本発明は、表面実装型発光装置に係り、特に発光素子として発光ダイオード(LED)チップを収納し、パッケージ側面部から側面方向に光を放出するタイプの表面実装型発光装置の構造、そのパッケージおよび透光性被覆部材に関するもので、照明用光源、各種インジケーター用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源、液晶のバックライト用光源などに使用されるものである。
LEDを用いた発光装置は小型で消費電力も少なく耐用年数も長いので、液晶のバックライトや車載用など幅広い分野で使用されている。LEDから放出される光は、赤色、緑色、青色などのように限られた単色光であり、それを異なる波長に変換するための蛍光物質を発光素子と組み合わせて使用する場合がある。この場合、LEDから直接外部に放出される光と、LEDから放出される光と蛍光物質から放出される波長変換された光とを加色混合して白色を発光する発光装置が知られている。
LEDチップを実装するパッケージとして、小型、薄型化を目的として表面実装型(SMDタイプ)のパッケージが多く使用されている。そして、SMDタイプのパッケージを用いた発光装置は、パッケージ上面部から上面方向に光を放出する発光装置(以下「トップビュー型発光装置」と称する)のほか、パッケージ側面部から側面方向に光を放出する発光装置(以下「サイドビュー型発光装置」と称する)が知られている。
トップビュー型発光装置は、例えば特許文献1中の図1乃至図3に開示されているように、パッケージの上面部に形成された光放出用凹部の底面部にLEDチップがマウントされ、リード部材のインナーリードがLEDチップの電極に電気的に接続され、アウターリードが外部端子としてパッケージ底面側まで引き出される。さらに、上記特許文献1には、波長変換用の蛍光物質を混合した透光性被覆材が光放出用凹部の開口面を覆うように装着されている例が示されている。
一方、サイドビュー型発光装置は、パッケージの側面部に光放出用凹部が形成され、その底面部にLEDチップがマウントされ、リード部材のアウターリードが外部端子としてパッケージ底面側まで引き出される。そして、サイドビュー型発光装置が実装基板上に表面実装される際、外部端子が実装基板上に半田接続される。しかし、サイドビュー型発光装置において、特許文献1のトップビュー型発光装置のように、波長変換用の蛍光物質を混合した透光性被覆材を光放出用凹部に装着した構造のものは知られていない。
なお、特許文献2には、波長変換用の蛍光物質を混合した透光性被覆材あるいは透光性被覆層を、砲弾型の形状を有するLED装置の表面に装着あるいはコーティングする点、透光性被覆材あるいは被覆層の材質、それに含まれる蛍光物質などが開示されている。
特開2001−345482号公報
特開平11−87784号公報
前記したようなサイドビュー型発光装置の光放出用凹部に対して、特許文献1のトップビュー型発光装置のように波長変換用の蛍光物質を混合した透光性被覆材を装着する技術をそのまま応用することはできない。
何故なら、トップビュー型発光装置は、光放出用凹部と外部端子とがパッケージの上下に分離されて配置されるが、サイドビュー型発光装置は、パッケージ側面部の光放出用凹部とパッケージ底面部の外部端子とが隣り合って配置される。サイドビュー型発光装置の外部端子の形状として、例えば特許文献1に開示されているようなJ−ボンド型を採用する場合、サイドビュー型発光装置を実装基板上に表面実装する際に実装基板上に精度よく水平状態に実装するために、外部端子の幅をある程度広くとる必要があったり、また、表面実装状態の水平バランスをとるために外部端子の配置が制約を受けたりする。このように理由により外部端子の配置設計の自由度が低いので、外部端子と光放出用凹部が比較的近接することになり、両者を十分に隔離して配置することが困難である。
このような状態のサイドビュー型発光装置を例えば半田リフローを用いて表面実装する際、予備加熱後の本加熱時の温度は半田の融点以上の220℃〜240℃程度(鉛フリーの場合には260℃程度以上)であり、溶融した半田が透光性被覆材に接触するおそれがある。もしも、溶融半田が透光性被覆材に接触すると、透光性被覆材(例えばシリコーン樹脂、融点は70℃程度)が溶解したり、透光性被覆材に含まれる蛍光物質が劣化するので、透光性被覆材を使用することができない。また、半田リフロー時に溶融半田が外部端子の半田付け接続部付近からパッケージ側面部を這い上がり、光放出用凹部の内部にも流れ込んでくる場合がある。その場合には、発光素子から放出される光が半田によって遮蔽され、発光効率が低下するなどの問題を生じる。
上記したようにサイドビュー型発光装置の光放出用凹部に、波長変換用の蛍光物質を混合した透光性被覆材を装着しようとする場合、サイドビュー型発光装置における光放出用凹部と外部端子がパッケージの側面部と底面部とで隣り合う配置関係に起因する問題点に対する工夫が必要とされる。
本発明は、上記の事情に鑑みて鋭意検討を重ねてなされたものであり、その目的は、パッケージ側面方向に開口した光放出用凹部と外部端子とがパッケージの側面部と底面部とで隣り合う場合に、波長変換用の蛍光物質を混合した透光性被覆材により光放出用凹部の凹部開口面を被覆するように装着した状態で表面実装を支障なく行うことが可能になり、信頼性と量産性の向上を図り得る表面実装型発光装置を提供することにある。
本発明の表面実装型発光装置は、絶縁性部材が用いられてなり、側面方向に開口した光放出用凹部を有するパッケージと、それぞれ金属部材が用いられてなり、各一端部が前記パッケージの光放出用凹部内に内部端子として配置され、各他端部が前記パッケージの底面部まで延設され、前記光放出用凹部が形成されたパッケージ側面から離れた位置で表面実装接続用の外部端子が配置された複数のリード部材と、アノード・カソードに対応する一対の電極を有し、前記パッケージの光放出用凹部内の底面部に配設され、前記一対の電極が前記複数のリード部材のうちの一対の内部端子に電気的に接続された少なくとも1個の発光素子と、前記発光素子から放出される光を吸収して励起されて前記発光素子の発光色とは異なる色の発光を行う波長変換用の蛍光物質を含み、前記外部端子から所定距離以上離れた位置で前記パッケージの光放出用凹部の開口面を覆うように装着された透光性被覆部材とを具備することを特徴とする。
請求項1の発光装置によれば、パッケージ側面方向に開口した光放出用凹部と外部端子とがパッケージの側面部と底面部とで隣り合うサイドビュー型の表面実装型発光装置において、透光性被覆材は、外部端子から所定距離以上離れた位置で光放出用凹部の開口面を被覆するように装着されているので、表面実装時に外部端子の半田接続部付近の溶融した半田が透光性被覆やそれに含まれる蛍光物質に接触することなく、溶融した半田が光放出用凹部の内部に流れ込まい。したがって、透光性被覆材を装着した状態で表面実装を支障なく行うことが可能になり、信頼性と量産性の向上を図ることが可能になる。
請求項2の発光装置によれば、シート状の透光性被覆材を所定の膜厚に形成することにより、色ばらつきを抑制することが可能になる。また、透光性被覆材に含まれる蛍光物質の含有量または種類を変えることにより、実現可能な色調範囲を拡げることが可能になる。さらに、透光性被覆材の膜厚を調節することにより、色調を容易に調節することが可能になる。
請求項3の発光装置によれば、性被覆材とパッケージとの固着性の向上を図ることができる。また、発光素子から放出される光が、光放出用凹部と透光性被覆材との境界面から漏れることを防止し、あるいは漏れる量を低減することが可能になる。
請求項4の発光装置によれば、透光性被覆材とパッケージとの固着性の向上を図ることができる。
請求項5の発光装置によれば、透光性被覆材とパッケージとの固着性の向上を図ることができる。また、パッケージ側面を挟み込むように透光性被覆材を形成することにより、透光性被覆材とパッケージとの固着性のさらなる向上を図ることができる。
請求項6の発光装置によれば、透光性被覆材とパッケージとの固着性の向上を図ることができる。
請求項7の発光装置によれば、部材の節約と、パッケージの水平状態のバランスを調整することが可能である。また、外部端子を半田付けする際に半田がパッケージ側面部を這い上がることを防止することができる。
