JP2005248309A - 超硬合金および被覆超硬合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】
耐欠損性を低下させることなく耐摩耗性、耐塑性変形性を向上させた超硬合金の提供を目的とする。
【解決手段】
鉄族金属を主成分とする結合相:5〜20体積%と、タングステンと周期律表4a族元素の中の少なくとも1種と周期律表5a族元素の中の少なくとも1種とを含有した複合炭窒化物からなる立方晶系化合物相:2〜25体積%と、残りが炭化タングステンと不可避不純物とからなる超硬合金において、該超硬合金の表面から内部に向かって5〜50μmの深さに亘って該結合相量が増加し、かつ該立方晶系化合物相が減少した表面層が形成されており、該表面層における該立方晶系化合物相の平均含有量が該超硬合金の表面から100μm以上の内部における該立方晶系化合物相の平均含有量に対して1/10〜1/2である超硬合金は、耐摩耗性、耐塑性変形性に優れる。

Description

本発明は、結合相が富化され、かつ、複合炭窒化物(立方晶系化合物相)が貧化された表面層を表面近傍に有する超硬合金および被覆超硬合金に関する。
一般に超硬合金製切削工具は、硬質膜を被覆することによって耐摩耗性を飛躍的に向上させることができるが、耐欠損性、耐チッピング性は低下する。そのため、鋼の断続旋削やフライス切削などにおいて、耐欠損性、耐チッピング性の低下防止が重要な課題となっている。耐欠損性、耐チッピング性の低下防止策の一つとして、WC−立方晶系化合物−Co系超硬合金の表面近傍にCoが富化され立方晶系化合物を含有しない表面層を設ける方法がある。
表面層を有する超硬合金の従来技術として、Wを含有したIVa、Va、VIa族金属の炭窒化物からなるB−1型結晶構造を持つ相と、50重量%以上のWC相とを硬質相として有し、鉄族金属を結合金属として有し、かつ表面層の5〜200μmはB−1相の割合が、他の部分より少ないことを特徴とする超硬合金がある
(例えば、特許文献1参照。)。この超硬合金の表面層は、B−1相(立方晶系化合物)の減少により被覆超硬工具の耐欠損性,耐チッピング性を高めたものではあるが、表面層中に残留させた立方晶系化合物が表面に近いほど少ないために、耐塑性変形性の低下が著しく、また適量の立方晶系化合物を残留させ、かつ結合相を富化することが非常に困難であるという問題がある。
また、表面に平行にラメラ状の軟質部(Co富化部)を持ち、立方晶系化合物の含有量が内部に比べて減少していない表面層を有する被覆焼結合金工具がある(例えば、特許文献2参照。)。この被覆焼結合金工具は、ラメラ状の軟質部によって工具の耐欠損性を高めたものではあるが、表面部に脆弱な立方晶系化合物を多量に含有するために、その改善効果が不十分であり、また脱炭と浸炭を繰り返して作製するために性能バラツキが大きくて製造が困難であるという問題がある。
また、立方晶系化合物を含有せず、内部から表面に向かってCo量が連続的に減少するCo富化層を形成させた切削工具用表面被覆炭化タングステン基超硬合金がある(例えば、特許文献3参照。)。この超硬合金の表面層は、表面近傍が硬化されているために切削時の耐塑性変形性は向上するものの、Co富化量が少ないために耐欠損性、耐チッピング性の改善が不十分であると言う問題がある。
さらに、被覆層の界面直下に0.5 〜5μmの厚さの4a族並びに5a族および/または6a族の炭窒化物層が存在し、炭窒化物層直下に結合相富化領域が5〜100μmの厚さで存在してなる被覆超硬合金、および超硬合金を焼結する際、5〜50torrの窒素雰囲気で1300〜1400℃に加熱保持後、5〜0.5℃/分の冷却速度で1255℃以下まで冷却する工程を有する被覆超硬合金の製法がある(例えば、特許文献4参照。)。この超硬合金の表面層は、表面近傍が複合金属炭窒化物により硬化されて耐塑性変形性を向上させるものの、複合金属炭窒化物は硬脆く、また熱膨張係数が大きくて母材との間に高い残留応力を生じるために、切削時の熱および機械的衝撃によって逆に膜剥離を起こし易くなると言う問題がある。
