JP2006082265A - インクジェットヘッド、その制御方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェットヘッド、その制御方法及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】インクの吐出遅れを防止するとともにインクの液切れ性を向上させることができるインクジェットヘッド及びその制御方法を提供する。
【解決手段】インクジェットヘッド10は、吐出口28が形成された吐出口基板16に吐出電極18とガード電極20を有する。ガード電極制御部35は、ガード電極20に交流バイアス電圧を制御しつつ印加する。ガード電極制御部35で、インクの吐出時にはインクが吐出されやすく、インクの非吐出時にはインクが吐出されにくくなるように、ガード電極20に印加する交流バイアス電圧を制御する。これによりインクの吐出遅れを防止することができるとともに、インクの液切れ性を向上させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクを記録媒体に向けて吐出して記録媒体に画像を形成するためのインクジェットヘッド、その制御方法及びインクジェット記録装置に関し、更に詳細には、帯電した微粒子を含むインクを、静電気力を利用して吐出させるインクジェットヘッド、その制御方法及びインクジェット記録装置に関する。
静電力を利用してインクを記録媒体に向けて吐出する静電式のインクジェット記録方式が知られている。静電式インクジェット記録方式では、帯電した微粒子成分を含むインクが用いられ、インクの吐出のための吐出口の周囲に配置された吐出電極に駆動電圧を印加し、吐出口のインクに静電力を作用させて、吐出口からインク液滴を記録媒体に向けて吐出させる。吐出電極に印加する駆動電圧を画像データに応じて制御することにより、画像データに対応した画像を記録媒体に記録することができる。
この静電式インクジェット記録方式の記録装置に用いられるインクジェットヘッドとして、1つのヘッドに複数の吐出口(チャンネル)を配列したマルチチャンネルヘッドが知られている。マルチチャンネルの静電式インクジェットヘッドを用いてより高い解像度で記録を行うためには、吐出部を高密度で配置して、各吐出口を独立に制御することが必要となる。ところが、静電式インクジェットヘッドでは、上述のように、各吐出口の吐出電極に電圧を印加することによって発生する静電力を利用してインク液滴を吐出させる。それゆえ、吐出口を高密度に配置すると、隣接する吐出口の間で電界干渉を生じて、吐出するインク滴のサイズやインク滴の飛翔方向がばらついてしまい、正確な記録が行えないという問題があった。
このような問題に対し、特許文献1は、インクガイドを区分けする基板上に複数の吐出電極(個別電極)を備え、吐出電極に電圧を印加することによる静電力によってインクガイドからインク液滴を吐出させるインクジェット記録装置であって、吐出電極間に隣接チャンネルからの電気力線を遮蔽するためのシールド電極を形成したインクジェット記録装置を開示している。このインクジェット記録装置では、シールド電極に、吐出電極に印加する電圧よりは低いが吐出電極との間で放電しない程度には高い電圧を印加することによって、隣接する吐出電極間の干渉を抑制している。
しかしながら、特許文献1のインクジェット記録装置では、吐出電極とシールド電極とを同一面上に設けているため、シールド電極は、吐出電極の外周側の端部から発生する電気力線を遮蔽することができず、隣接する吐出口間での電界干渉を効果的に防止することができないという問題があった。
また、電界干渉の抑制には、隣接する吐出口の間にシールド電極を幅広く設けることが有効であるが、特許文献1のような、シールド電極を吐出電極と同一面上に設ける形態では、吐出口を高密度に配置すると、隣接する吐出口の間にシールド電極の十分な幅を確保できない。また、シールド電極を吐出口間で広く設けるために吐出部間隔を広く取ると、吐出口の集積度を低下させ、ヘッドサイズを大サイズ化させることになり好ましくない。そのため、コンパクトなヘッドで正確な記録を行うのが難しいという問題があった。
特開2000−25233号公報
このような問題を解決するために、本発明者は、特願2003−90367号において、吐出口が形成される基板に、吐出電極とガード電極を、それらの間に絶縁体を介在させて積層し、ガード電極の内径を吐出電極の外径よりも小さくしたインクジェットヘッドを開示した。特願2003−90367号で開示されたインクジェットヘッドでは、ガード電極の内径を吐出電極の外径よりも小さくしているので、自チャンネルへの電気力線は確保しつつ、他チャンネルからの電気力線を効率よく遮蔽することができる。それゆえ、吐出口が高密度に配置されたマルチチャンネルヘッドにおいても、自チャンネルの電界を弱めることなく、他チャンネルの電界の影響を抑制でき、他チャンネルの稼動状態による吐出インク滴のサイズおよびインク滴の飛翔方向への影響がなく、記録ドット径および着弾位置の変動が防止され、高解像度の記録を高精度で行うことができる。
また、本発明者は、特願2003−203824号において、インク液滴の吐出性を向上させるために、記録媒体の裏面側に配置される背面電極(対向電極)にACバイアス電圧を印加するインクジェット記録装置を開示した。このインクジェット記録装置では、背面電極に交流バイアス電圧を印加して、吐出口のインクに作用する力を変化させることによって、インクのメニスカスの形成を促進させて、吐出応答性を向上させている。また、背面電極に交流バイアス電圧を印加することにより、吐出口内のインクに含まれる荷電粒子が常に揺動させることができるので、長時間インクを吐出口から吐出させない場合であっても、インクの過濃縮を防止して、吐出口の目詰まりを防止することができる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、インク液滴の吐出の遅れを防止し、吐出動作終了後のインク液滴の切れを向上することができるインクジェットヘッド、それを備えるインクジェット記録装置及びインクジェットの制御方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、吐出電極に印加する駆動電圧を低電圧化することができ、駆動回路を簡易な構成にして低コスト化することができるインクジェットヘッド、それを備えるインクジェット記録装置及びインクジェットヘッドの制御方法を提供することにある。
本発明者は、吐出口が形成された吐出口基板にガード電極と吐出電極とを有するインクジェットヘッドにおいて、ガード電極に例えば300[V]の直流バイアス電圧を印加し、吐出電極に、描画信号のon/offに応じて、例えば、600/0[V]を印加したときに、吐出電極とガード電極によって形成される電界によって、色材粒子(顔料等の色材を含み、かつ、電荷を有する微粒子)が静電力を受け、以下に示すような効果が発現することを見出した。
インクジェットヘッドの停止時、すなわち、インクを吐出させないときは、吐出電極に印加される駆動電圧Vp(0[V])は、ガード電極に印加される直流バイアス電圧Vg(300[V])よりも低い。そのため、吐出口には、吐出電極とガード電極にそれぞれ印加されている電圧の電圧差に基づいて電界が形成される。この電界によって、吐出口に形成されているインクのメニスカスには、インクの吐出方向と逆向きの静電力が作用して、メニスカスが押さえ込まれる。これにより、吐出口からのインクの溢れ及び不必要なインク液滴の吐出が抑制される。
一方、インクの吐出時には、吐出電極に印加される駆動電圧Vp(600[V])が、ガード電極に印加される直流バイアス電圧Vg(300[V])よりも高くなる。そして、吐出電極とガード電極にそれぞれ印加されている電圧の電圧差に基づいて、吐出口に電界が形成される。この電界によって、吐出口に形成されているインクのメニスカスには、インクの吐出方向に向かう静電力が作用して、そのメニスカスが開放される。このため、インクが吐出しやすい状態となる。
そこで、本発明の第1の態様は、静電力によってインク液滴を吐出させるインクジェットヘッドの制御方法であって、前記インクジェットヘッドは、前記インク液滴が吐出される複数の吐出口が形成された吐出口基板と、前記吐出口基板の前記複数の吐出口にそれぞれ対応して形成され、前記複数の吐出口のそれぞれに静電界を生成するための吐出電極と、隣接する前記吐出電極から発生する電界を遮るために、隣接する前記吐出口の間で、前記吐出電極よりもインク吐出側の位置に、前記吐出電極と絶縁された状態で前記吐出口基板に形成され、共通に制御されるガード電極とを有しており、前記吐出電極に描画信号に応じて駆動電圧を印加するとともに、前記吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数を有し、且つ第1電圧と当該第1電圧よりも低電圧の第2電圧とが交互に繰り返される交流バイアス電圧を前記ガード電極に印加するインクジェットヘッドの制御方法を提供する。
本発明のインクジェットヘッドの制御方法においては、前記記録媒体に1ドットを形成する際の前記駆動電圧の信号に対して逆相になるように前記交流バイアス電圧を印加することが好ましい。
また、前記記録媒体に1ドットを形成する際の前記駆動電圧の信号に対して、位相及びパルス幅の少なくとも一方が異なるように前記交流バイアス電圧を印加することが好ましい。この場合は、前記吐出電極に前記駆動電圧が印加される直前に第2電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御することが好ましく、前記吐出電極への前記駆動電圧の印加の終了前に第1電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御することが好ましい。
前記インクは、少なくとも色材を含む帯電した微粒子を絶縁性の分散媒に分散してなるインクであることが好ましい。
本発明の第2の態様は、帯電した微粒子を含むインクを、静電力を利用して吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェットヘッドであって、前記インク液滴が吐出される複数の吐出口が形成された吐出口基板と、前記吐出口基板の前記複数の吐出口にそれぞれ対応して形成され、それぞれの吐出口に電界を発生させるための吐出電極と、隣接する前記吐出電極から発生する電界を遮るために、隣接する前記吐出口の間で、前記吐出電極よりもインク吐出側の位置に、前記吐出電極と絶縁された状態で前記吐出口基板に形成され、共通に制御されるガード電極と、前記ガード電極に接続され、前記吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数を有し、且つ第1電圧と当該第1電圧よりも低電圧の第2電圧とが交互に繰り返される交流バイアス電圧を前記ガード電極に制御しつつ印加するためのガード電極制御部とを有するインクジェットヘッドを提供する。
本発明の第2の態様のインクジェットヘッドにおいて、前記ガード電極制御部は、前記記録媒体に1ドットを形成する際に前記吐出電極に印加される駆動電圧の信号に対して逆相になるように前記交流バイアス電圧を印加することが好ましい。
また、本発明の第2の態様のインクジェットヘッドにおいては、前記ガード電極制御部は、前記記録媒体に1ドットを形成する際に前記吐出電極に印加される駆動電圧の信号に対して位相及びパルス幅の少なくとも一方が異なるように前記交流バイアス電圧を印加することが好ましい。この場合、前記ガード電極制御部は、前記吐出電極に前記駆動電圧が印加される直前に第2電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御することが好ましく、前記吐出電極への前記駆動電圧の印加の終了前に第1電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御することが好ましい。
