JP2005247907A - キトサン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

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Shinichiro Nishimura
紳一郎 西村
Gakuhei Ri
学兵 李
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SEIBUTSU YUKI KAGAKU KENKYUSHO KK
Hokkaido Electric Power Co Inc
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SEIBUTSU YUKI KAGAKU KENKYUSHO KK
Hokkaido Electric Power Co Inc
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Abstract

【課題】 より強力な生理活性を有するキトサン誘導体を提供する。
【解決手段】 キトサン誘導体は、下記式(i)、(ii)及び(iii);
【化33】
Figure 2005247907

(式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、種々の生理活性を有する複数の糖鎖を含む群から選択される1種又は2種以上の糖鎖が、前記R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基であり、x、y及びzは、モル比であって、0≦x<1、0<y≦1、0≦z<1、かつx+y+z=1である。)の構造単位を不規則な配列で含む。
【選択図】なし

Description

この発明は、生理活性を有する糖鎖が導入されているキトサン誘導体及びその製造方法に関する。
キチン及びそのN-脱アセチル化物であるキトサンは、年間生産量が推定1千億トン以上に上る、セルロースに次ぐ第2のバイオマス資源である。
キチン及びキトサンは、アミノ多糖という特殊な構造から由来するさまざまな物理的/化学的な特性や生体における生理活性を持つことから極めて有用な素材である。
しかしながら、キチン及びキトサンは、酸性条件下でしか水や有機溶媒に溶解しないため、その加工が困難である。その用途としては、例えば、創傷被覆材、抗菌繊維等の特定の用途に限定されているのが現状である。
キトサン分子は、反応性の高い第1級アミノ基をC2位に有している。この第1級アミノ基に、側鎖として、様々な官能基や官能性分子を導入し、キトサン分子に新たな機能(物理的/化学的な特性や生体における生理活性)を付与することができれば、キトサン資源の用途の劇的な拡大が可能である。すなわち、キトサンの高付加価値化によるキトサン資源の有効利用を図ることができる。
なお、この発明でいうところの「キトサン誘導体」とは、キトサン分子のC2位のアミノ基に、側鎖として、種々の官能基又は官能性分子を付加した化合物をいう。また、「導入」とは、キトサン分子のC2位のアミノ基に、種々の官能基又は官能性分子を付加することをいうものとする。
キトサン分子への導入が想定される官能基や官能性分子としては、まず第1に、特定の機能を有する官能基が挙げられる。
キトサン分子に、例えば、アルキル基やベンゾイル基等を導入し、有機化合物と相互作用する機能を持たせた膜素材が知られている(非特許文献1参照。)。
この膜素材は、アルコール水溶液やベンゼン/シクロヘキサン混合液を分離濃縮する用途が想定されている。
また、キトサンの溶媒への溶解性を向上させることを目的として、キトサン分子に、フタロイル基、メチレン基、トリメチルアンモニウム基をはじめとする種々の官能基を導入したキトサン誘導体が知られている。
導入される官能基がそれ自体で、生理活性を有する場合には、かかる官能基をキトサン分子に導入することで、生理活性をキトサン分子に付与することができる。このような例としては、キトサン分子への糖鎖の導入が挙げられる。
糖鎖は、生体内において細胞の分化・増殖、ガン化、免疫、感染、炎症反応など、さまざまな局面で細胞間認識や情報伝達に深く関与することが、最近、明らかとなってきている。このような生理活性を有する糖鎖を、種々の担体高分子に導入して、糖鎖及び担体高分子の特性をそれぞれ生かした機能性素材や医薬品の開発が盛んに行われている。
キトサン分子に、生理活性を有する糖鎖を導入する例としては、インフルエンザウイルスの宿主への感染能を阻害するキトサン誘導体を得ることを目的として、インフルエンザウイルスに対する結合活性を有する、シアル酸(Neu5Ac、Sia、N−アセチルノイラミン酸)を導入する例が知られている。
このシアル酸は、赤血球の表面に存在する糖鎖であって、インフルエンザウイルスが細胞に感染する際に、認識される糖鎖である。例えば、単糖のNeu5Ac(ノイラミン酸)を、キトサン分子に導入したキトサン誘導体が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
また、3つの糖残基からなるNeu5Acα2→3Galβ1→4GlcNAc(ノイラミン酸→ガラクトース→N−アセチルグルコサミン)を、キトサン分子に導入したキトサン誘導体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
加えて、キトサンの溶解性を向上させ、キトサンの取り扱いを容易にすることを目的として、グルコース(Glc)、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース(Gal)、ラクトース(Lac)といった糖鎖をキトサン分子に導入したキトサン誘導体が知られている(例えば、非特許文献3参照)。
特表2002-514186号公報 キチン・キトサン研究, 6 (2000) 90 H. Sashiwa et al., J. Chem. Soc. Chem Commun., (2000) 9 K. R. Holme et al Carbohydr. Res., (1992) 291
しかしながら、単糖のNeu5Acは、Neu5Acα2→3Galβ1→4GlcやNeu5Acα2→3Galβ1→4GlcNAcなどの糖鎖配列に比べ、インフルエンザウイルスとの結合力がほとんどないか、あるいは非常に弱い(鈴木 隆ら, 脂質生化学研究35, 103(1993)を参照されたい。)。非特許文献2の構成のように、Neu5Acを単糖のままキトサン分子に導入しただけではインフルエンザウイルスとの結合活性を十分なものとすることができない恐れがある。
また、特許文献1の開示によれば、Neu5Acα2→3Galβ1→4GlcNAcは、ヒト尿等からごく微量しか単離できない。従って、キトサン分子に導入されるNeu5Acα2→3Galβ1→4GlcNAc自体、非常に高価であり、製造されるキトサン誘導体も極めて高価なものとなってしまう。
このように、より強力な生理活性を有するキトサン誘導体を、簡易な工程により、より安価に提供することのできる技術が嘱望されている。
従って、この発明の目的は、生理活性を有する1種又は2種以上の糖鎖を、スペーサ基を介してキトサン分子のアミノ基に導入した新規キトサン誘導体及びその簡易な製造方法を提供することにあり、ひいてはキチン及びキトサン資源の高付加価値化による有効利用を実現することにある。
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。上述した課題を解決するにあたり、この発明のキトサン誘導体は、下記式(i)、(ii)及び(iii);
Figure 2005247907
(式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)Glcβ1→Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3Galβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GalNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Galβ1→、Neu5, 9Acα2→3Galβ1→、Neu5, 9Acα2→8Neu5Acα2→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、HO3S→3Galβ1→、Galβ1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3) Manα1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3)Manβ1→、Manα1→、GlcNAcβ1→、Galα1→4Galβ1→、Galα1→4Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4Glcβ1→、GlcNAcβ1→3Galβ1→、Galβ1→4GlcNAcβ1→、GalNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→、GalNAcβ1→3Galβ1→、GalNAcβ1→4Galβ1→、Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα1→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcβ1→、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)GlcNAcβ1→を含む群から選択される1種又は2種以上の糖鎖が、R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基であり、x、y及びzは、モル比であって、0≦x<1、0<y≦1、0≦z<1、かつx+y+z=1である。)の構造単位を不規則な配列で含んでいる。
