JP2005253401A - デンプン合成関連酵素の機能の解析方法 - Google Patents

デンプン合成関連酵素の機能の解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGPase)、デンプン合成酵素(SS)、デンプン枝作り酵素(BE)、及びデンプン枝切り酵素(DBE)からなるデンプン合成関連酵素における個々の酵素の機能を解析するための新規なスクリーニング系を提供する。また、本発明は、これらの酵素をコードする遺伝子が欠損したシアノバクテリア、及びこれらの酵素をコードする遺伝子で形質転換されたシアノバクテリアの変異株を提供するものである。
【解決手段】 本発明は、シアノバクテリアにデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子を導入して、当該遺伝子が導入されたシアノバクテリアが産生するデンプンの構造を解析することからなる、シアノバクテリアを宿主としたデンプン合成関連酵素の機能をスクリーニングする方法に関する。また、本発明は、前記した本発明の方法に使用するためのシアノバクテリアにデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子を導入したシアノバクテリアの形質転換体に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、植物のデンプンの合成に関連している酵素の機能を解析するための新規なスクリーニング系を提供をするものである。即ち、本発明は、シアノバクテリアにデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子を導入したシアノバクテリアの形質転換体、及びこれを用いたデンプン合成関連酵素の機能をスクリーニングする方法に関する。
デンプンは植物のエネルギー貯蔵物質であり、α−ポリグルコースからなる多糖類の1種で、アミロースとアミロペクチンからなっている。グリコーゲンもデンプンと同様にα−ポリグルコースからなる多糖類であるが、これは主として動物のエネルギー貯蔵物質として利用されている。
デンプンは穀物の主成分として食品や飼料として使用されるだけでなく、デキストリン、オリゴ糖、異性化糖などに加工されて加工食品などにも利用され、また、糊や添加剤などとして工業製品やその原材料としても利用されている。
デンプンと一言でいっても、稲のデンプン、じゃがいものデンプン、小麦のデンプン、とうもろこしのデンプンなど、その由来によりデンプンの形、味、糊化したときの物性などが微妙に異なり、我々はその用途に応じて各種の植物由来のデンプンを使い分けてきている。このようなデンプンの性質の違いはデンプンの化学構造による違いから来ていると説明されてきている。
デンプンは主としてアミロースとアミロペクチンからできているものであり、その化学構造の相違は主として枝分かれ構造を有するアミロペクチンに由来するところが大きいとされている。
デンプン(Starch)は高等植物の貯蔵器官に蓄積するα‐ポリグルカンである。その貯蔵組織中でデンプン粒は「アミロプラスト」と呼ばれるプラスチドの中に含まれている。デンプンは2種類のグルコース・ホモポリマー、アミロペクチン(Amylopectin)とアミロース(Amylose)の混合物である。アミロースは、貯蔵デンプン中の20〜30%を占めているが、デンプン粒の形成には必須ではない。グルコース・ユニットがα−1,4グルコシド結合で繋がっており、少量のα‐1,6グルコシド結合の枝を含む線状のらせん状の分子である。一方、アミロペクチンはデンプン粒中の70‐80%を占め、グルコース・ユニットがα‐1,4グルコシド結合で伸び、主鎖と平行にα‐1,6グルコシド結合で枝が繋がった構造をとっている。特徴的なこの構造は”クラスター”構造と呼ばれている。
動物やバクテリアの貯蔵炭素源であるグリコーゲン(Glycogen)もアミロペクチンと同じくグルコース・ホモポリマーで構成されているが、クラスター構造は持っていない。グリコーゲンは”tree like”や”bush like”構造を持つと報告されている。
図1にアミロース、アミロペクチン、及びグリコーゲンの構造を示す。図1に示される線はα−グルコースの連鎖であり、アミロース(図1の(C))は枝分かれがほとんど無くα−1,4−グルコースのほぼ1本鎖の構造をしている。アミロペクチン(図1の(B))は規則正しい枝分かれ構造を有し、α−1,4−グルコースの連鎖とα−1,6−グルコースの枝分かれ構造(クラスター)を一定の間隔で規則正しく有している。また、動物などのエネルギー貯蔵物質であるグリコーゲン(図1の(A))は、全く不規則な枝分かれ構造からなるものである。グリコーゲンはアミロペクチンに比べて分子も小さく、枝も短く、その多くは水溶性の物質である。これに対してアミロペクチンは、枝も長く、かつグルコースが高密度で充填されており、一般に水不溶性の物質である。
このようなアミロペクチンのクラスター構造は、結晶構造を造る際に有利であり、結晶構造によるデンプン粒が形成される。アミロペクチンのクラスター構造は、ほぼ9nmの規則正しい繰り返し構造であり、この9nmのサイズは組織や種が異なっても余りばらつきが見られない。
アミロペクチンの構造をさらに詳細に見てゆくと、3タイプのα‐1,4−グルコシド鎖を持っている(図2参照)。A鎖は最も外側の鎖で鎖の中に分岐結合を持たない鎖である。B鎖は一つの鎖あたり1つ以上の鎖が分岐結合している鎖であり、B鎖はさらに、1つのクラスターにとどまるB1鎖、2つのクラスターに及んでいるB2鎖、3つのクラスターに及ぶB3鎖などがある。C鎖は還元末端を持っている鎖であり、アミロペクチン1分子あたり1つのC鎖を持っている。
このように、アミロペクチンの構造はほぼ一定ではあるが、植物の種類によりアミロペクチンの構造も微妙に異なってきている。最近の研究によれば、ねっとりとしたデンプンを有するジャポニカの稲と、パサパサとしたデンプンを有するインディカの稲のアミロペクチンの構造上の相違が報告されている。図3の上段(図3の(a))はジャポニカ米のアミロペクチン、図3の下段(図3の(b))はインディカ米のアミロペクチンの構造を模式的に示したものである。クラスターの枝の長さを比べるとインディカ米の方が比較的長く、その密度も比較的密になっている。このためにインディカ米のデンプンの方が糊化が難しくなっていると考えられている。
このようなアミロペクチンの微細な構造上の相違は、アミロペクチンを合成する際の合成方法の相違により生起してくると考えられている。
アミロペクチンは次の4種類の酵素の連続反応で合成されると考えられている。
(1)ADPグルコースピロホスホリラーゼ(ADPglucose pyrophosphorylase (AGPase))、
(2)デンプン合成酵素(Starch synthase(SS))、
(3)デンプン枝作り酵素(Starch branching enzyme(BE))、
(4)デンプン枝切り酵素(Starch debranching enzyme(DBE))
である。
AGPaseは、デンプン・ポリマーの原材料であるADPグルコースを合成する酵素である。SSは、アミロペクチンの非還元末端にADPグルコースをα‐1,4グルコシド結合で繋ぎ、鎖を伸ばす役割をする。SSがアミロペクチンの鎖を伸ばすのに対し、BEは、アミロペクチンのα‐1,6グルコシド結合を形成する酵素であり、枝分かれ構造の枝分かれ部分を形成させる酵素である。
従来、SSとBEがアミロペクチンの枝の頻度を決め、クラスター構造を形成するのに重要な役割を果たしているのではないかと考えられてきた。即ち、前記(4)のデンプン枝切り酵素(DBE)はクラスターの形成に必要ない酵素であると考えられていた。しかし、この分解酵素が欠損した植物ではアミロペクチンのクラスターを形成することができないことが明らかにされ、DBEがクラスター構造の形成に不可欠であることを示すことが報告されている(非特許文献1〜3参照)。
