JP2005254213A - 熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法、および熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置 - Google Patents

熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法、および熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置 Download PDF

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【課題】 粒径分布のシャープな熱膨張済みマイクロカプセルを製造できる、加熱発泡管を用いた熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法を提供する。また、粒径分布のシャープな熱膨張済みマイクロカプセルを製造できる、加熱発泡管を用いた熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置を提供する。
【解決手段】 高温の水蒸気が圧入されている加熱発泡管3内に、熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーを当該水蒸気の蒸気圧以上の背圧をかけて圧入し、当該熱膨張性マイクロカプセルを、前記加熱発泡管内を一定の通過速度で通過させて加熱した後、当該通過速度と同じ速度で大気中に排出させ、膨張させることを特徴とする熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法、および熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置に関するものである。
近年、熱膨張性マイクロカプセルを発泡温度で熱膨張させて製造される、熱膨張済みマイクロカプセルは、たとえばセラミック用軽量化フイラー、接着剤やシーラントの軽量化フィラー、断熱材、クッション材、スポンジなどの用途に広く用いられてきている。この熱膨張済みマイクロカプセルの製造に際しては、熱可塑性樹脂からなる外殻内に炭化水素からなる揮発性膨張剤が封入されている熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより、外殻層を軟化させるとともに、揮発性膨張剤を気化させるかあるいは気体を膨張させることにより、外殻内の内圧を高めて膨張させ製造している。
熱膨張性マイクロカプセルは、水などの液体に分散させたスラリーの状態で供給され、このスラリーを加熱し膨張させる。熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーを用いた熱膨張済みマイクロカプセルを製造する方法としては、たとえば特許文献1に示される方法が提案されている。
特許文献1記載の方法によると、熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーは加熱発泡管内で高温高圧蒸気と混合されながら加熱されるとともに、管内で攪拌され、管端部に設けられた縮径したオリフィスから勢いよく噴出させることにより膨張し、粒子の合着がおこることなく熱膨張済みマイクロカプセルを製造することができる(特許文献1参照)。
米国特許第4513106号明細書抜粋
しかし、特許文献1記載の方法では、膨張する個々の熱膨張性マイクロカプセルの膨張倍率にばらつきがあるために、熱膨張性マイクロカプセルの粒径分布をシャープにしていても、熱膨張済みマイクロカプセルの粒径のばらつきが起こり、粒径分布がブロードになってしまうといった問題点があった。
本発明の目的は、粒径分布のシャープな熱膨張済みマイクロカプセルを製造できる、加熱発泡管を用いた熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法を提供することにある。また、粒径分布のシャープな熱膨張済みマイクロカプセルを製造できる、加熱発泡管を用いた熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1の発明は、高温の水蒸気が圧入されている加熱発泡管内に、熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーを当該水蒸気の蒸気圧以上の背圧をかけて圧入し、当該熱膨張性マイクロカプセルを、前記加熱発泡管内を一定の通過速度で通過させて加熱した後、当該通過速度と同じ速度で大気中に排出させ、膨張させることを特徴とする熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法である。
