JP2006082265A - インクジェットヘッド、その制御方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インクジェットヘッド10は、吐出口28が形成された吐出口基板16に吐出電極18とガード電極20を有する。ガード電極制御部35は、ガード電極20に交流バイアス電圧を制御しつつ印加する。ガード電極制御部35で、インクの吐出時にはインクが吐出されやすく、インクの非吐出時にはインクが吐出されにくくなるように、ガード電極20に印加する交流バイアス電圧を制御する。これによりインクの吐出遅れを防止することができるとともに、インクの液切れ性を向上させることができる。
【選択図】図1
Description
また、電界干渉の抑制には、隣接する吐出口の間にシールド電極を幅広く設けることが有効であるが、特許文献1のような、シールド電極を吐出電極と同一面上に設ける形態では、吐出口を高密度に配置すると、隣接する吐出口の間にシールド電極の十分な幅を確保できない。また、シールド電極を吐出口間で広く設けるために吐出部間隔を広く取ると、吐出口の集積度を低下させ、ヘッドサイズを大サイズ化させることになり好ましくない。そのため、コンパクトなヘッドで正確な記録を行うのが難しいという問題があった。
本発明の別の目的は、吐出電極に印加する駆動電圧を低電圧化することができ、駆動回路を簡易な構成にして低コスト化することができるインクジェットヘッド、それを備えるインクジェット記録装置及びインクジェットヘッドの制御方法を提供することにある。
また、前記記録媒体に1ドットを形成する際の前記駆動電圧の信号に対して、位相及びパルス幅の少なくとも一方が異なるように前記交流バイアス電圧を印加することが好ましい。この場合は、前記吐出電極に前記駆動電圧が印加される直前に第2電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御することが好ましく、前記吐出電極への前記駆動電圧の印加の終了前に第1電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御することが好ましい。
図1(A)に、本発明に従うインクジェットヘッドの概略構成の断面を模式的に示し、図1(B)に、図1(A)のIB−IB線矢視図を示す。図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10は、ヘッド基板12と、インクガイド14と、吐出口28が形成された吐出口基板16とを有する。吐出口基板16には、吐出口28を囲むように吐出電極18が配置されている。インクジェットヘッド10のインク吐出側の面(図中、上面)に対面する位置に、記録媒体Pを支持する対向電極24と、記録媒体Pの帯電ユニット26が配置される。
また、ヘッド基板12と吐出口基板16は、互いに対面した状態で所定間隔離間して配置される。ヘッド基板12と吐出口基板16の間に形成される空間によって各吐出口28にインクを供給するインク流路30が形成される。
また、図2では、好ましい態様として、インク流方向において、下流側の列の吐出口を上流側の列の吐出口に対してインク流に垂直な方向にずらして配置したが、これに限定されず、下流側の吐出口と上流側の吐出口が、インク流方向において同一直線上に配置されていてもよい。この場合は、各行のそれぞれの吐出口を、インク流に垂直な方向において隣に位置する行のそれぞれの吐出口に対して、インク流方向にずらして配置させることが好ましい。
本発明では、このように、吐出口28をインク流れ方向の長さLとインク流れに直交する方向の長さDとのアスペクト比(L/D)が1以上の開口とすることで、吐出口28にインクが流れやすくなる。つまり吐出口28へのインクの粒子供給性を高めることができ、周波数応答性を向上させ、さらに目詰まりも防止することができる。この点については、インク液滴の吐出の作用とともに、後ほど詳細に説明する。
吐出口28の形状としては、インク流れ方向の長さとインク流れに垂直な方向の長さとのアスペクト比が1以上となるようなインク流方向に細長い形状であることが好ましい。これにより、吐出口へのインク供給性が高められ、目詰まりを防止することができ、連続した大ドットを安定して画像記録媒体に形成することができ、より高い周波数の描画数波数で高画質の画像を描画することができる。例えば、インク流方向を長辺とする矩形状、又は、インク流方向を長軸とする楕円形若しくはひし形で吐出口を形成することができる。また、インク流の上流側を上底、下流側を下底とし、インク流方向の高さが下底よりも長い台形状で吐出口を形成してもよい。この場合、上流側の辺を長くしても下流側の辺を長くしてもよい。また、インク流方向を長辺とする長方形の両方の短辺側に、直径がその長方形の短辺よりも大きな円が接続されたような形状にしてもよい。このように吐出口28をインク流方向に細長い形状とすることにより、この吐出口28へのインク供給性を高めることができるとともに目詰まりも防止することができる。また、吐出口28は、その中心に対して、上流側と下流側で対称な形状であっても非対称な形状であっても良い。