DBEについてのこれらの報告から、アミロペクチンにおけるクラスター構造の形成は、SSとBEによる新たな結合の形成だけなく、BEにより余分に形成された枝分かれを、DBEにより分解してクラスター構造が規則正しく維持されることが分かってきた。
α‐1,6グルコシド結合の枝を分解するDBEは、基質の違いから2種類のものが知られている。そのひとつはイソアミラーゼ(Isoamylase)であり、他のひとつがプルラナーゼ(Pullulanase(また、R-enzymeやlimit dextrinaseと呼ばれることもある))である。これらの2種類のDBEのうちイソアミラーゼは、グリコーゲンやグリコーゲンよりもやや規則性をもつフィトグリコーゲン(phytoglycogen)のα‐1,6グルコシド結合の枝を分解することが出来るが、プルラン(pullulan)には作用しない。一方、プルラナーゼはプルランには作用するが、グリコーゲンやフィトグリコーゲンには作用しない。
図4にアミロース、アミロペクチン、及びグリコーゲンの合成過程をまとめた。図4の左側のグリコーゲンの合成は主として動物や細菌類の場合であり、UGPaseはグリコーゲンの材料となるリン酸化グルコースの合成酵素であり、GSはグリコーゲン合成酵素であり、GBEはグリコーゲン枝作り酵素である。
図4の中側は、高等植物の場合のアミロペクチンの合成過程を示すものであり、図中のSSSは水溶性SSのことである。図4の右側は高等植物におけるアミロースの合成過程を示すものであり、GBSSは粒結合デンプン合成酵素I(granule‐bound starch synthaseI(GBSSI))のことである。
このように、高等植物においては、前記した4種類の酵素群(デンプン合成関連酵素)により植物の種類に応じたアミロペクチンを産生している。そして、植物の種類によるアミロペクチンの構造の相違は、これらの酵素の種類の違いによるところが大きいと考えられる。例えば、クラスター構造を形成させるのに重要な存在であるイソアミラーゼは植物の種類により微妙に異なっているものと推測される。
一方、遺伝子操作手法は、既存のデンプンにはない特徴を持つ新素材を作出できる可能性を持っている。デンプン合成に関連する酵素の形質転換体を用いた研究が多くのグループで進められている。形質転換技術によるデンプン形質の改変は主にジャガイモで試みられており、サフォードら(Safford, et al.,)(1998)はジャガイモのBE(イネBEIに対応)をアンチセンスに導入することにより糊化特性の異なるデンプンを蓄積するジャガイモを作出し、ジョブリングら(Jobling, et al.,)(1999)はBE A(イネのBEIIに対応)のアンチセンス形質転換体を作成し、側鎖長の長くなったアミロペクチンが蓄積することを明らかにした。また、エドワードら(Edwards, et al.,)(1999)はSSII、SSIII、SSIIとSSIIIのキメラアンチセンスRNAを導入し、デンプン合成活性の低下した形質転換体を作成した。デンプン粒のサイズは小さくなり、側鎖長分布には大きな変化が見られた。また、本発明者らは、イソアミラーゼの機能ついて解析を行ってきた(特許文献1参照)。
このように、植物のデンプン合成は、デンプン合成酵素、枝作り酵素(BE)、枝切り酵素のそれぞれ複数のアイソザイムが関与する複雑なシステムであり、これらの酵素の関わりにより、植物毎に味や物性が微妙に異なるデンプンが産生されていると考えられているが、これらの個々の酵素が植物によりどのように相違しており、またこれらの個々の酵素がデンプンの微細構造にどのように関わっているのかということは未だ解明されていない。これらの個々の酵素の機能を解明することができれば、希望する味や物性を有するデンプンを自由に産生できることになる。
したがって、これらの個々の酵素のデンプンの産生における機能の解明が望まれているが、高等植物におけるデンプン合成の過程は極めて複雑であり、かつ高等植物を用いた実験では、植物の生育に時間がかかり個々の酵素の機能を解明することは極めて困難であった。しかしながら、デンプンの合成は高等植物における植物細胞内の色素体(葉では葉緑体、貯蔵組織ではアミロプラスト)において合成されるために、高等植物での実験が必要とされていた。
特開2003−79367号 M.G.James, et al., Plant Physiol., (1995) 7, 417-429; Y.Nakamura, et al., Plant J., (1997) 12(1), 143-153; A.Kubo, et al., Plant Phys., (1999) 121, 399-409
本発明は、ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGPase)、デンプン合成酵素(SS)、デンプン枝作り酵素(BE)、及びデンプン枝切り酵素(DBE)からなるデンプン合成関連酵素における個々の酵素の機能を解析するための新規なスクリーニング系を提供する。また、本発明は、これらの酵素をコードする遺伝子が欠損したシアノバクテリア、及びこれらの酵素をコードする遺伝子で形質転換されたシアノバクテリアの変異株を提供するものである。
デンプンの合成は高等植物における植物細胞内の色素体(葉では葉緑体、貯蔵組織ではアミロプラスト)において合成される。現在の地球上の植物の色素体は、植物の進化の歴史において、シアノバクテリアの祖先が細胞内共生を起こすことにより成立したと考えられている。即ち、シアノバクテリアとの共生により、色素体が形成され、デンプンの合成が始まったと考えられている。このことから、シアノバクテリアは最も原始的なデンプン合成機構を有している生物であると考えられている。
本発明者らは、より簡素なポリグルカン代謝系を持つシアノバクテリアを宿主とした遺伝子発現系によりデンプン合成の再構成を検討した。このために、シアノバクテリア Synechococcus sp. PCC 7942 株の変異株を作成し、イネ・デンプンの特異的な構造の形成に関与するデンプン枝作り酵素(BEIIb)およびイソアミラーゼ(ISA1)の遺伝子、並びに異種シアノバクテリアである Synechocystis sp. PCC 6803 株の2つのイソアミラーゼ遺伝子を、シアノバクテリア シネココッカスPCC7942(Synechococcus sp. PCC 7942)株において発現させる系を構築した。そして、これらの酵素の遺伝子発現の効果を解析したところ、シアノバクテリアにおいても、これらの酵素の機能により産生されるデンプンのクラスター構造における糖鎖の鎖長の分布が大きく変化することを見出した。
即ち、本発明は、シアノバクテリアにデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子を導入して、当該遺伝子が導入されたシアノバクテリアが産生するデンプンの構造を解析することからなる、シアノバクテリアを宿主としたデンプン合成関連酵素の機能をスクリーニングする方法に関する。
また、本発明は、前記した本発明の方法に使用するためのシアノバクテリアにデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子を導入したシアノバクテリアの形質転換体に関する。
本発明におけるシアノバクテリアとしては、デンプン又はデンプン様のグリコーゲンを産生できるものであればよく、好ましいシアノバクテリアとしては、シネココッカス(Synechococcus)属のシアノバクテリアが挙げられる。このようなシアノバクテリアとしては、例えば、シネココッカスPCC7942(Synechococcus sp. PCC 7942)株が挙げられる。本発明において宿主として使用されるシアノバクテリアは野生型のものをそのまま使用することもできるが、シアノバクテリアが導入しようとしているデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子に対応する遺伝子を内在性の遺伝子として有している場合には、当該遺伝子を欠損させておくことが好ましい。例えば、デンプン合成関連酵素をコードする遺伝子として枝作り酵素(BE)を導入しようとする場合には、宿主のシアノバクテリアにおける枝作り酵素(BE)をコードしている遺伝子を欠損させた変異株を使用するのが、外来遺伝子の導入による機能相補の効果を検討するためにも好ましい。このような遺伝子の欠損株を得る方法としては、ジーンターゲッティング法などの公知の手法を用いることができる。