また、前記インクは、少なくとも色材を含む帯電した微粒子を絶縁性の分散媒に分散してなるインクであることが好ましい。
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様に従うインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドと前記記録媒体とを相対的に移動させるための移動手段とを備えるインクジェット記録装置を提供する。
本発明のインクジェットヘッドの制御方法は、ガード電極に、吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数の交流バイアス電圧を制御しつつ印加して、インク吐出時にはインクを吐出しやすい状態に調整し、インクの非吐出時にはインクが吐出しにくい状態に調整しているので、インクの吐出遅れを防止することができるとともに、インク吐出後のインクの切れを向上させることができる。また、交流バイアス電圧を制御して、インクの吐出遅れとインクの液切れを独立に調整することができるので、画質を向上させることができる。また、吐出電極に印加する駆動電圧の電圧値を従来よりも低くしても確実にインクの吐出と非吐出を制御することができる。
また、本発明のインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置は、ガード電極制御部において、吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数の交流バイアス電圧をガード電極に制御しつつ印加することができるので、インク吐出時にはインクを吐出しやすい状態に調整し、インクの非吐出時にはインクが吐出しにくい状態に調整することができる。したがって、インクの吐出遅れを防止することができるとともに、インク吐出後のインクの切れを向上させることができる。また、ガード電極に印加する交流バイアス電圧を制御するガード電極制御部を設けるだけで、吐出電極に印加する駆動電圧の電圧値を従来よりも低くすることができ、駆動回路を大幅にコストダウンすることができる。
以下、本発明のインクジェットヘッド、その制御方法及びインクジェット記録装置について、添付の図面に示される好適な態様に基づいて詳細に説明する。
図1(A)に、本発明に従うインクジェットヘッドの概略構成の断面を模式的に示し、図1(B)に、図1(A)のIB−IB線矢視図を示す。図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10は、ヘッド基板12と、インクガイド14と、吐出口28が形成された吐出口基板16とを有する。吐出口基板16には、吐出口28を囲むように吐出電極18が配置されている。インクジェットヘッド10のインク吐出側の面(図中、上面)に対面する位置に、記録媒体Pを支持する対向電極24と、記録媒体Pの帯電ユニット26が配置される。
また、ヘッド基板12と吐出口基板16は、互いに対面した状態で所定間隔離間して配置される。ヘッド基板12と吐出口基板16の間に形成される空間によって各吐出口28にインクを供給するインク流路30が形成される。
インクジェットヘッド10は、より高密度な画像記録を高速に行うために、複数の吐出口(ノズル)28が二次元的に配列されたマルチチャンネル構造を有する。図2に、インクジェットヘッド10の吐出口基板16に複数の吐出口28が二次元的に配列されている様子を模式的に示した。なお、図1(A)及び図1(B)においては、インクジェットヘッドの構成を分かりやすく示すために、複数の吐出口のうちの1つの吐出口だけを示している。
本発明のインクジェットヘッド10において、吐出口28の個数や、その物理的な配置位置等は自由に選択することができる。例えば、図2に示すようなマルチチャンネル構造のみならず、吐出口の列を1列のみ有するものであってもよい。また、記録媒体Pの全域に対応する吐出口の列を有するいわゆる(フル)ラインヘッドでもよく、あるいは、ノズル列の方向と直交する方向に走査されるいわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)であってもよい。また、本発明のインクジェットヘッドは、モノクロおよびカラーのどちらの記録装置にも対応可能である。
なお、図2は、マルチチャンネル構造の一部分(3行3列)の吐出口の配列を示しており、好ましい態様として、インク流方向において、下流側の列の吐出口28が上流側の列の吐出口に対してインク流に垂直な方向に所定ピッチずつずれて配置されている。このように、下流側の列の吐出口を上流側の列の吐出口に対してインク流方向に垂直な方向にずらして配置することにより、吐出口にインクを良好に供給することができる。本発明のインクジェットヘッドにおいては、下流側の列の吐出口が上流側の列の吐出口に対してインク流方向に垂直な方向にずらされて配置されたn行m列(n、mは正の整数)の吐出口が、インク流方向に一定の周期で繰り返し続くように構成されていてもよいし、それぞれの吐出口が、上流側に位置する吐出口に対してインク流に垂直な一方向(図2において下方向又は上方向)に連続的にずれて配置されていても良い。吐出口の個数やピッチ、繰返し周期等は、解像度や送りピッチに応じて適宜設定することができる。
また、図2では、好ましい態様として、インク流方向において、下流側の列の吐出口を上流側の列の吐出口に対してインク流に垂直な方向にずらして配置したが、これに限定されず、下流側の吐出口と上流側の吐出口が、インク流方向において同一直線上に配置されていてもよい。この場合は、各行のそれぞれの吐出口を、インク流に垂直な方向において隣に位置する行のそれぞれの吐出口に対して、インク流方向にずらして配置させることが好ましい。
このようなインクジェットヘッド10においては、顔料等の色材を含み、かつ、電荷を有する微粒子(以下、色材粒子とする)を絶縁性の液体(キャリア液)に分散してなるインクQを用いる。そして、吐出口基板16に設けられた吐出電極18に駆動電圧を印加して吐出口28に電界を発生させ、吐出口28のインクを静電力により吐出させる。また、吐出電極18に印加する駆動電圧を、画像データに応じてon/off(吐出on/off)することにより、画像データに応じて吐出口28からインク液滴を吐出して、記録媒体P上に画像を記録する。
以下、図1(A)及び(B)に示した本発明のインクジェットヘッド10の構造についてより詳細に説明する。
図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10の吐出口基板16は、絶縁基板32と、ガード電極20と、吐出電極18と、絶縁層34とを有する。絶縁基板32の図中上側の面(ヘッド基板12に対面する側と反対の面)に、ガード電極20と絶縁層34とが順に積層されている。また、絶縁基板32の図中下側の面(ヘッド基板12に対面する側の面)には、インクを吐出するための駆動電圧が印加される吐出電極18が形成されている。
また、吐出口基板16には、インク液滴Rを吐出するための吐出口28が絶縁基板32を貫通して形成されている。吐出口28は、図1(B)に示すように、長方形の両方の短辺側を半円形にした、インク流方向に細長い繭形の開口(スリット)であり、インク流れ方向の長さLとインク流れに直交する方向の長さDとのアスペクト比(L/D)が1以上となる形状を有する。
本発明では、このように、吐出口28をインク流れ方向の長さLとインク流れに直交する方向の長さDとのアスペクト比(L/D)が1以上の開口とすることで、吐出口28にインクが流れやすくなる。つまり吐出口28へのインクの粒子供給性を高めることができ、周波数応答性を向上させ、さらに目詰まりも防止することができる。この点については、インク液滴の吐出の作用とともに、後ほど詳細に説明する。
また、本実施の形態では、吐出口28を繭形の開口として形成したが、これに限らず、吐出口28からインクを吐出することができるのであれば、円形や略円形、楕円形、矩形、正方形、ひし形、平行四辺形など任意の形状で吐出口28を形成することができる。
吐出口28の形状としては、インク流れ方向の長さとインク流れに垂直な方向の長さとのアスペクト比が1以上となるようなインク流方向に細長い形状であることが好ましい。これにより、吐出口へのインク供給性が高められ、目詰まりを防止することができ、連続した大ドットを安定して画像記録媒体に形成することができ、より高い周波数の描画数波数で高画質の画像を描画することができる。例えば、インク流方向を長辺とする矩形状、又は、インク流方向を長軸とする楕円形若しくはひし形で吐出口を形成することができる。また、インク流の上流側を上底、下流側を下底とし、インク流方向の高さが下底よりも長い台形状で吐出口を形成してもよい。この場合、上流側の辺を長くしても下流側の辺を長くしてもよい。また、インク流方向を長辺とする長方形の両方の短辺側に、直径がその長方形の短辺よりも大きな円が接続されたような形状にしてもよい。このように吐出口28をインク流方向に細長い形状とすることにより、この吐出口28へのインク供給性を高めることができるとともに目詰まりも防止することができる。また、吐出口28は、その中心に対して、上流側と下流側で対称な形状であっても非対称な形状であっても良い。
つぎに、図1(A)に示したインクジェットヘッド10の吐出口基板16に形成されている吐出電極18について説明する。絶縁基板32の下面(ヘッド基板12と対向する面)には、図1(B)に示すような吐出電極18が形成されている。吐出電極18は、吐出口28の周囲を囲むように吐出口28の周縁に沿って配置されている。図1(B)においては、吐出電極18は吐出口28と相似形の形状で形成されているが、これに限定されず、吐出口28の周囲を囲む形状であれば種々の形状に変更することができる。例えば、円形、略円形、楕円形、略楕円形などの形状で吐出電極を形成することができる。また、吐出口28の形状に応じて種々の形状に変更することができ。吐出口28の周囲を完全に取り囲んでいなくてもよく、例えば、インク流方向の上流側又は下流側の吐出電極の一部が切りかかれたようなC字型、コ字型などの形状であってもよい。また、インク流方向に平行で吐出口を挟むように配置された平行電極や略平行電極としてもよい。
前述のように、インクジェットヘッド10は、吐出口28が2次元的に配列されたマルチチャンネル構造を有するので、図2に模式的に示すように、吐出電極18は、各吐出口28に対応して2次元的に配置されている。
また、吐出電極18は、インク流路30に露出し、インク流路30を流れるインクQと接触している。図1(A)に示すインクジェットヘッドは、このような構造としたことにより、インク液滴の吐出性を大幅に向上させることができる。この点については、後に、吐出の作用と共に詳述する。しかしながら、吐出電極18は、必ずしもインク流路30に露出してインクと接触している必要はなく、吐出電極18は吐出口基板16の内部に形成されていてもよいし、図(1)に示した吐出電極18のインク流路に露出している面を絶縁層で被覆してもよい。
また、吐出電極18は、図1(A)に示すように、駆動電圧制御部33に接続されている。駆動電圧制御部33は、インク吐出時及び非吐出時に吐出電極に印加する駆動電圧を、描画信号に応じて制御することができる。
つぎに、図1(A)に示すインクジェットヘッド10のガード電極20について説明する。図1(A)に示すように、ガード電極20は、絶縁基板32の表面上に形成されており、ガード電極20の表面は絶縁層34によって覆われている。図3に、ガード電極20の平面構造を模式的に示した。図3は、図1(A)のIII−III線矢視図であり、マルチチャネル構造のインクジェットヘッド10のガード電極20の平面構造を模式的に示している。図3に示すように、ガード電極20は、金属板などの各吐出電極に共通なシート状の電極であり、2次元的に配列されている各吐出口28の周囲に形成された吐出電極18に対応する位置に開口部36を有する。ガード電極20の開口部36は、吐出口28の形状と同様に矩形状に形成されている。ガード電極20の開口部36の長さ及び幅は、吐出口28の長さ及び幅よりも大きく形成されている。