請求項8の発光装置によれば、パッケージから透光性被覆材が抜脱することを防止することができる。
請求項9の発光装置によれば、透光性被覆材とパッケージとの摩擦を増やし、パッケージから透光性被覆材が抜脱することを防止することができる。
請求項10の発光装置によれば、透光性被覆材を交換することにより、発光装置全体を交換することなく異なる色調に発光する発光装置を容易に提供することができる。
請求項11の発光装置によれば、表面実装時に外部端子の半田接続部付近の溶融した半田がパッケージ側面部を這い上がることを防止することができる。また、溶融した半田が光放出用凹部の内部に流れ込むことを防止することができる。
請求項12の発光装置によれば、白色系に発光する発光装置を簡易に提供することができる。
請求項13の発光装置によれば、透光性樹脂は、発光素子を、外力、大気中の水分や埃などから保護することができる。また、透光性樹脂に含有される蛍光物質よりも、光励起に対してより長波長の発光を行うものを使用することにより、発光素子から放出された光は、透光性樹脂に含有される蛍光物質に照射されてより長波長の発光に波長変換され、また、透光性被覆部材に含有される蛍光物質15に照射されてさらに長波長の発光に波長変換され、それぞれの光の混合により発光出力が高く演色性に富む発光装置を提供することができる。
本発明に係るサイドビュー型の表面実装型発光装置は、その表面実装時において、パッケージ底面部の外部端子の半田接続部付近の溶融半田が、透光性被覆材に接触したり、光放出用凹部内に流れ込んたりすることを回避するように工夫している。以下、本発明に係る表面実装型発光装置の実施形態および実施例を説明するが、本発明は、これらの実施形態および実施例に限定されるものではない。
<第1の実施形態>
図1(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、第1の実施形態に係るサイドビュー型発光装置の一例を一部透視して概略的に示す上面図、正面図、底面図、側面図、背面図である。図2は、図1(b)中の透光性被覆部材を装着しない状態で光放出用凹部の内部を概略的に示す正面図である。図3(a)、(b)は、図1中の光放出用凹部の内部と透光性被覆部材の断面構造を概略的に示す部分断面上面図および部分断面側面図である。
図1乃至図3に示すサイドビュー型発光装置10は、主たる構成要素として、絶縁性部材からなるサイドビュー型のパッケージ11、それぞれ金属部材が用いられた2個のリード部材12、1個の発光素子13および透光性被覆部材14を具備し、パッケージ側面の光放出用凹部11a から側面方向に光を放出するように構成されている。ここでは、パッケージ11の光放出用凹部11a の内部に1個の発光素子13を配置した例を示している。
パッケージ11は、例えば直方体の一側面方向に開口した光放出用凹部11a を有する。パッケージ11の全体的な形状は、成型上の理由等により種々変形が可能である。
2個のリード部材12は、例えば、それぞれ平板状の金属部材が折り曲げられてなり、パッケージ11と一体的に成形される。この場合、2個のリード部材12は、各一端部が光放出用凹部11a 内に発光素子載置用のベッド部および/または内部端子(インナーリード)12a として配置され、それに連なるリードがパッケージの底面部まで延設され、各他端部が表面実装接続用の外部端子(アウターリード)12b とされている。そして、リード部材12のうち、内部端子12a に連なるリード部分は、パッケージの両側面に引き出され、それに沿って底面方向に延設され、さらにパッケージの底面部側に折り曲げられて外部端子12bとして配置されている。これにより、光放出用凹部11a と外部端子12b とがパッケージ11の側面部と底面部とで隣り合って配置されているが、パッケージの両側面に存在する平板状のリード部分および底面部に存在する平板状の外部端子12b は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面から離れた位置に存在するように配置されている。
発光素子13は、アノード(p電極)・カソード(n電極)に対応する一対の電極を有し、パッケージの光放出用凹部11a の底面部に配設され、一対の電極が前記2個のリード部材12のうちの一対(2個)の内部端子12a に電気的に接続されている。この場合、例えば、発光素子13は少なくとも1つの内部端子12a 上に載置されてダイボンディングにより固着され、一対の電極が対応して2個の内部端子12a に例えば導電性ワイヤ16のボンデイング接続されている。さらに、発光素子13および導電性ワイヤ16を光放出用凹部11a 内で封止するための封止部材17として透光性樹脂を充填してもよいが、必ずしも封止部材17を充填しないで、無機バインダー、N2 ,Arなどの不活性ガスを充填してもよく、あるいは光放出用凹部11a の内部を真空またはそれに近い状態にしてもよい。つまり、発光素子13と透光性被覆部材14との間には、透光性被覆部材14とは異なる物質が存在する。
透光性被覆部材14は、発光素子13から放出される光を吸収して励起され、発光素子13の発光色とは異なる色(例えば補色関係を有する)の発光を行う波長変換用の蛍光物質15を含み、外部端子12b から離れた位置でパッケージの光放出用凹部11a の開口面を覆うように装着されている。この場合、本例の透光性被覆部材14は、パッケージの光放出用凹部11a が形成された側面領域内でパッケージ側面に少なくとも一部が埋没された状態で装着されるシート状であるインナータイプと、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面領域の少なくとも一部を覆うように装着されるキャップ状であるアウタータイプがある。
パッケージ11の構造、透光性被覆部材14の構造および装着方法の具体例については、後述の実施例の欄で詳細に説明する。この場合、透光性被覆部材14をパッケージ側面部に対して着脱可能に構成しておくことにより、含有する波長変換用の蛍光物質15が異なる複数種類の透光性被覆部材14を任意に選択して交換することが可能になり、発光素子13の発光色と透光性被覆部材14中の蛍光物質15との組み合わせに応じて所望の混色発光を得ることが可能になる。
また、透光性被覆材14を所定の膜厚に形成することにより、色ばらつきを抑制することが可能になる。また、透光性被覆材14に含まれる蛍光物質15の含有量または種類を変えることにより、実現可能な色調範囲を拡げることが可能になる。さらに、透光性被覆材14の膜厚を調節することにより、色調を容易に調節することが可能になる。
次に、外部端子12b と光放出用凹部11a と透光性被覆部材14の配置関係について説明する。サイドビュー型発光装置を実装基板上に表面実装する際に、実装基板上に精度よく水平状態に実装するために、外部端子12b の幅をある程度広くとる必要があったり、また、表面実装状態の水平バランスをとるために外部端子12b の配置が制約を受けたりするので、外部端子12b の配置設計の自由度は低い。
しかし、本実施形態では、外部端子12b を、光放出用凹部11a から所定距離以上離れた位置(厳密には、後述するようにサイドビュー型発光装置10を表面実装する際、外部端子12b の半田付け接続部付近の溶融した半田21が流れる範囲外)に配置するように設計している。本例では、光放出用凹部11a および透光性被覆部材14までの距離を極力大きく確保するために、パッケージ底面の中心位置に対してパッケージ底面部の外部端子12b の中心位置を背面側寄りに配設しており、外部端子から前記パッケージの光放出用凹部が形成された側面までの距離が前記側面の背面側の側面までの距離よりも長い。
図4は、第1の実施形態に係るサイドビュー型発光装置を半田リフローを用いて実装基板上に表面実装する状態の一例を概略的に示す部分断面側面図である。
