JP2006264046A - インクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液切れ性が高く、かつ吐出応答性も高い、高速で安定して、高画質な画像の描画を行うことができるインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】インクに静電力を作用させて、インク液滴を吐出するインクジェットヘッドであって、インク液滴が吐出される吐出口が開口された吐出口基板と、吐出口基板と所定の間隔を離して配置され、吐出口基板との間にインク流路を形成するヘッド基板と、吐出口基板のヘッド基板と対向する面と逆側の面よりも前記インク流路側に、吐出口に対応して設けられた吐出電極とを有し、吐出電極は、少なくとも一部が前記吐出口を形成する壁面で囲まれた領域内に張り出していること。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクをインク液滴として吐出させるインクジェット記録の分野に属し、具体的には、インクに静電力を作用させて、インクをインク液滴として吐出させるインクジェットヘッド、およびこのインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録装置に関するものである。
インクに静電力を作用させてインク液滴を吐出させる、静電式のインクジェット記録方式としては、例えば、帯電した微粒子を含むインクを用い、画像データに応じて、インクジェットヘッドの吐出電極(駆動電極)に所定の電圧(駆動電圧)を印加することにより、静電力を利用してインクの吐出を制御し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する方式がある。このような静電式のインクジェット記録方法を用いる装置としては、例えば特許文献1に開示のインクジェット記録装置が知られている。
図11は、特許文献1に開示の静電式インクジェット記録装置のインクジェットヘッドの一例の概略構成図である。同図に示すインクジェットヘッド200は、特許文献1に開示のインクジェットヘッドの1つの吐出部のみを概念的に表したものであり、ヘッド基板202と、インクガイド204と、絶縁性基板(吐出口基板)206と、制御電極(吐出電極)208と、対向電極210と、DCバイアス電圧源212と、パルス電圧源214とを備えている。
ここで、インクガイド204はヘッド基板202の上に配置されており、絶縁性基板206には、インクガイド204の配置に対応する位置に貫通孔(吐出口)216が開孔されている。インクガイド204は、この貫通孔216を通過し、その凸状の先端部分204aが絶縁性基板206の記録媒体P側の表面よりも上部に突出している。また、ヘッド基板202と絶縁性基板206とは所定の間隔を離して配置されており、両者の間にはインクQの流路218が形成されている。
制御電極208は、各々の吐出部毎に、絶縁性基板206の記録媒体P側の面の表面に、貫通孔216の周囲を取り囲むようにリング状に設けられている。また、制御電極208は、画像デ−タに応じてパルス電圧を発生するパルス電圧源214に接続され、このパルス電圧源214は、DCバイアス電圧源212を介して接地されている。
また、対向電極210は、インクガイド204の先端部分204aに対向する位置に配置され、接地されている。記録媒体Pは、対向電極210のインクガイド204側の面の表面に配置されている。すなわち、対向電極210は、記録媒体Pを支持するプラテンとして機能する。
記録時には、図示していないインクの循環機構により、制御電極208に印加される電圧と同極性に帯電した微粒子(色材粒子)を含むインクQが、インク流路218内を図中右側から左側へ向かって循環される。また、DCバイアス電圧源212によって、例えば1.5kVの高電圧が制御電極208に常時印加される。この時、インク流路218内のインクQの一部は、毛細管現象などによって絶縁性基板206の貫通孔216を通り、インクガイド204の先端部分204aに濃縮される。
バイアス電圧源212によって1.5kVにバイアスされた制御電極208に対し、パルス電圧源214から、例えば0Vのパルス電圧が印加されると、制御電極208には両電圧が重畳された1.5kVが印加される。この状態では、インクガイド204の先端部分204a近傍の電界強度は比較的低く、インクガイド204の先端部分204aに濃縮された色材粒子を含むインクQはインクガイド204の先端部分204aからは飛び出さない。
一方、1.5kVにバイアスされた制御電極208に対し、信号電圧源214から、例えば500Vのパルス電圧が印加されると、制御電極208には両電圧が重畳された2kVが印加される。その結果、インクガイド204の先端部分204aに濃縮された色材粒子を含むインクQは、静電力によってその先端部分204aからインク液滴Rとして飛び出し、接地された対向電極210に引っ張られて記録媒体P上に付着し、色材粒子のドッドが形成される。
こうして、インクジェットヘッド200と対向電極210上に支持された記録媒体Pとを相対的に移動させながら色材粒子のドッドによって記録を行うことにより、記録媒体Pに、画像データに対応する画像が記録される。
特開平10−138493号公報
ところで、このように吐出口(貫通孔)216から静電力によりインク液滴を吐出させる静電式のインクジェット記録方式を用いる記録装置では、吐出時に吐出口216に形成されるメニスカスを高い状態に維持することで、インク液滴の吐出応答性を向上させることができる。
ここで、吐出口216に形成されるメニスカスは、吐出口216の開口面積を大きくすることで、高い状態に維持することができる。
しかしながら、吐出口216の開口面積を大きくすると、吐出口216での流路抵抗が小さくなってしまう。吐出口216での流路抵抗が小さくなると、吐出信号が停止しても、つまり、制御電極208に対し、信号電圧源214から500Vの電圧が印加された状態から、信号電圧源214から0Vの電圧が印加された状態になっても、インク液滴の吐出が停止しない、すなわち、液切れ性が劣化(低下)してしまう。このように、液切れ性が劣化してしまうと、インク液滴の誤吐出等が発生する可能性があるため、インク液滴の吐出の制御を安定して行うことができないという問題がある。
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、液切れ性が高く、かつ吐出応答性も高く、高速で安定した描画を行うことができるインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、インクに静電力を作用させて、インク液滴を吐出するインクジェットヘッドであって、前記インク液滴が吐出される吐出口が開口された吐出口基板と、前記吐出口基板と所定の間隔を離して配置され、前記吐出口基板との間にインク流路を形成するヘッド基板と、前記吐出口基板の前記ヘッド基板と対向する面と逆側の面よりも前記インク流路側に、前記吐出口に対応して設けられた吐出電極とを有し、前記吐出電極は、少なくとも一部が前記吐出口を形成する壁面で囲まれた領域内に張り出していることを特徴とするインクジェットヘッドを提供するものである。
ここで、前記吐出電極の前記吐出口を形成する壁面で囲まれた領域内に張り出している部分の面積S1と、前記吐出口の開口の開口面積S2との関係が、0.1≦S1/S2≦0.5を満たすことが好ましい。
また、前記吐出電極は、その一部が前記吐出口基板に埋設されている、前記吐出口基板の前記インク流路側の表面に付設されている、または、前記吐出口を形成する壁面に付設されていることが好ましい。
また、前記吐出電極の一部が、前記吐出口基板の前記インク流路側の面と同一平面内にあることが好ましい。
また、前記吐出口が、前記インク流路内を流れるインクの流れ方向を長辺とする形状異方性を有する形状であることが好ましい。
また、前記ヘッド基板の前記インク流路側の面に、インク流の上流側から前記吐出口に通じるインク流を形成するインク誘導堰を有することが好ましい。
また、前記吐出口基板は、前記吐出電極よりも前記記録媒体側の位置に、前記吐出電極と絶縁された状態で形成されたガード電極を備えることが好ましい。
さらに、前記ガード電極は、前記吐出口の周囲を囲むように開口が形成されていることが好ましい。
また、前記ガード電極に形成された開口と、前記吐出口とが略同一形状であることが好ましい。
また、前記ガード電極に形成された開口が、前記吐出口の前記記録媒体側の開口であることが好ましい。
さらに、前記ヘッド基板の前記吐出口基板側の前記吐出口の配置に対応する位置に配置され、前記吐出口を通過して、その先端部分が前記吐出口基板の前記ヘッド基板とは反対側の前記表面よりも突出するインクガイドを有することが好ましい。
また、本発明の第2の態様は、上記のいずれかに記載のインクジェットヘッドを用いて、画像データに応じた画像を記録媒体上に記録することを特徴とするインクジェット記録装置を提供するものである。
本発明によれば、吐出電極の少なくとも一部が前記吐出口を形成する壁面で囲まれた領域内に張り出した形状とすることで、吐出応答性を高くし、かつ液切れ性も高くすることができる。これにより、高画質な画像を安定して、高速で描画することができる。
さらに、吐出電極の少なくとも一部が前記吐出口を形成する壁面で囲まれた領域内に張り出した形状とすることで、吐出口内に形成される電界をより強い電界となり、吐出口への粒子供給性をより向上させることができ、吐出応答性をより向上させることができる。
以下、本発明のインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置について、添付の図面に示される好適な態様に基づいて詳細に説明する。
図1(A)に、本発明に従うインクジェットヘッドの概略構成の断面を模式的に示し、図1(B)に、図1(A)に示した吐出口基板16の上面図を示す。図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10は、ヘッド基板12と、インクガイド14と、吐出口28が形成された吐出口基板16とを有する。吐出口基板16には、吐出口28に臨むように吐出電極18が配置されている。インクジェットヘッド10のインク吐出側の面(図中、上面)に対面する位置に、記録媒体Pを支持する対向電極24と、記録媒体Pの帯電ユニット26が配置される。
