JP2006077265A - 超硬合金および被覆超硬合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】
鋼や鋳物の断続旋削やフライス切削などの切削加工において、切削工具の高速化対応と寿命延長が求められるようになった。
【解決手段】
表面から内部に向かって2〜10μmの深さに亘って第1表面領域を、さらに内部に向かって3〜15μmの深さに亘って第2表面領域をそれぞれ形成させ、第1表面領域は立方晶系化合物相を実質的に含有せず、かつ結合相の体積比率が表面から50μm以上の内部の体積比率に対して1.2〜3倍であり、第2表面領域は立方晶系化合物相の体積比率が表面から50μm以上の内部の体積比率に対して1.5〜5倍である超硬合金は、鋼や鋳物の断続旋削やフライス切削において工具寿命を延長する。

Description

本発明は、鋼の高速切削加工、特に断続旋削やフライス切削などに適した超硬合金および被覆超硬合金に関する。
一般に、鋼切削にはWC−TiC−TaC−Co系超硬合金の表面にTiC,TiN,TiAlN,Al23などの硬質被膜を被覆した被覆超硬合金が多用されている。被覆によって耐摩耗性が大幅に向上するものの、耐欠損性,耐チッピング性の低下を伴う。そこで、超硬合金の表面近傍にCo富化した強靱な領域を設けることによって、耐欠損性、耐チッピング性を向上させた超硬合金および被覆超硬合金が種々提案されている。
強靱表面層を有する超硬合金に関する従来技術には、Wを含有したIVa、Va、VIa族元素の炭窒化物からなるB−1型結晶構造を持つ相と、50重量%以上のWC相とを硬質相として有し、鉄属金属を結合金属として有し、かつ表面層の5〜200μmはB−1相の割合が、他の部分より少ないことを特徴とする超硬合金がある(例えば、特許文献1参照。)。この超硬合金は、表面層B−1相の減少により被覆超硬工具の耐欠損性,耐チッピング性を高める効果はあるが、表面層中に立方晶系化合物を残留させれば耐欠損性の改善が不十分であり、逆に,立方晶系化合物を残留させなければ耐摩耗性と耐塑性変形性が低下するという問題がある。
次に、表面に平行にラメラ状の軟質部を持ち、立方晶系化合物の含有量が内部に比べて減少していない表面層を有する被覆焼結合金工具がある(例えば、特許文献2参照。)。この被覆焼結合金工具は、ラメラ状の軟質部によって工具の耐欠損性を高めたものではあるが、表面部に脆弱な立方晶系化合物を多量に含有するために、その改善効果が不十分である。また脱炭と浸炭を繰り返して作製するために性能バラツキが大きくて製造が困難であるという問題がある。
また、立方晶系化合物を含有せず、内部から表面に向かってCo量が連続的に減少するCo富化層を形成させた切削工具用表面被覆炭化タングステン基超硬合金がある(例えば、特許文献3参照。)。この超硬合金は、表面近傍が硬化されているために切削時の耐塑性変形性は向上するものの、立方晶系化合物を含有しないために耐摩耗性が低下するという問題がある。
さらに、被覆層の界面直下に0.5 〜5μmの厚さの4a族並びに5a族および/または6a族の炭窒化物層が存在し、炭窒化物層直下に結合相富化領域が5〜100μmの厚さで存在してなる被覆超硬合金、および超硬合金を焼結する際、5〜50torrの窒素雰囲気で1300〜1400℃に加熱保持後、5〜0.5℃/分の冷却速度で1255℃以下まで冷却する工程を有する製法がある(例えば、特許文献4参照。)。この被覆超硬合金は、表面近傍が炭窒化物により硬化されて耐摩耗性や耐塑性変形性を向上させるものの、炭窒化物層は硬脆く、また熱膨張係数が大きくて母材との間に高い残留応力を生じるために、切削時の熱および機械的衝撃によって逆に膜剥離を起こし易くなるという問題がある。
特開昭54−87719号公報 特開昭60−187678号公報 特開平2−22453号公報 特開平5−171442号公報
近年の切削加工におけるコストダウン要求の高まりから、さらなる切削工具の寿命延長が求められるようになった。上述のような問題を有する従来の被覆超硬合金では、こうした要求に応えられなくなってきた。そこで、本発明は、Coが富化されて立方晶系化合物相を含有しない第1表面領域と、その内側に立方晶系化合物相が富化された第2表面領域とを設けることによって、耐欠損性を低下させることなく、耐摩耗性,耐塑性変形性を向上させた超硬合金および被覆超硬合金の提供を目的とする。
