JP2006063416A - クロム含有超硬合金およびその被覆超硬合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】
硬さ,強度,靱性や耐摩耗性,耐溶着性,耐塑性変形性など改善することによって、鋼や鋳物の高速切削加工で長寿命を発揮するクロム含有超硬合金およびその被覆超硬合金の提供を目的とする。
【解決手段】
コバルトおよび/またはニッケルを主成分とする金属結合相:5〜20体積%と、クロムとチタンとNとを含有する複合化合物からなる分散相:2〜20体積%と、残りが炭化タングステンと不可避不純物とからなるクロム含有超硬合金は、硬さ,強度,靱性や耐摩耗性,耐溶着性,耐塑性変形性に優れる。
硬さ,強度,靱性や耐摩耗性,耐溶着性,耐塑性変形性など改善することによって、鋼や鋳物の高速切削加工で長寿命を発揮するクロム含有超硬合金およびその被覆超硬合金の提供を目的とする。
【解決手段】
コバルトおよび/またはニッケルを主成分とする金属結合相:5〜20体積%と、クロムとチタンとNとを含有する複合化合物からなる分散相:2〜20体積%と、残りが炭化タングステンと不可避不純物とからなるクロム含有超硬合金は、硬さ,強度,靱性や耐摩耗性,耐溶着性,耐塑性変形性に優れる。
Description
本発明は、鋼や鋳物の高速加工に用いた場合に、その中でも特に断続旋削やフライス切削などに用いた場合に、優れた耐摩耗性,耐欠損性,耐チッピング性を有するために長寿命を発揮する超硬合金および被覆超硬合金の基材に関し、具体的には、クロムとチタンとの複合化合物を分散・含有させることにより硬さ,靱性,強度などを改善したクロム含有超硬合金に関するものである。
超硬合金は、WCの粒度,Co量,添加炭化物の種類TiC,TaC,VC,Cr3C2などの添加炭化物の種類と量などを調整することにより、各用途で必要となる硬さ,強度,靱性,耐熱性,耐酸化性,耐食性などの合金特性を得ている。添加炭化物の内、特にCr3C2は、これらの合金特性のほとんどを改善できることから切削工具にも多用されている。
Crを含有する超硬合金に関する従来技術として、Crが金属結合相量に対して5〜35重量%含有され、該結合相量が合金の4〜25重量%を占め、残部が平均粒子径1〜10μmのWCで構成されたアルミ加工用超硬がある(例えば、特許文献1参照。)。また、3〜25重量%のCo及びNiの総量と、Co及びNiに対してCrを炭化クロム換算で10〜30重量%含み、残部が炭化タングステンおよび不可避不純物からなる超硬合金と、この超硬合金を母材とする被覆合金および被覆切削工具がある(例えば、特許文献2参照。)。
これらの超硬合金は、切削工具に使用する場合に最適なCr含有量およびCo/Ni比,WC粒度を限定したものではあるが、添加された炭化クロムや金属クロムは金属結合相中に溶解して合金化するために、クロム添加による耐溶着性,耐チッピング性や硬さ,靱性などの改善が十分でないと言う問題がある。また、添加量が多いと粗大なクロム化合物が析出して強度,靱性が激減すると言う問題がある。
一方、表面層を有する超硬合金に関する従来技術として、Wを含有したIVa、Va、VIa族金属の炭窒化物からなるB−1型結晶構造を持つ相と、50重量%以上のWC相とを硬質相として有し、鉄属金属を結合金属として有し、かつ表面層の5〜200・mはB−1相の割合が、他の部分より少ないことを特徴とする超硬合金がある(例えば、特許文献3参照。)。この超硬合金は、B−1相の減少により被覆超硬工具として用いた場合の耐欠損性,耐チッピング性を高めたものではあるが、合金内部に残存しているWを含むTiの炭窒化物が脆弱であるために、合金の全体の強度や靱性が低いと言う問題がある。
鋼や鋳物の切削加工において、高速化への対応と更なる寿命アップが超硬合金に求められている。これらの切削には(W,Ti,Ta)Cなどの立方晶化合物を含有した超硬合金、あるいはこれに硬質膜を被覆した被覆超硬合金が用いられているが、上述のような問題を有する従来の超硬合金では、こうした要求に応えられなくなってきた。そこで、本発明は、耐摩耗性と耐欠損性を同時に向上させ、かつ耐塑性変形性や耐溶着性も改善したクロム含有超硬合金の提供を目的とする。