本発明におけるデンプン合成関連酵素としては、高等植物におけるデンプンの産生に関連している酵素であれば特に制限はないが、例えば、ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGPase)、デンプン合成酵素(SS)、デンプン枝作り酵素(BE)、及びデンプン枝切り酵素(DBE)からなる群から選ばれる酵素が挙げられる。好ましいデンプン合成関連酵素としては、例えば、デンプンの枝作り酵素(BE)若しくは枝切り酵素(DBE)、又はこれらのサブタイプの酵素が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの酵素は、宿主として使用されるシアノバクテリアの内在性のものでなければ特に制限はないが、好ましい酵素としては、イネ、ムギ、トウモロコシ、ジャガイモなどの高等植物由来の酵素が挙げられる。より具体的には、例えば、イネのBEIIb、SSIIa、イソアミラーゼ、また、コムギのイソアミラーゼなどが挙げられる。また、宿主となるシアノバクテリアとは異なる属のシアノバクテリア由来のデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子、例えば、シネコシスティス(Synechocystis)属由来のイソアミラーゼをコードする遺伝子であってもよい。
また、導入される遺伝子は1種であってもよいし、2種以上を同じ株に導入してもよい。例えば、イネのデンプン合成酵素(SS)の1種と、コムギのデンプン枝切り酵素(DBE)の1種の2種の外来遺伝子を同時に導入することもできるが、通常は個々の酵素の機能を解析できるようにするために、1種の外来遺伝子を導入ことが好ましい。
本発明のデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子としては、前記してきたデンプン合成関連酵素をコードするものであって、当該酵素の機能を損なわない範囲であれば必ずしも全長をコードする遺伝子でなくてもよい。また、適当な部分長の遺伝子を用いて、当該酵素の活性の有無を検討することにより、活性発現に必須の部分を本発明の方法により解析することも可能である。
遺伝子の発現用のプロモーターとしては、シアノバクテリアにおいて発現可能なものであれば特に制限はなく、シアノバクテリアのプロモーター領域を使用してもよいし、シアノバクテリアで発現可能であれば外来遺伝子のものをそのまま使用してもよいし、lacプロモーターのようなものを使用してもよい。
宿主のシアノバクテリアへの遺伝子の導入方法としては、プラスミドベクターを使用する方法、ウイルスを使用する方法、パーティクルガンによる方法などの公知の各種の手法を使用することができる。
このようにして外来遺伝子が導入されたシアノバクテリアは、抗生物質による培地を用いた公知の手法により選別することができる。そして、外来遺伝子が導入されたことや、シアノバクテリアにおいて発現していることを、ネイティブPAGEや各種のブロッティング法などの公知の手法により確認することができる。
本発明のスクリーニング法は、前記した外来のデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子が導入されたシアノバクテリアを用いて、当該形質転換体が産生するデンプンの構造を解析することからなるものである。この方法におけるデンプンの構造の解析には、デンプンを産生するか否かということも包含されており、必ずしもデンプンを産生することができる遺伝子を導入しなければならないということに限定されるものではない。導入された遺伝子によってデンプンを産生することができない場合には、外来遺伝子がコードする酵素には目的の活性が無かったということになる。
また、本発明のスクリーニング法におけるデンプンの構造を解析する手法としては、特に制限はないが、シアノバクテリア形質転換株からアルコール抽出した多糖についてα−1,6−結合切断後、キャピラリー電気泳動法により分画を行って、クラスター中の糖鎖の重合度(糖の数)を測定する方法が好ましい。測定された重合度は、同じ重合度の糖鎖を有するものをそれぞれ定量し、糖鎖の全量に対する各重合度を有する糖鎖の比率(%)を計算して糖鎖の重合度の分布を示すグラフにする手法(図7〜図10参照)が好ましい。
これにより、当該デンプンを形成しているクラスター中の糖鎖の重合度の分布がわかり、デンプンの構造的な特徴を把握することができる。
次に、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
本発明者らは、各種の枝作り酵素(BE)及び枝切り酵素(ISA)の遺伝子を調製し、この遺伝子を用いてシアノバクテリア シネココッカスPCC7942(Synechococcus sp. PCC 7942)株を形質転換して、これらの遺伝子がコードする酵素の機能を解析した。
まず、核酵素の遺伝子の調製法について、具体例により説明するが、これらの実験例は本発明の例示であり、本発明は、これらの実験例に限定されるものではない。
(1)イネ デンプン枝作り酵素(BEIIb)遺伝子発現のためのプラスミドの構築
イネのBEIIb cDNA (Mizuno et al. 1992)を含むプラスミドを鋳型としてPCRを行い、遺伝子を改変した。PCRプライマーとして以下の配列のものを用いた。
フォワードプライマー 783B: 5’- aaggaggccg tgatggcggc gggcgcgtca -3’
リバースプライマー 782B: 5’- ttcacagatt gctggcaact -3’
なお、ここで、フォワードプライマーとは、遺伝子の前端に、リバースプライマーとは遺伝子の後端にそれぞれ対合するものを指す。
フォワードプライマーは成熟タンパク質N末端の直前に開始コドン(3’側に示される下線部分)を付加し、更にその前にリボソーム結合配列(5’側に示される下線部分)が付加されるよう設計した。すなわち、イネにおいて、このタンパク質の遺伝子は細胞核にコードされ、細胞質で翻訳を受けた後、色素体内に輸送されて、その際、N末端のトランジットペプチドと呼ばれる領域が切断され、成熟型酵素に変換する。これに対し、本発明の実験において使用される遺伝子発現宿主であるシアノバクテリアは原核生物なので、オルガネラへの輸送過程を持たず、トランジットペプチドは不要である。そこで成熟型酵素部分のみが発現するよう、その直前に開始コドンを付加した。更に、シアノバクテリアでは翻訳開始のためにコード領域上流のリボソーム結合配列が必要となるため、これもPCRプライマー中に組み入れた。
リバースプライマーは、終止コドンの下流62−81残基に対合する相補配列とした。
PCR によって得られた増幅 DNA 断片を、プラスミドベクター pGEM-T Easy (Promega) に連結し、これを用いて大腸菌JM109株の形質転換を行い、組換えプラスミドを得た。増幅されたDNAに見出されたPCRに起因する塩基置換は、鋳型DNA由来の制限酵素処理断片と組換えることにより修復した。最終的に挿入断片全長の配列を決定することにより、変異が修復されたことを確認した。
なお、遺伝子増幅に用いた鋳型DNAは、Mizuno et al. (1992) が報告した配列と比較して1848残基目がT(チミン)でなくC(シトシン)であり、この変異は本研究で作成した遺伝子にも受け継がれた。ただし、翻訳アミノ酸配列は、両者で同じであったので(GGT → Gly、GGC → Gly)酵素機能に影響が生ずることはないと考えられた。
プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結したことにより、遺伝子配列の両端に EcoRI 認識部位が導入された。これを利用して、組換えプラスミドから遺伝子を切り出し、シャトルプラスミド pECAN8 (Lau and Straus (1985)) の EcoRI 部位にクローン化した。このシャトルプラスミドには Synechococcus における複製開始に必要な配列が存在するので、シアノバクテリア細胞中で遺伝子を自律増殖させることができる。遺伝子をプラスミドに連結する際に、プラスミド中のlacプロモーターと遺伝子が順方向に配置したクローンを選抜し、BEIIb 遺伝子がlacプロモーターに依存して転写されるようにした。
ここで作成した遺伝子は以後「BEIIb−354」と呼ぶことにした。
(2)イネ イソアミラーゼ(ISA1)遺伝子発現のためのプラスミドの構築
ISA1 cDNA (Fujita et al. 1999)を含むプラスミドを鋳型としてPCRを行い、遺伝子を改変した。PCR は以下に配列を示すプライマーを用いて2通り行った。
フォワードプライマー 1 741B: 5’- aaggaggtag gatgtcggtg gcctcggc -3’
リバースプライマー 743B: 5’- caaaattgaa ggaccgcaca act -3’

フォワードプライマー 2 742B: 5’- aggaggtggt gatgccggag aggta -3’
リバースプライマー 743B: 5’- caaaattgaa ggaccgcaca act -3’

フォワードプライマー1は、成熟タンパク質N末端の直前に開始コドン(3’側に示される下線部分)を付加し、更にその前にリボソーム結合配列(5’側に示される下線部分)が付加されるよう設計した。
一方、フォワードプライマー2は、成熟タンパク質中30残基目のメチオニンコドン(3’側に示される下線部分)の前にリボソーム結合配列(5’側に示される下線部分)を付加し、この部分から翻訳が行われるように設計した。これは、ISA1のN末端領域内にグルタミン酸に富む特異な配列が存在し、この部分を除去した場合の効果を検討する目的でデザインしたものである。
リバースプライマーは、終止コドンの下流72−94残基、ポリA付加部位の直前に対合する相補配列とし、2通りのPCRにおいて共通のものを用いた。
PCR によって得られた増幅DNA断片を、プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結し、これを用いて大腸菌JM109株の形質転換を行い、組換えプラスミドを得た。フォワードプライマー1を用いて得たクローンはいずれも遺伝子の後半部分を欠失したものだったので、フォワードプライマー2を用いて得たクローン由来の制限酵素処理断片と組換えることにより修復した。遺伝子の後半部分は両者において共通であるはずなので、この組換えにより目的の配列の遺伝子を得ることが出来た。最終的に挿入断片全長の配列を決定することにより、変異が修復されたことを確認した。
なお、増幅した遺伝子において、フォワードプライマー1を用いて得たクローンでは2167残基目、フォワードプライマー2を用いて得たクローンでは2077残基目にC(シトシン)の挿入が起こっており、フジタら(Fujita et al. (1999))が報告した配列と異なっていた。この挿入は得られたPCR産物全てに共通に認められたことから、鋳型DNAに由来するものであると考えられた。この挿入変異により、翻訳アミノ酸配列にフレームシフトが生ずるが、他の植物種(トウモロコシ、ジャガイモ)における相同遺伝子との配列保存性は、むしろ高くなる(挿入塩基無しでは相同性は認められなかった)ことがわかった。
プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結したことにより、遺伝子配列の両端にNotI認識部位が導入された。これを利用して、組換えプラスミドから遺伝子を切り出し、T4 DNAポリメラーゼにより末端を平滑化した後、シャトルプラスミド pECAN8 の SmaI 部位にクローン化した。遺伝子をプラスミドに連結する際に、プラスミド中の lac プロモーターと遺伝子が順方向に配置したクローンを選抜した。
フォワードプライマー1を用いて増幅した遺伝子由来のクローンを「ISA1−144」、フォワードプライマー2を用いて増幅した遺伝子由来のクローンを「ISA1−246」と呼ぶことにした。
(3)Synechocystis sp. PCC 6803 株のイソアミラーゼ(Slr0237)遺伝子発現のためのプラスミドの構築
Synechocystis sp. PCC 6803 株から調製したゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、イソアミラーゼ(Slr0237)遺伝子を増幅した。用いたPCRプライマーは、カネコら(Kaneko et al.(1996))により公表された配列をもとに以下に示すように設計した。
フォワードプライマー 728B: 5’- ggaattgcct atgccacagt tga -3’
リバースプライマー 729B: 5’- atttgtttaa ttaatctcat ggt -3’
フォワードプライマーはコード領域上流の非翻訳配列10残基および開始コドン(3’側に示される下線部分)からの13残基を含むよう設計した。なお、開始コドンとした位置における本来の配列は gtg であったが、これを atg に改変した。
リバースプライマーは、終止コドンの下流47−69残基に対合する相補配列とした。
PCR によって得られた増幅 DNA 断片を、プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結し、これを用いて大腸菌JM109株の形質転換を行い、組換えプラスミドを得た。挿入断片全長の配列を決定することにより、PCRでの増幅にともなう変異が無いことを確認した。
プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結したことにより、遺伝子配列の両端に EcoRI 認識部位が導入された。これを利用して、組換えプラスミドから遺伝子を切り出し、シャトルプラスミド pECAN8 の EcoRI 部位にクローン化した。遺伝子をプラスミドに連結する際に、プラスミド中の lac プロモーターと遺伝子が順方向に配置したクローンを選抜した。
(4)Synechocystis sp. PCC 6803 株イソアミラーゼ(Slr1857)遺伝子発現のためのプラスミドの構築
Synechocystis sp. PCC 6803 株から調製したゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、イソアミラーゼ(Slr1857)遺伝子を増幅した。用いたPCRプライマーは、カネコら(Kaneko et al.(1996))により公表された配列をもとに以下に示すように設計した。
フォワードプライマー 734B: 5’- gcaggacacc atggaacgca ta -3’
リバースプライマー 735B: 5’- gcgttattaa taatttccga tt -3’
フォワードプライマーはコード領域上流の非翻訳配列10残基および開始コドン(3’側に示される下線部分)からの12残基を含むよう設計した。
リバースプライマーは、終止コドンの下流76−97残基に対合する相補配列とした。
PCRによって得られた増幅DNA断片を、プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結し、これを用いて大腸菌JM109株の形質転換を行い、組換えプラスミドを得た。挿入断片全長の配列を決定することにより、PCRでの増幅にともなう変異が無いことを確認した。
プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結したことにより、遺伝子配列の両端に EcoRI 認識部位が導入された。これを利用して、組換えプラスミドから遺伝子を切り出し、シャトルプラスミド pECAN8 の EcoRI 部位にクローン化した。遺伝子をプラスミドに連結する際に、プラスミド中の lac プロモーターと遺伝子が順方向に配置したクローンを選抜した。
以上の方法で調製された各遺伝子の塩基配列、及びそのアミノ酸配列を配列表のそれぞれ以下のとおり記載しておく。
配列番号1: イネBEIIb−354の塩基配列。
配列番号2: イネBEIIb−354のアミノ酸配列。
配列番号3: イネイソアミラーゼ(ISA1−144)の塩基配列。
配列番号4: イネイソアミラーゼ(ISA1−144)のアミノ酸配列。
配列番号5: イネイソアミラーゼ(ISA1−246)の塩基配列。
配列番号6: イネイソアミラーゼ(ISA1−246)のアミノ酸配列。
配列番号7: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr0237)の塩基配列。
配列番号8: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr0237)のアミノ酸配列。
配列番号9: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr1857)の塩基配列。
配列番号10: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr1857)のアミノ酸配列。
以上のように、本発明者らは、デンプン合成に関わる枝作り酵素(BE)として、イネのBEIIbを一部変性させた遺伝子としてBEIIb−354と命名した遺伝子、並びに枝切り酵素としてイネのイソアミラーゼの変性した遺伝子としてISA−1及びISA−2と命名した遺伝子、並びにシアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803 株から得られたslr0237およびslr1857と命名された2種のイソアミラーゼ遺伝子を調製し、これらを用いて、これらの酵素の機能解析を行った。
宿主としては、シアノバクテリア Synechococcus sp. PCC 7942 株の野生株(WT)、枝作り酵素(BE)欠損株(ΔBE)、及びイソアミラーゼ(ISA)欠損株(ΔISA)を使用した。前記した遺伝子を用いて組換えプラスミドを構築し、これを用いてゴールドマンらの方法(Golden et al. (1987))に準じSynechococcus 野生株および変異株の形質転換を行い、各種外来遺伝子をシアノバクテリア細胞内に導入した。アンピシリン耐性を指標として、外来遺伝子を含む形質転換株を選抜した。
本発明の実験に使用された形質転換株は次のとおりである。
(A)野生株(WT)を宿主とする形質転換体。
1.BEIIb−354を導入したもの(以下、WT+BEIIb−354)、
2.ISA1−144を導入したもの(以下、WT+ISA1−144)、
3.ISA1−246を導入したもの(以下、WT+ISA1−246)、
4.pECAN8(遺伝子を含まない対照)を導入したもの(以下、WT+ベクター)、
(B)枝作り酵素(BE)欠損株(ΔBE)を宿主とする形質転換体。
1.BEIIb−354を導入したもの(以下、ΔBE+BEIIb−354)、
2.pECAN8(遺伝子を含まない対照)を導入したもの(以下、ΔBE+ベクター)、
(C)イソアミラーゼ(ISA)欠損株(ΔISA)を宿主とする形質転換体。
1.ISA1−144を導入したもの(以下、ΔISA+ISA1−144)、
2.ISA1−246を導入したもの(以下、ΔISA+ISA1−246)、
3.Slr0237を導入したもの(以下、ΔISA+Slr0237)、
4.Slr1857を導入したもの(以下、ΔISA+Slr1857)、
5.pECAN8(遺伝子を含まない対照)を導入したもの(以下、ΔISA+ベクター)、
本発明において、内在遺伝子欠損株を宿主として用いたのは、外来遺伝子の導入による機能相補の効果を検討するためである。
このようにして得られた形質転換株における外来遺伝子の発現の検出を行った。
即ち、アンピシリンを含む液体培地で形質転換株を培養し、細胞を収穫した。遠心により集めた細胞をバッファーで懸濁し、フレンチプレスを用いて138MPaで破砕した。20000xgで遠心した上清について酵素活性の検出を行った。
デンプン枝作り酵素活性について、非変性条件でのポリアクリルアミドゲル電気泳動(Native-PAGE)後の活性染色の結果を図5に図面に代わる写真で示す。図5中のレーン1は、対照として泳動したイネ胚乳抽出液についての結果であり、レーン2、3、及び4は、それぞれ Synechococcus 野生株(WT)、BE欠損株(ΔBE)、及びBE欠損株にBEIIb−354を導入した形質転換株(ΔBE+BEIIb−354)の抽出液(50μgタンパク質)を示す。イネ胚乳抽出液には図5に示されるように、BEI、BEIIa、BEIIb といった複数の酵素活性が認められた。Synechococcus 野生株(WT)では、内在性のBEによる濃い染色バンドが検出されるのに対し、BE欠損株(ΔBE)では活性が完全に消失していた。これと比較してBEIIb形質転換株(ΔBE+BEIIb−354)では特異的なバンドが認められ(図5中のレーン4の右側の三角印参照)、これが導入した遺伝子に起因するものであることが示された。
イソアミラーゼ(枝切り酵素)についてのポリアクリルアミドゲル電気泳動( Native-PAGE)、活性染色の結果を図6に図面に代わる写真で示す。図6中のレーン1は、対照として泳動したイネ胚乳抽出液についての結果であり、レーン2、及び4は Synechococcus ISA欠損株(ΔISA)、レーン3、及び5はISA欠損株にISA1−144を導入した形質転換株(ΔISA+ISA1−144)の抽出液(2、3は20μg、4、5は50μgタンパク質)を示す。イネ胚乳抽出液には図に示すように、ISA1 による複数の染色バンドに加え、アミラーゼやプルラナーゼの活性を示すバンドが認められた。Synechococcus ISA1 形質転換株(ΔISA+ISA1−144)では、親株であるISA欠損株(ΔISA)には見られない薄い染色バンド(図6の右側の矢印部分、明瞭な白いバンドの直下)が認められた。
以上述べたように、シアノバクテリア細胞内に導入したイネ遺伝子由来の酵素を発現させ、その活性を検出することに成功した。ISA−246 および Synechocystis Slr0237、Slr1857 の酵素活性検出についても同様である。
次にこれらの形質転換株における貯蔵多糖の構造解析を行った。
500mlの液体培養で得られた形質転換株の細胞からアルコール抽出により貯蔵多糖を調製し、市販のイソアミラーゼによって枝切り処理を行った後、キャピラリー電気泳動にかけてグルカン鎖の鎖長分布を調べた。
図7〜10はキャピラリー電気泳動の結果をグラフ化したものである。これらの各図の上段は鎖長分布を示し、横軸は鎖の長さを示し、縦軸は頻度(%)を示す。これらの各図の下段は、各図の上段に記載した種の2種を比較した場合の差分を示す。
図7は、野生株(WT)(図7中の灰色白抜き)、BE欠損株に対照として遺伝子を含まないプラスミドベクターを導入した株(ΔBE+vector)(図7中の灰色塗りつぶし)、とBE欠損株にイネ BEIIb 遺伝子を導入した形質転換株(ΔBE+BEIIb−354)(図7中の黒色塗りつぶし)におけるポリグルカンの鎖長分布(図7上段)、および形質転換株とその親株である欠損株での各鎖長の存在比率の差((ΔBE+BEIIb−354)−(ΔBE+vector))(図7中の黒色塗りつぶし)(図7下段)を示したものである。