ガード電極20は、隣接する吐出電極18間における電気力線を遮蔽して、電界干渉を抑制することができる。ガード電極20は、ガード電極制御部35と接続されており、ガード電極制御部35によって、描画信号の周波数に同期した所定の交流バイアス電圧が印加される。そして、このような交流バイアス電圧が、インクジェットヘッドの記録動作時にガード電極20に印加されることによって、インクの吐出性が制御される。ガード電極20に印加する交流バイアス電圧の制御方法については後に詳しく説明する。
ガード電極20は、好ましい態様として、図1(A)に示すように、吐出電極18とは異なる層に形成され、その表面が絶縁層34によって被覆される。ガード電極20の表面を絶縁層34によって被覆することにより吐出口から漏れたインクがガード電極と接触することが防止される。
このような絶縁層34を有することにより、隣接する吐出電極18間における電界干渉を好適に防止できると共に、吐出電極18とガード電極20との間で、インクQの色材粒子が被膜化して放電することも防止できる。
ここで、ガード電極20は、吐出電極18から発生する電気力線のうち、対応する吐出口28(以下、便宜的に「自チャンネル」とする)に作用する電気力線を確保しつつ、他の吐出口28(同様に「他チャンネル」とする)に設けられた吐出電極18の電気力線および他チャンネルへの電気力線を遮蔽するように設けられる。
ガード電極20が無い場合、インク液滴の吐出時に、吐出電極18の吐出口側の端部(以下、吐出電極の内縁部という)から生じる電気力線は、吐出電極18の内側、すなわち、吐出電極18の内縁部によって囲まれた領域内に収束して自チャンネルに作用し、インク液滴の吐出に必要な電界を生じさせる。一方、吐出電極18の吐出口側と逆側の端部(以下、吐出電極の外縁部という)から生じる電気力線は、その吐出電極18の外縁部よりも更に外側に発散して他チャンネルに影響を及ぼし、電界干渉を生じる。
以上の点を考慮すれば、ガード電極20の開口部36の幅及び長さは、自チャンネルへの電気力線を遮蔽しないように、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極18の幅及び長さよりも大きくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の吐出口28側の端部は、自チャンネルの吐出電極18の内縁部よりも、吐出口28から離間(後退)しているのが好ましい。
また、他チャンネルへの電気力線を効率的に遮蔽するためには、ガード電極20の開口部36の長さ及び幅は、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極18の外縁部間の間隔(外径)よりも小さくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の内縁部は、自チャンネルの吐出電極18の外縁部よりも、吐出口28に近接(前進)しているのが好ましい。本発明者の検討によれば、この近接量は、5μm以上、特に、10μm以上とするのが好ましい。
上記構成を有することにより、吐出口28からの吐出安定性を十分に確保した上で、隣接するチャンネル間における電界干渉に起因するインク着弾位置のバラツキ等を好適に抑制して、安定して高画質な画像記録を行うことが可能となる。
ガード電極20の開口部36を、吐出電極18の内縁部又は外縁部によって形成される形状と略相似形にし、ガード電極20の内縁部が、自チャンネルの吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間(後退)し、吐出電極の外縁部よりも吐出口28に近接(前進)するように、ガード電極20を設けてもよい(すなわち、ガード電極20の開口部36を形成してもよい)。
また、以上の例では、ガード電極20は、各吐出電極18に共通のシート状電極としているが、本発明はこれには限定されず、各吐出口間において、他チャンネルの電気力線を遮蔽できるように設けられていれば、どのような形状又は構造でも良い。例えば、ガード電極は、各吐出口の間に網目状に設けられていても良い。また、マトリクス状に配列されている複数の吐出口において、例えば、行方向と列方向で隣接する吐出口の間隔が異なる場合には、電界干渉を生じない程十分離れている吐出口の間にはガード電極を設けずに、近接している吐出口の間にのみガード電極を設けても良い。また、ガード電極は、マトリクス状に配置されている各吐出電極に共通の構造でなくても良く、マトリクス状の吐出電極の列ごと若しくは行ごと、又は千鳥配列ごとに共通になるような構造にしてもよい。この場合は、マトリクス状の吐出電極の列ごと若しくは行ごと、又は千鳥配列に共通に設けられたそれぞれのガード電極に対応するように、個別にガード電極制御部を設けてもよいし、1つのガード電極制御部にそれぞれのガード電極を接続して、それぞれのガード電極を個別に又は共通に制御してもよい。ここで、用語「共通」とは、構造的な共通を意味するのみならず、電気的な共通も含む概念である。したがって、ガード電極が互いに構造的には独立した構造を有していても、電気的に接続されて共通になっていれば、上記の共通を満たす。
上記いずれの形状のガード電極の場合も、図1(A)に示すように、自チャンネルの吐出電極18に対して、ガード電極20の内縁部が、吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間し、吐出電極18の外縁部より吐出口28に近接するように、ガード電極20を形成すればよい。
ここでは、ガード電極20の開口部36の形状を、吐出口28の形状と略同様の形状にしたが、これに限定されるものではなく、隣接する吐出電極18間における電気力線を遮蔽して電界干渉を防止することができれば、任意の形状にすることができる。例えば、円形や楕円形、正方形、ひし形などの形状でガード電極20の開口部36を形成することができる。
つぎに、図1(A)に示したインクジェットヘッド10のインクガイド14について説明する。インクガイド14は、所定の厚みを有するセラミック製平板からなり、各吐出口28(吐出部)に対応してヘッド基板12の上に配置されている。インクガイド14は、吐出口28の長辺方向の長さに応じてわずかに幅広に形成されている。上述したように、インクガイド14は、吐出口28を通過し、その先端部分14aが吐出口基板16の記録媒体P側の表面(絶縁層34の表面)よりも上方に突出している。
インクガイド14の先端部分14aは、インクの流れ方向に平行な断面形状が、対向電極24側へ向かうに従って次第に細くなる略三角形(ないしは台形)になるように成形されている。インクガイド14は、先端部分14aの傾斜面がインクの流れ方向と交差するように配置される。これにより、吐出口28に流入するインクがインクガイド14の先端部分14aの傾斜面に沿って先端部分14aの頂点に到達するので、吐出口28にインクのメニスカスが安定して形成される。
また、インクガイド14を吐出口28の長辺方向に幅広に形成することで、インク流れに直交する方向の幅を短くすることができ、インクの流れに及ぼす影響を少なくすることができ、かつ後述するメニスカスを安定して形成させることができる。
なお、インクガイド14の形状は、インクQ内の色材を吐出口基板16の吐出口28を通って先端部分14aに濃縮させることができれば、特に、制限的ではなく、例えば、先端部分14aが対向電極に向かうに従って細くなるような形状でなくても良く、適宜変更することができる。例えば、インクガイド14の中央部分に、図中上下方向に毛細管現象によってインクQを先端部分14aに集めるインク案内溝となる切り欠きが形成されていても良い。また、図1(B)では、吐出口の形状に応じて、インク流方向に長い板状の形状としたが、これに限定されず、角柱にしてもよい。
また、インクガイド14は、その最先端部に、金属が蒸着されていることが好ましく、インクガイド14の最先端部に金属を蒸着させることにより、インクガイド14の先端部分14aの誘電率が実質的に大きくなる。これにより、吐出電極に駆動電圧が印加されたときに、インクガイド14に強電界を生じさせやすくなり、インクの吐出性を向上することができる。
本実施形態のインクジェットヘッド10は、図1(A)に示すように、好ましい形態として、ヘッド基板12に吐出口28にインクを誘導するインク誘導堰40が設けられている。このインク誘導堰40について、図4(A)及び(B)を参照しながら以下に詳しく説明する。
図4(A)は、図1のインクジェットヘッド10における吐出部近傍の構成を示す部分断面斜視図である。同図では、インク誘導堰40の構造を明示するために、吐出口基板16をインクガイド14の略中央の位置でインク流方向に沿って切断して示している。
インク誘導堰40は、ヘッド基板12のインク流路30側の面、すなわちインク流路30の底面で、インクガイド14のインク流方向(矢印方向)の上流側および下流側に設けられている。インク誘導堰40は、インク流方向に対して、吐出口28に対応する位置の近傍から吐出口28の中心に対応する位置に向かって、吐出口基板16に漸次近接するように傾斜した面を有している。すなわち、インク誘導堰40は、インク流方向に沿って、吐出口28に向かって傾斜する形状を有している。
また、インク誘導堰40は、インク流に直交する方向には、吐出口28と略同一の幅を有し、底面から垂設する壁面を有する形状とされている。また、インク誘導堰40は、吐出口28を塞ぐことなく、インクQの流路を確保するように、吐出口基板16のインク流路30側の面、すなわちインク流路30の上面から所定の間隔を置いて設けられている。このようなインク誘導堰40は、各々の吐出部にそれぞれ設けられている。
このように、インク流路30の底面に、インク流方向に沿って、吐出口28に向かって傾斜するインク誘導堰40を設けることによって、吐出口28へ向かうインク流が形成され、インクQが吐出口28のインク流路30側の開口部に誘導される。そのため、インクQを吐出口28内部へ好適に流入させることができ、インクの粒子供給性をより向上させることができる。さらに吐出口の目詰まりも、より確実に防止することができる。
インク誘導堰40のインク流方向の長さlは、隣接する吐出口と干渉しない範囲で、インクQを吐出口28へ好適に誘導できるように適宜設定されればよいが、図4(B)に示すように、インク誘導堰40の最高部の高さhに対し、3倍以上(l/h≧3)とするのが好ましく、8倍以上(l/h≧8)とするのがより好ましい。
インク誘導堰40のインク流と直交する方向の幅は、吐出口28と同等か、若干広いのが好ましい。また、インク誘導堰40の幅は、図示例のように均一なものには限定されず、幅が漸減するものや漸増するもの等であってもよい。また、その壁面も、垂直面には限定されず、傾斜面等であってもよい。
インク誘導堰40の傾斜面(インク誘導面)は、インクQを吐出口28に誘導するのに好適な形状とすればよく、一定の傾斜角を有する斜面であってもよいし、傾斜角が変化する面や、湾曲面であってもよい。また、その表面は、平滑面には限定されず、インク流方向に、あるいは吐出口28の中心部に向かって放射状に、1条以上の畝や溝等が形成されていてもよい。
また、インク誘導堰40の上部のインクガイド14との接部近傍は、図示例のように段差を有することなく、滑らかにつながる形状としてもよい。
図示例では、インク誘導堰40がインクガイド14の上流側および下流側に配置された形態としているが、吐出口28の上流側および下流側に斜面を有する台形状のインク誘導堰40を設け、その上部にインクガイド14を立設する形態としてもよいし、インクガイド14およびインク誘導堰40を一体的に形成してもよい。このように、インク誘導堰40は、インクガイド14と別々に、または、一体的に形成されて、ヘッド基板12に取り付けられてもよいし、あるいは、従来公知の掘削手段によりヘッド基板12を削り出して形成されてもよい。