図4に示すように、半田リフローを用いてサイドビュー型発光装置をプリント基板等の実装基板20上に表面実装する際、外部端子12b の半田付け接続部付近の溶融した半田21が流れる範囲外に光放出用凹部11a および透光性被覆部材14が配置されているので、溶融した半田21が透光性被覆材14に接触したり光放出用凹部11a に流れ込むことはない。したがって、透光性被覆材14が溶解したり、透光性被覆材14に含まれる蛍光物質15が劣化することを防止でき、パッケージの光放出用凹部11a を覆うように透光性被覆材14を装着した状態で表面実装を支障なく行うことが可能になる。また、発光素子13から放出される光が半田21によって遮蔽されることはなく、発光効率の低下を防止でき、信頼性および量産性の向上を図ることができる。
即ち、上記した第1の実施形態に係るサイドビュー型発光装置によれば、パッケージ側面の光放出用凹部11a とパッケージ底面部の外部端子12b が隣り合っているが、蛍光物質15を含有した透光性被覆材14により光放出用凹部11a の開口面を塞いだ状態で半田リフローによる表面実装を行う際、表面実装を支障なく行うことが可能になるとともに、信頼性および量産性の向上を図ることができる。
以下、上記したサイドビュー型発光装置における各構成要素について詳述する。
(パッケージ) パッケージ11は、材料にポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルフアイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等の樹脂やセラミックスが用いられる。そして、溶融されたこれら材料を、複数のリード部材12がインサートされて閉じられた金型内にパッケージの下面側にあるゲートから流し込み、硬化させて形成される。
パッケージを暗色系に着色させる着色剤としては、種々の染料や顔料が好適に用いられる。具体的な材料としては、Cr2 O3 、MnO2 、Fe2 O3 やカーボンブラックといったものが挙げられる。パッケージ11から光を効率よく放出させるために、上記各種樹脂中に、光拡散剤(炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等)を適宜混入させることが好ましい。これにより反射率の高い白色パッケージを構成させることができる。
光放出用凹部11a 内に封止部材17を充填する場合には、発光素子13等から生じた熱の影響を受けた際のパッケージ11と封止部材17との密着性を考慮して、パッケージ11の熱膨張係数は、封止部材17のそれとの差が小さいものが好ましい。また、光放出用凹部11a 内の表面は、エンボス加工して封止部材17との接着面積を増やしたり、プラズマ処理して封止部材17との密着性を向上させることができる。
なお、本実施形態のサイドビュー型発光装置を液晶のバックライト光源として使用する場合、バックライト光源の薄型化を図るために、パッケージ11の短手方向(バックライトの厚み方向に対応する)の高さをできる限り低くし、パッケージ11の小型化を図ることが好ましい。
(リード部材) リード部材12は、例えば平板状の金属部材からなり、その発光素子載置用のベッド部および内部端子12a は、光放出用凹部11a の底面に配置される。内部端子12a に連なるリード部分は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面に隣り合うパッケージ側面(光放出用凹部11a が形成されていないパッケージ側面)に引き出され、さらに、このパッケージ側面からパッケージ底面に沿って内側(パッケージ底面側)に折り曲げられて外部端子12b となり、表面実装時に半田付け接続される。
リード部材12は、高熱伝導体を用いることが好ましく、鉄入り銅等の表面に銀、アルミニウム、金等の金属メッキを施し、その表面を平滑にして反射率を向上させることが好ましい。本例では、銅(Cu)合金板の表面に銀(Ag)メッキが施されている。
(発光素子) 発光素子13は、460nm近傍に発光ピーク波長を持つ青色発光の発光素子、410nm近傍に発光ピーク波長を持つ青紫色発光の発光素子、365nm近傍に発光ピーク波長を持つ紫外線発光の発光素子などを使用することができる。
発光素子13の種類は特に制限されるものではないが、例えば、MOCVD法等によって基板上にInN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体を発光層として形成させたもの、一例として、サファイア基板上にn型GaNよりなるn型コンタクト層と、n型AlGaNよりなるn型クラッド層と、p型GaNよりなるp型コンタクト層とが順次に積層された構造のものを使用する。また、半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やPN接合などを有するホモ構造、ヘテロ結合あるいはダブルヘテロ結合のものが挙げられる。半導体の材料やその混晶比によって発光波長を種々選択できる。また、半導体活性層を量子効果が生ずる薄膜に形成させた単一量子井戸構造や多重量子井戸構造とすることができる。また、活性層には、Si、Ge等のドナー不純物および/またはZn、Mg等のアクセプター不純物がドープされる場合もある。発光素子の発光波長は、その活性層のInGaNのIn含有量を変えるか、または活性層にドープする不純物の種類を変えることにより、紫外領域から赤色まで変化させることができる。
白色発光の発光装置を実現する場合には、例えば青色発光の発光素子13と、透光性被覆部材14に含まれる蛍光物質15として後述するYAG蛍光体(Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体)との組合せを使用することによって、発光素子による発光とYAG蛍光体による発光との混色によって白色発光が得られる。
(発光素子の接合部材) 例えば青色発光あるいは緑色発光を有し、サファイア基板上に窒化物半導体を成長させた発光素子をリード部材のベッド部上に接合(ダイボンデイング)する場合には、接合部材としてエポキシ樹脂やシリコーン等を用いることができる。また、発光素子からの光や熱による劣化を考慮して、樹脂を使用せず、Au−Sn共晶半田や、低融点金属等のろう材を用いることもできる。
他方、GaAs等からなり、赤色発光を有する発光素子をリード部材のベッド部上に接合する場合には、発光素子の両面に電極を形成することができるので、接合部材として、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト等を用いることができる。
(導電性ワイヤ) 導電性ワイヤ16としては、発光素子13の電極とのオーミック性、機械的接続性、電気伝導性および熱伝導性が良いものが求められる。熱伝導率としては、0.01cal /(S )(cm2 )(℃/cm)以上が好ましく、より好ましくは、0.5cal/(S )(cm2 )(℃/cm)以上である。また、作業性などを考慮して導電性ワイヤの直径は、好ましくは10μm以上、45μm以下である。このような導電性ワイヤとして、具体的には、金、銅、白金、アルミニウム等の金属およびそれらの合金を用いたワイヤが挙げられる。このような導電性ワイヤは、ワイヤボンデイング装置によって、各発光素子と内部端子との間に容易にボンデイング接続させることができる。
(透光性被覆部材) 透光性被覆材14の形状や構造は、特に限定されないが、パッケージの光放出用凹部11a の開口面を塞ぐシート状やキャップ状等とすることができる。透光性被覆材14をキャップ状にするには、例えば蛍光物質と結着樹脂とを混合し、金型と加熱プレスを用いることにより成形すればよい。また、透光性被覆材14をシート状にするには、蛍光物質と結着樹脂とを溶融混練し、インフレーション法、T形ダイス法、溶液流延法、カレンダー法等により成形すればよい。また、合成樹脂フィルム等からなる基材シート上に蛍光物質をコーティングしてシート状としてもよく、コーティングに際して、蛍光物質を有機溶剤に溶解したものを塗布し、熱風で乾燥する方法、合成樹脂エマルジョンを塗布し、乾燥して基材シート上にポリマー皮膜を形成する方法等を使用することができる。
透光性被覆材14の種類としては、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコーン系エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフイン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等の樹脂を使用することができる。この中でも、シリコーン系エラストマー等が好適である。
