JP2003079367A - イソアミラーゼの機能とデンプン形質の制御 - Google Patents

イソアミラーゼの機能とデンプン形質の制御

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JP2003079367A
JP2003079367A JP2001276054A JP2001276054A JP2003079367A JP 2003079367 A JP2003079367 A JP 2003079367A JP 2001276054 A JP2001276054 A JP 2001276054A JP 2001276054 A JP2001276054 A JP 2001276054A JP 2003079367 A JP2003079367 A JP 2003079367A
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isoamylase
plant
starch
amylopectin
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Yasunori Nakamura
保典 中村
Akiko Kubo
亜希子 久保
Hikari Sato
光 佐藤
Sadequr Rahman
サディクール・ラーマン
Matthew K Morell
マシュー・ケー・モレル
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Commonwealth Scientific and Industrial Research Organization CSIRO
Goodman Fielder Pty Ltd
Biogemma SAS
Japan Science and Technology Agency
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Commonwealth Scientific and Industrial Research Organization CSIRO
Goodman Fielder Pty Ltd
Biogemma SAS
Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、植物が産生するデンプンのアミロ
ペクチンのα−1,4−グルコース鎖の鎖長分布を調節
又は制御する方法、及びそれによりアミロペクチン分子
構造すなわちα−1,4−グルコース鎖の鎖長分布や物
性の異なるデンプンを製造する方法、並びに当該方法に
より製造される新規な構造及び物性を有するデンプンを
提供する。 【解決手段】 本発明は、イソアミラーゼの酵素活性が
不完全な植物に、他種植物のイソアミラーゼをコードす
る遺伝子を含有する遺伝子が導入された植物を用いて、
アミロペクチンのα−1,4−グルコース鎖の鎖長分布
の異なるデンプンを製造する方法、及びアミロペクチン
のα−1,4−グルコース鎖の鎖長分布を調節又は制御
する方法に関する。また、本発明は、イソアミラーゼの
酵素活性が不完全なイネ科植物に、コムギのイソアミラ
ーゼをコードする遺伝子を含有する遺伝子が導入された
植物により産生されるアミロペクチンのα−1,4−グ
ルコース鎖の鎖長分布及び/又はデンプンの熱糊化特性
が、野生型とは異なる新規なデンプンに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イソアミラーゼの
酵素活性が不完全な植物に、他種植物のイソアミラーゼ
をコードする遺伝子を含有するDNAコンストラクトが
導入された植物を用いて、アミロペクチンのα−1,4
−グルコース鎖の鎖長分布の異なるデンプンを製造する
方法、及びアミロペクチンのα−1,4−グルコース鎖
の鎖長分布を調節又は制御する方法に関する。また、本
発明は、イソアミラーゼの酵素活性が不完全な植物に、
他種植物のイソアミラーゼをコードする遺伝子を含有す
る遺伝子を導入することにより、イソアミラーゼの酵素
活性を相補する方法、他種植物のイソアミラーゼをコー
ドする遺伝子を含有する遺伝子が導入された植物、及び
それが産生する新規なアミロペクチンのα−1,4−グ
ルコース鎖の鎖長分布を有するデンプンに関する。
【0002】
【従来の技術】デンプンは植物のエネルギー貯蔵物質で
あり、α−ポリグルコースからなる多糖類の1種で、ア
ミロースとアミロペクチンからなっている。グリコーゲ
ンもデンプンと同様にα−ポリグルコースからなる多糖
類であるが、これは主として動物のエネルギー貯蔵物質
として利用されている。デンプンは穀物の主成分として
食品や飼料として使用されるだけでなく、デキストリ
ン、オリゴ糖、異性化糖などに加工されて加工食品など
にも利用され、また、糊や添加剤などとして工業製品や
その原材料としても利用されている。
【0003】デンプンと一言でいっても、稲のデンプ
ン、じゃがいものデンプン、小麦のデンプン、とうもろ
こしのデンプンなど、その由来によりデンプンの形、
味、糊化したときの物性などが微妙に異なり、我々はそ
の用途に応じて各種の植物由来のデンプンを使い分けて
きている。このようなデンプンの性質の違いはデンプン
の化学構造による違いから来ていると説明されてきてい
る。デンプンは主としてアミロースとアミロペクチンか
らできているものであり、その化学構造の相違は主とし
て枝分かれ構造を有するアミロペクチンに由来ところが
大きいとされている。デンプン(Starch)は高等植物の貯
蔵器官に蓄積するα‐ポリグルカンである。その貯蔵組
織中でデンプン粒は「アミロプラスト」と呼ばれるプラ
スチドの中に含まれている。デンプンは2種類のグルコ
ース・ホモポリマー、アミロペクチン(Amylopectin)
とアミロース(Amylose)の混合物である。アミロース
は、貯蔵デンプン中の20〜30%を占めているが、デ
ンプン粒の形成には必須ではない。グルコース・ユニッ
トがα−1,4グルコシド結合で繋がっており、少量の
α‐1,6グルコシド結合の枝を含む線状のらせん状の
分子である。一方、アミロペクチンはデンプン粒中の7
0‐80%を占め、グルコース・ユニットがα‐1,4
グルコシド結合で伸び、主鎖と平行にα‐1,6グルコ
シド結合で枝が繋がった構造をとっている。特徴的なこ
の構造は”クラスター”構造と呼ばれている。 動物や
バクテリアの貯蔵炭素、グリコーゲン(Glycogen)もアミ
ロペクチンと同じくグルコース・ホモポリマーで構成さ
れているが、クラスター構造は持っていない。グリコー
ゲンは”tree like”や”bush like”構造を持つと報告
されている。
【0004】図1にアミロース、アミロペクチン、及び
グリコーゲンの構造を示す。図1に示される線はα−グ
ルコースの連鎖であり、アミロース(図1の(C))は
枝分かれがほとんど無くα−1,4−グルコースのほぼ
1本鎖の構造をしている。アミロペクチン(図1の
(B))は規則正しい枝分かれ構造を有し、α−1,4
−グルコースの連鎖とα−1,6−グルコースの枝分か
れ構造(クラスター)を一定の間隔で規則正しく有して
いる。また、動物などのエネルギー貯蔵物質であるグリ
