JP2007020476A - デンプン合成酵素を発現する形質転換体およびその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】植物由来デンプン合成酵素の酵素活性を解析する系を構築し、デンプン合成酵素の機能解析を行う形質転換体とその利用法を提供する。
【解決手段】イネ科植物由来のデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されている、Synechococcus elongatus PCC7942株由来のシアノバクテリア形質転換体の提供。更に、内在性のグリコーゲン合成酵素をコードするポリヌクレオチドを欠失している、上記シアノバクテリア形質転換体の提供。
【選択図】なし
【解決手段】イネ科植物由来のデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されている、Synechococcus elongatus PCC7942株由来のシアノバクテリア形質転換体の提供。更に、内在性のグリコーゲン合成酵素をコードするポリヌクレオチドを欠失している、上記シアノバクテリア形質転換体の提供。
【選択図】なし
Description
本発明は、デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されることによって当該酵素が発現されたシアノバクテリア形質転換体、および当該シアノバクテリア形質転換体を用いたデンプン合成酵素の機能解析法に関するものである。
α−ポリグルコースからなる多糖類であるデンプン(Starch)およびグリコーゲン(Glycogen)は、それぞれ植物および動物において合成され、エネルギー貯蔵物質として利用されている。高等植物の貯蔵器官に蓄積されているデンプンはデンプン粒を形成し、貯蔵組織中で「アミロプラスト」と呼ばれるプラスチド中に含まれている。
デンプンは、食品および飼料として利用されるだけでなく、デキストリン、オリゴ糖、異性化糖などの加工食品、ならびに糊もしくは添加剤などの工業製品またはその原材料として利用されている。
デンプンの性質(例えば、形状、味、糊化した際の物性など)は由来する植物(例えば、イネ、ジャガイモ、小麦、トウモロコシなど)によって微妙に異なるので、各種の植物由来のデンプンが、用途に応じて使い分けられている。この性質の差異は、デンプンを構成するアミロペクチンに起因することが示されている。
デンプンは、2種類のグルコースホモポリマー(アミロペクチン(Amylopectin)およびアミロース(Amylose))の混合物である。
アミロースは、貯蔵デンプン中の20〜30%を占めているが、デンプン粒の形成に必要ではない。アミロースは、グルコースユニットがα−1,4グルコシド結合で連結されており、少量のα−1,6グルコシド結合の枝を含む線状/らせん状の分子である。
アミロペクチンはデンプン粒中の70〜80%を占めており、グルコースユニットがα−1,4グルコシド結合で繋がっているとともに、α−1,6グルコシド結合の枝が主鎖と平行に連結された構造を有する。このようなアミロペクチンの特徴的な構造は「クラスター」構造と呼ばれており、デンプン粒の形成に重要である。
動物およびバクテリアの貯蔵物質であるグリコーゲンもまた、アミロペクチン同様のグルコースホモポリマーから構成されている。しかしグリコーゲンはクラスター構造を有しておらず、「tree like」構造または「bush like」構造を有すると報告されている。
アミロペクチン、アミロース、およびグリコーゲンの構造を図1に示す。図1において、α−グルコースの連鎖を実線で示す。アミロペクチンは、α−1,4グルコースの連鎖およびα−1,6グルコースの分枝構造(クラスター)を規則的に一定の間隔で有しているが、アミロースは、分枝がほとんどないα−1,4グルコースの1本鎖構造からなり、グリコーゲンは、不規則な分枝構造からなる(図1(a)、(b)および(c))。
アミロペクチンは、枝が長く、かつグルコースが高密度で充填されているために、一般に水不溶性の物質である。一方、グリコーゲンは、その多くが水溶性の物質であり、アミロペクチンと比較して分子サイズが小さく、枝も短い。
アミロペクチンのクラスター構造は、約9nmの規則的な繰り返し構造であり、この9nmのサイズはどのような植物種においても保持されている。このようなアミロペクチンのクラスター構造により、デンプン粒としての結晶構造が形成される。
詳細なアミロペクチンの構造を図2に示す。アミロペクチンは、A〜C鎖の3タイプのα−1,4グルコシド鎖を有する。A鎖は最も外側の鎖であり、鎖中に分枝を有していない。B鎖は、一鎖あたり1つ以上の鎖が分岐している。B鎖としては、1つのクラスターにとどまるB1鎖、2つのクラスターに及ぶB2鎖、3つのクラスターに及ぶB3鎖などがある。C鎖は還元末端を有しており、アミロペクチン1分子中に1つ存在する。
アミロペクチンは、以下の4種類の酵素による連続反応にて合成されると考えられている:
(1)ADPグルコースピロホスホリラ−ゼ(ADP glucose pyrophosphorylase(AGPase));
(2)水溶性デンプン合成酵素(Starch synthase(SS));
(3)デンプン枝作り酵素(Starch branching enzyme(BE));および
(4)デンプン枝切り酵素(Starch debranching enzyme(DBE))。
(1)ADPグルコースピロホスホリラ−ゼ(ADP glucose pyrophosphorylase(AGPase));
(2)水溶性デンプン合成酵素(Starch synthase(SS));
(3)デンプン枝作り酵素(Starch branching enzyme(BE));および
(4)デンプン枝切り酵素(Starch debranching enzyme(DBE))。
AGPaseは、デンプンポリマーの原材料であるADPグルコースを合成する酵素である。
SSは、アミロペクチンの非還元末端にADPグルコースをα−1,4グルコシド結合にて連結し、鎖を伸長させる酵素である。デンプン合成酵素(SS)には、I型(SSI)、II型(SSII)、III型(SSIII)、IV型(SSIV)の少なくとも4タイプが存在し、SSII、SSIII、SSIVには、IIa、IIb、IIc、IIIa、IIIb、IVa、IVbなどのサブタイプが存在することが知られている。
BEは、アミロペクチンにてα−1,6グルコシド結合を形成させて、クラスター構造の分枝部分を形成させる酵素である。
従来、SSおよびBEは、アミロペクチンの枝の頻度を決定することによりクラスター構造を形成するという重要な役割を果たしていると考えられてきた。しかし、α−1,6グルコシド結合の枝を分解するDBEが欠損した植物では、アミロペクチンのクラスター構造が形成されないことが明らかにされ、DBEがクラスター構造の形成に不可欠であることが示された(下記の非特許文献1〜3参照)。
このように、アミロペクチンにおけるクラスター構造は、SSおよびBEによる新たな結合形成だけでなく、BEにより余分に形成された分枝をDBEが分解することにより、規則的に構成されかつ維持される。
DBEとしては、イソアミラーゼ(Isoamylase)およびプルラナーゼ(Pullulanase(また、R−enzymeまたはlimit dextrinaseとも称される))が知られている。イソアミラーゼは、グリコーゲンまたはグリコーゲンよりもやや規則性を有するフィトグリコーゲン(phytoglycogen)のα−1,6グルコシド結合の枝を分解し得るが、マルトトリオースが規則的にα−1,6結合した天然多糖類プルラン(pullulan)には作用し得ない。プルラナーゼは、プルランには作用し得るが、グリコーゲンまたはフィトグリコーゲンには作用し得ない。
近年、デンプンに関する研究は、デンプン合成に関連する酵素についての形質転換体を作製して行われているが、その大多数がジャガイモを用いて試みられたものである。例えば、非特許文献5には、ジャガイモBE(イネBEIに対応)のアンチセンスに導入することにより糊化特性の異なるデンプンを蓄積するジャガイモを作出したことが記載されており、非特許文献6には、BEA(イネのBEIIに対応)のアンチセンス形質転換体ジャガイモを作製し、この形質転換体において、側鎖長の長くなったアミロペクチンが蓄積することを明らかにしたことが記載されており、非特許文献7には、SSII、SSIII、SSIIとSSIIIのキメラアンチセンスRNAを導入し、デンプン合成活性の低下した形質転換体ジャガイモを作製し、この形質転換体において、デンプン粒のサイズが小さくなり、側鎖長分布に大きな変化が見られることを明らかにしたことが記載されている。
このように、高等植物においては、AGPase、SS、BE、DBE(デンプン合成関連酵素)により植物の種類に応じたアミロペクチンが産生される。アミロペクチンの構造は植物種間において若干相違するが、これは、AGPase、SS、BE、DBEの種類の違いに起因すると考えられており、これらの酵素の関わりにより、植物ごとに味および/または物性が異なるデンプンが産生されていると考えられている。
これまでに、イネデンプン合成酵素(SS)として、SSI、SSIIa、SSIIb、SSIIc、SSIIIa、SSIIIb、SSIVa、SSIVb、GBSSI、GBSSIbの10種類のアイソザイムが同定されている。しかし、各植物においてこれらの個々の酵素がどのように相違しており、またこれらの個々の酵素がデンプンの微細構造にどのように関与しているのかということは未だ解決されていない。
また、デンプン合成酵素SSI型は、イネSSアイソザイムの中で特に発現レベルが高く、胚乳をはじめ各組織において主要なSS活性を占めると考えられている。しかし、その機能解析は未だ十分には行われていない。なぜなら、植物の酵素、特にイネ由来デンプン合成酵素の酵素活性を解析する系が確立されていないからである。
デンプン合成に関与する上記各酵素の酵素活性を解析し、それぞれの機能を解明することができれば、必要に応じて各酵素を使い分けて、所望の味や物性を有するデンプンを自由に産生し得る。よって、デンプンの産生におけるデンプン合成に関与する上記各酵素の機能の解明が望まれている。