なお、インク誘導堰40は、吐出口28の上流側に設けられていれば良いが、図示例のように、吐出口28の下流側にも、インク液滴Rの吐出方向の高さが吐出口28から遠ざかるにつれて低くなるように設けられているのが好ましい。これにより、上流側のインク誘導堰40によって吐出口28に向かって誘導されたインクQが滑らかに下流側へ流れるので、インクQが乱流になることなく、インク流の安定を保つことができ、吐出安定性を保つことができる。
図4に示した例では、インク誘導堰40は、ヘッド基板12の上面に配置したが、これに限定されず、例えば、ヘッド基板12にインク流溝を形成し、このインク流溝の内部に図4に示したような構造のインク誘導堰を設けても良い。
例えば、図1(A)において、インク流方向に沿って、吐出口28に対応する位置を通過するような所定の溝深さのインク流溝をヘッド基板12の上面に形成する。そして、インク流溝の、吐出口28に対応する位置にインク流方向に沿って吐出口28に向かって傾斜する面を有するインク誘導堰を設ける。このように、インク流溝をヘッド基板に形成することによって、インク流路30を流れるインクの多くを選択的にインク流溝に流すことができる。また、このインク流溝に、図4に示したインク誘導堰40を形成することによって、インク流溝を流れるインクを吐出口28の内部に好適に流入させることができ、インクガイド14の先端部分14aへのインクの供給性を向上させることができる。
つぎに、インクジェットヘッド10のインク液滴Rの吐出面と対面して配置される対向電極24について説明する。対向電極24は、図1(A)に示すように、インクガイド14の先端部分14aに対向する位置に配置され、接地される電極基板24aと、電極基板24aの図中下側の表面、すなわちインクジェットヘッド10側の表面に配置される絶縁シート24bで構成される。
この対向電極24の図中下側の表面、すなわち絶縁シート24bの表面に、記録媒体Pが例えば静電吸着によって保持される。対向電極24(絶縁シート24b)は、記録媒体Pのプラテンとして機能する。
対向電極24の絶縁シート24bに保持された記録媒体Pは、少なくとも記録時には、帯電ユニット26によって、吐出電極18に印加される駆動電圧と逆極性の所定の負の高電圧に帯電される。その結果、記録媒体Pは負帯電して負の高電圧にバイアスされ、吐出電極18に対する実質的な対向電極として作用し、かつ、対向電極24の絶縁シート24bに静電吸着される。
帯電ユニット26は、記録媒体Pを負の高電圧に帯電させるためのスコロトロン帯電器26aと、スコロトロン帯電器26aに負の高電圧を供給するバイアス電圧源26bとを有している。なお、本発明に用いられる帯電ユニット26の帯電手段としては、スコロトロン帯電器26aに限定されず、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針などの種々の放電手段を用いることができる。
また、図示例においては、対向電極24を電極基板24aと絶縁シート24bとで構成し、記録媒体Pを、帯電ユニット26によって負の高電圧に帯電させることにより、バイアス電圧を印加して対向電極として作用させ、かつ、絶縁シート24bの表面に静電吸着させているが、本発明はこれに限定されず、対向電極24を電極基板24aのみで構成し、対向電極24(電極基板24a自体)を負の高電圧のバイアス電圧源に接続して、負の高電圧に常時バイアスしておき、対向電極24の表面に記録媒体Pを静電吸着させるようにしても良い。
また、記録媒体Pの対向電極24への静電吸着と、記録媒体Pへの負の高電圧への帯電または対向電極24への負のバイアス高電圧の印加とを別々の負の高電圧源によって行っても良いし、対向電極24による記録媒体Pの保持は、記録媒体Pの静電吸着に限られず、他の保持方法や保持手段を用いても良い。
以上、本発明のインクジェットヘッド10の構造について詳細に説明した。つぎに、このような構造を有するインクジェットヘッドのインク吐出の動作について図1及び図5を用いて説明する。
図5に、画像データや印字データ等の描画信号(吐出データ信号)の波形と、吐出電極に印加される駆動電圧波形(パルス波形)と、ガード電極に印加される交流バイアス電圧の電圧波形A〜Dを示した。図5の上段に示した描画信号は、インクの吐出と非吐出の指示に利用され、この描画信号に基づいてインクの吐出が制御される。吐出電極に印加される駆動電圧(パルス電圧)の周期及びパルス幅は、図5に示すように、描画信号の周期及びパルス幅と同じである。また、吐出電極18に印加される駆動電圧Vpは、例えば、600[V]に設定される。吐出電極18に駆動電圧を印加しない場合は、吐出電極18は、例えば、0[V]に設定される。駆動電圧の電圧値は、上記値に限定されず、吐出電極18に駆動電圧を印加したときに確実にインクを吐出させることができれば、任意の電圧値に設定することができる。
図1(A)に示すインクジェットヘッドの記録動作時には、吐出電極18には、図5の駆動電圧波形に示すようなタイミングで駆動電圧が印加される。すなわち、描画信号に同期して、インクを吐出するための駆動電圧が印加される。インクの吐出を指示する描画信号(図中、onで示した信号)が、吐出電極18に接続された駆動電圧制御部33に供給されると、その描画信号と同じタイミングで吐出電極18に駆動電圧が印加される。これにより、吐出電極18からインクの吐出に作用する電界が発生し、吐出口28からインクが吐出される。
一方、インクの非吐出を指示する描画信号(図中、offで示した信号)が駆動電圧制御部に供給された場合には、吐出電極18には駆動電圧は印加されずに0[V]とされる。このため、吐出電極18からは吐出のための電界は発生しないので、吐出口28からインクは吐出されない。なお、インクジェットヘッド10のインクの吐出作用については、後に詳しく説明する。図5において、描画信号の1周期が記録媒体に1ドット又は1画素を形成するのに要する時間に相当する。
図5に示した駆動電圧波形においては、駆動電圧のパルス幅は、描画信号のパルス幅と同じ幅に設定しているが、これに限定されず、描画信号のパルス幅よりも長く又は短くしてもよい。このように、吐出電極18に印加する駆動電圧のパルス幅、すなわち、駆動電圧の印加時間を長く又は短く調整すれば、吐出口28から吐出させるインクの量を調整することができ、これにより、記録媒体に形成される1画素の階調を調整することができる。
つぎに、このような記録動作時にガード電極20に印加する交流バイアス電圧について図1(A)、図5、図6(A)及び(B)を参照しながら説明する。図5に示した電圧波形A〜Dは、それぞれ、ガード電極20に印加する交流バイアス電圧の例である。図6(A)は、吐出電極18に駆動電圧を印加したときの吐出口28の様子を模式的に示す図であり、図6(B)は、吐出電極18に駆動電圧が印加されていないとき(又は低電圧が印加されているとき)の吐出口28の様子を模式的に示した図である。
まず、電圧波形Aに従って交流バイアス電圧をガード電極10に印加した場合の動作について説明する。なお、以下の説明において、ガード電極20に印加する交流バイアス電圧(パルス電圧)の電圧波形はガード電極20に接続されたガード電極制御部35において生成される。図5に示すように、電圧波形Aに従えば、吐出電極18に印加される駆動電圧の信号と同じ周波数を有し、その位相は駆動電圧信号よりも180度遅延した交流バイアス電圧がガード電極に印加される。すなわち、吐出電極18に印加される駆動電圧信号と逆相の交流バイアス電圧信号がガード電極10に印加される。交流バイアス電圧の高電圧値Vghは、例えば、400[V]に設定され、低電圧値Vglは、例えば、100[V]に設定される。ガード電極20には、インクの吐出及び非吐出に係わらず、高電圧Vghと低電圧Vglが、一定の周期で交互に切り替わって印加される。
図5に示した電圧波形Aに従ってガード電極20に印加する交流バイアス電圧を制御した場合、吐出電極18に駆動電圧が印加されている間、すなわちインクを吐出する間(以下、インク吐出時という)は、ガード電極20には低電圧のバイアス電圧が印加される。このとき、吐出口28には、吐出電極18とガード電極20の電圧差に応じた電界Eが形成される。吐出電極18の方がガード電極20よりも高電圧レベルにあるので、吐出電極18とガード電極20の電界Eによって、吐出口28のインク中の色材粒子には、図6(A)に示すように、対向電極24に向かう向き(インクの吐出方向)の静電力Fが作用する。このため、吐出口28のインクのメニスカスMの位置が対向電極24に向かって上昇し、インクが吐出しやすい状態となる。そして、インクガイド14の先端部分14aのインクが、対向電極24による引力によって引きつけられ、そのインクの一部がインク液滴となって対向電極24に向かって吐出する。これにより、対向電極24に配置されている記録媒体の表面にインク液滴のドットが形成される。このように、吐出電極18に駆動電圧を印加すると同時に、ガード電極20に低電圧のバイアス電圧を印加して、インクが吐出されやすい状態にするので、インク液滴の吐出の遅れが発生することなく速やかにインクが吐出され、吐出応答性が高められる。
一方、図5の電圧波形Aに示すように、吐出電極18への駆動電圧の印加を終了し、吐出電極18が0[V]になると(以下、停止時という)、交流バイアス電圧は低電圧から高電圧に変化する。すなわち、ガード電極20には高電圧のバイアス電圧が印加される。このとき、吐出口28には、吐出電極18とガード電極20との電圧差に応じた電界Eが形成される。ここでは、吐出電極18よりもガード電極20の方が高電圧レベルにあるので、吐出電極18とガード電極20の電界Eによって、吐出口28のインクに含まれる色材粒子には、対向電極24に向かう向きと逆向きの静電力Fが作用する。このため、吐出口28のインクのメニスカスMは、対向電極24に向かう向きの上記静電力Fが作用している場合に比べてインク流路30側(図中、下向き)に抑えられ、吐出口28からインク液滴が吐出しにくい状態になっている。このように、吐出電極18に印加する駆動電圧が0[V](低電圧レベル)になると同時に、ガード電極20に高電圧のバイアス電圧を印加して、吐出口28からインクが吐出されにくい状態にすることにより、インク吐出後のインク液滴の切れ(液切れ性)が向上する。
以上説明したように、図5の電圧波形Aに基づいてガード電極20に交流バイアス電圧を印加した場合には、インクの吐出前に、ガード電極20に高電圧のバイアス電圧が印加され、対向電極24に向かう向きと逆向きの静電力が吐出口20のインクのメニスカスMに働き、インクが吐出しにくい状態になる。一方、インクを吐出する際には、吐出電極18に駆動電圧が印加されるとともに、ガード電極20に低電圧のバイアス電圧が印加され、対向電極24に向かう向きの静電力が吐出口20のインクのメニスカスMに働く。このようにガード電極20に印加する交流バイアス電圧を制御すれば、吐出電極18に駆動電圧が印加される直前までは、対向電極に向かう向きと逆向きの静電力によって吐出口28からインクが吐出しないように、インクのメニスカスを抑えておくことができる。そして、駆動電圧が印加されると同時又は略同時に吐出口28のインクのメニスカスを開放させることができる。こうして、吐出電極18への駆動電圧の印加と同時又は略同時に、吐出口28からインクを速やかに吐出させることができる。
また、ガード電極20に電圧波形Aに示したような交流バイアス電圧を印加した場合には、吐出電極18に印加する駆動電圧が低くても、インクの吐出と非吐出を確実に制御することができる。それゆえ、低駆動電圧で高いディスクリの安定したインクの吐出を実現することができ、駆動電圧の周波数を更に高めることができる。
また、インクの非吐出時にも交流バイアス電圧が印加されるので、吐出口28のインク中の色材粒子が揺動し、インクの過濃縮による目詰まりも防止することができる。