特開昭54−87719号公報 特開昭60−187678号公報 特開平2−22453号公報 特開平5−171442号公報
近年の切削加工におけるコストダウン要求の高まりから、さらなる切削工具の寿命延長が求められるようになった。上述のような問題を有する従来の超硬合金では、こうした要求に応えられなくなってきた。そこで、本発明は、耐欠損性を低下させることなく耐摩耗性、耐塑性変形性を向上させた超硬合金および被覆超硬合金の提供を目的とする。
本発明者は、長年に亘り靱性の高い表面層を有する超硬合金について検討を行っていた所、表面層中に立方晶系化合物相を含有させると耐摩耗性と耐塑性変形性が改善されること、その製造方法として従来組成の混合粉末を真空で焼結した後、冷却時の雰囲気を浸炭あるいは窒化雰囲気として急冷すれば、最表面に立方晶系化合物の析出層を形成することなく表面層の内部に立方晶系化合物相が形成すること、立方晶系化合物相はWC結晶粒界に析出すること、特にタンタルあるいはニオブを多く含有する立方晶系化合物相の析出は表面層の耐塑性変形性を著しく改善すること、を見出して本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の超硬合金は、鉄族金属を主成分とする結合相:5〜20体積%と、タングステンと周期律表4a族元素の中の少なくとも1種と周期律表5a族元素の中の少なくとも1種とを含有した複合炭窒化物からなる立方晶系化合物相:2〜25体積%と、残りが炭化タングステンと不可避不純物とからなる超硬合金において、該超硬合金の表面から内部に向かって5〜50μmの深さに亘って該立方晶系化合物相の少ない表面層が形成されており、該表面層における該立方晶系化合物相の平均含有量が該超硬合金の表面から100μm以上の内部における該立方晶系化合物相の平均含有量に対して1/10〜1/2であるものである。
本発明の超硬合金における結合相は、具体的には、20重量%以下のW、Cr、Moなどを固溶したCo−W、Co−Cr−W、Ni−W−Cr、Fe−Ni−Moなどの合金を挙げることができる。結合相量は、5体積%未満では強度、靱性が低いために欠損し易く、逆に20体積%を超えて多くなると、硬さや耐摩耗性、耐塑性変形性が顕著に低下するため、結合相量を5〜20体積%と定めたものである。
本発明の超硬合金における立方晶系化合物相は、Wと、Ti、Zr、Hf(周期律表4a族元素)の中の少なくとも1種と、V、Nb、Ta(周期律表5a族元素)の中の少なくとも1種とを含有した複合炭窒化物からなるもので、具体的には、(W,Ti,Ta)(C,N)、(W,Ti,Nb)(C,N)、(W,Zr,Ta)(C,N)、(W,Hf,V)(C,N)などを挙げることができる。この立方晶系化合物相の含有量は、超硬合金全体に対して2体積%未満になると耐摩耗性や耐塑性変形性が低下し、逆に25体積%を超えて多くなると靱性の低下により耐欠損性が劣化するために、2〜25体積%と定めたものである。ここで、立方晶系化合物相の含有量は、5〜15体積%の範囲であると表面層の形成が容易で、性能改善の効果が大きいので好ましい。また、超硬合金全体に対する窒素含有量が0.01〜1重量%の範囲にあり、立方晶系化合物相のN/(C+N)比(原子比)が0.1〜0.3の範囲であると、表面層における立方晶系化合物相の均一析出が容易となるので好ましい。
本発明の超硬合金における表面層は、立方晶系化合物相を含有するもので、超硬合金表面から内部に向かって5〜50μmの深さに亘って形成されている。表面層における立方晶系化合物相の平均含有量が表面から100μm以上の内部における立方晶系化合物相の平均含有量に対して1/10未満のとき、表面層の耐塑性変形性の改善効果が少なく、逆に1/2を超えて含有させることは製法的に困難であると共に、析出した立方晶系化合物相が著しく粗大となるため、1/10〜1/2と定めた。また、表面層の深さ方向の表面からの厚みは、5μm未満では、靱性向上が少なくて耐欠損性の改善効果が低く、逆に50μmを超えて深くなると、耐塑性変形性や耐摩耗性が低下するために、5〜50μmと定めたものである。
