JP4868492B2 - プルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体およびイネ変異体の生産方法 - Google Patents

プルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体およびイネ変異体の生産方法 Download PDF

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Description

本発明は、プルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体およびイネ変異体の生産方法に関するものである。
植物のデンプン合成には、基質を供給する酵素ADPグルコースピロホスホリラーゼ(ADPglucose pyrophosphorylase)、α-1,4グルコシド鎖を伸長するスターチシンターゼ(Starch synthase(SS))、α-1,6グルコシド鎖を作る枝作り酵素(Branching enzyme(BE))が関与することが知られていたが、1990年以降のイネやトウモロコシのsugary-1(sug-1)変異体の研究から、さらにα-1,6グルコシド結合によって作られた枝を切る枝切り酵素(Debranching enzyme(DBE))も関連することが明らかになっている(例えば、非特許文献1、2等参照。)。かかるDBEには、その基質特異性から、イソアミラーゼ(ISA)とプルラナーゼ(PUL、別名R-enzyme、Limit dextrinase)が存在し、前者は、アミロペクチンとグリコーゲンに作用することができるが、プルランには反応できず、後者はプルランとアミロペクチンには作用できるが、グリコーゲンにはほとんど反応しない(例えば、非特許文献3等参照。)。sug-1変異体は、胚乳にデンプンではなく分岐頻度の高いフィトグリコーゲンを蓄積する変異体であるが、この変異体の原因遺伝子はISAであることが明らかになっている(例えば、非特許文献4等参照。)。ところが、sug-1変異体は、ISA遺伝子の破壊に伴いISA活性を著しく低下しているのに加えて、PUL活性も低下している(例えば、非特許文献5等参照。)。イネのsug-1変異体には、デンプンとフィトグリコーゲンの比がさまざまな割合で蓄積する(この中にはフィトグリコーゲンが100%であるものも含まれる。)アレリック変異体が存在し(例えば、非特許文献5等参照。)、これらのアレリック変異体間でデンプンの蓄積量が少ないものほどPUL活性が低下している(例えば、非特許文献5、6等参照。)。これらの現象は、ISAのみならず、PULがデンプン合成に重要な役割を果たしていることを予感させる。ISAに関しては、人工的にISAを低下させるとフィトグリコーゲン様のポリグルカンが蓄積するようになったり(例えば、非特許文献7等参照。)、その遺伝子をsug-1変異体に組み換えるとデンプンが合成されるようになる(例えば、非特許文献8等参照。)ことなどから、デンプン合成に重要な役割を果たすことは明確になってきている。現在のところ、ISAは、アミロペクチン構造に必須のクラスター構造を維持するために、正常な場所に付かなかった枝をトリミングする機能をもつと考えられている(例えば、非特許文献1等参照。)。一方、PULはISAの機能を一部補助すると予想されるもののその明確な機能は不明のままである。トウモロコシでは、既にPUL変異体が得られており(例えば、非特許文献9等参照。)、1)PUL変異体の胚乳アミロペクチンの構造は野生型と変化がないが、可溶性ポリグルカンに分岐性のものを蓄積している、2)葉身のデンプン分解速度がやや遅くなっており、葉身アミロペクチンの構造は短鎖が減少している、3)ISAとの二重変異体は、sug-1より激しい表現系を示す、などの知見が得られている。また、PULは穀類の発芽時に強い発現があり、α-amylaseとともにデンプン分解に関与していると考えられている(例えば、非特許文献10等参照。)。
ところで、デンプンは、植物のエネルギー貯蔵物質であり、α−1,4グルコシド結合のD−グルカンを主鎖とする多糖で、α−1,4グルコシド結合のD−グルカンであるアミロースとこれにα−1,6グルコシド結合の側鎖が加わったアミロペクチンとからなっている。デンプンは穀物の主成分として、食品や飼料に使用される他、デキストリン、オリゴ糖、異性化糖などに加工されて加工食品として利用され、また、糊や添加剤として工業製品やその原材料としても利用されている。
デンプンは、その由来により、鎖長分布、結晶性、糊化温度特性等の諸物性が異なり、用途に応じて使い分けられてきた。このようなデンプンの物性の違いは、デンプンの化学構造の相違によるものであり、特に、枝分かれ構造を有するアミロペクチンの化学構造の相違によるところが大きいとされている。
Nakamura Y (2002) Plant Cell Physiol 43: 718-725 Smith et al. (1997) Annu Rev Plant Physiol Mol Biol 48: 67-87 Nakamura Y (1996) Plant Sci. 121: 1-18 James et al. (1997) Plant Cell 7: 417-429 Nakamura et al. (1997) Plant J. 12: 143-153 Kubo et al. (1999) Plant Physiol. 121: 399-409 Fujita et al. (2003) Plant Cell Physiol 44: 607-618 Kubo et al. (2005) Plant Physiol 137: 43-56 Dinges et al. (2003) Plant Cell 15: 666-680 Smith et al. (2005) Annu. Rev. Plant. Biol. 56: 73-98
上述したように、トウモロコシでは、既にPUL変異体が得られているが、イネではPUL変異体は未だ得られていない。トウモロコシとイネとの間で、sug-1変異体を比較すると、トウモロコシではイネのように、デンプンを全く蓄積できなくなるsug-1変異体は存在しない。また、トウモロコシでは、デンプンの蓄積量とPUL変異体の活性との関係はイネのように明確ではない。そのため、PULの機能を解明するためには、PUL遺伝子が破壊されプルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体を単離しその解析を行うことが望まれる。
また、PUL遺伝子が破壊されているイネ変異株が、改変された新規なデンプンを合成する場合には、かかる新規なデンプンは新しいデンプン素材として利用することができ、デンプンの種類を豊富化と、目的や用途に応じた物性を有するデンプンの提供を可能とすることができる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体およびイネ変異体の生産方法ならびに当該イネ変異体により合成されるデンプンを提供することにある。