本発明者は、長年に亘り、チタン系立方晶化合物を添加したクロム含有超硬合金の更なる性能向上について検討していた所、チタンとクロムとをそれらの複合化合物にして添加すると、合金中に均一・微細に分散するために硬さと靱性が向上すること、分散した複合化合物は強靱で耐溶着性に優れること、一部の複合化合物が分解して生じたクロムは結合相中に固溶してこれを強化すること、これらの相乗効果として、耐摩耗性,耐欠損性,耐溶着性および硬質膜との密着性など、切削に係わる特性が大幅に向上すると言う知見を得て本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明のクロム含有超硬合金は、Coおよび/またはNiを主成分とする金属結合相:5〜20体積%と、CrとTiとNとを含有する複合化合物からなる分散相:2〜20体積%と、残りがWCと不可避不純物とからなるクロム含有超硬合金において、該分散相は、組成式:(CraTibAc)(N1-d-eCdOe)zで表され、AはV,Nb,Ta,Zr,Hf,Mo,Wの中の少なくとも1種を表し、aはCrとTiとAとの合計に対するCrの原子比を表し、bはCrとTiとAとの合計に対するTiの原子比を表し、cはCrとTiとAとの合計に対するTiの原子比を表し、dはNとCとOとの合計に対するCの原子比を表し、eはNとCとOとの合計に対するOの原子比を表し、zはCrとTiとAとの合計に対するNとCとOとの合計の原子比を表し、a+b+c=1.0,0.1≦a≦0.7,0.1≦b≦0.9,0≦c≦0.8,0≦d<0.5,0≦e≦0.1,0.7≦z≦1.0を満足するものである。
本発明のクロム含有超硬合金における結合相は、Coおよび/またはNiを主成分とし、具体的には、15重量%以下のCrを固溶したCo−Cr,Co−Cr−W,Ni−Cr−W,Co−Ni−Cr−Moなどの合金を挙げることができる。結合相の含有量は、5体積%未満では強度,靱性が低いために欠損し易く、逆に20体積%を超えて多くなると、硬さや耐摩耗性,耐塑性変形性が顕著に低下するため、結合相量を5〜20体積%と定めたものである。
本発明のクロム含有超硬合金における分散相は、CrとTiとNとを含有する複合化合物からなるもので、B1型の立方晶化合物であり、組成式:(CraTibAc)(N1-d-eCdOe)zで表され、AはV,Nb,Ta,Zr,Hf,Mo,Wの中の少なくとも1種を表し、aはCrとTiとAとの合計に対するCrの原子比を表し、bはCrとTiとAとの合計に対するTiの原子比を表し、cはCrとTiとAとの合計に対するTiの原子比を表し、dはNとCとOとの合計に対するCの原子比を表し、eはNとCとOとの合計に対するOの原子比を表し、zはCrとTiとAとの合計に対するNとCとOとの合計の原子比を表し、a+b+c=1.0,0.1≦a≦0.7,0.1≦b≦0.9,0≦c≦0.8,0≦d<0.5,0≦e≦0.1,0.7≦z≦1.0を満足する。Zr,Hfは合金の耐塑性変形性を改善しMo,Wは靱性を改善するが、Zr,Hfが10原子%を超えると焼結性が劣化して強度,靱性が低下し、Mo,Wが10原子%を超えると複合化合物が不安定となって焼結時に分解する。分散相の含有量は、超硬合金全体に対して2体積%未満になると分散効果による硬さ,強度,靱性や耐塑性変形の改善効果が少なく、逆に20体積%を超えて多くなると複合化合物の凝集による強度,靱性の低下が顕著となるために、2〜20体積%と定めたものである。ここで、分散相である複合化合物以外に不可避不純物として、1体積%以下の炭化クロム(主にCr3C2など)や複合炭化物(Cr−Co−W―C系化合物など)を含有しても良い。
