JP2005254214A - 熱膨張性マイクロカプセルの製造方法 - Google Patents

熱膨張性マイクロカプセルの製造方法 Download PDF

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竜也 松窪
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Abstract

【課題】 長時間で多大な労力を必要とすることなく残留モノマーが低減された熱膨張性マイクロカプセルの製造方法を提供することである。
【解決手段】 温度100℃以上の高温蒸気が圧入されている加熱管内に、スラリータンクから供給される熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーを蒸気圧以上の背圧をかけて加熱管に圧入し、熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張を開始しない加熱温度と加熱時間で加熱管内を通過させ、大気圧下の外部に熱膨張性マイクロカプセルを排出させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加熱により膨張する熱膨張性マイクロカプセルの製造方法に関し、より詳細には、残留モノマーを低減することを可能とする熱可塑性マイクロカプセルの製造方法に関する。
熱膨張性マイクロカプセルでは、熱可塑性樹脂からなるシェル内に揮発性液体からなる揮発性膨張剤が収納されている。熱膨張性マイクロカプセルが加熱されると、揮発性液体からなる揮発性膨張剤が気化し、内圧が高まり、シェルの熱可塑性樹脂が十分に軟化するまで加熱されると、熱膨張性マイクロカプセルが膨張する。このような熱膨張性マイクロカプセルは、壁紙や樹脂発泡体などの発泡剤として用いられている。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、一般的には、水系分散媒中において、少なくとも揮発性膨張剤、重合性モノマー成分及び重合開始剤を含有する重合性組成物を懸濁重合することにより製造されている。重合が進行するにつれて、重合されるモノマー成分の重合体により外壁すなわちシェルが形成されて、シェル内に揮発性膨張剤が包み込まれる。
例えば、下記の特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素などの揮発性膨張剤を重合性モノマーに添加し、次に油相性触媒を混合し、さらに、分散剤を含有する水系分散媒中に該混合物を攪拌しつつ添加し、懸濁重合を行うことにより、揮発性膨張剤が内包されている球状粒子を製造する方法が開示されている。
しかしながら、上記製造方法では、重合性モノマーが熱膨張性マイクロカプセル内に残留し、異臭が生じたり、熱膨張性が低下したりすることなどの問題が生じがちであった。従って、熱膨張性マイクロカプセルの製造に際し、未反応の重合性モノマーが残留しないように、得られた熱膨張性マイクロカプセルから残留モノマーを除去する処理を行わねばならなかった。
そのため、従来、上記残留モノマーを除去するための洗浄を繰り返し行い、かつ減圧処理により残留モノマーを揮発させる方法などを用いなければならなかった。また、下記の特許文献1に記載されているように、アクリロニトリルを必須成分とする重合体を用い、該重合体の軟化点以下の温度でガス状となる揮発性膨張剤を用いてマイクロカプセルを得た後に、シアノエチル化反応によりアクリロニトリルモノマーを除去したりしなければならなかった。
特開昭56−113338号
上記のように、従来の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法では、残留モノマーを除去するための煩雑な洗浄処理や減圧処理を行わねばならなかったり、あるいは特許文献1に記載のように、シアノエチル化反応を用いてアクリロニトリルモノマーを除去する方法などを実施しなければならず、残留モノマーを低減するために長時間を要しかつ多大な労力が必要であった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、長時間かつ多大な労力を要する処理を必要とすることなく、残留モノマーを低減することを可能とする熱膨張性マイクロカプセルの製造方法を提供することにある。