また、ヘッド基板12と吐出口基板16は、互いに対面した状態で所定間隔離間して配置される。ヘッド基板12と吐出口基板16の間に形成される空間によって各吐出口28にインクを供給するインク流路30が形成される。インク流路30中のインクは、後述するインク循環装置(インク循環手段)によって、一定方向(図中矢印方向)に所定の流速のインク流を形成している。
インクジェットヘッド10は、より高密度な画像記録を高速に行うために、複数の吐出口(ノズル)28が二次元的に配列されたマルチチャンネル構造を有する。図2に、インクジェットヘッド10の吐出口基板16に複数の吐出口28が二次元的に配列されている様子を模式的に示す。なお、図1(A)および図1(B)においては、インクジェットヘッドの構成を分かりやすく示すために、インクジェットヘッド10の複数の吐出口のうちの1つの吐出口だけを示している。
本発明においては、インクジェットヘッド10の吐出口28の個数や、その物理的な配置位置等は自由に選択することができる。例えば、図2に示すようなマルチチャンネル構造のみならず、吐出口の列を1列のみ有するものであってもよい。また、記録媒体Pの全域に対応する吐出口の列を有するいわゆる(フル)ラインヘッドでもよく、あるいは、ノズル列の方向と直交する方向に走査されるいわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)であってもよい。また、インクジェットヘッド10は、モノクロおよびカラーのどちらの記録装置にも対応可能である。
なお、図2は、マルチチャンネル構造の一部分(3行3列)の吐出口の配列を示しており、好ましい態様として、インク流方向において、下流側の列の吐出口28が上流側の列の吐出口に対してインク流に垂直な方向に所定ピッチだけ隔てて配置されている。このように、下流側の列の吐出口を上流側の列の吐出口に対してインク流方向に垂直な方向にずらして配置することにより、吐出口にインクを良好に供給することができる。本発明のインクジェットヘッドにおいては、下流側の列の吐出口が上流側の列の吐出口に対してインク流方向に垂直な方向にずらされて配置されたn行m列(n、mは正の整数)の吐出口が、インク流方向に一定の周期で繰り返し続くように構成されていてもよいし、それぞれの吐出口が、上流側に位置する吐出口に対してインク流に垂直な一方向(図2において下方向又は上方向)に連続的にずれて配置されていてもよい。吐出口の個数やピッチ、繰り返し周期等は、解像度や送りピッチに応じて適宜設定することができる。
また、図2では、好ましい態様として、インク流方向において、下流側の列の吐出口を上流側の列の吐出口に対してインク流に垂直な方向にずらして配置したが、これに限定されず、下流側の吐出口と上流側の吐出口が、インク流方向において同一直線上に配置されていてもよい。この場合は、各行のそれぞれの吐出口を、インク流に垂直な方向において隣に位置する行のそれぞれの吐出口に対して、インク流方向にずらして配置させることが、インク供給性の点で好ましい。
なお、吐出口の配置パターンは、各吐出部(吐出口およびその吐出口からのインク吐出に作用する部分)の駆動方式や、インクジェットヘッド10および記録媒体Pの走査方式等によっても、適宜設定することができる。
このようなインクジェットヘッド10においては、顔料等の色材を含み、かつ、電荷を有する微粒子(以下、色材粒子とする)を絶縁性の液体(キャリア液)に分散してなるインクQを用いる。そして、吐出口基板16に設けられた吐出電極18に駆動電圧を印加して吐出口28に電界を発生させ、吐出口28のインクを静電力により吐出させる。また、吐出電極18に印加する駆動電圧を、画像データに応じてon/off(吐出on/off)することにより、画像データに応じて吐出口28からインク液滴を吐出して、記録媒体P上に画像を記録する。
本発明のインクジェット記録装置に用いられる本発明のインクジェットヘッド10の構造について、図1(A)および(B)を参照してさらに詳細に説明する。
図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10の吐出口基板16は、絶縁基板32と、ガード電極20と、絶縁層34とを有する。絶縁基板32の図中上側の面(ヘッド基板12に対面する側と反対の面)に、ガード電極20と絶縁層34とが順に積層されている。
また、絶縁基板32の図中下側の面(ヘッド基板12に対向する側の面)には、吐出電極18の一部が埋設されている。
吐出口28は、インク液滴Rを吐出するためのものであり、吐出口基板16を貫通して形成されている。
吐出口28は、図1(B)に示すように、インク流方向に細長い矩形状の開口(スリット)であり、インク流方向の長さLとインク流れに直交する方向の長さDとのアスペクト比(L/D)が1より大きい非円形形状を有する。また、吐出口28を形成する壁面28aは、吐出口基板16の厚さ方向と平行な面で形成されている。つまり、本実施形態の吐出口28は、吐出口基板16の厚さ方向と垂直な面の断面形状が同一形状を有する。
本発明では、好ましい態様として、吐出口28の開口としてインク流方向の長さLとインク流れに直交する方向の長さDとのアスペクト比(L/D)が1より大きいの開口(インク流方向を長辺とする形状異方性を有する形状、インク流方向を長辺とする長穴形状)を有するインクジェットヘッドを用いることができるので、吐出口28にインクが供給されやすくなる。つまり吐出口28へのインクの粒子供給性を高めることができ、周波数応答性を向上させ、さらに目詰まりも防止することができる。この点については、インク液滴の吐出の作用とともに、後ほど詳細に説明する。
本実施形態では、吐出口28を細長い矩形の開口として形成したが、これに限らず、吐出口28からインクを吐出することができればよく、例えば、円形形状、或いは、非円形形状とすることができる。特に、非円形形状としては、開口の長さ方向(長手方向)の最大長さ(長径という)と、それに直交する方向の最小長さ(短径という)とのアスペクト比が1より大きい形状であれば、楕円形、ひし形、平行四辺形、長方形の両方の短辺側を半円形にした繭形など任意の形状にすることができる。例えば、インク流方向を長辺とする矩形状、又は、インク流方向を長軸とする楕円形若しくはひし形にすることができる。また、インク流の上流側を上底、下流側を下底とし、インク流方向の高さが下底よりも長い台形状にしてもよい。この場合、上流側の辺を長くしても下流側の辺を長くしてもよい。また、インク流方向を長辺とする長方形の両方の短辺側に、直径がその長方形の短辺よりも大きな円が接続されたような形状にしてもよい。また、吐出口28は、その中心に対して、上流側と下流側で対称な形状であっても非対称な形状であっても良い。例えば、矩形状の吐出口の上流側と下流側の少なくとも一方の端部を半円状にして吐出口を形成してもよい。
インクジェットヘッド10のインクガイド14は、所定の厚みを有するセラミック製平板からなり、各吐出口28(吐出部)に対応してヘッド基板12の上に配置されている。インクガイド14は、矩形の吐出口28の長辺方向の長さに応じて幅広に形成されている。上述したように、インクガイド14は、吐出口28を通過し、その先端部分14aが吐出口基板16の記録媒体P側の表面(絶縁層34の表面)よりも上方に突出している。
インクガイド14の先端部分14aは、対向電極24側へ向かうに従って次第に細く略三角形(ないしは台形)に成形されている。インクガイド14は、先端部分14aの傾斜面がインク流方向と交差するように配置される。
また、インクガイド14を吐出口28の長辺方向に幅広に形成することで、インク流れに直交する方向の幅を短くすることができ、インクの流れに及ぼす影響を少なくすることができ、かつ後述するメニスカスを安定して形成させることができる。
なお、インクガイド14の形状は、インクQ内の色材粒子を吐出口基板16の吐出口28を通って先端部分14aに濃縮させることができれば、特に、制限的ではなく、例えば、先端部分14aが対向電極に向かうに従って細くなるような形状でなくても良く、適宜変更することができる。例えば、インクガイド14の中央部分に、図中上下方向に毛細管現象によってインクQを先端部分14aに集めるインク案内溝となる切り欠きが形成されていても良い。
また、インクガイド14の最先端部に、金属が蒸着されていることが好ましい。インクガイド14の最先端部に金属を蒸着させることにより、インクガイド14の先端部分14aの誘電率が実質的に大きくなる。これにより、強電界を生じさせ易くなり、インクの吐出性を向上することができる。
図1(A)に示すように、絶縁基板32の下面(ヘッド基板12と対向する面)には、吐出口28に臨むように、吐出電極18が形成されている。吐出電極18は、吐出電極18のインク流路30側の面と、絶縁基板32のインク流路30側の面とが同一平面となるように、その一部が絶縁基板32に埋め込まれて形成される。
また、吐出電極18は、図1(B)および図2に示すように、所定太さの升目形状(ロの字形状)、つまり矩形状の電極に矩形状の開口が形成された形状を有する。ここで、吐出電極18の吐出口28中心側の端部(以下、吐出電極の内縁部という)は、吐出口28を形成する壁面28aよりも吐出口28中心に近接し、吐出電極18の吐出口28中心側と逆側の端部(以下、吐出電極の外縁部という)は、吐出口28を形成する壁面28aよりも吐出口28中心から離間している形状を有する。すなわち、吐出電極18の内縁部の開口面積は、吐出口28の開口面積よりも小さく、吐出電極18の外縁部の開口面積、つまり、吐出電極18の外縁部で囲まれる部分の面積は、吐出口28の開口面積よりも大きい。
このように、吐出電極18は、内縁部の開口が吐出口の開口よりも小さく形成されているため、図1(B)に示すように、その一部が吐出口28に張り出して、つまり吐出口の28の一部を塞いで設けられている。
このように吐出電極18の一部が吐出口28に張り出していることで、吐出口を、メニスカスを高く維持することができる形状としても、高い液切れ性を維持することでき、高速かつ安定してインク液滴を吐出させることができる。この点については、インク液滴の吐出の作用とともに、後ほど詳細に説明する。
ここで、本実施形態では、吐出電極18はロの字状で形成されているが、吐出口に臨むように、かつその一部が吐出口に張り出すように配置された電極であれば、どのような形状でもよく、例えば、リング状の円形電極、楕円形電極、分割円形電極、平行電極、略平行電極、インク流上流側の一辺が切り欠かれたコの字状電極等、吐出口の形状に応じて種々の形状に変更することができる。