前述のように、インクジェットヘッド10は、吐出口28が2次元的に配列されたマルチチャンネル構造を有するので、図2に模式的に示すように、吐出電極18は、各吐出口28に対応して2次元的に配置されている。
ガード電極20は、隣接する吐出電極18間における電気力線を遮蔽して、電界干渉を抑制することができる。ガード電極20は、ガード電極制御部35と接続されており、ガード電極制御部35によって、描画信号の周波数に同期した所定の交流バイアス電圧が印加される。そして、このような交流バイアス電圧が、インクジェットヘッドの記録動作時にガード電極20に印加されることによって、インクの吐出性が制御される。ガード電極20に印加する交流バイアス電圧の制御方法については後に詳しく説明する。
このような絶縁層34を有することにより、隣接する吐出電極18間における電界干渉を好適に防止できると共に、吐出電極18とガード電極20との間で、インクQの色材粒子が被膜化して放電することも防止できる。
ガード電極20が無い場合、インク液滴の吐出時に、吐出電極18の吐出口側の端部(以下、吐出電極の内縁部という)から生じる電気力線は、吐出電極18の内側、すなわち、吐出電極18の内縁部によって囲まれた領域内に収束して自チャンネルに作用し、インク液滴の吐出に必要な電界を生じさせる。一方、吐出電極18の吐出口側と逆側の端部(以下、吐出電極の外縁部という)から生じる電気力線は、その吐出電極18の外縁部よりも更に外側に発散して他チャンネルに影響を及ぼし、電界干渉を生じる。
また、他チャンネルへの電気力線を効率的に遮蔽するためには、ガード電極20の開口部36の長さ及び幅は、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極18の外縁部間の間隔(外径)よりも小さくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の内縁部は、自チャンネルの吐出電極18の外縁部よりも、吐出口28に近接(前進)しているのが好ましい。本発明者の検討によれば、この近接量は、5μm以上、特に、10μm以上とするのが好ましい。
上記構成を有することにより、吐出口28からの吐出安定性を十分に確保した上で、隣接するチャンネル間における電界干渉に起因するインク着弾位置のバラツキ等を好適に抑制して、安定して高画質な画像記録を行うことが可能となる。
ここでは、ガード電極20の開口部36の形状を、吐出口28の形状と略同様の形状にしたが、これに限定されるものではなく、隣接する吐出電極18間における電気力線を遮蔽して電界干渉を防止することができれば、任意の形状にすることができる。例えば、円形や楕円形、正方形、ひし形などの形状でガード電極20の開口部36を形成することができる。
また、インクガイド14を吐出口28の長辺方向に幅広に形成することで、インク流れに直交する方向の幅を短くすることができ、インクの流れに及ぼす影響を少なくすることができ、かつ後述するメニスカスを安定して形成させることができる。
また、インクガイド14は、その最先端部に、金属が蒸着されていることが好ましく、インクガイド14の最先端部に金属を蒸着させることにより、インクガイド14の先端部分14aの誘電率が実質的に大きくなる。これにより、吐出電極に駆動電圧が印加されたときに、インクガイド14に強電界を生じさせやすくなり、インクの吐出性を向上することができる。
図4(A)は、図1のインクジェットヘッド10における吐出部近傍の構成を示す部分断面斜視図である。同図では、インク誘導堰40の構造を明示するために、吐出口基板16をインクガイド14の略中央の位置でインク流方向に沿って切断して示している。
例えば、図1(A)において、インク流方向に沿って、吐出口28に対応する位置を通過するような所定の溝深さのインク流溝をヘッド基板12の上面に形成する。そして、インク流溝の、吐出口28に対応する位置にインク流方向に沿って吐出口28に向かって傾斜する面を有するインク誘導堰を設ける。このように、インク流溝をヘッド基板に形成することによって、インク流路30を流れるインクの多くを選択的にインク流溝に流すことができる。また、このインク流溝に、図4に示したインク誘導堰40を形成することによって、インク流溝を流れるインクを吐出口28の内部に好適に流入させることができ、インクガイド14の先端部分14aへのインクの供給性を向上させることができる。