M.G.Jamesら、Plant Physiol.,7:417〜429(1995) Y.Nakamuraら、Plant J.,12:143〜153(1997) A.Kuboら、Plant Physiol.,121:399〜409(1999) T.Babaら、Plant Physiol.,103:565〜573(1993) R.Saffordら、Carbohydr.Polym.,35:155〜168(1998) S.A.Joblingら、Plant J.,18:163〜171(1999) A.Edwardsら、Plant J.,17:251〜261(1999)
M.G.Jamesら、Plant Physiol.,7:417〜429(1995) Y.Nakamuraら、Plant J.,12:143〜153(1997) A.Kuboら、Plant Physiol.,121:399〜409(1999) T.Babaら、Plant Physiol.,103:565〜573(1993) R.Saffordら、Carbohydr.Polym.,35:155〜168(1998) S.A.Joblingら、Plant J.,18:163〜171(1999) A.Edwardsら、Plant J.,17:251〜261(1999)
デンプンの合成は高等植物における植物細胞内の色素体(葉では葉緑体、貯蔵組織ではアミロプラスト)において合成されるために、高等植物での実験が必要とされていた。しかしながら、高等植物におけるデンプン合成の過程は極めて複雑である。さらに、高等植物を用いた実験では、植物の生育に時間がかかるので個々の酵素の機能を解明することは極めて困難であった。
より容易な実験系を構築する手段の1つとして、動物細胞を用いることが考えられる。確かに、動物細胞を用いることができれば、植物細胞を用いる場合より容易に形質転換体を作製し得る。しかし、植物の酵素(およびその遺伝子(ポリヌクレオチド))を研究するために動物細胞を用いることは好ましくない。
アミロース、アミロペクチンおよびグリコーゲンの合成過程を図3に示す。図中のSSSは水溶性SS、SBEは デンプン(starch)枝作り酵素、GBSSは粒結合デンプン合成酵素(granule−bound starch synthase)、UGPaseはグリコーゲンの材料となるリン酸化グルコースの合成酵素であり、GSはグリコーゲン合成酵素であり、GBEはグリコーゲン枝作り酵素である。
このように、アミロペクチンおよびグリコーゲンは、その構成成分がいずれもグルコースであり、これがα−1,4結合およびα−1,6結合によって重合した高分子である点においては共通している。しかし、合成の前駆体が同じリン酸化グルコースとはいえ、前者はADP−グルコース、後者はUDP−グルコースであり、これらの代謝系は植物と動物との間で大きく異なるので、アミロペクチン合成に必要なADP−グルコースが動物細胞内で十分に供給されるということは考えられない。
また、植物細胞と動物細胞とでは翻訳後修飾(例えば、リン酸化)が異なるので、基質特異性が非常に高い植物の酵素が、動物細胞内で正常に機能することは考えられない。
したがって、植物の酵素(およびその遺伝子)を研究するために動物細胞を用いるためには、植物細胞と同様の細胞内環境を構築する必要がある。このような環境の構築には非常に煩雑な作業が必要であり、植物細胞と同様の細胞内環境を備えた動物細胞はこれまでに知られていない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物由来デンプン合成酵素の酵素活性を解析する系を構築することにある。
本発明者らは、イネデンプン合成酵素の機能を解析する上で、シアノバクテリアを宿主とした遺伝子発現系を用いればデンプン合成系を再構築し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的には、シアノバクテリアのグリコーゲン合成酵素欠損株に前駆体型または成熟型のイネデンプン合成酵素SSIを導入すると、形質転換体において多糖合成がされることを見出し、そして、形質転換株から抽出した貯蔵多糖の構造を解析したところ、前駆体型SSIおよび成熟型SSIのいずれを発現させた場合にも、形質転換株においてグルカン糖鎖が検出されることなどを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体は、上記課題を解決するために、デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されていることを特徴としている。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において、上記デンプン合成酵素はイネ科植物由来であることが好ましい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において、上記デンプン合成酵素はSSI型であることが好ましい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において、上記デンプン合成酵素は前駆体型デンプン合成酵素であることが好ましい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において、上記ポリヌクレオチドは配列番号1に示される塩基配列からなることが好ましい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において、上記デンプン合成酵素は成熟型デンプン合成酵素であることが好ましい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において、上記ポリヌクレオチドは配列番号3に示される塩基配列からなることが好ましい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体は、シネココッカス(Synechococcus)属由来であることが好ましい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体は、シネココッカス・エロンガータスPCC7942(Synechococcus elongatus PCC 7942)株)由来であることが好ましい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体は、内在性のグリコーゲン合成酵素(GS)をコードするポリヌクレオチドを欠失していることが好ましい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体は、デンプン合成能を有することが好ましい。
本発明に係る多糖は、上記のシアノバクテリア形質転換体から抽出されたことを特徴としている。
本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法は、デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されているシアノバクテリア形質転換体から抽出した多糖を解析する工程を包含することを特徴としている。
本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法は、前駆体型デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されているシアノバクテリア形質転換体から抽出した多糖と、成熟型デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されているシアノバクテリア形質転換体から抽出した多糖とを比較する工程を包含することを特徴としている。
本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法は、シアノバクテリア形質転換体から抽出した多糖を枝切り処理してグルカン鎖を得る工程および当該グルカン鎖を鎖長分布解析に供する工程をさらに包含することが好ましい。
本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法は、上記鎖長分布解析がキャピラリー電気泳動であることが好ましい。
本発明を用いれば、デンプン合成酵素の機能を容易に解析することができる。また、本発明を用いれば、多様なデンプンを人工的に作り分けることができる。
上述したように、植物の酵素(およびその遺伝子)を研究するために動物細胞を用いることは好ましくない。特に多糖合成に関与する酵素については、以下のような観点から、植物の酵素が動物細胞内で機能することは期待し得ない:
(1)最終生成物(アミロペクチンとグリコーゲン)は全く性状が異なる;
(2)出発物質(ADP−グルコースとUDP−グルコース)が全く異なる;
(3)動物細胞では、ADP−グルコースが植物細胞ほど供給され得ない;
(4)合成系に関与する酵素はいずれも基質特異性が非常に高い;および
(5)植物細胞内と動物細胞内とでは細胞内環境が異なり、翻訳後修飾などにも違いがある。
(1)最終生成物(アミロペクチンとグリコーゲン)は全く性状が異なる;
(2)出発物質(ADP−グルコースとUDP−グルコース)が全く異なる;
(3)動物細胞では、ADP−グルコースが植物細胞ほど供給され得ない;
(4)合成系に関与する酵素はいずれも基質特異性が非常に高い;および
(5)植物細胞内と動物細胞内とでは細胞内環境が異なり、翻訳後修飾などにも違いがある。
したがって、本発明者らは、多糖合成に関与する植物の酵素(およびその遺伝子)を研究するために、少なくとも多糖合成については植物細胞と同様の細胞内環境を有する動物細胞を構築することを目的とし、その必要条件を検討することにした。
シアノバクテリアは、動物と同様の貯蔵多糖(グリコーゲン)合成系を有するが、この系は、動物におけるグリコーゲン合成系と比較して単純である。また、数種のシアノバクテリアにおいて形質転換技術がすでに確立している。そこで、本発明者らは、インビボでのデンプン合成系の再構築にシアノバクテリアを用いることを試みた。