(蛍光物質) 蛍光物質15は、発光素子13からの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換するものであり、YAG蛍光体、窒化物蛍光体、その他の蛍光体を使用可能である。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレート、アルカリ土類窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、または、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩またはEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機および有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1つ以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を使用することができるが、これに限定されない。
(1)Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体は、M2 Si5 N8 :Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。また、M2 Si5 N8 :EuのほかMSi7 N10:Eu、M1.8 Si5 O0.2 N8 :Eu、M0.9 Si7 O0.1 N10:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などもある。
(2)Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体は、MSi2 O2 N2 :Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
(3)Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体は、M5 (PO4 )3 X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMnのいずれか1以上である。)などがある。
(4)アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体は、M2 B5 O9 X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMnのいずれか1以上である。)などがある。
(5)アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体は、SrAl2 O4 :R、Sr4 Al14O25:R、CaAl2 O4 :R、BaMg2 Al16O27:R、BaMg2 Al16O12:R、BaMgAl10O17:R(Rは、Eu、Mn、EuとMnのいずれか1以上である。)などがある。
(6)アルカリ土類硫化物蛍光体は、La2 O2 S:Eu、Y2 O2 S:Eu、Gd2 O2 S:Euなどがある。
(7)Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体は、Y3 Al5 O12:Ce、(Y0.8 Gd0.2 )3 Al5 O12:Ce、Y3 (Al0.8 Ga0.2 )5 O12:Ce、(Y,Gd)3 (Al,Ga)5 O12の組成式で表されるYAG系蛍光体などがある。また、Yの一部もしくは全部をTb、Lu等で置換したTb3 Al5 O12:Ce、Lu3 Al5 O12:Ceなどもある。
(8)その他の蛍光体は、ZnS:Eu、Zn2 GeO4 :Mn、MGa2 S4 :Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
上述した蛍光体は、必要に応じて、Euに代えてまたはEuに加えて、Tb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Tiから選択される1種以上を含有させることもできる。また、上記した蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。
これらの蛍光体は、発光素子の励起光により、黄色、赤色、緑色、青色に発光スペクトルを有する蛍光体を使用することができるほか、これらの中間色である黄色、青緑色、橙色などに発光スペクトルを有する蛍光体も使用することができる。これらの蛍光体を様々と組み合わせて使用することにより、様々の発光色を有する発光装置を製造することができる。
例えば、青色に発光するGaN系化合物半導体を用いて、Y3 Al5 O12:Ceもしくは(Y0.8 Gd0.2 )3 Al5 O12:Ceの蛍光物質に照射し、波長変換を行うと、発光素子からの光と、蛍光物質からの光との混合色により白色に発光する発光装置を提供することができる。
例えば、緑色から黄色に発光するCaSi2 O2 N2 :Eu、またはSrSi2 O2 N2 :Euと、蛍光体である青色に発光する(Sr,Ca)5 (PO4 )3 Cl:Eu、赤色に発光する(Ca,Sr)2 Si5 N8 :Euとからなる蛍光物質140を使用することによって、演色性の良好な白色に発光する発光装置を提供することができる。これは、色の三原色である赤・青・緑を使用しているので、第1の蛍光体および第2の蛍光体の配合比を変えることのみによって所望の白色光を実現することができる。
(封止部材) パッケージの光放出用凹部11a 内で発光素子13を封止する場合は、封止部材17として透光性樹脂を充填する。この透光性樹脂は、外力、水分等から発光素子13を保護することができ、工程中あるいは保管中に透光性樹脂内に水分が含まれてしまった場合においては、100 ℃で14時間以上のべ−キングを行うことによって、樹脂内に含有された水分を外気へ逃がすことができるので、水蒸気爆発や、発光素子13と封止部材17との剥がれに起因する色調のずれ等の弊害を防ぐことができる。
また、封止部材17は、発光素子13からの光を効率よく外部に発するために、高い光の透過性が要求される。なお、発光素子13の電極と内部端子12a とを導電性ワイヤ16で接続する構造においては、封止部材17は導電性ワイヤ16を保護する機能も有する。封止部材17として用いられる透光性樹脂の材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂やアクリル樹脂、ユリア樹脂などの耐候性に優れた透明樹脂や硝子などを用いると好適である。また、透光性樹脂に拡散剤を含有させることによって、発光素子13からの指向性を緩和させ、視野角を増やすこともできる。
なお、封止部材17に蛍光物質を含有させることにより、種々の発光色を有する発光装置を提供することが可能である。この場合、透光性被覆部材14に含まれる蛍光物質15との関係で、封止部材17に含有させる蛍光物質の種類の制約を受ける。
具体的には、透光性被覆部材14に含有される蛍光物質は、封止部材17に含有される蛍光物質よりも、光励起に対してより長波長の発光を行うものを使用する。これにより、発光素子から放出された光は、封止部材17に含有される蛍光物質に照射されてより長波長の発光に波長変換され、また、透光性被覆部材14に含有される窒化物系蛍光体に照射されてさらに長波長の発光に波長変換され、それぞれの光の混合により演色性の高い発光装置を実現できる。
また、前記したように封止部材17に蛍光物質を含有させる場合、透光性被覆部材14に蛍光物質を含ませないようにすれば、封止部材17に含有させる蛍光物質の種類の制約が少なくなる。この場合、光放出用凹部11a 内に発光素子13を載置した後、蛍光物質を含有した透光性樹脂を充填することにより、発光素子13から放出される光を波長変換して外部へ放出することが可能になる。発光素子13からエネルギーの高い短波長の可視光が放出される場合には、透光性樹脂に含有させる蛍光物質として、有機蛍光体であるペリレン形誘導体や、ZnCdS:Cu、YAG:CeやEuおよび/またはCrで賦活された窒素含有CaO−Al2 O3 −SiO2 などの無機蛍光体などを使用して好適である。