この対向電極24の図中下側の表面、すなわち絶縁シート24bの表面に、記録媒体Pが例えば静電吸着によって保持される。対向電極24(絶縁シート24b)は、記録媒体Pのプラテンとして機能する。
また、記録媒体Pの対向電極24への静電吸着と、記録媒体Pへの負の高電圧への帯電または対向電極24への負のバイアス高電圧の印加とを別々の負の高電圧源によって行っても良いし、対向電極24による記録媒体Pの保持は、記録媒体Pの静電吸着に限られず、他の保持方法や保持手段を用いても良い。
一方、インクの非吐出を指示する描画信号(図中、offで示した信号)が駆動電圧制御部に供給された場合には、吐出電極18には駆動電圧は印加されずに0[V]とされる。このため、吐出電極18からは吐出のための電界は発生しないので、吐出口28からインクは吐出されない。なお、インクジェットヘッド10のインクの吐出作用については、後に詳しく説明する。図5において、描画信号の1周期が記録媒体に1ドット又は1画素を形成するのに要する時間に相当する。
また、インクの非吐出時にも交流バイアス電圧が印加されるので、吐出口28のインク中の色材粒子が揺動し、インクの過濃縮による目詰まりも防止することができる。
図5の電圧波形Cは、ガード電極20に印加する交流バイアス電圧の高電圧の印加時間(パルス幅)を、電圧波形Aよりも短くした例である。この電圧波形Cでは、上記電圧波形Bと同様に、ガード電極20に印加するバイアス電圧の立ち下がりが、駆動電圧の立ち上がりよりも先行している。一方、バイアス電圧の立ち上がりは駆動電圧の立ち下りと一致している。この例では、吐出電極18への駆動電圧の印加に先立って、すなわち、インクの吐出に先立って、ガード電極20に印加するバイアス電圧を高電圧から低電圧に切り替えているので、電圧波形Bの説明において述べたように、インクの吐出遅れを防止することができる。また、駆動電圧の印加の終了と同時に、高電圧のバイアス電圧を印加するので、従来よりもインクの切れを向上させることができる。
図5に示す電圧波形Dは、ガード電極20に印加する交流バイアス電圧の高電圧の印加時間(パルス幅)を、電圧波形Aよりも長くした例である。この電圧波形では、交流バイアス電圧の立ち下がりが、吐出電極18に印加する駆動電圧の立ち上がりと一致している。一方、交流バイアス電圧の立ち上がりは駆動電圧の立ち下りよりも先行している。この例では、駆動電圧に印加の終了に先立って、ガード電極20に印加するバイアス電圧を低電圧から高電圧に切り替えているので、電圧波形Bの説明において述べたように、インクの切れを一層向上させることができる。また、吐出電極18への駆動電圧の印加と同時に、ガード電極20に印加するバイアス電圧が高電圧から低電圧に切り替えられるので、インクの吐出遅れを防止することができる。
本発明者が特願2003−203824号に開示した方法では、図1(A)に示す対向電極24に交流バイアス電圧を印加して、吐出口24のインクの色材粒子及びメニスカスを揺動させて目詰まりを防止している。ところが、対向電極24が、吐出電極18から比較的離れているために、対向電極24に印加する交流バイアス電圧の周波数を高めたとき、つまり、駆動周波数が高くなったときに、対向電極24と吐出電極18との間に発生する電界がその周波数に追従できず、吐出口のインク中の色材粒子及びメニスカスを十分に揺動させることができなくなる恐れがある。一方、本発明では、交流バイアス電圧が印加されるガード電極20は、吐出電極18と近接しているので、交流バイアス電圧の周波数を高めても、確実に吐出口28のインク中の色材粒子及びメニスカスを揺動させることができ、目詰まりをより一層効果的に防止することができる。
また、ガード電極を駆動させるための制御部を設けるだけでよいので、駆動回路全体のコストを大幅に低減することができる。
つぎに、インクジェットヘッド10におけるインク液滴Rの吐出作用を説明することにより、本発明について、より詳細に説明する。
他方、記録に際して、記録媒体Pは、対向電極24に供給され、帯電ユニット26によって色材粒子と逆極性すなわち負の高電圧(一例として、−1500[V])に帯電されて、バイアス電圧を帯電した状態で、対向電極24に静電吸着される。
この状態で、記録媒体P(対向電極24)とインクジェットヘッド10とを、相対的に移動しつつ、供給された画像データに応じて駆動電圧制御部33で吐出電極18にパルス電圧(以下、駆動電圧という)が印加されるように制御する。そして、基本的には、駆動電圧の印加on/offによって吐出をon/offすることにより、画像データに応じてインク液滴Rを変調して吐出し、記録媒体P上に画像を記録する。
また、駆動電圧の印加を終了(吐出off)した時点で、対向電極24とガード電極20にバイアス電圧が印加された先のメニスカスの状態に戻る。