本発明者らは、Synechococcus elongatus PCC 7942株の内在性のグリコーゲン合成酵素(GS)を欠失した株(GS遺伝子ノックアウト株)を作製し、同株におけるポリグルカン合成およびGS酵素活性を調べた。同株ではポリグルカン合成およびGS酵素活性がほとんど検出されなかった。このことは、グリコーゲン合成酵素(GS)が細胞内活性の大部分を占めることを示す。
本発明者らはさらに、上記GS遺伝子ノックアウト株(ΔGS)に植物由来のデンプン合成酵素(SS)を導入することを試みた。その結果、本発明者らは、シアノバクテリアΔGS株にデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドを首尾よく導入することができた。
得られた形質転換体においてポリグルカン合成を調べたところ、上述したような予想に反して、従来の技術水準からは予想し得なかった導入遺伝子依存的多糖合成がこの形質転換体内で行われることを見出した。
(1)形質転換体
本発明は、SS活性を有するポリペプチドが発現されている形質転換体、すなわち、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが導入されている形質転換体を提供する。本明細書中で使用される場合、「SS活性」は、植物由来のデンプン合成酵素活性が意図される。
本発明は、SS活性を有するポリペプチドが発現されている形質転換体、すなわち、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが導入されている形質転換体を提供する。本明細書中で使用される場合、「SS活性」は、植物由来のデンプン合成酵素活性が意図される。
本明細書中で使用される場合、用語「形質転換体」は、細胞、組織または器官だけでなく、生物個体をも含むことが意図される。また、形質転換の対象となる生物も特に限定されるものではなく、各種微生物、植物または動物が挙げられる。
好ましくは、本発明に係る形質転換体は、シアノバクテリアであり得る。一実施形態において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体は、SS活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するベクターを、SS活性を有するポリペプチドが発現され得るようにシアノバクテリア中に導入することによって取得される。好ましくは、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体は、SS活性を有するポリペプチドを安定して発現し得る。
本発明に係る形質転換体は、SS活性を有するポリペプチドが発現されていることを特徴とする。本発明に係る形質転換体は、SS活性を有するポリペプチドが安定的に発現されていることが好ましい。本発明に係る形質転換体では、SS活性を有するポリペプチドが発現されていることにより従来予想し得なかった多糖合成が行われる。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において、上記デンプン合成酵素はいずれの植物に由来してもよいが、イネ科植物由来であることが好ましく、植物中の含有量が一番多いSSI型であることがより好ましい。
本明細書中で使用される場合、「デンプン合成酵素(SS)I型」または「SSI」は、デンプン合成酵素(スターチシンターゼ)に属するアイソザイムの1つが意図される。配列番号1には、日本晴品種EST由来SSIのヌクレオチド配列を含む塩基配列が示され、配列番号2には同ヌクレオチド配列によってコードされる前駆体型SSIのアミノ酸配列が示される。なお、配列番号1に示される塩基配列の第13塩基〜1938塩基が前駆体型SSIをコードする領域に相当する。
イネなどの高等植物においては、SSIは細胞質での翻訳により前駆体型が合成され、次いで、合成された前駆体型は色素体内に輸送される。その際、前駆体型のN末端のシグナルペプチド領域が切断され、成熟型に変換される。このように、高等植物の細胞を宿主に用いて、SSIの機能解析を行うためには前駆体型SSIをコードするポリヌクレオチドが導入される必要がある。
しかし、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体においては、原核生物ゆえにオルガネラへの輸送過程が存在せず、よってSSIはシグナルペプチドがない成熟型であってもよい。
したがって、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体においては、デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドは、前駆体型SSIをコードするポリヌクレオチドであっても成熟型SSIをコードするポリヌクレオチドであってもよい。すなわち、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において発現されるSS活性を有するポリペプチドは、前駆体型であっても成熟型であってもよい。
なお、イネSSIの前駆体型は641アミノ酸からなり、成熟型は第114位のSerからの529アミノ酸からなる。前駆体型デンプン合成酵素はシグナルペプチドを含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる(対応するcDNA配列は配列番号1に示される塩基配列からなる)。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体は、SS活性を有する酵素の酵素活性を反映させるためには、内在性のグリコーゲン合成酵素(GS)をコードするポリヌクレオチドを欠失していることが好ましく、デンプン合成能を有していることがより好ましい。
本発明に係る形質転換体を作製するためのシアノバクテリアとしては、デンプン様のグリコーゲンを産生し得るものであればよく、好ましいシアノバクテリアとしては、シネココッカス(Synechococcus)属のシアノバクテリアが挙げられる。このようなシアノバクテリアとしては、例えば、Synechococcus elongatus PCC 7942株が挙げられる。本発明に係る形質転換体を作製するための宿主として使用されるシアノバクテリアは野生型を使用してもよいが、外来遺伝子の導入による機能相補の効果を検討するためには、内在性のグリコーゲン合成酵素(GS)をコードする遺伝子の欠損株など、デンプン合成関連酵素をコードする遺伝子を欠損した株を使用することが好ましい。このような遺伝子の欠損株を得る方法としては、ジーンターゲッティング法などの公知の手法を用いればよい。
遺伝子の発現用のプロモーターとしては、シアノバクテリアにおいて発現可能なものであれば特に制限されず、シアノバクテリアのプロモーター領域を使用してもよく、シアノバクテリアにて発現可能であれば外来遺伝子のプロモーター領域を使用しても、lacプロモーターなどのプロモーター領域を使用してもよい。
宿主のシアノバクテリアへの遺伝子導入方法としては、プラスミドベクターを使用する方法、ウイルスを使用する方法、遺伝子銃による方法などの公知の手法が使用され得る。
このようにして外来遺伝子が導入されたシアノバクテリアは、抗生物質による培地を用いた公知の手法により選択され得る。次いで、外来遺伝子が導入されていること、目的の遺伝子産物がシアノバクテリアにおいて発現されていることが、ネイティブPAGEや各種のブロッティング法などの公知の手法により確認され得る。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において、上記デンプン合成酵素がイネ前駆体型デンプン合成酵素である場合は、上記遺伝子は配列番号1に示される塩基配列からなることが好ましい。また、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において、上記デンプン合成酵素がイネ成熟型デンプン合成酵素である場合は、上記遺伝子は配列番号3に示される塩基配列からなることが好ましい。なお、配列番号3に示される塩基配列には、成熟型デンプン合成酵素が首尾よく組換え発現されるように開始コドンが導入されており、配列番号4に示されるアミノ酸配列は成熟型デンプン合成酵素のN末端にメチオニンを有する。
なお、宿主シアノバクテリアに導入される遺伝子(ポリヌクレオチド)は、上記配列からなるイネSSI遺伝子に限定されない。また、同じSSI遺伝子を導入する場合であっても、SNPなどにより上記配列と一部配列が異なる天然のイネSSI遺伝子を宿主に導入しても、遺伝子工学的手法により人為的に遺伝子配列を一部改変したイネSSI遺伝子を宿主に導入してもよい。また、インディカ品種由来のSSI遺伝子またはその改変遺伝子を宿主に導入してもよい。
宿主における遺伝子発現を確保するため、SSI遺伝子は、リボソーム結合配列などの他の配列と共に導入されることが好ましい。また、SSI遺伝子は、デンプン合成酵素SSIをコードするものであって、当該酵素の機能を損なわない範囲であれば必ずしも全長をコードする遺伝子でなくてもよいし、適当な部分長の遺伝子を用いて、当該酵素の活性の有無を検討することにより、活性発現に必須の部分を本発明により解析することも可能である。
なお、イネSSIの遺伝子配列は、DDBJ/EMBL/GenBank databasesにおいてアクセッション番号D16202として提供されており、T.Babaら、Plant Physiol.,103:565〜573(1993)において同遺伝子に関する説明が記載されている。
本発明に係る形質転換体を使用すれば、植物由来の遺伝子産物により生成した多糖がどのような構造的特徴を有しているかを調べることができる。
(2)SS活性を有するポリペプチド
本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、「ペプチド」または「タンパク質」と交換可能に使用され、「デンプン合成酵素活性を有するポリペプチド」は、「SS活性を有する酵素(ポリペプチド)」または「デンプン合成酵素(ポリペプチド)」と交換可能に使用される。
本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、「ペプチド」または「タンパク質」と交換可能に使用され、「デンプン合成酵素活性を有するポリペプチド」は、「SS活性を有する酵素(ポリペプチド)」または「デンプン合成酵素(ポリペプチド)」と交換可能に使用される。