本発明者は、長年に亘り、強靱表面領域を有する被覆超硬合金について検討を行っていた所、第1表面領域の内側に第2表面領域を設けると、第2表面領域中での立方晶系化合物相の増大によって耐摩耗性や耐塑性変形性が著しく改善されること、従来組成の混合粉末を焼結途中で窒化した後、真空中で焼結し、再び窒化雰囲気にして冷却すれば、第1表面領域と第2表面領域が同時に形成されること、立方晶系化合物相が富化された第2表面領域は、焼結途中での窒化により表面近傍の立方晶系化合物相が窒化されると共に内部から表面に向かって拡散して凝集し、真空中での焼結によって窒化された立方晶系化合物相が分解して内部に向かって拡散して第1表面領域を形成し、窒化雰囲気での冷却によって立方晶系化合物相を形成する金属成分が再び表面に向かって拡散するために第2表面領域が形成されるという知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の超硬合金は、鉄族金属を主成分とする結合相:5〜25体積%と、タングステンと周期律表4a族元素の中の少なくとも1種と周期律表5a族元素の中の少なくとも1種とを含有した複合炭化物からなる立方晶系化合物相:5〜25体積%と、残りが炭化タングステンと不可避不純物とからなる超硬合金において、超硬合金の表面から内部に向かって2〜10μmの深さに亘って結合相と炭化タングステンとからなる第1表面領域が形成され、第1表面領域との界面から内部に向かって3〜15μmの深さに亘って結合相と立方晶系化合物相と炭化タングステンとからなる第2表面領域が形成され、第1表面領域における結合相の体積比率は超硬合金の表面から50μm以上の内部における結合相の体積比率に対して1.2〜3倍であり、第2表面領域における立方晶系化合物相の体積比率は超硬合金の表面から50μm以上の内部における立方晶系化合物相の体積比率に対して1.5〜5倍であるものである。
本発明の超硬合金における結合相は、具体的には、20重量%以下のW,Cr,Moなどを固溶したCo−W,Co−Cr−W,Ni−W−Cr,Fe−Ni−Moなどの合金を挙げることができる。結合相の体積比率は、5体積%未満では強度,靱性が低いために欠損し易く、逆に25体積%を超えて多くなると、硬さや耐摩耗性,耐塑性変形性が顕著に低下するため、結合相量を5〜25体積%と定めたものである。
本発明における立方晶系化合物相は、Wと、Ti,Zr,Hfなどの周期律表4a族元素の中の少なくとも1種と、V,Nb,Taなどの周期律表5a族元素の中の少なくとも1種とを含有した複合炭化物からなるもので、具体的には、(W,Ti,Ta)C、(W,Ti,Nb)C、(W,Zr,Ta)C、(W,Hf,V)Cなどを挙げることができる。ここで、立方晶系化合物相は、窒素を超硬合金全体に対して0.1重量%以下になるように含有しても良い。特に窒素は表面近傍に多く含有される場合がある。この立方晶系化合物相の体積比率は、超硬合金全体に対して5体積%未満になると耐摩耗性や耐塑性変形性が低下し、逆に25体積%を超えて多くなると靱性の低下により耐欠損性が劣化するために、5〜25体積%と定めたものである。
本発明における立方晶系化合物相に含有される周期律表4a族元素がチタンであり、立方晶系化合物相に含有される周期律表5a族元素がニオブおよび/またはタンタルであると、第1表面領域および第2表面領域の形成と制御が容易であり、特に第2表面領域における立方晶系化合物相の体積比率を高めるので好ましい。また、立方晶系化合物相における周期律表4a族元素の含有率に対する周期律表5a族元素の含有率の割合を示す比率は、原子比で1〜3の範囲であると、第1表面領域および第2表面領域の厚みと組成の制御が容易となるので好ましい。