コーゲン(図1の(A))は、全く不規則な枝分かれ構
造からなるものである。グリコーゲンはアミロペクチン
に比べて分子も小さく、枝も短く、その多くは水溶性の
物質である。これに対してアミロペクチンは、枝も長
く、かつグルコースが高密度で充填されており、一般に
水不溶性の物質である。
【0005】このようなアミロペクチンのクラスター構
造は、結晶構造を造る際に有利であり、結晶構造による
デンプン粒が形成される。アミロペクチンのクラスター
構造は、ほぼ9nmの規則正しい繰り返し構造であり、
この9nmのサイズは組織や種が異なっても余りばらつ
きが見られない。アミロペクチンの構造をさらに詳細に
見てゆくと、3タイプのα‐1,4−グルコシド鎖を持
っている(図2参照)。A鎖は最も外側の鎖で鎖の中に
分岐結合を持たない鎖である。B鎖は一つの鎖あたり1
つ以上の鎖が分岐結合している鎖であり、B鎖はさら
に、1つのクラスターにとどまるB1鎖、2つのクラス
ターに及んでいるB2鎖、3つのクラスターに及ぶB3
鎖などがある。C鎖は還元末端を持っている鎖であり、
アミロペクチン1分子あたり1つのC鎖を持っている。
【0006】このように、アミロペクチンの構造はほぼ
一定ではあるが、植物の種類によりアミロペクチンの構
造も微妙に異なってきている。最近の研究によれば、ね
っとりとしたデンプンを有するジャポニカの稲と、パサ
パサとしたデンプンを有するインディカの稲のアミロペ
クチンの構造上の相違が報告されている。図3の上段
(図3の(a))はジャポニカ米のアミロペクチン、図
3の下段(図3の(b))はインディカ米のアミロペク
チンの構造を模式的に示したものである。クラスターの
枝の長さを比べるとインディカ米の方が比較的長く、そ
の密度も比較的密になっている。このためにインディカ
米のデンプンの方が糊化が難しくなっていると考えられ
ている。このようなアミロペクチンの微細な構造上の相
違は、アミロペクチンを合成する際の合成方法の相違に
より生起してくると考えられている。
【0007】アミロペクチンは次の4種類の酵素の連続
反応で合成されると考えられている。 (1)ADPグルコースピロホスホリラーゼ(ADPgluco
se pyrophosphorylase(AGPase))、(2)デン
プン合成酵素(Starch synthase(SS))、(3)デ
ンプン枝作り酵素(Starch branching enzyme(B
E))、(4)デンプン枝切り酵素(Starch debranchi
ng enzyme(DBE))である。
【0008】AGPaseは、デンプン・ポリマーの原
材料であるADPグルコースを合成する酵素である。S
Sは、アミロペクチンの非還元末端にADPグルコース
をα‐1,4グルコシド結合で繋ぎ、鎖を伸ばす役割を
する。SSがアミロペクチンの鎖を伸ばすのに対し、B
Eは、アミロペクチンのα‐1,6グルコシド結合を形
成する酵素であり、枝分かれ構造の枝分かれ部分を形成
させる酵素である。従来、SSとBEがアミロペクチン
の枝の頻度を決め、クラスター構造を形成するのに重要
な役割を果たしているのではないかと考えられてきた。
即ち、前記(4)のデンプン枝切り酵素(DBE)はク
ラスターの形成に必要ない酵素であると考えられてい
た。しかし、この分解酵素が欠損した植物ではアミロペ
クチンのクラスターを形成することができないことが明
らかにされ、DBEがクラスター構造の形成に不可欠で
あることを示すことが報告されている(M.G.James, eta
l., Plant Physiol., (1995) 7, 417-429; Y.Nakamura,
et al., Plant J., (1997) 12(1), 143-153; A.Kubo,
et al., Plant Phys., (1999) 121, 399-409)。
【0009】DBEについてのこれらの報告から、アミ
ロペクチンにおけるクラスター構造の形成は、SSとB
Eによる新たな結合の形成だけなく、BEにより余分に
形成された枝分かれを、DBEにより分解してクラスタ
ー構造が規則正しく維持されることが分かってきた。α
‐1,6グルコシド結合の枝を分解するDBEは、基質
の違いから2種類のものが知られている。そのひとつは
イソアミラーゼ(Isoamylase)であり、他のひとつがプ
ルラナーゼ(Pullulanase(また、R-enzymeやlimit dext
rinaseと呼ばれることもある))である。これらの2種
類のDBEのうちイソアミラーゼは、グリコーゲンやグ
リコーゲンよりもやや規則性をもつフィトグリコーゲン
(phytoglycogen)のα‐1,6グルコシド結合の枝を
分解することが出来るが、プルラン(pullulan)には作
用しない。一方、プルラナーゼはプルランには作用する
が、グリコーゲンやフィトグリコーゲンには作用しな
い。
【0010】図4にアミロース、アミロペクチン、及び
グリコーゲンの合成過程をまとめた。図4の左側のグリ
コーゲンの合成は主として動物や細菌類の場合であり、
UGPaseはグリコーゲンの材料となるリン酸化グル
コースの合成酵素であり、GSはグリコーゲン合成酵素
であり、GBEはグリコーゲン枝作り酵素である。図4
の中側は、高等植物の場合のアミロペクチンの合成過程
を示すものであり、図中のSSSは水溶性SSのことで
ある。図4の右側は高等植物におけるアミロースの合成
過程を示すものであり、GBSSは粒結合デンプン合成
酵素I(granule‐bound starch synthaseI(GBSS
I))のことである。このように、高等植物において
は、前記した4種類の酵素群により植物の種類に応じた
アミロペクチンを産生している。そして、植物の種類に
よるアミロペクチンの構造の相違は、これらの酵素の種
類の違いによるところが大きいと考えられる。例えば、
クラスター構造を形成させるのに重要な存在であるイソ
アミラーゼは植物の種類により微妙に異なっているもの
と推測される。
【0011】一方、遺伝子操作手法は、既存のデンプン
にはない特徴を持つ新素材を作出できる可能性を持って
いる。デンプン合成に関連する酵素の形質転換体を用い
た研究が多くのグループで進められている。形質転換技
術によるデンプン形質の改変は主にジャガイモで試みら
れており、サフォードら(Safford, et al.,)(1998)
はジャガイモのBE(イネBEIに対応)をアンチセン
スに導入することにより糊化特性の異なるデンプンを蓄
積するジャガイモを作出し、ジョブリングら(Jobling,
et al.,)(1999)はBE A(イネのBEIIに対
応)のアンチセンス形質転換体を作成し、側鎖長の長く
なったアミロペクチンが蓄積することを明らかにした。
また、エドワードら(Edwards, et al.,)(1999)はS
SII、SSIII、SSIIとSSIIIのキメラア
ンチセンスISAを導入し、デンプン合成活性の低下し
た形質転換体を作成した。デンプン粒のサイズは小さく
なり、側鎖長分布には大きな変化が見られた。
【0012】また、ジェームズら(James, et al.,)
(1995)はトランスポゾンタギング法でISA遺伝子に
トランスポゾンが挿入された植物体を得て、その植物体