本発明に係るイネ変異体は、上記課題を解決するために、PUL遺伝子に変異を有し、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下していることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係るイネ変異体は、PUL遺伝子が変異を有しプルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体として初めて単離されたものであり、PUL遺伝子の機能の解明や、将来的にはさらにかかる機能の制御への可能性が期待される。
本発明に係るイネ変異体は、トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されているイネ変異体であって、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体であることが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係るイネ変異体は、PUL遺伝子が破壊されプルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体として初めて単離されたものであり、PUL遺伝子の機能の解明や、将来的にはさらにかかる機能の制御への可能性が期待される。
本発明に係るイネ変異体では、上記トランスポゾンは、PUL遺伝子のエキソン10またはイントロン16に挿入されていることが好ましい。また、本発明に係るイネ変異体では、上記トランスポゾンは、例えば、配列番号1に示されるイネ由来の野生型PUL遺伝子において、5457番目の塩基と5458番目の塩基との間、または、9907番目の塩基と9908番目の塩基との間に挿入されていることが好ましい。
本発明に係るイネ変異体では、上記トランスポゾンはレトロトランスポゾンであることが好ましい。
上記トランスポゾンがレトロトランスポゾンであることにより、かかるトランスポゾンの制御がしやすく、安全性が高いというさらなる効果を奏する。
本発明に係るイネ変異体では、上記レトロトランスポゾンは、Tos17であることが好ましい。
上記トランスポゾンがTos17であることにより、トランスポゾンの活性を人為的に制御することができ、また、誘発された変異は比較的安定であるという効果を奏する。
本発明に係るイネ変異体は、改変されたデンプンを合成することができる。
上記イネ変異体が改変されたデンプンを合成することにより、合成された新規なデンプンを新しいデンプン素材として利用することができるというさらなる効果を奏する。
本発明に係るイネ変異体では、上記改変されたデンプンは、野生型が合成するデンプンと比較して、低下した糊化温度を有することが好ましい。
本発明に係るイネ変異体の生産方法は、改変されたデンプンを合成するイネ変異体を生産するための方法であって、活性化されたトランスポゾンをイネゲノムに導入する工程と、当該トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されているイネ変異体を選抜する工程とを含むことが好ましい。
上記イネ変異体の生産方法がトランスポゾンを利用する選抜方法であることにより、形態上は見つかりにくい改変されたデンプンを合成する変異体の選抜に非常に有効であるという効果を奏する。
本発明に係るイネ変異体の生産方法では、上記トランスポゾンは、Tos17であることが好ましい。
本発明に係るデンプンは、上記イネ変異体により合成されることを特徴としている。
本発明に係るイネ変異体は、以上のように、PUL遺伝子に変異を有し、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下している構成を備えているので、本発明に係るイネ変異体は、PUL遺伝子に変異を有しプルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体として初めて単離されたものであり、PUL遺伝子の機能の解明や、将来的にはさらにかかる機能の制御への可能性が期待される。
また、本発明に係るイネ変異体の生産方法は、以上のように、改変されたデンプンを合成するイネ変異体を生産するための方法であって、活性化されたトランスポゾンをイネのゲノムに導入する工程と、当該トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されているイネ変異体を選抜する工程とを含む構成を備えているので、上記イネ変異体の生産方法がトランスポゾンを利用する選抜方法であることにより、形態上は見つかりにくい改変されたデンプンを合成する変異体の選抜に非常に有効であるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)本発明に係るイネ変異体
本発明に係るイネ変異体は、PUL遺伝子に変異を有し、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下しているものである。
ここでPUL遺伝子とは、デンプンのα-1,6グルコシド結合によって作られた枝を切る枝切り酵素(Debranching enzyme(DBE))の1つであるプルラナーゼ(PULタンパク質)をコードする遺伝子であればよい。
本発明においては、PUL遺伝子はイネ由来のプルラナーゼをコードする遺伝子であればよく、コードするPULタンパク質がプルラナーゼとしての機能を有する限りその変異体も含まれる。イネのPUL遺伝子は、図1に示されるように、25のイントロンと、26のエキソンとから構成される。図1中、黒く塗りつぶしたボックスはエキソン、斜線で表されるボックスはイントロンを示す。なお、図1の左下に示すスケールバーは、1kbの塩基長を示す。
かかるPUL遺伝子としては、例えば、配列番号2に示される塩基配列からなる遺伝子をオープンリーディングフレームとして有するPUL遺伝子を挙げることができる。なお、配列番号2に示される塩基配列は、イネPUL遺伝子のcDNAの塩基配列(GeneBankアクセッションナンバーD50602)である。また、PUL遺伝子は、配列番号2に示される塩基配列と必ずしも同一の塩基配列をオープンリーディングフレームとして有する必要はなく、プルラナーゼ活性を有する酵素またはその断片をコードする遺伝子であれば、その変異体も含まれる。このような変異体としては、上記配列番号2に示される塩基配列からなる遺伝子をオープンリーディングフレームとして有するPUL遺伝子の塩基配列において1または複数個の塩基が欠失、置換、または付加した変異体が挙げられる。
