JP2006264016A - インクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吐出口へのインクの供給性を向上させ、高速で連続的にドットを描画しても、安定して所望のサイズのドットを描画することができるインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクが吐出される吐出口が開口された吐出口基板と、吐出口基板から離して配置され、吐出口基板との間に実質的に略平面状のインク流路を形成するヘッド基板とを備え、吐出口の開口付近におけるインク流路を、ヘッド基板から吐出口のインク吐出方向へ凸状に形成したことにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録媒体に向けてインクを吐出するインクジェットヘッド、および、このインクジェットヘッドを用いて画像データに対応した画像を記録媒体上に記録するインクジェット記録装置に関する。
カラー画像等を出力する画像記録装置において、インクジェットヘッドからインクを吐出して、吐出したインクを記録媒体に付着させることにより画像を記録するインクジェット方式は、構造が簡単で装置の小型化が容易であることから広く利用されている。インクジェット方式による画像記録装置(インクジェットプリンタ)としては、静電式、サーマル式、ピエゾ式等が知られている。
このうち、静電式のインクジェット記録方式では、帯電した微粒子を含むインクを用い、画像データに応じて、インクジェットヘッドの吐出電極(駆動電極)に所定の電圧(駆動電圧)を印加することにより、静電力を利用してインクの吐出を制御し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する。静電式のインクジェット記録装置は、ヘッド構造が簡易でマルチチャンネル化しやすく、微小な液滴の形成が可能であり、高解像力での描画が可能であるという特徴を有する。
静電式のインクジェット記録装置として、例えば、特許文献1には、絶縁性基板にインクを吐出させる貫通孔(吐出口)が形成され、この貫通孔内にインクガイドが設置されるとともに、貫通孔周辺に制御電極が設置され、制御電極に電圧を印加することによる静電力によってインク液滴を吐出させるインクジェット記録装置が開示されている。
特開平10−138493号公報
ところで、各種方式のインクジェットヘッドにおいて、高解像度の記録を高速で行うために、ヘッドのマルチチャンネル化、すなわち、1つのヘッドに多数の吐出口(貫通孔)を配列することが行われている。しかし、上記のような静電式インクジェットヘッドにおいて、複数の吐出口をマトリクス状に配置してマルチチャンネルヘッドを構成した場合、吐出部(吐出口およびその吐出口からのインク吐出に作用する部分)の配置密度を高くするほど、吐出口が形成される絶縁性基板における、制御電極への信号配線の接続が困難になる。
チャンネル数(吐出部数)を多くして高密度化するためには、絶縁性基板を多層配線構造化して、吐出電極への信号配線を接続することが考えられる。このため、チャンネル数の増加に伴って、絶縁性基板の厚さは次第に厚くなる傾向にある。
しかし、吐出口(貫通孔)が形成される絶縁性基板が厚くなると、吐出口のインク吐出方向の長さが長くなるため、吐出口内へのインクの供給性が劣化し、高速で描画すると徐々にドット径が小さくなってしまうという問題が生じる。
また、静電式に限らず、他の方式のインクジェットヘッドにおいても、吐出口(ノズル)の長さが長くなった場合には、上記と同様の問題が発生する。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、吐出口へのインクの供給性を向上させ、高速で連続的にドットを描画しても、安定して所望のサイズのドットを描画することができるインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明の目的は、特に、インクを吐出方向と異なる方向へ流しながら吐出方向に向いた吐出口へインクを供給するインクジェットヘッドにおいて、吐出口へ十分にかつ安定してインクを供給することができるインクジェットヘッド、および、そのインクジェットヘッドにより高速かつ安定した描画を行うことのできるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、インクが吐出される吐出口が開口された吐出口基板と、前記吐出口基板から離して配置され、前記吐出口基板との間に実質的に略平面状のインク流路を形成するヘッド基板とを備えたインクジェットヘッドであって、
前記吐出口の開口付近における前記インク流路を、前記ヘッド基板から前記吐出口のインク吐出方向へ凸状に形成したことを特徴とするインクジェットヘッドを提供する。
ここで、前記吐出口の開口付近における前記インク流路を、前記吐出口の開口中心からインク流路上流側に変位した所定位置に凸状中心を有する凸状に形成するのが好ましい。
また、前記吐出口の開口付近における前記インク流路の少なくとも一部を、前記吐出口のインク流路上流側から前記吐出口へ向かって縮径する形状に形成するのが好ましい。
また、前記ヘッド基板が、前記吐出口の開口と対向する位置に、インク誘導堰を有するのが好ましく、
前記吐出口基板が、前記インク流路側の面に、インク流路上流側から前記吐出口へ通じるインク誘導溝を有するのが好ましい。
また、前記吐出口の略中央を貫通し、その先端を前記インクの吐出方向に向けて、前記ヘッド基板上に配置されたインクガイドを備え、
前記インク誘導堰は、前記インクガイドに接して設けられているのが好ましく、
前記吐出口は、前記インク流路におけるインク流方向の径が前記インク流れ方向に直交する方向の径よりも大きい開口形状を有するのが好ましい。
また、前記吐出口基板は、絶縁性基板を有し、
前記絶縁性基板の前記インク流路側および前記記録媒体側の少なくとも一方の面には、前記吐出口の周囲を囲むように、少なくとも1層の吐出電極が設けられ、
前記吐出電極に電圧を印加することにより、前記インクの吐出を制御するのが好ましい。
また、前記吐出電極は、前記インク流の上流側の一部を除いて前記吐出口の周囲を囲むように設けられ、
前記インク誘導溝は、前記吐出電極が設けられない前記インク流の上流側の一部に、前記吐出電極の位置を通過して、前記インク流路側の面から前記吐出電極よりも離れた層まで達する深さに形成されているのが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明は、上記いずれかのインクジェットヘッドを用いて、前記インクを記録媒体に向けて吐出し、画像データに応じた画像を前記記録媒体上に記録することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
なお、上記において、実質的に略平面状のインク流路とは、所定間隔を置いてほぼ面平行に配置された、それぞれが略平板状の前記吐出口基板および前記ヘッド基板によって構成される、実質的に平行平板間流路に相当するインク流路を意味する。すなわち、前記吐出口基板に設けられた前記吐出口の内部は、ここでいうインク流路には含まれない。
本発明のインクジェットヘッドによれば、インク吐出口の開口付近におけるインク流路を、その吐出口からのインク吐出方向に凸状に形成したことにより、インクを吐出口へ誘導することができ、吐出口へ十分にインクを供給することができる。さらに、吐出部へ有効にインクを供給できることにより、吐出口への粒子供給性を向上させられるので、吐出口の開口部での目詰まりを良化することができる。
また、本発明のインクジェット記録装置によれば、本発明のインクジェットヘッドを用いて構成したことにより、吐出部へ有効にインクを供給することができるので、高速で安定した描画を行うことができる。
本発明に係るインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置を添付の図面に示す好適実施例に基づいて以下に詳細に説明する。
なお、以下では、静電式インクジェットヘッドおよび記録装置を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、サーマル式やピエゾ式等、各種のインクジェット方式によって画像記録を行うインクジェットヘッドおよび記録装置に利用可能である。
また、以下では、静電式インクジェット記録装置において、インク中の色材粒子が正帯電している場合を例にとって説明するが、本発明はこれに限定されず、これとは逆に、インク中の色材粒子を負に帯電させたものを用いてもよい。その場合は、記録に作用する各部の極性を、以下の例とは逆極性とすればよい。
図1(A)に、本発明に係るインクジェットヘッドの一実施形態の概略構成断面を模式的に示し、図1(B)に、図1(A)のIB−IB線矢視図を示す。図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10は、ヘッド基板12と、インクガイド14と、吐出口28が開口された吐出口基板16とを有する。吐出口基板16には、吐出口28を囲むように吐出電極18が配置されている。インクジェットヘッド10のインク吐出側の面(図中、上面)に対面する位置に、記録媒体Pを支持する対向電極24と、記録媒体Pの帯電ユニット26が配置される。
ヘッド基板12と吐出口基板16は、互いに対面した状態で所定間隔離して配置される。ヘッド基板12と吐出口基板16の間に形成される空間によって各吐出口28にインクを供給するインク流路30が形成される。インク流路30中のインクQは、後述するインク循環装置によって、ヘッド基板12および吐出口基板16の流路面と平行な方向にはほぼ一定方向(図中矢印方向)に、所定の流速のインク流を形成している。
なお、以下の説明において、インク流路30は、略平板状のヘッド基板12および吐出口基板16によって構成される、実質的に平行平板間流路に相当するインク流路領域を呼ぶものとし、吐出口基板16に形成された吐出口28の内部領域は、ここでいうインク流路30には含まれないものとする。
ヘッド基板12のインク流路30を形成する面、すなわち図1(A)における上側の面には、吐出口28のインク流路30側開口付近、すなわち、吐出口28に対応する領域付近に、インク誘導堰40が形成されており、これにより、インク流路30が、吐出口28の位置において吐出口28側へ凸状に盛り上がる形状とされている。
このように形成されるインク流路30は、本発明の特徴的部分であって、インク流路30におけるインク流の主流が、吐出口28のインク流路30側開口において、インク吐出方向に盛り上がるようなインク流を形成するものである。
本実施形態では、このようにインク誘導堰40を設けることによって、吐出口28の開口部におけるインク流路30を、ヘッド基板12からインク吐出方向(図1(A)の例では上方向)へ凸状に形成している。このようにインク流路30を吐出口28の開口部で凸状に形成することにより、吐出口28の開口部においてヘッド基板12からインク吐出方向へ安定してインクQが供給され、吐出口28へ安定してインクQを供給することができる。