インクQは、色材粒子をキャリア液に分散することにより得られる。キャリア液は、高い電気抵抗率(109 Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上)を有する誘電性の液体(非水溶媒)であるのが好ましい。キャリア液の電気抵抗が低いと、制御電極に印加される駆動電圧により、キャリア液自身が電荷注入を受けて帯電してしまい、色材粒子の濃縮がおこらない。また、電気抵抗の低いキャリア液は、隣接する制御電極間での電気的導通を生じさせる懸念もあるため不向きである。
なお、このようなキャリア液の固有電気抵抗の上限値は1016Ω・cm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。キャリア液の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
これらのうち、粒子形成の容易さの観点から、重量平均分子量が2,000〜1000,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜5.0の範囲内であるポリマーが好ましい。さらに、前記定着の容易さの観点から、軟化点、ガラス転移点または、融点のいずれか1つが40℃〜120℃の範囲内にあるポリマーが好ましい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
また、色材粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクQの電気伝導度、σ2は、インクQを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5[V]、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクQを用いることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
また、インクQの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/m、さらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクQの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
(1)色材あるいはさらに分散樹脂粒子をあらかじめ混合(混練)した後、必要に応じて分散剤を用いてキャリア液に分散し、荷電調整剤を加える方法。
(2)色材、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、キャリア液に同時に添加して、分散し、荷電調整剤を加える方法。
(3)色材および荷電調整剤、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、同時にキャリア液に添加して、分散する方法。
同図に示すインクジェット記録装置60(以下、プリンタ60とする)は、記録媒体Pに片面4色印刷を行う装置で、記録媒体Pの搬送手段、画像記録手段、および溶媒回収手段を有するものであり、これらを筐体61に収容して構成される。
また、搬送手段は、フィードローラ対62、ガイド64、ローラ66(66a,66bおよび66c)、搬送ベルト68、搬送ベルト位置検知手段69、静電吸着手段70、除電手段72、剥離手段74、定着・搬送手段76およびガイド78を有する。画像記録形成手段は、ヘッドユニット80、インク循環系82、ヘッドドライバ84、および記録媒体位置検出手段86を有する。さらに、溶媒回収手段は、排出ファン90および溶媒回収装置92を有する。
異物除去手段としては、公知の吸引除去、吹き飛ばし除去、静電除去等の非接触法や、ブラシ、ローラ等による接触法によるものの1以上を組み合わせて使用すればよい。また、フィードローラ対62を微粘着ローラとし、さらにフィードローラ対62のクリーナを設けて、フィードローラ対62による記録媒体Pのフィード時に塵埃・紙粉等の異物の除去を行っても良い。
搬送ベルト68は、ヘッドユニット80による画像記録時には、記録媒体Pの走査搬送手段に加え、記録媒体Pを保持するプラテンとして機能し、さらに、画像記録後、定着・搬送手段76まで搬送する。従って、搬送ベルト68は、寸法安定性に優れ、耐久性を有する材料で形成されるのが好ましく、例えば、金属、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、その他の樹脂およびそれらの複合体で形成される。
すなわち、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持するとき、図1(A)に示す電極基板24aと絶縁シート24bからなる対向電極24として機能するものである。
また、搬送ベルト68の記録媒体Pに接する表面は平滑であるのが好ましく、これにより、記録媒体Pの良好な吸着性が得られる。