以上の説明から分かるように、吐出電極18に印加される駆動電圧にも依存するが、基本的には、ガード電極20に印加するバイアス電圧の大きさに応じて、吐出口28に形成されるインクのメニスカスの状態が変化する。すなわち、ガード電極20に印加するバイアス電圧を高くすると、ガード電極20から発生する電界が強くなるので、吐出口28のインクに作用する静電力も強くなる。その結果、吐出口20に形成されるインクのメニスカスがインク流路30側に抑えこまれ、吐出口29のインクは吐出しにくい状態となる。一方、ガード電極20に印加するバイアス電圧を低くした場合には、ガード電極20から発生する電界が弱くなり、インクに作用する静電力も弱くなる。その結果、吐出口28に形成されるインクのメニスカスが開放され、吐出口28からインクが吐出しやすくなる。このように、本発明では、ガード電極20に交流バイアス電圧を印加するとともに、その交流バイアス電圧を制御して、吐出口28に形成されるインクのメニスカスの状態を調整し、これによりインクの吐出性を制御する。前述したように、ガード電極20は、隣接する吐出電極間の電界干渉を防止する機能に加え、交流バイアス電圧が印加されることによって吐出口に形成されるメニスカスの状態を調整してインクの吐出性を調整する機能をも有している。
つぎに、図5に示す電圧波形Bに従ってガード電極20に交流バイアス電圧を印加した場合の動作について説明する。図5に示す電圧波形Bは、吐出電極18に印加される駆動電圧信号と位相が異なっている場合であり、電圧波形Aよりも位相が進んでいる場合である。電圧波形Bにおいては、ガード電極20に印加する交流バイアス電圧の立ち下がりが、駆動電圧の立ち上がりよりも先行している。また、交流バイアス電圧の立ち上がりも駆動電圧の立ち下りよりも先行している。
この電圧波形Bに従ってガード電極20に交流バイアス電圧を印加した場合は、吐出電極18に駆動電圧が印加されるのに先立って、ガード電極20に低電圧のバイアス電圧が印加される。これにより、インク吐出前の吐出口28のインクは、ガード電極20に高電圧のバイアス電圧が印加されている場合に比べて、吐出口28から吐出されやすい状態となる。そして、この状態で、吐出電極18にインクを吐出させるための駆動電圧を印加するので、駆動電圧の印加と同時又は略同時に吐出口28からインクが吐出される。このように、インクの吐出に先立ってガード電極20に低電圧のバイアス電圧を印加して、インクを吐出しやすい状態としているので、上記電圧波形Aに従ってガード電極20に交流バイアス電圧を印加した場合と比較して、インクの吐出遅れを、より一層効果的に防止することができる。
また、電圧波形Bに従えば、吐出電極18への駆動電圧の印加を終了する直前、すなわち、インクの吐出を停止する直前に、ガード電極20に高電圧のバイアス電圧が印加される。このように、インクの吐出を停止する直前に、ガード電極20に高電圧のバイアス電圧が印加されると、前述したように、吐出口28のインクは、吐出口28から吐出されにくくなる。このようにインクが吐出しにくい状態にしておいてから、吐出電極18への駆動電圧の印加を終了させるので、意図しないインク液滴の吐出やインク吐出後のインク液滴の切れ(液切れ性)が、電圧波形Aに従ってガード電極20に交流バイアス電圧を印加する場合よりも一層向上する。
以上の説明から分かるように、電圧波形Bに従ってガード電極20に交流バイアス電圧を印加すれば、吐出電極18への駆動電圧の印加と同時又は略同時にインクが吐出され、駆動電圧の印加の終了と同時又は略同時にインク液滴の吐出が停止するので、インク吐出遅れを一層防止することができるとともに、インク液滴の液切れを一層向上させることができる。
つぎに、図5に示した電圧波形Cに従ってガード電極20に交流バイアス電圧を印加した場合の動作について説明する。
図5の電圧波形Cは、ガード電極20に印加する交流バイアス電圧の高電圧の印加時間(パルス幅)を、電圧波形Aよりも短くした例である。この電圧波形Cでは、上記電圧波形Bと同様に、ガード電極20に印加するバイアス電圧の立ち下がりが、駆動電圧の立ち上がりよりも先行している。一方、バイアス電圧の立ち上がりは駆動電圧の立ち下りと一致している。この例では、吐出電極18への駆動電圧の印加に先立って、すなわち、インクの吐出に先立って、ガード電極20に印加するバイアス電圧を高電圧から低電圧に切り替えているので、電圧波形Bの説明において述べたように、インクの吐出遅れを防止することができる。また、駆動電圧の印加の終了と同時に、高電圧のバイアス電圧を印加するので、従来よりもインクの切れを向上させることができる。
次いで、図5に示す電圧波形Dに従ってガード電極20に交流バイアス電圧を印加した場合の動作について説明する。
図5に示す電圧波形Dは、ガード電極20に印加する交流バイアス電圧の高電圧の印加時間(パルス幅)を、電圧波形Aよりも長くした例である。この電圧波形では、交流バイアス電圧の立ち下がりが、吐出電極18に印加する駆動電圧の立ち上がりと一致している。一方、交流バイアス電圧の立ち上がりは駆動電圧の立ち下りよりも先行している。この例では、駆動電圧に印加の終了に先立って、ガード電極20に印加するバイアス電圧を低電圧から高電圧に切り替えているので、電圧波形Bの説明において述べたように、インクの切れを一層向上させることができる。また、吐出電極18への駆動電圧の印加と同時に、ガード電極20に印加するバイアス電圧が高電圧から低電圧に切り替えられるので、インクの吐出遅れを防止することができる。
以上、ガード電極20に交流バイアス電圧を印加した場合のインクジェットヘッドのインク吐出の動作について説明した。上記説明において示した交流バイアス電圧の電圧波形A〜Dは一例であり、インク吐出の動作のときは、インクが吐出しやすいようにメニスカスを開放し、インクの吐出動作以外のとき(非吐出時)はインクが吐出しにくいように、メニスカスを抑えることができるのであれば、種々の電圧波形を生成することができる。また、交流バイアス電圧の電圧値も上記電圧値に限定されず、ガード電極20に交流バイアス電圧を印加しただけでインクが吐出することがなければ、任意の電圧値にすることができる。
図5に示した電圧波形では、矩形波を用いたが、これに限定されず、正弦波、三角波、台形波などを用いてもよい。
図5に示した交流バイアス電圧の電圧波形A〜Dに従えば、描画信号にかかわらず、すなわちインクの吐出と非吐出にかかわらず、ガード電極20に高電圧と低電圧のバイアス電圧が交互に繰り返し印加される。すなわち、インクを吐出させない場合であっても、ガード電極20には高電圧と低電圧のバイアス電圧が印加される。それゆえ、インクの非吐出時に、吐出口のインク中の色材粒子及びメニスカスが揺動し、インクの過濃縮による目詰まりを防止することができる。
本発明者が特願2003−203824号に開示した方法では、図1(A)に示す対向電極24に交流バイアス電圧を印加して、吐出口24のインクの色材粒子及びメニスカスを揺動させて目詰まりを防止している。ところが、対向電極24が、吐出電極18から比較的離れているために、対向電極24に印加する交流バイアス電圧の周波数を高めたとき、つまり、駆動周波数が高くなったときに、対向電極24と吐出電極18との間に発生する電界がその周波数に追従できず、吐出口のインク中の色材粒子及びメニスカスを十分に揺動させることができなくなる恐れがある。一方、本発明では、交流バイアス電圧が印加されるガード電極20は、吐出電極18と近接しているので、交流バイアス電圧の周波数を高めても、確実に吐出口28のインク中の色材粒子及びメニスカスを揺動させることができ、目詰まりをより一層効果的に防止することができる。
また、ガード電極を駆動させるための制御部を設けるだけでよいので、駆動回路全体のコストを大幅に低減することができる。
以上、インクジェットヘッドのガード電極20に交流バイアス電圧を印加したときの動作について説明した。
つぎに、インクジェットヘッド10におけるインク液滴Rの吐出作用を説明することにより、本発明について、より詳細に説明する。
図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10では、図示しないポンプ等を含むインク循環機構により、記録時に吐出電極18に印加される電圧と同極性、例えば、正(+)に帯電した色材粒子を含むインクQが、インク流路30の内部を矢印方向(図中左から右方向)に循環している。
他方、記録に際して、記録媒体Pは、対向電極24に供給され、帯電ユニット26によって色材粒子と逆極性すなわち負の高電圧(一例として、−1500[V])に帯電されて、バイアス電圧を帯電した状態で、対向電極24に静電吸着される。
この状態で、記録媒体P(対向電極24)とインクジェットヘッド10とを、相対的に移動しつつ、供給された画像データに応じて駆動電圧制御部33で吐出電極18にパルス電圧(以下、駆動電圧という)が印加されるように制御する。そして、基本的には、駆動電圧の印加on/offによって吐出をon/offすることにより、画像データに応じてインク液滴Rを変調して吐出し、記録媒体P上に画像を記録する。
ここで、吐出電極18に駆動電圧を印加していない状態(あるいは、印加電圧が低電圧レベルである状態)、すなわち、対向電極24にバイアス電圧が印加されている状態では、インクQには、対向電極24とインクQの色材粒子(荷電粒子)との間に作用するクーロン引力、色材粒子間のクーロン反発力、キャリア液の粘性、表面張力、誘電分極力等が作用している。そして、これらの力が連成して、色材粒子やキャリア液が移動し、図1(A)に概念的に示すように、インクQは、吐出口28から若干盛り上がったメニスカス状となってバランスが取れている。このとき、前述したように、吐出電極18に駆動電圧を印加していない状態では、基本的には、ガード電極20には高電圧のバイアス電圧が印加されている。すなわち、ガード電極20から吐出電極18に向かう電界が発生している。それゆえ、対向電極20に向かう静電力は、ガード電極20にバイアス電圧を印加していない場合に比べて、このガード電極20から発生する電界の分だけ小さくなっている。すなわち、吐出口28からインクが吐出しにくい状態になっている。そして、この対向電極20に向かう静電力によるクーロン引力等の連成によって、その色材粒子は、いわゆる電気泳動で、対向電極24によって帯電させられた記録媒体Pの側に向かって移動する。したがって、吐出口28に形成されたメニスカスMにおいては、インクQが濃縮された状態となっている。このように、インクが吐出しにくい状態を維持しつつインクを吐出口28で濃縮させている。
この状態から、吐出電極18には駆動電圧が印加される。このとき、前述したように、ガード電極20には、低電圧のバイアス電圧が印加される。これにより、インクには、バイアス電圧が印加された対向電極からの作用に、駆動電圧が印加された吐出電極からの作用と交流バイアス電圧が印加されたガード電極からの作用とが重畳され、先の連成に、さらにそれらの作用の重畳によって連成された運動が起こる。そして、吐出電極18への駆動電圧の印加とガード電極20への交流バイアス電圧の印加によって発生する電界によって色材粒子及びキャリア液には静電力が作用する。その静電力によって色材粒子およびキャリア液がバイアス電圧(対向電極)側、すなわち記録媒体P側に引っ張られ、吐出口28に形成されたメニスカスMが上方に向かって成長し、吐出口28の上方に略円錐状のインク液柱いわゆるテーラーコーンが形成される。また、先と同様に、色材粒子は、電気泳動、及び、吐出電極からの電界によってメニスカスに移動しており、メニスカスのインクQは濃縮され、色材粒子を多数有する、ほぼ均一な高濃度状態となっている。
吐出電極18への駆動電圧の印加開始後、さらに有限な時間が経過すると、色材粒子の移動等により、電界強度の高いメニスカスの先端部分で、主に色材粒子とキャリア液の表面張力とのバランスが崩れ、メニスカスが急激に伸びて、曳糸と呼ばれる直径数μm〜数十μm程度の細長いインク液柱が形成される。