また、この発明のキトサン誘導体は、下記式(i)、(ii)及び(iii);
Figure 2005247907
(式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)Glcβ1→Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3Galβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GalNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Galβ1→、Neu5, 9Acα2→3Galβ1→、Neu5, 9Acα2→8Neu5Acα2→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、HO3S→3Galβ1→、Galβ1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3) Manα1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3)Manβ1→、Manα1→、GlcNAcβ1→、Galα1→4Galβ1→、Galα1→4Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4Glcβ1→、GlcNAcβ1→3Galβ1→、Galβ1→4GlcNAcβ1→、GalNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→、GalNAcβ1→3Galβ1→、GalNAcβ1→4Galβ1→、Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα1→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcβ1→、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)GlcNAcβ1→を含む群から選択される糖鎖が、R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基であり、x、y及びzは、モル比であって、0≦x<1、0<y≦1、0≦z<1、かつx+y+z=1である。)の構造単位を不規則な配列で含んでいる。
さらに、この発明のキトサン誘導体は、下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
Figure 2005247907
(式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するN−アセチルグルコサミン残基であり、R3基は、Neu5Acα2→3Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5Gcα2→3Galβ1→4、Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)を含む群から選択される、R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)の構造単位を不規則な配列で含んでいる。
さらにまた、この発明のキトサン誘導体は、下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
Figure 2005247907
(式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するN−アセチルガラクトサミン残基であり、R3基は、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、及びGalβ1→3を含む群から選択される、R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)
の構造単位を不規則な配列で含んでいる。
また、この発明のキトサン誘導体は、下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
Figure 2005247907
(式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するラクトース残基であり、R3基は、Neu5Acα2→3、Neu5Acα2→6、Galα1→4、Neu5Gcα2→3、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)及びNeu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)を含む群から選択される、R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)の構造単位を不規則な配列で含んでいる。
さらに、この発明のキトサン誘導体は、下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
Figure 2005247907
(式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するグルコース残基であり、R3基は、R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するNeu5Acα2→3Galβ1→3、又はNeu5Acα2→6Galβ1→3(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)の構造単位を不規則な配列で含んでいる。
さらにまた、この発明のキトサン誘導体は、下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
Figure 2005247907
(式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するガラクトース残基であり、R3基は、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5, 9Acα2→3、Galα1→4、Neu5Acα2→3、GlcNAcβ1→3、GalNAcβ1→3及びGalNAcβ1→4を含む群から選択される、R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)の構造単位を不規則な配列で含んでいる。
また、この発明のキトサン誘導体は、下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
Figure 2005247907
(式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、前記R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するマンノースであり、R3基は、前記R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するManα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)又はManα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3)(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)の構造単位を不規則な配列で含んでいる。
上述したこの発明のキトサン誘導体は、好ましくは、その分子量を、1kDaから1000kDaの範囲とするのがよい。
上述したこの発明のキトサン誘導体を繊維状の性状とする場合には、引張強度が0.1cN/dtexから5cN/dtexの範囲とすればよい。
