1(B)に示すように、接液電極19は、絶縁基板32の下面のC型形状の吐出電極18の切り欠き部分に、吐出電極18と所定間隔離間して配置されている。なお、本実施形態では、接液電極19を吐出電極18の切り欠き部分に配置したが、本発明はこれに限定されず、その表面が少なくともインクと接液していればよく、インク流路に接している吐出口基板16、インクガイド14、ヘッド基板12等の種々の位置に配置することができる。さらに、接液電極19は、後述する記録媒体Pと吐出電極18との間に形成される電界に影響を与えない位置に配置することが好ましい。また、その形状も、特に限定されずどのような形状でもよい。
ここで、接液電極19は、切替部40に接続されている。切替部40は、接液電極19の接続をフローティング源42と接地源43との間で切り替えるもので、吐出信号に応じて、非吐出時には接液電極19をフローティング状態とし、吐出時には、接液電極19を接地電位状態とする。
さらに、切替部40および信号電圧源38は、吐出制御部44と接続されている。
吐出制御部44は、画像デ−タや印字データ等の吐出データ(吐出信号)に応じて、切替部40および信号電圧源38を制御する。このように、吐出制御部44から切替部40および信号電圧源38に画像信号を送信することにより、吐出電極18に印加される電圧および接液電極19の状態は、画像信号に応じて同期して制御される。
ここで、前述のように、図示例においては、吐出口28を2次元的に配列したマルチチャンネル構造を有するので、当然のことであるが、吐出電極18および接液電極19は、図2(B)に示すように、各吐出口28に対応して2次元的に配置されている。
ガード電極20は、絶縁基板32の上面に形成されており、かつ、その表面は第2絶縁層34bに覆われている。図2(A)に示すように、ガード電極20は、金属板などの各吐出電極に共通なシート状の電極であり、2次元的に配列されている各吐出口28の周囲に形成された、吐出電極18に対応する開口部36が穿孔されている。
ガード電極20は、隣接する吐出電極18間における電気力線を遮蔽して、隣接する吐出電極間における電界干渉を抑制するためのものであり、所定電圧が印加される(接地による0Vを含む)。図示例においては、ガード電極20は接地されて0Vとされている。
図示例においては、好ましい態様として、ガード電極20は、絶縁基板32の吐出電極18が形成されている面とは、反対側の面に形成され、さらに、全面を第2絶縁層34bに被覆されている。
このようなガード電極20を有することにより、隣接する吐出電極18間における電界干渉を好適に防止できると共に、吐出電極18とガード電極20との間で、インクQの色材粒子が被膜化して放電することも防止できる。しかも、後述するが、本発明においては、吐出電極18に印加する駆動電圧を、通常に比して低くすることができるので、この効果と、上記ガード電極20との相乗効果により、さらに好適に隣接する吐出電極間における電界干渉を防止して、安定した画像記録を可能にできる。
ここで、ガード電極20は、吐出電極18から発生する電気力線の内、対応する吐出口28(以下、便宜的に「自チャンネル」とする)に作用する電気力線を確保しつつ、他の吐出口28(同「他チャンネル」とする)からの電気力線および他の吐出口28への電気力線を遮蔽するように設ける必要がある。
ガード電極20が無い場合、吐出電極18の内周部から生じる電気力線は、吐出電極18の内側に収束して自チャンネルに作用し、必要な電界を生じさせる。一方、吐出電極18の外周部から生じる電気力線は、外側に発散して他チャンネルに影響を及ぼし、電界干渉を生じる。
以上の点を考慮すれば、ガード電極20の開口部36の径は、自チャンネルへの電気力線を遮蔽しないように、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極18の内径よりも大きくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の吐出口28側の端部(以下、各部材の吐出口側端部を「内縁部」、逆側端部を「外縁部」とする)は、自チャンネルの吐出電極18の内縁部よりも、吐出口28から離間(後退)しているのが好ましい。本発明者の検討によれば、この離間量は、10μm以上とするのが好ましい。
また、他チャンネルへの電気力線を効率的に遮蔽するためには、ガード電極20の開口部36の径は、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極18の外径よりも小さくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の内縁部は、自チャンネルの吐出電極18の外縁部より、吐出口28に近接(前進)しているのが好ましい。同様に、本発明者の検討によれば、この近接量は、5μm以上、特に、10μm以上とするのが好ましい。
上記構成を有することにより、吐出口28からの吐出安定性を十分に確保した上で、隣接するチャンネル間における電界干渉に起因するインク着弾位置のバラツキ等を好適に抑制して、安定して高画質な画像記録を行うことが可能となる。
以上の例では、吐出電極18を円形電極として説明したが、吐出電極18が円形電極でない場合には、その形状に応じて、平均径など実質的に直径と見なせる有効径を考慮すればよい。あるいは、ガード電極20の開口部36を、吐出電極18の内周側形状または外周側形状と略相似形にし、吐出電極18の周方向の各位置において、その内縁部が、自チャンネルの吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間(後退)し、同外縁部より吐出口28に近接(前進)するように、ガード電極20を設けてもよい(すなわち、ガード電極20の開口部36を形成してもよい)。
また、以上の例では、ガード電極20は、シート状電極としているが、本発明はこれには限定されず、各吐出部間において、他チャンネルの電気力線を遮蔽できるように設けられていれば、どのようなものでも良い。例えば、ガード電極20は、各吐出部の間に網目状に設けられていても良いし、吐出部が電界干渉を生じない程十分離れている部分には設けられず、近接している吐出部の間にのみ設けられていても良い。