さらに有限な時間が経過すると曳糸が成長し、この曳糸の成長、レイリー/ウエーバー不安定性によって発生する振動、メニスカス内における色材粒子の分布不均一、メニスカスにかかる静電界の分布不均一等の相互作用によって曳糸が分断される。そして、分断された曳糸が、インク液滴Rとなって吐出され、記録媒体Pに向かって飛翔し、かつ、対向電極のバイアス電圧にも引っ張られて、記録媒体Pに着弾する。なお、曳糸の成長および分断は、さらにはメニスカス(曳糸)への色材粒子の移動は、駆動電圧の印加中は連続して発生する。したがって、駆動電圧を印加する時間を調整することによって、1画素または1ドット当たりのインク液滴の吐出量を調整することができる。
また、駆動電圧の印加を終了(吐出off)した時点で、対向電極24とガード電極20にバイアス電圧が印加された先のメニスカスの状態に戻る。
ここで、本実施形態のインクジェットヘッドにおいては、図1(A)及び(B)に示したように、吐出電極18はインク流路30に露出して、インクQと接液している。このため、インク流路30においてインクQと接液する吐出電極18に駆動電圧を印加(吐出on)すると、吐出電極18に供給された電荷の一部がインクQに注入され、吐出口28と吐出電極18との間に位置するインクQの電導度が高くなる。したがって、本実施形態のインクジェットヘッド10においては、インクQは、吐出電極18に駆動電圧が印加された時(吐出on時)に、インク液滴Rを吐出しやすい状態となっている(吐出性が向上している)。そして、この状態で、上述した吐出原理に従ってインクが吐出されるので、記録媒体に高画質の画像を形成することができる。
更には、本実施の形態では、インクジェットヘッド10の吐出口28をインク流方向に細長い長穴形状としているので、インクが吐出口28の内部に流れ込みやすくなり、吐出口28へのインクの供給性が高くなっている。このため、インクガイド先端14aへのインクの粒子供給性も向上する。したがって、画像記録時の吐出周波数を高めて、高速で連続的にインク液滴を吐出させたとしても、記録媒体に所望のサイズのドットが安定して形成される。本発明によれば、画像の出力時間を考慮すると、5kHz、好ましくは、10kHz、より好ましくは15kHzの吐出周波数を実現することができる。更には、吐出口28のアスペクト比を1以上にすることにより、インクの流れがスムーズになり、吐出口28での目詰まりを防止することができる。
つぎに、本発明のインクジェットヘッド10に用いられるインクについて説明する。
インクQは、色材粒子をキャリア液に分散することにより得られる。キャリア液は、高い電気抵抗率(109 Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上)を有する誘電性の液体(非水溶媒)であるのが好ましい。キャリア液の電気抵抗が低いと、制御電極に印加される駆動電圧により、キャリア液自身が電荷注入を受けて帯電してしまい、色材粒子の濃縮がおこらない。また、電気抵抗の低いキャリア液は、隣接する制御電極間での電気的導通を生じさせる懸念もあるため不向きである。
キャリア液として用いられる誘電性液体の比誘電率は、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、キャリア液中の色材粒子に有効に電界が作用し、泳動が起こりやすくなる。
なお、このようなキャリア液の固有電気抵抗の上限値は1016Ω・cm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。キャリア液の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
キャリア液として用いられる誘電性液体としては、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、および、これらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル(例えば、信越シリコーン社製KF−96L)等を単独あるいは混合して用いることができる。
このようなキャリア液に分散される色材粒子は、色材自身を色材粒子としてキャリア液中に分散させてもよいが、好ましくは、定着性を向上させるための分散樹脂粒子を含有させる。分散樹脂粒子を含有させる場合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分散樹脂粒子を着色して着色粒子とする方法などが一般的である。
色材としては、従来か流路クジェットインク組成物、印刷用(油性)インキ組成物、あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であればどれでも使用可能である。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
さらに、分散樹脂粒子としては、例えば、ロジン類、ロジン変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニールアルコールのアセタール変性物、ポリカーボネート等を挙げられる。
これらのうち、粒子形成の容易さの観点から、重量平均分子量が2,000〜1000,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜5.0の範囲内であるポリマーが好ましい。さらに、前記定着の容易さの観点から、軟化点、ガラス転移点または、融点のいずれか1つが40℃〜120℃の範囲内にあるポリマーが好ましい。
インクQにおいて、色材粒子の含有量(色材粒子あるいはさらに分散樹脂粒子の合計含有量)は、インク全体に対して0.5〜30重量%の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは1.5〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の範囲で含有されることが望ましい。色材粒子の含有量が少なくなると、印刷画像濃度が不足したり、インクQと記録媒体P表面との親和性が得られ難くなって強固な画像が得られなくなったりするなどの問題が生じ易くなり、一方、含有量が多くなると均一な分散液が得られにくくなったり、インクジェットヘッド等でのインクQの目詰まりが生じやすく、安定なインク吐出が得られにくいなどの問題が生じるからである。
また、キャリア液に分散された色材粒子の平均粒径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.4〜1.0μmである。この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
色材粒子をキャリア液に分散させた後(必要に応じて、分散剤を使用しても可)、荷電制御剤をキャリア液に添加することにより色材粒子を荷電して、荷電した色材粒子をキャリア液に分散してなるインクQとする。なお、色材粒子の分散時には、必要に応じて、分散媒を添加してもよい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
なお、色材粒子は、制御電極に印加される駆動電圧と同極性であれば、正電荷および負電荷のいずれに荷電したものであってもよい。
また、色材粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
また、荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化することもあるため、下記に定義する分配率Pを、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上とする。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクQの電気伝導度、σ2は、インクQを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5[V]、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクQを用いることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
インクQの電気伝導度は、100〜3000pS/cmが好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、さらに好ましくは200〜2000pS/cmである。以上のような電気伝導度の範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。
また、インクQの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/m、さらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクQの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
このようなインクQは、一例として、色材粒子をキャリア液に分散して粒子化し、かつ、荷電調整剤を分散媒に添加して、色材粒子に荷電を生じさせることで、調製できる。具体的な方法としては、以下の方法が例示される。
(1)色材あるいはさらに分散樹脂粒子をあらかじめ混合(混練)した後、必要に応じて分散剤を用いてキャリア液に分散し、荷電調整剤を加える方法。
(2)色材、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、キャリア液に同時に添加して、分散し、荷電調整剤を加える方法。
(3)色材および荷電調整剤、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、同時にキャリア液に添加して、分散する方法。
図7に、本発明のインクジェットヘッドの制御方法を実施するインクジェットヘッドを利用する、本発明のインクジェット記録装置の一実施例の概念図を示す。
同図に示すインクジェット記録装置60(以下、プリンタ60とする)は、記録媒体Pに片面4色印刷を行う装置で、記録媒体Pの搬送手段、画像記録手段、および溶媒回収手段を有するものであり、これらを筐体61に収容して構成される。
また、搬送手段は、フィードローラ対62、ガイド64、ローラ66(66a,66bおよび66c)、搬送ベルト68、搬送ベルト位置検知手段69、静電吸着手段70、除電手段72、剥離手段74、定着・搬送手段76およびガイド78を有する。画像記録形成手段は、ヘッドユニット80、インク循環系82、ヘッドドライバ84、および記録媒体位置検出手段86を有する。さらに、溶媒回収手段は、排出ファン90および溶媒回収装置92を有する。
記録媒体Pの搬送手段において、フィードローラ対62は、筐体61の側面に設けられた搬入口61aに隣接して設けられた搬送ローラ対である。フィードローラ62は、図示しないストッカから供給された記録媒体Pを、搬送ベルト68(ローラ66aに支持される部分)に送り込む。ガイド64は、フィードローラ対62と搬送ベルト68を支持するローラ66aとの間に設けられ、記録媒体Pを搬送ベルト68に案内する。
なお、フィードローラ対62の近傍には、記録媒体Pに付着した塵埃や紙粉等異物を除去する異物除去手段を設けるのが好ましい。
異物除去手段としては、公知の吸引除去、吹き飛ばし除去、静電除去等の非接触法や、ブラシ、ローラ等による接触法によるものの1以上を組み合わせて使用すればよい。また、フィードローラ対62を微粘着ローラとし、さらにフィードローラ対62のクリーナを設けて、フィードローラ対62による記録媒体Pのフィード時に塵埃・紙粉等の異物の除去を行っても良い。
搬送ベルト68は、3つのローラ66に張架されるエンドレスベルトである。また、ローラ66a,66bおよび66cのうち少なくとも1つは、図示されない駆動源と連結されており、搬送ベルト68を回転させる。
搬送ベルト68は、ヘッドユニット80による画像記録時には、記録媒体Pの走査搬送手段に加え、記録媒体Pを保持するプラテンとして機能し、さらに、画像記録後、定着・搬送手段76まで搬送する。従って、搬送ベルト68は、寸法安定性に優れ、耐久性を有する材料で形成されるのが好ましく、例えば、金属、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、その他の樹脂およびそれらの複合体で形成される。