また、かかるPUL遺伝子としては、例えば、配列番号1に示される塩基配列からなる遺伝子を挙げることができる。なお、配列番号1に示される塩基配列からなる遺伝子は、イネPUL遺伝子のゲノムDNAの塩基配列(GeneBankアクセッションナンバーAB012915)である。また、PUL遺伝子は、配列番号1に示される塩基配列と必ずしも同一の塩基配列からなる必要はなく、プルラナーゼ活性を有する酵素またはその断片をコードする遺伝子であれば、その変異体も含まれる。このような変異体としては、上記配列番号1に示される塩基配列において1または複数個の塩基が欠失、置換、または付加した変異体が挙げられる。
本発明のイネ変異体は、かかるPUL遺伝子に変異を有することにより、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下している。「PUL遺伝子に変異を有する」とは、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下されるように変異を有していれば、特に限定されるものではなく、いかなる変異であってもかまわない。係る変異としては、例えば、トランスポゾンの挿入による突然変異誘発法、化学突然変異源処理、放射線やイオンビーム等の照射による変異誘発等の方法によって誘発された変異を挙げることができる。これらにより誘発された変異を有することにより、単離された変異体はいわゆる組換え植物として扱わなくて良いため、一般圃場での栽培が可能となる。
中でも、上記変異は、トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されていることによるものであることが好ましい。すなわち、本発明に係るイネ変異体は、トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されているイネ変異体であって、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下しているものであることが好ましい。かかるイネ変異体では、PUL遺伝子にトランスポゾンが挿入されていることにより、プルラナーゼ活性が低下している。
トランスポゾンは転移性遺伝要素の一種であり、染色体上を転移し、異なる場所に挿入する。多くの植物において、多種類のトランスポゾンが複製された状態で存在する。また、内在性のトランスポゾンが存在することも知られている。トウモロコシでは、10種類以上の転移活性を有する内在性のトランスポゾンが知られている。このようなトランスポゾンに対応する配列は、イネゲノム上にも存在することが知られているが、これらのトランスポゾンのほとんどの配列は転移活性を失っている。
本発明に係るイネ変異体に利用可能なトランスポゾンは、植物に存在するトランスポゾンであれば特に限定されるものではない。すなわち、公知のトランスポゾンのみならず、今後新たに見出されるトランスポゾンも利用することができる。かかるトランスポゾンとしては、例えば、イネのTos17、タバコのTnt1、トウモロコシのBs1、Ac/Ds、En−Spm、Mu等を挙げることができる。中でも、本発明に係るイネ変異体に利用可能なトランスポゾンは、イネゲノム上に存在するトランスポゾンであることがより好ましい。また、かかるトランスポゾンはレトロトランスポゾンであってもよい。レトロトランスポゾンは、いったんRNAに転写された遺伝情報が、逆転写酵素の働きで相補的なDNAに逆転写され、それがさらにDNA中に挿入された転移性遺伝因子の一種をいう。レトロトランスポゾンは、制御のしやすさや安全性の高さから本発明において好適に用いることができる。植物では多くのレトロトランスポゾンが存在し、イネでは40種類以上が存在していることが知られている。これらのレトロトランスポゾンのうち、その一部は培養によって活性化されている。かかるレトロトランスポゾンの具体的な一例としては、例えば、イネのTos17、タバコのTnt1、トウモロコシのBs1等を挙げることができる。本発明に係るイネ変異体に利用可能なトランスポゾンとしては、このように培養によって活性化されたものを好適に用いることができる。なかでも、カルス培養等、培養した時のみに活性化され、ゲノム中の別の部位に新たに転移して遺伝子を破壊後、カルスを植物体に戻すと不活化されるようなトランスポゾンであることが好ましい。これにより、トランスポゾンとしての活性を人為的に制御することが可能となり、また、転移したトランスポゾンは後代まで維持することが可能となる。
本発明のイネ変異体は、PUL遺伝子に変異を有することにより野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下している。ここで、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下しているとは、野生型と比較してPUL遺伝子の発現が減少することによりプルラナーゼ活性が低下していること、および/または、野生型イネと比較して不活性なプルラナーゼが合成されることによりプルラナーゼ活性が低下していることをいう。なお、本発明のイネ変異体は、PUL遺伝子に変異を有することにより、上述した意味で野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下していればよいが、上記変異が、トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されていることによるものである場合は、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下しているとは、野生型と比較してPUL遺伝子の発現が減少することによりプルラナーゼ活性が低下していることをいう。
また、PUL遺伝子の発現が減少するとは、対応する野生型イネと比較して、内在性のPUL遺伝子の転写産物の量、または、翻訳産物であるPULタンパク質の量が減少することをいう。また、減少するとは、野生型イネにおける転写産物または翻訳産物の量を100%としたときに、イネ変異体におけるPUL遺伝子の転写産物の量、または、翻訳産物であるPULタンパク質の量が、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下に減少していることをいう。したがって、上記PUL遺伝子の転写産物の量、または、翻訳産物であるPULタンパク質の量が5%以下に減少している場合や、全く生産されない場合をも含む。PUL遺伝子の転写産物の量、または、翻訳産物の量の減少を決定するための方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。かかる方法としては、転写産物の量の減少を決定するためには、例えば、ノーザンブロット解析、RT−PCR等を用いることができる。また、翻訳産物の量の減少を決定するためには、例えば、ウエスタンブロット法、SDS-PAGE等を用いることができる。PULタンパク質は約100kDaであり、胚乳抽出液等の抽出液をSDS-PAGEし、例えばCBB染色しただけで、バンドを検出することができる。