また、請求項2の発明は、高温の水蒸気が一定供給速度で圧入される内径一定の加熱発泡管と、熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーを、前記水蒸気の蒸気圧以上の背圧をかけて前記加熱発泡管に一定供給速度で圧入する配管と、当該熱膨張性マイクロカプセルを大気中への排出する、前記加熱発泡管と同一内径の開口部とを備えることを特徴とする熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置である。
本発明において、熱膨張性マイクロカプセルとしては、熱可塑性樹脂からなる外殻(セル壁)内に炭化水素からなる揮発性膨張剤が封入されているものが用いられる。熱膨張性マイクロカプセルの外殻(セル壁)は、モノマー成分(重合性単量体)が重合して形成されるが、熱膨張性マイクロカプセルの製造方法は、特に限定的ではなく、常法に従えばよい。例えば、外壁を形成するモノマー成分及び架橋剤を揮発性膨張剤及び重合開始剤と混合し、該混合物を適宜の分散安定剤等を含む水性媒体中で懸濁重合させる方法が挙げられる(特公昭42-26524号公報参照)。
外壁を形成するモノマー成分としては、ニトリル系モノマーを含むモノマー成分(重合性単量体)が重合、または共重合して形成されるが、使用されるニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルまたはこれらの任意の混合物等が例示され、1種類が単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良いが、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましく、メタクリロニトリルを含有せしめるのが特に好ましい。
上記ニトリル系モノマー以外のモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)クリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ビニルピリジン、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、プロピオン酸ビニル等の極性基含有ビニルモノマー;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー;エチレン、プロピレン、ブタジエン等の他の共重合成分等例示され、なかでもメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸、塩化ビニル、塩化ビニリデンが特に好ましく用いられる。
上記架橋剤としては、ビニル基を2個以上有する多官能性モノマー(以下、「多官能性モノマー」とのみ記す)が好適に用いられる。すなわち、多官能性モノマーを用いることにより外殻の強度を強化することができ熱膨張時に外殻が破泡し難くなる。
上記多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジアクリレート、数平均分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジメタクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。
膨張性マイクロカプセルの外殻内に封入される揮発性膨張剤は、外殻を形成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質であれば特に限定されないが、低沸点有機溶剤が好適であり、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n-ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの低分子量炭化水素;CCl3F、CCl22、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル-n-プロピルシランなどのテトラアルキルシラン;などが挙げられる。
これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、イソブタン、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-へキサン、石油エーテル、及びこれらの2種以上の混合物が好ましい。また、所望により、加熱により熱分解してガス状になる化合物を使用してもよい。
重合開始剤としては、特に限定されず、この分野で一般に使用されているものを使用することができるが、使用するモノマー成分に可溶の油溶性重合開始剤が好ましく、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、及びアゾ化合物が挙げられる。