このような場合にも、自チャンネルの吐出電極18に対して、その内縁部が、吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間し、吐出電極18の外縁部より吐出口28に近接するように、ガード電極20を形成すればよい。
前述のように、図1(A)においては、インクジェットヘッド10のインク液滴Rの吐出面と対面するように、対向電極24が配置される。
対向電極24は、インクガイド14の先端部分14aに対向する位置に配置され、接地される電極基板24aと、電極基板24aの図中下側の表面、すなわちインクジェットヘッド10側の表面に配置される絶縁シート24bで構成される。
記録媒体Pは、対向電極24の図中下側の表面、すなわち絶縁シート24bの表面に、例えば静電吸着によって支持されており、対向電極24(絶縁シート24b)は、記録媒体Pのプラテンとして機能する。
少なくとも記録時には、帯電ユニット26によって、対向電極24の絶縁シート24bに保持された記録媒体Pは、吐出電極18に印加される駆動電圧と逆極性の所定の負の高電圧に帯電される。
その結果、記録媒体Pは負帯電して負の高電圧にバイアスされ、吐出電圧18に対する実質的な対向電極として作用し、かつ、対向電極24の絶縁シート24bに静電吸着される。
帯電ユニット26は、記録媒体Pを負の高電圧に帯電させるためのスコロトロン帯電器26aと、スコロトロン帯電器26aに負の高電圧を供給するバイアス電圧源26bとを有している。なお、本発明に用いられる帯電ユニット26の帯電手段としては、スコロトロン帯電器26aに限定されず、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針などの種々の放電手段を用いることができる。
また、図示例においては、対向電極24を電極基板24aと絶縁シート24bとで構成し、記録媒体Pを、帯電ユニット26によって負の高電圧に帯電させることにより、バイアス電圧を印加して対向電極として作用させ、かつ、絶縁シート24bの表面に静電吸着させているが、本発明はこれに限定されず、対向電極24を電極基板24aのみで構成し、対向電極24(電極基板24a自体)を負の高電圧のバイアス電圧源に接続して、負の高電圧に常時バイアスしておき、対向電極24の表面に記録媒体Pを静電吸着させるようにしても良い。
また、記録媒体Pの対向電極24への静電吸着と、記録媒体Pへの負の高電圧への帯電または対向電極24への負のバイアス高電圧の印加とを別々の負の高電圧源によって行っても良いし、対向電極24による記録媒体Pの支持は、記録媒体Pの静電吸着に限られず、他の支持方法や支持手段を用いても良い。
以下、インクジェットヘッド10におけるインク液滴Rの吐出作用を説明することにより、本発明について、より詳細に説明する。
図1(A)に示すインクジェットヘッド10では、記録時に、図示しないポンプ等を含むインク循環機構により、吐出電極18に印加される電圧と同極性、例えば、正(+)に帯電した色材粒子を含むインクQを、主流路30の内部を矢印方向(図中左から右方向)に循環させる。
他方、記録に際して、記録媒体Pは、対向電極24に供給され、帯電ユニット26によって色材粒子の逆極性すなわち負の高電圧に帯電されて、バイアス電圧を帯電した状態で、対向電極24に静電吸着される。
この状態で、記録媒体P(対向電極24)とインクジェットヘッド10とを、相対的に移動しつつ、供給された画像データに応じて信号電圧源38から各吐出電極18に駆動電圧(パルス電圧)を印加し、切替部40が接液電極19の状態を切り替える。この駆動電圧の印加、および接液電極19の状態のon/offによって吐出をon/offすることにより、画像データに応じてインク液滴Rを変調して吐出し、記録媒体P上に画像を記録する。信号電圧源38および切替部40のon/offの制御は、制御部44によって、同期して行われる。
ここで、吐出電極18に駆動電圧を印加していない状態(あるいは、印加電圧が低電圧レベルである状態)、すなわち、バイアス電圧のみが印加されている状態、かつ接液電極19がフローティング状態の場合(吐出off時)では、インクQには、バイアス電圧とインクQの色材粒子(荷電粒子)の荷電とのクーロン引力、色材粒子間のクーロン反発力、キャリア液の粘性、表面張力、誘電分極力等が作用し、これらが連成して、色材粒子やキャリア液が移動し、図1(A)に概念的に示すように、吐出口28から若干盛り上がったメニスカス状となってバランスが取れている。
また、このクーロン引力等によって、色材粒子は、いわゆる電気泳動でバイアス電圧が帯電された記録媒体Pに向かって移動する。すなわち、吐出口28のメニスカスにおいては、インクQが濃縮された状態となっている。
この状態から、吐出電極18に駆動電圧が印加され、かつ接液電極19は接地電位状態とされる。これにより、バイアス電圧に駆動電圧が重畳され、先の連成に、さらにこの駆動電圧の重畳によって連成された運動が起こり、静電力によって色材粒子およびキャリア液がバイアス電圧(対向電極)側すなわち記録媒体P側に引っ張られ、前記メニスカスが成長して、その上部から略円錐状のインク液柱いわゆるテーラーコーンが形成される。また、先と同様に、色材粒子は電気泳動によってメニスカスに移動しており、メニスカスのインクQは濃縮され、色材粒子を多数有する、ほぼ均一な高濃度状態となっている。
駆動電圧の印加開始後、さらに有限な時間が経過すると、色材粒子の移動等により、電界強度の高いメニスカスの先端部分で、主に色材粒子とキャリア液の表面張力とのバランスが崩れ、メニスカスが急激に伸びて、曳糸と呼ばれる直径数μm〜数十μm程度の細長いインク液柱が形成される。
さらに有限な時間が経過すると曳糸が成長し、この曳糸の成長、レイリー/ウエーバー不安定性によって発生する振動、メニスカス内における色材粒子の分布不均一、メニスカスにかかる静電界の分布不均一等の相互作用によって曳糸が分断され、インク液滴Rとなって吐出/飛翔し、かつ、バイアス電圧にも引っ張られて、記録媒体Pに着弾する。なお、曳糸の成長および分断は、さらにはメニスカス(曳糸)への色材粒子の移動は、駆動電圧の印加中は連続して発生する。
また、駆動電圧の印加を終了(吐出off)した時点で、バイアス電圧のみが印加された先のメニスカスの状態に戻る。