また、合成されたプルラナーゼ酵素の活性の低下を決定するための方法も、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。かかる方法としては、例えば、プルランを基質にして反応させ還元末端をSomogy-Nelson法で定量する方法(例えば、非特許文献5参照。)、Native-PAGE/DBE活性染色法(例えば、非特許文献6参照。)等を挙げることができる。また、酵素活性の低下とは、野生型イネにおける酵素活性より低下していればよいが、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは15%以下、特に好ましくは5%以下に酵素活性が低下することをいう。したがって、合成されたプルラナーゼ酵素の活性が0である場合も含む。
本発明に係るイネ変異体は、PUL遺伝子に変異を有することにより、プルラナーゼ活性が低下しているものである限り、かかる変異をPUL遺伝子のどの位置に有していてもよく、イントロン領域であってもよいし、エキソン領域であってもよい。
また、本発明に係るイネ変異体が、PUL遺伝子に上述したようなトランスポゾンが挿入されていることにより、プルラナーゼ活性が低下しているものである場合、プルラナーゼ活性が低下しているものである限り、トランスポゾンはPUL遺伝子のどの位置に挿入されていてもよく、イントロン領域であってもよいし、エキソン領域であってもよい。
中でも、本発明に係るイネ変異体は、上記変異を、例えば、PUL遺伝子のエキソン10またはイントロン16に有していることが好ましい。これにより、プルラナーゼ活性を低下させることができる。
また、上記トランスポゾンは、例えば、PUL遺伝子のエキソン10またはイントロン16に挿入されていることが好ましい。トランスポゾンが、PUL遺伝子のかかる位置に挿入されていることにより、プルラナーゼ活性を低下させることができる。
例えば、後述する実施例に示す、プルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体では、トランスポゾンは、エキソン10の60番目の塩基と61番目の塩基との間、または、イントロン16の719番目の塩基と720番目の塩基との間に挿入されている。また、いいかえれば、後述する実施例に示す、プルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体では、トランスポゾンは、配列番号1に示す塩基配列からなるPUL遺伝子において、5457番目の塩基と5458番目の塩基との間、または、9907番目の塩基と9908番目の塩基との間に挿入されていてもよい。もちろん、トランスポゾンが挿入されている位置は、これらに限定されるものではなく、プルラナーゼ活性を有する酵素またはその断片をコードするPUL遺伝子の変異体における対応する位置に挿入されていてもよい。このようなPUL遺伝子の変異体としては、上記配列番号1に示される塩基配列において1または複数個の塩基が欠失、置換、または付加した変異体が挙げられる。
また、本発明に係るイネ変異体では、プルラナーゼの活性が低下し、且つ、プルラナーゼ以外の他のデンプン合成系の酵素の活性は低下していないことが好ましい。これにより、変異体を用いてPULの機能を解析する場合、プルラナーゼ活性の減少のみを考慮に入れて実験結果を考察することができる。かかるプルラナーゼ以外の他のデンプン合成系の酵素としては、特に限定されるものではないが、例えば、イネのホスホリラーゼ、スターチシンターゼ(SS)、枝作り酵素(BE)、枝切り酵素(DBE)等を挙げることができる。より具体的には、枝作り酵素(BE)としては、BEのアイソザイムであれば特に限定されるものではないが、例えば、BEI、BEIIa、BEIIb等を挙げることができる。また、スターチシンターゼ(SS)としては、SSのアイソザイムであれば特に限定されるものではないが、例えば、SSI、SSIIa、SSIIIa、GBSSI等を挙げることができる。また、枝切り酵素(DBE)としても、DBEのアイソザイムであれば特に限定されるものではないが、例えば、ISA1、ISA2等を挙げることができる。
また、本発明者らは、PUL遺伝子に変異を有することにより、あるいは、その一例として、上述したようなトランスポゾンが挿入されていることにより、プルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体は、野生型と比較して、改変されたデンプンを合成することを見出した。これにより、本発明に係るイネ変異体に、かかる改変されたデンプンを合成させることにより、新規なデンプン材料を提供することが可能となる。また、合成されたデンプンの鎖長分布、種子の形態・重量、胚乳デンプン粒の形態・大きさ・結晶性、糊化温度特性等の諸特性を解析することにより、PUL遺伝子の機能を明らかにするための研究に資することができる。
上記改変されたデンプンとは、少なくとも、野生型が合成するデンプンと比較して糊化温度が低下したものであることが好ましい。ここで、糊化温度とは、糊化が開始する温度である糊化開始温度であってもよいし、糊化がピークに達する温度である糊化ピーク温度であってもよいし、糊化が終了する温度である糊化終了温度であってもよい。かかる糊化温度の低下の程度、すなわち、本発明のイネ変異体により合成されるデンプンの糊化温度と野生型が合成するデンプンの糊化温度との差は、0より大きく8℃以下であることが好ましく、1℃以上5℃以下であることがより好ましく、1℃以上3℃以下であることがさらに好ましい。従来から、糊化温度が野生型イネと比較して、低下または上昇したデンプンを合成するイネ変異体の例についての報告がいくつかあるが、本発明における上述した糊化温度の低下の程度は、低下の程度が非常に小さい部類に入る。例えば、野生型と変異体との糊化温度の差が大きい例としては、Nakamura et al. (2002) starch 54: 117-131(最大20℃)やTakaka et al. (2004) Plant Biotech. J. 507-516(最大25℃)がある。それゆえ、本発明に係るイネ変異体は、野生型イネが合成するデンプンと比較して、糊化温度の低下の程度が比較的小さいデンプンを提供することができ、デンプン材料の種類の豊富化が実現できるという効果を奏する。
また、上記改変されたデンプンは、野生型が合成するデンプンと比較して糊化温度が低下したものであることが好ましいが、これはアミロペクチンの化学構造の相違によるものである可能性が高いと考えられる。
また、本発明に係るプルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体は、野生型と比較して改変されたデンプンを合成することが好ましいが、本発明のイネ変異体は、野生型と比較して改変されたデンプンを合成し、且つ、他の形質については改変されていないイネ変異体であることが好ましい。これにより、本発明のイネ変異体を育種母本として用いた場合、他の形質についての好ましくない改変を改善する労力を軽減することが可能となる。ここで、上記他の形質としては、特に限定されるものではないが、例えば、種子重量、開花日、胚乳デンプン粒の形態、胚乳デンプンの結晶性、これらのうちの2以上の組み合わせ等を挙げることができる。