本発明の熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法では、水スラリー中の熱膨張性マイクロカプセルの濃度は、従来一般的に取り扱われてきた15から25重量%の濃度範囲の水スラリーはもちろん、本発明においては、さらに濃度の高い水スラリーであっても管内が閉塞することなく水スラリーを加熱することができる。すなわち、本発明の製造方法においては、25重量%以上の水スラリーであっても熱膨張済みマイクロカプセルを安定的に製造することができる。これにより、含水率の少ない熱膨張済みマイクロカプセルを得ることができる。なお、効率よく熱膨張させるためには、水スラリー中の熱膨張性マイクロカプセルの濃度は、好ましくは50重量%以下の濃度であることが好ましく、より好ましい範囲は30から40重量%である。
図1は本熱膨張性マイクロカプセルの供給を重合容器から直接供給する場合における、本発明の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置を示す説明図である。また、図2は、熱膨張性マイクロカプセルをスラリータンクに貯留してここから供給する場合における、本発明の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置を示す説明図である。
図1および図2を参照して本発明の製造装置について説明する。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造装置に用いられる加熱発泡管3は内面に凹凸のない一定の内径の筒状管であり、加熱用の水蒸気が供給される設備と熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーが供給される配管8とが接続されている。加熱発泡管3の管径、管長ともに特に限定されるものではないが、管長については、長いほうが加熱条件の設定範囲が広く、より安定して熱膨張済みマイクロカプセルを得ることができる。したがって、装置の大きさが大きくなるといった制約はあるものの管長は長く設定しておくほうが好ましい。
また、本発明の加熱発泡管3は、排出側の管端が縮径されることなく外部に開口しているため管内でマイクロカプセルが詰まり配管を閉塞させるおそれがない。さらに、熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーは加熱発泡管3内の加熱条件が変化しても効率よく熱膨張済みマイクロカプセルを得ることができる。したがって、熱膨張性マイクロカプセルの加熱条件、すなわち、圧力条件と温度条件の設定範囲を広く設定することが出来る。
上記水蒸気の供給方法は、高温高圧の水蒸気は加熱発泡管3内を高温に加熱できればその供給方法は特には限定されない。たとえば、水スラリー供給側の管端から供給しても良いし、供給側管端から排出側管端までの間の管壁に多数の供給口を設けて水蒸気を供給しても良いし、或いは、供給側管端から水スラリーとともに高温高圧の水蒸気を圧入して加熱する方法出会っても良い。なお、供給側管端から水スラリーとともに高温高圧の水蒸気を圧入して加熱する方法は、複雑な管形状とすることなく加熱発泡管3内で熱膨張性マイクロカプセルが十分に攪拌され、均一に加熱することができることから優れた加熱方法である。
上記高温高圧の水蒸気の温度は圧力調整弁6bにより加熱発泡管3内へ供給する圧力を調整することによりコントロールすることができる。通過させる熱膨張性マイクロカプセルの加熱による膨張特性にあわせて温度を調整することができる。また、水蒸気の圧力を調整することによって熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーが、加熱発泡管3内を通過する通過速度を微調整することができる。このことにより加熱時間の調整も可能である。また、加熱時間に応じて加熱発泡3管の管長を設計してもよい。加熱温度と加熱時間を調整することにより目的とする膨張率の熱膨張済みマイクロカプセルを製造することができる。加熱する際の高温高圧蒸気の圧力としては、好ましくは0.1〜2.0MPa、より好ましくは0.5〜0.8MPaである。加熱温度としては、110〜212℃であることが好ましい。より好ましくは、120〜170℃である。
また、本発明の加熱発泡管3には高温高圧の水蒸気とともにエアーを供給しないことが好ましい。従来の加熱発泡管では高温高圧の水蒸気とともにエアーを供給する方法がとられることもあるが、加熱条件の設定範囲が狭くなり、条件設定が複雑化するため好ましくない。
熱膨張性マイクロカプセルを含む水スラリーの供給は、熱膨張性マイクロカプセルを製造した重合容器1aから直接配管8を通して加熱発泡管3に供給されても良いし、重合容器から一旦スラリータンク1bに貯蔵した後に、配管8を通じて加熱発泡管3に供給されても良い。この際スラリーは、加圧されて加熱発泡管3に圧入されるが、加圧は配管系に設置された高圧液送ポンプ2を用いても良いし、重合容器1a、スラリータンク1b等を加圧して圧入しても良いが、高圧液送ポンプ2を用いて圧入する方法が好適に用いられる。配管の途中には流量を調整するためにバルブ6aが設けられていても良い。