図示例においては、記録媒体Pは、静電吸着によって搬送ベルト68上に保持されるので、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持する側(表面)が絶縁性、ローラ66と接する側(裏面)が導電性を有する。また、図示例においては、ローラ66aは導電性ローラとされ、搬送ベルト68の裏面は、ローラ66aを介して接地されている。
すなわち、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持するとき、図1(A)に示す電極基板24aと絶縁シート24bからなる対向電極24として機能するものである。
このような搬送ベルト68としては、金属ベルトの表面側にフッ素樹脂コートを行ったもの等、金属ベルトに上記のいずれかの樹脂材料でコーティングしたベルト、接着剤等で樹脂シートと金属ベルトを張り合わせたベルト、上記の樹脂から成るベルトの裏面に金属蒸着したベルト等、各種の方法により作製された、金属層と絶縁物層とを有するベルトを用いればよい。
また、搬送ベルト68の記録媒体Pに接する表面は平滑であるのが好ましく、これにより、記録媒体Pの良好な吸着性が得られる。
搬送ベルト68は、公知の方法により蛇行が抑制されているのが好ましい。蛇行抑制の方法としては、例えば、ローラ66cをテンションローラとし、搬送ベルト位置検知手段69の出力、すなわち搬送ベルト68の幅方向の検知位置に応じて、ローラ66cの軸をローラ66aおよびローラ66bの軸に対して傾けることにより、搬送ベルトの幅方向の両端でテンションを変えて蛇行を抑制する方法等が例示される。また、ローラ66をテーパ形やクラウン形、あるいはその他の形状とすることで、蛇行を抑制してもよい。
ここで、搬送ベルト位置検知手段69は、上述のように、搬送ベルトの蛇行などを抑制すると共に、画像記録時の記録媒体Pの走査搬送方向の位置を所定位置に規制するために、搬送ベルト68の幅方向の位置を検知するもので、フォトセンサ等の公知の検知手段が用いられる。
静電吸着手段70は、記録媒体Pに、ヘッドユニット80(本発明のインクジェットヘッド)に対する所定のバイアス電圧を印加するとともに、静電力により搬送ベルト68に吸着させて保持するために、記録媒体Pを所定の電位に帯電させるものである。
図示例おいては、静電吸着手段70は、記録媒体Pを帯電させるスコロトロン帯電器70aと、スコロトロン帯電器70aに接続される負の高圧電源70bとを有する。記録媒体Pは、フィードローラ対62および搬送ベルト68によって搬送されつつ、負の高圧電源70bに接続されたスコロトロン帯電器70aにより、負のバイアス電圧を帯電され、かつ、搬送ベルト68の絶縁層に静電吸着される。
なお、記録媒体Pを帯電する際の搬送ベルト68の搬送速度は、安定に帯電できる範囲であれば良く、画像記録時の搬送速度と同じでも異なっていても良い。また、記録媒体Pを複数回周回させることによって、同一の記録媒体Pに静電吸着手段を複数回作用させ、均一帯電を行っても良い。
なお、図示例では、静電吸着手段70で記録媒体Pの静電吸着および帯電を行っているが、静電吸着手段と帯電手段とを別々に設けてもよい。
静電吸着手段は、図示例のスコロトロン帯電器70aに限定されず、他にも、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針等、種々の手段や方法が利用できる。また、後に詳述するように、ローラ66の少なくとも1つを導電性ローラとし、あるいは、記録媒体Pへの記録位置において搬送ベルト68の裏面側(記録媒体Pと逆側)に導電性プラテンを配置し、この導電性ローラ、または導電性プラテンを負の高圧電源に接続することにより、静電吸着手段70を構成してもよく、あるいは搬送ベルト68を絶縁性ベルトとし、導電性ローラを接地し、導電性プラテンを負の高圧電源に接続する構成としても良い。
静電吸着手段70によって帯電された記録媒体Pは、搬送ベルト68によって後述するヘッドユニット80の位置まで搬送される。
ヘッドユニット80は、前記本発明のインクジェットヘッドの制御方法を実施するインクジェットヘッドを用いて、画像データに応じてインク液滴を吐出して、記録媒体Pに画像を記録する。ここで、本発明のインクジェットヘッドは、記録媒体Pの帯電電位をバイアス電圧とし、吐出電極18に駆動電圧を印加することにより、バイアス電圧に駆動電圧を重畳し、インク液滴Rを吐出し、記録媒体Pに画像を記録するのは、前述のとおりである。この際、搬送ベルト68の加熱手段を設け、記録媒体Pの温度を高めることで、記録媒体P上におけるインク液滴Rの定着を促進することができ、滲みをより一層抑制して画質の向上を図ることができる。
なお、ヘッドユニット80等による画像記録に関しては、後に詳述する。
画像が記録された記録媒体Pは、除電手段72により除電され、剥離手段74により搬送ベルト68より剥離されて定着・搬送手段76へ搬送される。
図示例において、除電手段72は、コロトロン除電器72aと、交流電源72bと、一端が接地された直流高圧電源72cとを有する、いわゆるACコロトロン除電器である。なお、除電手段は、これ以外にも、例えばスコロトロン除電器、固体チャージャ、放電針等の種々の手段や方法などが利用でき、また、上述の静電吸着手段70のように、導電性ローラや導電性プラテンを用いる構成も好適に使用される。
剥離手段74としては、剥離用ブレード、逆回転ローラ、エアナイフ等公知の技術が利用可能である。
搬送ベルト68から剥離された記録媒体Pは、定着・搬送手段76に送られ、インクジェットによって形成された画像が定着される。定着・搬送手段76としてヒートローラ76aおよび搬送ローラ76bからなるローラ対を用い、記録媒体Pを挟持搬送しつつ、記録された画像を加熱定着する。
画像が定着された記録媒体Pは、ガイド78に案内されて図示しない排紙ストッカに排紙される。
加熱定着手段としては、上述のヒートロール定着以外に、赤外線またはハロゲンランプやキセノンフラッシュランプによる照射、あるいはヒータを利用した熱風定着等の一般的な加熱定着を挙げることができる。また、加熱定着・搬送手段76においては、加熱手段は、加熱のみを行うものとし、搬送手段と加熱定着手段とを別々に設けてもよい。
なお、加熱定着の場合、記録媒体Pとして、コート紙やラミネート紙を用いた場合には、急激な温度上昇により紙内部の水分が急激に蒸発し紙表面に凹凸が発生する、ブリスターと呼ばれる現象が生じる可能性がある。これを防止するために、複数の定着器を配置し、記録媒体Pが徐々に昇温するように、各定着器の電力供給および記録媒体Pまでの距離の一方または両方を変えるのが好ましい。
なお、プリンタ60においては、少なくともヘッドユニット80による画像記録から、定着・搬送手段76による定着を終了するまでは、記録媒体Pの画像記録面には何も接触しないように構成するのが好ましい。
また、定着・搬送手段76における定着の際の記録媒体Pの移動速度には、特に限定はなく、画像形成時の搬送ベルト68による搬送速度と同じであっても良いし、異なっていても良い。画像形成時の搬送速度と異なる場合には、定着・搬送手段76の直前に記録媒体Pの速度バッファを設けるのも好ましい。
以下、プリンタ60における画像記録について詳述する。
前述のように、プリンタ60の画像記録手段は、インクジェットを吐出するヘッドユニット80、ヘッドユニット80にインクQの供給および回収を行うインク循環系82、図示されないコンピュータ、RIP(Raster Image Processor)等の外部機器からの出力描画信号によりヘッドユニット80を駆動するヘッドドライバ84、記録媒体Pにおける画像記録位置を決定するために記録媒体Pを検出する記録媒体位置検出手段86を有して構成される。
図7(B)は、ヘッドユニット80と、その周辺の記録媒体Pの搬送手段を模式的に示す斜視図である。
ヘッドユニット80は、フルカラー画像の記録を行うためのシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインク吐出に対応して、4つのインクジェットヘッド80aを有し、画像データを供給されたヘッドドライバ84からの信号に従って、インク循環系82によって供給されるインクQをインク液滴Rとして吐出して、搬送ベルト68によって所定速度で搬送されている記録媒体Pに画像を記録する。各色のインクジェットヘッド80aは、搬送ベルト68の搬送方向に配列されている。
なお、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッド80aは、本発明に従うインクジェットヘッドである。
図示例において、各インクジェットヘッド80aは、吐出口28が記録媒体Pの幅方向全域に配列されたラインヘッドであり、好ましくは、図2に示されるように、互いに千鳥状となるように配置された複数のノズル列を有するマルチチャンネルヘッドである。
従って、図示例においては、搬送ベルト68に記録媒体Pを保持させた状態で、ヘッドユニット80に対して記録媒体Pを搬送によって1回通過させるだけで、すなわち1回の走査搬送を行うのみで、記録媒体Pの全面に画像が形成される。従って、吐出ヘッドをシリアルスキャンする場合に比べて、高速での画像記録(描画)が可能となる。
なお、本発明のインクジェットヘッドは、いわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)にも利用可能であり、従って、プリンタ60も、この態様であってもよい。
この際においては、各インクジェットヘッドの吐出口28の列(単列でもマルチチャンネルでもよい)を搬送ベルト68の搬送方向と一致させてヘッドユニット80を構成し、ヘッドユニット80を記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に走査する走査手段を設ける。走査手段としては、既に知られた走査手段を用いることができる。
画像記録は、通常のシャトルタイプのインクジェットプリンタと同様に行えばよく、吐出口28の列の長さに応じて、搬送ベルト68によって記録媒体Pを間欠的に搬送しつつ、この間欠搬送に同期して、停止時にヘッドユニット80を走査して、記録媒体Pの全面に画像を記録する。
このようにして、ヘッドユニット80によって記録媒体Pの全面に形成された画像は、前述のように、記録媒体Pが定着・搬送手段76によって挟持搬送されることにより、定着・搬送手段76によって定着される。
ヘッドドライバ84は、外部装置から画像データを受け取り、種々の処理を行うシステム制御部(図示せず)から画像データを受け取り、その画像データに基づいてヘッドユニット80を駆動する。
このシステム制御部は、コンピュータやRIP、画像スキャナ、磁気ディスク装置、画像データ伝送装置等の外部装置から受け取った画像データに、色分解、適当な画素数や階調数への分割演算等を行って、ヘッドドライバ84がヘッドユニット80(インクジェットヘッド)を駆動するための画像データとする部位である。また、システム制御部は、搬送ベルト68による記録媒体Pの搬送タイミングに合わせたヘッドユニット80によるインクの吐出タイミングの制御を行う。吐出タイミングの制御は、記録媒体位置検出手段86からの出力や、搬送ベルト68または搬送ベルト68の駆動手段へ配置したエンコーダからの出力信号を利用して行われる。
なお、記録媒体位置検出手段86は、ヘッドユニット80によるインク液滴の吐出位置に搬送されてくる記録媒体Pを検出するためのもので、フォトセンサ等の既に知られた検出手段を用いることができる。
ここで、ヘッドドライバ84は、ラインヘッド適用時など、制御する吐出部の数(チャンネル数)が多数有る場合には、描画を分割し、公知の抵抗マトリクス型駆動法や抵抗ダイオードマトリクス型駆動法を用いてもよい。これにより、ヘッドドライバ84の使用IC数を低減することができ、コストを低下させると共に制御回路サイズを抑制することができる。