ここで、本発明のインクジェットヘッド10においては、接液電極19は、前述のように絶縁基板32の下面に設けられ、その表面が主流路30に露出しており、すなわち、主流路30において、インクQと接液している。
このように、主流路30および吐出口28(その開口端部まで)で形成されるインク流路においてインクQと接液する接液電極19を、吐出信号に応じて吐出on時には、接地させ、接地電位とする。吐出on時に接液電極19を接地電位とすることで、接液電極19に供給された電荷の一部がインクQに注入され、吐出口28内部を含む吐出部近傍のインクQの電導度が高くなる。その結果、本発明のインクジェットヘッド10においては、吐出on時に、著しく、インク液滴Rを吐出し易い状態となる(吐出性が向上)。
さらに、非吐出時(吐出off時)には、接液電極19はフローティング状態(非接地浮遊状態)となり、インクQへの電荷の注入は抑制される。これにより、非吐出時は、インク液滴Rを吐出しにくい状態となる(吐出性が低下)。
このように接液電極をインクに接液させ、吐出時に所定電位状態とすることで、吐出性が向上し、インク液滴の吐出に必要な電位差をより小さくすることができる。
また、非吐出時に接液電極をフローティング状態にすることによって、インクへの電荷の注入は抑制され、バイアス電圧を高くしても、非吐出時にインクを吐出しないようにすることができる。
以上より、本発明では、吐出部近傍に接液電極を設け、接液電極を接液させ、吐出時に接地電位状態とすることで、吐出時の吐出性が向上し、さらに、非吐出時に接液電極をフローティング状態にすることで、非吐出時の吐出性を低下させることができる。これにより、吐出に必要な電界をより小さくすることができ、バイアス電圧および駆動電圧を低くすることができる。さらに、吐出時と非吐出時の吐出性の差も大きくなるので、バイアス電圧を高くし、駆動電圧をより低くすること、つまり、吐出時に印加される駆動電圧とバイアス電圧の大きさの比率を、従来に比べてバイアス電圧の比率をより大きくしても、安定してインク液滴の吐出の制御を行うことができる。
以上より、本発明のインクジェットヘッドによれば、低い駆動電圧としても安定してインク液滴の吐出のon/offの制御を行うことができる。
また、本発明によれば、上述のように駆動電圧を低くすることができ、さらに、駆動電圧を印加する吐出電極が絶縁層に覆われているので、隣接する吐出電極18間における電界干渉も低減できる。これに加え、好ましくは、前述のように、吐出電極18とガード電極20とを別の層に形成し、かつ、ガード電極20を絶縁層34bで被覆することにより、駆動電圧の低下と、別層および絶縁層での被覆との相乗効果によって、より確実に、吐出電極18間における電界干渉を防止することができ、より安定して高画質な画像記録を行うことが可能となる。さらに、上記構成によれば、インクの色材粒子の被膜化等に起因する吐出電極18とガード電極20との間における短絡および放電も防止できるのも、前述のとおりである。
ここで、本発明のインクジェットヘッドにおいて、接液電極の吐出時の電位状態は、接地電位状態に限定されず、吐出時に所定の電位をとなるように所定電圧を印加してもよい。しかしながら、接液電極の電位状態を、フローティング状態と接地電位状態とに切り替えることで、接液電極に電圧を印加するための電源を用いることなく吐出性の制御を行うことができる。これにより、消費電力を少なくすることができるので、接液電極は、吐出時に接地電位とすることが好ましい。
図3に、本発明のインクジェットヘッドの別の例の概念図を示す。
なお、図3に示すインクジェットヘッドは、前記図1(A)のインクジェットヘッド10と層構成が異なるのみであるので、同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる点を主に行う。
図1(A)のインクジェットヘッド10は、前述のように、絶縁基板32の下面に吐出電極18および接液電極19を形成し、公知の手段で同面の接液電極19の領域以外を第1絶縁層34aで被覆し、さらに、絶縁基板32の上面(吐出電極18と逆面)にガード電極20を形成し、これを第2絶縁層34bで被服してなる、接液電極19が、絶縁基板32の下面で支持された状態で、主流路30に露出した構成を有するものである。
これに対し、図3のインクジェットヘッドは、絶縁基板32の上面に吐出電極18および接液電極19を形成し、その上に第1絶縁層34aを形成し、その上にガード電極20および第2絶縁層34bを形成して、さらに、接液電極19領域の絶縁基板32を除去した構成を有する。従って、この態様において、接液電極19は、第1絶縁層34aに埋設されて、下面を主流路30に露出して、主流路において、下面をインクQと接液する。その結果、先と同様に、吐出onによる電荷の注入により、前述の各種の作用効果をもたらす。
以上の例は、共に、接液電極18が主流路30に露出してインクQと接液するものであるが、本発明は、これに限定はされず、接液電極18が、吐出口28内に露出して、インクQと接液する構成であってもよく、この構成でも、前述の各種の作用効果を得ることができる。
また、吐出電極と接液電極とを同一平面上に形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば、吐出電極を絶縁基板と第1絶縁層との間に、接液電極を第1絶縁層のヘッド基板側の表面に設け、吐出電極と接液電極を別々の層に設ける2層構造とすることもできる。
また、上記実施形態では、何れも接液電極を吐出口基板に設けているが、本発明はこれに限定されず、接液電極をインクガイドに設けてもよい。接液電極の配置位置としては、例えば、インクガイドの全面、またはインクガイドの一部に配置することができる。より具体的には、インクガイドの外周面の一部に蒸着等により接液電極を形成することができ、インクガイドのインク流れ下流側のみに接液電極を設けることもできる。
さらに、本発明のインクジェットヘッドは、上記実施形態に限定されず、静電力を作用させてインク液滴を吐出させる種々の形状、構成のインクジェットヘッドに用いることができ、例えば、インクガイドを備えないインクジェットヘッドに用いることも可能である。