が、胚乳にフィトグリコーゲンが蓄積するシュガリー−
1(sugary-1)表現型を示す事を確認した。この方法と
は逆に、シュガリー−1(sugary-1)変異体に正常なI
SAを形質転換することで形質が正常型に戻ることを確
認できたならば、ISAとシュガリー−1(sugary-1)
変異原因遺伝子の両遺伝子の同一性をより直接的に示す
証拠となる。本発明者らは、イソアミラーゼ(ISA)
変異体であると思われるシュガリー−1(sugary-1)変
異体に正常なコムギのISA遺伝子を導入することで、
胚乳形質が正常に戻るかどうかを検定した。また、新た
なデンプン素材の作出を目指した、本形質転換法の可能
性についても検討した。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イネシュガ
リー−1(sugary-1)変異体に正常なコムギのISA遺
伝子を導入することにより、シュガリー−1(sugary-
1)変異体がイソアミラーゼ(ISA)変異体であるこ
とを検証すると共に、異種の植物に由来するデンプン合
成関与酵素をコードする遺伝子による形質転換体におけ
る当該酵素の活性を検証することにより、当該酵素の活
性を相補する方法、及び形質転換された新規な植物体を
提供する。また、本発明は、当該方法により植物が産生
するデンプンのアミロペクチンのα−1,4−グルコー
ス鎖の鎖長分布を調節又は制御する方法、及びそれによ
りアミロペクチン分子構造すなわちα−1,4−グルコ
ース鎖の鎖長分布の異なるデンプンを製造する方法、並
びに当該方法により製造される新規な構造及び物性を有
するデンプンを提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、イソアミラー
ゼの酵素活性が不完全な植物に、他種植物のイソアミラ
ーゼをコードする遺伝子を含有する遺伝子が導入された
植物を用いて、アミロペクチンのα−1,4−グルコー
ス鎖の鎖長分布の異なるデンプンを製造する方法、及び
アミロペクチンのα−1,4−グルコース鎖の鎖長分布
を調節又は制御する方法に関する。また、本発明は、イ
ソアミラーゼの酵素活性が不完全な植物に、他種植物の
イソアミラーゼをコードする遺伝子を含有する遺伝子を
導入することにより、イソアミラーゼの酵素活性を相補
する方法、及びイソアミラーゼの酵素活性が不完全な植
物に、他種植物のイソアミラーゼをコードする遺伝子を
含有する遺伝子が導入された植物に関する。さらに、本
発明は、イソアミラーゼの酵素活性が不完全なイネ科植
物に、コムギのイソアミラーゼをコードする遺伝子を含
有する遺伝子が導入された植物により産生されるアミロ
ペクチンのα−1,4−グルコース鎖の鎖長分布及びデ
ンプンの熱糊化特性が、野生型とは異なる新規なデンプ
ンに関する。
【0015】本発明者らは、植物として、イネ(Oryza
sativa L.)品種である日本晴、金南風の2品種と、イ
ネシュガリー−1(sugary-1)変異体EM273、EM
914の2系統、計4種類を形質転換体の作成の材料と
した実験を行った。本実験における形質転換体の系統名
は、EM273由来のものは#273、EM914由来
のものは#914の後に系統番号を付した。なお、金南
風が日本晴とは、ほぼ同様の再分化能を持つ事を確認し
ている。
【0016】本発明者らは、イネのシュガリー−1(su
gary-1)変異体へ、コムギのイソアミラーゼ(ISA)
遺伝子を導入した形質転換体をアグロバクテリウム法を
用いて作出した。シュガリー−1(sugary-1)変異体
は、その種子のしわ形質とショ糖含量の高さ(Nakamura
et al. 1996)のため、カルス誘導初期にバクテリアや
カビ等のコンタミネーションが多く見つかったものの、
最終的に多くの個体が得られた。感染の結果を次の表1
に示す。
【0017】
【表1】
【0018】コムギイソアミラーゼ(ISA)遺伝子を
含むpCLD04541を用いた。このコムギイソアミ
ラーゼ(ISA)遺伝子のT−DNA領域の物理地図を
図5に示す。コムギイソアミラーゼ(ISA)遺伝子を
含むゲノムDNAはpdBS領域に挿入されており、図
5の「LB」は左端繰り返し領域(left border repea
t)を示し、「RB」は右端繰り返し領域(right borde
r repeat)を示し、「p35S」はカリフラワーモザイ
クウイルス(CaMV)35S RNA遺伝子プロモー
ターを示し、「NPTII」はネオマイシンリン酸転移酵
素を示し、「oct3’」はオクトピン合成酵素3’末
端を示し、「pdBS」はダークブルースクリプトポリ
リンカー(dark Bluescript polylinker)を示す。
【0019】コムギイソアミラーゼ(ISA)遺伝子が
形質転換されたことを確認するためにPCRを行った。
図6に示すように、選抜マーカーであるNPTII遺伝子
とコムギイソアミラーゼ(ISA)遺伝子の2遺伝子を
検出するプライマーの組み合わせを用いた。図6の向き
合った矢印は、各々NPTIIプライマーペアー、ISA
プライマーペアーを示す。図6の「LB」及び「RB」
は前記した図5に示したものと同じである。NPTIIプ
ライマーペアーを用いたPCRの結果を図7に示し、I
SAプライマーペアーを用いたPCRの結果を図8に示
す。いずれも図面に変わる写真である。図7及び図8の
Mはサイズマーカーを示し、レーン1は#914−76
のゲノムDNAの場合を示し、レーン2は#914−9
0のゲノムDNAの場合を示し、レーン3はEM914
(非形質転換体)のゲノムDNAの場合を示し、レーン
4はイソアミラーゼ(ISA)が挿入されたpCLD0
4541の場合を示す。また、この結果をまとめて表2
に示す。
【0020】
【表2】
【0021】PCRの結果、ほぼ全ての形質転換体でN
PTIIのバンドが増幅され、T−DNAが確実に導入さ
れていることが分かった(図7、及び表2参照)。しか
し、それらの系統の中でコムギISAのバンドが増幅し
ないものが20%から40%の割合であることが分かっ
た。この理由については、今回使用したT−DNA領域
が巨大な長さのゲノム遺伝子を含んでいることから、操
作の過程で組み換えが起こり中途で断片が欠落した可能
性が考えられる。非形質転換体であるEM914では増
幅断片は観察されなかった。
【0022】正常なイネ種子は胚乳にデンプンが満たさ
れるため、種子はふくらみ、表面に起伏はほとんど無
い。シュガリー−1(sugary-1)変異体の種子は胚乳に
可溶性多糖が多く含まれるため、乾燥後の種子は体積が
減少し、しわ性の形質を示す。形質転換体の選抜は主に
種子のしわ性の有無に基づいて行った。形質転換を行っ
たイネをT0世代とし、T1世代で形質がヘテロな系統
を選抜し、T2世代で形質がホモになった系統を選抜し
た。選抜の概要を図9に示す。また、その結果を次の表
3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】アグロバクテリウムを感染させたカルスを
T0世代とすると、カルスから再分化した植物体に結実
した種子(T1世代)では、表現型が分離する。導入さ
れたコムギISA遺伝子はイネシュガリー−1(sugary