一実施形態において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体において、デンプン合成酵素は配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであることが好ましい。
別の実施形態において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体でありかつSS活性を有するポリペプチドであることが好ましい。
本明細書中で使用される場合、「配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」は、配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位からなるポリヌクレオチドによってコードされ、シグナル配列(配列番号1に示される塩基配列の13〜351位からなるポリヌクレオチドによってコードされる配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ酸1〜113位)が意図される。SS活性を有する成熟型のポリペプチドは、当該シグナル配列が切断された形態であるが、本明細書中で使用される場合、「配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」に包含される。
このような変異体としては、欠失、挿入、逆転、反復、およびタイプ置換(例えば、親水性の残基から別の残基への置換、しかし通常は強く親水性の残基を強く疎水性の残基には置換しない)を含む変異体が挙げられる。特に、ポリペプチドにおける「中性」アミノ酸置換は、一般的にそのポリペプチドの活性にほとんど影響しない。
ポリペプチドのアミノ酸配列中でのいくつかのアミノ酸が、このポリペプチドの構造または機能に有意に影響することなく容易に改変され得ることは、当該分野において周知である。さらに、人為的に改変させるだけではく、天然のタンパク質において、当該タンパク質の構造または機能を有意に変化させない変異体が存在することもまた周知である。
好ましい変異体は、保存性もしくは非保存性アミノ酸置換、欠失、または添加を有する。好ましくは、サイレント置換、添加、および欠失であり、特に好ましくは、保存性置換である。これらは、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素のSS活性を変化させない。
代表的に保存性置換と見られるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIleの中での1つのアミノ酸の別のアミノ酸への置換;ヒドロキシル残基SerおよびThrの交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGlnの間の置換、塩基性残基LysおよびArgの交換、ならびに芳香族残基Phe、Tyrの間の置換である。
上記に詳細に示されるように、どのアミノ酸の変化が表現型的にサイレントでありそうか(すなわち、機能に対して有意に有害な効果を有しそうにないか)に関するさらなるガイダンスは、Bowie,J.U.ら、「Deciphering the Message in Protein Sequences: Tolerance to Amino Acid Substitutions」,Science 247:1306−1310(1990)(本明細書中に参考として援用される)に見出され得る。
当業者は、周知技術を使用してポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸を容易に変異させることができる。例えば、公知の点変異導入法(変異誘発法)に従えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの任意の塩基を変異させることができる。また、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの任意の部位に対応するプライマーを設計して欠失変異体または付加変異体を作製することができる。さらに、本明細書中に記載される方法を用いれば、作製した変異体が所望のSS活性を有するか否かを容易に決定し得る。
一実施形態において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、SS活性を有するポリペプチドであって、
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列;または
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列
からなるポリペプチドであることが好ましい。このような変異ポリペプチドは、上述したように、公知の変異ポリペプチド作製法により人為的に導入された変異を有するポリペプチドに限定されるものではなく、天然に存在するポリペプチドを単離精製したものであってもよい。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列;または
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列
からなるポリペプチドであることが好ましい。このような変異ポリペプチドは、上述したように、公知の変異ポリペプチド作製法により人為的に導入された変異を有するポリペプチドに限定されるものではなく、天然に存在するポリペプチドを単離精製したものであってもよい。
他の局面において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、SS活性を有するポリペプチドであって、
(a)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位において、1個もしくは数個の塩基が欠失、挿入、置換、もしくは付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
(a)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位において、1個もしくは数個の塩基が欠失、挿入、置換、もしくは付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
別の局面において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、SS活性を有するポリペプチドであって、
(a)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
(a)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
ハイブリダイゼーションは、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法のような周知の方法で行うことができる。通常、温度が高いほど、塩濃度が低いほどストリンジェンシーは高くなり(ハイブリダイズし難くなる)、より相同なポリヌクレオチドを取得することができる。適切なハイブリダイゼーション温度は、塩基配列やその塩基配列の長さによって異なり、例えば、アミノ酸6個をコードする18塩基からなるDNAフラグメントをプローブとして用いる場合、50℃以下の温度が好ましい。
本明細書中で使用される場合、用語「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、ハイブリダイゼーション溶液(50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む)中にて42℃で一晩インキュベーションした後、約65℃にて0.1×SSC中でフィルターを洗浄することが意図される。ポリヌクレオチドの「一部」にハイブリダイズするポリヌクレオチドによって、参照のポリヌクレオチドの少なくとも約15ヌクレオチド(nt)、そしてより好ましくは少なくとも約20nt、さらにより好ましくは少なくとも約30nt、そしてさらにより好ましくは約30ntより長いポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド(DNAまたはRNAのいずれか)が意図される。このようなポリヌクレオチドの「一部」にハイブリダイズするポリヌクレオチド(オリゴヌクレオチド)は、本明細書中においてより詳細に考察されるような検出用プローブとしても有用である。
さらに別の局面において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、SS活性を有するポリペプチドであって、
(a)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位と相補的な塩基配列と少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%同一である塩基配列からなるポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
(a)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の13〜1938位と相補的な塩基配列と少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%同一である塩基配列からなるポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