本発明に係る熱膨張性マイクロカプセルの製造方法は、重合性組成物の重合により得られ、熱可塑性樹脂からなるシェルを有する熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーを用意し、温度100℃以上の高温の蒸気が圧入されている加熱管内に、重合性組成物の重合により得る熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーを前記高温の蒸気の蒸気圧以上の背圧を加えて圧入し、前記熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張を開始しない加熱温度及び加熱時間で、前記加熱管内を通過させ、大気圧下の外部に前記熱膨張性マイクロカプセルを排出することを特徴とする。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る熱膨張性マイクロカプセルの製造方法では、まず、重合性組成物の重合により得られ、熱可塑性樹脂からなるシェルを有する熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーを用意する。このような熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーは、熱膨張性マイクロカプセルを得るための重合性組成物を重合した後、得られた熱膨張性マイクロカプセルと水とを混合することにより得られる。あるいは、水系分散媒中において重合性組成物を懸濁重合することによって得てもよい。
上記重合性組成物としては、少なくとも重合性モノマーと、重合開始剤と、揮発性膨張剤とを含む組成物が用いられる。ここで、重合性モノマーは、重合により、熱膨張性マイクロカプセルのシェルである熱膨張性樹脂を構成する。従って、重合性モノマーとしては、従来より熱可塑性樹脂からなるシェルを有する熱膨張性マイクロカプセルにおいて該熱可塑性樹脂を構成し得る適宜の重合性モノマーが用いられる。このような重合性のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルなどのニトリルモノマーや、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルなどの適宜の熱可塑性樹脂を構成するためのモノマー成分を挙げることができる。なお、本発明の製造方法は、特に、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルなどのニトリルモノマーが重合性モノマー成分の50重量%以上を占める重合性組成物を重合して得られる熱膨張性マイクロカプセルに対して適している。また、重合性モノマーは、2種以上用いられてもよい。
また、モノマー成分には必要に応じて架橋成分が添加されていてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、トリアクリルホルマール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸1,3−ブチルグリコール、トリアリルイソシアネート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を挙げることができる。
重合性開始剤としては、上記重合性モノマーの重合を開始させる適宜の重合開始剤を用いることができる。このような重合開始剤としては、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、及びアゾ化合物が挙げられる。より具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、t−ブチルパーオキシビバレート、ジーsec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジーt−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレートなどを挙げることができる。
また、上記揮発性膨張剤としては、熱膨張性マイクロカプセルを得た後に、加熱された際に膨張し、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させ得る適宜の揮発性の液体が挙げられる。このような揮発性膨張剤の例としては、例えば、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、ブテン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、石油エーテル等や、塩化メチル、メチレンクロリド、CCl3F、CCl22等のハロゲン化ア
ルカンや、テトラメチルシランやトリメチルエチルシラン等のテトラアルキルシランなどの低沸点液体や、アゾイソブチロニトリル(AIBN)等の加熱により分解してガス状になる化合物などを挙げることができる。
なお、上記重合性組成物の重合により熱膨張性マイクロカプセルを得る工程自体は、従来より公知の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法に従って行い得る。
本発明の特徴は、上記のようにして得られた熱膨張性マイクロカプセルの残留モノマーを低減するために、上記加熱管内を、熱膨張性マイクロカプセル含水スラリーを通過させ、加熱し、熱膨張性マイクロカプセルを加熱処理することにある。