前述のように、本発明で用いるインクQ(インク組成物)は、色材粒子(色材を含み、かつ,帯電した微粒子)をキャリア液に分散してなるものである。
また、インクQ中には、色材粒子ともに、印刷後の画像の定着性を向上させるための分散樹脂粒子を、適宜、含有させてもよい。
キャリア液は、高い電気抵抗率(10Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上)を有する誘電性の液体(非水溶媒)であるのが好ましい。電気抵抗率の低いキャリア液の電気抵抗が低いと、吐出電極18によって印加される電圧により、キャリア液自身が電荷注入を受けて帯電してしまうため、色材粒子の濃縮がおこらない。また、電気抵抗率の低いキャリア液は、隣接する吐出電極18間での電気的導通を生じさせる懸念もあるため、本発明には不向きである。
キャリア液として用いられる誘電性液体の比誘電率は、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、キャリア液中の色材粒子に有効に電界が作用し、泳動が起こりやすくなる。
なお、このような誘電性液体の固有電気抵抗の上限値は1016Ωcm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。誘電性液体の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
キャリア液として用いられる誘電性液体としては、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、および、これらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーM、アイソパーL(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル(例えば、信越シリコーン社製KF−96L)等を単独あるいは混合して用いることができる。
このようなキャリア液に分散される色材粒子は、色材自身を色材粒子としてキャリア液中に分散させてもよく、定着性を向上させるための分散樹脂粒子中に含有させてもよい。分散樹脂粒子中に含有させる場合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分散樹脂粒子を着色して着色粒子とする方法などが一般的である。
色材としては、従来からインクジェットインク組成物、印刷用(油性)インキ組成物、あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であればどれでも使用可能である。
インクQにおいて、色材粒子の含有量(色材粒子あるいはさらに分散樹脂粒子の合計含有量)は、インク全体に対して0.5〜30重量%の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは1.5〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の範囲で含有されることが望ましい。色材粒子の含有量が少なくなると、印刷画像濃度が不足したり、インクQと記録媒体P表面との親和性が得られ難くなって強固な画像が得られなくなったりするなどの問題が生じ易くなり、一方、含有量が多くなると均−な分散液が得られにくくなったり、インクジェットヘッド10等でのインクQの目詰まりが生じやすく、安定なインク吐出が得られにくいなどの問題が生じるからである。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ぺリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ペンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
また、キャリア液に分散された色材粒子の平均粒径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.4〜1.0μmである。この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
色材粒子をキャリア液に分散させた後、荷電制御剤をキャリア液に添加することにより色材粒子を荷電して、荷電した色材粒子をキャリア液に分散してなるインクQとする。なお、着色微粒子の分散時には、必要に応じて、分散媒を添加してもよい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
なお、色材粒子は、吐出電極18に印加される駆動電圧と同極性であれば、正電荷および負電荷のいずれに荷電したものであってもよい。
また、色材粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
また、荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化することもあるため、下記に定義する分配率Pを、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上とする。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクQの電気伝導度、σ2は、インクQを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクQを用いることによって、色材粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
インクQの電気伝導度は、100〜3000pS/cmが好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、さらに好ましくは200〜2000pS/cmである。以上のような電気伝導度の範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。
また、インクQの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/mさらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクQの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