インク流路30の構成および作用については後に詳述する。
インクジェットヘッド10は、より高密度な画像記録を高速に行うために、複数の吐出口(ノズル)28が二次元的に配列されたマルチチャンネル構造を有する。図2に、インクジェットヘッド10の吐出口基板16に複数の吐出口28が二次元的に配列されている様子を模式的に示す。図2は、図1(A)の吐出口基板16を、ヘッド基板12側の面(図中、下側の面)から見た図に相当する。図1(A)および図1(B)は、インクジェットヘッドの構成を分かりやすく示すために、インクジェットヘッド10の複数の吐出口のうちの、1つの吐出口だけを示している。
本発明においては、インクジェットヘッド10の吐出口28の個数や、その物理的な配置位置等は自由に選択することができる。例えば、図2に示すようなマルチチャンネル構造のみならず、吐出口の列を1列のみ有するものであってもよい。また、記録媒体Pの全域に対応する吐出口の列を有するいわゆる(フル)ラインヘッドでもよく、あるいは、ノズル列の方向と直交する方向に走査されるいわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)であってもよい。また、インクジェットヘッド10は、モノクロおよびカラーのどちらの記録装置にも対応可能である。
なお、図2は、マルチチャンネル構造の一部分(3行3列)の吐出口の配列を示しており、好ましい態様として、インク流方向において、下流側の列の吐出口28が上流側の列の吐出口に対してインク流に垂直な方向に所定ピッチだけ隔てて配置されている。このように、下流側の列の吐出口を上流側の列の吐出口に対してインク流方向に垂直な方向にずらして配置することにより、吐出口にインクを良好に供給することができる。本発明のインクジェットヘッドにおいては、下流側の列の吐出口が上流側の列の吐出口に対してインク流方向に垂直な方向にずらされて配置されたn行m列(n、mは正の整数)の吐出口が、インク流方向に一定の周期で繰り返し続くように構成されていてもよいし、それぞれの吐出口が、上流側に位置する吐出口に対してインク流に垂直な一方向(図2において下方向または上方向)に連続的にずれて配置されていてもよい。吐出口の個数やピッチ、繰り返し周期等は、解像度や送りピッチに応じて適宜設定することができる。
また、図2では、好ましい態様として、インク流方向において、下流側の列の吐出口を上流側の列の吐出口に対してインク流に垂直な方向にずらして配置したが、これに限定されず、下流側の吐出口と上流側の吐出口が、インク流方向において同一直線上に配置されていてもよい。この場合は、各行のそれぞれの吐出口を、インク流に垂直な方向において隣に位置する行のそれぞれの吐出口に対して、インク流方向にずらして配置させることが、インク供給性の点で好ましい。
なお、吐出口の配置パターンは、各吐出部(吐出口およびその吐出口からのインク吐出に作用する部分)の駆動方式や、インクジェットヘッド10および記録媒体Pの走査方式等によっても、適宜設定することができる。
このようなインクジェットヘッド10においては、顔料等の色材を含み、かつ、電荷を有する微粒子(以下、色材粒子とする)を絶縁性の液体(キャリア液)に分散してなるインクQを用いる。そして、吐出口基板16に設けられた吐出電極18に駆動電圧を印加して吐出口28に電界を発生させ、吐出口28のインクを静電力により吐出させる。また、吐出電極18に印加する駆動電圧を、画像データに応じてon/off(吐出on/off)することにより、画像データに応じて吐出口28からインク液滴を吐出して、記録媒体P上に画像を記録する。
本発明のインクジェット記録装置に用いられる本発明のインクジェットヘッド10の構造について、図1(A)および(B)を参照してさらに詳細に説明する。
図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10の吐出口基板16は、複数の吐出口28が形成された略平板状の基板であって、絶縁基板(絶縁性基板)32と、ガード電極20と、絶縁層34とを有している。絶縁基板32の図中上側の面(ヘッド基板12に対面する側と反対の面)に、ガード電極20と絶縁層34とが順に積層されている。また、絶縁基板32の図中下側の面(ヘッド基板12に対面する側の面)には、吐出電極18が形成されている。
なお、図示例では、吐出口基板16が1層の絶縁基板32を有し、1層の吐出電極18が設けられている形態としているが、本発明はこれに限定されず、吐出口基板16は、多層配線構造のために、あるいはその他の設計上の都合等により、多層の絶縁基板を有していてもよいし、吐出口基板16の表面または内部(多層の絶縁基板の層間)に多層の吐出電極を有していてもよい。絶縁基板や吐出電極を多層化した場合、吐出口基板16の厚さが増加する。また、絶縁基板32や絶縁層34の厚さを厚くした場合にも、吐出口基板16の厚さは増加する。本発明のインクジェットヘッド10によれば、このように吐出口基板16の厚さが増加した場合にも、後述する本発明の特徴部分である吐出口28の付近において凸状に形成されたインク流路30の効果が発揮され、高いインク供給性を得ることができる。
吐出口基板16には、インク液滴Rを吐出するための吐出口28が吐出口基板16を貫通して形成されている。吐出口28は、図1(B)に示すように、長方形の両方の短辺側を半円形にした、インク流方向に細長い繭形の開口(スリット)であり、インク流方向の長さLとインク流れに直交する方向の長さDとのアスペクト比(L/D)が1以上となる非円形形状を有する。
本発明では、好ましい態様として、吐出口28をインク流方向の長さLとインク流れに直交する方向の長さDとのアスペクト比(L/D)が1より大となる開口(インク流方向を長辺とする形状異方性を有する形状、インク流方向を長辺とする長穴形状)を有するインクジェットヘッドを用いることができるので、吐出口28にインクが供給されやすくなる。つまり吐出口28へのインクの粒子供給性を高めることができ、周波数応答性を向上させ、さらに目詰まりも防止することができる。この点については、インク液滴の吐出の作用とともに、後ほど詳細に説明する。
本実施形態では、吐出口28を細長い繭形の開口として形成したが、これに限らず、開口の長さ方向(長手方向)の最大長さ(長径という)と、それに直交する方向の最小長さ(短径という)とのアスペクト比が1となる形状、好ましくは1より大となる各種の形状を採用することができる。例えば、曲線からなる形状、直線からなる形状、または曲線と直線の組み合わせからなる形状などが任意に採用可能である。アスペクト比が1となる形状の具体例としては、円形、正方形、偶数角の正多角形などが挙げられる。また、アスペクト比が1より大となる形状の具体例としては、楕円形、長方形、ひし形、平行四辺形などが挙げられる。例えば、インク流方向を長辺とする矩形状、または、インク流方向を長軸とする楕円形もしくはひし形にすることができる。また、インク流の上流側を上底、下流側を下底とし、インク流方向の高さが下底よりも長い台形状にしてもよい。この場合、上流側の辺を長くしても下流側の辺を長くしてもよい。また、インク流方向を長辺とする長方形の両方の短辺側に、直径がその長方形の短辺よりも大きな円が接続されたような形状にしてもよい。また、吐出口28は、その中心に対して、上流側と下流側で対称な形状であっても非対称な形状であっても良い。例えば、矩形状の吐出口の上流側と下流側の少なくとも一方の端部を半円状にして吐出口を形成してもよい。
インクジェットヘッド10のインクガイド14は、所定の厚みを有するセラミック製平板からなり、各吐出口28に対応してヘッド基板12の上に配置されている。インクガイド14は、繭形の吐出口28の長辺方向の長さに応じて幅広に形成されている。上述したように、インクガイド14は、吐出口28を通過し、その先端部分14aが吐出口基板16の記録媒体P側の表面(絶縁層34の表面)よりも上方に突出している。
インクガイド14の先端部分14aは、対向電極24側へ向かうに従って次第に細く略三角形(ないしは台形)に成形されている。
また、インクガイド14を吐出口28の長辺方向に幅広に形成することで、インク流に直交する方向の幅を短くした場合にも、後述するメニスカスを安定して形成させることができ、かつ、そのようにインク流に直交する方向の幅を短くすることにより、インクの流れに及ぼす影響を少なくすることができる。
なお、インクガイド14の形状は、インクQ内の色材粒子を吐出口基板16の吐出口28を通って先端部分14aに濃縮させることができれば、特に、制限的ではなく、例えば、先端部分14aが対向電極に向かうに従って細くなるような形状でなくても良く、適宜変更することができる。例えば、インクガイド14の中央部分に、図中上下方向に毛細管現象によってインクQを先端部分14aに集めるインク案内溝となる切り欠きが形成されていても良い。
また、インクガイド14の最先端部に、金属が蒸着されていることが好ましい。インクガイド14の最先端部に金属を蒸着させることにより、インクガイド14の先端部分14aの誘電率が実質的に大きくなる。これにより、強電界を生じさせ易くなり、インクの吐出性を向上することができる。
図1(B)に示すように、絶縁基板32の下面(ヘッド基板12と対向する面)には、吐出電極18が形成されている。吐出電極18は、繭形の吐出口28の周囲を囲むように、吐出口28の周縁に近接して、インク流上流側の一辺が切り欠かれたコの字状に配置されている。図1(B)においては、吐出電極18はコの字状で形成されているが、インクガイドに臨むように配置される電極であれば、どのような形状でもよく、例えば、リング状の円形電極、楕円形電極、分割円形電極、平行電極、略平行電極等、吐出口28の形状に応じて種々の形状に変更することができる。
前述のように、インクジェットヘッド10は、吐出口28を2次元的に配列したマルチチャンネル構造を有するので、図2(A)に模式的に示すように、吐出電極18は、各吐出口28に対応して2次元的に配置されている。
また、吐出電極18は、インク流路30に露出し、インク流路30を流れるインクQと接触している。これにより、インク液滴の吐出性を大幅に向上させることができる。この点については、後に、吐出の作用と共に詳述する。しかしながら、吐出電極18は、必ずしもインク流路30に露出してインクと接触していなくともよい。すなわち、吐出電極18は、吐出口基板16の内部(多層の基板で形成した吐出口基板16の層の間)に形成されていてもよいし、吐出電極18の露出面が薄い絶縁層などにより被覆されていてもよい。
吐出電極18は、図1(A)に示すように、制御部33に接続されている。制御部33は、インク吐出時および非吐出時に吐出電極18に印加する電圧を制御することができる。
