JP2005254501A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非塗工面にインクジェット印字した際や万年筆等の水性インクで筆記した際にフェザリング(にじみ)が少なく、適度な剛度を持ち、印字後のカールの少ないインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】 原紙の修正ステキヒトサイズ度が50〜250であり、原紙の片面にカチオンポリマーを0.01g/m2以上含有し、もう一方の面に合成シリカを含有するインク受容層を5g/m2以上設けることとして、色間にじみが低減できるようにし、原紙の修正ステキヒトサイズ度を50〜250と高くすることを可能ならしめ、非塗工面にインクジェット印字した際や万年筆等の水性インクで筆記した際のフェザリング(にじみ)を解消することができるようにしている。
【選択図】 なし

Description

本願発明は、インクジェット記録用紙に関し、さらに詳しくは非塗工面にインクジェット印字した際や万年筆等の水性インクで筆記した際にフェザリング(にじみ)が少なく、適度な剛度を持ち、印字後のカールの少ない片面のみを塗工したインクジェット記録用紙に関するものである。
一般に、インクジェット記録方式は、ノズル等からインクを吐出し、記録用紙上に付着させることにより、ドットを形成して記録を行うこととなっており、ドットインパクトタイプの記録方式に比べて騒音がなく、フルカラー化が容易であり、高速印字が可能であるなどの利点を有している。
従来のインクジェット記録用紙では、印字した際に紙の繊維に沿ってインクが流れ出すフェザリング(にじみ)と、異なる色同士が接する部分において発生する色間にじみとの両者を防止するために、原紙のステキヒトサイズ度を10〜50秒に設計することが知られている。また、印字した後のカールを低減するために、原紙の繊維配向比を低くすること(1.55以下とすること)が知られている(特許文献1参照)。
特開2003−76051号公報。
ところが、ステキヒトサイズ度を(米坪/100)で除した値(以下、修正ステキヒトサイズ度という)が50未満の原紙を用いたインクジェット記録用紙に印字した場合、フェザリング(にじみ)が完全に解消されず、満足できるものではなかった。また、ベタ部の多い画像を印字した場合、原紙へのインクの浸透が多くなり、印字した後のカール発生の問題もあった。
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、非塗工面にインクジェット印字した際や万年筆等の水性インクで筆記した際にフェザリング(にじみ)が少なく、適度な剛度を持ち、印字後のカールの少ないインクジェット記録用紙を提供することを目的とするものである。
本願発明は、上記目的を達成するために鋭意研究の結果、従来既知のカチオンポリマーを非塗工面に含有させることにより色間にじみを低減でき、この色間にじみの低減により原紙のステキヒトサイズ度を従来よりも高くすることが可能となることに着目し、本願発明をなすに至ったものである。
本願発明のインクジェット記録用紙は、原紙の修正ステキヒトサイズ度が50〜250であり、原紙の片面にカチオンポリマーを0.01g/m2以上含有し、もう一方の面に合成シリカを含有するインク受容層を5g/m2以上設けたことを特徴としている。
上記したように構成したことにより、非塗工面に従来既知のカチオンポリマーを0.01g/m2以上含有させることで色間にじみが低減できるが、色間にじみを低減できることで原紙の修正ステキヒトサイズ度を50〜250と高くすることが可能となる。その結果、非塗工面にインクジェット印字した際や万年筆等の水性インクで筆記した際のフェザリング(にじみ)を解消することができる。また、合成シリカを含有するインク受容層側の塗工量を5g/m2以上とすることで、インク受容層側にインクジェット印字した際ににじみが少なくなる。また、原紙の修正ステキヒトサイズ度を高くすることで、原紙へのインクの浸透を少なくすることが可能となり、印字した後のカールを低減することができる。なお、修正ステキヒトサイズ度が50未満になると、前述したようにフェザリング(にじみ)が完全に解消されず、修正ステキヒトサイズ度が250を超えると、サイズ効果が強くなりすぎてインクの吸収が遅くなり過ぎ、色間にじみが発生するおそれがある。また、インク受容層の厚みが5g/m2未満となると、インク受容層側にインクジェット印字した際ににじみが発生するおそれがある。また、カチオンポリマーの含有量が0.01g/m2未満となると、カチオンポリマー特有の効果(即ち、色間にじみの低減効果)がほとんど発揮されなくなる。
本願発明のインクジェット記録用紙において、原紙の繊維配向比を1.6〜2.0とし、縦方向のテーバー剛度を2.5mN・m以上とし、A3サイズ(297mm×420mm)以下の大きさで印字した後のカールを20mm以下とすることもでき、そのようにした場合、適度な縦方向の剛度を持ち、しっかりした手肉感を持ったインクジェット記録用紙を得ることができる。なお、繊維配向比を1.6未満とした場合、剛度が不足するようになり、2.0を超えると、湿度が高い環境条件下や印刷後にカールが大きくなる。また、テーバー剛度は2.5mN・m以上とするのが望ましく、2.5mN・m未満となると剛度が不足するために手肉感が弱くなって作業性が悪くなる。さらに、印字した後のカールは20mm以下とするのが望ましい。