なお、本発明においては、従来のインクジェット方式のように、インク全体に力を作用させて、インクを記録媒体に向けて飛翔させるのではなく、主に、キャリア液に分散させた固形成分である色材粒子に力を作用させて、飛翔させる。
その結果、普通紙を初めとして、非吸収性のフィルム(例えばPETフィルム等)などの種々の記録媒体Pに画像を記録することができ、また、記録媒体P上で、滲みや流動を生じることなく、種々の記録媒体に対して、高画質な画像を得ることができる。
図4に、本発明のインクジェットヘッドを利用する、本発明のインクジェット記録装置の一実施例の概念図を示す。
同図に示すインクジェット記録装置60(以下、プリンタ60とする)、記録媒体Pに片面4色印刷を行う装置で、記録媒体Pの搬送手段、画像記録手段、および溶媒回収手段を有するものであり、これらを筐体61に収容して構成される。
また、搬送手段は、フィードローラ対62、ガイド64、ローラ66(66a,66bおよび66c)、搬送ベルト68、搬送ベルト位置検知手段69、静電吸着手段70、除電手段72、剥離手段74、定着・搬送手段76およびガイド78を有する。画像記録形成手段は、ヘッドユニット80、インク循環系82、ヘッドドライバ84、および記録媒体位置検出手段86を有する。さらに、溶媒回収手段は、排出ファン90および溶媒回収装置92を有する。
記録媒体Pの搬送手段において、フィードローラ対62は、筐体61の側面に設けられた搬入口61aに隣接して設けられた搬送ローラ対である。フィードローラ62は、図示しないストッカから供給された記録媒体Pを、搬送ベルト68(ローラ66aに支持される部分)に送り込む。ガイド64は、フィードローラ対62と搬送ベルト68を支持するローラ66aとの間に設けられ、記録媒体Pを搬送ベルト68に案内する。
なお、フィードローラ対62の近傍には、記録媒体Pに付着した塵埃や紙粉等異物を除去する異物除去手段を設けるのが好ましい。
異物除去手段としては、公知の吸引除去、吹き飛ばし除去、静電除去等の非接触法や、ブラシ、ローラ等による接触法によるものの1以上を組み合わせて使用すればよい。また、フィードローラ対62を微粘着ローラとし、さらにフィードローラ対62のクリーナを設けて、フィードローラ対62による記録媒体Pのフィード時に塵埃・紙粉等の異物の除去を行っても良い。
搬送ベルト68は、3つのローラ66に張架されるエンドレスベルトである。また、ローラ66a,66bおよび66cのうち少なくとも1つは、図示されない駆動源と連結されており、搬送ベルト68を回転させる。
搬送ベルト68は、ヘッドユニット80による画像記録時には、記録媒体Pの走査搬送手段に加え、記録媒体Pを保持するプラテンとして機能し、さらに、画像記録後、定着・搬送手段76まで搬送する。従って、搬送ベルト68は、寸法安定性に優れ、耐久性を有する材料で形成されるのが好ましく、例えば、金属、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、その他の樹脂およびそれらの複合体で形成される。
図示例においては、記録媒体Pは、静電吸着によって搬送ベルト68上に保持されるので、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持する側(表面)が絶縁性、ローラ66と接する側(裏面)が導電性を有する。また、図示例においては、ローラ66aは導電性ローラとされ、搬送ベルト68の裏面は、ローラ66aを介して接地されている。
すなわち、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持するとき、図1(A)に示す電極基板24aと絶縁シート24bからなる対向電極24として機能するものである。
このような搬送ベルト68としては、金属ベルトの表面側にフッ素樹脂コートを行ったもの等、金属ベルトに上記のいずれかの樹脂材料でコーティングしたベルト、接着材等で樹脂シートと金属ベルトを張り合わせたベルト、上記の樹脂から成るベルトの裏面に金属蒸着したベルト等、各種の方法により作製された、金属層と絶縁物そうとを有するベルトを用いればよい。
また、搬送ベルト68の記録媒体Pに接する表面は平滑であるのが好ましく、これにより、記録媒体Pの良好な吸着性が得られる。
搬送ベルト68は、公知の方法により蛇行が抑制されているのが好ましい。蛇行抑制の方法としては、例えば、ローラ66cをテンションローラとし、搬送ベルト位置検知手段69の出力、すなわち搬送ベルト68の幅方向の検知位置に応じて、ローラ66cの軸をローラ66aおよびローラ66bの軸に対して傾けることにより、搬送ベルトの幅方向の両端でテンションを変えて蛇行を抑制する方法等が例示される。また、ローラ66をテーパ形やクラウン形、あるいはその他の形状とすることで、蛇行を抑制してもよい。
ここで、搬送ベルト位置検知手段69は、上述のように、搬送ベルトの蛇行などを抑制すると共に、画像記録時の記録媒体Pの走査搬送方向の位置を所定位置に規制するために、搬送ベルト68の幅方向の位置を検知するもので、フォトセンサ等の公知の検知手段が用いられる。
静電吸着手段70は、記録媒体Pに、ヘッドユニット80(本発明のインクジェットヘッド)に対する所定のバイアス電圧を印加すると共に、静電力により搬送ベルト68に吸着させて保持するために、記録媒体Pを所定の電位に帯電させるものである。
図示例おいては、静電吸着手段70は、記録媒体Pを帯電させるスコロトロン帯電器70aと、スコロトロン帯電器70aに接続される負の高圧電源70bとを有する。記録媒体Pは、フィードローラ対62および搬送ベルト68によって搬送されつつ、負の高圧電源70bに接続されたスコロトロン帯電器70aにより、負のバイアス電圧を帯電され、かつ、搬送ベルト68の絶縁層に静電吸着される。
なお、記録媒体Pを帯電する際の搬送ベルト68の搬送速度は、安定に帯電できる範囲であれば良く、画像記録時の搬送速度と同じでも異なっていても良い。また、記録媒体Pを複数回周回させることによって、同一の記録媒体Pに静電吸着手段を複数回作用させ、均一帯電を行っても良い。