ガード電極20は、絶縁基板32の表面上に形成されており、ガード電極20の表面は絶縁層34によって覆われている。図3に、ガード電極20の平面構造を模式的に示す。図3は、図1(A)のIII−III線矢視図であり、マルチチャンネル構造のインクジェットヘッドの場合のガード電極20の平面構造を模式的に示している。図3に示すように、ガード電極20は、金属板などの各吐出電極に共通なシート状の電極であり、2次元的に配列されている各吐出口28の周囲に形成された吐出電極18に対応する位置に開口部36を有する。開口部36は、矩形状に形成されている。ガード電極20の開口部36の長さおよび幅は、吐出口の長さおよび幅よりも大きく形成されている。
ガード電極20は、隣接する吐出電極18間における電気力線を遮蔽して、電界干渉を抑制することができ、ガード電極20には所定電圧が印加される(接地による0Vを含む)。
ガード電極20は、好ましい態様として、図1(A)に示すように、吐出電極18とは異なる層に形成され、さらに、全面が絶縁層34によって覆われている。
このようなガード電極20を有することにより、隣接する吐出電極18間における電界干渉を好適に防止できると共に、絶縁層34を有することにより、吐出電極18とガード電極20との間で、インクQの色材粒子が被膜化して放電することも防止できる。
ここで、ガード電極20は、吐出電極18から発生する電気力線のうち、対応する吐出口28(以下、便宜的に「自チャンネル」とする)に作用する電気力線を確保しつつ、他の吐出口28(同様に「他チャンネル」とする)に設けられた吐出電極18からの電気力線および自チャンネルの吐出電極18から他チャンネルへの電気力線を遮蔽するように設ける必要がある。
ガード電極20が無い場合、インク液滴の吐出時に、吐出電極18の吐出口側の端部(以下、吐出電極の内縁部という)から生じる電気力線は、吐出電極18の内側、すなわち、吐出電極18の内縁部によって囲まれた領域内に収束して自チャンネルに作用し、インク液滴の吐出に必要な電界を生じさせる。一方、吐出電極18の吐出口側と逆側の端部(以下、吐出電極の外縁部という)から生じる電気力線は、吐出電極18の外縁部よりも更に外側に発散して他チャンネルに影響を及ぼし、電界干渉を生じる。
以上の点を考慮すれば、ガード電極20の矩形状の開口部36の幅および長さは、自チャンネルへの電気力線を遮蔽しないように、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極18よりも大きくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の吐出口28側の端部は、自チャンネルの吐出電極18の内縁部よりも、吐出口28から離間(後退)しているのが好ましい。
また、他チャンネルへの電気力線を効率的に遮蔽するためには、ガード電極20の矩形状の開口部36の長さおよび幅は、基板平面で見た際に、自チャンネルの吐出電極18の外縁部間の間隔よりも小さくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の内縁部は、自チャンネルの吐出電極18の外縁部よりも、吐出口28に近接(前進)しているのが好ましい。本発明者の検討によれば、この近接量は、5μm以上、特に、10μm以上とするのが好ましい。
上記構成を有することにより、吐出口28からの吐出安定性を十分に確保した上で、隣接するチャンネル間における電界干渉に起因するインク着弾位置のバラツキ等を好適に抑制して、安定して高画質な画像記録を行うことが可能となる。
ガード電極20の開口部36を、吐出電極18の内縁部または外縁部によって形成される形状と略相似形にし、ガード電極20の内縁部が、自チャンネルの吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間(後退)し、吐出電極の外縁部よりも吐出口28に近接(前進)するように、ガード電極20を設けてもよい(すなわち、ガード電極20の開口部36を形成してもよい)。
また、以上の例では、ガード電極20は、シート状電極としているが、本発明はこれには限定されず、各吐出口間において、他チャンネルの電気力線を遮蔽できるように設けられていれば、どのような形状または構造でも良い。例えば、ガード電極20は、各吐出口の間に網目状に設けられていても良い。また、マトリクス状に配列されている複数の吐出口において、例えば、行方向と列方向で隣接する吐出口の間隔が異なる場合には、電界干渉を生じない程十分離れている吐出口の間にはガード電極を設けずに、近接している吐出口の間にのみガード電極を設けても良い。
このような場合にも、自チャンネルの吐出電極18に対して、ガード電極20の内縁部が、吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間し、吐出電極18の外縁部より吐出口28に近接するように、ガード電極20を形成すればよい。
ここでは、ガード電極20の開口部36の形状を、吐出口28の形状と略同様の形状にしたが、これに限定されるものではなく、隣接する吐出電極18間における電気力線を遮蔽して電界干渉を防止することができれば、任意の形状にすることができる。例えば、円形や楕円形、正方形、長方形、ひし形などの形状にすることができる。
インクジェットヘッド10のヘッド基板12は、複数の吐出部に共通する略平板状の基板である。
上述したように、ヘッド基板12のインク流路30を形成する面、すなわち図1(A)における上側の面には、吐出口28のインク流路30側開口付近にインク誘導堰40が設けられており、これにより、インク流路30が、吐出口28の位置において吐出口28側へ凸状に盛り上がる形状とされている。すなわち、インク誘導堰40を設けることによって、吐出口28の開口部におけるインク流路30を、ヘッド基板12からインク吐出方向(図1(A)の例では上方向)へ凸状に形成している。
このようなインク誘導堰40は、複数の吐出部のそれぞれに対応して形成されている。
図4(A)は、図1のインクジェットヘッド10における吐出口近傍の構成を示す部分断面斜視図である。同図では、吐出口28の近傍において凸状に形成されたインク流路30の構造を明示するために、1つの吐出口28の近傍について、吐出口基板16および吐出電極18をインクガイド14の略中央の位置でインク流方向に沿って切断して示している。また、図4(B)は、図4(A)に対応する、インク流方向の吐出口28中央における構成断面図であり、吐出口28のインク流方向中央の位置における構成だけを示している(その背後は図示していない)。なお、以下の説明では、便宜的に、図面に対応して、インク流路30について吐出口基板16の側を上側、ヘッド基板12の側を下側とする。
図示例において、インク誘導堰40は、吐出口基板16に最も近い頂上部40aと、インク流路30におけるインク流上流側から頂上部40aに向かって、ヘッド基板12の表面(インク流路30の底面)から頂上部40a(吐出口基板16側)へ漸次近付くように傾斜する傾斜面40bとを有している。頂上部40aは、インク誘導堰40によるインク流路30の凸状部分の中心となっている。このようなインク誘導堰40は、傾斜面40bによってインクを頂上部40aに向けて誘導することにより吐出口28へ向けて誘導する。また、インク誘導堰40は、頂上部40aからその下流側へ向かってヘッド基板12の表面まで、吐出口基板16から漸次離れるように傾斜する傾斜面40cを有している。
また、インク誘導堰40は、インク流に直交する方向には、吐出口28と略同一の幅を有し、底面に垂直な壁面を有している。さらに、インク誘導堰40の頂上部40aは、インク流方向における吐出口28の中心よりも上流側に所定量s(図4(B)参照)だけ変位した位置に配置されている。
ヘッド基板12と吐出口基板16との間隔およびインク誘導堰40の形状等は、インク誘導堰40が吐出口28のインク流路30側の開口を塞ぐことなく、インクQの流路を確保するように設定される。
このように、インク流路30の底面の吐出口28近傍にインク誘導堰40を形成し、インク流路30を吐出口28のインク吐出方向へ凸状に形成することによって、インク流路30において、吐出口28の開口部でインク流の主流がインク吐出方向に盛り上がるようなインク流を形成することができる。これにより、インクQを吐出口28へ誘導して、インクQを吐出口28内部へ好適に流入させることができるので、インク供給性を向上させることができる。また、吐出口28へのインク供給性を向上できることにより、吐出口28の目詰まりを防止することができる。
また、インクジェットヘッド10においては、インク流路30を吐出口28の近傍において凸状に形成することにより、凸状部分の上流側から吐出口28へ向かって、インク流路30を縮径することもできる。
本実施形態では、吐出口28の開口と対向する位置にインク誘導堰40を設けることによって、インク流路30の有効流路径が、インクQの供給側(上流側、図4においては左側)から、吐出口28の開口に向かって次第に小さくなっている。
すなわち、図4(B)に示すように、インク誘導堰40(その上流側の傾斜面40b)を設けることにより、吐出口28の上流側におけるインク流路30の径(吐出口基板16と傾斜面40bとの間隔)W1が、吐出口28に近付くにつれて徐々に狭くなり、吐出口28の直上流における径W2に縮径する(W1>W2)。言い換えれば、吐出口28に向かう単位幅当たりのインク流路断面形状が縮径し、該インク流路断面積が漸減する。
このような構造とすることにより、吐出口28の近傍におけるインクQの主流を吐出口28へより一層近づけることができるので、インク供給性の効果を高めることができる。さらに、インクQの流速を速めることもできるので、インク供給性の効果をより一層高めることができる。
インク誘導堰40の傾斜面40bのインク流方向長さkは、隣接する吐出部と干渉しない範囲で、インクQを吐出口28へ好適に誘導できるように適宜設定されればよいが、図4(B)に示すように、インク誘導堰40の最高部の高さhに対し、0.5倍以上(k/h≧0.5)とするのが好ましく、1倍以上(k/h≧1)とするのがより好ましい。この範囲とすることにより、インク誘導堰40の付近、すなわち吐出口28の付近における乱流の発生を効果的に抑制することができる。特に、頂上部40aの下流側での乱流抑制の効果は高い。
また、インク誘導堰40の下流側の傾斜面40cを設けることにより、上流側の傾斜面40bによって吐出口28に向かって誘導されたインクQが滑らかに下流側へ流れるので、インクQが乱流になるのを抑制してインク流の安定を保つことができ、吐出安定性を保つことができる。
なお、頂上部40aの上流側の傾斜面40bおよび下流側の傾斜面40cの形状や傾斜度は、それぞれ異なっていてもよい。
インク誘導堰40のインク流と直交する方向の幅は、吐出口28の全幅においてインク供給性を向上させるために、吐出口28と同等か、若干広いのが好ましい。また、インク誘導堰40の幅は、図示例のように均一なものには限定されず、幅が漸減するものや漸増するもの等であってもよい。また、その壁面も、垂直面には限定されず、傾斜面等であってもよい。