本発明の超硬合金における立方晶系化合物相は、表面層における周期律表4a族元素の平均含有量に対する周期律表5a族元素の平均含有量の比率が、超硬合金の表面から100μm以上の内部における周期律表4a族元素の平均含有量に対する周期律表5a族元素の平均含有量の比率よりも大きい値であると、立方晶系化合物相の分散による耐塑性変形性の改善効果が大きいので好ましい。また、表面層における周期律表4a族元素の平均含有量が0.1重量%以下であると、表面層の耐塑性変形性が顕著に改善されるので好ましい。立方晶系化合物相はWC結晶と結合相との粒界に析出するが、立方晶系化合物相が複数の粒子からなる凝集体を形成する場合には、凝集体の径が5μm以下であると表面層の強度と靱性の低下が少ないので好ましい。
本発明の超硬合金の表面層における立方晶系化合物相の含有量の分布は、深さ方向に対して変化するもので、表面層厚みの中央値よりやや表面側に最大値を持つと、耐摩耗性、耐欠損性、耐塑性変形性などの性能バランスが良いので好ましい。また、表面層における結合相量は、表面から100μm以上の内部における結合相量に対して1.1〜1.4倍に富化されており、その分布が表面層厚みの中央値よりやや内部側に最大値を持つと、性能バランスが良いので好ましい。
本発明の超硬合金は、結合相が富化された表面層が耐欠損性、耐チッピング性を向上させる作用をすると共に、表面層に含有している立方晶系化合物相が耐摩耗性、耐塑性変形性を向上させる作用をし、結果として切削工具として使用した際の工具寿命を顕著に改善しているものである。
本発明の被覆超硬合金は、本発明の超硬合金の表面に被膜を被覆したものである。本発明における被膜は、周期律表4a、5a、6a族元素、Al、Siの炭化物、窒化物、酸化物、これらの相互固溶体、ダイヤモンド、ダイヤモンド状カーボンおよび窒化硼素の中から選ばれた少なくとも1種からなり、超硬合金の基材の耐摩耗性、耐酸化性および/または潤滑性を向上させる。具体的には、TiC、TiN、TiCN、TiCO、TiCNO、TiAlN、TiSiN、TiAlCNO、Al23、ダイヤモンド、ダイヤモンド状カーボン、cBNなどを挙げることができる。その中でも化学蒸着法で被覆するTiC、TiN、TiCN、TiCO、TiCNO、TiAlCNO、Al23の中の少なくとも1種は耐摩耗性が優れるためさらに好ましい。
本発明の超硬合金の製造方法は、鉄族金属粉末と、炭化タングステン粉末と、少なくとも周期律表4a族元素と周期律表5a族元素とをそれぞれ含有した複合炭窒化物形成粉末とからなる混合粉末を、1350〜1500℃の真空中で焼結した後、冷却時の雰囲気を浸炭あるいは窒化雰囲気として急冷するものである。例えば、焼結終了直後に0.1MPa(大気圧)の窒素を導入し、1350〜1500℃の焼結温度から1200℃までを20〜30℃/minで冷却すると、結合相に溶解した立方晶系化合物の成分が、焼結時には立方晶系化合物相を含有していない表面層に拡散し、結合相の凝固に伴って順次析出する。
本発明の超硬合金の製造方法において、表面層中の立方晶系化合物相の含有量、成分、分布、粒径などを制御するには、以下の方法などがある。立方晶系化合物相の含有量を増加させるには、雰囲気圧力を増加させるか、冷却速度を遅くすると良い。ここで、冷却時に雰囲気中で保持すると、最表面に粗大な立方晶系化合物の析出層を形成するので好ましくない。また、表面層における周期律表4a族元素の平均含有量を小さくし、周期律表4a族元素の平均含有量に対する周期律表5a族元素の平均含有量の比率を高くするには、浸炭雰囲気中で急冷すると良い。浸炭雰囲気として、具体的には、0.01〜1体積%のCOあるいはCH4を含有したAr、Heが挙げられる。尚、窒化雰囲気では周期律表4a族元素に対する周期律表5a族元素の比率は、配合粉末での値に近い。さらに、立方晶系化合物相を最表面近傍に集めるには、雰囲気圧力を増加させるか、冷却速度を遅くし、立方晶系化合物相の粒子を微細にするには、冷却速度をより速くすれば良い。