この発明のキトサン誘導体の製造方法によれば、(1)N−アセチルグルコサミンに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、N−アセチルグルコサミン残基−アルキル基結合体を形成する工程と、(2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、N−アセチルグルコサミン−アルキル基結合体を導入して、N−アセチルグルコサミン残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、(3)N−アセチルグルコサミン残基−スペーサ基−キトサン中間体のN−アセチルグルコサミン残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Neu5Acα2→3Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5Gcα2→3Galβ1→4、Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)を含む群から選択される糖鎖(末尾の数字は前記N−アセチルグルコサミン残基の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程とを含んでいる。
また、この発明のキトサン誘導体の製造方法によれば、(1)N−アセチルガラクトサミンに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、N−アセチルガラクトサミン残基−アルキル基結合体を形成する工程と、(2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、N−アセチルガラクトサミン残基−アルキル基結合体を導入して、N−アセチルガラクトサミン残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、(3)N−アセチルガラクトサミン残基−スペーサ基−キトサン中間体のN−アセチルガラクトサミン残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、及びGalβ1→3を含む群から選択される糖鎖(末尾の数字は糖の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程とを含んでいる。
さらに、この発明のキトサン誘導体の製造方法によれば、(1)ラクトースに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、ラクトース残基−アルキル基結合体を形成する工程と、(2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、ラクトース残基−アルキル基結合体を導入して、ラクトース残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、(3)ラクトース残基−スペーサ基−キトサン中間体のラクトース残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Neu5Acα2→3、Neu5Acα2→6、Galα1→4、Neu5Gcα2→3、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)及びNeu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)を含む群から選択される糖鎖(末尾の数字はラクトース残基の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程とを含んでいる。
さらにまた、この発明のキトサン誘導体の製造方法によれば、(1)グルコースに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、グルコース残基−アルキル基結合体を形成する工程と、(2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、グルコース残基−アルキル基結合体を導入して、グルコース残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、(3)グルコース残基−スペーサ基−キトサン中間体のグルコース残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Neu5Acα2→3Galβ1→3、又はNeu5Acα2→6Galβ1→3(末尾の数字はグルコース残基の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程とを含んでいる。
また、この発明のキトサン誘導体の製造方法によれば、(1)ガラクトースに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、ガラクトース残基−アルキル結合体を形成する工程と、(2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、ガラクトース残基−アルキル基結合体を導入して、ガラクトース残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、(3)ガラクトース残基−スペーサ基−キトサン中間体のガラクトース残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5, 9Acα2→3、Galα1→4、Neu5Acα2→3、GlcNAcβ1→3、GalNAcβ1→3及びGalNAcβ1→4を含む群から選択される糖鎖(末尾の数字は糖残基の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程とを含んでいる。
さらに、この発明のキトサン誘導体の製造方法によれば、(1)マンノースに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、マンノース残基−アルキル基結合体を形成する工程と、(2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、マンノース残基−アルキル基結合体を導入して、マンノース残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、(3)マンノース残基−スペーサ基−キトサン中間体のマンノース残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)、又はManα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3)(末尾の数字はマンノース残基の炭素の位置を示す。)を伸長させる。
さらにまた、この発明のキトサン誘導体の製造方法によれば、(1)Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)Glcβ1→Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3Galβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GalNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Galβ1→、Neu5, 9Acα2→3Galβ1→、Neu5, 9Acα2→8Neu5Acα2→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、HO3S→3 Galβ1→、Galβ1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3) Manα1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3)Manβ1→、Manα1→、GlcNAcβ1→、Galα1→4Galβ1→、Galα1→4Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4Glcβ1→、GlcNAcβ1→3Galβ1→、Galβ1→4GlcNAcβ1→、Galβ1→、GalNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→、GalNAcβ1→3Galβ1→、GalNAcβ1→4Galβ1→、Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα1→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcβ1→、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)GlcNAcβ1→を含む群から選択される1種又は2種以上の糖鎖に、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、糖残基−アルキル結合体を形成する工程と、(2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、糖残基−アルキル基結合体を導入する工程とを含む。
上述した製造方法において、出発物質であるキトサン分子は、好ましくは、分子量が1kDaから1000kDaの範囲とするのがよい。
また、上述した製造方法において、製造されるキトサン誘導体の性状を繊維状とする場合には、出発物質であるキトサン分子は、好ましくは、繊維状であって、引張強度を0.1cN/dtexから5cN/dtexの範囲とするのがよい。