この際、白色光を得る場合には、特にYAG:Ce蛍光体を利用すると、その含有量によって、青色発光素子からの光を一部吸収して補色となる黄色系の発光が可能となり、青色発光素子との組み合わせにより白色系の発光装置を比較的簡単に信頼性良く形成できる。同様に、Euおよび/またはCrで賦活された窒素含有CaO−Al2 O3 −SiO2 蛍光体を利用した場合は、その含有量によって、青色発光素子からの光を一部吸収して補色となる赤色系の発光が可能となり、青色発光素子との組み合わせにより白色系の発光装置を比較的簡単に信頼性良く形成できる。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、第1の実施形態において前述したようなインナータイプの透光性被覆材14を用いたサイドビュー型発光装置に対して、さらに、アウタータイプの透光性被覆材14を装着したものである。ここでは、インナータイプの透光性被覆材(光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面領域内でパッケージ側面に少なくとも一部が埋没された状態で装着されるシート状のもの)をインナーキャップと称する。また、アウタータイプの透光性被覆材(光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面領域の少なくとも一部を覆うように装着されるキャップ状のもの)をアウターキャップと称する。
第2の実施の形態において、アウターキャップに含有される蛍光物質は、インナーキャップに含有される蛍光物質よりも、光励起に対してより長波長の発光を行うものを使用する。例えば、インナーキャップに含有される蛍光物質として、YAG蛍光体(Y3 Al5 O12:Ceで540nm近傍に発光ピーク波長を持つもの)を用いる場合には、アウターキャップに含有される蛍光物質として、窒化物系蛍光体(Ca2 Si5 N8 :Euで610nm近傍に発光ピーク波長を持つもの)を用いる。これにより、青色発光素子から放出された光は、インナーキャップに含有されるYAG蛍光体に照射されて黄色に波長変換され、また、アウターキャップに含有される窒化物系蛍光体に照射されて赤色に波長変換され、それぞれの光の混合により演色性の高い発光装置を実現できる。
また、インナーキャップに含有される蛍光物質およびアウターキャップに含有される蛍光物質は、それぞれ1種類の蛍光体のみしか含有されていないので、発光装置の製品毎の色のばらつきを抑制することができる。
これに対して、上記とは逆に、アウターキャップに含有される蛍光物質としてYAG蛍光体を用い、インナーキャップに含有される蛍光物質として窒化物系蛍光体を用いると、アウターキャップに含有されるYAG蛍光体で波長変換された光(黄色光)がインナーキャップに含有される窒化物系蛍光体に吸収される(二段階励起)されるので、YAG蛍光体の発光輝度が低下し、発光装置全体としての発光輝度が低下する。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態は、パッケージの光放出用凹部内に複数の発光素子を収納したものである。図13(a)、(b)、(c)は、第3の実施形態に係るサイドビュー型発光装置のパッケージ部分の一例を概略的に示す斜視図、正面図、底面図である。図13(d)は、光放出用凹部内に封止部材が充填された状態における図13(b)中のA−A線に沿う構造を概略的に示す断面図である。
第3の実施の形態においても、波長変換用の蛍光物質を含む透光性被覆部材は、第1の実施の形態と同様にリード部材の外部端子に接触しない状態でパッケージの光放出用凹部の開口面を覆うように装着されているが、表示の簡単化のために図示を省略している。
図13(a)〜(d)に示すサイドビュー型発光装置において、パッケージ1 は、絶縁性部材からなり、側面方向に開口した光放出用凹部を有する。複数のリード部材は、それぞれ金属部材が用いられてなり、共通接続用および個別接続用の複数のリード部材を含む。この場合、複数のリード部材の各一端部がパッケージの光放出用凹部の底面および/または側面にベッド部2aおよび/または内部端子2bとして固定され、各他端部がパッケージの底面部に引き出されて表面実装接続用の外部端子2cとされている。なお、パッケージ1 を表面実装する際に水平状態にするために、回路接続されないダミーの金属部材2dを外部端子2cと同様の形状で設けることも可能である。
複数の発光素子3 は、それぞれアノード・カソードに対応する一対の電極を有し、パッケージの光放出用凹部の底面部で異なるリード部材のベッド部2a上に載置されて固着され、それぞれの一対の電極が1組をなす2つのリード部材に対応して電気的に接続されている。そして、光放出用凹部内に封止部材5 が充填されている。
上記したようにパッケージの光放出用凹部内に複数の発光素子3 を収納する場合、1つのリード部材のベッド部2a上に複数の発光素子が載置されるのではなく、複数のリード部材の各ベッド部2a上に発光素子が1つづつ配置される。
これによって、各発光素子3 の放熱経路を重複することなく形成でき、各発光素子3 から発生した熱をそれぞれ対応しするリード部材のベッド部2aから外部へ異なる放熱経路を経て均等に放熱できるので、放熱性が良好となる。また、各発光素子3 が載置されるそれぞれのベッド部2aの面積が小さいので、ベッド部2aと封止部材5 との接触面積が少なくなり、金属材料の膨張や収縮の影響が緩和される。さらに、各ベッド部2a間には、パッケージの凹部底面が露出されており、パッケージの光放出用凹部の底面の露出面積が多くなるので、樹脂同士の接着力をより強固なものとすることができ、各発光素子3 のベッド部2aからのずれや剥離を防ぐことが可能となる。また、複数の発光素子3 を光放出用凹部内の同一線上に並置させることで、パッケージの厚さをより薄くすることができる。
各発光素子3 は、それぞれが独立してリード部材の外部端子2cと電気的に接続されているので、発光装置を実装する実装基板側で、複数の発光素子3 の直列接続、並列接続等、所望の配線パターンを選択可能であり、自由な回路設計ができる。また、各発光素子3 を独立に発光駆動する場合、各発光素子3 の発光強度を微妙に調整することが容易であり、異なった発光色を有する複数の発光素子を使用することが可能である。
複数の発光素子3 として、例えば赤色発光の発光素子、緑色発光の発光素子および青色発光の発光素子を用いる場合、緑色発光の発光素子および/または青色発光の発光素子は、絶縁性の基板上に窒化ガリウム系半導体層が形成されたものであり、その絶縁性の基板がリード部材のベッド部上に載置される。これらの発光素子を選択的に点灯駆動すると、発光素子の発光と透光性被覆部材に含まれる蛍光物質の発光との混色によって、白色発光等、多様な発光色が得られる。
以下、本発明のサイドビュー型発光装置について複数の実施例を説明する。
(実施例1) 図1(a)乃至(e)、図2および図3は、本発明の発光装置の実施例1の構造を示している。
第1の実施形態において前述したように、絶縁性部材からなるパッケージ11は、側面方向に開口した光放出用凹部11a を有する。それぞれ平板状の金属部材が用いられてなる2個のリード部材12は、各一端部がパッケージの光放出用凹部11a 内に内部端子12a として配置され、各他端部がパッケージ側面に引き出され、そのパッケージ側面に沿って延長され、さらに底面部側に折り曲げられて表面実装接続用の外部端子12b として配設されている。
発光素子13は、アノード・カソードに対応する一対の電極を有し、光放出用凹部11a の底面部で少なくとも1つの内部端子上に載置されて固着され、一対の電極が2個の内部端子12a に導電性ワイヤー16によりボンディング接続されて電気的に接続されている。この場合、2個の内部端子12a のうちの一方は、発光素子載置用のベッド部を兼ねており、発光素子13がダイボンディングされている。