本発明の被覆超硬合金は、本発明の超硬合金に従来からある被膜の被覆方法によって作製することができる。具体的には、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)を挙げることができる。その中でも化学蒸着法によると被膜の密着性に優れるため好ましい。
本発明の超硬合金および被覆超硬合金の用途の一つとしては、切削工具を挙げることができる。その中でも特に、鋼の断続旋削用またはフライス切削用の切削工具が好ましい。
本発明の超硬合金は、結合相が富化されかつ立方晶系化合物相を含有しない表面層を有する従来の超硬合金に比べて、切削工具として、特にフライス工具および断続旋削工具として用いた場合に、刃先の塑性変形に伴う異常摩耗に強く、耐欠損性、耐チッピング性に優れている。そのため、工具寿命が顕著に長くなるという効果がある。
本発明の超硬合金の一実施例の断面組織を図1に示す。図1は、本発明の超硬合金の一実施例を切断し、断面を1000#のダイヤモンド砥石で湿式研削加工した後、1μmのダイヤモンドペ−ストでラップ加工して断面組織観察用の試料を作製した。図1は断面組織観察用試料を村上氏試薬で腐食した後、光学顕微鏡で表面近傍の組織を観察したものである。図1からは、本発明の超硬合金の一実施例の表面から22μmの深さに亘って表面層が形成され、その表面層の中に村上氏試薬で腐食しやすい立方晶系化合物相が含まれていることが分かる。
市販の平均粒径4.5μmのWC、同0.02μmのカ−ボンブラック(Cと略記)、同1.1μmの(W,Ti)C(重量比でWC/TiC=70/30)、同1.2μmのTiCN(重量比でTiC/TiN=50/50)、同2.3μmのZrN、同2.1μmのHfN、同2.7μmのVN、同1.1μmのNbC、同1.0μmのTaC、同1.0μmのCo、同1.7μmのNiおよび同2.3μmのCr32の各粉末を用いて、表1に示す配合組成に秤量し、ステンレス製ポットにアセトン溶媒と超硬合金製ボ−ルと共に挿入し、48時間の混合粉砕後、乾燥して混合粉末を得た。ここで、配合炭素量は、焼結後に中炭素合金(遊離炭素あるいはCo33C、Ni24Cなどを析出しない健全相領域範囲の中央)となるように、Cの添加により調整した。そして、これらの粉末をISO規格でSNMG120408のブレーカ付きチップ用金型に充填し、196MPaの圧力でもって圧粉成形体を作製し、カ−ボンブラック粉末を塗布したカ−ボン板上に設置した後、焼結炉に挿入して加熱焼結し、本発明品1〜10および比較品1〜7の超硬合金チップを得た。適用した昇温、焼結、冷却の各工程における雰囲気と冷却速度の詳細を表2に一括して示し、その条件番号を焼結保持での温度、時間と共に表1に併記した。
注)*所定温度まで雰囲気はすべて5Paの真空であり、また1000℃以上での昇温速度を15℃/minとした。
**焼結温度から1200℃までの平均の冷却速度。
こうして得られた超硬合金チップの各1個を用い、その中央を切断し、断面を1000#のダイヤモンド砥石で湿式研削加工した後、1μmのダイヤモンドペ−ストでラップ加工して断面組織観察用の試料を作製した。まず、光学顕微鏡で表面近傍の組織を観察し、立方晶系化合物相を含有しないか、あるいは明らかに少ない表面層の深さ(厚み)測定した。その結果を表3に示す。次に、電子顕微鏡を用いて各試料の表面(焼結肌)から内部に向かっての組織写真を順次撮り、画像処理装置を使用してWC相、金属結合相、立方晶系化合物相の含有体積を求めた。表面層中でのそれぞれの平均値と、表面から100μm内部におけるそれぞれの値を表3に併記した。さらに、立方晶系化合物相に関しては、100μm内部での含有量Vi(体積%)に対する表面層中での含有量Vs(体積%)の比率:Vs/Viを求めて表3に併記した。
表3の結果から、同一配合組成の混合粉末を焼結した場合に、従来の真空中での除冷、アルゴン中での急冷、窒素中での除冷、減圧窒素中での焼結と除冷、冷却途中での窒素中保持などでは、表面層中に立方晶系化合物が含有されないか、あるいは最表面に立方晶系化合物の析出層が形成されているのに対して、本発明の焼結終了後からの浸炭あるいは窒化雰囲気による急冷では、表面層中に立方晶系化合物相が含有されることが分かる。