例えば、「本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドの参照(QUERY)塩基配列に少なくとも95%同一の塩基配列からなるポリヌクレオチド」によって、対象塩基配列が、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドの参照塩基配列の100ヌクレオチチド(塩基)あたり5つまでの不一致(mismatch)を含み得ることを除いて、参照配列に同一である、ということが意図される。換言すれば、参照塩基配列に少なくとも95%同一の塩基配列からなるポリヌクレオチドを得るために、参照配列における塩基の5%までが、欠失され得るかまたは別の塩基で置換され得るか、あるいは参照配列における全塩基の5%までの多くの塩基が、参照配列に挿入され得る。参照配列のこれらの不一致は、参照塩基配列の5’または3’末端位置または参照配列における塩基中で個々にかまたは参照配列内の1以上の隣接した群においてのいずれかで分散されて、これらの末端部分の間のどこでも起こり得る。この参照配列は、本明細書中で記載されるように、配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、改変体、誘導体またはアナログであり得る。
任意の特定の核酸分子が、例えば、配列番号1に示される塩基配列に対して、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログラム(例えば、Bestfit program(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,WI 53711)を使用して決定され得る。Bestfitは、SmithおよびWatermanの局所的相同性アルゴリズムを用いて、2つの配列間の最も良好な相同性セグメントを見出す(Advances in Applied Mathematics 2:482〜489(1981))。Bestfitまたは任意の他の配列整列プログラムを用いて、特定の配列が、本発明に従う参照配列に対して、例えば、95%同一であるか否かを決定する場合は、同一性のパーセントが参照塩基配列の全長にわたって計算され、そして参照配列におけるヌクレオチド数全体の5%までの相同性におけるギャップが許容されるように、パラメーターが設定される。
特定の実施形態では、参照(QUERY)配列(本発明に係る配列)と対象配列との間の同一性(全体的な配列整列ともいわれる)は、Brutlagらのアルゴリズム(Comp.App.Biosci.6:237〜245(1990))に基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用して決定される。%同一性を計算するために、DNA配列のFASTDB整列において使用される好ましいパラメーターは:Matrix=Unitary、k−tuple=4、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty=30、Randomization Group Length=0、Cutoff Score=1、Gap Penalty=5、Gap Size Penalty=0.05、Window Size=500または対象塩基配列の長さ(どちらかより短い方)である。この実施形態に従って、対象配列が、5’または3’欠失に起因して(内部の欠失が理由ではなく)QUERY配列よりも短い場合、FASTDBプログラムが、同一性パーセントを算定する場合に、対象配列の5’短縮化および3’短縮化を考慮しないという事実を考慮して、手動の補正が結果に対してなされる。QUERY配列と比較して5’末端または3’末端が短縮化された対象配列については、同一性パーセントは、一致/整列していない、対象配列の5’および3’であるQUERY配列の塩基数を、QUERY配列の総塩基のパーセントとして計算することにより補正される。ヌクレオチドが一致/整列しているか否かの決定は、FASTDB配列整列の結果によって決定される。次いで、このパーセントが、指定されたパラメーターを使用する上記のFASTDBプログラムによって計算された同一性パーセントから差し引かれ、最終的な同一性パーセントスコアに到達する。この補正されたスコアが、本実施形態の目的で使用されるものである。QUERY配列と一致/整列していない対象配列の5’塩基および3’塩基の外側の塩基のみが、FASTDB整列に示されるように、同一性パーセントスコアを手動で調整する目的で計算される。例えば、90塩基の対象配列が、同一性パーセントを決定するために100塩基のQUERY配列と整列される。その欠失は、対象配列の5’末端で生じ、従ってFASTDB整列は、5’末端の最初の10塩基の一致/整列を示さない。10個の不対合塩基は、配列の10%(整合していない5’末端および3’末端での塩基の数/QUERY配列中の塩基の総数)を表し、そのため10%が、FASTDBプログラムによって計算される同一性パーセントのスコアから差し引かれる。残りの90残基が完全に整合する場合、最終的な同一性パーセントは90%である。別の例において、90残基の対象配列が、100塩基のQUERY配列と比較される。この場合、その欠失は内部欠失であり、そのためQUERY配列と整合/整列しない対象配列の5’末端または3’末端の塩基は存在しない。この場合、FASTDBによって算定される同一性パーセントは、手動で補正されない。再度、QUERY配列と整合/整列しない対象配列の5’末端および3’末端の塩基のみが手動で補正される。他の手動の補正は、本実施形態の目的のためにはなされない。
上述したように、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、成熟型ポリペプチドであってもよい。
一実施形態において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、SS活性を有するポリペプチドであって、
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の114〜641位;または
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列の114〜641位において、1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列
からなるポリペプチドであることが好ましい。このような変異ポリペプチドは、上述したように、公知の変異ポリペプチド作製法により人為的に導入された変異を有するポリペプチドに限定されるものではなく、天然に存在するポリペプチドを単離精製したものであってもよい。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列の114〜641位;または
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列の114〜641位において、1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列
からなるポリペプチドであることが好ましい。このような変異ポリペプチドは、上述したように、公知の変異ポリペプチド作製法により人為的に導入された変異を有するポリペプチドに限定されるものではなく、天然に存在するポリペプチドを単離精製したものであってもよい。
他の局面において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、SS活性を有するポリペプチドであって、
(a)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位において、1個もしくは数個の塩基が欠失、挿入、置換、もしくは付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
(a)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位において、1個もしくは数個の塩基が欠失、挿入、置換、もしくは付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
別の局面において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、SS活性を有するポリペプチドであって、
(a)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
(a)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
さらに別の局面において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、SS活性を有するポリペプチドであって、
(a)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位と相補的な塩基配列と少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%同一である塩基配列からなるポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
(a)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位からなるポリヌクレオチド;または
(b)配列番号1に示される塩基配列の352〜1938位と相補的な塩基配列と少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%同一である塩基配列からなるポリヌクレオチド
によってコードされることが好ましい。
なお、成熟型ポリペプチド(配列番号2に示されるアミノ酸配列の114〜641位)を組換え発現させるためには、N末端にメチオニンを付加する必要があり、この場合の成熟型ポリペプチドは、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる。また、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる成熟型ポリペプチドは、配列番号3に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドによってコードされる。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、アミノ酸がペプチド結合しているポリペプチドであればよいが、これに限定されるものではなく、ポリペプチド以外の構造を含む複合ポリペプチドであってもよい。本明細書中で使用される場合、「ポリペプチド以外の構造」としては、糖鎖およびイソプレノイド基等を挙げることができるが、特に限定されない。