この発明のキトサン誘導体は、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、グルコース、ガラクトース及びマンノースを含む群から選択される1種の糖に、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、糖残基−スペーサ基結合体を形成し、キトサン分子のグルコサミン残基に対し、糖残基−スペーサ基結合体を導入して、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成し、当該糖残基−スペーサ基−キトサン中間体に導入された糖残基−スペーサ基に対して、1種又は2種以上の糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、糖がN−アセチルグルコサミンの場合には、Neu5Acα2→3Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5Gcα2→3Galβ1→4、Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)を含む群、又は糖がN−アセチルガラクトサミンの場合には、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、及びGalβ1→3を含む群、糖がラクトースの場合には、Neu5Acα2→3、Neu5Acα2→6、Galα1→4、Neu5Gcα2→3、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)及びNeu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)を含む群、糖がグルコースの場合にはNeu5Acα2→3Galβ1→3、又はNeu5Acα2→6Galβ1→3、糖がガラクトースの場合にはNeu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5, 9Acα2→3、Galα1→4、Neu5Acα2→3、GlcNAcβ1→3、GalNAcβ1→3及びGalNAcβ1→4を含む群、或いは糖がマンノースの場合にはManα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)、又はManα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3から選択される糖鎖(末尾の数字は前記糖の炭素の位置を示す。)を伸長させることにより得ることができる。
上述した製造方法において、出発物質であるキトサン分子は、好ましくは、分子量が1kDaから1000kDaの範囲とするのがよい。
また、上述した製造方法において、製造されるキトサン誘導体の性状を繊維状とする場合には、出発物質であるキトサン分子は、好ましくは、繊維状であって、引張強度を0.1cN/dtexから5cN/dtexの範囲とするのがよい。
また、この発明のキトサン誘導体の製造方法によれば、複数個の糖単位の残基を含む、生理活性を有する糖鎖をキトサン分子に導入するにあたり、(1)第1の糖単位に、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキル基を含むスペーサ基を付加して、糖残基−スペーサ基結合体を合成する工程と、(2)キトサン分子のグルコサミン残基に、糖残基−スペーサ基結合体を導入して、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体を合成する工程と、(3)糖残基−スペーサ基−キトサン中間体の糖残基に、第2の糖単位を、当該第2の糖単位に所定の糖転移酵素の存在下で付加する工程と、(4)所定の鎖長に達するまで、第n(nは3以上の正数である。)の糖単位を、第n−1の糖単位が付加されている、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体の糖残基に、当該第nの糖単位に所定の糖転移酵素の存在下で付加するサブ工程を繰り返す工程とを含んでいる。
生理活性を有する糖鎖は、一般に、それ自体単独では、生理活性が発現しにくい。しかしながら、この発明のキトサン誘導体によれば、かかる糖鎖をキトサン分子に導入することにより、いわゆる「糖鎖のクラスター効果」(Y. C. Lee, Carbohydr. Res., 67, 609 (1978)を参照されたい。)を得ることができる。従って、糖鎖に固有の生理活性を顕著に増幅することができる。
キトサンは、生分解性を有するバイオポリマーである。従って、生体親和性(生体に対して無毒性)が高いので、例えば、ポリアミドやポリアセチレンなどの人工合成ポリマーより、生体親和性の高いキトサンを担体とした生理活性を有する糖鎖が導入されたキトサン誘導体は、環境負荷が明らかに低いといえる。従って、医薬品や食品添加剤等への応用も期待できる。
さらに、キトサン自体、大腸菌や肺炎桿菌など幅広い細菌に対して増殖阻止活性、すなわち抗菌性を有することが知られている(T. Tanigawa, et. al, in Advance in Chitin and Chitosan, C. Brine, et. al, eds, Elsevier Applied Science, London and New York, P. 206 (1992)を参照されたい。)。
従って、キトサン分子に、上述した細菌に対する生理活性を有する糖鎖を、導入することができれば、細菌に対する吸着性と増殖阻止活性という、キトサン分子自体による生理活性と導入された糖鎖による生理活性とによる相乗効果を得ることができる。
また、この発明のキトサン誘導体の製造方法によれば、簡易な工程により、より安価に顕著な生理活性を有するキトサン誘導体を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態につき説明する。なお、以下の説明において、特定の材料、条件及び数値条件等を用いる場合があるが、これらは好適例の1つに過ぎず、従って、この発明は何らこれらに限定されるものではない。
この発明のキトサン誘導体は、キトサン分子のグルコサミン残基に、単糖又はオリゴ糖である1又は2以上の糖単位を含む生理活性を有する糖鎖が、導入されている。キトサン分子は、N−アセチル−D−グルコサミンがβ(1→4)結合により、多数重合した、糖鎖ポリマーであるキチン分子から合成される。具体的には、カニやエビなどの甲殻類の殻成分として存在するキチン分子を、熱濃アルカリ中でN−脱アセチル処理することにより工業的に生産されている。
この発明でいうキトサン分子とは、上述したキチン分子を構成するグルコサミン残基のうち、少なくとも60%がN−脱アセチル化されている分子をいう。
多数の糖残基から構成される分子量の大きな天然由来のキトサン分子は、加水分解すれば、より分子量の小さい任意の分子量のキトサン分子に加工することができる。また、キトサン分子は、常法に従って、粉末状、繊維状等の所望の性状の素材に加工することができる。
この発明のキトサン誘導体の原料(出発物質)として使用されるキトサン分子の性状又は分子量にはいずれの制約もなく、目的に応じて適宜選択することができる。繊維状のキトサン分子の構造及びその製造方法については、例えば特開2002−128958号公報を参照されたい。
この発明のキトサン誘導体の出発物質として好適なキトサン分子の性状としては、例えば、粉末状、繊維状、フィルム状、シート状、ハイドロゲル状のキトサン分子が挙げられる。
キトサン分子のグルコサミン残基に対する糖残基−アルキル基結合体の導入率であるDSが、0<DS≦1の範囲となるように、設定すれば、糖鎖が奏する所望の生理活性を得られると考えられる。導入率は、詳細については後述するが、実施例において実際に得られている活性を考慮すると、脱アセチル化されているグルコサミン残基のうち、好ましくは、少なくとも5%程度として、グルコサミン残基に導入すればよい。
また、それぞれ別個の生理活性を奏する複数種類の糖鎖をキトサン分子内に導入することもできる。このようにすれば、導入されたそれぞれの糖鎖が奏する生理活性をキトサン誘導体に付与することができる。すなわち、キトサンのより多機能化、ひいては高付加価値化を図ることができる。
この発明のキトサン誘導体の構成によれば、これら生理活性を有する糖鎖は、アルキレン基等のスペーサ基を介して、グルコサミン残基のアミノ基に導入される。
生理活性を有する糖鎖とキトサン分子とは、互いに離間する距離が大きいほど、糖鎖の分子運動能が向上し、糖鎖の有する生理活性が増強される。また、官能基同士の不所望の反応を防止する必要がある。従って、スペーサ基は、好ましくは、他の官能基との反応性の小さい直鎖状基を選択するのがよい。直鎖状スペーサ基は、好ましくは、炭素数1個から20個の範囲のアルキレン基とするのがよい。
ここで、この発明のキトサン誘導体に導入して好適な糖鎖を表1に示す。
Figure 2005247907