図示例おいては、静電吸着手段70は、記録媒体Pを帯電させるスコロトロン帯電器70aと、スコロトロン帯電器70aに接続される負の高圧電源70bとを有する。記録媒体Pは、フィードローラ対62および搬送ベルト68によって搬送されつつ、負の高圧電源70bに接続されたスコロトロン帯電器70aにより、負のバイアス電圧を帯電され、かつ、搬送ベルト68の絶縁層に静電吸着される。
なお、図示例では、静電吸着手段70で記録媒体Pの静電吸着および帯電を行っているが、静電吸着手段と帯電手段とを別々に設けてもよい。
ヘッドユニット80は、前記本発明のインクジェットヘッドの制御方法を実施するインクジェットヘッドを用いて、画像データに応じてインク液滴を吐出して、記録媒体Pに画像を記録する。ここで、本発明のインクジェットヘッドは、記録媒体Pの帯電電位をバイアス電圧とし、吐出電極18に駆動電圧を印加することにより、バイアス電圧に駆動電圧を重畳し、インク液滴Rを吐出し、記録媒体Pに画像を記録するのは、前述のとおりである。この際、搬送ベルト68の加熱手段を設け、記録媒体Pの温度を高めることで、記録媒体P上におけるインク液滴Rの定着を促進することができ、滲みをより一層抑制して画質の向上を図ることができる。
なお、ヘッドユニット80等による画像記録に関しては、後に詳述する。
図示例において、除電手段72は、コロトロン除電器72aと、交流電源72bと、一端が接地された直流高圧電源72cとを有する、いわゆるACコロトロン除電器である。なお、除電手段は、これ以外にも、例えばスコロトロン除電器、固体チャージャ、放電針等の種々の手段や方法などが利用でき、また、上述の静電吸着手段70のように、導電性ローラや導電性プラテンを用いる構成も好適に使用される。
剥離手段74としては、剥離用ブレード、逆回転ローラ、エアナイフ等公知の技術が利用可能である。
画像が定着された記録媒体Pは、ガイド78に案内されて図示しない排紙ストッカに排紙される。
なお、加熱定着の場合、記録媒体Pとして、コート紙やラミネート紙を用いた場合には、急激な温度上昇により紙内部の水分が急激に蒸発し紙表面に凹凸が発生する、ブリスターと呼ばれる現象が生じる可能性がある。これを防止するために、複数の定着器を配置し、記録媒体Pが徐々に昇温するように、各定着器の電力供給および記録媒体Pまでの距離の一方または両方を変えるのが好ましい。
また、定着・搬送手段76における定着の際の記録媒体Pの移動速度には、特に限定はなく、画像形成時の搬送ベルト68による搬送速度と同じであっても良いし、異なっていても良い。画像形成時の搬送速度と異なる場合には、定着・搬送手段76の直前に記録媒体Pの速度バッファを設けるのも好ましい。
前述のように、プリンタ60の画像記録手段は、インクジェットを吐出するヘッドユニット80、ヘッドユニット80にインクQの供給および回収を行うインク循環系82、図示されないコンピュータ、RIP(Raster Image Processor)等の外部機器からの出力描画信号によりヘッドユニット80を駆動するヘッドドライバ84、記録媒体Pにおける画像記録位置を決定するために記録媒体Pを検出する記録媒体位置検出手段86を有して構成される。
ヘッドユニット80は、フルカラー画像の記録を行うためのシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインク吐出に対応して、4つのインクジェットヘッド80aを有し、画像データを供給されたヘッドドライバ84からの信号に従って、インク循環系82によって供給されるインクQをインク液滴Rとして吐出して、搬送ベルト68によって所定速度で搬送されている記録媒体Pに画像を記録する。各色のインクジェットヘッド80aは、搬送ベルト68の搬送方向に配列されている。
なお、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッド80aは、本発明に従うインクジェットヘッドである。
従って、図示例においては、搬送ベルト68に記録媒体Pを保持させた状態で、ヘッドユニット80に対して記録媒体Pを搬送によって1回通過させるだけで、すなわち1回の走査搬送を行うのみで、記録媒体Pの全面に画像が形成される。従って、吐出ヘッドをシリアルスキャンする場合に比べて、高速での画像記録(描画)が可能となる。
この際においては、各インクジェットヘッドの吐出口28の列(単列でもマルチチャンネルでもよい)を搬送ベルト68の搬送方向と一致させてヘッドユニット80を構成し、ヘッドユニット80を記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に走査する走査手段を設ける。走査手段としては、既に知られた走査手段を用いることができる。