イネ BEIIb 遺伝子の導入実験に親株として使用した内在性遺伝子BE欠損株は、野生株と比較してグルコース重合度(DP)10以上の糖鎖の割合が増加するという特徴を示したが、イネ BEIIb 遺伝子を導入した形質転換株ではDP7−8の鎖が減少し、代わって短鎖(DP4−5)の割合が増大した。この結果から、Synechococcus においてはBEIIbはDP=8以下の短いグルカン鎖に作用して、転移反応を行うことが示された。
図8は、野生株(WT)(図8中の灰色白抜き)、ISA欠損株に対照として遺伝子を含まないプラスミドベクターを導入した株(ΔISA+vector)(図8中の灰色塗りつぶし)、とISA欠損株にイネISA1遺伝子を導入した形質転換株(ΔISA+ISA1−144)(図8中の黒色塗りつぶし)におけるポリグルカンの鎖長分布(図8上段)、および形質転換株とその親株である欠損株での各鎖長の存在比率の差((ΔISA+ISA1−144)−(ΔISA+vector))(図8中の黒色塗りつぶし)(図8下段)を示したものである。
図9は、野生株(WT)(図9中の灰色白抜き)、ISA欠損株に対照として遺伝子を含まないプラスミドベクターを導入した株(ΔISA+vector)(図9中の灰色塗りつぶし)、とISA欠損株に異種シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803 株ISA(Slr0237)遺伝子を導入した形質転換株(ΔISA+Slr0237)(図9中の黒色塗りつぶし)におけるポリグルカンの鎖長分布(図9上段)、および形質転換株とその親株である欠損株での各鎖長の存在比率の差((ΔISA+Slr0237)−(ΔISA+vector))(図9中の黒色塗りつぶし)(図5下段)を示したものである。
図10は、野生株(WT)(図10中の灰色白抜き)、ISA欠損株に対照として遺伝子を含まないプラスミドベクターを導入した株(ΔISA+vector)(図10中の灰色塗りつぶし)、とISA欠損株に異種シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803 株ISA(Slr1857)遺伝子を導入した形質転換株(ΔISA+Slr1857)(図10中の黒色塗りつぶし)におけるポリグルカンの鎖長分布(図10上段)、および形質転換株とその親株である欠損株での各鎖長の存在比率の差((ΔISA+Slr1857)−(ΔISA+vector))(図10中の黒色塗りつぶし)(図10下段)を示したものである。
これらの結果から、イネ ISA1、異種シアノバクテリア Synechocystis の2種のイソアミラーゼ(Slr0237、Slr1857)を導入した場合は、いずれも同様な効果が現れることが明らかとなった。すなわち、親株として使用した内在性遺伝子ISA欠損株は、野生株と比較して短鎖(DP2−3)の含量が増加するという特徴を示したが、ISA遺伝子を導入した形質転換株では、いずれもこの短鎖の比率が低下することが認められた。従って、シアノバクテリアにおいてISAはグリコーゲン分子中の短い枝鎖に作用してこれを除去し、分子構造の成形に関与することが示された。
以上のように、本発明の方法によれば、植物の生育を待たずにデンプン合成の結果を得ることができ、極めて短時間でデンプン合成関連酵素のそれぞれの活性、機能を解析することが可能となる。
本発明は、植物、好ましくは高等植物におけるデンプン合成関連酵素の個々の酵素の活性や機能を極めて短時間でかつ簡便の手法で解析することができる新規な実験系及びそのための形質転換体を提供するものである。本発明の方法により、各種の植物におけるデンプン合成関連酵素の機能を短時間で解析することが可能となり、それぞれの酵素の有する特徴を生かしたデンプンの構造をデザインし、それを宿主植物に産生させることも可能となり、新規なクラスター構造を有するデンプンの創生が可能となる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
イネ デンプン枝作り酵素(BEIIb)遺伝子発現のためのプラスミドの構築
BEIIb cDNA (Mizuno et al. 1992)を含むプラスミドを鋳型としてPCR を行い、シアノバクテリアに適した遺伝子に改変したPCR産物を得た。PCRプライマーとして以下の配列のものを用いた。
フォワードプライマー 783B: 5’- aaggaggccg tgatggcggc gggcgcgtca -3’
リバースプライマー 782B: 5’- ttcacagatt gctggcaact -3’
PCR によって得られた増幅 DNA 断片を、プラスミドベクター pGEM-T Easy (Promega) に連結し、これを用いて大腸菌JM109株の形質転換を行い、組換えプラスミドを得た。増幅されたDNAに見出されたPCRに起因する塩基置換は、鋳型DNA由来の制限酵素処理断片と組換えることにより修復した。最終的に挿入断片全長の配列を決定することにより、変異が修復されたことを確認した。
プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結したことにより、遺伝子配列の両端に EcoRI 認識部位が導入された。これを利用して、組換えプラスミドから遺伝子を切り出し、シャトルプラスミド pECAN8 (Lau and Straus 1985) の EcoRI 部位にクローン化した。このシャトルプラスミドには Synechococcus における複製開始に必要な配列が存在するので、シアノバクテリア細胞中で遺伝子を自律増殖させることができる。遺伝子をプラスミドに連結する際に、プラスミド中の lac プロモーターと遺伝子が順方向に配置したクローンを選抜し、BEIIb 遺伝子が lac プロモーターに依存して転写されるようにした。
ここで作成された遺伝子を「BEIIb−354」と命名した。
イネ イソアミラーゼ(ISA1)遺伝子発現のためのプラスミドの構築
ISA1 cDNA (Fujita et al. 1999)を含むプラスミドを鋳型としてPCRを行い、シアノバクテリアに適した遺伝子に改変されたPCR産物を得た。PCR は以下に配列を示すプライマーを用いて2通り行った。
フォワードプライマー 1 741B: 5’- aaggaggtag gatgtcggtg gcctcggc -3’
リバースプライマー 743B: 5’- caaaattgaa ggaccgcaca act -3’
フォワードプライマー 2 742B: 5’- aggaggtggt gatgccggag aggta -3’
リバースプライマー 743B: 5’- caaaattgaa ggaccgcaca act -3’
PCR によって得られた増幅DNA断片を、プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結し、これを用いて大腸菌JM109株の形質転換を行い、組換えプラスミドを得た。フォワードプライマー1を用いて得たクローンはいずれも遺伝子の後半部分を欠失したものだったので、フォワードプライマー2を用いて得たクローン由来の制限酵素処理断片と組換えることにより修復した。遺伝子の後半部分は両者において共通であるはずなので、この組換えにより目的の配列の遺伝子を得ることが出来た。最終的に挿入断片全長の配列を決定することにより、変異が修復されたことを確認した。
得られたPCR産物をプラスミドベクター pGEM-T Easy に連結したことにより、遺伝子配列の両端に NotI 認識部位が導入された。これを利用して、組換えプラスミドから遺伝子を切り出し、T4 DNA ポリメラーゼにより末端を平滑化した後、シャトルプラスミド pECAN8 の SmaI 部位にクローン化した。遺伝子をプラスミドに連結する際に、プラスミド中の lac プロモーターと遺伝子が順方向に配置したクローンを選抜した。