さらに、実施例1において、パッケージ11は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面の光放出用凹部11a の開口端の周縁にパッケージ側面より後退した段差部11b が形成されている。透光性被覆部材14は、パッケージの光放出用凹部11a の開口面より広いシート状のものであり、その周縁内面部がパッケージの段差部11b の底面上に載置されている。この場合、透光性被覆部材14の位置決めはパッケージ側面の段差部11b により行われている。
さらに、透光性被覆部材14を保持するために、光放出用凹部51a が形成されたパッケージ側面の段差部11b の底面における光放出用凹部11a の開口端の周縁部および透光性被覆部材14の内面部に、互いに嵌合可能な突起部とそれに対応する嵌合部の対が形成されている。本例では、パッケージ側面の段差部11b の底面で光放出用凹部11a の開口端周縁に沿って点在する複数カ所(例えば四角形の各コーナーに相当する4カ所)に例えば断面円形のピン状の突起11c を形成しておく。このパッケージ側面のピン状の突起11c の位置に対応して透光性被覆部材14には穴を形成しておく。これにより、透光性被覆部材14の穴にパッケージ側面のピン状の突起11c を嵌合させた状態で透光性被覆部材14を装着することが可能になる。上記ピン状の突起11c は、その側面に螺子のように凹凸を設けることも可能である。それにより、透光性被覆部材14の抜脱を防止することができる。
実施例1によれば、透光性被覆部材14は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面上に配置されているので、例えば図4に示したように表面実装する際に半田リフロー時の外部端子12b の半田付け接続部付近の溶融した半田21との距離を極力確保することができ、溶融した半田21が透光性被覆材14に接触することを確実に防止することができる。
本例では、発光素子13として青色発光の発光素子を使用し、透光性被覆部材14に含まれる蛍光物質としてYAG蛍光体を使用することによって、発光素子の発光とYAG蛍光体の発光との混色によって白色発光を高輝度および高出力で得ることができる。
(実施例2) 図5(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、本発明の発光装置の実施例2の構造を一部透視して概略的に示す上面図、正面図、底面図、側面図、背面図である。
実施例2の発光装置50は、実施例1のパッケージおよび透光性被覆部材14の構造を変更したものであり、図1(a)乃至(e)を参照して前述した実施例1の構造と比べて、図1(c)乃至(e)に示した底面図、側面図、背面図とは同一であり、図1(a)、(b)に示した上面図、正面図とは一部が異なり、その他は同一であり、図1(a)乃至(e)中と同一部分には同一符号を付している。
パッケージ51は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面において、段差部11bの底面で光放出用凹部11a の開口端の周縁に沿って点在する複数カ所(例えば四角形の各コーナーに相当する4カ所)に例えば断面円形の盲孔51a が深く形成されている。
透光性被覆部材54は、パッケージの光放出用凹部11a の開口面より広いシート状のものであり、その周縁内面部に、パッケージ側面の段差部11b の底面の盲孔51a の位置に対応して例えばピン状の突起54a が形成されており、この突起54a が盲孔51a に嵌合した状態でパッケージ側面に装着されている。
実施例2によれば、透光性被覆部材54は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面部上に配置されているので、半田リフロー時に溶融した半田21との距離を極力確保することができ、溶融した半田21が透光性被覆材54に接触することを確実に防止することができる。また、パッケージ側面の盲孔51a と透光性被覆部材54の突起54a により透光性被覆部材54の位置決めが行われている。さらに、透光性被覆部材54の周縁内面部を例えばシリコーン樹脂(図示せず)によりパッケージの段差部11b の底面上に接着することによって、透光性被覆部材54を固定するようにしてもよい。
(実施例3) 図6(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、本発明の発光装置の実施例3の構造を一部透視して概略的に示す上面図、正面図、底面図、側面図、背面図である。
実施例3の発光装置60は、実施例1のパッケージの全体形状を変更したものであり、図1(a)乃至(e)を参照して前述した実施例1の構造と比べて、図1(a)乃至(c)に示した上面図、正面図、底面図とは同一であり、図1(d)、(e)に示した側面図および背面図とは一部が異なり、その他は同一であり、図1(a)乃至(e)中と同一部分には同一符号を付している。
パッケージ61は、背面部において、正面部の光放出用凹部11a に対応する領域のうちの一部に溝(本例では水平方向の溝)61a が形成されている。このような構造により、部材の節約と、パッケージの水平状態のバランスを調整することが可能になる。
(実施例4) 図7(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、本発明の発光装置の実施例4の構造を一部透視して概略的に示す上面図、正面図、底面図、側面図、背面図である。実施例4の発光装置70は、実施例1と比べてパッケージ71および透光性被覆部材74が異なり、図1(a)乃至(e)中と同一部分には同一符号を付している。
実施例4において、パッケージ71は、実施例1中のパッケージ11と同様に側面方向に開口した光放出用凹部11a を有する。透光性被覆部材74は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面の一部を覆うように装着されたキャップ状のものであり、例えば方形のシート部の周縁部の少なくとも一部(対向する二辺)に、パッケージ側面部の両隣りの一対のパッケージ側面にそれぞれ接する突出片(あるいは鍔部)74a を有する。この場合、本例では、透光性被覆部材74が装着されるパッケージ側面の一部を、パッケージ側面の表面から後退させるように段差部を形成しておき、透光性被覆部材74が装着された状態で透光性被覆部材74の表面とパッケージ側面の表面とが同一平面になるように形成している。
実施例4によれば、キャップ状の透光性被覆部材74の突出片74a は、透光性被覆部材74が光放出用凹部11a の凹部開口面を含むパッケージ側面を覆うようにパッケージ側面部に装着された際に、このパッケージ側面部の両隣りのパッケージ側面に対接した状態でパッケージ側面を挟む形状を有し、透光性被覆部材74の位置ずれを防止する役割を果たす。突出片74a の形状として、図示のように例えば上下に例えば2個の爪状に分離して形成してもよいが、上下に同じ幅(突出長さ)を有するバー状(図示せず)に形成するようにしてもよい。
なお、透光性被覆部材14の位置ずれ防止効果を高めるために、パッケージの両側面に、キャップ状の透光性被覆部材14の突出片74a に接して係止(引掛け)状態になる例えば凸状の係止部71a を設けることが好ましい。さらに、キャップ状の透光性被覆部材14は、光放出用凹部11a の開口面を含むパッケージ側面の一部だけでなくほぼ全面を覆う大きさにすることで、透光性被覆部材14とパッケージ側面との摩擦を増やすようにしてもよい。
(実施例5) 図8(a)、(b)は、本発明の発光装置の実施例5の構造の一部を概略的に示す一部透視正面図および側断図である。実施例5の発光装置80は、実施例4の透光性被覆部材74の構造を変更したものであり、図6(a)乃至(e)を参照して前述した実施例4の構造と同一部分には同一符号を付している。
透光性被覆部材84は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面を覆うように装着されたキャップ状のものであり、例えば方形のシート部の周縁部の少なくとも一部(三辺)に、パッケージ側面の両隣りの一対のパッケージ側面およびパッケージ上面にそれぞれ接する突出片84a を有する。
実施例5によれば、透光性被覆部材84は、前述した実施例4の透光性被覆部材74と比べて、透光性被覆部材84として、さらにパッケージ上面に対接する部分を有するので、位置ずれ防止効果が大きい。さらに、透光性被覆部材84の突出片84a に接して係止状態になる例えば凸状の係止部(図示せず)を、パッケージの両側面だけでなく上面にも設けることが好ましい。