画像記録は、通常のシャトルタイプのインクジェットプリンタと同様に行えばよく、吐出口28の列の長さに応じて、搬送ベルト68によって記録媒体Pを間欠的に搬送しつつ、この間欠搬送に同期して、停止時にヘッドユニット80を走査して、記録媒体Pの全面に画像を記録する。
このようにして、ヘッドユニット80によって記録媒体Pの全面に形成された画像は、前述のように、記録媒体Pが定着・搬送手段76によって挟持搬送されることにより、定着・搬送手段76によって定着される。
このシステム制御部は、コンピュータやRIP、画像スキャナ、磁気ディスク装置、画像データ伝送装置等の外部装置から受け取った画像データに、色分解、適当な画素数や階調数への分割演算等を行って、ヘッドドライバ84がヘッドユニット80(インクジェットヘッド)を駆動するための画像データとする部位である。また、システム制御部は、搬送ベルト68による記録媒体Pの搬送タイミングに合わせたヘッドユニット80によるインクの吐出タイミングの制御を行う。吐出タイミングの制御は、記録媒体位置検出手段86からの出力や、搬送ベルト68または搬送ベルト68の駆動手段へ配置したエンコーダからの出力信号を利用して行われる。
なお、記録媒体位置検出手段86は、ヘッドユニット80によるインク液滴の吐出位置に搬送されてくる記録媒体Pを検出するためのもので、フォトセンサ等の既に知られた検出手段を用いることができる。
ここで、ヘッドドライバ84は、ラインヘッド適用時など、制御する吐出部の数(チャンネル数)が多数有る場合には、描画を分割し、公知の抵抗マトリクス型駆動法や抵抗ダイオードマトリクス型駆動法を用いてもよい。これにより、ヘッドドライバ84の使用IC数を低減することができ、コストを低下させると共に制御回路サイズを抑制することができる。
インクタンクは、各色のインクQを貯留しており、インクQがポンプで汲み出されてヘッドユニット80へ送られる。ヘッドユニット80からインクが吐出されることにより、インク循環系82で循環しているインクの濃度が低下するので、インク循環系82では、インク濃度検出器によってインク濃度を検出し、それ応じて補給用インクタンクから適宜インクを補充して、インク濃度を所定の範囲に保つのが望ましい。
攪拌装置としては回転羽、超音波振動子、循環ポンプ等が使用できる。
インクの温度制御装置としてはヘッドユニット80、インクタンク、インク配管系等に、ヒータやペルチェ素子等の発熱素子または冷却素子を配し、温度センサ、例えばサーモスタットにより制御する方法等、公知の方法が使用できる。温度制御装置をインクタンク内に配置する場合には、温度分布を一定にするように攪拌装置と共に配するのがよい。また、タンク内の濃度分布を一定に保つための攪拌装置は、インクの固形成分の沈澱・濃縮の抑制するための攪拌装置と共用しても良い。
排出ファン90は、プリンタ60の筐体61内部の空気を吸い込んで溶媒回収装置92へ送るためのものである。
溶媒回収装置92は、溶媒蒸気吸収材を備えており、排出ファン90によって吸い込まれた溶媒蒸気を含む気体の溶媒成分をこの溶媒蒸気吸収材に吸着し、溶媒が吸着回収された後の気体をプリンタ60の筐体61外に排出する。溶媒蒸気吸収材としては、各種の活性炭などが好適に使用される。
12 ヘッド基板
14 インクガイド
14a 先端部分
16 吐出口基板
18 吐出電極
20 ガード電極
24 対向電極
24a 電極基板
24b 絶縁シート
26a スコロトロン帯電器
26b バイアス電圧源
28 各吐出口
30 インク流路
32 絶縁基板
33 駆動電圧制御部
34 絶縁層
35 ガード電極制御部
36 開口部
40 インク誘導堰
60 インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)
62 フィードローラ
64 ガイド
66 ローラ
66a、66b、66c ローラ
68 搬送ベルト
69 搬送ベルト位置検知手段
70 静電吸着手段
70a スコロトロン帯電器
70b 高圧電源
72 除電手段
72a コロトロン除電器
72b 交流電源
72c 直流高圧電源
76 定着・搬送手段
76a ヒートローラ
78 ガイド
80 ヘッドユニット
80a 各インクジェットヘッド
80b、80c インク供給系
82 インク循環系
82a インク循環装置
82b インク供給系
82c インク回収系
84 ヘッドドライバ
86 記録媒体位置検出手段
90 排出ファン
E1、E2 電界
F1、F2 静電力
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴
Claims (13)
- 静電力によってインク液滴を吐出させるインクジェットヘッドの制御方法であって、
前記インクジェットヘッドは、前記インク液滴が吐出される複数の吐出口が形成された吐出口基板と、