フォワードプライマー1を用いて増幅した遺伝子由来のクローンを「ISA1−144」、フォワードプライマー2を用いて増幅した遺伝子由来のクローンを「ISA1−246」とそれぞれ命名した。
Synechocystis sp. PCC 6803 株イソアミラーゼ(Slr0237)遺伝子発現のためのプラスミドの構築
Synechocystis sp. PCC 6803 株から調製したゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、イソアミラーゼ(Slr0237)遺伝子を増幅した。用いたPCRプライマーは、Kaneko et al.(1996)により公表された配列をもとに以下に示すように設計した。
フォワードプライマー 728B: 5’- ggaattgcct atgccacagt tga -3’
リバースプライマー 729B: 5’- atttgtttaa ttaatctcat ggt -3’
PCR によって得られた増幅 DNA 断片を、プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結し、これを用いて大腸菌JM109株の形質転換を行い、組換えプラスミドを得た。挿入断片全長の配列を決定することにより、PCRでの増幅にともなう変異が無いことを確認した。
プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結したことにより、遺伝子配列の両端に EcoRI 認識部位が導入された。これを利用して、組換えプラスミドから遺伝子を切り出し、シャトルプラスミド pECAN8 の EcoRI 部位にクローン化した。遺伝子をプラスミドに連結する際に、プラスミド中の lac プロモーターと遺伝子が順方向に配置したクローンを選抜した。
Synechocystis sp. PCC 6803 株イソアミラーゼ(Slr1857)遺伝子発現のためのプラスミドの構築
Synechocystis sp. PCC 6803 株から調製したゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、イソアミラーゼ(Slr1857)遺伝子を増幅した。用いたPCRプライマーは、Kaneko et al.(1996)により公表された配列をもとに以下に示すように設計した。
フォワードプライマー 734B: 5’- gcaggacacc atggaacgca ta -3’
リバースプライマー 735B: 5’- gcgttattaa taatttccga tt -3’
PCRによって得られた増幅DNA断片を、プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結し、これを用いて大腸菌JM109株の形質転換を行い、組換えプラスミドを得た。挿入断片全長の配列を決定することにより、PCRでの増幅にともなう変異が無いことを確認した。
プラスミドベクター pGEM-T Easy に連結したことにより、遺伝子配列の両端に EcoRI 認識部位が導入された。これを利用して、組換えプラスミドから遺伝子を切り出し、シャトルプラスミド pECAN8 の EcoRI 部位にクローン化した。遺伝子をプラスミドに連結する際に、プラスミド中の lac プロモーターと遺伝子が順方向に配置したクローンを選抜した。
Synechococcus 形質転換株の作成
以上に述べた組換えプラスミドを使用して、Golden et al. (1987) の方法に準じSynechococcus 野生株および変異株の形質転換を行い、各種外来遺伝子をシアノバクテリア細胞内に導入した。アンピシリン耐性を指標として、外来遺伝子を含む形質転換株を選抜した。これまでに得られた形質転換株は次のとおりである。野生株を宿主として BEIIb−354、ISA1−144、ISA1−246、pECAN8(遺伝子を含まない対照)による形質転換株を得た。枝作り酵素(BE)欠損株を宿主として BEIIb−354、pECAN8 による形質転換株を得た。イソアミラーゼ(ISA)欠損株を宿主として ISA1−144、ISA1−246、Slr0237、Slr1857、pECAN8 による形質転換株を得た。内在遺伝子欠損株を宿主として用いたのは、外来遺伝子の導入による機能相補の効果を検討するためである。
形質転換株における外来遺伝子発現の検出
アンピシリンを含む500mlの液体培地で形質転換株を培養し、細胞を収穫した。遠心により集めた細胞を4mlのバッファーで懸濁し、フレンチプレスを用いて138MPaで破砕した。20000xgで遠心した上清について酵素活性の検出を行った。細胞の懸濁に用いたバッファーの組成を以下に示す。
デンプン枝作り酵素活性検出のためのバッファー組成
50mM イミダゾール (pH7.4)
8mM MgCl
50mM 2−メルカプトエタノール
12.5%(v/v) グリセロール
イソアミラーゼ活性検出のためのバッファー組成
50mM イミダゾール (pH7.4)
8mM MgCl
500mM 2−メルカプトエタノール
12.5%(v/v) グリセロール
デンプン枝作り酵素活性について、非変性条件でのポリアクリルアミドゲル電気泳動(Native-PAGE)後の活性染色を行った。この結果を図5に示す。
イソアミラーゼ(枝切り酵素)について、同様にネイティブ−PAGE(Native-PAGE)を行った。この活性染色の結果を図6に示す。
形質転換株における貯蔵多糖の構造解析
500mlの液体培養で得られた形質転換株の細胞からアルコール抽出により貯蔵多糖を調製し、市販のイソアミラーゼによって枝切り処理を行った後、キャピラリー電気泳動にかけてグルカン鎖の鎖長分布を調べた。
この結果をグラフ化して図7〜10に示す。
本発明は、植物が産生するデンプン合成の関連している個々の酵素の活性や機能を解析するための新規な手法を提供するものであり、本発明の方法で各種の植物が有するデンプン合成関連酵素の活性や機能を短時間で簡便に解析することができようになり、これらの酵素の活性や機能を利用した新規なクラスター構造を有するデンプンの開発が可能となり、食糧問題の解決だけでなく、工業的なデンプンの利用へのあらたな発展を可能とするものであり、産業上極めて有用である。
図1は、生物における貯蔵性ポリグルカンの構造を示す概念図である。 図2は、アミロペクチンのクラスター構造を示すものである。 図3は、イネ胚乳におけるジャポニカとインディカとのアミロペクチンのクラスター構造の相違を示すものである。 図4は、生物における貯蔵性ポリグルカンである、アミロース、アミロペクチン、及びグリコーゲンの生合成経路の概要を示すものである。 図5は、デンプン枝作り酵素活性について、非変性条件でのポリアクリルアミドゲル電気泳動(Native-PAGE)後の活性染色の結果を示す図面に代わる写真である。図5中のレーン1は、対照として泳動したイネ胚乳抽出液についての結果であり、レーン2、3、及び4は、それぞれ Synechococcus 野生株(WT)、BE欠損株(ΔBE)、及びBE欠損株にBEIIb−354を導入した形質転換株(ΔBE+BEIIb−354)の抽出液(50μgタンパク質)を示す。 図6は、イソアミラーゼ(枝切り酵素)についてのポリアクリルアミドゲル電気泳動(Native-PAGE)、活性染色の結果を示す図面に代わる写真である。図6中のレーン1は、対照として泳動したイネ胚乳抽出液についての結果であり、レーン2、及び4は Synechococcus ISA欠損株(ΔISA)、レーン3、及び5はISA欠損株にISA1−144を導入した形質転換株(ΔISA+ISA1−144)の抽出液(2、3は20μg、4、5は50μgタンパク質)を示す。 図7は、野生株(WT)、BE欠損株に対照として遺伝子を含まないプラスミドベクターを導入した株(ΔBE+vector)、とBE欠損株にイネBEIIb遺伝子を導入した形質転換株(ΔBE+BEIIb−354)におけるポリグルカンの鎖長分布(図7上段)、および形質転換株とその親株である欠損株での各鎖長の存在比率の差((ΔBE+BEIIb−354)−(ΔBE+vector))(図7下段)を示したものである。