また、本実施形態では、吐出電極18を、その一部が絶縁基板32に埋め込まれた状態で設けた(埋設させた)が、本発明はこれに限定されず、吐出口に臨むようにかつ少なくとも一部が吐出口に張り出すように配置されていれば、種々の方法で設置することができる。
例えば、図5に示すように、吐出電極18aを、絶縁基板32の下面つまりインク流路30側の面に付設もしくは貼設してもよい。
また、図6に示すように、吐出電極18bを、吐出口28を形成する壁面28aに付設もしくは貼設してもよい。つまり、吐出電極18bの外縁部を吐出口28の開口と同一形状とし、吐出電極18bの外縁部と吐出口28を形成する壁面28とを接合、または接着させてもよい。
また、後述する液切れ性を好適に高める点から、吐出電極は、絶縁基板のインク流路側の面と接するように、もしくは、吐出電極のインク流路側の面と絶縁基板のインク流路側の面とが同一平面上となるように設けることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、吐出口基板の厚さ方向において、吐出電極の記録媒体側の面が吐出口基板の記録媒体側の表面よりもインク流路側となる位置であれば、どの位置に設けてもよい。
一例としては、図7に示すように、絶縁基板32の厚さ方向の略中心に、吐出電極18cの一部を埋め込んだ形状としてもよい。つまり、吐出電極18cのインク流路30側の面よりもインク流路30(ヘッド基板12)側にも吐出口28が形成された形状、吐出電極18cを、吐出口28を形成する壁面28aの中程に埋め込んだ(埋設)した形状としてもよい。
また、図6と同様にして、外縁の形状を吐出口の開口と同一形状とした吐出電極を、吐出口基板の厚さ方向において、吐出口を形成する壁面のインク流路側の端部よりも記録媒体側の任意の位置に付設もしくは貼設してもよい。
前述のように、インクジェットヘッド10は、吐出口28を2次元的に配列したマルチチャンネル構造を有するので、図2に模式的に示すように、吐出電極18は、各吐出口28に対応して2次元的に配置されている。
また、吐出電極18は、インク流路30に露出し、インク流路30を流れるインクQと接触している。これにより、インク液滴の吐出性を大幅に向上させることができる。この点については、後に、吐出の作用と共に詳述する。しかしながら、吐出電極18は、必ずしもインク流路30に露出してインクと接触していなくともよい。すなわち、吐出電極18の露出面が薄い絶縁層などにより被覆されていてもよい。
吐出電極18は、図1(A)に示すように、制御部33に接続されている。制御部33は、インク吐出時および非吐出時に吐出電極18に印加する電圧を制御することができる。
ガード電極20は、絶縁基板32の表面上に形成されており、ガード電極20の表面は絶縁層34によって覆われている。図3に、ガード電極20の平面構造を模式的に示した。図3は、図1(A)のIII−III線矢視図であり、マルチチャンネル構造のインクジェットヘッドの場合のガード電極20の平面構造を模式的に示している。図3に示すように、ガード電極20は、金属板などの各吐出電極に共通なシート状の電極であり、2次元的に配列されている各吐出口28の周囲に形成された吐出電極18に対応する位置に開口部36を有する。開口部36は、矩形状に形成されている。ここで、ガード電極20の開口部36の長さおよび幅は吐出口28の長さおよび幅よりも大きく形成されている。
ガード電極20は、隣接する吐出電極18間における電気力線を遮蔽して、電界干渉を抑制することができ、ガード電極20には所定電圧が印加される(接地による0Vを含む)。
ガード電極20は、好ましい態様として、図1(A)に示すように、吐出電極18とは異なる層に形成され、さらに、全面が絶縁層34によって覆われている。
このようなガード電極20を有することにより、隣接する吐出電極18間における電界干渉を好適に防止できると共に、絶縁層34を有することにより吐出電極18とガード電極20との間で、インクQの色材粒子が被膜化して放電することも防止できる。
ここで、ガード電極20は、吐出電極18から発生する電気力線のうち、対応する吐出口28(以下、便宜的に「自チャンネル」とする)に作用する電気力線を確保しつつ、他の吐出口28(同様に「他チャンネル」とする)に設けられた吐出電極18からの電気力線および自チャンネルの吐出電極18から他チャンネルへの電気力線を遮蔽するように設ける必要がある。
ガード電極20が無い場合、インク液滴の吐出時に、吐出電極の内縁部から生じる電気力線は、吐出電極18の内側、すなわち、吐出電極18の内縁部によって囲まれた領域内に収束して自チャンネルに作用し、インク液滴の吐出に必要な電界を生じさせる。一方、吐出電極の外縁部から生じる電気力線は、吐出電極18の外縁部よりも更に外側に発散して他チャンネルに影響を及ぼし、電界干渉を生じる。
以上の点を考慮すれば、ガード電極20の矩形状の開口部36の幅および長さは、自チャンネルへの電気力線を遮蔽しないように、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極18よりも大きくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の吐出口28側の端部は、自チャンネルの吐出電極18の内縁部よりも、吐出口28から離間(後退)しているのが好ましい。
また、他チャンネルへの電気力線を効率的に遮蔽するためには、ガード電極20の矩形状の開口部36の長さおよび幅は、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極18の外縁部間の間隔よりも小さくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の内縁部は、自チャンネルの吐出電極18の外縁部よりも、吐出口28に近接(前進)しているのが好ましい。本発明者の検討によれば、この近接量は、5μm以上、特に、10μm以上とするのが好ましい。
上記構成を有することにより、吐出口28からの吐出安定性を十分に確保した上で、隣接するチャンネル間における電界干渉に起因するインク着弾位置のバラツキ等を好適に抑制して、安定して高画質な画像記録を行うことが可能となる。
ガード電極20の開口部36を、吐出電極18の内縁部又は外縁部によって形成される形状と略相似形にし、ガード電極20の内縁部が、自チャンネルの吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間(後退)し、吐出電極の外縁部よりも吐出口28に近接(前進)するように、ガード電極20を設けてもよい。
また、以上の例では、ガード電極20は、シート状電極としているが、本発明はこれには限定されず、各吐出口間において、他チャンネルの電気力線を遮蔽できるように設けられていれば、どのような形状又は構造でも良い。例えば、ガード電極20は、各吐出口の間に網目状に設けられていても良い。また、マトリクス状に配列されている複数の吐出口において、例えば、行方向と列方向で隣接する吐出口の間隔が異なる場合には、電界干渉を生じない程十分離れている吐出口の間にはガード電極を設けずに、近接している吐出口の間にのみガード電極を設けても良い。
このような場合にも、自チャンネルの吐出電極18に対して、ガード電極20の内縁部が、吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間し、吐出電極18の外縁部より吐出口28に近接するように、ガード電極20を形成すればよい。
ここでは、ガード電極20の開口部36の形状を、吐出口28の形状と略同様の形状にしたが、これに限定されるものではなく、隣接する吐出電極18間における電気力線を遮蔽して電界干渉を防止することができれば、任意の形状にすることができる。例えば、円形や楕円形、正方形、長方形、ひし形などの形状にすることができる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド10は、好ましい形態として、ヘッド基板12に吐出口28にインクを誘導するインク誘導堰40が設けられている。以下、インク誘導堰40について説明する。
図4(A)は、図1のインクジェットヘッド10における吐出口近傍の構成を示す部分断面斜視図である。同図では、インク誘導堰40の構造を明示するために、1つの吐出口28の近傍について、吐出口基板16および吐出電極18をインクガイド14の略中央の位置でインク流方向に沿って切断して示している。また、図4(B)は、図4(A)に対応する、吐出口28の中央を通り、インク流方向に平行でかつ吐出口基板の厚さ方向に平行な面の断面図である。
インク誘導堰40は、ヘッド基板12のインク流路30側の面、すなわちインク流路30の底面において、吐出口28に対応する位置に設けられている。図示例において、このインク誘導堰40は、インク流路30におけるインク流の上流側から、インク流方向における吐出口28の中心よりも上流側の所定位置40a(頂上部40aと呼ぶ)に向かって、吐出口基板16に漸次近付くように傾斜する傾斜面40bを有している。また、好ましい態様として、インク誘導堰40は、傾斜面40bが最も吐出口基板16に近付いた頂上部40aから、インク流の下流側に向かって、吐出口基板16から漸次離れるように傾斜する傾斜面40cを有している。言い換えれば、図示例において、インク誘導堰40は、二等辺三角形の底辺を下にして倒した二等辺三角柱のような形状を有しており、二等辺三角柱の頂角に当たる位置の辺が、頂上部40aを構成している。
また、インク誘導堰40は、インク流に直交する方向には、吐出口28のインク流路30側の開口と略同一の幅を有し、底面から垂設する壁面を有する形状とされている。また、インク誘導堰40は、吐出口28を塞ぐことなく、インクQの流路を確保するように、吐出口基板16のインク流路30側の面、すなわちインク流路30の上面から所定の間隔を置いて設けられている。このようなインク誘導堰40は、各々の吐出部にそれぞれ設けられている。
このように、インク流路30の底面に、インク流方向に沿って、吐出口28に向かって傾斜するインク誘導堰40を設けることによって、吐出口28へ向かうインク流が形成され、インクQが吐出口28のインク流路30側の開口部に誘導される。そのため、インクQを吐出口28内部へ好適に流入させることができ、インクの粒子供給性をより向上させることができる。さらに目詰まりもより確実に防止することができる。
さらに、本実施形態のインク誘導堰40は、頂上部40aがインク流方向における吐出口28の中心よりも上流側に配置される。図4(B)に示す例においては、吐出口28の中心から上流側に距離sだけずらして(オフセットして)配置されている。