具体的には、熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーが例えばスラリータンク内に貯留されている。このスラリータンク等から上記熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーが、加熱管内に圧入される。図1を参照して、加熱管内において熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーを加熱する工程を説明する。なお、図1の加熱管1は、説明を容易とするために図示されているものであり、本発明で用いられる加熱管は、図1に示した加熱管1に限定されるものではないことを指摘しておく。
加熱管1は、筒状の内部流路2を有する。すなわち、加熱管1においては、一方端部1aから他方端部1b側に向かって延びる筒状の内部流路が形成されている。加熱管1の一方端部1aもしくはその近傍には、含水スラリー供給口が設けられている。他方端部1bもしくはその近傍には、熱膨張性マイクロカプセルを排出する排出口4が設けられている。
熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーの圧入は、スラリー供給口3より、例えばモノ式ポンプのような高圧送液ポンプを用いて行うことができる。加熱管1の一方端部1a近傍には、高温高圧蒸気供給口5が設けられている。加熱管1内には、高温高圧の蒸気供給口5から高温高圧の蒸気が供給される。すなわち、加熱管内には、100℃以上の高温の蒸気が圧入されている。上記高温高圧の蒸気の圧力は、通過させる熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度によっても異なるが、好ましくは、0.049〜0.98N/mm2であり、より好ましくは、0.059〜0.29N/mm2である。上記熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーの加熱管1内への圧入に際しての圧力は、高温の蒸気の圧力よりも高くされる。すなわち、高温の蒸気の蒸気圧以上の背圧を加えることにより、含水スラリーが加熱管1内に圧入される。
上記高温高圧蒸気の圧力は、例えば蒸気を加熱管内に圧入する流路に設けられた圧力調整弁を調整することにより行われ得る。なお、圧力調整と同時に、圧力調整弁により蒸気の温度を調整することもできる。加熱管1内を通過される熱膨張性マイクロカプセルが加熱管1内で熱膨張しないように、蒸気の温度を調整することが必要である。すなわち、熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張を開始しない加熱温度及び加熱時間で加熱管1内を通過させるために、蒸気の温度が調整される。加えて、蒸気の圧力を調整することにより、含水スラリーの加熱管1内における通過速度を微調整することもできる。従って、加熱管1内を、熱膨張性マイクロカプセルを含む含水スラリーが通過する時間、すなわち加熱時間
の調整も果たすことができる。
上記のようにして、熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張しない加熱条件となるように、加熱管1内における加熱温度及び加熱時間を調整することができる。
また、含水スラリーの背圧は、加圧送液ポンプなどを用いて調整することができる。含水スラリーの背圧を調整することにより、含水スラリーの加熱管1内における通過速度を大きく調整することができ、それによって加熱時間を大幅に調整することができる。なお、含水スラリーを高濃度で安定に供給する場合、含水スラリーを供給するための流路には、圧力調整バルブを設けないことが望ましい。
加熱管1は、含水スラリーが通過する内部流路2の表面、すなわち内面に凹凸を有しない一定の筒状管から構成されることが望ましい。内面に凹凸を有しない筒状管からなる加熱管1を用いることにより、熱膨張性マイクロカプセルを含む含水スラリーを円滑に加熱管1内を通過させることができる。
前述した高温高圧蒸気により、加熱管1内を高温に加熱することができる限り、蒸気の供給方法は特に限定されない。例えば、加熱管に多数の蒸気供給口を設け、加熱管1の端部1aから排出側端部1bまでの間の複数の部分において、高温高圧蒸気を含水スラリーに圧入し、加熱する方法を採用することができる。また、含水スラリー供給側端部から含水スラリーと共に、高温高圧の蒸気を圧入し、加熱する方法も用いることもできる。すなわち、スラリー供給口と、上記供給口とを併用してもよい。後者の場合、加熱管の形状を簡略化することができるので、加熱管内において熱膨張性マイクロカプセルが大きく攪拌され、均一に加熱され得る。従って、加熱管1の供給側端部1bもしくはその近傍から、マイクロカプセルの含水スラリーとともに、高温高圧蒸気を圧入し、加熱する方法が好ましい。
また、本発明の製造方法において、加熱管1には、高温高圧蒸気とともにエアを供給しないことが好ましい。従来のこの種の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法に用いられている加熱管では、高温高圧蒸気とともに、エアが供給されることがある。しかしながら、エアが供給されると、加熱条件の設定範囲が狭くなり、条件設定が複雑化し、好ましくない。