熱膨張性マイクロカプセルを含む水スラリーは、高圧液送ポンプ2(例えば、モノ式ポンプ)で加圧させて加熱発泡管3内に圧入する。ここで、加熱発泡管3内には高温高圧の水蒸気が供給されており水スラリーの圧力はこの水蒸気の蒸気圧よりも高く設定される。
水スラリーの背圧は高圧液送ポンプにより調整することができる。水スラリーの背圧を調整することにより水スラリーの加熱発泡管3内への圧入速度や加熱発泡管3内の通過速度を大きく調整することができ、加熱時間を調整することができる。なお、水スラリーを高濃度から低濃度まで濃度に依存せず安定して供給するために、水スラリーの供給配管には圧力調整バルブを加熱発泡管3との接続部分の直前に設けることが好ましい。また、圧力調整バルブのかわりに噴霧ノズルを取りつけてもよい。これにより水スラリーをより安定的に供給することができるし、また、水スラリー中に存在する熱膨張性マイクロカプセルを高分散化することもできる。
加熱発泡管3で加熱された熱膨張性マイクロカプセルは、加熱発泡管3の排出側管端から加熱発泡管3内の通過速度と同じ速度で排出される。本発明の加熱発泡管3は縮径されていないので、流速が増すことなく加熱発泡管3内から排出される。排出側管端近くの管内からすでに発泡が開始されて、開口部9から完全に排出された時点で大きく膨らみ、熱膨張性マイクロカプセルは大気圧下か大気圧に近い圧力下に置かれたときに、熱膨張して熱膨張済みマイクロカプセルとなる。高温スラリーの配管内での滞留時間を長くするために、流速調整バルブを途中に設けておいてもよい。
開口部近くすなわち排出側管端近くや、完全に大気中に排出された高温スラリーは熱膨張性マイクロカプセルに加わる圧力が開放されるため熱膨張する。また、高温高圧状態で開口部9から高温スラリーを噴出させるため、水蒸気の多くは飛散し一部の水蒸気が断熱膨張により凝縮して液滴となる。したがって、得られた熱膨張済みマイクロカプセルの水分量は水スラリーの水分量や水蒸気の蒸気圧と温度により調整することができる。
開口部では、開口部から噴出した高温のマイクロカプセルを受けとめるように、例えば布製のバグフィルター等の熱膨張済みマイクロカプセルを捕集するための捕集設備4が設けられているのが好ましく、捕集設備4の下部には熱膨張済みマイクロカプセルを回収するためのドラム5が設置されているのが好ましい。バグフィルターの材料は特に限定されず一般に用いられている布等が用いられる。これにより水蒸気を除きながら、熱膨張済みマイクロカプセルを飛散させることなく回収することができる。さらに、開口部から出たマイクロカプセルがサイロ壁に衝突してもマイクロカプセルが壊れるおそれがない。本発明の製造方法によれば水分の少ないパウダー状の熱膨張済みマイクロカプセルを得ることができる。
なお、製造条件によっては得られた熱膨張済みマイクロカプセルが直ちに冷却されないことがあるため、開口部の下部の冷却部7で、合着を起こさないように冷却水や冷却エアーにより熱膨張済みマイクロカプセルを冷却してもよい。好ましくは、80℃以下となるよう冷却することが好ましい。また、冷却水の散水によって含水量を調整してもよい。
本発明の効果として、請求項1の発明は、高温の水蒸気が圧入されている加熱発泡管内に、熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーを当該水蒸気の蒸気圧以上の背圧をかけて圧入し、当該熱膨張性マイクロカプセルを、前記加熱発泡管内を一定の通過速度で通過させて加熱した後、当該通過速度と同じ速度で大気中に排出させ、膨張させることを特徴とする熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法であるので、粒径分布のシャープな熱膨張済みマイクロカプセルを製造できる、加熱発泡管を用いた熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法である。
また、請求項2の発明は、高温の水蒸気が一定供給速度で圧入される内径一定の加熱発泡管と、熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーを、前記水蒸気の蒸気圧以上の背圧をかけて前記加熱発泡管に一定供給速度で圧入する配管と、当該熱膨張性マイクロカプセルを大気中への排出する、前記加熱発泡管と同一内径の開口部とを備えることを特徴とする熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置であるので、粒径分布のシャープな熱膨張済みマイクロカプセルを製造できる、加熱発泡管を用いた熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置である。
(実施例1)
<熱膨張済みマイクロカプセルの製造と粒径分布の測定試験>