インク誘導堰40の傾斜面(インク誘導面)40b,40cは、インクQを吐出口28に誘導するのに好適な形状とすればよく、一定の傾斜角を有する斜面であってもよいし、傾斜角が変化する面や、湾曲面であってもよい。また、その表面は、平滑面には限定されず、インク流方向に、あるいは吐出口28の中心部に向かって放射状に、1条以上の畝や溝等が形成されていてもよい。
傾斜面40bと傾斜面40cと間は、図示例のように、頂上部40aとなる辺で接続されていればよいが、インク誘導堰40の傾斜面40bによって形成される吐出口28へ向かうインク流を妨げない限り、傾斜面40bと傾斜面40cとの間に、平面や湾曲面等を有していてもよい。
また、上記のように、上流側の傾斜面40bさらには下流側の傾斜面40cを有するインク誘導堰40によってインク流路30を凸状に形成することにより、インク流の乱流発生を効果的に抑制し、より安定したインク供給性能を得ることができるが、本発明はこれには限定されず、インク流路30を凸状に形成するための凸状部分の形状としては、吐出口28のインク吐出方向へ凸となる形状を有しているものであれば、各種の形状を用いることができる。
例えば、インク流路30の凸状部分は、インク誘導堰40の上流側の傾斜面40bおよび傾斜面40cの一方または両方に代えて、ヘッド基板12に垂直に設けられたインク流に直交する面を有していてもよいし、階段状の形状を有していてもよい。
このようなインク誘導堰40またはその他のインク流路30の凸状部分は、ヘッド基板12の一部として一体的に形成されてもよいし、ヘッド基板12とは別部材として作製され、ヘッド基板12に取り付けられてもよい。すなわち、インク流路30が、各吐出部に対応する位置において、吐出口28のインク流方向上流側に頂上部を有するように盛り上がった形状とされていればよい。
図4(B)に示す例においては、好ましい形態として、インク誘導堰40の頂上部40a(凸状中心)は、インク流方向における吐出口28の中心よりも上流側に距離sだけずらして(オフセットして)配置されている。この構成により、インク流速を速くした場合等に吐出口28の中央部へ向かうインク流を形成することができ、吐出口28へのインク供給性を向上させることができる。
すなわち、図4(B)に模式的に示すように、インク流速が早い場合やインク物性等の条件によっては、インクQは、インク誘導堰40の傾斜面40bによって吐出口基板16側へ誘導され、頂上部40aを過ぎて、慣性力によってさらに吐出口基板16側へ近接し、頂上部48aの位置を過ぎた位置で最高位置に達するようなインク流が形成される。ここで、本実施形態では、インク誘導堰40の頂上部40aが吐出口28の中心から上流側へずらして配置されているので、吐出口28のほぼ中央部で最高位置に達するインク流を形成することができる。このようにして、吐出口28の中央部へ向かうインク流を形成することができ、吐出口28へのインク供給性を向上させることができる。そして、吐出口28へのインク供給性を向上できることにより、吐出口28の目詰まりもより確実に防止することができる。
しかし、インク誘導堰40の頂上部40aは、上記のように上流側に変位した位置に配置するのには限定されず、例えば、図5に示す例のように、インク誘導堰40を、その頂上部40aが、吐出口28のインク流方向中心に位置するように設けてもよい。
すなわち、頂上部40aの変位量s(オフセット量s)は、s=0とする場合も含めて、傾斜面40bに誘導されたインク流の盛り上がった最高位置が、吐出口28のほぼ中央に来るように決定すればよく、インク流路30におけるインクQの流速(設計流速)や、吐出口28の空間断面積および形状、インクガイド14の形状等に応じて、適宜設定することができる。インク流路30におけるインクQの流速は、インクQの供給速度(循環速度)、インク流路30の断面積および形状、インクQの物性等によっても影響を受ける。さらに、インク流の最高位置は、傾斜面40bの傾斜角度や表面の形状等によっても影響を受ける。これらの要因を考慮して、頂上部40aの変位量sを決定すればよい。
なお、インク誘導堰40を頂上部分に平面や湾曲面を有する形状とした場合には、ヘッド基板12に最も近い部分を頂上部40aとみなせばよく、頂上部分にヘッド基板12に平行な面を有する場合には、その上流側の端部を頂上部40aとみなせばよい。
また、本発明のインクジェットヘッドにおいては、インクガイド14は必ずしも設けなくてもよいが、インクガイド14を設けることにより、インク滴Rの飛翔方向をより安定させることができる。インクガイド14を設ける場合には、インクガイド14とインク誘導堰40とは接して設けられるのが、インク流の安定性およびインク供給性の点で好ましい。
インクガイド14は、インク誘導堰40を有するヘッド基板12と一体的に形成されてもよいし、インク誘導堰40とは別部材として形成し、インク誘導堰40を有するヘッド基板12に設置してもよいし、インク誘導堰40がヘッド基板12と別に作製される場合には、インクガイド14とインク誘導堰40とを一体的に形成してヘッド基板12に設置してもよい。
また、インク誘導堰40の上部のインクガイド14との接部は、図示例のように屈曲点を有することなく、滑らかにつながる形状としてもよい。
図示例では、インク誘導堰40の頂上部40aと、インクガイド14のインク流上流側の面とが一致しているが、頂上部40aとインクガイド14との位置関係は、これには限定されない。例えば、頂上部40aが、インクガイド14よりも上流側に配置され、インク誘導堰40の下流側の傾斜面40c上にインクガイド14が立設されていてもよいし、頂上部40aが、インクガイド14と重なる部分に形成されていてもよい。インクガイド14は、その先端部分14aが吐出口28の略中央に位置するように配置され、インク誘導堰40は、インク誘導堰40によって誘導されるインク流が、吐出口28の略中央部での最高位置に達するように配置される。
また、図4の例では、ヘッド基板12の上面が平面とされており、インク誘導堰40は、ヘッド基板12の上側の平面上に設けられているが、本発明はこれには限定されず、ヘッド基板12に溝(インク流路溝とする)を設け、そのインク流路溝の内部にインク誘導堰40を設けてもよい。すなわち、例えば、インク流方向に沿って、吐出口28に対応する位置を通過する所定幅、所定深さのインク流路溝を形成し、そのインク流路溝の内部の、吐出口28に対応する位置に、インク誘導堰40を設けてもよい。このとき、インク流路溝の幅は、吐出口28について有効な所定のインク流路範囲(幅)とするのが好ましい。
インク流路溝内にインク誘導堰40を有する場合にも、吐出口28について有効なインク流路領域、すなわちインク流路溝に対応する領域において、吐出口28の位置におけるインク流路を、吐出口28側へ盛り上がる形状とすることにより、上記の例と同様の効果を得ることができる。また、この形態の場合のインク流路断面積の変化についても同様に、吐出口28について有効なインク流路領域に対して考えればよい。
このように、インク流路溝を設けることによって、インク流路30を流れるインクQの多くを選択的にインク流路溝に流すことができ、そこへインク誘導堰40を設けることで、インクQを吐出口28の内部へ好適に流入させることができ、インクガイド先端部分14aへのインクの供給性を向上させることができる。
インクジェットヘッド10の別の形態として、インクQの吐出口28への供給性を更に向上させるために、例えば図6に示すように、吐出口基板16のインク流路30側の面にインク誘導溝を設けるのも好ましい。図6(A)は、吐出口基板16の吐出口28近傍の構成の他の例を表す構成断面図であり、図6(B)は、図6(A)の吐出口基板16をインク流路30側から見た平面図である。
同図に示すように、吐出口基板16のインク流路30側の面には、インク流の上流側から吐出口28に通じるインク誘導溝46が形成されている。また、インク誘導溝46は、インク流の上流側から吐出口28に向かうに従って、溝の深さが次第に深くなるように所定角度で傾斜されている。
このように、吐出口28に通じるインク誘導溝46を設けることによって、インクQがインク誘導溝46に沿って吐出口28内部に誘導されるため、吐出口28およびインクガイド14の先端部分14aへのインクの供給性を更に向上させることができる。
また、インク誘導溝46を設けることにより、インクの供給路を確保しつつ、インク誘導堰42の頂上部42aの高さ(ヘッド基板12からの距離)を高くすることもできる。
インク誘導溝46の傾斜角度および形状は、特に制限されず、例えば、インク誘導堰42のインク誘導面の傾斜角度および形状と相似したものとしてもよい。好ましくは、インク誘導堰42とインク誘導溝46との間隔が、吐出口28に近付くにつれて狭まるようにして、吐出口28に向かう吐出口28に有効な所定領域におけるインク流路断面形状を縮径するように、言い換えれば、該インク流路断面積を漸減させるように、インク誘導堰42およびインク誘導溝46を構成するのがよい。すなわち、図6(A)に示すように、インク誘導堰42の上流側のインク流路30の径W1が、吐出口28の直上流における径W2に縮径する(W1>W2)ように構成するのが好ましい。
このように構成することにより、インクQの主流を吐出口28へより一層近づけることができ、さらに、インク流路30を縮径した場合にはインクQの流速を速めることもできるので、吐出口28の内部へのインク供給性をより向上させることができる。
また、インク誘導溝46のインク流方向の長さK(図示例では、吐出口28のインク流に直交する方向の中央の位置における、インク誘導溝46の上流側の始点から吐出口28の上流側開口端までの長さK)は、隣接する吐出部と干渉しない範囲で、インクQを吐出口28へ好適に誘導できるように適宜設定されればよい。
本実施形態のインクジェットヘッド10においては、図6(B)にも示されるように、吐出電極18は、吐出口28のインク流上流側の一辺が切り欠かれたコの字状に設けられている。したがって、インク誘導溝46は、吐出電極18の位置を通過して、吐出電極18よりも図中上側に、深く形成することができる。
また、吐出電極18を、絶縁基板32の内部に配置する場合や、絶縁基板32のインク流路30と反対側(図中上側)に配置する場合にも、吐出電極18を、吐出口28のインク流上流側の一辺を切り欠いた形状とし、インク誘導溝46を吐出電極18よりも上側の層まで形成するのが好ましい。このようにインク誘導溝46の深さを深くすることによって、吐出口28およびインクガイド先端部分14aへのインクの供給性を更に向上させることができる。
インク誘導溝46は、インク流方向にわたって一定の深さに形成してもよい。また、インク流の方向にわたって均一な幅であってもよいし、インク流の上流側に向かうに従ってその幅が狭くなっていてもよいし、吐出口28側に向かうに従ってその幅が狭くなっていてもよい。また、インク誘導溝46の断面形状は、その深さが深くなるに従って次第に狭くなるような台形状もしくは逆三角形状であるのが好ましい。また、インク誘導溝52は、1本の溝であってもよいし、吐出口28に向かう複数の溝で形成されてもよい。