上述した生理活性を有する糖鎖とスペーサ基とからなる糖残基−スペーサ基結合体は、いわゆる化学合成法により、キトサン分子中のアミノ基に、側鎖として直接的に導入することができる。ここでいう化学合成法とは、予めスペーサ基を糖鎖に導入し、当該スペーサ基がアルデヒド基を有する、糖残基−スペーサ基結合体を合成し、このアルデヒド基とキトサン分子の有するアミノ基とを反応させて糖残基−スペーサ基結合体を側鎖としてキトサンに導入する方法である。
このような化学合成法によれば、糖単位を3つ以上含む糖鎖であっても、予め糖残基−スペーサ基結合体を合成し、スペーサ基にアルデヒド基を付加しさえすれば、キトサン分子に導入することができる。表1に示されるすべての糖鎖は、この化学合成法により、キトサン分子に、側鎖として導入することができる。
化学合成法は、酵素法に比べ、比較的コストの高い糖ヌクレオチドを使用しないので、より安価にキトサン誘導体を提供することができる。また、現時点では酵素反応に必要な糖転移酵素の入手が容易でない場合も多いので、化学合成法はより普遍的で応用範囲も広い、すなわち、より実施しやすいといえる。
しかしながら、化学合成法によれば、導入される糖単位の残基数が増加するに従って、そのアルデヒド誘導体の合成工程で多くの水酸基保護、脱保護を繰り返す必要がある。従って、工程が煩雑なものとなってしまう。このため、最終生成物の収率が低下してしまう恐れがある。また、糖残基−スペーサ基結合体を、キトサン分子に導入する工程においても、糖単位の残基数が多くなるほど、立体障害に伴う収率の低下が懸念される。
従って、工程数の減少及び収率の向上といった観点から、化学合成法を改良して、酵素法による糖鎖の伸長工程を組み込んで、キトサン誘導体の合成を行うのがよい。
以下、この酵素法につき説明する。
酵素法は、上述した化学合成法により合成される糖残基−スペーサ基−キトサン中間体(この段階での糖残基は、所望の完全な鎖長を有していない。)中の糖残基に、糖転移酵素を用いて、さらなる糖単位を付加する、糖鎖(糖残基)の伸長工程を含んでいる。
このような酵素法による糖単位の付加工程を、1回又は2回以上繰り返して行うことにより、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体の糖残基は、所望の糖鎖配列を含み、かつ所望の生理活性を有する糖鎖として完成する。すなわち、目的とするキトサン誘導体を得ることができる。
糖転移酵素は、単糖のヌクレオチド誘導体である糖ヌクレオチド(糖供与体)を、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体(糖受容体)の糖残基に対して、糖ヌクレオチドのうち、単糖残基のみを位置選択的に転移する反応を触媒する。すなわち、糖転移酵素を用いれば、所望の糖供与体(糖単位)を、所望の糖受容体(糖残基)の特定の位置(炭素)に、付加して、糖受容体の糖残基の鎖長を伸ばすことができる。
1.酵素法
以下に、酵素法を適用したキトサン誘導体の製造方法につき説明する。ここでは、糖鎖の伸長工程前に、予め、キトサン分子内に導入しておく糖残基−スペーサ基中の糖残基に着目して説明する。すなわち、先ず糖残基の種類により、第1及び第2の糖残基群に分類する。次いで、糖残基それぞれの導入工程、糖鎖の伸長工程及びこの伸長工程に使用される糖転移酵素につき説明する。
第1の糖残基群は、GlcNAc(N−アセチルグルコサミン)残基及びGalNAc(N−アセチルガラクトサミン)残基を含んでいる。第2の糖残基群は、Galβ1→4Glc(ラクトース)残基、Glc(グルコース)残基、Gal(ガラクトース)残基及びMan(マンノース)残基を含んでいる。これらの残基のいずれかを、予め、スペーサ基を介して、化学的にキトサン分子に導入した後に、酵素法による糖鎖の伸長工程を実施する。
先ず、第1の糖残基群のキトサン分子への導入工程例につき説明する。
Figure 2005247907
反応式(I)に示すように、N−アセチルグルコサミンを出発物質とし、2位以外の水酸基をアセチル(Ac)化することにより、式(a)の化合物を得る。
次いで、式(a)の化合物を、ルイス酸(TMSOTf)の存在下で分子内反応させ、オキサゾリンである式(b)の化合物を得る。
次に、式(b)の化合物を、5‐ヘキセン‐1‐オールとジクロロエタン中で縮合させて、式(c)の化合物を得る。
さらに、式(c)の化合物を、脱アセチル化することにより、糖残基(N−アセチルグルコサミン残基)−アルキル基結合体である式(d)の化合物を得る。
次いで、式(d)の化合物の末端二重結合を、オゾン酸化することにより、式(e)のN−アセチル‐D‐グルコサミンのアルデヒド誘導体を得る。
然る後、酢酸の水溶液中で、このアルデヒド誘導体のアルデヒド基と、キトサン分子のアミノ基とを反応させ、スペーサ基を介してN−アセチルグルコサミン残基を側鎖に有する式(f)のキトサン誘導体を得る。
ここでは、キトサン分子に、化学法により、GlcNAcを導入する例を説明したが、全く同様の条件の工程により、GalNAc(N−アセチルガラクトサミン)を導入することができる。
上述した第1の糖残基群に含まれるGlcNAc(N−アセチルグルコサミン)残基又はGalNAc(N−アセチルガラクトサミン)残基を予め導入して、これを糖受容体としたときの、これらに適用して好適な糖供与体(糖ヌクレオチド)、及び当該糖供与体に対応する糖転移酵素の例を、以下に表2として示す。
Figure 2005247907
ここで、表2について説明する。左欄には、導入される糖鎖の構造を示してある。かかる糖鎖の右側末端に位置するGlcNAc(N−アセチルグルコサミン)残基又はGalNAc(N−アセチルガラクトサミン)残基は、予め、化学合成法により、キトサン分子に導入されている糖単位を表している。このGlcNAc又はGalNAcを糖受容体として、その左側に示した糖単位を順次に付加していく。左欄の糖残基に付された矢印が指す数字は、転移される糖単位が結合する糖受容体(糖残基)の炭素の位置を示している。
右欄には、転移される糖単位に対応する糖転移酵素及びこの糖転移酵素により糖単位を糖受容体に転移する糖供与体である糖ヌクレオチドの組み合わせを、順に示してある。
ここで、糖ヌクレオチド及びこの糖ヌクレオチドを糖供与体として使用する糖鎖の伸長工程について、簡単に説明する。
糖供与体である糖ヌクレオチドは、糖残基とヌクレオチド残基により構成されている。糖転移酵素は、糖転移反応において、糖ヌクレオチドから糖残基を糖受容体に転移する反応を触媒して糖鎖の伸長反応を行う。この糖転移反応の仕組みに従い、予めGlcNAcのような簡単な糖鎖を導入しておいたキトサン誘導体(中間体)の糖鎖を伸長させることにより、目的の生理活性を奏する糖鎖が導入されたキトサン誘導体を合成することができる。
第2の糖残基群のキトサン分子への導入工程については、その一例として、Neu5Acα2→3Galβ1→4Glcβ1→のキトサン分子への導入工程が、実施例1として以下に記載されているので参照されたい。
ここでは、キトサン分子に、化学法により、Galβ1→Glcβ1を予め導入する例を説明したが、全く同様の条件の工程により、Glc、Gal、又はManを導入することができる。
表2左欄に示されているすべての糖鎖の伸長工程は、所望の糖鎖に応じた糖供与体及び当該糖供与体の選択を除き、上述と同様の工程及び条件で実施することができる。
第2の糖残基群に含まれるGalβ1→4Glc、Glc、Gal、又はManを糖受容体としたときの、これらに適用して好適な糖供与体(糖ヌクレオチド)、及び当該糖供与体に対応する糖転移酵素の例を、以下に表3として示す。
Figure 2005247907
ここで、表3について説明する。表2と同様に、左欄には、導入されるべき糖鎖の構造を示してある。また、表2と同様に、右欄には、転移される糖単位に対応する糖転移酵素及びこの糖転移酵素により糖単位を糖受容体に転移する糖供与体である糖ヌクレオチドの組み合わせを、順に示してある。
上記表3左欄に示されている糖鎖のうち、Galβ1→4Glc、Glc、Gal、又はMan残基を糖受容体とする糖鎖の伸長工程の一例として、Neu5Acα2→3Galβ1→4GlcNAcβ1→を含むキトサン誘導体の製造工程が、実施例1として、以下に説明されているが、表3左欄に示されているすべての糖鎖の伸長工程は、所望の糖鎖に応じた糖供与体及び当該糖供与体の選択を除き、かかる実施例に記載の条件と、同一の条件で実施することができる。
上記表2及び表3に記載されている糖供与体及び糖転移酵素はいずれも、文献等の刊行物によりその製造方法及び入手経路が明らかであるか、又は市販されている。
所望の糖供与体及びこの糖供与体に対応する糖転移酵素の機能が発揮される条件、すなわち、糖受容体の糖残基の鎖長を伸長する反応における至適な条件は、文献等の刊行物又は入手先の示唆及び指示に従って、任意好適な反応条件を設定すればよい。
この発明のキトサン誘導体は、親水性の糖側鎖を有するため、中性の条件下(pH=7)でも高い水溶性を示す。従って、この発明のキトサン誘導体へのさらなる加工や化学的/生物学的な修飾を容易に行うことができる。すなわち、この発明のキトサン誘導体に、他の活性を奏する官能基又は官能性分子の付加、置換等を行って、さらなる高付加価値化を図ることもできる。