このように誘導堰40の頂上部40aを吐出口28の中心から上流側へずらして配置することで、インク流速を速くした場合に吐出口28の中央部へ向かうインク流を形成することができ、吐出口28へのインク供給性を向上させることができる。さらに、吐出口の目詰まりもより確実に防止することができる。
また、インク誘導堰40の傾斜面40bを設けることにより、吐出口28の上流側のインク流路30の高さ(吐出口基板16と傾斜面40bとの間隔)が、吐出口28に近付くにつれて徐々に狭くなる。一方、吐出口28の下流側では、インク流路30の高さが、その直上流側に比して広くなる。このような構造とすることにより乱流の発生を防ぐことが出来、インク供給性の効果を高めることができる。
ここで、頂上部40aのずれ量sは、傾斜面40bに誘導されたインク流の最高位置が、吐出口28のほぼ中央に来るように決定すればよく、インク流路30におけるインクQの流速(設計流速)や、吐出口28の空間断面積および形状、インクガイド14の形状等に応じて、適宜設定することができる。インク流路30におけるインクQの流速は、インクQの供給速度(循環速度)、インク流路30の断面積および形状、インクQの物性等によっても影響を受ける。さらに、インク流の最高位置は、傾斜面40bの傾斜角度や表面の形状等によっても影響を受ける。これらの要因を考慮して、頂上部40aのずれ量sを決定すればよい。
インク誘導堰40のインク流方向の長さkは、隣接する吐出部と干渉しない範囲で、インクQを吐出口28へ好適に誘導できるように適宜設定されればよいが、図4(B)に示すように、インク誘導堰40の最高部の高さhに対し、0.5倍以上(k/h≧0.5)とするのが好ましく、1倍以上(k/h≧1)とするのがより好ましい。
インク誘導堰40のインク流と直交する方向の幅は、吐出口28と同等か、若干広いのが好ましい。また、インク誘導堰40の幅は、図示例のように均一なものには限定されず、幅が漸減するものや漸増するもの等であってもよい。また、その壁面も、垂直面には限定されず、傾斜面等であってもよい。
インク誘導堰40の傾斜面(インク誘導面)は、インクQを吐出口28に誘導するのに好適な形状とすればよく、一定の傾斜角を有する斜面であってもよいし、傾斜角が変化する面や、湾曲面であってもよい。また、その表面は、平滑面には限定されず、インク流方向に、あるいは吐出口28の中心部に向かって放射状に、1条以上の畝や溝等が形成されていてもよい。
このようなインク誘導堰40は、ヘッド基板12とは別部材として作製され、ヘッド基板12に取り付けられてもよいし、ヘッド基板12の一部として形成されてもよい。すなわち、インク流路30が、各吐出部に対応する位置において、吐出口28のインク流方向上流側に頂上部を有するように盛り上がった形状とされていればよい。
また、インクガイド14と、インク誘導堰40とを別部材として形成し、インク誘導堰40に接続してヘッド基板12に設置してもよいし、インクガイド14とインク誘導堰40とを一体的に形成してヘッド基板12に設置してもよいし、あるいは、従来公知の掘削手段(エッチング等)により、1つの材料からヘッド基板12、インク誘導堰40およびインクガイド14を形成してもよい。また、インク誘導堰40の上部のインクガイド14との接部は、図示例のように屈曲点を有することなく、滑らかにつながる形状としてもよい。
図示例では、インク誘導堰40の頂上部40aと、インクガイド14のインク流上流側の面とが一致しているが、頂上部40aとインクガイド14との位置関係は、これには限定されない。例えば、頂上部40aが、インクガイド14よりも上流側に配置され、インク誘導堰40の下流側の傾斜面40c上にインクガイド14が立設されていてもよいし、頂上部40aが、インクガイド14と重なる部分に形成されていてもよい。インクガイド14は、その先端部分14aが吐出口28の略中央に位置するように配置され、インク誘導堰40は、インク誘導堰40によって誘導されるインク流が、吐出口28の略中央部での最高位置に達するように配置される。
なお、インク誘導堰40は、少なくとも、吐出口28の上流側に傾斜面40bを有していればよいが、図示例のように、吐出口28の下流側にも、インク液滴Rの吐出方向の高さが吐出口28から遠ざかるにつれて低くなる、すなわち、頂上部40aから下流側に向かって、吐出口基板16から漸次離れるように傾斜する傾斜面40cを有しているのが好ましい。これにより、上流側のインク誘導堰40によって吐出口28に向かって誘導されたインクQが滑らかに下流側へ流れるので、インクQが乱流になるのを抑制してインク流の安定を保つことができ、吐出安定性を保つことができる。
また、図4の例では、インク誘導堰40は、ヘッド基板12の上側の面上に配置されているが、これに限定されず、ヘッド基板12にインク流溝を設け、インク流溝の内部にインク誘導堰を設けてもよい。
例えば、インク流方向に沿って、吐出口28に対応する位置を通過する所定深さのインク流溝を設け、吐出口に対応する位置にインク流方向に沿って吐出口28に向かって傾斜する面を有するインク誘導堰を設ける。このように、インク流溝を設けることによって、インク流路30を流れるインクQの多くを選択的にインク流溝に流すことができ、インク流路堰を設けることで、インクQを吐出口28の内部へ好適に流入させることができ、インクガイド先端部分14aへのインクの供給性を向上させることができる。
対向電極24は、図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10のインク液滴Rの吐出面と対面するように配置される。
対向電極24は、インクガイド14の先端部分14aに対向する位置に配置され、接地される電極基板24aと、電極基板24aの図中下側の表面、すなわちインクジェットヘッド10側の表面に配置される絶縁シート24bで構成される。
記録媒体Pは、対向電極24の図中下側の表面、すなわち絶縁シート24bの表面に、例えば静電吸着によって保持されており、対向電極24(絶縁シート24b)は、記録媒体Pのプラテンとして機能する。
少なくとも記録時には、帯電ユニット26によって、対向電極24の絶縁シート24bに保持された記録媒体Pは、吐出電極18に印加される駆動電圧と逆極性の所定の負の高電圧に帯電される。
その結果、記録媒体Pは負帯電して負の高電圧にバイアスされ、吐出電圧18に対する実質的な対向電極として作用し、かつ、対向電極24の絶縁シート24bに静電吸着される。
帯電ユニット26は、記録媒体Pを負の高電圧に帯電させるためのスコロトロン帯電器26aと、スコロトロン帯電器26aに負の高電圧を供給する高圧電源26bと、バイアス電圧源26cとを有している。スコロトロン帯電器26aのコロナワイヤは、高圧電源26bの負側の端子に接続されており、高圧電源26bの正側の端子とスコロトロン帯電器26aの金属製シールドケースは接地されている。また、バイアス電圧源26cの負側の端子は、スコロトロン帯電器26aのグリット電極に接続され、正側の端子は接地されている。
なお、本発明に用いられる帯電ユニット26の帯電手段としては、スコロトロン帯電器26aに限定されず、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針などの種々の放電手段を用いることができる。
また、図示例においては、対向電極24を電極基板24aと絶縁シート24bとで構成し、記録媒体Pを、帯電ユニット26によって負の高電圧に帯電させることにより、バイアス電圧を印加して対向電極として作用させ、かつ、絶縁シート24bの表面に静電吸着させているが、本発明はこれに限定されず、対向電極24を電極基板24aのみで構成し、対向電極24(電極基板24a自体)を負の高電圧の高圧電源に接続して、負の高電圧に常時バイアスしておき、対向電極24の表面に記録媒体Pを静電吸着させるようにしても良い。
また、記録媒体Pの対向電極24への静電吸着と、記録媒体Pへの負の高電圧への帯電または対向電極24への負の高電圧の印加とを別々の負の高電圧源によって行っても良いし、対向電極24による記録媒体Pの保持は、記録媒体Pの静電吸着に限られず、他の保持方法や保持手段を用いても良い。
以下、インクジェットヘッド10におけるインク液滴Rの吐出作用を説明することにより、本発明について、より詳細に説明する。
図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10では、図示しないポンプ等を含むインク循環機構により、記録時に吐出電極18に印加される電圧と同極性、例えば、正(+)に帯電した色材粒子を含むインクQが、インク流路30の内部を矢印方向(図中左から右方向)に循環している。
他方、記録に際して、記録媒体Pは、対向電極24に供給され、帯電ユニット26によって色材粒子と逆極性すなわち負の高電圧に帯電されて、バイアス電圧を帯電した状態で、対向電極24に静電吸着される。
この状態で、記録媒体P(対向電極24)とインクジェットヘッド10とを、相対的に移動しつつ、供給された画像データに応じて制御部33で吐出電極18にパルス電圧(以下、駆動電圧という)が印加されるように制御する。そして、基本的には、駆動電圧の印加on/offによって吐出をon/offすることにより、画像データに応じてインク液滴Rを変調して吐出し、記録媒体P上に画像を記録する。
ここで、吐出電極18に駆動電圧を印加していない状態(あるいは、印加電圧が低電圧レベルである状態)、すなわち、バイアス電圧のみが印加されている状態では、インクQには、バイアス電圧とインクQの色材粒子(荷電粒子)の荷電とのクーロン引力、色材粒子間のクーロン反発力、キャリア液の粘性、表面張力、誘電分極力等が作用している。そして、これらが連成して、色材粒子やキャリア液が移動し、図1(A)に概念的に示すように、インクQは、吐出口28から若干盛り上がったメニスカス状となってバランスが取れている。
また、負に帯電された記録媒体Pと吐出電極18との間に発生する電界によって、吐出口28に色材粒子が凝集している。そして、上述したクーロン引力等によって、その色材粒子は、いわゆる電気泳動で負のバイアス電圧に帯電された記録媒体Pに向かって移動する。したがって、吐出口28に形成されたメニスカスにおいては、インクQが濃縮された状態となっている。