インク循環系82は、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッド80aのインク流路30(図1(A)参照)にインクQを流すためのもので、4色(C、M、Y、K)の各色のインクタンク、ポンプおよび補給用インクタンク(図示せず)等を有するインク循環装置82aと、インク循環装置82aのインクタンクからヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッドのインク流路30に各色のインクQを供給するインク供給系82bと、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッドのインク流路30からインクをインク循環装置82aに回収するインク回収系82cとを有する。
インク循環系82は、インク循環装置82aによって、インクタンクからインク供給系80bを介してヘッドユニット80に各色毎にインクQを供給し、かつ、インク供給系80cを介してヘッドユニット80から各色毎にインクQをインクタンクに回収して循環させることができればどのようなものでも良い。
インクタンクは、各色のインクQを貯留しており、インクQがポンプで汲み出されてヘッドユニット80へ送られる。ヘッドユニット80からインクが吐出されることにより、インク循環系82で循環しているインクの濃度が低下するので、インク循環系82では、インク濃度検出器によってインク濃度を検出し、それ応じて補給用インクタンクから適宜インクを補充して、インク濃度を所定の範囲に保つのが望ましい。
また、インクタンクには、インクの固形成分の沈殿・濃縮を抑制するための攪拌装置や、インクの温度変化を抑制するためのインク温度管理装置が備えられるのが好ましい。この理由は、温度管理をしないと、環境温度の変化等によりインク温度が変化して、インクの物性が変化することによりドット径が変化し、高画質な画像が安定して形成できなくなる可能性があるからである。
攪拌装置としては回転羽、超音波振動子、循環ポンプ等が使用できる。
インクの温度制御装置としてはヘッドユニット80、インクタンク、インク配管系等に、ヒータやペルチェ素子等の発熱素子または冷却素子を配し、温度センサ、例えばサーモスタットにより制御する方法等、公知の方法が使用できる。温度制御装置をインクタンク内に配置する場合には、温度分布を一定にするように攪拌装置と共に配するのがよい。また、タンク内の濃度分布を一定に保つための攪拌装置は、インクの固形成分の沈澱・濃縮の抑制するための攪拌装置と共用しても良い。
前述のように、プリンタ60は、排出ファン90および溶媒回収装置92からなる溶媒回収手段を有する。溶媒回収手段は、ヘッドユニット80から記録媒体P上に吐出されたインク液滴から蒸発するキャリア液、特にインク液滴によって形成された画像を定着する際に記録媒体Pから蒸発するキャリア液を回収する。
排出ファン90は、プリンタ60の筐体61内部の空気を吸い込んで溶媒回収装置92へ送るためのものである。
溶媒回収装置92は、溶媒蒸気吸収材を備えており、排出ファン90によって吸い込まれた溶媒蒸気を含む気体の溶媒成分をこの溶媒蒸気吸収材に吸着し、溶媒が吸着回収された後の気体をプリンタ60の筐体61外に排出する。溶媒蒸気吸収材としては、各種の活性炭などが好適に使用される。
上記では、C、M、Y、Kの4色のインクを用いてカラー画像を記録する静電式のインクジェット記録装置について説明したが、本発明はこれには制限されず、モノクロ用の記録装置であってもよいし、他の色、例えば淡色や特色のインクを任意の数だけ用いて記録するものであってもよい。その場合は、インク色数に対応する数のヘッドユニット80およびインク循環系82が用いられる。
また、以上の例では、いずれも、インク中の色材粒子を正帯電させ、記録媒体あるいは記録媒体Pの背面の対向電極を負の高電圧にして、インク液滴Rを吐出するインクジェットについて説明したが、本発明はこれには限定されず、逆に、インク中の色材粒子を負に帯電させ、記録媒体または対向電極を正の高電圧にして、インクジェットによる画像記録を行っても良い。このように、着色荷電粒子の極性を上記の例と逆にする場合には、静電吸着手段、対向電極、インクジェットヘッドの駆動電極への印加電圧極性等を上記の例と逆にすれば良い。
以上、本発明のインクジェットヘッド、インクジェットヘッドの制御方法及びインクジェット記録装置ついて詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんのことである。
(A)は本発明に従うインクジェットヘッドを模式的に示した断面図であり、(B)は吐出電極の平面構成を模式的に示した図である。 インクジェットヘッドの吐出口基板に複数の吐出口が二次元的に配列されている様子を模式的に示した図である。 マルチチャンネル構造のインクジェットヘッドのガード電極の平面構造を模式的に示した図である。 図1(A)に示したインク誘導堰の構造を説明するための模式的斜視図である。 描画信号と、吐出電極に印加する駆動電圧の電圧波形と、ガード電極に印加する交流バイアス電圧の電圧波形の関係を模式的に示す図である。 (A)は、吐出電極18に駆動電圧を印加したときの吐出口28の様子を模式的に示す図であり、(B)は、吐出電極18に駆動電圧が印加されていないとき(又は低電圧が印加されているとき)の吐出口28の様子を模式的に示した図である。 本発明のインクジェット記録装置の一例の概念図である。
符号の説明
10 インクジェットヘッド
12 ヘッド基板
14 インクガイド
14a 先端部分
16 吐出口基板
18 吐出電極
20 ガード電極
24 対向電極
24a 電極基板
24b 絶縁シート
26a スコロトロン帯電器
26b バイアス電圧源
28 各吐出口
30 インク流路
32 絶縁基板
33 駆動電圧制御部
34 絶縁層
35 ガード電極制御部
36 開口部
40 インク誘導堰
60 インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)
62 フィードローラ
64 ガイド
66 ローラ
66a、66b、66c ローラ
68 搬送ベルト
69 搬送ベルト位置検知手段
70 静電吸着手段
70a スコロトロン帯電器
70b 高圧電源
72 除電手段
72a コロトロン除電器
72b 交流電源
72c 直流高圧電源
76 定着・搬送手段
76a ヒートローラ
78 ガイド
80 ヘッドユニット
80a 各インクジェットヘッド
80b、80c インク供給系
82 インク循環系
82a インク循環装置
82b インク供給系
82c インク回収系
84 ヘッドドライバ
86 記録媒体位置検出手段
90 排出ファン
、E 電界
、F 静電力
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴

Claims (13)

  1. 静電力によってインク液滴を吐出させるインクジェットヘッドの制御方法であって、
    前記インクジェットヘッドは、前記インク液滴が吐出される複数の吐出口が形成された吐出口基板と、
    前記吐出口基板の前記複数の吐出口にそれぞれ対応して形成され、前記複数の吐出口のそれぞれに静電界を生成するための吐出電極と、
    隣接する前記吐出電極から発生する電界を遮るために、隣接する前記吐出口の間で、前記吐出電極よりもインク吐出側の位置に、前記吐出電極と絶縁された状態で前記吐出口基板に形成され、共通に制御されるガード電極とを有しており、
    前記吐出電極に描画信号に応じて駆動電圧を印加するとともに、前記吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数を有し、且つ第1電圧と当該第1電圧よりも低電圧の第2電圧とが交互に繰り返される交流バイアス電圧を前記ガード電極に印加するインクジェットヘッドの制御方法。
  2. 前記記録媒体に1ドットを形成する際の前記駆動電圧の信号に対して逆相になるように前記交流バイアス電圧を印加する請求項1に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
  3. 前記記録媒体に1ドットを形成する際の前記駆動電圧の信号に対して、位相及びパルス幅の少なくとも一方が異なるように前記交流バイアス電圧を印加する請求項1に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
  4. 前記吐出電極に前記駆動電圧が印加される直前に第2電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御する請求項3に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
  5. 前記吐出電極への前記駆動電圧の印加の終了前に第1電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御する請求項3又は4に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
  6. 前記インクは、少なくとも色材を含む帯電した微粒子を絶縁性の分散媒に分散してなるインクである請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
  7. 帯電した微粒子を含むインクを、静電力を利用して吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェットヘッドであって、
    前記インク液滴が吐出される複数の吐出口が形成された吐出口基板と、
    前記吐出口基板の前記複数の吐出口にそれぞれ対応して形成され、それぞれの吐出口に電界を発生させるための吐出電極と、
    隣接する前記吐出電極から発生する電界を遮るために、隣接する前記吐出口の間で、前記吐出電極よりもインク吐出側の位置に、前記吐出電極と絶縁された状態で前記吐出口基板に形成され、共通に制御されるガード電極と、
    前記ガード電極に接続され、前記吐出電極に印加する駆動電圧と同一の周波数を有し、且つ第1電圧と当該第1電圧よりも低電圧の第2電圧とが交互に繰り返される交流バイアス電圧を前記ガード電極に制御しつつ印加するためのガード電極制御部とを有するインクジェットヘッド。
  8. 前記ガード電極制御部は、前記記録媒体に1ドットを形成する際に前記吐出電極に印加される駆動電圧の信号に対して逆相になるように前記交流バイアス電圧を印加する請求項7に記載のインクジェットヘッド。
  9. 前記ガード電極制御部は、前記記録媒体に1ドットを形成する際に前記吐出電極に印加される駆動電圧の信号に対して位相及びパルス幅の少なくとも一方が異なるように前記交流バイアス電圧を印加する請求項7に記載のインクジェットヘッド。
  10. 前記ガード電極制御部は、前記吐出電極に前記駆動電圧が印加される直前に第2電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御する請求項9に記載のインクジェットヘッド。
  11. 前記ガード電極制御部は、前記吐出電極への前記駆動電圧の印加の終了前に第1電圧に切り替わるように、前記交流バイアス電圧の位相及びパルス幅の少なくとも一方を制御する請求項9又は10に記載のインクジェットヘッド。
  12. 前記インクは、少なくとも色材を含む帯電した微粒子を絶縁性の分散媒に分散してなるインクである請求項7〜11のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  13. 請求項7〜12のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
    前記インクジェットヘッドと前記記録媒体とを相対的に移動させるための移動手段とを備えるインクジェット記録装置。
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