注)*最表面に立方晶系化合物からなる析出層を生じた場合はこれを除いた。
また、組織写真の画像処理からWC、立方晶系化合物相の平均粒子径を求めた。さらに、表面層において立方晶系化合物相の含有量が最大となる位置(表面からの深さ)を測定した。これらの結果を表4に示す。
注)*立方晶系化合物相が50体積%を超える領域。
次に、前述の断面組織観察用試料の表面近傍について、走査型分析電顕を使用して表面(焼結肌)から内部に向かって組成のライン分析を行った。表面層中および表面から100μm内部付近における周期律表4a族元素および5a族元素の含有量の分析結果を表5に示す。また、周期律表4a族元素の含有量C4a(重量%)に対する周期律表5a族元素の含有量C5a(重量%)の比率:C5a/C4aを算出し、その結果を表5に併記した。表5の結果から、本発明品における表面層中の立方晶系化合物相は、いずれも超硬合金の100μm内部(配合成分とほぼ一致)に比べて周期律表5a族元素が富化されていた。
実施例1で得た、本発明品1、2、4、8、9、10および比較品1、2、3、5、6、7の超硬合金チップを用い、上下のボス面を270#のダイヤモンド砥石で研削加工(但し、刃先とブレーカ面は焼結肌)した後、320#の炭化けい素砥粒を含有したナイロン製ブラシで刃先部を研磨して半径0.1mmのRホーニングを施した。そして、洗浄した後にCVDコ−テイング装置に挿入し、H2、HCl、Ar、N2、TiCl4、CH3CN、CO2、AlCl3などの混合ガスを900〜1050℃に加熱することによって、超硬合金側から膜厚1.0μmのTiN、同6.0μmの柱状晶TiCN、同1.0μmのTiC、同3.0μmのAl23、同1.0μmのTiNの計12μmの被膜を被覆して被覆超硬合金チップをそれぞれ得た。
こうして得た被覆超硬合金チップのそれぞれ3個を用いて、被削材:S48C(4本溝入り)、切削速度:250m/min、切込み:2.0mm、送り:0.25mm/revの条件で乾式断続旋削試験を行い、切刃のチッピング、刃先の破損および平均逃げ面摩耗幅が0.30mmとなるまでの平均寿命時間を求めて、その結果を表6に示した。
表6より表面層の厚さが10〜32μmであり、立方晶系化合物相の含有比率(Vs/Vi)が0.15〜0.39である本発明品1、2、4、8、9、10は、比較品1、2、3、5、6、7に比較して長寿命であることが分かる。
本発明の超硬合金の一実施例の断面組織写真

Claims (4)

  1. 鉄族金属を主成分とする結合相:5〜20体積%と、タングステンと周期律表4a族元素の中の少なくとも1種と周期律表5a族元素の中の少なくとも1種とを含有した複合炭窒化物からなる立方晶系化合物相:2〜25体積%と、残りが炭化タングステンと不可避不純物とからなる超硬合金において、該超硬合金の表面から内部に向かって5〜50μmの深さに亘って該結合相量が増加し、かつ該立方晶系化合物相が減少した表面層が形成されており、該表面層における該立方晶系化合物相の平均含有量が該超硬合金の表面から100μm以上の内部における該立方晶系化合物相の平均含有量に対して1/10〜1/2である超硬合金。
  2. 上記表面層における周期律表4a族元素の平均含有量に対する周期律表5a族元素の平均含有量の比率は、該超硬合金の表面から100μm以上の内部における周期律表4a族元素の平均含有量に対する周期律表5a族元素の平均含有量の比率よりも大きい請求項1に記載の超硬合金。
  3. 上記表面層における周期律表4a族元素の平均含有量は、0.1重量%以下である請求項1または2に記載の超硬合金。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の超硬合金は、その表面に被膜を被覆した被覆超硬合金。
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