-1)遺伝子(sug−1)と別の遺伝子座に座乗すると
考えられる。イネsug−1遺伝子は劣性であり、コム
ギイソアミラーゼ(ISA)遺伝子がシュガリー−1
(sugary-1)形質を相補するならば、遺伝子が1コピー
導入されれば、胚乳の形質は正常型:シュガリー−1
(sugary-1)型が、3:1の割合で現れる可能性が高
い。2コピー以上導入されれば、正常型の比率はさらに
高くなる。このような理由から、T1種子を用いてコム
ギイソアミラーゼ(ISA)遺伝子のシュガリー−1
(sugary-1)形質の相補性について検討した。形質転換
体の完熟種子の外内穎を取り除き、横断切片を切り出
し、種子のしわ性及び胚乳に含まれるポリグルカンの形
質を比較した。図10にその結果を図面に代わる写真で
示す。図10の上から、野生型の金南風、シュガリー−
1のEM273、形質転換体の#273−82、同じく
形質転換体の#273−141を示す。図10の左側
は、無処理の場合であり、右側はヨウ素液(0.1%ヨ
ウ素、1%ヨウ化カリウム)で1分間染色したものであ
る。次に、T1種子の次世代であるT2種子について解
析を行った。T1種子は分離世代であるため、表現型は
WT型とsu型の両者が現れる。T2種子はT1種子を
もとにホモ個体を選抜した系統である。EM914、E
M273両系統に関し、形質転換体のT2植物が得られ
た。その結果を図11に示す。胚乳に含まれるポリグル
カンの形質を調べるため、胚乳切片をヨウ素液(1%ヨ
ウ化カリウム、0.1%ヨウ素)で染色した。デンプン
はヨウ素で茶色に染色される性質があるが、シュガリー
−1(sugary-1)変異体(EM273,EM914)は
デンプンをほとんど含まず、ほとんどが可溶性のフィト
グリコーゲンで満たされており、ヨウ素液では橙色に染
まる。この染色法を形質判定の補足に用いた。EM91
4のT2種子のデンプンをヨウ素染色し、その最大吸収
波長(λmax)を測定した。その結果を図11に示
す。一番上は野生型(WT)の金南風であり、λmax
は575nm付近である。その下のEM914は、フィ
トグリコーゲンのみを生産するため、λmax値は約4
40−480nmと低い。#914−8−1、#914
−24−2と#914−37−6ではλmax値は高
く、これらの形質転換体はデンプン性のポリグルカンを
生産することが示された。それに対して、コムギイソア
ミラーゼ遺伝子が導入されなかった#914−11−1
では、λmax値は低く、EM914と同様、フィトグ
リコーゲンしか生産できないことが明らかになった。こ
の事実は、コムギイソアミラーゼの導入によってデンプ
ン性のポリグルカンができるようになったことを示して
いる。
【0025】次にT2登熟種子の半粒を用いて、イソア
ミラーゼ(ISA)、プルラナーゼ(PUL)について
検討した。結果を図12に図面に代わる写真で示す。図
12の右側はEM914由来の3系統の形質転換体を示
し、左端の2レーンは、野生型の金南風及びシュガリー
型のEM914を示している。図にはイネとコムギのイ
ソアミラーゼおよびイネのプルラナーゼ(PUL)のバ
ンドを示す。この結果、形質転換体#914−8−1、
#914−24−2、#914−37−6では、導入し
たコムギのイソアミラーゼの発現が認められた。
【0026】次にα−1,4−グルコース鎖の鎖長分布
解析によるデンプン構造の比較を行った。結果を図13
に示す。図13の左上が、野生型の金南風、右上がシュ
ガリー型のEM914、左下が形質転換体の#914−
8−1である。以上の図は鎖長分布を示し、横軸は鎖の
長さを示し、縦軸は頻度(%)を示す。図13の右下は
野生型の金南風と比較した場合の差分(黒色)、シュガ
リー型のEM914と比較した場合の差分(赤色)を示
す。この結果、形質転換体#914−8−1は、フィト
グリコーゲンとは異なり、金南風のポリグルカンと近い
鎖長分布を示し、コムギISA遺伝子がsugary形
質を相補したことを示した。しかし、#914−8−1
のポリグルカンは金南風に類似しているものの、完全に
同一ではなく、DP5から12までが多く、DP13か
らDP24までが少なく、DP25から36までが多
く、36以降が少ない傾向を示すことが明らかになっ
た。以上の結果は、コムギのイソアミラーゼはイネのイ
ソアミラーゼの機能を完全には相補できないことを示す
と考えられる。金南風、EM273、EM914、形質
転換体のデンプンについて、示差熱量測定法(DSC,
Differential Scaning Calorymetry)による熱糊化特性
解析を行った。この結果を次の表4に示す。
【0027】
【表4】
【0028】EM914の胚乳には可溶性の多糖が蓄積
するため糊化開始温度(To)が検出できないが、形質
転換体ではToが44−50℃で、金南風と比べて糊化
しやすいデンプンが蓄積されていることが示された。こ
のことからも、形質転換体胚乳内にデンプン様のポリグ
ルカンが蓄積することが明らかになった。また、金南風
と比較すると糊化開始温度が劇的に低下していることか
ら、完全な野生型のデンプンができていないことがわか
った。
【0029】以上の結果から、コムギイソアミラーゼ
(ISA)遺伝子を導入したシュガリー−1(sugary-
1)変異体種子の種子はしわ型から正常型にかわり、ヨ
ウ素液染色ではデンプンのような茶色を示した。これら
のことから、コムギイソアミラーゼ(ISA)遺伝子が
イネ種子のシュガリー−1(sugary-1)表現形を相補す
る事が明らかになった。この事実はアミロペクチン合成
過程においてイソアミラーゼ(ISA)が鍵となる役割
を持つことを強く示している。しかし、ポリグルカンの
鎖長分布を比較すると、正常型に類似しているもののや
や異なる分布を示し、その傾向は比較的シュガリー(su
gary)型のアミロペクチンと似ていた。このことは、本
形質転換体で導入されたコムギイソアミラーゼ(IS
A)遺伝子由来のイソアミラーゼ(ISA)タンパク質
が、イネイソアミラーゼ(ISA)タンパク質の機能を
完全には相補できない事を示唆している。シュガリー−
1(sugary-1)変異体で蓄積されたアミロペクチンは、
イソアミラーゼ(ISA)活性が低い環境で合成された
ために分子の側鎖長構造が正常のアミロペクチンとは異
なる結果になったと考えられる。本実験の形質転換体も
同様に、イソアミラーゼ(ISA)活性が完全には回復
していないためにシュガリー(sugary)型のアミロペク
チンに類似した構造を持つアミロペクチンが合成された
と推測された。イネの正常なイソアミラーゼ(ISA)
遺伝子をシュガリー−1(sugary-1)変異体に導入する
ことができれば、シュガリー−1(sugary-1)形質を完
全に相補する形質転換体を得られる可能性がある。
【0030】イネ科植物では、トウモロコシ、イネ、オ
オムギにおいてイソアミラーゼ(ISA)遺伝子が単離
されている(James et al. 1995; Fujita et al. 1999;
Sunet al. 1999)。コムギではRT−PCRによりc
DNAの部分配列が決定されており(Sun et al. 199
9)、mRNAが発現していることは確認されている
が、胚乳におけるイソアミラーゼ(ISA)タンパク質