なお、本発明におけるイネ変異体には、成育した植物個体、植物細胞、植物組織、カルス、種子の少なくとも何れかが含まれる。つまり、本発明では、最終的に植物個体まで成育させることができる状態のものであれば、全てイネ変異体に含める。また、上記植物細胞には、種々の形態の植物細胞が含まれる。かかる植物細胞としては、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片等が含まれる。これらの植物細胞を増殖・分化させることにより植物体を得ることができる。なお、植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて、従来公知の方法を用いて行うことができる。
また、本発明に係るプルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体は、さらに他の形質を改変させる操作を行うことにより、他の1以上の形質についても改変されている二重変異体等の多重変異体であってもよい。かかる多重変異体を用いることにより、PUL遺伝子あるいは他の遺伝子の機能をより明確にすることが可能となる。
また、本発明に係るデンプンは、上記イネ変異体により合成されるデンプンである。かかるデンプンは、上述したように改変されたデンプンであって、新規なデンプン材料を提供するものである。本発明のデンプンは、本発明のイネ変異体が合成するものであれば、いかなる部分から得られるものであってもよいが、例えば、胚乳デンプンであることが好ましい。
(2)改変されたデンプンを合成するイネ変異体の生産方法
本発明に係るイネ変異体の生産方法としては、特に限定されるものではないが、例えば活性化されたトランスポゾンをイネのゲノムに導入し、当該トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されているイネ変異体を選抜することにより生産することができる。
すなわち、本発明に係るイネ変異体の生産方法は、活性化されたトランスポゾンをイネのゲノムに導入する工程と、当該トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されているイネ変異体を選抜する工程とを含む。
また、本発明者らは、例えば、かかる方法によって得られたイネ変異体が、改変されたデンプンを合成することを見出した。したがって、本発明には、改変されたデンプンを合成するイネ変異体の生産方法も含まれる。以下、活性化されたトランスポゾンをイネのゲノムに導入する工程と、当該トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されているイネ変異体を選抜する工程の順に説明する。
活性化されたトランスポゾンをイネのゲノムに導入する工程は、活性化されたトランスポゾンをイネのゲノムに導入することができる方法であれば、特に限定されることなく、従来公知のトランスポゾンの導入法を用いることができる。かかる方法としては、例えば、細胞工学別冊 植物細胞工学シリーズ41 植物のゲノム研究プロトコール(秀潤社)P66-67, 73-75に記載されている方法等を挙げることができる。
また、用いるトランスポゾンについては、上記(1)で説明した通りであるので、ここでは説明を省略する。
また、活性化されたトランスポゾンをイネのゲノムに導入する工程を省いて、すでに作成されているミュータントパネルを用いてもよい。かかるミュータントパネルとしては、トランスポゾンがイネ遺伝子に挿入され、遺伝子が破壊されたミュータント集団であれば特に限定されるものではない。
上記トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されているイネ変異体を選抜する工程としては、例えば、PUL遺伝子の領域に上記トランスポゾンが挿入されているイネ変異体を選抜する方法を用いることができる。PUL遺伝子の領域に上記トランスポゾンが挿入されているか否かを検出する方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜選択して用いればよく、例えば、核酸増幅反応を好適に用いることができる。かかる方法の一例としては、細胞工学別冊植物細胞工学シリーズ2、植物のPCR実験プロトコールのP153-156に記載されている方法を用いることができる。
核酸増幅反応を用いる方法としては、例えば、使用するトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーと、PUL遺伝子上の塩基配列に基づいて設計されるプライマーとのセットを用いて、DNAを鋳型として核酸増幅反応を行い、増幅産物の有無を確認する方法を挙げることができる。
ここで、PUL遺伝子上の塩基配列に基づいて設計されるプライマーとしては、特に限定されるものではないが、使用するトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーとのセットで、PUL遺伝子全体をサーベイできるように、複数のプライマーを設計することが好ましい。また、PUL遺伝子上の塩基配列に基づいて設計されるプライマーと、トランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーとは、これらを組み合わせたプライマーセットにより核酸増幅が可能な向きに設計されていればよい。
核酸増幅反応の鋳型DNAは活性化されたトランスポゾンがゲノムに導入されたイネの個体から調製したDNAである。また、活性化されたトランスポゾンがゲノムに導入されたイネの個体からDNAを調製する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いればよい。
核酸増幅反応は、公知の核酸増幅手段を適宜選択して用いればよい。具体的には、例えば、PCR法、ICAN法、UCAN法、LAMP法、プライマーエクステンション法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。中でもPCR法が、本原料品種判定方法に用いる増幅方法として好適である。
もちろん、上記トランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されているイネ変異体を選抜する方法としては、これに限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。
以上のようにして選抜された、イネ変異体は、例えば、カルスを再分化させることにより、植物個体として得ることができる。多くのトランスポゾンはこの再分化の段階で活性を失う。それゆえ転移したトランスポゾンは後代まで維持することが可能となる。
〔実施例1:ミュータントパネルからのPUL遺伝子にTos17トランスポゾンが挿入されている系統の選抜〕