本願発明によれば、原紙の修正ステキヒトサイズ度が50〜250であり、原紙の片面にカチオンポリマーを0.01g/m2以上含有し、もう一方の面に合成シリカを含有するインク受容層を5g/m2以上設けることとしているので、色間にじみが低減できるところから、原紙の修正ステキヒトサイズ度を50〜250と高くすることが可能となり、非塗工面にインクジェット印字した際や万年筆等の水性インクで筆記した際のフェザリング(にじみ)を解消することができるという効果がある。また、合成シリカを含有するインク受容層側の塗工量を5g/m2以上とすることで、インク受容層側にインクジェット印字した際ににじみが少なくなるという効果もある。また、原紙の修正ステキヒトサイズ度を高くすることで、原紙へのインクの浸透を少なくすることが可能となり、印字した後のカールを低減することができるという効果もある。
本願発明のインクジェット記録用紙は、原紙の修正ステキヒトサイズ度が50〜250であり、原紙の片面にカチオンポリマーを0.01g/m2以上含有し、もう一方の面に合成シリカを含有するインク受容層を5g/m2以上設けることを特徴としている。
本願発明のインクジェット記録用紙においては、非塗工面に従来既知のカチオンポリマーを0.01g/m2以上含有させることで色間にじみが低減できるが、色間にじみを低減できることで原紙の修正ステキヒトサイズ度を50〜250と高くすることが可能となる。その結果、非塗工面にインクジェット印字した際や万年筆等の水性インクで筆記した際のフェザリング(にじみ)を解消することができる。また、合成シリカを含有するインク受容層側の塗工量を5g/m2以上とすることで、インク受容層側にインクジェット印字した際ににじみが少なくなる。また、原紙の修正ステキヒトサイズ度を高くすることで、原紙へのインクの浸透を少なくすることが可能となり、印字した後のカールを低減することができる。なお、修正ステキヒトサイズ度が50未満になると、前述したようにフェザリング(にじみ)が完全に解消されず、修正ステキヒトサイズ度が250を超えると、サイズ効果が強くなりずきてインクの吸収が遅くなり過ぎ、色間にじみが発生するおそれがある。また、インク受容層の厚みが5g/m2未満となると、インク受容層側にインクジェット印字した際ににじみが発生するおそれがある。また、カチオンポリマーの含有量が0.01g/m2未満となると、カチオンポリマー特有の効果(即ち、色間にじみの低減効果)がほとんど発揮されなくなる。ここで、修正ステキヒトサイズ度とは、JIS P 8122の紙のステキヒトサイズ度試験方法に準拠して測定された値を(米坪/100)で除した値である。
本願発明のインクジェット記録用紙において、原紙の繊維配向比を1.6〜2.0とし、縦方向のテーバー剛度を2.5mN・m以上とし、A3サイズ以下の大きさで印字した後のカールを20mm以下とすることもでき、そのようにした場合、適度な縦方向の剛度を持ち、しっかりした手肉感を持ったインクジェット記録用紙を得ることができる。なお、繊維配向比を1.6未満とした場合、剛度が不足するようになり、2.0を超えると、湿度が高い環境条件下や印刷後にカールが大きくなる。また、テーバー剛度は2.5mN・m以上とするのが望ましく、2.5mN・m未満となると剛度が不足するために手肉感が弱くなって作業性が悪くなる。さらに、A3サイズ以下の大きさで印字した後のカールは20mm以下とするのが望ましい。ここで、繊維配向比とは、繊維に投光した場合に得られる反射光強度の最大値を最小値で除した値であり、例えば、(株)東洋精機製作所製の配向性試験機を用いて測定することができる。テーバー剛度とは、JIS P 8125の板紙のテーバーこわさ試験機によるこわさ試験方法に準拠しして測定された曲げモーメントの値であり、測定単位はmN・mである。
支持体としては、特に限定するものではないが、紙、不織布が使用される。基紙に用いられるものとしては、通常のクラフト法またはECF法、TCF法などの無塩素漂白法によって得られたLBKP、NBKPなどの化学パルプ、TMP、PGW、GPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプなどのパルプが挙げられる。支持体に添加するものとしては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの各種の填料、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記原紙の片面に用いられるカチオンポリマーとしては、1〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーを少なくとも1種以上を使用するものであり、共重合体は、ランダム、グラフト、ブロック等何れの構造であっても良い。
上記インク受容層に使用される顔料としては、合成シリカが主として用いられるが、例えば炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、塩化マグネシウム、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等の白色顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等を併用する場合もある。
また、塗工層を結着させるために結着剤が用いられるが、この結着剤としては、従来既知の水溶性結着剤やエマルジョン系結着剤が問題なく使用できる。特に、インクジェット記録に用いる水性インクの吸収性を阻害しにくいポリビニルアルコール(PVA)などの水溶性結着剤を用いるのが望ましい。結着剤としては、上記のPVA以外にもシラノール変性PVA、カチオン変性PVA、スチレン−ブタジエン系共重合体、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリル、アクリルースチレン系共重合体、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白などが挙げられる。