なお、図示例では、静電吸着手段70で記録媒体Pの静電吸着および帯電を行っているが、静電吸着手段と帯電手段とを別々に設けてもよい。
静電吸着手段は、図示例のスコロトロン帯電器70aに限定されず、他にも、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針等、種々の手段や方法が利用できる。また、後に詳述するように、ローラ66の少なくとも1つを導電性ローラとし、あるいは、記録媒体Pへの記録位置において搬送ベルト68の裏面側(記録媒体Pと逆側)に導電性プラテンを配置し、この導電性ローラ、または導電性プラテンを負の高圧電源に接続することにより、静電吸着手段70を構成してもよく、あるいは搬送ベルト68を絶縁性ベルトとし、導電性ローラを接地し、導電性プラテンを負の高圧電源に接続する構成としても良い。
静電吸着手段70によって帯電された記録媒体Pは、搬送ベルト68によって後述するヘッドユニット80の位置まで搬送される。
ヘッドユニット80は、前記本発明のインクジェットヘッドの制御方法を実施するインクジェットヘッドを用いて、画像データに応じてインク液滴を吐出して、記録媒体Pに画像を記録する。ここで、本発明のインクジェットヘッドは、記録媒体Pの帯電電位をバイアス電圧とし、吐出電極18に駆動電圧を印加することにより、バイアス電圧に駆動電圧を重畳し、インク液滴Rを吐出し、記録媒体Pに画像を記録するのは、前述のとおりである。この際、搬送ベルト68の加熱手段を設け、記録媒体Pの温度を高めることで、記録媒体P上におけるインク液滴Rの定着を促進することができ、滲みをより一層抑制して画質の向上を図ることができる。
なお、ヘッドユニット80等による画像記録に関しては、後に詳述する。
画像が記録された記録媒体Pは、除電手段72により除電され、剥離手段74により搬送ベルト68より剥離されて定着・搬送手段76へ搬送される。
図示例において、除電手段72は、コロトロン除電器72aと、交流電源72bと、一端が接地された直流高圧電源72cとを有する、いわゆるACコロトロン除電器である。なお、除電手段は、これ以外にも、例えばスコロトロン除電器、固体チャージャ、放電針等の種々の手段や方法などが利用でき、また、上述の静電吸着手段70のように、導電性ローラや導電性プラテンを用いる構成も好適に使用される。
剥離手段74としては、剥離用ブレード、逆回転ローラ、エアナイフ等公知の技術が利用可能である。
搬送ベルト68から剥離された記録媒体Pは、定着・搬送手段76に送られ、インクジェットによって形成された画像が定着される。定着・搬送手段76としてヒートローラ76aおよび搬送ローラ76bからなるローラ対を用い、記録媒体Pを挟持搬送しつつ、記録された画像を加熱定着する。
画像が定着された記録媒体Pは、ガイド78に案内されて図示しない排紙ストッカに排紙される。
加熱定着手段としては、上述のヒートロール定着以外に、赤外線またはハロゲンランプやキセノンフラッシュランプによる照射、あるいはヒータを利用した熱風定着等の一般的な加熱定着を挙げることができる。また、加熱定着・搬送手段76においては、加熱手段は、加熱のみを行うものとし、搬送手段と加熱定着手段とを別々に設けてもよい。
なお、加熱定着の場合、記録媒体Pとして、コート紙やラミネート紙を用いた場合には、急激な温度上昇により紙内部の水分が急激に蒸発し紙表面に凹凸が発生する、ブリスターと呼ばれる現象が生じる可能性がある。これを防止するために、複数の定着器を配置し、記録媒体Pが徐々に昇温するように、各定着器の電力供給および記録媒体Pまでの距離の一方または両方を変えるのが好ましい。
なお、プリンタ60においては、少なくともヘッドユニット80による画像記録から、定着・搬送手段76による定着を終了するまでは、記録媒体Pの画像記録面には何も接触しないように構成するのが好ましい。
また、定着・搬送手段76における定着の際の記録媒体Pの移動速度には、特に限定はなく、画像形成時の搬送ベルト68による搬送速度と同じであっても良いし、異なっていても良い。画像形成時の搬送速度と異なる場合には、定着・搬送手段76の直前に記録媒体Pの速度バッファを設けるのも好ましい。
以下、プリンタ60における画像記録について詳述する。
前述のように、プリンタ60の画像記録手段は、インクジェットを吐出するヘッドユニット80、ヘッドユニット80にインクQの供給および回収を行うインク循環系82、図示されないコンピュータ、RIP(Raster Image Processor)等の外部機器からの出力画像信号によりヘッドユニット80を駆動するヘッドドライバ84、記録媒体Pにおける画像記録位置を決定するために記録媒体Pを検出する記録媒体位置検出手段86を有して構成される。
図4(B)は、ヘッドユニット80と、その周辺の記録媒体Pの搬送手段を模式的に示す斜視図である。
ヘッドユニット80は、フルカラー画像の記録を行うためのシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインク吐出に対応して、4つのインクジェットヘッド80aを有し、画像データを供給されたヘッドドライバ84からの信号に従って、インク循環系82によって供給されるインクQをインク液滴Rとして吐出して、搬送ベルト68によって所定速度で搬送されている記録媒体Pに画像を記録する。各色のインクジェットヘッド80aは、搬送ベルト68の搬送方向に配列されている。
なお、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッド80aは、前記本発明のインクジェットヘッドである。
図示例において、各インクジェットヘッド80aは、吐出口28が記録媒体Pの幅方向全域に配列されたラインヘッドであり、好ましくは、図2に示されるように、互いに千鳥状となるように配置された複数のノズル列を有する、マルチチャンネルヘッドである。
従って、図示例においては、搬送ベルト68に記録媒体Pを保持させた状態で、ヘッドユニット80に対して記録媒体Pを搬送し、1回通過させる、すなわち1回の走査搬送を行うのみで、記録媒体Pの全面に画像が形成される。従って、吐出ヘッドをシリアルスキャンする場合に比べて、高速での画像記録(描画)が可能となる。