ここで、上記の組成式において、複合化合物の金属成分中でのCrの原子比を示すaの値は、0.1未満では複合化合物の硬さと耐溶着性の改善効果が低く、逆に0.7を超えて大きくなると、複合化合物が分解し易くなって結合相に過剰のCrが溶解し、Cr7C3が多量に析出して強度を低下させる。金属成分中でのTiの原子比を示すbの値は、0.1未満では相対的にCrの原子比が大きくなって同様の問題が起こり、逆に0.9を超えて大きくなると相対的にCrの原子比が小さくなりCrによる硬さと耐溶着性の改善効果が低くなる。金属成分中でのV,Nb,Ta,Zr,Hf,Mo,Wの原子比を示すcの値は、0.8を超えて大きくなると相対的にCrとTiの原子比が小さくなって、耐溶着性や耐摩耗性が低下する。
また上記の組成式において、非金属成分中でのCの原子比を示すdの値は、0.5以上になると、複合化合物が脆化し、また不安定となって合金中にCr7C3が多量に析出して強度・靱性を低下させる。dの値は低いほど好ましいが、焼結時に複合化合物の表面部は浸炭することがある。非金属成分中でのOの原子比を示すeの値は、0.1を超えて大きくなると、複合化合物が脆化すると共に巣孔発生による強度低下の原因となる。eの値は低いほど好ましいが、複合化合物の原料粉末合成時あるいは焼結時に雰囲気からOが混入することがある。金属成分の合計に対する非金属成分の合計の原子比を示すzの値は、0.7未満では焼結時に浸炭を起こして複合化合物が不安定となり、1.0を超えて大きくすることは製造上で困難となる。
本発明のクロム含有超硬合金は、表面から内部に向かって5〜200μmの深さに亘って分散相を含有しない表面領域、あるいは表面から5〜200μmの深さに亘り分散相の含有量が表面から内部に向かって漸次増加する表面領域が形成されていると、表面領域のみの靱性が著しく向上するため被覆超硬合金の基材として使用すると耐欠損性,耐チッピング性が大幅に改善されるので好ましい。
本発明の被覆超硬合金は、本発明の超硬合金の表面に、従来からある硬質膜の被覆方法によって作製することができる。具体的な硬質膜として、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)による周期律表4a,5a,6a族元素,アルミニウム,シリコンの炭化物,窒化物,酸化物およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた1種の単層または2層以上の積層でなる硬質膜が挙げられる。
本発明のクロム含有超硬合金は、従来からの方法で製造できる。すなわち、炭化タングステン粉末と、コバルトおよび/またはニッケルの金属粉末と、クロムとチタンとを主成分とする複合窒化物粉末とを粉砕混合し、得られる混合粉末を所定の形状に成形して粉末成形体とし、これを真空、窒素または不活性ガス中で1350〜1500℃にて焼結するものである。
本発明の製造方法において使用する複合窒化物は、酸素量が少なくて均一に固溶した粉末を作製する必要がある。しかし、CrNは大気圧の窒素雰囲気中でも1200℃以上では分解してCr2Nあるいは金属Crとなるため、TiNとの混合物を窒素中で高温処理しても、窒素含有量が多くて均一な固溶体は得られない。そこで、CrとTiと場合によってはV,Taなどの金属の混合粉末を高真空中で加熱処理して均一な合金あるいは金属間化合物とした後、1050〜1150℃の温度で窒化処理すれば均一な複合窒化物が得られるので望ましい。
本発明の製造方法における焼結工程での雰囲気は、添加された複合窒化物の分解を抑制するために窒素雰囲気中で昇温する必要があり、Cr含有率あるいは5a族元素含有率の高い複合窒化物ほど、昇温時と焼結時の窒素分圧を高くすると良い。また、合金の表面近傍に分散相を含有しないか、あるいは分散相量が漸次増加する表面領域を形成させる場合には、焼結保持の途中で窒素雰囲気を真空に変えると良い。
本発明のクロム含有超硬合金は、添加されたCrとTiとの複合化合物が硬さ,耐摩耗性,耐溶着性,耐塑性変形性など向上させる作用をし、複合化合物の微細分散が強度と靱性を改善する作用をしているものである。
本発明のクロムとチタンとの複合化合物を添加して得られるクロム含有超硬合金は、従来のCr3C2,TiN,(W,Ti)Cなどの複合添加によって得られる超硬合金に比べ、複合化合物自体が強靱で耐溶着性,耐塑性変形性に優れ、複合化合物が均一微細に分散して凝集し難いために高強度、高靱性になると言う効果がある。その結果として、高速での切削加工に用いた場合に、耐欠損性,耐チッピング性に優れ、また刃先の塑性変形や被削材の溶着に伴う異常摩耗を起こし難いために、顕著に長寿命になると言う効果がある。