この状態から、吐出電極18には駆動電圧が印加される。これにより、バイアス電圧に駆動電圧が重畳され、先の連成に、さらにこの駆動電圧の重畳によって連成された運動が起こる。そして、吐出電極18への駆動電圧の印加によって新たに発生する電界によって色材粒子およびキャリア液には静電力が作用する。その静電力によって色材粒子およびキャリア液が対向電極24側、すなわち記録媒体P側に引っ張られ、吐出口に形成されたメニスカスが記録媒体P側(図1(A)中、上側)に向かって成長し、吐出口28から記録媒体Pの方向へ、略円錐状のインク液柱いわゆるテーラーコーンが形成される。また、先と同様に、色材粒子は、電気泳動、および、吐出電極からの電界によってメニスカスに移動しており、メニスカスのインクQは濃縮され、色材粒子を多数有する、ほぼ均一な高濃度状態となっている。
吐出電極18への駆動電圧の印加開始後、さらに有限な時間が経過すると、色材粒子の移動等により、電界強度の高いメニスカスの先端部分で、主に色材粒子に加わる力(クーロン引力等)とキャリア液の表面張力とのバランスが崩れ、メニスカスが急激に伸びて、曳糸と呼ばれる直径数μm〜数十μm程度の細長いインク液柱が形成される。
さらに有限な時間が経過すると曳糸が成長し、この曳糸の成長、レイリー/ウエーバー不安定性によって発生する振動、メニスカス内における色材粒子の分布不均一、メニスカスにかかる静電界の分布不均一等の相互作用によって曳糸が分断される。そして、分断された曳糸が、複数のインク液滴Rとなって吐出され、記録媒体に向かって飛翔し、かつ、バイアス電圧にも引っ張られて、記録媒体Pに着弾する。
このような、曳糸の成長および分断は、さらにはメニスカス(曳糸)への色材粒子の移動は、駆動電圧の印加中は連続して発生する。すなわち、駆動電圧を印加する時間を調整することによって、1画素当たりのインク液滴の吐出量を調整することができる。
そして、駆動電圧の印加を終了(吐出off)した時点で、バイアス電圧のみが印加された先のメニスカスの状態に戻る。
上述したように、本発明のインクジェットヘッド10は、吐出電極18の一部が吐出口28に張り出した形状(オフセットした形状)を有する。このように、吐出電極18の一部が吐出口28に張り出すことで、吐出電極18により吐出口28の一部が塞がれた形状となり、吐出口28の流路抵抗が大きくなる。これにより、吐出口をメニスカスの高さが一定以上となるような大きさの開口とした場合でも、吐出電極18の一部が吐出口に張り出した形状とすることにより、吐出口28の流路抵抗を大きくすることができ、吐出口28の流路抵抗を一定以上にすることができる。
ここで、吐出口28の流路抵抗とは、インクが吐出口28を通過する際の抵抗であり、流路抵抗が低くなると、インクの流れを抑制する力が小さくなるため、吐出offした後もインク液滴の吐出が停止しない、すなわち、駆動電圧の印加を終了した後もインク液滴が吐出してしまう。つまり液切れ性が劣化(低下)してしまう。
これに対して、本発明では、吐出電極18の一部が吐出口28に張り出した形状とすることで、吐出口28の流路抵抗を一定以上にすることができ、液切れ性の劣化(低下)を防止することができる。つまり、吐出offした後もインク液滴の吐出が停止しない、すなわち、駆動電圧の印加を終了した後もインク液滴が吐出してしまうことを防止することができる。これにより、インク液滴の吐出/非吐出(吐出のon/off)をより正確に制御することができ、高画質な画像を描画することができる。
さらに、上述したように、吐出口は、メニスカスを一定以上の高さに形成できる形状とであるため、インク液滴の吐出応答性(吐出周波数)も高くすることができる。これにより、高い周波数でインク液滴を吐出させることができる。
以上より、メニスカスの位置を高くし、かつ流路抵抗を一定以上とすることができる本発明によれば、インク液滴の吐出を高速、かつ安定して行うことができ、高画質な画像を描画することができる。具体的には、吐出周波数を15kHzとして画像記録を行った場合でも高い液切れ性を維持することができ、安定して高画質な画像を描画することができる。
さらに、吐出電極の一部を吐出口に張り出した形状とすることで、吐出口内に形成される電界がより強くなり、吐出口への粒子供給性を向上させることができる。吐出口への粒子供給性が向上することにより、より好適に吐出口でインクが濃縮される。これにより、吐出応答性をより向上させることができる。
ここで、吐出電極の吐出口に張り出す部分の形状、大きさ、位置は、吐出口の大きさまたは形状、インクガイドの大きさまたは形状、インク流路内のインクの流速、インクの粘性等に応じて、所望の流路抵抗となるように決定すればよい。
また、前記吐出口を形成する壁面で囲まれた領域内に張り出している部分の面積S1と、吐出口の開口面積S2との比を1:10〜1:2つまり、S1/S2を0.1以上0.5以下とすることが好ましい。
また、図1(A)および(B)に示すように、インクジェットヘッド10はインク流方向に細長いスリット状の長穴形状の吐出口28を有する。このように、吐出口28のインク流路30側の開口、つまり、吐出口28のインク流路30側の開口を細長いスリット状の長穴形状、つまりインク流方向の長さとインク流れに直交する方向の長さとのアスペクト比が1以上となる形状とすることで、インクが吐出口内部に流れやすくなり、吐出口28へのインクの粒子供給性が高くなる。これにより、インクガイド先端14aへのインクの粒子供給性を向上させることができる。したがって、画像記録時の吐出周波数が改善され、高速で連続的にドットを描画しても安定して所望のサイズのドットを描画することができる。さらに、吐出口のインク流路側の開口のアスペクト比を1より大きくすることで、インクの流れがスムーズになり、吐出口での目詰まりを防止することができる。
ここで、吐出口のインク流路側の開口のインク流方向とそれに直交する方向とのアスペクト比は、1.5以上であることがより好ましい。
アスペクト比を1.5以上とすることで、インクガイドへのインク供給性がより向上し、連続した大ドットを、より安定して形成することができ、より高い周波数の描画周波数で描画を行うことができる。
ここで、上記実施形態のように、吐出口の開口形状をインク流方向の長さとインク流れに直交する方向の長さとのアスペクト比が1より大きい形状とすることで、上記効果をより好適に得ることができるが、本発明においてはこれに限定されず、吐出口の開口形状を、開口の長径と短径のアスペクト比を1以上とすることで、インクの流れをスムーズにし、吐出口での目詰まりを防止することができる。
また、吐出電極は、インク流方向の上流側の一部が欠けている形状であることが好ましい。これにより、インク流方向の上流側から吐出口への色材粒子の流入を妨げる電界が形成されないので、効率よく色材粒子を吐出口へ供給させることができる。また、インク下流側に吐出電極を配置することで、吐出口へ流入した色材粒子を吐出口に留める方向の電界が形成される。以上より、吐出電極をインク流方向の上流側が一部欠けている形状とすることで、吐出口への粒子供給性をより向上させることができる。
また、図1(A)および(B)に示したインクジェットヘッド10においては、吐出電極18はインク流路30に露出している。すなわち、吐出電極18は、インク流路30において、インクQと接液している。
このように、インク流路30においてインクQと接液する吐出電極18に駆動電圧を印加(吐出on)すると、吐出電極18に供給された電荷の一部がインクQに注入され、吐出口28と吐出電極18との間に位置するインクQの電導度が高くなる。したがって、本実施形態のインクジェットヘッド10においては、インクQは、吐出電極18に駆動電圧が印加された時(吐出on時)に、インク液滴Rを吐出し易い状態となる(吐出性が向上する)。
ここで、本発明は、吐出口基板として、上記の形状に限定されず、種々の形状、構成のものを用いることができる。
一例としては、図8(A)に示すように、吐出口基板102に形成される吐出口とガード電極106の開口部と略同一形状としてもよい。これにより、絶縁層104に形成される開口、つまり、吐出口28の記録媒体側の開口とガード電極106の開口部とが略同一形状となる。
また、図8(B)に示すように、吐出口基板110の絶縁層112をガード電極114と略同一形状、つまり、絶縁層112を薄膜とし、吐出口基板110の絶縁層112に形成される開口とガード電極114の開口部とが略同一形状となり、さらに、吐出口基板102の厚さ方向における絶縁層112の厚さも薄い形状としてもよい。このようにしても、吐出口28の記録媒体P側の開口とガード電極114の開口部とを略同一形状とすることができる。
また、上記実施形態では、絶縁基板および絶縁層を貫通して形成された貫通孔を吐出口としたが、図9に示すように、吐出口基板122に絶縁層を設けずに、絶縁基板32上にガード基板124のみが積層された構造とし、ガード電極124の開口部を吐出口126と同一形状として、ガード電極124の開口部を吐出口126の一部としてもよい。つまり、吐出口基板32およびガード電極20に形成された開口部を吐出口126とし、ガード電極20の開口部にメニスカスを形成するようにしてもよい。
図8および図9に示すように、吐出口(吐出口の記録媒体側の開口)とガード電極の開口部とを略同一形状、または、ガード電極の開口部を吐出口とすることで、メニスカスがガード電極の近傍に形成される。これにより、ガード電極と吐出電極と間に形成される電界によるメニスカスを吐出口に保持する力(メニスカスをピニングする力)が、図8および図9中点線矢印方向に作用し、メニスカスをより安定して形成することができる。結果として、インク液滴の吐出をより安定して制御することができ、高画質な画像を形成することができる。
ここで、インクジェットヘッド10に用いられるインクについて説明する。
インクQは、色材粒子をキャリア液に分散することにより得られる。キャリア液は、高い電気抵抗率(109Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上)を有する誘電性の液体(非水溶媒)であるのが好ましい。キャリア液の電気抵抗が低いと、制御電極に印加される駆動電圧により、キャリア液自身が電荷注入を受けて帯電してしまい、色材粒子の濃縮がおこらない。また、電気抵抗の低いキャリア液は、隣接する制御電極間での電気的導通を生じさせる懸念もあるため不向きである。
キャリア液として用いられる誘電性液体の比誘電率は、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、キャリア液中の色材粒子に有効に電界が作用し、泳動が起こりやすくなる。
なお、このようなキャリア液の固有電気抵抗の上限値は1016Ω・cm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。キャリア液の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