ミュータントパネルは、(独)農業生物資源研究所によって開発された日本晴のノックアウトイネ集団であり(細胞工学別冊 植物細胞工学シリーズ41 植物のゲノム研究プロトコール(秀潤社)P66-67, 73-75)、このミュータントパネルから、PUL遺伝子にTos17トランスポゾンが挿入されている系統を選抜した。
まず、イネPUL遺伝子のゲノムDNAの塩基配列(GeneBankアクセッションナンバーAB012915)に基づいて、イネPUL遺伝子のゲノムDNA上のプライマーを8箇所(10F、11F、9R、13R、5F、6F、1R、2R)設計した。設計したイネPUL遺伝子上のプライマーの塩基配列およびPUL遺伝子ゲノムDNA(AB012915)上の番号を以下の表1に示す。また、Tos17配列上のプライマーとして、両端のLTR配列に外向きに2箇所(T1F、T2F)プライマーを設計した。設計したTos17配列上のプライマーの塩基配列を以下の表2に示す。また、イネPUL遺伝子の構造を示す図1に、用いたプライマーのイネPUL遺伝子上およびTos17配列上の位置を模式的に示す。
ミュータントパネル約4万個体の葉身DNAプールをテンプレートにして、イネPUL遺伝子上のプライマーとTos17配列上のプライマーとを用いてネステッドPCRを行った。プライマーの組み合わせとしては、T1F、T2F/10F、11Fと、T1F、T2F/1R、2Rとを用いた。すなわち、T1F、T2F/10F、11Fを用いることで、PUL遺伝子の5’側半分をサーベイし、T1F、T2F/1R、2Rを用いることで、PUL遺伝子の3’側半分をサーベイした。
T1F、T2F/10F、11F、および、T1F、T2F/1R、2Rをプライマーとして用いたネステッドPCRで、それぞれ増幅が検出されたので、それぞれの増幅断片につき、さらにそれぞれ、PUL遺伝子断片プローブA(配列番号2に示されるPUL cDNA塩基配列の1-1396番目の塩基)およびプローブB(配列番号2に示されるPUL cDNA塩基配列の1972-2892番目の塩基)をプローブとしてサザンブロッティングを行い、PCRによって増幅した断片がPUL遺伝子を含んでいるかどうかを確認した。なお、プローブAおよびプローブBのPUL遺伝子上の位置を図1に示す。
また、上記PCRで増幅されたDNA断片を、Tos17上のプライマーからシークエンスし、Tos17のPUL遺伝子上の挿入位置を決定した。その結果、図1に示すように、Tos17は、イネPUL遺伝子のエキソン10およびイントロン16に挿入されていることが判った。以上のようにして、Tos17が挿入されているイネ変異体の候補系統(NC6353およびNF6469)を選抜することができた。
〔実施例2:イネ変異体ホモ個体の選抜〕
PUL遺伝子のエキソン10にTos17が挿入されている系統(以下本明細書において、e10系統と略称することがある。)およびPUL遺伝子のイントロン16にTos17が挿入されている系統(以下、本明細書においてi16系統と略称することがある。)の再分化世代(M0)に稔った種子(M1種子)20粒を播種した。幼植物の葉身からゲノミックDNAを抽出し、これを鋳型にしてイネPUL遺伝子ゲノムDNA上の上記プライマーを用いてPCRを行うことでTos17の挿入と非挿入を確認した。確認は、e10系統については、挿入ホモをプライマーT1F、T2F/10F、11Fで、非挿入ホモを10F、11F/13R、9RでPCRを行い、それぞれの個体の遺伝子型(挿入ホモを-/-、非挿入ホモを+/+と示す)を決定した。また、i16系統については、挿入ホモをプライマーT1F、T2F/1R、2Rで、非挿入ホモを5F、6F/13R、9RでPCRを行い、それぞれの個体の遺伝子型(挿入ホモを-/-、非挿入ホモを+/+と示す)を決定した。開花後、これらの植物を温室に移動し、登熟種子および完熟種子を採取した。
〔実施例3:PUL活性の測定と他酵素への影響の調査〕
実施例2で選抜したイネ変異体ホモ個体の登熟種子1粒のPUL活性を、Native-PAGE/DBE活性染色法およびPUL活性染色法を用いて行った。開花後10日ないし15日経過後の登熟種子1粒のもみ、胚および果皮を除去し、4倍体積の抽出バッファー(50 mM Imidazol-HCl、 pH 7.4、 12.5% glycerol、 8 mM MgCl2、 500 mM 2-mercaptoethanol)を加え、マイクロチューブ内でプラスチック製ホモジナイザー(グライナー社製)を用いてホモジナイズし、15000 rpm、10 min、4℃で遠心分離して得た上清にNative-PAGE用サンプルバッファー(0.3 M Tris-HCl (pH7.0)、 0.1% ブロモフェノールブルー、50%グリセロール)を1/2体積加えて電気泳動に用いた。電気泳動においては、DBE活性染色用にはジャガイモアミロペクチンを、PUL活性染色の場合はレッドプルランを60℃で溶かし込んだ7.5%アクリルアミドゲルを用いた.フロントが濃縮ゲルを通過するまでは7.5 mA、通過してからは15 mAの定常電流で4℃下で電気泳動し,フロントが出てから30分で電流を止めた。その後,反応液(50 mMクエン酸、 pH 6.0、 50 mM 2-mercaptoethanol)で2回洗浄し(各5分)、反応液を加えて30℃でシーソーで振とうしながら2時間反応させた。反応後,ヨードヨードカリ液(1%KI/0.1%I2)で染色した。さらに、BE活性染色(Nishi et al. (2001) Plant Physiol. 127:459-472)およびSS活性染色(Nishi et al. (2001) Plant Physiol. 127:459-472)も行い、デンプン合成に関連する他の酵素へのPUL活性低下の影響を調べた。
図2にDBE活性測定およびPUL活性測定の結果を示す。図2中、(a)、(b)ではアクリルアミドゲルにアミロペクチンを、(c)ではレッドプルランを溶かし込んで用いた。図2(a)は、e10系統の挿入ホモ(-/-)、非挿入ホモ(+/+)、および日本晴の登熟種子の可溶性画分のNative-PAGEを行い、その後、DBE活性染色を行った結果を示す図である。図2(a)中の数字は、可溶性画分のアプライ量(単位:μl)を示す。図2(a)に示すように、日本晴および非挿入ホモ(+/+)では、PUL活性を示すバンドが認められるが、挿入ホモ(-/-)ではこのバンドが欠失していることが判る。すなわち、PUL遺伝子のエキソン10にTos17が挿入されることで、PUL活性は完全に失活した。
図2(b)は、i16系統の挿入ホモ(-/-)および日本晴の登熟種子の可溶性画分のNative-PAGEを行い、その後、DBE活性染色を行った結果を示す図である。なお、図2(b)中、挿入ホモ(-/-)の4レーンは異なる種子に由来する。図2(b)に示すように、i16系統の挿入ホモ(-/-)では、PUL活性を示すバンドは、わずかに残っていることが判る。