の活性は未だ検出されていない。しかし、本実験のNa
tive−PAGEの結果(図12参照)、導入したコ
ムギイソアミラーゼ(ISA)と思われる、イネとは移
動度の異なる青色のバンドが検出された。このことか
ら、コムギ胚乳でもイソアミラーゼ(ISA)活性を保
持する事が示唆された。コムギの胚乳はイネに比べてア
ミラーゼの活性が強く、イソアミラーゼ(ISA)活性
の検出は容易ではないが、部分精製などを行えば検出で
きると考えられる。
【0031】今回の形質転換体の作成では、異種の遺伝
子を導入する新たな試みを行った。デンプンはアミロプ
ラスト内で合成され、イソアミラーゼ(ISA)はデン
プン合成に関与する為にはトランジットペプチドを必要
とする。トランジットペプチドは種による特異性が高い
といわれているが、本発明の方法ではコムギのゲノミッ
クイソアミラーゼ(ISA)遺伝子がイネで発現してお
り、コムギイソアミラーゼ(ISA)のトランジットペ
プチドがイネのアミロプラストでも有効である事を示し
ており、イソアミラーゼ(ISA)遺伝子の発現の転写
調節因子も両種において類似性が高いと考えられる。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の方法における、イソアミ
ラーゼの酵素活性が不完全な植物としては、野生型の植
物と比較してイソアミラーゼの酵素活性が十分ではな
く、そのために正常なデンプンを産生することができな
い植物であり、好ましくは人為的手段などによりイソア
ミラーゼの酵素活性が不完全にされたイネ科植物、例え
ばシュガリー型のイネ科植物が挙げられる。また、本発
明の方法における、種の異なる植物のイソアミラーゼを
コードする遺伝子としては、前記した「イソアミラーゼ
の酵素活性が不完全な植物」とは種の異なる植物由来の
イソアミラーゼをコードする遺伝子が好ましく、例えば
コムギのイソアミラーゼをコードする遺伝子が挙げられ
る。本発明の「他種植物のイソアミラーゼをコードする
遺伝子を含有する遺伝子」としては、前記した他種植物
のイソアミラーゼをコードする遺伝子を含有するもので
あれば特に制限はないが、選別のためのマーカーとなる
遺伝子や発現のためのプロモーター領域などを含有する
遺伝子が好ましい。
【0033】本発明は、本発明の方法により他種植物の
イソアミラーゼをコードする遺伝子を含有する遺伝子が
導入された植物を提供するものであり、当該イソアミラ
ーゼ遺伝子が発現して、その酵素活性が導入された植物
体において発現するものである。本発明の植物の形態と
しては、遺伝子が導入されたことを判別できるものであ
ればよく、例えば種子、カルス、生育体などのいずれの
形態であってもよい。また、植物が産生するデンプンに
おけるアミロペクチンのα−1,4−グルコース鎖の長
さや密度は、デンプンの性質を大きく変化させることが
知られている。例えば、イネ科におけるインディカとジ
ャポニカのように、アミロペクチンのクラスター構造の
僅かな変化がデンプンの特性や味なを大きく左右してい
る。本発明は、アミロペクチンのα−1,4−グルコー
ス鎖の鎖長分布の異なる新規なデンプン、より詳細には
天然のイネ科植物が産生するデンプン及びシュガリー型
のデンプンとは鎖長分布の異なる鎖長分布を有し、かつ
熱糊化特性の異なる新規なデンプンを提供する。例え
ば、図13に示されるように、野生型及びシュガリー型
のいずれの型が産生するデンプンとも鎖長分布が異なる
デンプンを提供する。本発明のデンプンは、前記した本
発明の方法によって得られる植物が産生し、野生型及び
シュガリー型のいずれの型が産生するデンプンとも鎖長
分布が異なり、熱糊化特性も異なるデンプンである。
【0034】本発明の方法によれば、アミロペクチンの
α−1,4−グルコース鎖の鎖長分布を調節又は制御す
ることができ、したがって本発明は他種植物種のイソア
ミラーゼをコードする遺伝子を導入することによる、ア
ミロペクチンのα−1,4−グルコース鎖の鎖長分布を
調節又は制御する方法を提供するものである。図13に
見られるように、イソアミラーゼが機能不全となること
により、鎖長の短いものの分布が増加する(図13の右
上のシュガリー型参照)。これに他種植物のイソアミラ
ーゼ遺伝子を導入するとその由来や導入されたコピー数
などにより、鎖長の分布が微妙に変化し、目的の鎖長分
布を有する系統を選別することにより植物の産生する種
に固有のデンプンのアミロペクチンのα−1,4−グル
コース鎖の鎖長分布を種を越えて調節又は制御すること
ができる。また、アミロペクチンの鎖長分布の違いが、
デンプンの糊化開始温度に与える影響についても明らか
になった。特に、アミロペクチン短鎖の比率の増加によ
り、糊化開始温度が低下し、易糊化性が示された。この
ことは、アミロペクチンの分子構造の改変が、デンプン
の物性を変える手段のひとつであることを示している。
したがって、本発明はこのような鎖長分布の制御によっ
て、熱糊化特性の異なる新規なデンプンを提供するもの
でもあり、食品用デンプンや産業用デンプンとして新規
かつ有用なデンプンを提供するものである。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定される
ものではない。
【0036】以下の実験例における植物材料としては、
イネ(Oryza sativa L.)品種である日本晴、金南風の
2品種と、イネシュガリー−1(sugary-1)変異体EM
273、EM914の2系統、計4種類を形質転換体作
成の材料とした。形質転換体の系統名は、EM273由
来のものは#273、EM914由来のものは#914
の後に系統番号を付した。
【0037】実施例1 (形質転換体の作出) 形質転換体の作成にはアグロバクテリウム法(Hiei et
al. 1994)を用いた。形質転換作成用に準備した培地の
組成を次の表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】(1)カルス誘導 外穎内穎を取り除いた種子を0.1% Tween−2
0、70%エタノール、2%次亜塩素酸ナトリウム溶液
で順次滅菌した後、カルス誘導培地に置床して28℃、
光照射下で3週間培養し、得られたカルスを新たなカル
ス誘導培地に移して前培養を行った。
【0040】(2)アグロバクテリウムの準備 アグロバクテリウム(A. tumefacience, EHA105株)の
シングルコロニーをLB培地で約6時間、OD=1.0
になるまで振とう培養した。培養液を5,000rp
m、4℃で10分間遠心し、集めた菌体を10% グリ
セロール(4℃)に懸濁し、再度遠心分離してグリセロ
ールによる洗浄をさらに2回繰り返した。最後に10%
グリセロールに懸濁した。グリセロール処理済みのア
グロバクテリウム40μlに、コムギイソアミラーゼ
(ISA)遺伝子を含むpCLD04541(図5参
照)を100ng程度を氷上で加え混合した。1.45
keV、129Ωの電気パルスを与え、1mlのLB培
地を加えて28℃で1時間培養した。LB固形培地(5
0mg・L−1カナマイシンを含む)上で28℃で2日
間培養し、得られたコロニーをLB液体培地で培養し
た。DNAを抽出して適当な制限酵素で切断し、形質転
換に用いたBAC DNAと比較し形質転換を確認し