なお、本発明のインクジェットヘッドは、いわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)にも利用可能であり、従って、プリンタ60も、この態様であってもよい。
この際においては、各インクジェットヘッドの吐出口28の列(単列でもマルチチャンネルでもよい)を搬送ベルト68の搬送方向と一致させてヘッドユニット80を構成し、ヘッドユニット80を記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に走査する公知の走査手段を設ける。
画像記録は、通常のシャトルタイプのインクジェットプリンタと同様にに行えばよく、吐出口28の列の長さに応じて、搬送ベルト68によって記録媒体Pを間欠的に搬送しつつ、この間欠搬送に同期して、停止時にヘッドユニット80を走査して、記録媒体Pの全面に画像を記録する。
このようにして、ヘッドユニット80によって記録媒体Pの全面に形成された画像は、前述のように、記録媒体Pが定着・搬送手段76によって挟持搬送されることにより、定着・搬送手段76によって定着される。
ヘッドドライバ84は、外部装置から画像データを受け取り、種々の処理を行うシステム制御部(図示せず)から画像データを受け取り、その画像データに基づいてヘッドユニット80を駆動する。
このシステム制御部は、コンピュータやRIP、画像スキャナ、磁気ディスク装置、画橡データ伝送装置等の外部装置から受け取った画像データに、色分解、適当な画素数や階調数への分割演算等を行って、ヘッドドライバ84がヘッドユニット80(インクジェットヘッド)を駆動するための画像データとする部位である。また、システム制御部は、搬送ベルト68による記録媒体Pの搬送タイミングに合わせたヘッドユニット80によるインクの吐出タイミングの制御を行う。吐出タイミングの制御は、記録媒体位置検出手段86からの出力や、搬送ベルト68または搬送ベルト68の駆動手段へ配置したエンコーダからの出力信号を利用して行われる。
なお、記録媒体位置検出手段86は、ヘッドユニット80によるインク液滴の吐出位置に搬送されてくる記録媒体Pを検出するためのもので、フォトセンサ等の公知の検出手段を用いることができる。
ここで、ヘッドドライバ84は、ラインヘッド適用時など、制御する吐出部の数(チャンネル数)が多数有る場合には、描画を分割し、公知の抵抗マトリクス型駆動法や抵抗ダイオードマトリクス型駆動法を用いてもよい。これにより、ヘッドドライバ84の使用IC数を低減することができ、コストを低下させると共に制御回路サイズを抑制することができる。
インク循環系82は、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッド80aの主流路30(図2参照)にインクQを流すためのもので、4色(C、M、Y、K)の各色のインクタンク、ポンプおよび補給用インクタンク(図示せず)等を有するインク循環装置82aと、インク循環装置82aのインクタンクからヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッドの主流路30に各色のインクQを供給するインク供給系82bと、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッドの主流路30からインクをインク循環装置82aに回収するインク回収系82cとを有する。
インク循環系82は、インク循環装置82aによって、インクタンクからインク供給系80bを介してヘッドユニット80に各色毎にインクQを供給し、かつ、インク供給系80cを介してヘッドユニット80から各色毎にインクQをインクタンクに回収して循環させることができればどのようなものでも良い。
インクタンクは、各色のインクQを貯留しており、インクQがポンプで汲み出されてヘッドユニット80へ送られる。ヘッドユニット80からインクが吐出されることにより、インク循環系82で循環しているインクの濃度が低下するので、インク循環系82では、インク濃度検出器によってインク濃度を検出し、それ応じて補給用インクタンクから適宜インクを補充して、インク濃度を所定の範囲に保つのが望ましい。
また、インクタンクには、インクの固形成分の沈殿・濃縮を抑制するための攪拌装置や、インクの温度変化を抑制するためのインク温度管理装置が備えられるのが好ましい。この理由は、温度管理をしないと、環境温度の変化等によりインク温度が変化して、インクの物性が変化することによりドット径が変化し、高画質な画像が安定して形成できなくなる可能性があるからである。
攪拌装置としては回転羽、超音波振動子、循環ポンプ等が使用できる。
インクの温度制御装置としてはヘッドユニット80、インクタンク、配インク管系等に、ヒータやペルチェ素子等の発熱素子または冷却素子を配し、温度センサ、例えばサーモスタットにより制御する方法等、公知の方法が使用できる。温度制御装置をインクタンク内に配置する場合には、温度分布を一定にするように攪拌装置と共に配するのがよい。また、タンク内の濃度分布を一定に保つための攪拌装置は、インクの固形成分の沈澱・濃縮の抑制するための攪拌装置と共用しても良い。
前述のように、プリンタ60は、排出ファン90および溶媒回収装置92からなる溶媒回収手段を有する。溶媒回収手段は、ヘッドユニット80から記録媒体P上に吐出されたインク液滴から蒸発するキャリア液、特にインク液滴によって形成された画像を定着する際に記録媒体Pから蒸発するキャリア液を回収する。
排出ファン90は、プリンタ60の筐体61内部の空気を吸い込んで溶媒回収装置92へ送るためのものである。
溶媒回収装置92は、溶媒蒸気吸収材を備えており、排出ファン90によって吸い込まれた溶媒蒸気を含む気体の溶媒成分をこの溶媒蒸気吸収材に吸着し、溶媒が吸着回収された後の気体をプリンタ60の筐体11外に排出する。溶媒蒸気吸収材としては、各種の活性炭などが好適に使用される。
上記では、C、M、Y、Kの4色のインクを用いてカラー画像を記録する静電式のインクジェット記録装置について説明したが、本発明はこれには制限されず、モノクロ用の記録装置であってもよいし、他の色、例えば淡色や特色のインクを任意の数だけ用いて記録するものであってもよい。その場合は、インク色数に対応する数のヘッドユニット80およびインク循環系82が用いられる。