また、上述したように、本発明において、インク誘導堰40の上流側および下流側の傾斜面の傾斜度や形状は、同様あるいは対称であることには限定されず、上流側と下流側とで異なっていてもよい。
例えば、図7に示すように、インク誘導堰44のインク流下流側の傾斜面44cの傾斜度を、上流側の傾斜面44bの傾斜度よりも緩やかにするのも好ましい。これにより、傾斜面44bに誘導され頂上部44aを越えたインクQが、傾斜面44cに沿って緩やかに下流側へ案内されるので、インクQが乱流になるのを抑制してインク流の安定を保つことができ、吐出安定性を保つことができる。
次に、対向電極24は、図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10のインク液滴Rの吐出面と対面するように配置される。
対向電極24は、インクガイド14の先端部分14aに対向する位置に配置され、接地される電極基板24aと、電極基板24aの図中下側の表面、すなわちインクジェットヘッド10側の表面に配置される絶縁シート24bで構成される。
記録媒体Pは、対向電極24の図中下側の表面、すなわち絶縁シート24bの表面に、例えば静電吸着によって保持されており、対向電極24(絶縁シート24b)は、記録媒体Pのプラテンとして機能する。
少なくとも記録時には、帯電ユニット26によって、対向電極24の絶縁シート24bに保持された記録媒体Pは、吐出電極18に印加される駆動電圧と逆極性の所定の負の高電圧に帯電される。
その結果、記録媒体Pは負帯電して負の高電圧にバイアスされ、吐出電圧18に対する実質的な対向電極として作用し、かつ、対向電極24の絶縁シート24bに静電吸着される。
帯電ユニット26は、記録媒体Pを負の高電圧に帯電させるためのスコロトロン帯電器26aと、スコロトロン帯電器26aに負の高電圧を供給する高圧電源26bと、バイアス電圧源26cとを有している。スコロトロン帯電器26aのコロナワイヤは、高圧電源26bの負側の端子に接続されており、高圧電源26bの正側の端子とスコロトロン帯電器26aの金属製シールドケースは接地されている。また、バイアス電圧源26cの負側の端子は、スコロトロン帯電器26aのグリット電極に接続され、正側の端子は接地されている。
なお、本発明に用いられる帯電ユニット26の帯電手段としては、スコロトロン帯電器26aに限定されず、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針などの種々の放電手段を用いることができる。
また、図示例においては、対向電極24を電極基板24aと絶縁シート24bとで構成し、記録媒体Pを、帯電ユニット26によって負の高電圧に帯電させることにより、バイアス電圧を印加して対向電極として作用させ、かつ、絶縁シート24bの表面に静電吸着させているが、本発明はこれに限定されず、対向電極24を電極基板24aのみで構成し、対向電極24(電極基板24a自体)を負の高電圧の高圧電源に接続して、負の高電圧に常時バイアスしておき、対向電極24の表面に記録媒体Pを静電吸着させるようにしても良い。
また、記録媒体Pの対向電極24への静電吸着と、記録媒体Pへの負の高電圧への帯電または対向電極24への負の高電圧の印加とを別々の負の高電圧源によって行っても良いし、対向電極24による記録媒体Pの保持は、記録媒体Pの静電吸着に限られず、他の保持方法や保持手段を用いても良い。
以下、インクジェットヘッド10におけるインク液滴Rの吐出作用を説明することにより、本発明について、より詳細に説明する。
図1(A)に示すように、インクジェットヘッド10では、図示しないポンプ等を含むインク循環機構により、記録時に吐出電極18に印加される電圧と同極性、例えば、正(+)に帯電した色材粒子を含むインクQが、インク流路30の内部を矢印方向(図中左から右方向)に循環している。
他方、記録に際して、記録媒体Pは、対向電極24に供給され、帯電ユニット26によって色材粒子と逆極性すなわち負の高電圧に帯電されて、バイアス電圧を帯電した状態で、対向電極24に静電吸着される。
この状態で、記録媒体P(対向電極24)とインクジェットヘッド10とを、相対的に移動しつつ、供給された画像データに応じて制御部33で吐出電極18にパルス電圧(以下、駆動電圧という)が印加されるように制御する。そして、基本的には、駆動電圧の印加on/offによって吐出をon/offすることにより、画像データに応じてインク液滴Rを変調して吐出し、記録媒体P上に画像を記録する。
ここで、吐出電極18に駆動電圧を印加していない状態(あるいは、印加電圧が低電圧レベルである状態)、すなわち、バイアス電圧のみが印加されている状態では、インクQには、バイアス電圧とインクQの色材粒子(荷電粒子)の荷電とのクーロン引力、色材粒子間のクーロン反発力、キャリア液の粘性、表面張力、誘電分極力等が作用している。そして、これらが連成して、色材粒子やキャリア液が移動し、図1(A)に概念的に示すように、インクQは、吐出口28から若干盛り上がったメニスカス状となってバランスが取れている。
また、負に帯電された記録媒体Pから発生する電界によって、吐出口28に色材粒子が凝集している。そして、上述したクーロン引力等によって、その色材粒子は、いわゆる電気泳動で負のバイアス電圧に帯電された記録媒体Pに向かって移動する。したがって、吐出口28に形成されたメニスカスにおいては、インクQが濃縮された状態となっている。
この状態から、吐出電極18には駆動電圧が印加される。これにより、バイアス電圧に駆動電圧が重畳され、先の連成に、さらにこの駆動電圧の重畳によって連成された運動が起こる。そして、色材粒子およびキャリア液には、吐出電極18への駆動電圧の印加によって新たに発生する電界による静電力が作用する。その静電力によって色材粒子およびキャリア液が対向電極24側、すなわち記録媒体P側に引っ張られ、吐出口28に形成されたメニスカスが記録媒体P側(図1(A)中、上側)に向かって成長し、吐出口28から記録媒体Pの方向へ、略円錐状のインク液柱いわゆるテーラーコーンが形成される。また、先と同様に、色材粒子は、電気泳動および吐出電極からの電界によってメニスカスに移動しており、メニスカスのインクQは濃縮され、色材粒子を多数有する、ほぼ均一な高濃度状態となっている。
吐出電極18への駆動電圧の印加開始後、さらに有限な時間が経過すると、色材粒子の移動等により、電界強度の高いメニスカスの先端部分で、主に色材粒子に加わる力(クーロン引力等)とキャリア液の表面張力とのバランスが崩れ、メニスカスが急激に伸びて、曳糸と呼ばれる直径数μm〜数十μm程度の細長いインク液柱が形成される。
さらに有限な時間が経過すると曳糸が成長し、この曳糸の成長、レイリー/ウエーバー不安定性によって発生する振動、メニスカス内における色材粒子の分布不均一、メニスカスにかかる静電界の分布不均一等の相互作用によって曳糸が分断される。そして、分断された曳糸が、複数のインク液滴Rとなって吐出され、記録媒体Pに向かって飛翔し、かつ、バイアス電圧にも引っ張られて、記録媒体Pに着弾する。
このような曳糸の成長および分断は、さらにはメニスカス(曳糸)への色材粒子の移動は、駆動電圧の印加中は連続して発生する。すなわち、駆動電圧を印加する時間を調整することによって、1画素当たりのインク液滴の吐出量を調整することができる。
そして、駆動電圧の印加を終了(吐出off)した時点で、バイアス電圧のみが印加された先のメニスカスの状態に戻る。
ここで、図1(A)および(B)に示すように、インクジェットヘッド10はインク流方向に細長いスリット状の長穴形状の吐出口を有する。このように、吐出口28を細長いスリット状の長穴形状、つまりインク流方向の長さとインク流れに直交する方向の長さとのアスペクト比が1以上となる形状とすることで、インクが吐出口内部に流れやすくなり、吐出口28へのインクの粒子供給性が高くなる。これにより、インクガイド先端14aへのインクの粒子供給性を向上させることができる。したがって、画像記録時の吐出周波数が改善され、高速で連続的にドットを描画しても安定して所望のサイズのドットを描画することができる。さらに、吐出口の開口のアスペクト比を1以上にすることで、インクの流れがスムーズになり、吐出口での目詰まりを防止することができる。
吐出周波数としては、画像の出力時間を考慮すると、5kHzで、好ましくは10kHzで、より好ましくは15kHzで描画できることが望まれる。
ここで、吐出口は、インク流方向とそれに直交する方向とのアスペクト比は、1.5以上であることがより好ましい。
アスペクト比を1.5以上とすることで、インクガイドへのインク供給性がより向上し、連続した大ドットを、より安定して形成することができ、より高い周波数の描画周波数で描画を行うことができる。
ここで、上記実施形態のように、吐出口の開口形状をインク流方向の長さとインク流れに直交する方向の長さとのアスペクト比が1以上となる形状とすることで、上記効果をより好適に得ることができるが、本発明においてはこれに限定されず、吐出口の開口形状を、開口の長径と短径のアスペクト比を1以上とすることで、インクの流れをスムーズにし、吐出口での目詰まりを防止することができる。
また、吐出電極は、本実施形態のようにインク流方向の上流側が一部欠けている形状であることが好ましい。これにより、インク流方向の上流側から吐出口への色材粒子の流入を妨げる電界が形成されないので、効率よく色材粒子を吐出口へ供給させることができる。また、インク下流側に吐出電極を配置することで、吐出口へ流入した色材粒子を吐出口に留める方向の電界が形成される。以上より、吐出電極をインク流方向の上流側が一部欠けている形状とすることで、吐出口への粒子供給性をより向上させることができる。
また、図1(A)に示したインクジェットヘッド10において、インク流路30は、吐出口28の開口付近において、ヘッド基板12から吐出口28のインク吐出方向へ凸状に形成されている。この構成により、吐出口28の中央部へ向かう(盛り上がる)インク流を形成することができ、吐出口28へのインク供給性を十分高くすることができる。
さらに、図1(A)のインクジェットヘッド10は、インク流路30の凸状部分の中心(インク誘導堰40の頂上部40a)が、吐出口28のインク流方向の中心よりも上流側に変位量sだけ変位した位置に配置されている。この構成により、高周波数での描画に対応する高いインク循環速度において、十分高いインク供給性を実現でき、高速(例えば、吐出周波数15kHz)で、ドット径の安定した描画を行うことができる。
また、図1(A)に示したインクジェットヘッド10においては、吐出電極18はインク流路30に露出している。すなわち、吐出電極18は、インク流路30において、インクQと接液している。
このように、インク流路30においてインクQと接液する吐出電極18に駆動電圧を印加(吐出on)すると、吐出電極18に供給された電荷の一部がインクQに注入され、吐出口28と吐出電極18との間に位置するインクQの電導度が高くなる。したがって、本実施形態のインクジェットヘッド10においては、インクQは、吐出電極18に駆動電圧が印加された時(吐出on時)に、インク液滴Rを吐出し易い状態となる(吐出性が向上する)。