図7の上下段のいずれにおいても、横軸は鎖長(グルコース重合度)を示し、縦軸は各鎖長の量の全鎖長の合計量に対する比率(%)を示す。 図8は、野生株(WT)、ISA欠損株に対照として遺伝子を含まないプラスミドベクターを導入した株(ΔISA+vector)、とISA欠損株にイネISA1遺伝子を導入した形質転換株(ΔISA+ISA1−144)におけるポリグルカンの鎖長分布(図8上段)、および形質転換株とその親株である欠損株での各鎖長の存在比率の差((ΔISA+ISA1−144)−(ΔISA+vector))(図8下段)を示したものである。図8の上下段のいずれにおいても、横軸は鎖長(グルコース重合度)を示し、縦軸は各鎖長の量の全鎖長の合計量に対する比率(%)を示す。 図5は、野生株(WT)、ISA欠損株に対照として遺伝子を含まないプラスミドベクターを導入した株(ΔISA+vector)、とISA欠損株に異種シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803 株ISA(Slr0237)遺伝子を導入した形質転換株(ΔISA+Slr0237)におけるポリグルカンの鎖長分布(図9上段)、および形質転換株とその親株である欠損株での各鎖長の存在比率の差((ΔISA+Slr0237)−(ΔISA+vector))(図9下段)を示したものである。図9の上下段のいずれにおいても、横軸は鎖長(グルコース重合度)を示し、縦軸は各鎖長の量の全鎖長の合計量に対する比率(%)を示す。 図10は、野生株(WT)、ISA欠損株に対照として遺伝子を含まないプラスミドベクターを導入した株(ΔISA+vector)、とISA欠損株に異種シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803 株ISA(Slr1857)遺伝子を導入した形質転換株(ΔISA+Slr1857)におけるポリグルカンの鎖長分布(図10上段)、および形質転換株とその親株である欠損株での各鎖長の存在比率の差((ΔISA+Slr1857)−(ΔISA+vector))(図10下段)を示したものである。図10の上下段のいずれにおいても、横軸は鎖長(グルコース重合度)を示し、縦軸は各鎖長の量の全鎖長の合計量に対する比率(%)を示す。
配列番号1: イネBEIIb−354の塩基配列
配列番号2: イネBEIIb−354のアミノ酸配列
配列番号3: イネイソアミラーゼ(ISA1−144)の塩基配列
配列番号4: イネイソアミラーゼ(ISA1−144)のアミノ酸配列
配列番号5: イネイソアミラーゼ(ISA1−246)の塩基配列
配列番号6: イネイソアミラーゼ(ISA1−246)のアミノ酸配列
配列番号7: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr0237)の塩基配列
配列番号8: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr0237)のアミノ酸配列
配列番号9: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr1857)の塩基配列
配列番号10: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr1857)のアミノ酸配列
配列番号11: イネBEIIb−354の増幅用のフォーワードプライマ−
配列番号12: イネBEIIb−354の増幅用のリバースプライマ−
配列番号13: イネイソアミラーゼの増幅用のフォーワードプライマ−の1
配列番号14: イネイソアミラーゼの増幅用のフォーワードプライマ−の2
配列番号15: イネイソアミラーゼの増幅用のリバースプライマ−
配列番号16: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr0237)の増幅用のフォーワードプライマ−
配列番号17: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr0237)の増幅用のリバースプライマ−
配列番号18: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr1857)の増幅用のフォーワードプライマ−
配列番号19: Synechocystis sp. 6803株由来のイソアミラーゼ(slr1857)の増幅用のラバースプライマ−

Claims (15)

  1. シアノバクテリアにデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子を導入したシアノバクテリアの形質転換体。
  2. シアノバクテリアが、シネココッカス(Synechococcus)属のシアノバクテリアである請求項1に記載の形質転換体。
  3. シアノバクテリアが、シネココッカスPCC7942(Synechococcus sp. PCC 7942)株である請求項1又は2に記載の形質転換体。
  4. シアノバクテリアが、内在性の枝作り酵素(BE)又は枝切り酵素(DBE)をコードする遺伝子の欠損株である請求項1〜3のいずれかに記載の形質転換体。
  5. デンプン合成関連酵素をコードする遺伝子が、デンプンの枝作り酵素(BE)又は枝切り酵素(DBE)をコードする遺伝子である請求項1〜4のいずれかに記載の形質転換体。
  6. デンプン合成関連酵素をコードする遺伝子が、高等植物由来のデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子である請求項1〜5のいずれかに記載の形質転換体。
  7. デンプン合成関連酵素をコードする遺伝子が、イネ由来のものである請求項6に記載の形質転換体。
  8. 枝作り酵素をコードする遺伝子が、イネ由来のBEIIbをコードする遺伝子である請求項6又は7に記載の形質転換体。
  9. 枝切り酵素をコードする遺伝子が、イネ由来のイソアミラーゼをコードする遺伝子である請求項6又は7に記載の形質転換体。
  10. デンプン合成関連酵素をコードする遺伝子が、宿主となるシアノバクテリアとは異なる属のシアノバクテリア由来のデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子である請求項1〜5のいずれかに記載の形質転換体。
  11. デンプン合成関連酵素をコードする遺伝子が、シアノバクテリアのシネコシスティス(Synechocystis)属由来のイソアミラーゼである請求項10に記載の形質転換体。
  12. シアノバクテリアにデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子を導入して、当該遺伝子が導入されたシアノバクテリアが産生するデンプンの構造を解析することからなる、シアノバクテリアを宿主としたデンプン合成関連酵素の機能をスクリーニングする方法。
  13. シアノバクテリアが、導入されるデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子に対応する内在性の遺伝子を欠損されたものである請求項12に記載の方法。
  14. デンプン合成関連酵素をコードする遺伝子が、デンプンの枝作り酵素(BE)又は枝切り酵素(DBE)をコードする遺伝子である請求項12又は13に記載の方法。
  15. デンプン合成関連酵素をコードする遺伝子が、高等植物由来のデンプン合成関連酵素をコードする遺伝子である請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
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