て、等量のグリセロールを加えて使用するまで−80℃
で保存した。使用前に、アグロバクテリウムをAB培地
(50mg・L−1カナマイシン、35mg・L−1
ネチシンを含む)上で28℃、暗所で3日間培養した。
【0041】(3)感染 共存培養培地にろ紙をのせ、アグロバクテリウム懸濁培
地で湿らせておき、アグロバクテリウム懸濁培地にアグ
ロバクテリウムを少量懸濁し、90秒間カルスを菌液に
浸した後、滅菌したろ紙上で余分な菌液を除いた。カル
スをろ紙をのせたアグロバクテリウム懸濁培地に置床し
28℃で3日間暗所で培養した。3日後、カルスを滅菌
水で5回程度洗浄した。500ml・L−1カルベニシ
リンを加えた滅菌水で洗浄し、余分な水分をろ紙上で除
いた。カルスを選抜培地(一次選抜用)に置床し、28
℃、光照射下で2週間培養した。
【0042】(4)選抜 NPTII(ネオマイシンリン酸転移酵素II)遺伝子を選
抜マーカーとして使用したが、ネオマイシン(カナマイ
シン)と類似の作用を持つゼネチシンの方が選抜効率が
高いことから、本実験ではこれを選抜に用いた。選抜培
地で培養したカルスを新たな選抜培地(二次選抜用)に
移し替え、28℃、光照射下で2週間程度培養した。次
に、増殖しているカルスのみを選抜培地(三次選抜用)
に移し替え、28℃、光照射下で1週間程度培養した。
増殖のよいカルスのみを再分化に用いた。
【0043】(5)再分化 カルスを再分化培地に置床した。3週間後、芽や根が数
cmに分化した個体は検定培地に移植した。植物体が成
長した後、培養土に移植した。
【0044】実施例2 (PCRによる形質転換の確
認) (1)DNAの抽出 約1x1cmの形質転換体の葉身を1.5mlチュー
ブに入れ、先端を熱で封じた1.5mlチップを用いて
液体窒素下で粉砕した。400μlのDNA抽出緩衝液
(200mM Tris−HCl(pH 7.5),2
50mM塩化ナトリウム,25mM EDTA,0.5
% SDS)を加え、5秒間攪拌した後、10,000
xgで5分間遠心分離した。上清300μlに等量のイ
ソプロパノールを加え、室温で2分間放置した後、1
0,000xgで5分間遠心分離した。沈殿を70%エ
タノールで洗い、真空乾燥する。PCRに用いる時はT
E(10mM、Tris−HCl(pH8.0),1m
M EDTA(pH8.0))を50μl加えて溶かし
た。
【0045】(2)PCR法 プライマーはコムギイソアミラーゼ(ISA)遺伝子の
部分配列(ラーマンら(Rahman, et al.,)未発表)を
もとに設定した。以下を混合してPCRに用いた。PC
R緩衝液(TOYOBO)5μl,25mMMgCl 5μ
l,プライマー(F,R各)2μl,鋳型DNA1μ
l,2mM dNTP5μl,滅菌水29.5μl,T
aq DNAポリメラーゼ(EC 2.7.7.7, TOYOBO)0.
5μl(2.5unit)。反応条件は、変性を94℃
で30秒、アニーリングを50℃で30秒、伸長反応を
72℃で1分、35サイクル行った。
【0046】(3)アガロースゲル電気泳動 TAE緩衝液(40mM Tris,40mM 酢酸,
1mM EDTA(pH 8.0))に対し1%(w/
v)のアガロースを加熱溶解し、電気泳動に用いた。泳
動装置はMupid(株式会社アドバンス)を用いた。
【0047】実施例3 (形質転換体の選抜) 正常なイネ種子は胚乳にデンプンが満たされるため、種
子はふくらみ、表面に起伏はほとんど無い。sugary-1変
異体の種子は胚乳に可溶性多糖が多く含まれるため、乾
燥後の種子は体積が減少し、しわ性の形質を示す。形質
転換体の選抜は主に種子のしわ性の有無に基づいて行っ
た。形質転換を行ったイネをT0世代とし、T1世代で形質
がヘテロな系統を選抜し、T2世代で形質がホモになった
系統を選抜した。胚乳に含まれるポリグルカンの形質を
調べるため、胚乳切片をヨウ素液(1%ヨウ化カリウム、
0.1%ヨウ素)で染色した。デンプンはヨウ素で茶色に染
色される性質があるが、今回材料に用いたsugary-1変異
体(EM273,EM914)はデンプンをほとんど含まず、ほと
んどが可溶性のフィトグリコーゲンで満たされており、
ヨウ素液では橙色に染まる。この染色法を形質判定の補
足に用いた。
【0048】実施例4 (キャピラリー電気泳動法によ
るαポリグルカンの構造解析) 以下の手順はオシーア・モレル(O`Shea and Morell(1
996))の方法に準じて行った。金南風、EM273、
EM914、形質転換体の種子から外内穎および胚を取
り除き、乳鉢と乳棒で磨砕し、αポリグルカンの分子構
造解析用試料とした。試料粉末5mgに5mlのメタノ
ールを加え、10分間煮沸した。2,500xgで10
分間遠心分離し、上清を除去し、90%メタノールを5
ml加え二度洗浄した。沈殿に15μlの5N水酸化ナ
トリウムを加え、5分間煮沸してデンプンを糊化させ
た。糊化液を氷酢酸9.6μlで中和した後、蒸留水1
089μl、0.6M酢酸緩衝液(pH 4.4)10
0μl、2%アジ化ナトリウム15μl、P. amylodera
mosa イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68, 林原生物化学研究
所)3μl(約210unit)を加え、スターラーバ
ーで撹拌しながら37℃、8時間以上反応した。さらに
イソアミラーゼ3μlを追加して8時間以上反応した
後、常温で10,000xgで遠心分離し、上清を脱イ
オンカラム(AG501-X8(D), Bio-Rad)で濾過した。α-
グルカン鎖の非還元末端を蛍光標識するため、ヒズクリ
(Hizukuri)ら(1981)の方法により試料中の糖含量を
定量し5nmolを遠心濃縮機で乾燥させ、2μlの1
−アミノピレン−3,6,8−三硫酸塩(APTS)溶
液(7%APTS,15%酢酸)、2μlのシアン化ホ
ウ素ナトリウム溶液(1Mシアン化ホウ素ナトリウム,
100%テトラヒドロフラン)を添加し、55℃で90
分間反応させた。分析時には12.5倍に蒸留水で希釈
して用いた。鎖長分布解析は、キャピラリー電気泳動装
置(P/ACE5000,Beckman)を用いて行
った。この結果を図13に示す。
【0049】実施例5 (SDS−PAGEおよびウェ
スタンブロット解析) (1)酵素液の調製 全ての手順は4℃以下で行った。登熟後期の種子10粒
を用い、外穎、内穎、表皮、胚を除去した胚乳部分を1
mlの抽出緩衝液(50mMイミダゾール−HCl(p
H 7.5),8mM塩化マグネシウム,12.5%
(v/v)グリセロール,50mM2−メルカプトエタ
ノール)中で、ガラスホモジナイザーを用いて氷冷下で
磨砕し、18,500xgで5分間遠心分離した。上清
を酵素液として用いた。
【0050】(2)ウェスタンブロット解析 酵素液に含まれるタンパク質の分離は、ラエムリ(Laem
mli(1970))によるSDS−PAGE法を用いて行っ
た。分離ゲル(6x9x0.1cm)の組成は10%
(w/v)ポリアクリルアミド(アクリルアミド:ビス
アクリルアミド=30:0.8)、0.375M Tr
is−HCl、0.1%SDSで行い、泳動緩衝液
(0.025MTris,0.192Mグリシン,0.