ここで、インクジェットヘッド10に用いられるインクについて説明する。
インクQは、色材粒子をキャリア液に分散することにより得られる。キャリア液は、高い電気抵抗率(109Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上)を有する誘電性の液体(非水溶媒)であるのが好ましい。キャリア液の電気抵抗が低いと、制御電極に印加される駆動電圧により、キャリア液自身が電荷注入を受けて帯電してしまい、色材粒子の濃縮がおこらない。また、電気抵抗の低いキャリア液は、隣接する制御電極間での電気的導通を生じさせる懸念もあるため不向きである。
キャリア液として用いられる誘電性液体の比誘電率は、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、キャリア液中の色材粒子に有効に電界が作用し、泳動が起こりやすくなる。
なお、このようなキャリア液の固有電気抵抗の上限値は1016Ω・cm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。キャリア液の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
キャリア液として用いられる誘電性液体としては、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、および、これらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル(例えば、信越シリコーン社製KF−96L)等を単独あるいは混合して用いることができる。
このようなキャリア液に分散される色材粒子は、色材自身を色材粒子としてキャリア液中に分散させてもよいが、好ましくは、定着性を向上させるための分散樹脂粒子を含有させる。分散樹脂粒子を含有させる場合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分散樹脂粒子を着色して着色粒子とする方法などが一般的である。
色材としては、従来からインクジェットインク組成物、印刷用(油性)インキ組成物、あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であればどれでも使用可能である。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
さらに、分散樹脂粒子としては、例えば、ロジン類、ロジン変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニールアルコールのアセタール変性物、ポリカーボネート等を挙げられる。
これらのうち、粒子形成の容易さの観点から、重量平均分子量が2,000〜1000,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜5.0の範囲内であるポリマーが好ましい。さらに、前記定着の容易さの観点から、軟化点、ガラス転移点または、融点のいずれか1つが40℃〜120℃の範囲内にあるポリマーが好ましい。
インクQにおいて、色材粒子の含有量(色材粒子あるいはさらに分散樹脂粒子の合計含有量)は、インク全体に対して0.5〜30重量%の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは1.5〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の範囲で含有されることが望ましい。色材粒子の含有量が少なくなると、印刷画像濃度が不足したり、インクQと記録媒体P表面との親和性が得られ難くなって強固な画像が得られなくなったりするなどの問題が生じ易くなり、一方、含有量が多くなると均一な分散液が得られにくくなったり、インクジェットヘッド等でのインクQの目詰まりが生じやすく、安定なインク吐出が得られにくいなどの問題が生じるからである。
また、キャリア液に分散された色材粒子の平均粒径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.4〜1.0μmである。この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
色材粒子をキャリア液に分散させた後(必要に応じて、分散剤を使用しても可)、荷電制御剤をキャリア液に添加することにより色材粒子を荷電して、荷電した色材粒子をキャリア液に分散してなるインクQとする。なお、色材粒子の分散時には、必要に応じて、分散媒を添加してもよい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
なお、色材粒子は、制御電極に印加される駆動電圧と同極性であれば、正電荷および負電荷のいずれに荷電したものであってもよい。
また、色材粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
また、荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化することもあるため、下記に定義する分配率Pを、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上とする。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクQの電気伝導度、σ2は、インクQを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクQを用いることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
インクQの電気伝導度は、100〜3000pS/cmが好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、さらに好ましくは200〜2000pS/cmである。以上のような電気伝導度の範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。
また、インクQの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/m、さらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクQの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
このようなインクQは、一例として、色材粒子をキャリア液に分散して粒子化し、かつ、荷電調整剤を分散媒に添加して、色材粒子に荷電を生じさせることで、調製できる。具体的な方法としては、以下の方法が例示される。
(1)色材あるいはさらに分散樹脂粒子をあらかじめ混合(混練)した後、必要に応じて分散剤を用いてキャリア液に分散し、荷電調整剤を加える方法。
(2)色材、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、キャリア液に同時に添加して、分散し、荷電調整剤を加える方法。
(3)色材および荷電調整剤、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、同時にキャリア液に添加して、分散する方法。
図8(A)に、本発明のインクジェットヘッドを用いる本発明のインクジェット記録装置の一実施例の概念図を示す。
同図に示すインクジェット記録装置60(以下、プリンタ60とする)は、記録媒体Pに片面4色印刷を行う装置で、記録媒体Pの搬送手段、画像記録手段、および溶媒回収手段を有するものであり、これらを筐体61に収容して構成される。
また、搬送手段は、インクジェットヘッドに対して記録媒体を相対的に移動させるための移動手段であり、フィードローラ対62、ガイド64、ローラ66(66a,66bおよび66c)、搬送ベルト68、搬送ベルト位置検知手段69、静電吸着手段70、除電手段72、剥離手段74、定着・搬送手段76およびガイド78を有する。画像記録手段は、ヘッドユニット80、インク循環系82、ヘッドドライバ84、および記録媒体位置検出手段86を有する。さらに、溶媒回収手段は、排出ファン90および溶媒回収装置92を有する。
記録媒体Pの搬送手段において、フィードローラ対62は、筐体61の側面に設けられた搬入口61aに隣接して設けられた搬送ローラ対である。フィードローラ62は、図示しないストッカから供給された記録媒体Pを、搬送ベルト68(ローラ66aに支持される部分)に送り込む。ガイド64は、フィードローラ対62と搬送ベルト68を支持するローラ66aとの間に設けられ、記録媒体Pを搬送ベルト68に案内する。
なお、フィードローラ対62の近傍には、記録媒体Pに付着した塵埃や紙粉等異物を除去する異物除去手段を設けるのが好ましい。
異物除去手段としては、公知の吸引除去、吹き飛ばし除去、静電除去等の非接触法や、ブラシ、ローラ等による接触法によるものの1以上を組み合わせて使用すればよい。また、フィードローラ対62を微粘着ローラとし、さらにフィードローラ対62のクリーナを設けて、フィードローラ対62による記録媒体Pのフィード時に塵埃・紙粉等の異物の除去を行っても良い。
搬送ベルト68は、3つのローラ66に張架されるエンドレスベルトである。また、ローラ66a,66bおよび66cのうち少なくとも1つは、図示されない駆動源と連結されており、搬送ベルト68を回転させる。
搬送ベルト68は、ヘッドユニット80による画像記録時には、記録媒体Pの走査搬送手段に加え、記録媒体Pを保持するプラテンとして機能し、さらに、画像記録後、定着・搬送手段76まで搬送する。したがって、搬送ベルト68は、寸法安定性に優れ、耐久性を有する材料で形成されるのが好ましく、例えば、金属、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、その他の樹脂およびそれらの複合体で形成される。
図示例においては、記録媒体Pは、静電吸着によって搬送ベルト68上に保持されるので、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持する側(表面)が絶縁性、ローラ66と接する側(裏面)が導電性を有する。また、図示例においては、ローラ66aは導電性ローラとされ、搬送ベルト68の裏面は、ローラ66aを介して接地されている。
すなわち、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持するとき、図1(A)に示す電極基板24aと絶縁シート24bからなる対向電極24として機能するものである。
このような搬送ベルト68としては、金属ベルトの表面側にフッ素樹脂コートを行ったもの等、金属ベルトに上記のいずれかの樹脂材料でコーティングしたベルト、接着剤等で樹脂シートと金属ベルトを張り合わせたベルト、上記の樹脂から成るベルトの裏面に金属蒸着したベルト等、各種の方法により作製された、金属層と絶縁物層とを有するベルトを用いればよい。