キャリア液として用いられる誘電性液体としては、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、および、これらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル(例えば、信越シリコーン社製KF−96L)等を単独あるいは混合して用いることができる。
このようなキャリア液に分散される色材粒子は、色材自身を色材粒子としてキャリア液中に分散させてもよいが、好ましくは、定着性を向上させるための分散樹脂粒子を含有させる。分散樹脂粒子を含有させる場合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分散樹脂粒子を着色して着色粒子とする方法などが一般的である。
色材としては、従来からインクジェットインク組成物、印刷用(油性)インキ組成物、あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であればどれでも使用可能である。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
さらに、分散樹脂粒子としては、例えば、ロジン類、ロジン変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニールアルコールのアセタール変性物、ポリカーボネート等を挙げられる。
これらのうち、粒子形成の容易さの観点から、重量平均分子量が2,000〜1000,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜5.0の範囲内であるポリマーが好ましい。さらに、前記定着の容易さの観点から、軟化点、ガラス転移点または、融点のいずれか1つが40℃〜120℃の範囲内にあるポリマーが好ましい。
インクQにおいて、色材粒子の含有量(色材粒子あるいはさらに分散樹脂粒子の合計含有量)は、インク全体に対して0.5〜30重量%の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは1.5〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の範囲で含有されることが望ましい。色材粒子の含有量が少なくなると、印刷画像濃度が不足したり、インクQと記録媒体P表面との親和性が得られ難くなって強固な画像が得られなくなったりするなどの問題が生じ易くなり、一方、含有量が多くなると均一な分散液が得られにくくなったり、インクジェットヘッド等でのインクQの目詰まりが生じやすく、安定なインク吐出が得られにくいなどの問題が生じるからである。
また、キャリア液に分散された色材粒子の平均粒径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.4〜1.0μmである。この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
色材粒子をキャリア液に分散させた後(必要に応じて、分散剤を使用しても可)、荷電制御剤をキャリア液に添加することにより色材粒子を荷電して、荷電した色材粒子をキャリア液に分散してなるインクQとする。なお、色材粒子の分散時には、必要に応じて、分散媒を添加してもよい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
なお、色材粒子は、制御電極に印加される駆動電圧と同極性であれば、正電荷および負電荷のいずれに荷電したものであってもよい。
また、色材粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
また、荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化することもあるため、下記に定義する分配率Pを、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上とする。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクQの電気伝導度、σ2は、インクQを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクQを用いることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
インクQの電気伝導度は、100〜3000pS/cmが好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、さらに好ましくは200〜2000pS/cmである。以上のような電気伝導度の範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。
また、インクQの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/m、さらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクQの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
このようなインクQは、一例として、色材粒子をキャリア液に分散して粒子化し、かつ、荷電調整剤を分散媒に添加して、色材粒子に荷電を生じさせることで、調製できる。具体的な方法としては、以下の方法が例示される。
(1)色材あるいはさらに分散樹脂粒子をあらかじめ混合(混練)した後、必要に応じて分散剤を用いてキャリア液に分散し、荷電調整剤を加える方法。
(2)色材、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、キャリア液に同時に添加して、分散し、荷電調整剤を加える方法。
(3)色材および荷電調整剤、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、同時にキャリア液に添加して、分散する方法。
図10(A)に、本発明のインクジェットヘッドを用いる本発明のインクジェット記録装置の一実施例の概念図を示す。
同図に示すインクジェット記録装置60(以下、プリンタ60とする)は、記録媒体Pに片面4色印刷を行う装置で、記録媒体Pの搬送手段、画像記録手段、および溶媒回収手段を有するものであり、これらを筐体61に収容して構成される。
また、搬送手段は、インクジェットヘッドに対して記録媒体を相対的に移動させるための移動手段であり、フィードローラ対62、ガイド64、ローラ66(66a,66bおよび66c)、搬送ベルト68、搬送ベルト位置検知手段69、静電吸着手段70、除電手段72、剥離手段74、定着・搬送手段76およびガイド78を有する。画像記録形成手段は、ヘッドユニット80、インク循環系82、ヘッドドライバ84、および記録媒体位置検出手段86を有する。さらに、溶媒回収手段は、排出ファン90および溶媒回収装置92を有する。
記録媒体Pの搬送手段において、フィードローラ対62は、筐体61の側面に設けられた搬入口61aに隣接して設けられた搬送ローラ対である。フィードローラ62は、図示しないストッカから供給された記録媒体Pを、搬送ベルト68(ローラ66aに支持される部分)に送り込む。ガイド64は、フィードローラ対62と搬送ベルト68を支持するローラ66aとの間に設けられ、記録媒体Pを搬送ベルト68に案内する。
なお、フィードローラ対62の近傍には、記録媒体Pに付着した塵埃や紙粉等異物を除去する異物除去手段を設けるのが好ましい。
異物除去手段としては、公知の吸引除去、吹き飛ばし除去、静電除去等の非接触法や、ブラシ、ローラ等による接触法によるものの1以上を組み合わせて使用すればよい。また、フィードローラ対62を微粘着ローラとし、さらにフィードローラ対62のクリーナを設けて、フィードローラ対62による記録媒体Pのフィード時に塵埃・紙粉等の異物の除去を行っても良い。
搬送ベルト68は、3つのローラ66に張架されるエンドレスベルトである。また、ローラ66a,66bおよび66cのうち少なくとも1つは、図示されない駆動源と連結されており、搬送ベルト68を回転させる。
搬送ベルト68は、ヘッドユニット80による画像記録時には、記録媒体Pの走査搬送手段に加え、記録媒体Pを保持するプラテンとして機能し、さらに、画像記録後、定着・搬送手段76まで搬送する。従って、搬送ベルト68は、寸法安定性に優れ、耐久性を有する材料で形成されるのが好ましく、例えば、金属、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、その他の樹脂およびそれらの複合体で形成される。
図示例においては、記録媒体Pは、静電吸着によって搬送ベルト68上に保持されるので、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持する側(表面)が絶縁性、ローラ66と接する側(裏面)が導電性を有する。また、図示例においては、ローラ66aは導電性ローラとされ、搬送ベルト68の裏面は、ローラ66aを介して接地されている。
すなわち、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持するとき、図1(A)に示す電極基板24aと絶縁シート24bからなる対向電極24として機能するものである。
このような搬送ベルト68としては、金属ベルトの表面側にフッ素樹脂コートを行ったもの等、金属ベルトに上記のいずれかの樹脂材料でコーティングしたベルト、接着剤等で樹脂シートと金属ベルトを張り合わせたベルト、上記の樹脂から成るベルトの裏面に金属蒸着したベルト等、各種の方法により作製された、金属層と絶縁物層とを有するベルトを用いればよい。
また、搬送ベルト68の記録媒体Pに接する表面は平滑であるのが好ましく、これにより、記録媒体Pの良好な吸着性が得られる。
搬送ベルト68は、公知の方法により蛇行が抑制されているのが好ましい。蛇行抑制の方法としては、例えば、ローラ66cをテンションローラとし、搬送ベルト位置検知手段69の出力、すなわち搬送ベルト68の幅方向の検知位置に応じて、ローラ66cの軸をローラ66aおよびローラ66bの軸に対して傾けることにより、搬送ベルトの幅方向の両端でテンションを変えて蛇行を抑制する方法等が例示される。また、ローラ66をテーパ形やクラウン形、あるいはその他の形状とすることで、蛇行を抑制してもよい。