上記加熱管を構成する材料は、特に限定されず、高温高圧の蒸気の温度及び圧力、並びに熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーを圧入する際の背圧に耐え得る限り、金属などの適宜の材料からなる加熱管を用いることができる。
加熱管1内において加熱された熱膨張性マイクロカプセルは、加熱管1のマイクロカプセル排出側端部もしくはその近傍に設けられた排出口4から、加熱管1内における通過速度と同じ速度で排出される。この場合、通過速度と同じ速度でマイクロカプセルを排出するには、加熱管1が縮径されていないことが望ましい。すなわち、加熱管の内径が、マイクロカプセル排出口4側に向かって小さくなっている場合、すなわち内径が徐々に小さくなるように縮径されている場合には、排出口に向かってマイクロカプセルの通過速度が速くなるおそれがある。これに対して、加熱管1の内径が一定である場合には、マイクロカプセルの通過速度が増大することがなく、加熱管1内における通過速度と同じ速度で確実に加熱管1からマイクロカプセルを排出することができる。増速による過度のエネルギーが熱膨張性マイクロカプセルに与えられると熱膨張済みマイクロカプセルが得られる場合があるため、このような場合には通過速度を一定に保つことが望ましい。
排出された熱膨張性マイクロカプセルは、大気圧の外部に排出される。その場合、熱膨
張性マイクロカプセルは、加熱管1内において熱膨張を開始しない加熱温度及び加熱時間で加熱管1内を通過されるため、熱膨張済みマイクロカプセルとなることはない。従って、加熱管から排出された直後に、大気圧の外部に熱膨張性マイクロカプセルを排出することができる。
もっとも、加熱管内において加熱された後に、僅かな時間でも熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張を開始するのに十分な温度に保たれた場合には、熱膨張を開始するおそれがある。従って、加熱管から排出された熱膨張性マイクロカプセルは、滞留させずに、直ちに大気圧下の外部雰囲気に移されていることが望ましい。より好ましくは、加熱管から排出されるとともに、冷却水や冷却空気により、排出された熱膨張性マイクロカプセルを直ちに冷却することが望ましい。
上記加熱管1内において、高温高圧の蒸気により熱膨張性マイクロカプセルは熱膨張を開始しない程度に加熱される。そして、熱膨張性マイクロカプセルは、マイクロカプセル排出口4から大気圧下の外部に排出される。従って、加熱管1内において、残留モノマーは加熱されて揮発し、かつ熱膨張性マイクロカプセルが排出口4から排出されるに際し、高温高圧の蒸気とともに揮発し、大気中に揮散する。従って、得られた熱膨張性マイクロカプセルにおける残留モノマー量を低減することができる。
なお、好ましくは、排出口4を覆うように通気性に優れた袋を被せておくことが好ましい。このような通気性に優れた袋としては、布製の袋やメッシュからなる袋を挙げることができる。メッシュを構成する材料については、合成繊維や天然繊維などを挙げることができる。上記のような通気性に優れた袋で排出口4を覆うことにより、水蒸気や残留モノマーを除去しつつ、熱膨張性マイクロカプセルを飛散させることなく容易に回収することができる。
また、上記布製の袋に代えて、通気性に優れた布などからなる筒状体を排出口に接続してもよい。上記筒状体の上端を排出口4に接続し、排出されてきた熱膨張性マイクロカプセルを筒状体内に落下させる。この場合には、筒状体が通気性を有するため、やはり蒸気や残留モノマーが除去されるとともに、筒状体内を落下してきた熱膨張性マイクロカプセルを筒状体の下方で容易に回収することができる。
上記のようにして、本発明の製造方法によれば、残留モノマー量が低減された熱膨張性マイクロカプセルを容易にかつ確実に得ることができる。
なお、本発明において、上記加熱管に供給される含水スラリーとしては、熱膨張性マイクロカプセルの重合を終えた直後の含水スラリーをそのまま用いてもよい。あるいは、重合により得られた熱膨張性マイクロカプセルを一旦乾燥させて、粉末状とした後に、該粉末状の熱膨張性マイクロカプセルに水を加えて含水スラリーを調製し、スラリータンクに供給してもよい。含水スラリーにおけるマイクロカプセル濃度は、15〜50重量%程度の範囲であることが好ましい。15重量%未満では、熱膨張性マイクロカプセルの生産性が低下する。50重量%を超えると、含水スラリーの流動性が低下する。もっとも、加熱管の寸法や、含水スラリーに含まれる熱膨張性マイクロカプセルの粒径及び材料等によっても異なるため、25重量%より高濃度の含水スラリーを用いてもよい。
なお、残留モノマーを熱膨張性マイクロカプセルから効率的に除去するには、含水スラリーにおける熱膨張性マイクロカプセル濃度は、好ましくは50重量%以下であることが望ましく、より好ましくは20〜40重量%の範囲である。50重量%を超えると、熱膨張性マイクロカプセルの濃度が高くなり過ぎ残留モノマーを十分に除去することが困難となることがある。