本発明の超硬合金における第1表面領域は、超硬合金の表面から内部に向かって2〜10μmの深さに亘って立方晶系化合物相を含有せず、かつ結合相の体積比率が表面から50μm以上の内部における結合相の体積比率に対して1.2〜3倍のものである。第1表面領域の厚み(表面からの深さ)が2μm未満では耐欠損性,耐チッピング性を向上させる効果が少なく、逆に10μmを超えて大きくなると耐摩耗性や耐塑性変形性が低下するので、2〜10μmに定めた。また、第1表面領域の結合相の体積比率は、表面から50μm以上内部の結合相の体積比率に対して1.2倍未満では耐欠損性,耐チッピング性の向上効果が少なく、逆に3倍を超えて大きくなると耐摩耗性や耐塑性変形性が低下するので、1.2〜3倍に定めた。好ましくは、1.3〜2倍の範囲である。
本発明の超硬合金における第2表面領域は、結合相と炭化タングステンと立方晶系化合物相とからなり、第1表面領域との界面から内部に向かって3〜15μmの深さに亘って立方晶系化合物相の体積比率が表面から50μm以上内部の体積比率に対して1.5〜5倍であるものである。また、第2表面領域は、複数の立方晶系化合物相の粒子が連鎖するという組織を呈する。第1表面領域との界面からの深さ、すなわち第2表面領域の厚みは、3μm未満では耐摩耗性や耐塑性変形性を向上させる効果が少なく、逆に15μmを超えて大きくなると耐欠損性,耐チッピング性が低下するので、3〜15μmに定めた。また、第2表面領域における立方晶系化合物相の体積比率は、表面から50μm以上の内部における立方晶系化合物相の体積比率に対して1.5倍未満では耐摩耗性や耐塑性変形性の向上効果が少なく、逆に5倍を超えて大きくなると耐欠損性,耐チッピング性が低下するので、1.5〜5倍に定めた。好ましくは、2〜4倍の範囲である。
また、第2表面領域の立方晶系化合物相に含まれる周期律表4a族元素の重量比率(4a2)に対する第2表面領域の立方晶系化合物相に含まれる周期律表5a族元素の重量比率(5a2)の割合を示す比率(5a2/4a2):Xは、超硬合金の表面から50μm以上の内部の立方晶系化合物相に含まれる周期律表4a族元素の重量比率(4ai)に対する超硬合金の表面から50μm以上の内部の立方晶系化合物相に含まれる周期律表5a族元素の重量比率(5ai)の割合を示す比率(5ai/4ai):Yに対して1.5〜10倍であると、すなわち、X/Y=1.5〜10であると、第2表面領域の耐塑性変形性が向上するので好ましく、その中でも2〜5倍であると、さらに好ましい。
本発明の超硬合金の製造方法は、鉄属元素粉末と、炭化タングステン粉末と、少なくとも周期律表4a族元素と周期律表5a族元素とをそれぞれ含有した複合炭化物粉末とからなる混合粉末の加圧成形体を、真空中で1150℃まで昇温し、1150〜1350℃の範囲で窒化処理を施した後、真空中で1350〜1500℃に保持して焼結し、冷却時に窒化雰囲気として急冷するものである。具体的には、例えば、窒化処理は1250℃で0.1MPa(大気圧)の窒素を導入して3分間保持し、冷却時の窒化雰囲気は焼結終了直後に0.1MPaの窒素を導入する方法が挙げられる。
ここで、窒化処理は第1表面領域を形成させると共に、第2表面領域中に立方晶系化合物相を富化させるものである。窒化処理温度が1150℃未満では窒化速度が遅く、また加圧焼結体の収縮が完了していないために内部まで窒化されるために、第2表面領域を形成し難くなる。逆に、1350℃を超えると結合相の液相に溶解した周期律表4a族元素が表面に拡散して最表面に窒化物層を形成するために、第1表面領域を形成し難くなる。従って、最適な窒化処理温度は、加圧焼結体の収縮が完了し、結合相の液相が出現するまでの範囲である。一方、窒化処理の雰囲気圧力は、1kPa以上で、窒化処理の温度と時間の関係で圧力を調整すれば良い。
また、冷却時の窒化雰囲気は、第2表面領域中での立方晶系化合物相(特に周期律表5a族元素の炭窒化物)の富化を促進させるものである。真空焼結を終了してから結合相の液相が凝固するまで温度範囲を窒化雰囲気にすると、超硬合金内部の結合相に溶解した立方晶系化合物の金属成分(特に周期律表5a族元素)が表面に向かって第1表面領域の直下まで拡散し、結合相の凝固に伴って順次析出する。この析出は立方晶系化合物相粒子上で優先的に起こるため、第2表面領域中に立方晶系化合物相が富化される。しかし、冷却速度が遅い、雰囲気圧力が高過ぎる、窒化雰囲気の導入が高温過ぎる、などの場合に、第1表面領域中に周期律表5a族元素の炭窒化物が析出するので、これらの条件を制御する必要がある。