また、以上の例では、いずれも、インク中の色材粒子を正帯電させ、記録媒体あるいは記録媒体Pの背面の対向電極を負の高電圧にして、インク液滴Rを吐出するインクジェットについて説明したが、本発明はこれには限定されず、逆に、インク中の色材粒子を負に帯電させ、記録媒体または対向電極を正の高電圧にして、インクジェットによる画像記録を行っても良い。このように、着色荷電粒子の極性を上記の例と逆にする場合には、静電吸着手段、対向電極、インクジェットヘッドの駆動電極への印加電圧極性等を上記の例と逆にすれば良い。
また、本発明のインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置は、帯電した色材成分を含むインクを吐出するものに限定されるものではなく、荷電粒子を含む液体を吐出させる液体吐出ヘッドであれば特に制限されず、例えば、上記静電式インクジェット記録装置の他に、帯電粒子を利用して液滴を吐出して対象物を塗布する塗布装置に適用することができる。
以上、本発明の静電式のインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施態様に限定はされず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
(A)は、本発明のインクジェットヘッドの一例の概念図であり、(B)は、吐出電極周辺の部分拡大上面図である。 (A)および(B)は、図1に示すインクジェットヘッドを説明するための概念図である。 本発明のインクジェットヘッドの他の一例の概念図である。 (A)および(B)は、本発明のインクジェット記録装置の一例の概念図である。
符号の説明
10 インクジェットヘッド
12 ヘッド基板
14 インクガイド
14a 先端部分
16 吐出口基板
18 吐出電極
19 接液電極
20 ガード電極
24 対向電極
24a 電極基板
24b 絶縁シート
26 帯電ユニット
26a スコロトロン帯電器
26b バイアス電圧源
28 吐出口
30 主流路
32 絶縁基板
34a 第1絶縁層
34b 第2絶縁層
36 開口部
38 信号電圧源
40 切替部
42 フローティング源
43 接地源
44 吐出制御部
60 インクジェットプリンタ
62 フィードローラ
64 ガイド
66 ローラ
68 搬送ベルト
69 搬送ベルト位置検知手段
70 静電吸着手段
72 除電手段
74 剥離手段
76 定着・搬送手段
78 ガイド
80 ヘッドユニット
82 インク循環系
84 ヘッドドライバ
86 記録媒体位置検出手段
90 排出ファン
92 溶媒回収装置
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴

Claims (9)

  1. 帯電した微粒子を含むインクを静電力を利用して吐出させて、記録媒体に画像を記録する静電式のインクジェットヘッドであって、
    その表面が絶縁層に覆われた、前記インクに静電力を作用させ、前記インクを吐出させるための吐出電極と、
    前記吐出電極の近傍に配置され、前記インクに接液している接液電極と、
    前記吐出電極の電位状態を制御する第1の制御手段と、前記接液電極の電位状態を制御する第2の制御手段とを有し、
    前記第1の制御手段は、吐出信号に応じて、前記吐出電極に信号電圧を印加し、前記第2の制御手段は、前記吐出信号に同期してインク吐出時には、前記接液電極を所定電位状態とし、インク非吐出時に前記接液電極をフローティング状態とすることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記所定電位状態は、接地電位状態である請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. さらに、インクを吐出する吐出口を有する吐出口基板と、
    前記吐出口基板と対面して所定の間隔離間して配置されるヘッド基板と、
    前記吐出口基板とヘッド基板との間および前記吐出口で形成されるインク流路とを有し、
    前記吐出電極は、前記吐出口に対応して、吐出口基板の内部に形成され、前記接液電極は、前記吐出口に対応して、前記吐出口基板の前記吐出口近傍に形成され、前記インク流路に少なくとも一部を露出する請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記接液電極は、前記吐出口基板とヘッド基板との間隙において、前記インク流路に少なくとも一部を露出する請求項3に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記吐出電極よりもインク吐出側に絶縁層を介して、少なくとも隣接する前記吐出電極間を覆うように設けられるガード電極を有する請求項3または4に記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記ガード電極は、絶縁層に覆われる請求項5に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記ガード電極は、吐出口基板の平面で見た際において、前記吐出電極の吐出口に近接する側の端部よりも前記吐出口から離間しており、かつ、前記吐出電極の吐出口から離れた側の端部よりも、前記吐出口に近接するように配置される請求項5または6に記載のインクジェットヘッド。
  8. 前記吐出電極は、前記吐出口を囲むC字型電極であり、前記接液電極は、前記C字型の吐出電極の切り欠き部分に配置される請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェットヘッドと、
    前記インクジェットヘッドと記録媒体を相対的に移動させる手段と、
    前記インクジェットヘッドの吐出電極と前記記録媒体の間に所定のバイアス電圧を印加する手段とを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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