(実施例6) 図9(a)、(b)は、本発明の発光装置の実施例6の構造の一部を概略的に示す一部透視正面図および側断面図である。実施例6の発光装置90は、実施例4の透光性被覆部材74の構造を変更したものであり、図6(a)乃至(e)を参照して前述した実施例4の構造と同一部分には同一符号を付している。
透光性被覆部材94は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面を覆うように装着されたキャップ状のものであり、例えば方形のシート部の周縁部の全周(四辺)に、パッケージ側面に隣り合う一対のパッケージ側面、パッケージ上面およびパッケージ下面にそれぞれ接して係止状態になる突出片94a を有する。
実施例6によれば、透光性被覆部材94は、前述した実施例4の透光性被覆部材74と比べて、突出片94a として、さらにパッケージ上面およびパッケージ下面にそれぞれ対接する部分を有するので、位置ずれ防止効果がさらに大きい。さらに、透光性被覆部材94の突出片94a に接して係止状態になる例えば凸状の係止部(図示せず)を、パッケージの両側面、上面だけでなく下面にも設けてもよい。
(実施例7) 図10(a)、(b)は、本発明の発光装置の実施例7の構造の一部を概略的に示す一部透視正面図および側断面図である。実施例7の発光装置100 は、実施例4のパッケージ71および透光性被覆部材74の構造を変更したものであり、図6(a)乃至(e)を参照して前述した実施例4の構造と同一部分には同一符号を付している。
パッケージ101 は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面の下辺部全体が切り欠かれた形状を有する。透光性被覆部材104 は、前述した実施例6と同様に、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面の少なくとも一部を覆うように装着されたキャップ状のものであり、例えば方形のシート部の周縁部の全周(四辺)に、パッケージ側面に隣り合う一対のパッケージ側面、パッケージ上面およびパッケージ下面にそれぞれ接する突出片104aを有する。さらに、透光性被覆部材104 の突出片104aに接して係止状態になる例えば凸状の係止部(図示せず)を、パッケージの両側面、上面だけでなく下面にも設けてもよい。
実施例7によれば、パッケージ101 とキャップ状の透光性被覆部材104 との組み合わせにより、キャップ状の透光性被覆部材104 の下辺部の突出片104aを外部端子12b からより離した状態でパッケージ101 に装着することが可能になり、しかも、外部端子12b と光放出用凹部11a との間のパッケージ表面距離をより長くすることが可能になる。したがって、半田リフロー時に、溶融した半田が透光性被覆材104 に接触することを防止し、溶融した半田が外部端子12b の半田付け接続部付近からパッケージ側面部を這い上がることを防止し、溶融した半田が光放出用凹部11a に流れ込むことを防止する効果が大きくなる。
(実施例8) 図11(a)、(b)は、本発明の発光装置の実施例8の構造の一部を概略的に示す一部透視正面図および側断面図である。実施例8の発光装置110 は、例えば実施例5のパッケージ81および透光性被覆部材84の構造を変更したものであり、図8(a)乃至(e)を参照して前述した実施例5の構造と同一部分には同一符号を付している。
パッケージ111 は、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面において、光放出用凹部11a の開口端の周縁に沿って点在する複数カ所(例えば四角形の各コーナーに相当する4カ所)に例えば断面円形の盲孔(図示せず)が深く形成されている。
キャップ状の透光性被覆部材114 は、パッケージの光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面の一部を覆う広さを有し、3辺に突出片114aが形成されたものであり、その内面部に、パッケージ側面の盲孔の位置に対応して例えばピン状の突起114bが形成されており、この突起114bが前記盲孔に嵌合された状態でパッケージ側面に装着されている。
実施例8によれば、実施例5と同様に位置ずれ防止効果が大きい。さらに、透光性被覆部材114 の突起114bがパッケージ側面の盲孔に嵌合された状態でパッケージ側面に装着されているので、パッケージから透光性被覆材が抜脱することを防止することができる。
なお、前述した各実施例1〜8において、パッケージ底面部の外部端子12b とパッケージ側面の光放出用凹部11a の下縁部との間で、光放出用凹部11a の下縁部に沿ってパッケージ表面に線状(直線、曲線を含む)の突起(あるいは溝)を形成し、溶融した半田が光放出用凹部11a に流れ込むことを防止する効果を高めるようにしてもよい。
(実施例9) 図12(a)、(b)は、本発明の発光装置の実施例9の構造の一部を概略的に示す一部透視正面図および側断面図である。実施例9の発光装置は、例えば実施例8のパッケージ81の一部を変更したものであり、図8(a)乃至(e)を参照して前述した実施例5の構造と同一部分には同一符号を付している。
図12(a)、(b)において、パッケージ81は、底面部の外部端子12b とパッケージ側面の光放出用凹部11a の下縁部との間で、光放出用凹部11a の下縁部に沿ってパッケージ表面に線状の突起81a が形成されている。
実施例9によれば、パッケージ表面に線状の突起81a を形成しておくことにより、半田リフロー時に溶融した半田が外部端子12b の半田付け接続部付近からパッケージ側面部を這い上がることを防止し、溶融した半田が光放出用凹部11a に流れ込むことを防止する効果が大きくなる。
(実施例10) 前述した実施例1〜9において、透光性被覆部材の内面側の少なくとも一部を、光放出用凹部11a が形成されたパッケージ側面に接着剤(図示せず)を介して接着することによって、透光性被覆部材をパッケージ側面に確実に固定することができる。例えば実施例1〜3においては、透光性被覆部材14の周縁内面部を例えばシリコーン樹脂(図示せず)によりパッケージの段差部11b の底面に接着することによって、透光性被覆部材14を固定するようにしてもよい。また、前述した実施例3以外の各実施例においても、実施例3と同様にパッケージの全体形状を変更してよい。
(実施例11)
実施例11は、第1の実施形態の発光装置(1個の発光素子を内蔵したもの)の製造工程の一例について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
まず、銀メッキした鉄入り銅板(例えば、0.15mm厚の銅合金からなる長尺金属板)を金型で打ち抜き加工し、所望の形状を有する金属部をパターン形成してリード部材を形成する。次に、リード部材を金型で挟み込み、ポリフタルアミド(PPA)を金型内に注入して硬化させることにより、硬化した樹脂とリード部材とが一体成形された表面実装型のパッケージを形成する。この際、パッケージには、発光素子が配置される光放出用凹部を形成しておき、この光放出用凹部内の中央部にはリード部材のベッド部を配置し、このベッド部上に発光素子をダイボンデイングによって載置している。
リード部材のベッド部上に載置される発光素子として、両面に電極が形成された赤色発光を有する発光素子を用いる場合には、銀ペーストを用いてリード部材のベッド部とのダイボンデイングを行う。これに対して、発光素子として、サファイア基板を底面とする青色発光あるいは緑色発光の発光素子を用いる場合には、エポキシ樹脂を用いてリード部材のベッド部とのダイボンデイングを行う。
そして、直径10μmの金線からなる導電性ワイヤ4 によって、発光素子に形成された電極とリード部材の内部端子との接続を行う。その後、光放出用凹部内に、エポキシ樹脂からなる封止部材を充填して封止した後、硬化させる。封止部材の硬化後、金型を用いて、外部へ突出しているリード部材をパッケージのリード部材突出面(パッケージ側面)に沿って折り曲げて外部端子とする。さらに、実施例1〜9のいずれかに示したように、透光性被覆部材14を装着する。なお、リード部を折り曲げて外部端子とする前に透光性被覆部材14を装着するようにしてもよい。