本発明の超硬合金の表面に硬質膜を被覆した被覆超硬合金は、耐摩耗性が向上するため好ましい。本発明の被覆超硬合金における硬質膜は、周期律表4a,5a,6a族元素,アルミニウム,シリコンの炭化物,窒化物,酸化物,ホウ化物およびこれらの相互固溶体並びに立方晶窒化ホウ素,ダイヤモンド,ダイヤモンドライクカーボンの中から選ばれた少なくとも1種からなり、具体的にはTiN,TiC,Ti(C,N),(Ti,Al)N,Al23などを挙げることができる。これらの硬質膜は従来から行われている物理蒸着法や化学蒸着法によって本発明サーメットの表面に被覆することができる。硬質膜の厚さは1〜20μmが好ましい。
本発明の超硬合金および被覆超硬合金は、立方晶系化合物を含有せず結合相が富化された第1表面領域が耐欠損性,耐チッピング性を向上させる作用をし、立方晶系化合物相が富化された第2硬質相が耐摩耗性,耐塑性変形性を向上させる作用をし、結果として切削工具として使用した際の寿命を顕著に改善しているものである。
本発明の超硬合金および被覆超硬合金は、結合相が富化され、かつ立方晶系化合物相を含有しない表面領域を有する従来の超硬合金部材に比べて、鋼の高速断続旋削に用いた場合に、耐摩耗性と刃先の塑性変形に伴う異常摩耗に強く、また耐欠損性,耐チッピング性にも優れているために、顕著に長寿命になるという効果がある。
本発明の超硬合金の断面組織の一実施例を図1に示す。図1は、実施例1における本発明品3を切断し、断面を#1000のダイヤモンド砥石で湿式研削加工した後、1μmのダイヤモンドペ−ストでラップ加工して断面組織観察用試料とし、村上氏試薬で腐食して光学顕微鏡で表面近傍の組織を撮影したものである。図1からは、超硬合金の表面から5μmの深さに亘って金属結合相が富化され、立方晶系化合物相を含有しない第1表面領域が形成され、その直下には7μmの深さに亘って村上氏試薬で腐食され易い立方晶系化合物相が富化されている第2表面領域が形成されていることが分かる。
本市販の平均粒径が1.5μmのWC(WC/Fと略記),4.5μmのWC(WC/Mと略記),1.1μmの(W,Ti)C(重量比でWC/TiC=70/30),1.2μmのTiCN(重量比でTiC/TiN=50/50),2.0μmのZrC,2.1μmのHfN,1.1μmのNbC,1.0μmのTaC,2.3μmのCr32,1.0μmのCoの各粉末を用いて、表1に示す配合組成に秤量し、ステンレス製ポットにアセトン溶媒と超硬合金製ボ−ルと共に挿入し、48時間の混合粉砕後、乾燥して混合粉末を得た。そして、これらの粉末をISO規格でSNMG120408のブレーカ付きチップ用金型に充填し、196MPaの圧力でもって圧粉成形体を作製し、カ−ボンブラック粉末を塗布したカ−ボン板上に設置した後、焼結炉に挿入して5Paの真空中で加熱焼結し、本発明品1〜5および比較品1〜5の超硬合金チップを得た。適用した窒化処理,焼結,冷却の各工程における雰囲気を表2に一括して示し、その条件番号を焼結保持での温度,時間と共に表1に併記した。
注)*窒化処理を除いた昇温時の雰囲気はすべて5Paの真空であり、また1000℃以上での昇温速度を15℃/minとした。
**焼結温度から1200℃までの平均の冷却速度は、条件番号1,2で25℃/min、条件番号3で15℃/minである。
こうして得られた超硬合金チップの各1個を用い、その中央を切断し、断面を#1000のダイヤモンド砥石で湿式研削加工した後、1μmのダイヤモンドペ−ストでラップ加工して断面組織観察用の試料を作製した。まず、光学顕微鏡で表面近傍の組織を観察し、最表面に存在する立方晶化合物を含有しない第1表面領域と、その直下に存在する立方晶化合物が富化された第2表面領域の厚みを測定した。次に、電子顕微鏡を用いて各試料の表面(焼結肌)から内部に向かっての組織写真を順次撮り、画像処理装置を使用してWC相,金属結合相,立方晶化合物相の体積比率を求めた。第1表面領域および表面から50μm内部におけるそれぞれの体積比率を表3に、第2表面領域における体積比率を表4に示す。さらに、金属結合相と立方晶化合物の体積比率について、50μm内部の体積比率に対する第1表面領域の体積比率の割合と、50μm内部の体積比率に対する第2表面領域の体積比率の割合を求めて表3と表4に併記した。