ここで、一例として、炎症反応やガン細胞転移に深くかかわっている、シアリルルイスX(SiaLex;Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAc)と呼ばれる4つの糖残基からなる糖鎖を、酵素法により、キトサン分子内に導入する方法について説明する。
反応式(II);
Figure 2005247907
に示すように、先ず、化学合成法により、N−アセチルグルコサミンにスペーサ基が付加されている、式(1)の化合物を合成する。次いで、キトサン分子に、糖残基−スペーサ基結合体である式(1)の化合物を、側鎖として導入して、式(2)の糖残基−スペーサ基−キトサン中間体を得る。
次に、反応式(III);
Figure 2005247907
に示すように、UDP−Galとβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼとを用いて、ガラクトースを、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体のN-アセチルグルコサミン残基に付加して、式(3)の糖残基−スペーサ基−キトサン中間体を得る。
次いで、反応式(IV);
Figure 2005247907
に示すように、CMP-N-アセチルノイラミン酸とα2,3-(N)-シアリルトランスフェラーゼとを用いて、N-アセチルノイラミン酸を、式(3)の糖残基−スペーサ基−キトサン中間体のガラクトース残基に付加して、式(4)の糖残基−スペーサ基−キトサン中間体を得る。
然る後、反応式(V);
Figure 2005247907
に示すように、GDP−Fucとα1,3-(N)-フコシルトランスフェラーゼとを用いて、式(4)の糖残基−スペーサ基−キトサン中間体のN−アセチルグルコサミン残基に、フコースを付加する。このようにして、式(5)のキトサン誘導体を得る。
すなわち、予めキトサン分子に導入されているGlcNAc残基に、ガラクトース(Gal)、シアル酸(Neu5Ac)、フコース(Fuc)を、それぞれ対応する糖転移酵素を用いて順次に付加することにより、糖鎖を伸長して、目的のキトサン誘導体を得る。
この例で、キトサン分子に導入されるシアリルルイスXは、分枝鎖としてフコース残基を含んでいる。このように、予めキトサン分子に導入された糖鎖に、分枝鎖としてさらにフコースを導入する場合には、収率の低下を防止するために、最後にフコースの導入工程を行うのがよい。
このようにすれば、酵素の性質により、シアル酸をガラクトース残基に転移させた後、α1,3-(N)-フコシルトランスフェラーゼが働きやすく、より効率的にGDP−Fucからフコース残基が転移できる。
2.化学合成法
次に、化学合成法によるキトサン誘導体の製造方法について説明する。ここでは、3つの糖残基からなるGalα1→4Galβ1→4Glcをキトサン分子に導入する例を説明する。Galα1→4Galβ1→4Glcは、スフィンゴ糖脂質Gb3の糖鎖部分であり、O-157を代表とする大腸菌や、ベロ毒素または志賀毒素の感染レセプターとして知られている。
先ず、グリコシルアクセプタの合成工程を説明する。まず、式(6)の糖(ラクトース)残基−アルキル基結合体を得る。
次いで、反応式(VI)
Figure 2005247907
に示すように、式(6)の化合物を出発物質として、ベンジリデン化を行うことにより、式(7)の化合物を得る。次に、式(7)の化合物をアセチル化して、式(8)の化合物を得る。
次いで、反応式(VII);
Figure 2005247907
に示すように、式(8)の化合物を、脱ベンジリデン化して、ラクトース残基のうち、ガラクトース残基の4、6位にフリーの水酸基を有する式(9)のラクトース誘導体を得る。
然る後、式(9)のラクトース誘導体の6位の第一級水酸基を選択的にアセチル化して、グリコシルアクセプタ(糖受容体)である式(10)の化合物を得る。
次に、グリコシルドナー(糖供与体)の合成工程を説明する。反応式(VIII);
Figure 2005247907
に示すように、ガラクトースペンタアセテートの1位の水酸基をチオフェニル基で保護して、式(11)の化合物を得る。次いで、式(11)の化合物のアセチル基をすべて脱離させ、メトキシベンジル基で置換することにより、式(12)の化合物を合成する。
続いて、反応式(IX);
Figure 2005247907
に示すように、式(12)の化合物を、ルイス酸(三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体)の存在下でチオフェノールと反応させ、チオフェニル基を有する式(13)の化合物を得る。次いで、式(13)の化合物の水酸基を、フッ素(F)で置換することにより、グリコシルドナーである式(14)の化合物を得る。
次に、反応式(X);
Figure 2005247907
に示すように、グリコシルアクセプタである式(10)の化合物と、グリコシルドナーである式(14)の化合物とを、触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸銀、塩化すずを用いるグリコシル化反応により反応させて、メトキシベンジル基とアセチル基で、不所望の反応基を保護する。このようにして、式(15)の化合物を得る。
さらに、反応式(XI);
Figure 2005247907
に示すように、式(15)の化合物に対して、保護基の脱離処理を行い、脱アセチル化を行って、式(16)の化合物を得る。次いで、式(16)の化合物を、オゾン酸化処理することにより、式(17)のアルデヒド誘導体(糖残基−スペーサ基結合体)を得る。
然る後、反応式(XII);
Figure 2005247907
に示すように、式(17)の糖残基−スペーサ基結合体を、繊維状のキトサンのアミノ基と反応させる。このようにして、炭素数5個の直鎖状スペーサ基を介してGalα1→4Galβ1→4Glcを側鎖に含む、式(18)のキトサン誘導体を合成する。
ここでは、糖鎖Galα1→4Galβ1→4Glcを、化学合成法を用いて、キトサン分子に導入する例を説明した。
しかしながら、上述の酵素法によるNeu5Acα2→3Galβ1→4Glcのキトサン分子への導入工程と同様に、先ずラクトース(Galβ1→4Glc)を、スペーサ基を介してキトサン分子に導入する。次いでラクトース残基に、α1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼにより酵素的にガラクトース残基(Gal)をさらに付加することにより、目的とするキトサン誘導体を合成することもできる。
このように、酵素法又は化学合成法のいずれかを選択することにより、表1及び表2に示したいずれの糖鎖についても、キトサン分子内に側鎖として導入することができる。
製造工程における収率向上、および工程数を減少するという観点からは、上述した酵素法を選択するのがより好ましい。
すなわち、入手可能な糖転移酵素を用いて、可能な限り多くの工程に酵素法を取り入れるのがよい。糖転移酵素によるさらなる糖単位の付加反応は、位置特異的に行われるので、導入しようとする糖鎖構造全体が複雑であるほど、このような酵素法による糖鎖の伸長工程の採用が推奨される。
以下、具体例を挙げて、この発明のキトサン誘導体の製造方法について説明する。以下に説明する製造工程において、カラムクロマトグラフィ、乾燥、減圧濃縮等の精製工程は、従来公知の工程を適用できる。これらの工程は、この発明の要旨ではないので、条件等についてはここでは詳細には説明しない。
〈実施例1〉 酵素法によるNeu5Acα2→3Galβ1→4Glc含有キトサン誘導体の製造方法:
ここでは、生理活性を有する糖鎖として3つの糖残基からなるNeu5Acα2→3Galβ1→4Glcを含有するキトサン誘導体の製造工程を例にとって説明する。このNeu5Acα2→3Galβ1→4Glc配列は、スフィンゴ糖脂質GM3の糖鎖部分であって、インフルエンザウイルス認識性を有することが知られている。
Neu5Acα2→3Galβ1→4Glcをキトサン分子に導入するに際しては、先ず、Galβ1→4Glc を、スペーサ基を介して、キトサン分子に導入する。然る後、表2に示すように、糖供与体としてのCMP-N-アセチルノイラミン酸と、Neu5Ac転移酵素であるα2,3-(N)-シアリルトランスフェラーゼとを用いてNeu5Ac残基とGal残基との間のα2→3結合を構築する。
(実施例1−1)
先ず、反応式(XIII):
Figure 2005247907
に示すように、ラクトース(Galβ1→4Glc)を出発物質とする。次に、このラクトースのすべての水酸基をアセチル(Ac)化することによりに、式(19)の化合物を得る。式(19)の化合物の1位を脱アセチル化して、式(20)の化合物を得る。さらに式(20)の化合物のGlc残基の1位をトリクロロイミデートで活性化し、1位以外の水酸基をアセチル基で保護した式(21)の化合物を得る。
次に、反応式(XIV);
Figure 2005247907
に示すように、上述の式(21)の化合物と、スペーサ基となる5‐ヘキセン‐1‐オールとをグリコシル化反応により縮合させて、式(22)の化合物を得る。次いで、式(22)の化合物を脱アセチル化することにより糖残基−スペーサ基(アルキル基)結合体である式(6)の化合物を得る。
次に、反応式(XV);
Figure 2005247907