まず、市販されている#325のCr,Ti,V,Nb,Ta,Zrの各金属粉末を用いて、表1に示す配合組成に秤量し、ステンレス製ポットに外掛けで0.2重量%のパラフィンワックスとヘキサン溶媒を超硬合金製ボ−ルと共に挿入し、24時間のボールミル後、乾燥して混合粉末とした。これらの混合粉末をジルコニア製ルツボに軽く充填し、加熱炉に挿入した後、1Paの真空中で昇温して1200℃で1時間の加熱処理を施した。引き続いて温度を1100℃に下げ、窒素ガスを除々に導入しながら圧力を上げて0.5MPaとした後、1100℃で1時間の窒化処理を施した。そして、この処理粉末を解砕し、上記ボールミルによる48時間の粉砕を行った後、再び加熱炉に挿入し、0.5MPaの窒素中での1100℃、1時間の再窒化処理を施して(A)〜(H)の複合窒化物粉末を得た。得られた複合窒化物粉末の平均粒子径(FSSS)とX線回折による同定の結果を表1に併記した。また、窒素量と酸素量の測定結果と計算から求めた組成式を表2に示す。
次に、得られた複合窒化物粉末(A)〜(H)および市販されている平均粒子径が1.5μmのWC(WC/mと記す),5.0μmのWC(WC/Cと記す),0.02μmのカーボンブラック(Cと記す),1.1μmのCr3C2,1.0μmのTaC,1.3〜2.1μmのCr2N,VN,NbN,TaN,TiN,0.6μmのCo,1.2μmのNiの各粉末を用い、表3に示した配合組成に秤量して、ステンレス製ポットにアセトン溶媒と超硬合金製ボールとともに挿入し、48時間混合粉砕後、乾燥して混合粉末を得た。ここで、配合炭素量は、焼結後に遊離炭素あるいはCo3W3C,Ni2W4Cを析出しない範囲の中炭素合金となる様に調整した。尚、同一番号の本発明品と比較品とでは、ほぼ同一組成(Crと窒素量を除く)となる様に配合した。
そして、これらの粉末を金型に充填し、196MPaの圧力でもって5.5×9.5×29mmの圧粉成形体を作製し、カーボンブラック粉末を塗布したカーボン板上に設置した後、焼結炉に挿入して加熱焼結し、本発明品1〜9および比較品1〜9の超硬合金を得た。適用した昇温,焼結,冷却の各工程における雰囲気条件の詳細を表4に一括して示し、その雰囲気の条件番号を焼結保持での温度,時間と共に表3に併記した。
こうして得られた各超硬合金の試片を、研削代が各焼結肌から0.2mm以上となる様に、#230のダイヤモンド砥石で湿式研削加工して4.0×8.0×25.0mmの形状に作製し、JIS法による抗折力を測定した。また、試片の一面を1μmのダイヤモンドペーストでラップ加工した後、ビッカース圧子を用いた荷重:196Nでの硬さおよび破壊靱性値:K1C(MI法)を測定した。これらの結果を表5に示す。さらに、各試片の窒素と酸素の含有量を測定した結果を表5に併記した。
表5の結果から、CrとTiとの複合窒化物を添加し、雰囲気制御して焼結した本発明品は、ほぼ同一組成の炭化物あるいは単独の窒化物を添加した比較品に比べ、抗折力50〜350MPa程度高く、硬さと破壊靱性値はそれぞれ同等以上で、かつ少なくとも一方は顕著に高くなっていることが分かる。尚、窒素量は本発明品が多く、酸素量は同等である。
次に、各試片のラップ面について希王水による金属結合相の腐食と村上氏試液による複合窒化物の弱い腐食とを実施した後、電子顕微鏡にて組織写真を撮り、画像処理装置を使用してWC相,金属結合相,分散相(複合窒化物,窒化物,複合炭化物など)および炭化クロムの含有体積と平均粒径(但し、結合相は除く)を求めた。これらの結果を表6に示す。
実施例1で得られた本発明品3,4および比較品3,4の混合粉末をISO規格でSNMG120408のブレーカ付きチップの金型に充填し、実施例1と同様の条件でプレス成形,焼結を行ってチップ素材を得た。そして、上下のボス面を#270のダイヤモンド砥石で研削加工した後、#320の炭化けい素砥粒を含有したナイロン製ブラシで研磨することにより、切れ刃部に半径0.03mmのホーニングを形成して本発明品10,11および比較品10,11の切削用チップを得た。