1%SDS)、試料緩衝液(0.1MTris−HC
l,4%SDS,12%2−メルカプトエタノール,2
0%グリセロール,0.001%BPB)を用いた。ゲ
ルを0.1% SDSを含むブロッティング溶液(25
mMTris,200mMグリシン,20%メタノー
ル)に15分間浸した後、ニトロセルロース膜(Schlei
cher & Schuell)またはPVDF膜(Millipore)に、
セミドライブロッティング装置(日本エイドー)を用い
て10V(定電圧)で1時間ブロッティングを行った。
転写膜をA液(10mMTris,500mM 塩化ナ
トリウム,0.02%Tween−20)で15分間3
回、B液(A液からTween−20を除いたもの)で
5分間3回洗い、3%ゼラチン/B液で1時間ブロッキ
ングした。次に、1%ゼラチン/B液でBEI、IIb
抗体(Nakamura et al. 1992)は2,000倍、AGP
ase抗体(Nakamura and Kawaguch 1992)、PUL抗
体(Nakamura et al. 1996)、ISA抗体(Fujita et
al. 1999)は1,000倍に希釈した、各一次抗体(イ
ネ胚乳から精製した各酵素に対するウサギのポリクロー
ナル抗体)使用液に入れ替え、12時間静かに振とうし
た。その後A液、B液で前述のように洗浄を繰り返し、
1%ゼラチンで3,000倍に希釈したペルオキシダー
ゼ標識二次抗体(Bio-Rad)使用液に入れ替え、6時間
振とうした。転写膜をA液、B液で洗い、反応液(3%
4−クロロ−1−ナフトール/メタノール、0.001
% 過酸化水素水/B液を直前に混合)に浸した(Towb
in et al. 1979)。発色後、脱イオン水で数回洗い反応
を停止した。
【0051】実施例6 (Native−PAGEと活
性染色を用いたDBE(PUL,ISA)活性検出法) デイビス(Davis(1964))の方法を改良して本実験に
用いた。15%(w/v)アミロペクチン(ジャガイモ
塊茎由来,SIGMA)を含む7.5%(w/v)ポリ
アクリルアミドゲル(SDSを含まないNativeゲ
ル)(6x9x0.1cm)を分離ゲルとした。酵素液
と試料用緩衝液(0.31MTris−HCl(pH
7.0),0.1% ブロモフェノールブルー,50%
グリセロール)を2:1(v/v)の比で混合した。電
気泳動は、4℃で7.5mA(定電流)で30分間、1
5mAで2時間、4℃下で行った。泳動後、ゲルを酵素
反応液(50mMクエン酸緩衝液(pH 5.4),5
0mM2−メルカプトエタノール)に浸し、2時間、3
0℃で静かに振とうしながらインキュベートした。活性
染色には0.1%(w/v)ヨウ素、1%(w/v)ヨ
ウ化カリウムから成る染色液を用いた。酵素活性は特有
の薄青色バンドとして検出された。結果を図12に示
す。
【0052】実施例7 (Native−PAGEと活
性染色法によるBE活性検出法) 山之内及び中村(Yamanouchi and Nakamura(1992))
の方法を本実験に用いた。5%(w/v)ポリアクリル
アミドゲルを分離ゲルとし、電気泳動は4℃で15mA
で行った。電気泳動後、反応液(50mMHEPES−
NaOH(pH7.0),50mMグルコース−1−リ
ン酸,2.5mMAMP,10%グリセロール,ホスホ
リラーゼa(EC2.4.1.1,ウサギ筋肉由来,
(Roche Diagnostics))にゲルを浸して30℃で5時
間反応させた後、染色液で染色した。
【0053】実施例8 (DSCによる熱糊化特性の測
定) イネ形質転換体の糊化特性は示差走査熱量測定(Differ
ential Scaning Calorimeter;DSC)により行った。
分析にはDSC−6100(セイコー株式会社)を用い
た。米粒1粒を乳鉢ですりつぶし、3mgを量り取り、
アルミ製のサンプル容器に入れ、蒸留水9μlを加えて
簡易密閉し、分析に用いた。サンプルは3℃/分の速度
で20℃〜120℃まで昇温させ糊化による熱量の変化
を測定した。この結果を表4に示す。
【0054】実施例9 (デンプンのヨウ素染色による
最大吸収波長の測定) 最大吸収波長(λmax)を測定するため、金南風、E
M273、EM924、形質転換体の種子の切片を1N
水酸化ナトリウム50μlを別容器にとり、蒸留水50
μl、ヨウ素液(0.1%ヨウ素、1%ヨウ化カリウ
ム)50μlを加え、400−700nmにおける最大
吸収波長を測定した。この結果を図11に示す。
【0055】
【発明の効果】本発明は、イネのシュガリー1(sugary
-1)変異体がイソアミラーゼ(ISA)変異体であるこ
とを明らかにすると共に、他種の植物のイソアミラーゼ
(ISA)遺伝子が導入されても当該遺伝子が導入され
た植物において発現し、酵素活性を示すことを実証し
た。また、他種の植物のイソアミラーゼ(ISA)を導
入することにより、導入された植物又は導入元になった
植物が本来産生するデンプンとは異なる新規な構造及び
物性を有するデンプンを産生することができることこと
を明らかにした。本発明の方法により、植物による新規
な構造及び物性を有するデンプン、及びその製造方法が
提供されると共に、これを産生することができる植物、
及び当該植物の製造方法が提供された。また、本発明
は、デンプンの種類の豊富化のみならず目的や用途に応
じた物性を有するデンプンの製造方法についての基本的
な手法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、生物における貯蔵性ポリグルカンの構
造を示す概念図である。
【図2】図2は、アミロペクチンのクラスター構造を示
すものである。
【図3】図3は、イネ胚乳におけるジャポニカとインデ
ィカとのアミロペクチンのクラスター構造の相違を示す
ものである。
【図4】図4は、生物における貯蔵性ポリグルカンであ
る、アミロース、アミロペクチン、及びグリコーゲンの
生合成経路の概要を示すものである。
【図5】図5は、本発明の方法で使用したコムギのイソ
アミラーゼ遺伝子のT−DNA領域の物理地図を示す。
【図6】図6は、本発明の方法で使用したコムギのイソ
アミラーゼ遺伝子のT−DNA領域を模式的に示したも
のであり、図6の向き合った矢印は、PCRのためのN
PTIIプライマーペアー、ISAプライマーペアーをそ
れぞれ示している。
【図7】図7は、NPTIIプライマーペアーを用いたP
CRの結果を示す図面に代わる写真である。図7のMは
サイズマーカーを示し、レーン1は#914−76のゲ
ノムDNAの場合を示し、レーン2は#914−90の
ゲノムDNAの場合を示し、レーン3はEM914(非
形質転換体)のゲノムDNAの場合を示し、レーン4は
イソアミラーゼ(ISA)が挿入されたpCLD045
41の場合を示す。
【図8】図8は、ISAプライマーペアーを用いたPC
Rの結果を示す図面に代わる写真である。図8のMはサ
イズマーカーを示し、レーン1は#914−76のゲノ
ムDNAの場合を示し、レーン2は#914−90のゲ
ノムDNAの場合を示し、レーン3はEM914(非形
質転換体)のゲノムDNAの場合を示し、レーン4はイ