前記吐出口基板の前記複数の吐出口にそれぞれ対応して形成され、前記複数の吐出口のそれぞれに静電界を生成するための吐出電極と、
隣接する前記吐出電極から発生する電界を遮るために、隣接する前記吐出口の間で、前記吐出電極よりもインク吐出側の位置に、前記吐出電極と絶縁された状態で前記吐出口基板に形成され、共通に制御されるガード電極とを有しており、
前記吐出電極に描画信号に応じて駆動電圧を印加するとともに、前記吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数を有し、且つ第1電圧と当該第1電圧よりも低電圧の第2電圧とが交互に繰り返される交流バイアス電圧を前記ガード電極に印加するインクジェットヘッドの制御方法。 - 前記記録媒体に1ドットを形成する際の前記駆動電圧の信号に対して逆相になるように前記交流バイアス電圧を印加する請求項1に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
- 前記記録媒体に1ドットを形成する際の前記駆動電圧の信号に対して、位相及びパルス幅の少なくとも一方が異なるように前記交流バイアス電圧を印加する請求項1に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
- 前記吐出電極に前記駆動電圧が印加される直前に第2電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御する請求項3に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
- 前記吐出電極への前記駆動電圧の印加の終了前に第1電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御する請求項3又は4に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
- 前記インクは、少なくとも色材を含む帯電した微粒子を絶縁性の分散媒に分散してなるインクである請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
- 帯電した微粒子を含むインクを、静電力を利用して吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェットヘッドであって、
前記インク液滴が吐出される複数の吐出口が形成された吐出口基板と、
前記吐出口基板の前記複数の吐出口にそれぞれ対応して形成され、それぞれの吐出口に電界を発生させるための吐出電極と、
隣接する前記吐出電極から発生する電界を遮るために、隣接する前記吐出口の間で、前記吐出電極よりもインク吐出側の位置に、前記吐出電極と絶縁された状態で前記吐出口基板に形成され、共通に制御されるガード電極と、
前記ガード電極に接続され、前記吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数を有し、且つ第1電圧と当該第1電圧よりも低電圧の第2電圧とが交互に繰り返される交流バイアス電圧を前記ガード電極に制御しつつ印加するためのガード電極制御部とを有するインクジェットヘッド。 - 前記ガード電極制御部は、前記記録媒体に1ドットを形成する際に前記吐出電極に印加される駆動電圧の信号に対して逆相になるように前記交流バイアス電圧を印加する請求項7に記載のインクジェットヘッド。
- 前記ガード電極制御部は、前記記録媒体に1ドットを形成する際に前記吐出電極に印加される駆動電圧の信号に対して位相及びパルス幅の少なくとも一方が異なるように前記交流バイアス電圧を印加する請求項7に記載のインクジェットヘッド。
- 前記ガード電極制御部は、前記吐出電極に前記駆動電圧が印加される直前に第2電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御する請求項9に記載のインクジェットヘッド。
- 前記ガード電極制御部は、前記吐出電極への前記駆動電圧の印加の終了前に第1電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御する請求項9又は10に記載のインクジェットヘッド。
- 前記インクは、少なくとも色材を含む帯電した微粒子を絶縁性の分散媒に分散してなるインクである請求項7〜11のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 請求項7〜12のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドと前記記録媒体とを相対的に移動させるための移動手段とを備えるインクジェット記録装置。
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