なお、上記加熱管2内においては、排出口4側において内部流路の直径が小さくなることなく、外部に排出口4が開口している場合には、高濃度の含水スラリーを用いた場合であっても、管内を閉塞することがないため、好ましい。従って、含水スラリーは、加熱管1内から加熱管1内における通過速度と同じ速度で確実に排出され得る。
また、排出口4側において流路の内径を小さくし、オリフィスを形成した場合には、熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーは、加熱管1内を通過する速度よりも加速されて排出されることになる。この場合には、残留モノマーが揮発し易くなるため、好ましい。
本発明においては、加熱管1内における加熱条件が、残留モノマーを低減する上で重要である。熱膨張性マイクロカプセルは、上記加熱管1内において熱膨張を開始しない温度に加熱される。ところで、熱膨張性マイクロカプセルは、内包されている発泡剤の発泡開始温度以上の温度に加熱されると、大気圧下に排出されると熱膨張を開始する。従って、熱膨張性マイクロカプセルが発泡開始温度に達する前に大気圧下に排出される加熱条件を設定する必要がある。
熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度は、熱膨張性マイクロカプセルを加熱していき、膨張を開始する温度を観察することにより知ることができる。
なお、例えば加熱管1内が発泡開始温度以上であっても、加熱管1内を含水スラリーが高速で通過した場合には、熱膨張性マイクロカプセルは、発泡開始温度に達するまで加熱されない。従って、加熱温度とともに加熱時間をも調整することにより、熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張を開始しない加熱条件を設定することができる。
また、含水スラリーを圧送するための高圧送液ポンプの圧力を調整したり、圧力調整弁を設けることにより、含水スラリーの圧力や流速を調整することができ、それによって加熱時間を調整することができる。また、前述したように高温高圧の蒸気の圧力を調整することによっても、含水スラリーの流速を微調整することができる。従って、これらを調整することにより、熱膨張性マイクロカプセルの加熱条件を高精度に設定することができる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[熱膨張性マイクロカプセルの製造]
(実施例1)
アクリロニトリル64.6重量部、メタクリロニトリル30.4重量部、メタクリル酸メチル0.1重量部、酢酸ビニル2.9重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.17重量部、ペンタン19.2重量部、ヘキサン11.8重量部、t−ブチルパーオキシビバレート0.8重量部、及びジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート0.6重量部からなる重合性混合物を用意した。次いで、上記重合性混合物を、分散剤、分散安定剤及び重合禁止剤を含む脱イオン水7500重量部と混合してスタティックミキサーで攪拌混合し、0.5〜0.6MPaの圧力下、60℃に昇温したのち、15時間反応させた。反応により生成した熱膨張性マイクロカプセルを30重量%の割合で含む含水スラリーを、スチーム圧0.059N/mm2、スチーム流量0.4kg/分の条件で10
0℃の水蒸気を吹き込むとともに、内部流路直径を12mm、長さ1.3mの管状容器にスラリー流量0.9kg/分で導入し、管状容器内で攪拌混合したのち、加圧状態のまま噴出させ、含水スラリーとして回収した。含水スラリーを脱水装置(セントル)で予備脱
水した後、ウェットケーキ状の熱膨張性マイクロカプセルを得た。
(実施例2)
実施例1のウェットケーキを40℃に保った静置乾燥機で12時間乾燥し、粉体状の熱膨張性マイクロカプセルを得た。
(比較例1)
実施例1と同様の手順で、重合性混合物と水系分散媒とを作成した。これら重合性混合物と水系分散媒を混合してスタティックミキサーで攪拌混合し、0.5〜0.6MPaの圧力下、60℃に昇温したのち、15時間反応させた。重合反応により生成した熱膨張性マイクロカプセルを含有する含水スラリーを脱水装置(セントル)で予備脱水した後、ウェットケーキ状の熱膨張性マイクロカプセルを得た。
(比較例2)
比較例1のウェットケーキを40℃に保った静置乾燥機で12時間乾燥し、粉体状の熱膨張性マイクロカプセルを得た。
(比較例3)
実施例1と同様にして得た熱膨張性マイクロカプセルを含む含水スラリーを、スチーム圧0.32N/mm2、スチーム流量0.4kg/分の条件で水蒸気を吹き込み、内部流
路の直径12mm、長さ1.3mの管状容器にスラリー流量0.9kg/分で導入し、管状容器内で攪拌混合したのち、加圧状態のまま噴出させ、含水スラリーとして回収した。得られた粒子は高温に加熱されてしまったため熱膨張し、熱膨張済みマイクロカプセルとなった。
実施例および比較例で得られた熱膨張性マイクロカプセルについて、加熱管での加熱工程、含水スラリーの脱水工程、ウェットケーキの乾燥工程の設定条件を表1に示した。