また、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、付加的なポリペプチドを含むものであってもよい。付加的なポリペプチドとしては、例えば、His、Myc、Flag等のエピトープ標識ポリペプチドが挙げられる。
また、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、当該デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドを宿主細胞に導入して、そのポリペプチドを細胞内発現させた状態であってもよいし、細胞、組織などから単離精製されてもよい。
他の実施形態において、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素は、融合タンパク質のような改変された形態で組換え発現され得る。例えば、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素の付加的なアミノ酸、特に荷電性アミノ酸の領域が、宿主細胞内での、精製の間または引き続く操作および保存の間の安定性および持続性を改善するために、ポリペプチドのN末端またはC末端に付加され得る。
本実施形態に係るポリペプチドは、例えば、融合されたポリペプチドの精製を容易にするペプチドをコードする配列であるタグ標識(タグ配列またはマーカー配列)にN末端またはC末端へ付加され得る。このような配列は、ポリペプチドの最終調製の前に除去され得る。本発明のこの局面の特定の好ましい実施態様において、タグアミノ酸配列は、ヘキサ−ヒスチジンペプチド(例えば、pQEベクター(Qiagen,Inc.)において提供されるタグ)であり、他の中では、それらの多くは公的および/または商業的に入手可能である。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824(1989)(本明細書中に参考として援用される)において記載されるように、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。「HA」タグは、インフルエンザ赤血球凝集素(HA)タンパク質由来のエピトープに対応する精製のために有用な別のペプチドであり、それは、Wilsonら、Cell 37:767(1984)(本明細書中に参考として援用される)によって記載されている。他のそのような融合タンパク質は、NまたはC末端にてFcに融合される本実施形態に係るポリペプチドまたはそのフラグメントを含む。
(3)SS活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
本明細書中で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」は、「遺伝子」、「核酸」または「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。本明細書中で使用される場合、用語「塩基配列」は、「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」と交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチド(A、G、CおよびTと省略される)の配列として示される。また、「配列番号1に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドまたはそのフラグメント」とは、配列番号1の各デオキシヌクレオチドA、G、Cおよび/またはTによって示される配列を含むポリヌクレオチドまたはその断片部分が意図される。
本明細書中で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」は、「遺伝子」、「核酸」または「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。本明細書中で使用される場合、用語「塩基配列」は、「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」と交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチド(A、G、CおよびTと省略される)の配列として示される。また、「配列番号1に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドまたはそのフラグメント」とは、配列番号1の各デオキシヌクレオチドA、G、Cおよび/またはTによって示される配列を含むポリヌクレオチドまたはその断片部分が意図される。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得るか、または、非コード鎖(アンチセンス鎖としても知られる)であり得る。
また本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドは、その5’側または3’側で上述のタグ標識(タグ配列またはマーカー配列)をコードするポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドに融合され得る。
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、ヌクレオチドが数個ないし数十個(または数百個以上)結合したものが意図され、「ポリヌクレオチド」と交換可能に使用される。オリゴヌクレオチドは、短いものはジヌクレオチド(二量体)、トリヌクレオチド(三量体)といわれ、長いものは30マーまたは100マーというように重合しているヌクレオチドの数で表される。オリゴヌクレオチドは、より長いポリヌクレオチドのフラグメントとして生成されても、合成されてもよい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖といった1本鎖のDNAまたはRNAを包含する。本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNAメカニズムによる遺伝子発現操作のためのツールとして使用することができる。アンチセンスRNA技術によって、内因性遺伝子に由来する遺伝子産物の減少が観察される。本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、非翻訳領域(UTR)の配列やベクター配列(発現ベクター配列を含む)などの配列を含むものであってもよい。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを取得する方法としては、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを含むDNA断片を単離する種々の公知の方法が挙げられる。例えば、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドの塩基配列の一部と特異的にハイブリダイズするプローブを調製して、ゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニングすれば、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを取得することができる。このようなプローブとしては、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドの塩基配列またはその相補配列の少なくとも一部に特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチド(オリゴヌクレオチド)であればよい。このようなハイブリダイゼーションによって選択されるポリヌクレオチドとしては、天然のポリヌクレオチドが挙げられるが、これに限定されない。
本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドを取得する別の方法として、PCRを用いる方法が挙げられる。このPCR増幅方法は、例えば、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドのcDNAの5’側および/または3’側の配列(またはその相補配列)を利用してプライマーを調製する工程、これらのプライマーを用いてゲノムDNA(またはcDNA)等をテンプレートにしてPCR増幅する工程を包含することを特徴としており、本方法を使用すれば、本発明に係るシアノバクテリア形質転換体におけるデンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドを含むDNA断片を大量に取得することができる。
(4)SS活性を有するポリペプチドの生産方法
本発明は、SS活性を有するポリペプチドを生産する方法を提供する。本発明に係るポリペプチドの生産方法を用いれば、SS活性を有するポリペプチドを低コストでありかつ環境に低負荷な条件下で提供することが可能となる。また、本発明に係るポリペプチドの生産方法を用いれば、SS活性を有するポリペプチドを容易に生産することが可能となる。
本発明は、SS活性を有するポリペプチドを生産する方法を提供する。本発明に係るポリペプチドの生産方法を用いれば、SS活性を有するポリペプチドを低コストでありかつ環境に低負荷な条件下で提供することが可能となる。また、本発明に係るポリペプチドの生産方法を用いれば、SS活性を有するポリペプチドを容易に生産することが可能となる。
本発明に係るポリペプチドの生産方法は、本発明に係る形質転換体を用いることを特徴としている。本発明に係るポリペプチドの生産方法は、SS活性を有するポリペプチドを含む細胞(形質転換体)から当該ポリペプチドを精製する工程をさらに包含することが好ましい。SS活性を有するポリペプチドを精製する工程は、周知の方法(例えば、細胞または組織を破壊した後に遠心分離して可溶性画分を回収する方法)で細胞や組織から細胞抽出液を調製した後、この細胞抽出液から周知の方法(例えば、硫安沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィー)によって精製する工程が好ましいが、これらに限定されない。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が精製のために用いられる。なお、デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドを適当なタグと連結した後に導入することにより得られたシアノバクテリア形質転換体を用いれば、比較的容易に目的のポリペプチドを精製することが可能である。