に示すように、式(6)の化合物の末端二重結合をオゾン酸化することにより、式(23)のラクトースのアルデヒド誘導体を得る。さらに、酢酸の水溶液中で、このアルデヒド誘導体のアルデヒド基と、キトサン分子(焼津水産工業株式会社製、PSH−80、分子量500kD、脱アセチル化度80%以上、粘度100cps以上、粉末状)のアミノ基とを反応させ、スペーサ基を介してラクトース残基を側鎖に含有する式(24)のキトサン中間体を得る。
然る後、反応式(XVI);
Figure 2005247907
に示すように、式(24)のキトサン中間体とCMP-N-アセチルノイラミン酸を、α2,3-(N)-シアリルトランスフェラーゼ(CAlBIOCHEM社製)の存在下、カコジル酸緩衝液(pH=7.4)中で反応させる。すなわちN-アセチルノイラミン酸をCMP-N-アセチルノイラミン酸から、式(24)のキトサン中間体ラクトース残基に転移させる。
このようにして、目的とするキトサン誘導体である式(25)の化合物を得る。
この時、酵素反応に用いる、糖ヌクレオチド(糖供与体)/キトサン中間体(ラクトース残基)の仕込み比(モル比)は大きいほど、目的とする生成物の置換度[Neu5Acα2→3Galβ1→4Glc残基数/(Neu5Acα2→3Galβ1→4Glc残基数+ラクトース残基数)]が増加する。すなわち、目的とする生理的活性も向上すると考えられる。しかしながら、過剰量の出発原料を用いないという観点から、糖ヌクレオチド/ラクトース残基のモル比は、好ましくは0.5〜2.0の範囲内とするのがよい。
酵素反応に用いる糖転移酵素の用量には、特に制限がなく、糖供与体である糖ヌクレオチドの用量を基準として、化学量論的な量を用いることができる。
すなわち、糖残基−スペーサ基に置換される側鎖の数は、糖供与体である糖ヌクレオチド用量を調節することにより、任意好適なものとすることができる。
このように、糖供与体の用量を調節することにより、キトサン分子中に、複数種類の糖鎖を導入することができる。すなわち、第1段階として、キトサン分子のアミノ基の数よりも少ない用量で第1の糖残基をキトサン分子中に導入しておく。その後、第2、第3の糖残基を導入して、複数種類の糖残基を有する糖残基−スペーサ基−キトサン中間体を得る。次いで、これらの糖残基に特異的な糖供与体及び対応する糖転移酵素を用いて糖鎖の伸長工程を行うことができる。
また、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体には、1種類の糖残基を予め導入しておき、次段階として、この糖残基よりも少ない用量の第2、第3の糖供与体及び対応する糖転移酵素を用いて、複数種類の糖鎖を側鎖として含むキトサン誘導体を得ることもできる。
このような複数種類の糖鎖を側鎖として含むキトサン誘導体は、それぞれの糖鎖の生理活性を発現するので、より高機能化及び高付加価値化を図ることができる。
以下、上述の製造方法の具体的な実施例につき説明する。なお、特に断りがない限り、以下の工程に使用される有機溶媒の濃度は100%であるものとする。
式(19)の化合物の調製
ラクトース(9.5g、27.8mmol)をピリジン(30ml)に溶解した溶液を0°Cに冷却し、無水酢酸(40ml、41.7mmol)をゆっくり添加した後、徐々に常温に戻した。常温にて3時間反応させた後、氷水を添加し、クロロホルムで生成物を抽出した。
有機相を脱イオン水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次に洗い、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた白色の固形物をエタノール(100%)で結晶化し、式(19)の化合物(16.8g、収率89%)を得た。
式(20)の化合物の調製
式(19)の化合物(1.7g、2.6mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶かし、ベンジルアミン(420μl、3.8mmol)を添加した。反応混合物を一晩常温で攪拌した後、クロロホルムで希釈し、蒸留水、飽和重曹水、飽和食塩水の順で洗浄した。
有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=1/1(体積比))で精製することにより、式(20)の化合物(1.2g、収率75.7%)を得た。
式(21)の化合物の調製
式(20)の化合物(1.2g、1.9mmol)及びトリクロロアセトイミデート(0.97ml、9.6mmol)をジクロロメタン(10ml)に添加し溶解させた後、0°Cまでに冷却した。
この溶液に1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン(DBU、145μl、0.97mmol)を添加し、0°Cにて3時間攪拌し、減圧濃縮した。
シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製することにより、式(21)の化合物(840mg、収率55.6%)を得た。
式(22)の化合物の調製
式(21)の化合物(810mg、1.0mmol)と5-ヘキセン-1-オール(104mg、1.0mmol)とのジクロロメタン溶液(30ml)を0°Cまでに冷却し、窒素雰囲気下で三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(270μl)を滴下した。反応液を徐々に常温に戻し、12時間攪拌した後、ジクロロメタンで希釈した。
上記反応物を含んだジクロロメタン溶液を飽和重曹水、蒸留水の順で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製することにより、式(22)の化合物(268mg、収率35.9%)を得た。
式(6)の化合物の調製
式(22)の化合物(268mg、0.37mmol)をナトリウムメトキシドのメタノール溶液(0.05M、7ml)に添加し、常温にて24時間攪拌した後、イオン交換樹脂Dowex 50(H+)(商品名:ALDRICH社製)で中和した。ろ過によりイオン交換樹脂を除去し、ろ液を減圧濃縮した。残留物をエタノールで結晶化し、式(6)の化合物(85mg、収率53.6%)を得た。
式(23)及び式(7)の化合物の調製
式(6)の化合物(1.5g、3.5mmol)のメタノール(25ml)溶液をドライアイスを用いて-78°Cに冷却した。次いで、この溶液にオゾン発生装置を用いて、オゾンを2時間通過させた後、ジメチルスルフィド(2.5ml)を添加した。
溶液を常温に戻し、3時間攪拌した後、減圧濃縮し、白色の固形物として式(23)の化合物の粗生成物(1.9g)を得た。
得られた式(23)の化合物を精製せず、直ちに5%の酢酸水溶液(10ml)に溶かし、予め調製しておいたキトサン(375mg、1.8mmol of GlcN residue)の5%の酢酸水溶液(30ml)に添加した。
この反応液を常温にて2時間攪拌した後、水素化シアノホウ素ナトリウム(442mg、7.0mmol)を添加し、さらに24時間攪拌した。反応液を透析(蒸留水)してから、蒸留水に溶解した後、溶液を凍結乾燥することにより式(24)の化合物(1.0g、グルコサミン残基に対するラクトースの導入率:100%)を得た。
式(25)の化合物の調製
50 mM カコジル酸ナトリウム緩衝液(5.0ml)に、ウシ血清アルブミン(BSA:10mg)、塩化マンガン(II)四水和物(1.6mg)を溶解し、0.25Nの塩酸でpHを7.4に調製したものを10ml取り、それに界面活性剤であるトリトンC,F-54(東洋紡社製)(%)、子ウシ腸アルカリホスファターゼ (CIAP, 20U)、式(24)の化合物(15mg、25mmol ラクトース残基)、CMP-N-アセチルノイラミン酸(26mg、37.6mmol)、α2,3-(N)-シアリルトランスフェラーゼ(100mU)を溶解し、37°Cで、2日間インキュベートした。
上記反応物を含んだ水溶液を透析チューブに添加し透析(蒸留水)してから、凍結乾燥することによりにより目的とする式(25)の化合物(25mg、ラクトース残基に対するシアル酸の導入率:0.73%)を得た。
生成物について、NMRデータを示す。測定条件は、装置:Bruker 600 MHz、溶媒:D2O(重水)、温度:27度として行った(以下に示すデータにおいても同様である。)。
NMRデータ
δ = 4.47 (1H, d, J=7.8 Hz, H-1 of Gal in SiaLac), 4.42 (1.38H, d, J=7.8 Hz, H-1 of Glc in SiaLac and Gal in Lac), 4.39 (0.38H, d, J=7.8 Hz, H-1 of Glc in Lac), 4.05 (1H, d, J=8 Hz, H-3 of Gal in SiaLac), 3.94-3.47 (28.9H, m), 3.25 (1.38H, br), 2.99 (3.78H, br), 2.70 (1H, dd, H-3eq of Sia), 2.01 (3.03H, m, COCH3), 1.74 (1H, t, H-3ax of Sia), 1.61-1.40 (8.27H, br, 3×‐CH2‐).