〔評価〕
得られた熱膨張性マイクロカプセルについて、平均粒径、粒径分布(CV値)、発泡特性(発泡開始温度、最大変位温度、最大変位量)、残留モノマー濃度(アクリロニトリル、メタクリロニトリル)を測定した。なお、熱膨張済みマイクロカプセルとなった比較例3は評価対象から除外した。評価結果を表2に示した。
(平均粒径、粒径分布)
熱膨張性マイクロカプセルを水中に分散させ、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA−910、堀場製作所社製)を用いて測定し、体積平均粒子径、粒径分布(CV値)を測定した。
なお、粒径分布の指標であるCV値は下記の式に基づいて算出した。
CV(%)=(標準偏差/体積平均粒子径)×100
(発泡開始温度、発泡倍率)
THERMOMECHANICAL Analyzer(TMA)(「TMA2940」、TA instruments社製)を使用し、試料250μgを直径7mm、深さ1mmのアルミカップに入れて、上から0.1Nの力を加えた状態で、80℃から220℃まで、5℃/分の昇温速度で加熱した際の、測定端子の垂直方向の変位を連続的に測定し、発泡開始温度と最大発泡倍率と最大発泡温度を求めた。
(残留モノマー濃度)
熱膨張性マイクロカプセルをジメチルホルムアミド(DMF)溶媒に(マイクロカプセル/DMF=1/29)の重量比率となるように加えよく混合した後、遠心分離により上澄み溶液を分取した。分取した上澄み溶液をガスクロマトグラフィー装置を用いて分析し、残留モノマー量を測定した。
・測定装置 ガスクロマトグラフィー G6800(ヤナコ分析工業製)
カラム:PEG20M
・測定条件 カラム温度:75℃10分→10℃/分で昇温→150℃15分
検出温度:インジェクション 200℃
ディテクター 250℃
キャリアガス:窒素
定量方法 内部標準法(検量線作成は3点検量)
内部標準物質 クロロベンゼン
評価結果から、実施例1は比較例1と比較しても、粒径、粒径分布は変わらずに残留モノマー濃度が低減できている。これは、熱膨張性マイクロカプセルとともに水を含むスラリーが発泡開始温度より低い温度の水蒸気とともに細い管径の管状容器に背圧をかけながら導入され、管状容器内で熱膨張性マイクロカプセルと水蒸気とが攪拌混合されることで、粒子に吸着した残留モノマーが洗浄されて除去されるためであると思われる。また、洗浄された残留モノマーは加圧状態で噴出されるため揮発しやすい状態にさらされる。
実施例2では、比較例2と比べて、発泡開始温度、発泡倍率の熱膨張特性が低下せずに、残留モノマー濃度が低減した粉体状の熱膨張性マイクロカプセルが得られている。
これは、含水スラリー状態での熱膨張済みマイクロカプセルの生成を避けるために熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度よりも充分に低い温度の水蒸気を使用して、残留モノマー低減化の処理を行ったためである。また、水蒸気の温度が残留モノマーの沸点よりも高い場合には、加圧状態で熱膨張性マイクロカプセルを含む含水スラリーが噴出された時の残留モノマーの揮発はさらに効率よく生じていると思われる。
Figure 2005254214
Figure 2005254214
本発明で用いられる加熱管を示す模式的正面断面図。
符号の説明
1…加熱管
1a,1b…端部
2…流路
3…スラリー供給口
4…排出口
5…蒸気供給口

Claims (1)

  1. 重合性組成物の重合により得られ、熱可塑性樹脂からなるシェルを有する熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーを用意し、
    温度100℃以上の高温の蒸気が圧入されている加熱管内に、重合性組成物の重合により得る熱膨張性マイクロカプセルの含水スラリーを前記高温の蒸気の蒸気圧以上の背圧を加えて圧入し、前記熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張を開始しない加熱温度及び加熱時間で、前記加熱管内を通過させ、大気圧下の外部に前記熱膨張性マイクロカプセルを排出することを特徴とする、熱膨張性マイクロカプセルの製造方法。
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WO2007046273A1 (ja) * 2005-10-20 2007-04-26 Matsumoto Yushi-Seiyaku Co., Ltd. 熱膨張性微小球およびその製造方法
JP2015514672A (ja) * 2012-04-19 2015-05-21 コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハーConstruction Research & Technology GmbH 膨張性ポリマー微小球を膨張するための装置及びシステム

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