(5)デンプン合成酵素の機能を解析するための方法、組成物およびキット
本発明は、本発明に係る形質転換体を用いるデンプン合成酵素の機能を解析する方法を提供する。一実施形態において、本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法は、本発明に係る形質転換体から多糖を抽出する工程を包含する。
本発明は、本発明に係る形質転換体を用いるデンプン合成酵素の機能を解析する方法を提供する。一実施形態において、本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法は、本発明に係る形質転換体から多糖を抽出する工程を包含する。
本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法は、デンプン合成酵素をコードする遺伝子が導入されている形質転換体から抽出した多糖(貯蔵多糖)を解析する工程をさらに包含することがより好ましい。
本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法において使用される形質転換体は、上述した手順に従って作製された形質転換体であることが好ましい。好ましくは、上記形質転換体は、シアノバクテリアであり得る。一実施形態において、本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法は、SS活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するベクターを、SS活性を有するポリペプチドが発現され得るようにシアノバクテリア中に導入する工程を包含し得る。好ましくは、上記シアノバクテリア形質転換体は、SS活性を有するポリペプチドを安定して発現し得る。
本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法において、上記デンプン合成酵素はいずれの植物に由来してもよいが、イネ科植物由来であることが好ましく、植物中の含有量が一番多いSSI型であることがより好ましい。また、本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法において、上記デンプン合成酵素は、前駆体型であっても成熟型であってもよい。
シアノバクテリアが本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法において使用される場合、好ましいシアノバクテリアとしては、デンプン様のグリコーゲンを産生し得るものであればよく、好ましいシアノバクテリアとしては、シネココッカス(Synechococcus)属のシアノバクテリアが挙げられる。このようなシアノバクテリアとしては、例えば、Synechococcus elongatus PCC 7942株が挙げられる。また本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法において使用されるシアノバクテリアは、野生型であっても、デンプン合成関連酵素をコードする遺伝子を欠損した株(例えば、内在性のグリコーゲン合成酵素(GS)をコードする遺伝子の欠損株など)であってもよい。
特定の実施形態において、本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法は、イネ由来デンプン合成酵素をコードする遺伝子が導入されたシアノバクテリアを用いて、当該シアノバクテリアから抽出した貯蔵多糖を解析することを特徴としている。
形質転換体から多糖を抽出する際に使用される溶媒は、特に制限されないが、例えば、熱水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなど)、塩酸、有機酸(例えば、クエン酸、酢酸など)が好ましい。多糖が食品に使用される場合は、熱水またはアルコールが好ましい。また多糖抽出の際、必要に応じて、超音波、攪拌機などを用いて攪拌してもよい。
本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法は、前駆体型デンプン合成酵素をコードする遺伝子が導入されている形質転換体から抽出した多糖と、成熟型デンプン合成酵素をコードする遺伝子が導入されている形質転換体から抽出した多糖とを比較する工程を包含することを特徴としている。
一実施形態において、前駆体型デンプン合成酵素をコードする遺伝子を導入したシアノバクテリア、および、成熟型デンプン合成酵素をコードする遺伝子を導入したシアノバクテリアを作製し、両者から抽出した貯蔵多糖を解析し比較することによりデンプン合成酵素の機能を解析し得る。
また、本発明に係るデンプン合成酵素の機能を解析する方法における貯蔵多糖を解析する手法としては、特に制限されないが、例えば、貯蔵多糖を枝切り処理し、得られたグルカン鎖を鎖長分布解析に供する方法が挙げられる。鎖長分布解析は、例えば、シアノバクテリア形質転換株からアルコール抽出した多糖についてα−1,6結合切断後、キャピラリー電気泳動法により分画を行って、クラスター中の糖鎖の重合度(糖の数)を測定する方法が好ましい。測定された重合度は、同じ重合度の糖鎖を有するものをそれぞれ定量し、糖鎖の全量に対する各重合度の糖鎖の比率(%)を計算して糖鎖の重合度の分布を示すグラフにすることができる。これにより、当該デンプンを形成しているクラスター中の糖鎖の重合度の分布がわかり、デンプンの構造的な特徴を把握することができる。
本発明はまた、本発明に係る形質転換体を含む組成物を提供する。本発明に係る組成物は、本発明に係る形質転換体が、培養培地中に含まれる形態であっても、必要に応じて培養培地に添加される形態であってもよい。本発明に係る組成物に含まれる形質転換体は、上述した手順に従って作製された形質転換体であることが好ましい。
本発明はさらに、本発明に係る形質転換体を備えるキットを提供する。本発明に係るキットは、本発明に係る形質転換体を単独で備えても、必要に応じて他の試薬をさらに備えてもよい。本発明に係るキットに備えられる形質転換体は、上述した手順に従って作製された形質転換体であることが好ましい。
本発明に係る形質転換体を用いる、デンプン合成酵素の機能を解析するための組成物およびキットは、上述したデンプン合成酵素の機能を解析する方法に用いるための組成物およびキットであり得ることを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。
以上のように、本発明は、イネデンプンの特異的な構造の形成に深く関与し、特に、ジャポニカ、インディカ品種におけるデンプン物性に差異が生じる主要な原因とされている、イネデンプン合成酵素の機能解明において非常に有効な研究材料を提供するものである。
本発明は、デンプン合成酵素型の機能解析のみならず、広くデンプン合成機構の研究に有用であり、さらに、デンプン合成技術に利用可能である。例えば、イネSSIの機能上の特徴を生かしたデンプンの構造を設計し、その設計したデンプンを宿主に産生させ得る。このことは、新規クラスター構造を有するデンプンの開発を可能にする。
すなわち、本発明の目的は、植物由来デンプン合成酵素をコードする遺伝子をシアノバクテリアに導入することにより得られたシアノバクテリア形質転換体、およびその利用を提供することにある。
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されない。
〔実施例1:イネデンプン合成酵素(SSI)発現のためのプラスミドの構築〕
配列番号1に示されるSSI遺伝子のコード領域1,926塩基、およびその上流90塩基と下流469塩基(イネ・日本晴品種のEST由来のSSI cDNA配列)を含むプラスミドを鋳型としてPCRを行い、SSI遺伝子の前半部分を増幅した。
配列番号1に示されるSSI遺伝子のコード領域1,926塩基、およびその上流90塩基と下流469塩基(イネ・日本晴品種のEST由来のSSI cDNA配列)を含むプラスミドを鋳型としてPCRを行い、SSI遺伝子の前半部分を増幅した。
PCRのプライマーとしては、以下の配列のものを用いた:
フォワードプライマー1、5’−AAGGAGGGGATCATGGCGACGGCGGCGGGG−3’(配列番号5);
フォワードプライマー2、5’−AAGGAGGTTGTGATGAGTGAGCAGGAGTCTGAG-3’(配列番号6);および
リバースプライマー、5’−GGTCCTCGGAGAAATTCGCT−3’(配列番号7)。
フォワードプライマー1、5’−AAGGAGGGGATCATGGCGACGGCGGCGGGG−3’(配列番号5);
フォワードプライマー2、5’−AAGGAGGTTGTGATGAGTGAGCAGGAGTCTGAG-3’(配列番号6);および
リバースプライマー、5’−GGTCCTCGGAGAAATTCGCT−3’(配列番号7)。
フォワードプライマー1を、前駆体タンパク質コード領域の上流にリボソーム結合配列(5’側に示される下線部分)が付加されるように設計した。フォワードプライマー2を、成熟タンパク質N末端の直前にATGが付加され、さらにその上流にリボソーム結合配列(5’側に示される下線部分)が付加されるように設計した。フォワードプライマー2の鋳型に対合する部位は、フォワードプライマー1と比較して336塩基下流である。
イネにおいて、SSI遺伝子は細胞核にて転写され、細胞質での翻訳により前駆体タンパク質が合成された。合成された前駆体は、色素体内に輸送され、ここで、N末端のシグナルペプチド領域が切断され、成熟型の酵素に変換される。しかしながら、シアノバクテリアは原核生物なので、オルガネラへの輸送過程を有しておらず、よってシグナルペプチドはなくてもよい。そこで、このシグナルペプチド部分を残した場合(前駆体型)と予め取り除いた場合(成熟型)との間で効果を比較するために、フォワードプライマー1および2の2種類を用いて前駆体型および成熟型の2種のポリヌクレオチドを作製した。