また、搬送ベルト68の記録媒体Pに接する表面は平滑であるのが好ましく、これにより、記録媒体Pの良好な吸着性が得られる。
搬送ベルト68は、公知の方法により蛇行が抑制されているのが好ましい。蛇行抑制の方法としては、例えば、ローラ66cをテンションローラとし、搬送ベルト位置検知手段69の出力、すなわち搬送ベルト68の幅方向の検知位置に応じて、ローラ66cの軸をローラ66aおよびローラ66bの軸に対して傾けることにより、搬送ベルトの幅方向の両端でテンションを変えて蛇行を抑制する方法等が例示される。また、ローラ66をテーパ形やクラウン形、あるいはその他の形状とすることで、蛇行を抑制してもよい。
ここで、搬送ベルト位置検知手段69は、上述のように、搬送ベルトの蛇行などを抑制すると共に、画像記録時の記録媒体Pの走査搬送方向の位置を所定位置に規制するために、搬送ベルト68の幅方向の位置を検知するもので、フォトセンサ等の公知の検知手段が用いられる。
静電吸着手段70は、記録媒体Pに、ヘッドユニット80(前述したインクジェットヘッド)に対する所定のバイアス電圧を印加すると共に、静電力により搬送ベルト68に吸着させて保持するために、記録媒体Pを所定の電位に帯電させるものである。
図示例おいては、静電吸着手段70は、記録媒体Pを帯電させるスコロトロン帯電器70aと、スコロトロン帯電器70aに接続される高圧電源70bと、バイアス電圧源77cとを有する。スコロトロン帯電器70aは、高圧電源70bの負側の端子に接続されており、高圧電源70bの正側の端子とスコロトロン帯電器70aの金属製シールドケースは接地されている。また、バイアス電圧源70cの負側の端子は、スコロトロン帯電器70aのグリット電極に接続され、正側の端子は接地されている。
記録媒体Pは、フィードローラ対62および搬送ベルト68によって搬送されつつ、負の高圧電源70bに接続されたスコロトロン帯電器70aにより、負のバイアス電圧を帯電され、かつ、搬送ベルト68の絶縁層に静電吸着される。
なお、記録媒体Pを帯電する際の搬送ベルト68の搬送速度は、安定に帯電できる範囲であれば良く、画像記録時の搬送速度と同じでも異なっていても良い。また、記録媒体Pを複数回周回させることによって、同一の記録媒体Pに静電吸着手段を複数回作用させ、均一帯電を行っても良い。
なお、図示例では、静電吸着手段70で記録媒体Pの静電吸着および帯電を行っているが、静電吸着手段と帯電手段とを別々に設けてもよい。
静電吸着手段は、図示例のスコロトロン帯電器70aに限定されず、他にも、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針等、種々の手段や方法が利用できる。また、後に詳述するように、ローラ66の少なくとも1つを導電性ローラとし、あるいは、記録媒体Pへの記録位置において搬送ベルト68の裏面側(記録媒体Pと逆側)に導電性プラテンを配置し、この導電性ローラ、または導電性プラテンを負の高圧電源に接続することにより、静電吸着手段70を構成してもよく、あるいは搬送ベルト68を絶縁性ベルトとし、導電性ローラを接地し、導電性プラテンを負の高圧電源に接続する構成としても良い。
静電吸着手段70によって帯電された記録媒体Pは、搬送ベルト68によって後述するヘッドユニット80の位置まで搬送される。
ヘッドユニット80は、前記本発明のインクジェットヘッドの制御方法を実施するインクジェットヘッドを用いて、画像データに応じてインク液滴を吐出して、記録媒体Pに画像を記録する。ここで、本発明のインクジェットヘッドは、記録媒体Pの帯電電位をバイアス電圧とし、吐出電極18に駆動電圧を印加することにより、バイアス電圧に駆動電圧を重畳し、インク液滴Rを吐出し、記録媒体Pに画像を記録するのは、前述のとおりである。この際、搬送ベルト68の加熱手段を設け、記録媒体Pの温度を高めることで、記録媒体P上におけるインク液滴Rの定着を促進することができ、滲みをより一層抑制して画質の向上を図ることができる。
なお、ヘッドユニット80等による画像記録に関しては、後に詳述する。
画像が記録された記録媒体Pは、除電手段72により除電され、剥離手段74により搬送ベルト68より剥離されて定着・搬送手段76へ搬送される。
図示例において、除電手段72は、コロトロン除電器72aと、交流電圧源72bと、高圧電源72cとを備えている、いわゆるACコロトロン除電器である。コロトロン除電器72aは、交流電圧源72bを介して高圧電源72cに接続されており、高圧電源72cの他端とコロトロン除電器72aの金属製シールドケースは接地されている。なお、除電手段は、これ以外にも、例えばスコロトロン除電器、固体チャージャ、放電針等の種々の手段や方法などが利用でき、また、上述の静電吸着手段70のように、導電性ローラや導電性プラテンを用いる構成も好適に使用される。
剥離手段74としては、剥離用ブレード、逆回転ローラ、エアナイフ等公知の技術が利用可能である。
搬送ベルト68から剥離された記録媒体Pは、定着・搬送手段76に送られ、インクジェットによって形成された画像が定着される。定着・搬送手段76としてヒートローラ76aおよび搬送ローラ76bからなるローラ対を用い、記録媒体Pを挟持搬送しつつ、記録された画像を加熱定着する。
画像が定着された記録媒体Pは、ガイド78に案内されて図示しない排紙ストッカに排紙される。
加熱定着手段としては、上述のヒートロール定着以外に、赤外線またはハロゲンランプやキセノンフラッシュランプによる照射、あるいはヒータを利用した熱風定着等の一般的な加熱定着を挙げることができる。また、加熱定着・搬送手段76においては、加熱手段は、加熱のみを行うものとし、搬送手段と加熱定着手段とを別々に設けてもよい。
なお、加熱定着の場合、記録媒体Pとして、コート紙やラミネート紙を用いた場合には、急激な温度上昇により紙内部の水分が急激に蒸発し紙表面に凹凸が発生する、ブリスターと呼ばれる現象が生じる可能性がある。これを防止するために、複数の定着器を配置し、記録媒体Pが徐々に昇温するように、各定着器の電力供給および記録媒体Pまでの距離の一方または両方を変えるのが好ましい。
なお、プリンタ60においては、少なくともヘッドユニット80による画像記録から、定着・搬送手段76による定着を終了するまでは、記録媒体Pの画像記録面には何も接触しないように構成するのが好ましい。
また、定着・搬送手段76における定着の際の記録媒体Pの移動速度には、特に限定はなく、画像形成時の搬送ベルト68による搬送速度と同じであっても良いし、異なっていても良い。画像形成時の搬送速度と異なる場合には、定着・搬送手段76の直前に記録媒体Pの速度バッファを設けるのも好ましい。
以下、プリンタ60における画像記録について詳述する。
前述のように、プリンタ60の画像記録手段は、本発明のインクジェットヘッドを用いるものであって、インクジェットを吐出するヘッドユニット80、ヘッドユニット80にインクQの供給および回収を行うインク循環系82、図示されないコンピュータ、RIP(Raster Image Processor)等の外部機器からの出力画像信号によりヘッドユニット80を駆動するヘッドドライバ84、記録媒体Pにおける画像記録位置を決定するために記録媒体Pを検出する記録媒体位置検出手段86を有して構成される。
図8(B)は、ヘッドユニット80と、その周辺の記録媒体Pの搬送手段(移動手段)を模式的に示す斜視図である。
ヘッドユニット80は、フルカラー画像の記録を行うためのシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインク吐出に対応して、4つのインクジェットヘッド80aを有し、画像データを供給されたヘッドドライバ84からの信号に従って、インク循環系82によって供給されるインクQをインク液滴Rとして吐出して、搬送ベルト68によって所定速度で搬送されている記録媒体Pに画像を記録する。
このインクジェットヘッド80aは、上述のインクジェットヘッド10と同様の構成を有している。
各色のインクジェットヘッド80aは、搬送ベルト68の搬送方向に配列されている。また、各色のインクジェットヘッド80aは、搬送ベルト68の搬送方向、すなわち記録媒体の移動方向が、吐出口の長径方向(長手方向)と平行で且つ吐出口に供給されるインク流と反対方向になるように配置される。
図示例において、各インクジェットヘッド80aは、吐出口28が記録媒体Pの幅方向全域に配列されたラインヘッドであり、好ましくは、図2に示されるように、互いに千鳥状となるように配置された複数のノズル列を有するマルチチャンネルヘッドである。
したがって、図示例においては、搬送ベルト68に記録媒体Pを保持させた状態で、ヘッドユニット80に対して記録媒体Pを搬送によって1回通過させるだけで、すなわち1回の走査搬送を行うのみで、記録媒体Pの全面に画像が形成される。したがって、吐出ヘッドをシリアルスキャンする場合に比べて、高速での画像記録(描画)が可能となる。
なお、本発明において、インクジェットヘッドは、いわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)にも利用可能であり、したがって、プリンタ60も、この態様であってもよい。
この際においては、各インクジェットヘッドの吐出口28の列(単列でもマルチチャンネルでもよい)を搬送ベルト68の搬送方向と一致させてヘッドユニット80を構成し、ヘッドユニット80を記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に走査する走査手段を設ける。走査手段としては、既に知られた走査手段を用いることができる。
画像記録は、通常のシャトルタイプのインクジェットプリンタと同様に行えばよく、吐出口28の列の長さに応じて、搬送ベルト68によって記録媒体Pを間欠的に搬送しつつ、この間欠搬送に同期して、停止時にヘッドユニット80を走査して、記録媒体Pの全面に画像を記録する。
このようにして、ヘッドユニット80によって記録媒体Pの全面に形成された画像は、前述のように、記録媒体Pが定着・搬送手段76によって挟持搬送されることにより、定着・搬送手段76によって定着される。
図8(A)において、ヘッドドライバ84は、外部装置から画像データを受け取り、種々の処理を行うシステム制御部(図示せず)から画像データを受け取り、その画像データに基づいてヘッドユニット80を駆動する。
このシステム制御部は、コンピュータやRIP、画像スキャナ、磁気ディスク装置、画像データ伝送装置等の外部装置から受け取った画像データに、色分解、適当な画素数や階調数への分割演算等を行って、ヘッドドライバ84がヘッドユニット80(インクジェットヘッド)を駆動するための画像データとする部位である。また、システム制御部は、搬送ベルト68による記録媒体Pの搬送タイミングに合わせたヘッドユニット80によるインクの吐出タイミングの制御を行う。吐出タイミングの制御は、記録媒体位置検出手段86からの出力や、搬送ベルト68または搬送ベルト68の駆動手段へ配置したエンコーダからの出力信号を利用して行われる。