ソアミラーゼ(ISA)が挿入されたpCLD0454
1の場合を示す。
【図9】図9は、イソアミラーゼ遺伝子が導入された本
発明の形質転換体のT1世代及びT2世代の選抜の概要
を示したものである。
【図10】図10は、野生型、変異体、及び本発明の形
質転換体の完熟種子の外内穎を取り除き、横断切片を切
り出し、種子のしわ性及び胚乳に含まれるポリグルカン
の形質を比較した結果を示す図面に代わる写真である。
図10の上から、野生型の金南風、変異体のシュガリー
−1のEM273、形質転換体の#273−82、同じ
く形質転換体の#273−141を示す。図10の左側
は、無処理の場合であり、右側はヨウ素液(0.1%ヨ
ウ素、1%ヨウ化カリウム)で1分間染色したものであ
る。
【図11】図11は、野生型、変異体、及び本発明の形
質転換体#914のT2種子のデンプンをヨウ素染色
し、その最大吸収波長(λmax)を測定した結果を示
すものである。図11の一番上は野生型(WT)の金南
風であり、上から二番目は変異体のEM914であり、
その下の4種は形質転換体#914を示し、図11の横
軸は波長(nm)を示す。
【図12】図12は、野生型、変異体、及び本発明の形
質転換体のT2世代の登熟種子の半粒を用いて、Nat
ive−PAGE/活性染色法によるイソアミラーゼ
(ISA)、及びプルラナーゼ(PUL)の酵素活性を
測定した結果を示す図面に代わる写真である。図12の
右側の3レーンは本発明のEM914由来の3系統の形
質転換体を示し、左端の2レーンは、野生型の金南風及
びシュガリー型のEM914を示している。図12には
イネとコムギのイソアミラーゼおよびイネのプルラナー
ゼ(PUL)のバンドを矢印で示している。
【図13】図13は、野生型、変異体、及び本発明の形
質転換体のα−1,4−グルコース鎖の鎖長分布解析に
よるデンプン構造の比較を行った結果を示す。図13の
左上が、野生型の金南風、右上が変異体のシュガリー型
のEM914、左下が形質転換体の#914−8−1で
ある。図13の各横軸は鎖の長さを示し、縦軸は頻度
(%)を示す。図13の右下は野生型の金南風と比較し
た場合の差分(黒色)、シュガリー型のEM914と比
較した場合の差分(赤色)を示す。
フロントページの続き (71)出願人 501359630 バイオジェーマ フランス共和国 パリ 75001 リュ エ デュアール−コロンヌ 1 (71)出願人 501359777 グッドマン フィールダー リミテッド オーストラリア国 2113 ニューサウスウ ェールズ州 マッカーリー・パーク タラ ベラ・ロード 75 (72)発明者 中村 保典 秋田県秋田市下新城中野字街道端西241− 7 秋田県立大学内 (72)発明者 久保 亜希子 秋田県秋田市下新城中野字街道端西241− 7 秋田県立大学内 (72)発明者 佐藤 光 福岡県福岡市東区箱崎6−10−1 (72)発明者 サディクール・ラーマン オーストラリア国 2601 オーストラリア ン・キャピタル・テリトリー キャンベラ ジー・ピー・オー・ボックス 1600 (72)発明者 マシュー・ケー・モレル オーストラリア国 2601 オーストラリア ン・キャピタル・テリトリー キャンベラ ジー・ピー・オー・ボックス 1600 Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD08 CA06 CA17 CA19 CD03 CD07 CD09 CD13 4B024 AA08 BA12 CA04 DA01 DA05 EA04 GA11 4C090 AA04 BA13 BB12 BB32 BB36 BC10 DA27 DA31

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソアミラーゼの酵素活性が不完全な植
    物に、他種植物のイソアミラーゼをコードする遺伝子が
    導入された植物を用いて、アミロペクチン分子を構成す
    るα−1,4−グルコース鎖の鎖長分布が元の植物のも
    のと異なるデンプンを製造する方法。
  2. 【請求項2】 イソアミラーゼの酵素活性が不完全な植
    物が、イネ科植物である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 イネ科植物が、シュガリー型のものであ
    る請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 他種植物のイソアミラーゼをコードする
    遺伝子が、コムギのイソアミラーゼ遺伝子である請求項
    1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 イソアミラーゼの酵素活性が不完全な植
    物に、他種植物のイソアミラーゼをコードする遺伝子が
    導入された植物。
  6. 【請求項6】 イソアミラーゼの酵素活性が不完全な植
    物が、イネ科植物である請求項5に記載の植物。
  7. 【請求項7】 他種植物のイソアミラーゼをコードする
    遺伝子が、コムギのイソアミラーゼ遺伝子である請求項
    5又は6に記載の植物。
  8. 【請求項8】 イソアミラーゼの酵素活性が不完全な植
    物に、他種植物のイソアミラーゼをコードする遺伝子を
    含有するDNAコンストラクトを導入することにより、
    イソアミラーゼの酵素活性を相補する方法。
  9. 【請求項9】 イソアミラーゼの酵素活性が不完全な植
    物が、イネ科植物である請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 イネ科植物が、シュガリー型のもので
    ある請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 他種植物のイソアミラーゼをコードす
    る遺伝子が、コムギのイソアミラーゼ遺伝子である請求
    項8〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 イソアミラーゼの酵素活性が不完全な
    イネ科植物に、コムギのイソアミラーゼをコードする遺
    伝子を含有するDNAコンストラクトが導入された植物
    により産生され、アミロペクチンのα−1,4−グルコ
    ース鎖の鎖長分布が野生型とは異なる鎖長分布を有する
    デンプン。
  13. 【請求項13】 イソアミラーゼの酵素活性が不完全な
    イネ科植物に、コムギのイソアミラーゼをコードする遺
    伝子を含有するDNAコンストラクトが導入された植物
    により産生され、デンプンの熱糊化特性が野生型とは異
    なるデンプン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005253401A (ja) * 2004-03-12 2005-09-22 Japan Science & Technology Agency デンプン合成関連酵素の機能の解析方法

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