また、塗工層にインクジェット記録用インクを定着させるために、従来既知の定着剤が用いられるが、この定着剤としては、1〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーを少なくとも1種以上使用するものであり、共重合体は、ランダム、グラフト、ブロック等何れの構造であってもよい。
本実施の形態にかかるインクジェット記録用紙における塗工層を設けるに当たっては、従来既知の塗工機を用いることが可能であり、その具体例としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、ブラシコーター、カーテンコーター、バーコーター、グラビアコーター、サイズプレスコーター、ダイコーター、スライドコーターなどが挙げられる。
塗工後には、従来既知のカレンダー装置を用いて、カレンダー処理をすることができる。
このインクジェット記録用紙に対してインクジェット記録を行うに当たっては、従来既知の水性インクを用いることができるが、好適には、アニオン系水性インクを用いて記録するのが望ましい。
上記アニオン系水性インクとしては、着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる一般的なものでよく、着色剤としては、例えば直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料が用いられ、液媒体としては、水および水溶性の各種有機溶剤、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエーテルグリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等を用いたものでよい。
ついで、下記表1に示す実施例1〜5および比較例1〜5によって本願発明をさらに詳述するが、本願発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
Figure 2005254501
なお、上記実施例1〜5および比較例1〜5における評価方法および評価基準は次の通りである。
(非塗工面フェザリング)
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.12−76ペン書きサイズ度試験方法で評価を行った。全くにじみ(フェザリング)がないものを6とし、にじみが増えるにつれて5、4、3、2、1と評価した。評価が4以上であれば、実用上問題無く使用することができる。
(非塗工面色間にじみ)
インクジェットプリンター(PM−G800:セイコーエプソン社製)を用いて、温度23℃、湿度50%の条件下で、シアン、マゼンタ、イエローの各色インクの重ね色で構成される赤、緑、紫を、それぞれベタ印字(大きさ3.0cm×3.0cm)し、印字30分後の各色の境界にじみ度合いを目視にて確認した。にじみが全くないものを◎、にじみが若干見られるものを○、にじみがはっきりと見られるものを△、完全に色がにじんでしまうものを×と評価した。
(塗工面にじみ)
インクジェットプリンター(PM−G800:セイコーエプソン社製)を用いて、温度23℃、湿度50%の条件下で、シアン、マゼンタ、イエローの各色の重ね色で構成される赤、緑、青を背景色としてMS明朝、8ポイントで「大王製紙」の白抜き文字を印刷し、文字のにじみ具合を目視にて観察した。評価は、にじみが全く見られないものを◎、文字判別に問題ない程度の若干のにじみが見られるものを○、文字が不鮮明となるほどにじみが見られるものを△、文字判別が困難なほどのにじみが見られるものを×とした。
上記表1に示す結果によれば、実施例1〜5は、いずれも良好なインクジェット印字性を示すが、比較例1〜5の場合、インクジェット印字性において不具合が発生している。即ち、比較例1では非塗工面フェザリングが4未満の3であり、比較例2〜5では非塗工面色間にじみが△であり、比較例2では塗工面にじみが×である。また、比較例4では剛度が低く、比較例5ではカールが大きい。

Claims (2)

  1. 原紙のステキヒトサイズ度を(米坪/100)で除した値が50〜250であり、原紙の片面にカチオンポリマーを0.01g/m2以上含有し、もう一方の面に合成シリカを含有するインク受容層を5g/m2以上設けたことを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 原紙の繊維配向比が1.6〜2.0であり、縦方向のテーバー剛度が2.5mN・m以上であり、A3サイズ以下の大きさで印字した後のカールが20mm以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009121004A (ja) * 2007-11-19 2009-06-04 Oji Paper Co Ltd 記録用紙の製造方法
JP2012030573A (ja) * 2010-06-29 2012-02-16 Canon Inc インクジェット記録媒体
JP2015190093A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 特種東海製紙株式会社 万年筆用紙

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