さらに、シアノバクテリアでは翻訳開始のためにコード領域上流のリボソーム結合配列が必要となるため、これもフォワードプライマー中に組み入れた。
リバースプライマーには、イネSSI遺伝子の3’末端、すなわち終止コドンの下流18〜37塩基に対応する相補配列を用いた。
これらのプライマーを組み合わせてPCRを行い、リボソーム結合配列の付加などの加工を施した後、増幅断片をプラスミドベクター pGEM−T Easy(Promega)にクローニングした。クローニング後に増幅断片を組換えプラスミドから切り出し、シャトルプラスミド pECAN8(R.H.Lau and N.A.Straus、FEMS.Microbiol.Lett.,27:253〜256(1985)を参照のこと)へクローニングした。このシャトルプラスミドには、Synechococcusにおける複製開始に必要な配列が存在するので、このシャトルプラスミドを使用すればシアノバクテリア細胞中で遺伝子を自律増殖させることができる。増幅断片をプラスミドに連結する際に、SSI遺伝子がlacプロモーター依存的に転写されるように、プラスミド中のlacプロモーターと増幅断片とが順方向に配列されたクローンを選抜した。
挿入断片全長の配列を決定することにより、遺伝子組換え操作中に変異が生じていないことを確認した。なお、本実施例にて作製した2種のプラスミドを用いて宿主において発現させるSSIタンパク質のうち、前駆体タンパク質を「SSI_pre」、成熟タンパク質を「SSI_mat」と称する。
〔実施例2:Synechococcus 形質転換株の作製〕
実施例1で作製したプラスミドを用いて、S.S.Goldenら、Methods Enzymol.,153:215〜231(1987)の方法に準じてSynechococcus elongatus PCC 7942株の形質転換を行い、イネSSI遺伝子をシアノバクテリア細胞内に導入した。この形質転換体を液体培地中で対数増殖期まで増殖させて得た培養液50mlを遠心分離して細胞を回収し、少量(500μl)の液体培地中に懸濁した後、DNA溶液1μlを添加して、遮光下にて30℃、20時間振盪した。振盪処理後、細胞懸濁液をアンピシリン2μg/mlを含む寒天培地上にひろげ、30℃で連続光照射下にてコロニーが出現するまでインキュベートし、アンピシリン耐性を指標として、外来遺伝子を含む形質転換株を選抜した。なお、形質転換株の宿主として、内在性グリコーゲン合成酵素を欠損した株(ΔGS)を用いた。この株では、多糖(グリコーゲン)の蓄積がほとんど起こらないので、SSI導入依存的多糖形成を確認することが容易である。
〔実施例3:形質転換株における貯蔵多糖の構造解析〕
実施例2に従って外来遺伝子(イネSSI)を含む形質転換株を選抜した後、アンピシリン20μg/mlを含む50mlの液体培地中で形質転換株を培養し、回収した細胞からアルコール抽出により貯蔵多糖を調製した。調製した多糖に対して市販のイソアミラーゼによって枝切り処理を行って得たサンプルをキャピラリー電気泳動に供して、グルカン鎖の鎖長分布を調べた(図4)。
実施例1で作製したプラスミドを用いて、S.S.Goldenら、Methods Enzymol.,153:215〜231(1987)の方法に準じてSynechococcus elongatus PCC 7942株の形質転換を行い、イネSSI遺伝子をシアノバクテリア細胞内に導入した。この形質転換体を液体培地中で対数増殖期まで増殖させて得た培養液50mlを遠心分離して細胞を回収し、少量(500μl)の液体培地中に懸濁した後、DNA溶液1μlを添加して、遮光下にて30℃、20時間振盪した。振盪処理後、細胞懸濁液をアンピシリン2μg/mlを含む寒天培地上にひろげ、30℃で連続光照射下にてコロニーが出現するまでインキュベートし、アンピシリン耐性を指標として、外来遺伝子を含む形質転換株を選抜した。なお、形質転換株の宿主として、内在性グリコーゲン合成酵素を欠損した株(ΔGS)を用いた。この株では、多糖(グリコーゲン)の蓄積がほとんど起こらないので、SSI導入依存的多糖形成を確認することが容易である。
〔実施例3:形質転換株における貯蔵多糖の構造解析〕
実施例2に従って外来遺伝子(イネSSI)を含む形質転換株を選抜した後、アンピシリン20μg/mlを含む50mlの液体培地中で形質転換株を培養し、回収した細胞からアルコール抽出により貯蔵多糖を調製した。調製した多糖に対して市販のイソアミラーゼによって枝切り処理を行って得たサンプルをキャピラリー電気泳動に供して、グルカン鎖の鎖長分布を調べた(図4)。
図4(a)は、「SSI_pre」を発現させた形質転換株および比較としての野生株(WT)において検出された枝切り処理後の糖鎖のパターンを示すグラフであり、図4(b)は、「SSI_mat」を発現させた形質転換株および比較としての野生株(WT)において検出された枝切り処理後の糖鎖のパターンを示すグラフである。グラフの横軸は、キャピラリー電気泳動から得た各種糖鎖の重合度(DP:degree of polymerization)を示し、縦軸は、各糖鎖の相対量(Area %)を示す。またグラフ中のピークに付された数字はグルコース重合度を示す。
図4(a)および(b)に示すように、野生株では本来この生物が蓄積するグリコーゲンに由来したオリゴ糖鎖が検出され、鎖長分布における重合度(DP)のピークは6に認められた。図には示さないが、遺伝子導入の親株として用いたグリコーゲン合成酵素欠損株(ΔGS)においては、多糖合成を担う唯一の酵素を欠損しているため、グラフに示されるような貯蔵多糖由来のオリゴ糖鎖は全く検出されなかった。よって、グリコーゲン合成酵素欠損株(ΔGS)は、多糖(グルコース)を合成する機能が失われていることが確認された。
これに対し、2種の形質転換株においてはいずれも多糖由来のグルカン糖鎖が検出された。糖鎖の量比としてはいずれもグルコース重合度6をピークとしたものであった。親株においては糖鎖がほとんど認められなかったことから、形質転換株に見出された糖鎖は、導入遺伝子の産物に起因するものであると考えられた。
野生株および形質転換株における鎖長分布をさらに詳細に比較すると、野生株では、DP6およびDP8に鎖長分布のピークを有する(DP7<DP8)のに対し、形質転換株ではいずれも鎖長分布のピークはDP6にのみ認められた(DP7>DP8)。また、形質転換株ではDP10以上の糖鎖の存在比が野生株に比べ著しく減少しており、DP20以上の糖鎖はほとんど認められなかった。
以上の結果より、シアノバクテリアに導入されたイネデンプン合成酵素SSIは、シアノバクテリア生体内において糖鎖合成の機能を発揮することが示された。
本発明を用いれば、所望の構造を有するデンプンを人工的に合成することができるので、デンプンが利用される食品工業、紙工業、生分解性プラスチック工業など各種の産業分野に広く利用できる。また、本発明を用いれば、新規なクラスター構造を有するデンプンを開発し得るので、既存の天然のデンプンでは用いることができなかった新規な適用を開発し得、新規産業の開拓に役立つ。
Claims (16)
- デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されていることを特徴とするシアノバクテリア形質転換体。
- 前記デンプン合成酵素がイネ科植物由来であることを特徴とする請求項1に記載のシアノバクテリア形質転換体。
- 前記デンプン合成酵素がSSI型であることを特徴とする請求項1に記載のシアノバクテリア形質転換体。
- 前記デンプン合成酵素が前駆体型デンプン合成酵素であることを特徴としている請求項1に記載のシアノバクテリア形質転換体。
- 前記ポリヌクレオチドが配列番号1に示される塩基配列からなることを特徴とする請求項1に記載のシアノバクテリア形質転換体。
- 前記デンプン合成酵素が成熟型デンプン合成酵素であることを特徴としている請求項1に記載のシアノバクテリア形質転換体。
- 前記ポリヌクレオチドが配列番号3に示される塩基配列からなることを特徴とする請求項1に記載のシアノバクテリア形質転換体。
- Synechococcus属由来であることを特徴とする請求項1に記載のシアノバクテリア形質転換体。
- Synechococcus elongatus PCC7942株由来であることを特徴とする請求項1に記載のシアノバクテリア形質転換体。
- 内在性のグリコーゲン合成酵素(GS)をコードするポリヌクレオチドを欠失していることを特徴とする請求項1に記載のシアノバクテリア形質転換体。
- デンプン合成能を有することを特徴とする請求項1に記載のシアノバクテリア形質転換体。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のシアノバクテリア形質転換体から抽出されたことを特徴とする多糖。
- デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されているシアノバクテリア形質転換体から抽出した多糖を解析する工程を包含することを特徴とするデンプン合成酵素の機能を解析する方法。
- 前駆体型デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されているシアノバクテリア形質転換体から抽出した多糖と、成熟型デンプン合成酵素をコードするポリヌクレオチドが導入されているシアノバクテリア形質転換体から抽出した多糖とを比較する工程を包含することを特徴とするデンプン合成酵素の機能を解析する方法。
- シアノバクテリア形質転換体から抽出した多糖を枝切り処理してグルカン鎖を得る工程および当該グルカン鎖を鎖長分布解析に供する工程をさらに包含することを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
- 前記鎖長分布解析がキャピラリー電気泳動であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
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