なお、記録媒体位置検出手段86は、ヘッドユニット80によるインク液滴の吐出位置に搬送されてくる記録媒体Pを検出するためのもので、フォトセンサ等の既に知られた検出手段を用いることができる。
ここで、ヘッドドライバ84は、ラインヘッド適用時など、制御する吐出部の数(チャンネル数)が多数有る場合には、描画を分割し、公知の抵抗マトリクス型駆動法や抵抗ダイオードマトリクス型駆動法を用いてもよい。これにより、ヘッドドライバ84の使用IC数を低減することができ、コストを低下させると共に制御回路サイズを抑制することができる。
インク循環系82は、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッド80aのインク流路30(図1参照)にインクQを流すためのもので、4色(C、M、Y、K)の各色のインクタンク、ポンプおよび補給用インクタンク(図示せず)等を有するインク循環装置82aと、インク循環装置82aのインクタンクからヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッドのインク流路30に各色のインクQを供給するインク供給系82bと、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッドのインク流路30からインクをインク循環装置82aに回収するインク回収系82cとを有する。
インク循環系82は、インク循環装置82aによって、インクタンクからインク供給系80bを介してヘッドユニット80に各色毎にインクQを供給し、かつ、インク供給系80cを介してヘッドユニット80から各色毎にインクQをインクタンクに回収して循環させることができればどのようなものでも良い。
インクタンクは、各色のインクQを貯留しており、インクQがポンプで汲み出されてヘッドユニット80へ送られる。ヘッドユニット80からインクが吐出されることにより、インク循環系82で循環しているインクの濃度が低下するので、インク循環系82では、インク濃度検出器によってインク濃度を検出し、それ応じて補給用インクタンクから適宜インクを補充して、インク濃度を所定の範囲に保つのが望ましい。
また、インクタンクには、インクの固形成分の沈殿・濃縮を抑制するための攪拌装置や、インクの温度変化を抑制するためのインク温度管理装置が備えられるのが好ましい。この理由は、温度管理をしないと、環境温度の変化等によりインク温度が変化して、インクの物性が変化することによりドット径が変化し、高画質な画像が安定して形成できなくなる可能性があるからである。
攪拌装置としては回転羽、超音波振動子、循環ポンプ等が使用できる。
インクの温度制御装置としてはヘッドユニット80、インクタンク、インク配管系等に、ヒータやペルチェ素子等の発熱素子または冷却素子を配し、温度センサ、例えばサーモスタットにより制御する方法等、公知の方法が使用できる。温度制御装置をインクタンク内に配置する場合には、温度分布を一定にするように攪拌装置と共に配するのがよい。また、タンク内の濃度分布を一定に保つための攪拌装置は、インクの固形成分の沈澱・濃縮の抑制するための攪拌装置と共用しても良い。
前述のように、プリンタ60は、排出ファン90および溶媒回収装置92からなる溶媒回収手段を有する。溶媒回収手段は、ヘッドユニット80から記録媒体P上に吐出されたインク液滴から蒸発するキャリア液、特にインク液滴によって形成された画像を定着する際に記録媒体Pから蒸発するキャリア液を回収する。
排出ファン90は、プリンタ60の筐体61内部の空気を吸い込んで溶媒回収装置92へ送るためのものである。
溶媒回収装置92は、溶媒蒸気吸収材を備えており、排出ファン90によって吸い込まれた溶媒蒸気を含む気体の溶媒成分をこの溶媒蒸気吸収材に吸着し、溶媒が吸着回収された後の気体をプリンタ60の筐体61外に排出する。溶媒蒸気吸収材としては、各種の活性炭などが好適に使用される。
なお、上記では、C、M、Y、Kの4色のインクを用いてカラー画像を記録する静電式のインクジェット記録装置について説明したが、本発明はこれには制限されず、モノクロ用の記録装置であってもよいし、他の色、例えば淡色や特色のインクを任意の数だけ用いて記録するものであってもよい。その場合は、インク色数に対応する数のヘッドユニット80およびインク循環系82が用いられる。
また、上述したように、本発明のインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置は、上記の静電式インクジェット記録方式に用いることが好ましいが、これに限定されず、ピエゾ式、サーマル式等の各種インクジェット記録方式に用いることができる。
以上、本発明に係るインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置について詳細に説明したが、本発明は上記種々の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
(A)は、本発明のインクジェット記録装置に用いられる本発明のインクジェットヘッドの模式的断面図であり、(B)は、(A)のIB−IB線矢視図である。 インクジェットヘッドの吐出口基板に複数の吐出口が二次元的に配列されている様子を模式的に示した図である。 マルチチャンネル構造のインクジェットヘッドのガード電極の平面構造を模式的に示した図である。 (A)は、図1のインクジェットヘッドにおける吐出部近傍の構成を示す部分断面斜視図であり、(B)は、吐出部のインク流方向断面を示す構成断面図である。 吐出口近傍の構成の他の例を表す構成断面図である。 (A)は、吐出口近傍の構成の他の例を表す構成断面図であり、(B)は、(A)の吐出口基板をインク流路側から見た平面図である。 吐出口近傍の構成の他の例を表す構成断面図である。 (A)は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す概念図であり、(B)は、その記録部の構成を説明する斜視図である。
符号の説明
10 インクジェットヘッド
12 ヘッド基板
14 インクガイド
14a 先端部分
16 吐出口基板
18 吐出電極
20 ガード電極
24 対向電極
24a 電極基板
24b 絶縁シート
26 帯電ユニット
26a スコロトロン帯電器
26b 高圧電源
26c バイアス電圧源
28 吐出口
30 インク流路
32 絶縁基板
33 制御部
34 絶縁層
36 (ガード電極の)開口部
40、42、44、48 インク誘導堰
40a、42a、44a (インク誘導堰の)頂上部
40b、42b、44b (上流側)傾斜面
40c、42c、44c (下流側)傾斜面
46 インク誘導溝
60 インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)
62 フィードローラ
64 ガイド
66 ローラ
66a ローラ
68 搬送ベルト
69 搬送ベルト位置検知手段
70 静電吸着手段
70a スコロトロン帯電器
70b 高圧電源
72 除電手段
72a コロトロン除電器
72b 交流電源
72c 直流高圧電源
76 定着・搬送手段
76a ヒートローラ
78 ガイド
80 ヘッドユニット
80a 各インクジェットヘッド
80b、80c インク供給系
82 インク循環系
82a インク循環装置
82b インク供給系
82c インク回収系
84 ヘッドドライバ
86 記録媒体位置検出手段
90 排出ファン
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴

Claims (10)

  1. インクが吐出される吐出口が開口された吐出口基板と、前記吐出口基板から離して配置され、前記吐出口基板との間に実質的に略平面状のインク流路を形成するヘッド基板とを備えたインクジェットヘッドであって、
    前記吐出口の開口付近における前記インク流路を、前記ヘッド基板から前記吐出口のインク吐出方向へ凸状に形成したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記吐出口の開口付近における前記インク流路を、前記吐出口の開口中心からインク流路上流側に変位した所定位置に凸状中心を有する凸状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記吐出口の開口付近における前記インク流路の少なくとも一部を、前記吐出口のインク流路上流側から前記吐出口へ向かって縮径する形状に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記ヘッド基板が、前記吐出口の開口と対向する位置に、インク誘導堰を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記吐出口基板が、前記インク流路側の面に、インク流路上流側から前記吐出口へ通じるインク誘導溝を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記吐出口の略中央を貫通し、その先端を前記インクの吐出方向に向けて、前記ヘッド基板上に配置されたインクガイドを備え、
    前記インク誘導堰は、前記インクガイドに接して設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記吐出口は、前記インク流路におけるインク流方向の径が前記インク流方向に直交する方向の径よりも大きい開口形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  8. 前記吐出口基板は、絶縁性基板を有し、
    前記絶縁性基板の前記インク流路側および前記記録媒体側の少なくとも一方の面には、前記吐出口の周囲を囲むように、少なくとも1層の吐出電極が設けられ、
    前記吐出電極に電圧を印加することにより、前記インクの吐出を制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  9. 前記吐出電極は、前記インク流の上流側の一部を除いて前記吐出口の周囲を囲むように設けられ、
    前記インク誘導溝は、前記吐出電極が設けられない前記インク流の上流側の一部に、前記吐出電極の位置を通過して、前記インク流路側の面から前記吐出電極よりも離れた層まで達する深さに形成されていることを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッド。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェットヘッドを用いて、前記インクを記録媒体に向けて吐出し、画像データに応じた画像を前記記録媒体上に記録することを特徴とするインクジェット記録装置。
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