ここで、搬送ベルト位置検知手段69は、上述のように、搬送ベルトの蛇行などを抑制すると共に、画像記録時の記録媒体Pの走査搬送方向の位置を所定位置に規制するために、搬送ベルト68の幅方向の位置を検知するもので、フォトセンサ等の公知の検知手段が用いられる。
静電吸着手段70は、記録媒体Pに、ヘッドユニット80(前述したインクジェットヘッド)に対する所定のバイアス電圧を印加すると共に、静電力により搬送ベルト68に吸着させて保持するために、記録媒体Pを所定の電位に帯電させるものである。
図示例おいては、静電吸着手段70は、記録媒体Pを帯電させるスコロトロン帯電器70aと、スコロトロン帯電器70aに接続される高圧電源70bと、バイアス電圧源77cとを有する。スコロトロン帯電器70aのコロナワイヤは、高圧電源70bの負側の端子に接続されており、高圧電源70bの正側の端子とスコロトロン帯電器70aの金属製シールドケースは接地されている。また、バイアス電圧源70cの負側の端子は、スコロトロン帯電器70aのグリット電極に接続され、正側の端子は接地されている。
記録媒体Pは、フィードローラ対62および搬送ベルト68によって搬送されつつ、負の高圧電源70bに接続されたスコロトロン帯電器70aにより、負のバイアス電圧を帯電され、かつ、搬送ベルト68の絶縁層に静電吸着される。
なお、記録媒体Pを帯電する際の搬送ベルト68の搬送速度は、安定に帯電できる範囲であれば良く、画像記録時の搬送速度と同じでも異なっていても良い。また、記録媒体Pを複数回周回させることによって、同一の記録媒体Pに静電吸着手段を複数回作用させ、均一帯電を行っても良い。
なお、図示例では、静電吸着手段70で記録媒体Pの静電吸着および帯電を行っているが、静電吸着手段と帯電手段とを別々に設けてもよい。
静電吸着手段は、図示例のスコロトロン帯電器70aに限定されず、他にも、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針等、種々の手段や方法が利用できる。また、後に詳述するように、ローラ66の少なくとも1つを導電性ローラとし、あるいは、記録媒体Pへの記録位置において搬送ベルト68の裏面側(記録媒体Pと逆側)に導電性プラテンを配置し、この導電性ローラ、または導電性プラテンを負の高圧電源に接続することにより、静電吸着手段70を構成してもよく、あるいは搬送ベルト68を絶縁性ベルトとし、導電性ローラを接地し、導電性プラテンを負の高圧電源に接続する構成としても良い。
静電吸着手段70によって帯電された記録媒体Pは、搬送ベルト68によって後述するヘッドユニット80の位置まで搬送される。
ヘッドユニット80は、前記本発明のインクジェットヘッドを用いて、画像データに応じてインク液滴を吐出して、記録媒体Pに画像を記録する。ここで、本発明のインクジェットヘッドは、記録媒体Pの帯電電位をバイアス電圧とし、吐出電極18に駆動電圧を印加することにより、バイアス電圧に駆動電圧を重畳し、インク液滴Rを吐出し、記録媒体Pに画像を記録するのは、前述のとおりである。この際、搬送ベルト68の加熱手段を設け、記録媒体Pの温度を高めることで、記録媒体P上におけるインク液滴Rの定着を促進することができ、滲みをより一層抑制して画質の向上を図ることができる。
なお、ヘッドユニット80等による画像記録に関しては、後に詳述する。
画像が記録された記録媒体Pは、除電手段72により除電され、剥離手段74により搬送ベルト68より剥離されて定着・搬送手段76へ搬送される。
図示例において、除電手段72は、コロトロン除電器72aと、交流電圧源72bと、高圧電源72cとを備えている、いわゆるACコロトロン除電器である。コロトロン除電器72aのコロナワイヤは、交流電圧源72bを介して高圧電源72cに接続されており、高圧電源72cの他端とコロトロン除電器72aの金属製シールドケースは接地されている。なお、除電手段は、これ以外にも、例えばスコロトロン除電器、固体チャージャ、放電針等の種々の手段や方法などが利用でき、また、上述の静電吸着手段70のように、導電性ローラや導電性プラテンを用いる構成も好適に使用される。
剥離手段74としては、剥離用ブレード、逆回転ローラ、エアナイフ等公知の技術が利用可能である。
搬送ベルト68から剥離された記録媒体Pは、定着・搬送手段76に送られ、インクジェットによって形成された画像が定着される。定着・搬送手段76としてヒートローラ76aおよび搬送ローラ76bからなるローラ対を用い、記録媒体Pを挟持搬送しつつ、記録された画像を加熱定着する。
画像が定着された記録媒体Pは、ガイド78に案内されて図示しない排紙ストッカに排紙される。
加熱定着手段としては、上述のヒートロール定着以外に、赤外線またはハロゲンランプやキセノンフラッシュランプによる照射、あるいはヒータを利用した熱風定着等の一般的な加熱定着を挙げることができる。また、加熱定着・搬送手段76においては、加熱手段は、加熱のみを行うものとし、搬送手段と加熱定着手段とを別々に設けてもよい。
なお、加熱定着の場合、記録媒体Pとして、コート紙やラミネート紙を用いた場合には、急激な温度上昇により紙内部の水分が急激に蒸発し紙表面に凹凸が発生する、ブリスターと呼ばれる現象が生じる可能性がある。これを防止するために、複数の定着器を配置し、記録媒体Pが徐々に昇温するように、各定着器の電力供給および記録媒体Pまでの距離の一方または両方を変えるのが好ましい。
なお、プリンタ60においては、少なくともヘッドユニット80による画像記録から、定着・搬送手段76による定着を終了するまでは、記録媒体Pの画像記録面には何も接触しないように構成するのが好ましい。
また、定着・搬送手段76における定着の際の記録媒体Pの移動速度には、特に限定はなく、画像形成時の搬送ベルト68による搬送速度と同じであっても良いし、異なっていても良い。画像形成時の搬送速度と異なる場合には、定着・搬送手段76の直前に記録媒体Pの速度バッファを設けるのも好ましい。
以下、プリンタ60における画像記録について詳述する。
前述のように、プリンタ60の画像記録手段は、本発明のインクジェットヘッドを用いるものであって、インクジェットを吐出するヘッドユニット80、ヘッドユニット80にインクQの供給および回収を行うインク循環系82、図示されないコンピュータ、RIP(Raster Image Processor)等の外部機器からの出力画像信号によりヘッドユニット80を駆動するヘッドドライバ84、記録媒体Pにおける画像記録位置を決定するために記録媒体Pを検出する記録媒体位置検出手段86を有して構成される。
図10(B)は、ヘッドユニット80と、その周辺の記録媒体Pの搬送手段(移動手段)を模式的に示す斜視図である。
ヘッドユニット80は、フルカラー画像の記録を行うためのシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインク吐出に対応して、4つのインクジェットヘッド80aを有し、画像データを供給されたヘッドドライバ84からの信号に従って、インク循環系82によって供給されるインクQをインク液滴Rとして吐出して、搬送ベルト68によって所定速度で搬送されている記録媒体Pに画像を記録する。
このインクジェットヘッド80aは、上述のインクジェットヘッド10と同様の構成を有している。
各色のインクジェットヘッド80aは、搬送ベルト68の搬送方向に配列されている。
図示例において、各インクジェットヘッド80aは、吐出口28が記録媒体Pの幅方向全域に配列されたラインヘッドであり、好ましくは、図2に示されるように、互いに千鳥状となるように配置された複数のノズル列を有するマルチチャンネルヘッドである。
従って、図示例においては、搬送ベルト68に記録媒体Pを保持させた状態で、ヘッドユニット80に対して記録媒体Pを搬送によって1回通過させるだけで、すなわち1回の走査搬送を行うのみで、記録媒体Pの全面に画像が形成される。従って、吐出ヘッドをシリアルスキャンする場合に比べて、高速での画像記録(描画)が可能となる。
なお、本発明において、インクジェットヘッドは、いわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)にも利用可能であり、従って、プリンタ60も、この態様であってもよい。
この際においては、各インクジェットヘッドの吐出口28の列(単列でもマルチチャンネルでもよい)を搬送ベルト68の搬送方向と一致させてヘッドユニット80を構成し、ヘッドユニット80を記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に走査する走査手段を設ける。走査手段としては、既に知られた走査手段を用いることができる。
画像記録は、通常のシャトルタイプのインクジェットプリンタと同様に行えばよく、吐出口28の列の長さに応じて、搬送ベルト68によって記録媒体Pを間欠的に搬送しつつ、この間欠搬送に同期して、停止時にヘッドユニット80を走査して、記録媒体Pの全面に画像を記録する。
このようにして、ヘッドユニット80によって記録媒体Pの全面に形成された画像は、前述のように、記録媒体Pが定着・搬送手段76によって挟持搬送されることにより、定着・搬送手段76によって定着される。
図10(A)において、ヘッドドライバ84は、外部装置から画像データを受け取り、種々の処理を行うシステム制御部(図示せず)から画像データを受け取り、その画像データに基づいてヘッドユニット80を駆動する。
このシステム制御部は、コンピュータやRIP、画像スキャナ、磁気ディスク装置、画像データ伝送装置等の外部装置から受け取った画像データに、色分解、適当な画素数や階調数への分割演算等を行って、ヘッドドライバ84がヘッドユニット80(インクジェットヘッド)を駆動するための画像データとする部位である。また、システム制御部は、搬送ベルト68による記録媒体Pの搬送タイミングに合わせたヘッドユニット80によるインクの吐出タイミングの制御を行う。吐出タイミングの制御は、記録媒体位置検出手段86からの出力や、搬送ベルト68または搬送ベルト68の駆動手段へ配置したエンコーダからの出力信号を利用して行われる。
なお、記録媒体位置検出手段86は、ヘッドユニット80によるインク液滴の吐出位置に搬送されてくる記録媒体Pを検出するためのもので、フォトセンサ等の既に知られた検出手段を用いることができる。
ここで、ヘッドドライバ84は、ラインヘッド適用時など、制御する吐出部の数(チャンネル数)が多数有る場合には、描画を分割し、公知の抵抗マトリクス型駆動法や抵抗ダイオードマトリクス型駆動法を用いてもよい。これにより、ヘッドドライバ84の使用IC数を低減することができ、コストを低下させると共に制御回路サイズを抑制することができる。