まず、熱膨張性マイクロカプセルの重合の原料として、アクリロニトリル64.6重量部、メタクリロニトリル30.4重量部、メタクリル酸メチル0.1重量部、酢酸ビニル2.9重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.17重量部、ペンタン19.2重量部、ヘキサン11.8重量部、t−ブチルパーオキシビバレート0.8重量部、及びジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート0.6重量部からなる重合性混合物を用意した。次いで、上記重合性混合物を、重合容器1a内で、分散剤、分散安定剤及び重合禁止剤を含む脱イオン水7500重量部と混合してスタティックミキサーで攪拌混合し、0.5〜0.6MPaの圧力下、60℃に昇温したのち、15時間反応させた。
反応により生成した熱膨張性マイクロカプセルが25重量%の割合で含む水スラリーを重合容器1aから、高圧液送ポンプ2の駆動により、加熱発泡管3にスラリー流量0.9kg/分で導入した。同時に、加熱発泡管3にはスチーム源(ボイラー)からバルブ6bの調整により、スチーム圧0.59MPa、スチーム流量0.4kg/分の条件で140℃及び0.59MPaの圧力の水蒸気を吹き込んだ。加熱発泡管3は、内部流路直径を12mm、長さ1.3mであり、加熱発泡管3で攪拌混合したのち開口部9から噴出させ、サイロ4の上方の布製の筒状体に排出した。サイロ4内には、空冷の冷却部7を設けた。また、布中に含まれる水分の再揮発による潜熱により適度に冷却されており、熱膨張済みマイクロカプセルの合着は見られなかった。布製の筒状体の下部から落下した粉末状の熱膨張済みマイクロカプセルはドラム5に収集された。
平均粒径、粒径分布の測定は、熱膨張性マイクロカプセルを水中に分散させ、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA−910、堀場製作所社製)を用いて測定し、体積平均粒子径、粒径分布(CV値)を測定した。
なお、粒径分布の指標であるCV値は下記の式に基づいて算出した。
CV(%)=(標準偏差/体積平均粒子径)×100
粒径分布(CV値)は、20%であった。
(比較例)
<熱膨張済みマイクロカプセルの製造と粒径分布の測定試験>
直径12mmの加熱発泡管の排出側管端を、5mmに縮径してオリフィスを形成させた加熱発泡管に、さらにエアー供給管を加熱発泡管の管路途中から供給できるようにした加熱発泡管を用い、加熱発泡管に水スラリーと高温高圧の水蒸気を供給した。オリフィスを通過した高温スラリーはオリフィスにつなげられた配管を経て大気中に排出し、熱膨張済みマイクロカプセルを得た。
オリフィスを形成させ、エアー供給管を加熱発泡管の管路途中から供給したこと以外は実施例1と同じである。
粒径分布(CV値)は、25%であった。
したがって、本発明の製造方法と製造装置によれば、粒径分布のシャープな熱膨張済みマイクロカプセルを製造することができる。
本発明の活用例としては、たとえばセラミック用軽量化フイラー、接着剤やシーラントの軽量化フィラー、断熱材、クッション材、スポンジなどの用途に広く用いることができる、粒径分布のシャープな熱膨張済みマイクロカプセルを製造することができる。
熱膨張性マイクロカプセルの供給を重合容器から直接供給する場合における、本発明の熱膨張済みマイクロカプセルクロカプセルの製造装置を示す説明図である。 熱膨張性マイクロカプセルをスラリータンクに貯留してここから供給する場合における、本発明の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置を示す説明図である。
符号の説明
1a 重合容器
1b スラリータンク
2 高圧液送ポンプ
3 加熱発泡管
4 捕集設備(サイロ)
5 容器(ドラム)
6a バルブ
6b バルブ
7 冷却部
8 配管
9 開口部

Claims (2)

  1. 高温の水蒸気が圧入されている加熱発泡管内に、熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーを当該水蒸気の蒸気圧以上の背圧をかけて圧入し、当該熱膨張性マイクロカプセルを、前記加熱発泡管内を一定の通過速度で通過させて加熱した後、当該通過速度と同じ速度で大気中に排出させ、膨張させることを特徴とする熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法。
  2. 高温の水蒸気が一定供給速度で圧入される内径一定の加熱発泡管と、熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーを、前記水蒸気の蒸気圧以上の背圧をかけて前記加熱発泡管に一定供給速度で圧入する配管と、当該熱膨張性マイクロカプセルを大気中への排出する、前記加熱発泡管と同一内径の開口部とを備えることを特徴とする熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置。

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