図2(c)は、i16系統の挿入ホモ(-/-)、非挿入ホモ(+/+)、および日本晴の登熟種子の可溶性画分のNative-PAGEを行い、その後、PUL活性染色を行った結果を示す図である。図2(c)中、数字は可溶性画分のアプライ量(単位:μl)を示す。PULバンドは、プルランを分解できるため無色のバンドとなって現われる。図2(c)に示すように、i16系統の挿入ホモ(-/-)は、非挿入ホモ(+/+)と比べて、PUL活性が1/16(約6%)に低下していた。すなわち、PUL遺伝子のイントロンi16にTos17が挿入されていることで、PUL活性が6%にまで低下することが明らかになった。
一方、Native-PAGE/BE活性染色およびNative-PAGE/SS活性染色を行った結果、PUL活性の低下は、これらの方法で検出されるアイソザイム、即ち、BEI、BEIIa、BEIIb、Phosphorylase、SSI、およびSSIIIa活性には影響を与えないことが明確になった。
図3(a)にNative-PAGE/BE活性染色の結果を示す。イネには3つのBEアイソザイムが存在し、Native-PAGE/BE活性染色によって、これら3種類のアイソザイムとホスホリラーゼ(Phosphorylase)の活性を検出することができる。図3(a)に示すように、e10系統の挿入ホモ(-/-)(e10変異体)では、いずれのアイソザイムの活性も日本晴や非挿入ホモ(+/+)と比較して変わらなかった。これに対して、トウモロコシのPUL変異体では、BEIIa活性が低下することが知られており(非特許文献9)、この点は、イネがトウモロコシと異なる点である。
図3(b)にNative-PAGE/SS活性染色の結果を示す。イネには多数のSSアイソザイムが存在し、そのうち、胚乳の可溶性画分に検出される主要なアイソザイムはSSIおよびSSIIIaである。図3(b)に示すように、e10系統の挿入ホモ(-/-)(e10変異体)では、いずれのアイソザイムの活性も非挿入ホモ(+/+)と比較して殆ど変化が見られなかった。
〔実施例4:PUL変異体の解析〕
<4−1:胚乳アミロペクチンの鎖長分布解析>
PUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の胚乳デンプンのアミロペクチンの鎖長分布を比較した。胚乳デンプンのアミロペクチンの鎖長分布は、O'Shea and Morell(1996. Electrophoresis, 17, 681-688)の方法を参考に以下のようにして解析を行った。PUL変異体および非挿入ホモ(+/+)のM2種子1粒から外内穎および胚を取り除き、ペンチで胚乳を粉砕した後、エッペンドルフチューブ内でプラスチック製ホモジナイザー(グライナー社製)を用いてさらに磨砕し、5 mlのメタノールを加え、10分間煮沸した。2500 x gで10分間遠心分離し、上清を除去し、90% メタノールを5 ml加え2度洗浄した。沈殿に15 μlの5 N 水酸化ナトリウムを加え、5分間煮沸してデンプンを糊化させた。糊化液を氷酢酸9.6μlで中和した後、蒸留水1089 μl、0.6 M 酢酸緩衝液(pH 4.4)100μl、2% アジ化ナトリウム 15μl、P. amyloderamosa イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68, 林原生物化学研究所)3μl(約210 unit)を加え、スターラーバーで撹拌しながら37℃、8時間以上反応した。さらにイソアミラーゼ 3μlを追加して8時間以上反応した後、常温で10000 x gで遠心分離し、上清を脱イオンカラム(AG501-X8(D), Bio-Rad)で濾過した。α-グルカン鎖の非還元末端を蛍光標識するため、Hizukuriら(1981. Carbohydrate Reserch, 94, 205-213)の方法により試料中の糖含量を定量し5 nmol相当の還元末端をもつα-グルカン鎖を遠心濃縮機で乾燥させ、2μlの1-アミノピレン-3,6,8-三硫酸塩(APTS)溶液(2.5% APTS, 15% 酢酸)、2μlのシアン化ホウ素ナトリウム溶液(1 M シアン化ホウ素ナトリウム, 100% テトラヒドロフラン)を添加し、55℃で90分間反応させた。分析時には12.5倍に蒸留水で希釈して用いた。鎖長分布解析は、キャピラリー電気泳動装置(P/ACE MDQ, Beckman Coulters)を用いて行った。グルコース重合度(DP)3以上の各ピーク面積を数値化し、DP50までのピーク面積の合計を100%としたときの各DPの割合(Area %)を算出した。
図4に、PUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の胚乳デンプンのアミロペクチンの鎖長分布を比較した結果を示す。図4(a)に示ように、PUL変異体のe10-/-およびi16-/-をそれぞれのコントロールであるe10+/+およびi16+/+と比較したところ、胚乳アミロペクチンの鎖長分布に差はほとんど見られなかった。差を明確にするため、-/-から+/+を引いたグラフを図4(b)に示したが、やはり差はほとんど見られなかった。これに対して、PULと同じDBEであるISAの変異体であるsug-1変異体(EM914)から野生型(T65)を引いたグラフを図4(b)に示したが、ISA変異体は、野生型よりDP10以下の短鎖が大幅に増加している。以上のことから、PUL活性の低下が胚乳アミロペクチンの鎖長分布に影響を与えないことが明確になった。
<4−2:胚乳デンプンの糊化温度特性の測定>
PUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の胚乳デンプンの糊化温度特性を比較した。胚乳デンプンの糊化温度特性は、以下の方法(非特許文献7)で測定した。PUL変異体および非挿入ホモ(+/+)のM2種子のもみおよび胚を除去し、乳鉢で粉砕したものを105℃で2時間乾燥させた。乾燥させた粉末約3 mgに蒸留水9μlを加えたものをアルミ容器に入れて示差走査熱量測定(DSC、セイコーインスツルメンツ社製)に供した。昇温速度は3℃/minで5℃と100℃との間で測定した。
下表1にPUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の胚乳デンプンの糊化開始温度、糊化ピーク温度、糊化終了温度を示す。
表3に示すように、PUL変異体e10、 i16の糊化開始温度、糊化ピーク温度、糊化終了温度は、非挿入ホモ(+/+)よりそれぞれe10変異体が1.7℃、1.0℃、2.3℃、i16変異体が2.0℃、2.1℃、3.7℃低かった。一般に、糊化温度の変化はアミロペクチンの構造の変化が原因であると考えられており、DP10以上15以下の短鎖が多いと糊化温度が低下し、少ないと上昇する傾向にある(Nakamura et al. (2002) Starch 54: 117-131)。PUL変異体の場合、胚乳アミロペクチンの鎖長分布に変化が見られないにもかかわらず、糊化温度に変化が見られたため、鎖長分布解析では明確にできないアミロペクチンの構造の違いがある可能性がある。