インク循環系82は、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッド80aのインク流路30(図1参照)にインクQを流すためのもので、4色(C、M、Y、K)の各色のインクタンク、ポンプおよび補給用インクタンク(図示せず)等を有するインク循環装置82aと、インク循環装置82aのインクタンクからヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッドのインク流路30に各色のインクQを供給するインク供給系82bと、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッドのインク流路30からインクをインク循環装置82aに回収するインク回収系82cとを有する。
インク循環系82は、インク循環装置82aによって、インクタンクからインク供給系80bを介してヘッドユニット80に各色毎にインクQを供給し、かつ、インク供給系80cを介してヘッドユニット80から各色毎にインクQをインクタンクに回収して循環させることができればどのようなものでも良い。
インクタンクは、各色のインクQを貯留しており、インクQがポンプで汲み出されてヘッドユニット80へ送られる。ヘッドユニット80からインクが吐出されることにより、インク循環系82で循環しているインクの濃度が低下するので、インク循環系82では、インク濃度検出器によってインク濃度を検出し、それ応じて補給用インクタンクから適宜インクを補充して、インク濃度を所定の範囲に保つのが望ましい。
また、インクタンクには、インクの固形成分の沈殿・濃縮を抑制するための攪拌装置や、インクの温度変化を抑制するためのインク温度管理装置が備えられるのが好ましい。この理由は、温度管理をしないと、環境温度の変化等によりインク温度が変化して、インクの物性が変化することによりドット径が変化し、高画質な画像が安定して形成できなくなる可能性があるからである。
攪拌装置としては回転羽、超音波振動子、循環ポンプ等が使用できる。
インクの温度制御装置としてはヘッドユニット80、インクタンク、インク配管系等に、ヒータやペルチェ素子等の発熱素子または冷却素子を配し、温度センサ、例えばサーモスタットにより制御する方法等、公知の方法が使用できる。温度制御装置をインクタンク内に配置する場合には、温度分布を一定にするように攪拌装置と共に配するのがよい。また、タンク内の濃度分布を一定に保つための攪拌装置は、インクの固形成分の沈澱・濃縮の抑制するための攪拌装置と共用しても良い。
前述のように、プリンタ60は、排出ファン90および溶媒回収装置92からなる溶媒回収手段を有する。溶媒回収手段は、ヘッドユニット80から記録媒体P上に吐出されたインク液滴から蒸発するキャリア液、特にインク液滴によって形成された画像を定着する際に記録媒体Pから蒸発するキャリア液を回収する。
排出ファン90は、プリンタ60の筐体61内部の空気を吸い込んで溶媒回収装置92へ送るためのものである。
溶媒回収装置92は、溶媒蒸気吸収材を備えており、排出ファン90によって吸い込まれた溶媒蒸気を含む気体の溶媒成分をこの溶媒蒸気吸収材に吸着し、溶媒が吸着回収された後の気体をプリンタ60の筐体61外に排出する。溶媒蒸気吸収材としては、各種の活性炭などが好適に使用される。
上記では、C、M、Y、Kの4色のインクを用いてカラー画像を記録する静電式のインクジェット記録装置について説明したが、本発明はこれには制限されず、モノクロ用の記録装置であってもよいし、他の色、例えば淡色や特色のインクを任意の数だけ用いて記録するものであってもよい。その場合は、インク色数に対応する数のヘッドユニット80およびインク循環系82が用いられる。
また、以上の例では、いずれも、インク中の色材粒子を正帯電させ、記録媒体あるいは記録媒体Pの背面の対向電極を負の高電圧にして、インク液滴Rを吐出するインクジェットについて説明したが、本発明はこれには限定されず、逆に、インク中の色材粒子を負に帯電させ、記録媒体または対向電極を正の高電圧にして、インクジェットによる画像記録を行っても良い。このように、着色荷電粒子の極性を上記の例と逆にする場合には、静電吸着手段、対向電極、インクジェットヘッドの駆動電極への印加電圧極性等を上記の例と逆にすれば良い。
以上、本発明のインクジェットヘッドおよびそれを用いるインクジェット記録装置ついて詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんのことである。
例えば、インクジェットヘッドにおいては、インク液滴の飛翔方向の安定性、吐出応答性、メニスカスの安定性等が向上するため、インクガイド14を設けることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、インクジェットヘッドにインクガイドを設けない構成としてもよい。
(A)は、本発明のインクジェットヘッドの一実施形態の概略構成を示す模式図であり、(B)は、(A)のインクジェットヘッドにおける吐出口基板の上面図である。 インクジェットヘッドの吐出口基板に複数の吐出口が二次元的に配列されている様子を模式的に示した図である。 マルチチャンネル構造のインクジェットヘッドのガード電極の平面構造を模式的に示した図である。 (A)は、図1のインクジェットヘッドにおける吐出部近傍の構成を示す部分断面斜視図であり、(B)は、インク誘導堰の形状寸法を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの吐出電極の配置位置の他の一例を示す模式図である。 本発明のインクジェットヘッドの吐出電極の配置位置の他の一例を示す模式図である。 本発明のインクジェットヘッドの吐出電極の配置位置の他の一例を示す模式図である。 (A)および(B)は、本発明のインクジェットヘッドの他の一例の概略構成を示す模式図である。 本発明のインクジェットヘッドの他の一例の概略構成を示す模式図である 本発明のインクジェット記録装置の一例の概念図である。 従来のインクジェットヘッドの一例を示す模式図である。
符号の説明
10 インクジェットヘッド
12 ヘッド基板
14 インクガイド
14a 先端部分
16,102,110,122 吐出口基板
18,18a,18b,18c、18d 吐出電極
20,106,114,124 ガード電極
24 対向電極
24a 電極基板
24b 絶縁シート
26a,70a スコロトロン帯電器
26b,70b,72c 高圧電源
26c,70c バイアス電圧源
28 吐出口
30 インク流路
32 絶縁基板
33 制御部
34,104,112 絶縁層
40 誘導堰
60 インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)
62 フィードローラ
64 ガイド
66 ローラ
66a ローラ
68 搬送ベルト
69 搬送ベルト位置検知手段
70 静電吸着手段
72 除電手段
72a コロトロン除電器
72b 交流電源
76 定着・搬送手段
76a ヒートローラ
78 ガイド
80 ヘッドユニット
80a 各インクジェットヘッド
80b、80c インク供給系
82 インク循環系
82a インク循環装置
82b インク供給系
82c インク回収系
84 ヘッドドライバ
86 記録媒体位置検出手段
90 排出ファン
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴

Claims (10)

  1. インクに静電力を作用させて、インク液滴を吐出するインクジェットヘッドであって、
    前記インク液滴が吐出される吐出口が開口された吐出口基板と、
    前記吐出口基板と所定の間隔を離して配置され、前記吐出口基板との間にインク流路を形成するヘッド基板と、
    前記吐出口基板の前記ヘッド基板と対向する面と逆側の面よりも前記インク流路側に、前記吐出口に対応して設けられた吐出電極とを有し、
    前記吐出電極は、少なくとも一部が前記吐出口を形成する壁面で囲まれた領域内に張り出していることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記吐出電極の前記吐出口を形成する壁面で囲まれた領域内に張り出している部分の面積S1と、前記吐出口の開口の開口面積S2との関係が下記式を満たす請求項1に記載のインクジェットヘッド。
    0.1≦S1/S2≦0.5
  3. 前記吐出口基板は、前記吐出電極よりも前記記録媒体側の位置に、前記吐出電極と絶縁された状態で形成されたガード電極を備える請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記ガード電極は、前記吐出口の周囲を囲むように開口が形成されている請求項3に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記ガード電極に形成された開口と、前記吐出口とが略同一形状である請求項4に記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記ガード電極に形成された開口が、前記吐出口の前記記録媒体側の開口である請求項4に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記吐出口が、前記インク流路内を流れるインクの流れ方向を長辺とする形状異方性を有する形状である請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  8. 前記ヘッド基板の前記インク流路側の面に、インク流の上流側から前記吐出口に通じるインク流を形成するインク誘導堰を有する請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. さらに、前記ヘッド基板の前記吐出口基板側の前記吐出口の配置に対応する位置に配置され、前記吐出口を通過して、その先端部分が前記吐出口基板の前記ヘッド基板とは反対側の前記表面よりも突出するインクガイドを有する請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェットヘッドを用いて、画像データに応じた画像を記録媒体上に記録することを特徴とするインクジェット記録装置。
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