さらに、走査型分析電顕を使用し、第2表面領域の立方晶系化合物相に含まれる周期律表4a族元素の重量比率(4a2)と、第2表面領域の立方晶系化合物相に含まれる周期律表5a族元素の重量比率(5a2)と、超硬合金の表面から50μm以上の内部の立方晶系化合物相に含まれる周期律表4a族元素の重量比率(4ai)と、超硬合金の表面から50μm以上の内部の立方晶系化合物相に含まれる周期律表5a族元素の重量比率(5ai)とを測定し、(5a2/4a2):Xと、(5ai/4ai):Yと、X/Yとを算出し、これらの結果を表5に示す。
表3,4,5の結果から、比較品1,2(本発明品1,2と同一組成)では、窒化処理していないために、第1表面領域,第2表面領域とも形成されていない。比較品3,5(本発明品3,5より高窒素含有)では、第1表面領域が厚く、窒化冷却していないために、第2表面領域での立方晶化合物の富化が起こっていない。比較品4(本発明品4と同一組成)では、窒化処理していないために第1表面領域がやや薄く、窒化冷却していないために第2表面領域での立方晶系化合物相の富化が少ない。本発明品はいずれも、従来の組成および焼結方法である比較品と比べると、第1硬質相と共に立方晶系化合物相が富化(特に周期律表5a族元素が富化)された第2表面領域を有することが分かる。
実施例1で得た、本発明品2,3,4および比較品2,3,4の超硬合金チップを用い、上下のボス面を#270のダイヤモンド砥石で研削加工(但し、刃先とブレーカ面は焼結肌)した後、#320の炭化けい素砥粒を含有したナイロン製ブラシで刃先部を研磨して半径0.1mmのRホーニングを施した。そして、洗浄した後にCVDコ−テイング装置に挿入し、H2,HCl,Ar,N2,TiCl4,CH3CN,CO2,AlCl3などの混合ガスを900〜1050℃に加熱することによって、超硬合金側から1.0μmのTiN,6.0μmの柱状晶TiCN,1.0μmのTiC,3.0μmのAl23,1.0μmのTiNの計12μmを被覆して被覆超硬合金チップをそれぞれ得た。
こうして得た被覆超硬合金工具のそれぞれ3個を用いて、被削材:4本溝入りS48C,切削速度:250m/min,切込み:2.0mm,送り:0.25mm/revの条件で乾式断続旋削試験を行い、切刃のチッピング,刃先の破損および平均逃げ面摩耗幅が0.30mmとなるまでの平均寿命時間を求めて、その結果を表6に示した。比較品がチッピングや塑性変形を含む摩耗により寿命低下しているのに対し、本発明品は正常摩耗で長寿命となっている。
本発明の超硬合金の一実施例の断面組織

Claims (4)

  1. 鉄族金属を主成分とする結合相:5〜25体積%と、タングステンと周期律表4a族元素の中の少なくとも1種と周期律表5a族元素の中の少なくとも1種とを含有した複合炭化物からなる立方晶系化合物相:5〜25体積%と、残りが炭化タングステンと不可避不純物とからなる超硬合金において、超硬合金の表面から内部に向かって2〜10μmの深さに亘って結合相と炭化タングステンとからなる第1表面領域が形成され、第1表面領域との界面から内部に向かって3〜15μmの深さに亘って結合相と立方晶系化合物相と炭化タングステンとからなる第2表面領域が形成され、第1表面領域における結合相の体積比率は超硬合金の表面から50μm以上の内部における結合相の体積比率に対して1.2〜3倍であり、第2表面領域における立方晶系化合物相の体積比率は超硬合金の表面から50μm以上の内部における立方晶系化合物相の体積比率に対して1.5〜5倍である超硬合金。
  2. 第2表面領域における周期律表4a族元素の重量比率に対する周期律表5a族元素の重量比率は、超硬合金の表面から50μm以上の内部における周期律表4a族元素の重量比率に対する周期律表5a族元素の重量比率に対して1.5〜10倍である請求項1に記載の超硬合金。
  3. 立方晶系化合物相に含有される周期律表4a族元素はチタンであり、立方晶系化合物相に含有される周期律表5a族元素はニオブおよび/またはタンタルである請求項1または2に記載の超硬合金。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の超硬合金の表面に硬質膜を被覆した被覆超硬合金。
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