<4−3:種子の形態と玄米重量の比較>
PUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の種子の形態を比較した結果を図5に示す。図5に示すように、PUL変異体はe10変異体、i16変異体ともに変化がなかった。日本晴と比べてe10変異体、 i16変異体ともに腹白が増加する傾向にあったが、非挿入ホモ(+/+)も同様に腹白が増加していたので、これはPUL活性の低下が原因ではないと考えられた。また、玄米1粒あたりの平均重量を下表4に示す。
表4に示すように、PUL変異体と非挿入ホモ(+/+)の間に、玄米重量の顕著な差は見られなかった。なお表4中、aを付した値は玄米50粒の平均の重量を、bを付した値は玄米20粒の平均の重量を示す。
<4−4:胚乳デンプン粒のSEMによる形態観察およびX線回折による結晶性の観察>
単離したPUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の胚乳デンプンの形態と結晶性を走査電子顕微鏡(SEM)観察およびX線回折によって調べた。これらの分析のためのデンプン粒の調製法および分析法は以下の通りである。
種子50粒の籾を除き、精米器(パーレスト、Kett社)で胚と種子の外側を10%除去し、コーヒーミルで粉末にした。これをさらに乳鉢ですりつぶし、100%メタノールを加えた後、100μmのナイロンメッシュに通した。回収したデンプンを乾燥させ、20倍体積以上の2 % SDSを加えて20分間室温で撹拌し、3000 rpm、 20分間、室温で遠心分離し、上清を除去した。この操作を3回行い、除タンパクを行った。SDSを除去するため、蒸留水を加えて混合し、3000 rpm、 20分間、室温で遠心分離する操作を5回繰り返し、さらに100%アセトンで2回同様の操作を行った後、減圧乾燥させた。得られた粉末をSEM(JEOL-5600)で観察した。また、X線回折装置(RINT2000)で回折像を得た。
図6にPUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の胚乳デンプン粒のSEMによる観察結果を示す。図6に示すように、PUL変異体の胚乳デンプン粒の大きさ、形態は、非挿入ホモ(+/+)と比較して、顕著な違いは見られなかった。また、図7にPUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の胚乳デンプン粒のX線回折による結晶性の観察結果を示す。図7に示すように、X線回折によるデンプンのピークは、非挿入ホモ(+/+)と比べて違いは見られなかった。以上のことから、イネのPUL活性の低下および欠失は、胚乳デンプン粒の形態、大きさやデンプンの結晶性に影響を与えないことがわかった。
このように、本発明では、PUL遺伝子に変異を有し、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下しているイネ変異体を提供する。そしてかかるイネ変異体は改変されたデンプンを合成する。また、本発明はかかる改変されたデンプンを合成するイネ変異体の生産方法をも提供する。それゆえ、本発明は、各種農業やアグリビジネス、さらには農産物を加工する産業やデンプンを原料とする食品産業や医薬品産業、またはデンプンを糊や添加剤の原料として用いる化学工業などに利用可能であり、しかも非常に有用であると考えられる。
イネPUL遺伝子の構造、実施例において用いたプライマー、トランスポゾンの挿入位置を模式的に示す図である。 e10変異体およびi16変異体のDBE活性測定およびPUL活性測定の結果を示す図であり、図2(a)は、e10系統の挿入ホモ(-/-)、非挿入ホモ(+/+)、および日本晴の登熟種子の可溶性画分のNative-PAGEを行い、その後、DBE活性染色を行った結果を示す図であり、図2(b)は、i16系統の挿入ホモ(-/-)および日本晴の登熟種子の可溶性画分のNative-PAGEを行い、その後、DBE活性染色を行った結果を示す図であり、図2(c)は、i16系統の挿入ホモ(-/-)、非挿入ホモ(+/+)、および日本晴の登熟種子の可溶性画分のNative-PAGEを行い、その後、PUL活性染色を行った結果を示す図である。 e10変異体のデンプン合成関連酵素の活性測定の結果を示す図であり、図3(a)はNative-PAGE/BE活性染色の結果を示す図であり、図3(b)はNative-PAGE/SS活性染色の結果を示す図である。 PUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の胚乳デンプンのアミロペクチンの鎖長分布を比較した結果を示すグラフであり、図4(a)は、e10-/-およびi16-/-をそれぞれのコントロールであるe10+/+およびi16+/+と比較したグラフであり、図4(b)は、-/-から+/+を引いたグラフである。 PUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の種子の形態を比較した結果を示す図である。 PUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の胚乳デンプン粒のSEMによる観察結果を示す図である。 PUL変異体および非挿入ホモ(+/+)の胚乳デンプン粒のX線回折による結晶性の観察結果を示す図である。

Claims (6)

  1. Tos17レトロトランスポゾンがPUL遺伝子のエキソン10またはイントロン16に挿入されていることにより、PUL遺伝子のエキソン10またはイントロン16に変異を有し、野生型と比較してプルラナーゼ活性が低下していることを特徴とするイネ変異体。
  2. Tos17レトロトランスポゾンは、配列番号1に示されるイネ由来のPUL遺伝子において、5457番目の塩基と5458番目の塩基との間、または、9907番目の塩基と9908番目の塩基との間に挿入されていることを特徴とする請求項に記載のイネ変異体。
  3. 改変されたデンプンを合成することを特徴とする請求項1または2に記載のイネ変異体。
  4. 改変されたデンプンが、野生型が合成するデンプンと比較して、低下した糊化温度を有することを特徴とする請求項に記載のイネ変異体。
  5. 改変されたデンプンの糊化温度と野生型が合成するデンプンの糊化温度との差は、0より大きく8℃以下であることを特徴とする請求項に記載のイネ変異体。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のイネ変異体を生産するための方法であって、
    Tos17レトロトランスポゾンをイネゲノムに導入する工程と、
    当該Tos17レトロトランスポゾンがPUL遺伝子に挿入されているイネ変異体を選抜する工程とを含むことを特徴とするイネ変異体の生産方法。
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