そして、被削材:FCD400の円盤(盤面に十字の溝入り),切削形態:乾式での盤面断続旋削,切削速度:100〜33m/min,切込み:2.0mm,送り:0.25mm/rev,評価基準:VB=0.3mmに達するかあるいは欠損、チッピングを生じるまでの切削時間、とした切削試験を実施した。その結果を表7に示す。
実施例1で得られた本発明品6,7,8,9および比較品6,7,8,9の混合粉末をISO規格でSNMG120408のブレーカ付きチップの金型に充填し、実施例1と同様の条件でプレス成形,焼結を行ってチップ素材を得た。そして、上下のボス面を#270のダイヤモンド砥石で研削加工した後、#320の炭化けい素砥粒を含有したナイロン製ブラシで研磨することにより、切れ刃部に半径0.05mmの丸ホーニングを形成して本発明品12,13,14,15および比較品12,13,14,15の被覆超硬合金用の基材チップを得た。
こうして得られた基材チップの各1個を用い、その中央を切断し、断面を#1000のダイヤモンド砥石で湿式研削加工した後、1μmのダイヤモンドペ−ストでラップ加工して断面組織観察用の試料を作製した。光学顕微鏡と電子顕微鏡により表面近傍の組織を観察し、分散相の分布状態を調査した。表面領域を分散相を含まない不含領域と内部に向かって漸次増加する傾斜領域とに大別し、その厚みの測定結果を表8に示す。
次に、各基材チップの表面にCVDコーティング装置を用いて、H2,HCl,Ar,N2,TiCl4,CH3CN,CO2,AlCl3などの混合ガスを950〜1050℃に加熱することによって、基材側から1.0μmのTiN,6.0μmの柱状晶TiCN,3.5μmのAl2O3,0.5μmのTiNの計11.0μmを被覆し、本発明品12,13,14,15および比較品12,13,14,15の被覆超硬工具チップを得た。
そして、各被覆超硬工具チップを用いて、被削材:S45Cの4本溝入り,切削速度:150m/min,切込み:2.0mm,送り:0.30mm/rev,湿式の条件で外周断続旋削試験を行った。切れ刃がチッピング,欠損または逃げ面摩耗量が0.3mmに達するまでの切削寿命時間を表9に示す。
本発明品は、基材の強度,靱性,耐塑性変形性や硬質膜との密着性に優れ、これらに原因する損傷が少ないために従来の比較品より長寿命である。
Claims (4)
- Coおよび/またはNiを主成分とする金属結合相:5〜20体積%と、CrとTiとNとを含有する複合化合物からなる分散相:2〜20体積%と、残りがWCと不可避不純物とからなるクロム含有超硬合金において、該分散相は、組成式:(CraTibAc)(N1-d-eCdOe)zで表され、AはV,Nb,Ta,Zr,Hf,Mo,Wの中の少なくとも1種を表し、aはCrとTiとAとの合計に対するCrの原子比を表し、bはCrとTiとAとの合計に対するTiの原子比を表し、cはCrとTiとAとの合計に対するTiの原子比を表し、dはNとCとOとの合計に対するCの原子比を表し、eはNとCとOとの合計に対するOの原子比を表し、zはCrとTiとAとの合計に対するNとCとOとの合計の原子比を表し、a+b+c=1.0,0.1≦a≦0.7,0.1≦b≦0.9,0≦c≦0.8,0≦d<0.5,0≦e≦0.1,0.7≦z≦1.0を満足するクロム含有超硬合金。
- 上記クロム含有超硬合金には、表面から内部に向かって5〜200μmの深さに亘って上記分散相を含有しない表面領域が形成されている請求項1に記載のクロム含有超硬合金。
- 上記クロム含有超硬合金には、表面から5〜200μmの深さに亘り上記分散相の含有量が表面から内部に向かって漸次増加する表面領域が形成されている請求項1に記載のクロム含有超硬合金。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のクロム含有超硬合金の表面に硬質膜を被覆した被覆超硬合金。
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