なお、本実施例によれば、パッケージの光放出用凹部の底面で各内部端子間に成形樹脂が露出するので、光放出用凹部内に封止部材を充填した場合には、前述したように露出している成形樹脂と封止部材とが強固に接合され、封止部材とパッケージとの接合力を高めることができる。また、内部端子と封止部材との接触面積を小さくすることにより、樹脂と金属材料との熱膨張や収縮の差による発光素子の剥がれやずれを抑制することができる。 (実施例12)
実施例12は、第3の実施形態の発光装置(複数の発光素子を内蔵したもの)の製造工程の一例について、図13(a)乃至(d)を参照しながら説明する。
まず、銀メッキした鉄入り銅板(例えば、0.15mm厚の銅合金からなる長尺金属板)を金型で打ち抜き加工し、所望の形状を有する金属部をパターン形成してリード部材を複数本形成する。次に、複数のリード部材を金型で挟み込み、ポリフタルアミド(PPA)を金型内に注入して硬化させることにより、リード部材と硬化した樹脂とが一体成形された表面実装型のパッケージ1 を形成させる。この際、パッケージ1 には、発光素子3 が配置される光放出用凹部1aを側面部に形成しておき、この光放出用凹部内1aの中央部には複数のリード部材の各ベッド部2aを並べて配置し、このベッド部2aをパッケージ1 の長手方向の両側から挟み込むようにワイヤボンデイング用の内部端子2bが配置されている。
リード部材のベッド部2a上に載置される複数の発光素子3 の一例として、サファイア基板上のInGaN半導体を用いた主波長が約470 nmの青色発光を有する青色発光素子、サファイア基板上のInGaN半導体を用いた主波長が約525 nmの緑色発光を有する緑色発光素子、AlInGaN/GaAs半導体を用いた主波長が約630 nmの赤色発光を有する赤色発光素子を用いる。これらの発光素子を、赤色発光素子を中心にリード部材のベッド部2a上で並置させる。ベッド部2aへの各発光素子3 のダイボンデイングによる接合に際して、まず、一対の電極が上下両面に形成された赤色発光素子は、銀ペーストを用いて接合する。この銀ペーストが硬化した後、サファイア基板を底面(下面)とする青色発光素子および緑色発光素子は、エポキシ樹脂を用いて接合する。次に、直径10μmの金線からなる導電性ワイヤ4 によって、各発光素子3 に形成された電極とリード部材の内部端子2bとの接続を行う。その後、光放出用凹部1a内にエポキシ樹脂からなる封止部材5 を充填して封止した後、硬化させる。封止部材5 の硬化後、金型を用いて、パッケージ外部へ突出したリード部をパッケージのリード突出面に沿って、例えばパッケージの発光面方向および背面方向に向かって交互に折り曲げて外部端子2cとする。さらに、実施例1〜10のいずれかに示したように、透光性被覆部材(図示せず)を装着する。なお、パッケージ外部へ突出したリード部を折り曲げて外部端子2cとする前に透光性被覆部材を装着するようにしてもよい。
なお、光放出用凹部1a内に複数の発光素子3 を載置する場合に、バックライトの幅方向にそれぞれの発光素子3 を並置できるように、パッケージ1 が矩形形状の発光面を有する直方体となるよう成形することが好ましい。この場合、図13(a)、(b)に示したように、複数の発光素子3 が載置される複数のベッド部2aをパッケージ1 の長手方向に並置し、発光素子3 の並置方向のパッケージ端部にワイヤボンデイング用の内部端子2bを配置すると、パッケージ1 の厚さ方向の長さをより短くできるので、本発明の発光装置をバックライト光源等に用いる際にバックライト装置をより薄型にできる。
また、上述したように、複数の発光素子3 を隣り合う異なるベッド部2a上に載置し、ワイヤボンデイング用の内部端子2bを発光素子の並置方向(パッケージ1 の長手方向)のパッケージ端部へ設けると、1つの内部端子2bに複数あるいは全ての発光素子3 を載置させる場合と比較して、リード部材の配置が複雑にならないので、パッケージ1 の横方向(長手方向)の縮小化も可能となる。
また、パッケージの光放出用凹部1a内に配置された複数の内部端子2bに連なるリード部を同一のパッケージ面から外部へ引き出すと、特に各発光素子3 がそれぞれ電気的に独立して外部端子2cと接続される場合において、リード部材の本数が多くなっても、リード部材の突出面を実装基板載置面とすることができる。
上記構成のサイドビュータイプの表面実装型発光装置によれば、搭載される実装基板に対して発光面が垂直に配され、実装面と平行な方向(水平方向)へ光を出射することが可能になり、薄型化あるいは小型化が可能になる。結果として、バックライト装置の厚さを発光装置の高さと同等にすることができ、バックライト装置のより薄型化を図ることができる。
また、複数の発光素子3 がそれぞれ異なるリード部材と電気的に接続されるので、発光装置を実装する実装基板側において回路設計の自由度が非常に高いものとなる。さらに、パッケージの外部へ突出したリード部をパッケージのリード突出面に沿って発光面方向および背面方向に向けて交互に折り曲げて外部端子2cとしているので、実装基板に安定性良く配置することができる。なお、実装時の安定性をより良くするために、回路接続されないダミーの金属部材2dを外部端子2cと同様の形状で設けることもできる。
また、複数の発光素子3 がそれぞれ載置されるベッド部2aを互いに独立して設けているので、パッケージ1 の光放出用凹部1aの底面で各ベッド部2aが露出した状態となっている。したがって、後工程で光放出用凹部1a内に充填される封止部材5 は、光放出用凹部1aの底面6 と接するが、パッケージ1 および封止部材5 は共に樹脂材料からなるので、それらの密着力は高い。各発光素子3 は、それぞれがパッケージ1 および封止部材5 の強固な接着部分の側にあるので、ベッド部2aから剥がれる等の懸念はなく、その信頼性は維持される。他方、内部端子2bと封止部材5 との接着は、互いに異なる材料からなるので、光放出用凹部1aの底面6 と封止部材5 との接着と比べて密着力は弱いが、それらが接している表面積は大きくないので、ベッド部2a上に接合された発光素子3 は、むしろ前述した光放出用凹部1aの底面6 と封止部材5 との密着性の影響をより強く受けることになる。
本発明の第1の実施形態に係るサイドビュー型発光装置の一例を一部透視して示す上面図、正面図、底面図、側面図および背面図。
図1(b)中の透光性被覆部材を装着しない状態で光放出用凹部の内部を概略的に示す正面図。
図1中の光放出用凹部の内部と透光性被覆部材の断面構造を概略的に示す部分断面上面図および部分断面側面図。
第1の実施形態に係るサイドビュー型発光装置を半田リフローを用いて実装基板上に表面実装する状態の一例を概略的に示す部分断面側面図。
本発明の発光装置の実施例2の構造を一部透視して概略的に示す上面図、正面図、底面図、側面図および背面図。
本発明の発光装置の実施例3の構造を一部透視して概略的に示す上面図、正面図、底面図、側面図および背面図。
本発明の発光装置の実施例4の構造を一部透視して概略的に示す上面図、正面図、底面図、側面図および背面図。
本発明の発光装置の実施例5の構造の一部を概略的に示す一部透視正面図および側断図。
本発明の発光装置の実施例6の構造の一部を概略的に示す一部透視正面図および側断面図。
本発明の発光装置の実施例7の構造の一部を概略的に示す一部透視正面図および側断面図。
本発明の発光装置の実施例8の構造の一部を概略的に示す一部透視正面図および側断面図。
本発明の発光装置の実施例9の構造の一部を概略的に示す一部透視正面図および側断面図。
本発明の第3の実施形態に係るサイドビュー型発光装置のパッケージ部分の一例を概略的に示す斜視図、正面図、底面図および断面図。
符号の説明
10…サイドビュー型発光装置、11…サイドビュー型のパッケージ、11a …光放出用凹部、11b …段差部、12…2個のリード部材、12a …内部端子(インナーリード)、12b …外部端子(アウターリード)、13…発光素子、14…透光性被覆部材、15…波長変換用の蛍光物質、16…導電性ワイヤ、17…透光性樹脂、20…実装基板、21…半田。