(実施例1−2)
次に、繊維状のキトサンに、実施例1−1と同様のNeu5Acα2→3Galβ1→4Glcを導入する例を、実施例1−2として、説明する。なお、各工程は、実施例1−1とほぼ同様であるので、反応式等の詳細な説明は省略する。
まず、繊維状に加工したキトサン、すなわち、キトサン繊維(引張強度:0.65cN/dtex)(DAC−80、作製方法については「繊維学会誌、43(1987)288」を参照されたい。)を出発物質とする。このキトサン繊維と、実施例1−1と同様の工程により調製された、式(23)のラクトースのアルデヒド誘導体とを、メタノール中で反応させることにより、スペーサ基を介してラクトース残基をキトサン繊維に導入する。
このとき、親水性のラクトース残基、すなわち糖残基−スペーサ基結合体を、キトサン繊維に多量に導入すると、得られるスペーサ基を介してラクトース残基が導入されたキトサン繊維(糖残基−スペーサ基−キトサン中間体)が水溶性化してしまう恐れがある。しかしながら、この発明の構成によれば、目的とするキトサン誘導体は、あくまで繊維として使用することが想定されている。
従って、水に対して不溶性の繊維という性質を維持するために、式(24)のキトサン中間体に導入されている式(23)のラクトースのアルデヒド誘導体の導入率は、低めにコントロールする必要がある。また、所望の生理活性を有する糖鎖、すなわちこの例では、Neu5Acα2→3Galβ1→4Glcを有する繊維状キトサン誘導体の生理活性は、キトサン繊維に対する糖残基−スペーサ基結合体の導入率を高くして、より多くのNeu5Acα2→3Galβ1→4Glc側鎖を、キトサン繊維中に導入するほど向上すると考えられる。
目的とする式(24)のキトサン誘導体の生理活性及び水溶性を考慮すると、式(23)の化合物(アルデヒド)/アミノ基(繊維状キトサン)の仕込み比(モル比)は、好ましくは、3〜1の範囲内とするのがよい。
このようにモル比を設定すれば、所望の生理活性と水に対する不溶性とを両立させることができる。
このようにモル比を設定すると、糖残基−スペーサ基、すなわちこの例ではラクトース側鎖の導入率(ラクトース残基数/キトサンのグルコサミン残基数)を、10%程度と比較的低く抑えることができる。しかしながら、このようにモル比を設定すると、塩基性の第一級アミノ基が糖残基−スペーサ基−キトサン中間体分子内に数多く残ることとなる。
この化合物に酸性のNeu5Acを導入した場合には、Neu5Acが糖残基―スペーサ基―キトサン中間体の第1級アミノ基と相互作用を起こすため、ラクトースに対するNeu5Acの導入率が減少してしまう。従って、Neu5Acを導入する前には、糖残基―スペーサ基ーキトサン中間体の塩基性の第一級アミノ基をなるべく減少させる処理を行う必要がある。
この処理は、メタノール中で、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体のアミノ基と無水酢酸とを反応させる、すなわちN-アセチル化を行うことにより達成できる。このようにN-アセチル化した、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体に、実施例1−1において反応式(XVI)を用いて説明した工程を同様に適用して、糖鎖の伸長工程を行う。すなわち、α2,3-(N)-シアリルトランスフェラーゼ及びCMP-N-アセチルノイラミン酸を用いて、繊維状の糖残基−スペーサ基−キトサン中間体にNeu5Acを付加することにより、糖鎖を伸長させて、目的とする繊維状キトサン誘導体を得る。ただし、この反応は、実施例1−1の反応と比較すると、キトサン繊維自体が水に対して不溶性であるので、不均一の条件下で行われることになる。
以下、上述の製造方法の具体的な実施例につき説明する。
式(23)の化合物の粗生成物(1.0g)をメタノール(8ml)に溶かし、キトサン繊維(200mg、DDA=79%、0.94mmol of GlcN残基)を懸濁させたメタノール(8ml)に添加した。反応液を超音波により2〜3分間脱気処理した後、常温にて2日間放置し、水素化シアノホウ素ナトリウム(224mg, 3.6mmol)を添加し、さらに3日間放置した。
ろ過により回収した繊維をメタノール及び蒸留水で洗浄し、蒸留水に懸濁させ凍結乾燥により繊維状のラクトース含有キトサン誘導体(202mg、グルコサミン残基に対するラクトースの導入率:9%)を得た。
繊維状ラクトース(Galβ1→4Glc)含有キトサン誘導体のN-アセチル化
ラクトース含有キトサン繊維誘導体(190mg、0.78mmol of GlcN残基)のメタノール懸濁液に無水酢酸(345mg、3.35mmol)を添加し、超音波により2〜3分間脱気処理した後、常温にて2日間放置する。
ろ過で回収した繊維をメタノール、蒸留水で洗浄する。さらに得られた繊維を蒸留水に懸濁する。次いで、凍結乾燥を行うことにより、N−アセチル化されたラクトースを側鎖として含む繊維状キトサン誘導体(198mg、グルコサミン残基に対するアセチル基の導入率:62%)を得た。
Neu5Acα2→3Galβ1→4Glc含有キトサン繊維誘導体の調製
カコジル酸ナトリウム緩衝液(50mM カコジル酸ナトリウム; 2mg/ml ウシ血清アルブミン; 1.5M 塩化マンガン; pH=7.4; 15ml)にトリトンCF-54 (%)、子ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIAP;80U)、N−アセチル化した繊維状ラクトース含有キトサン誘導体(198mg, 63mmol ラクトース残基)、CMP-N-アセチルノイラミン酸(83mg, 127mmmol)、α2,3-(N)- シアリルトランスフェラーゼ(200mU)を溶解し、37°C、3日間インキュベートした。
ろ過により回収した繊維を蒸留水で洗浄し、蒸留水に懸濁させ凍結乾燥することにより、繊維状のNeu5Acα2→3Galβ1→4Glc含有キトサン誘導体(156mg、ラクトース残基に対するシアル酸の導入率:100%)を得た。
なお、この実施例における導入率は、元素分析法を用いて算出した。
上述の製造工程により得ることができるこの発明のキトサン誘導体は、医薬品、化粧品、食品添加剤、農業又は工業用材料等として有用である。例えば、糖鎖としてNeu5Acα2→3Galβ1→4Glcを含有するキトサン誘導体又は繊維状キトサン誘導体は、この糖鎖により、インフルエンザウイルスを吸着することができる。従って、キトサン誘導体が水溶性である場合には、例えば、インフルエンザウイルス感染阻害剤として、また、キトサン誘導体の性状が、繊維状である場合には、例えば、抗インフルエンザウイルスフィルタ等に適用して好適な、インフルエンザウイルス除去用素材として使用することができる。
また、Galα1→4Galβ1→4Glcを含有するキトサン誘導体は、大腸菌O-157またはベロ毒素を特異的に認識して吸着することができる。従って、これらに起因する疾患の治療薬や診断薬の材料として適用することができる。
さらに、血管内皮膚細胞上にある蛋白質であるE-セレクチンは、白血球表面上の糖鎖配列Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcを特異的に吸着し、白血球を捕捉して血管外に排出する。これにより、血管外に白血球が過剰に集まってしまい、炎症を起こすことが知られている。
Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcを含有するキトサン誘導体は、白血球とE-セレクチンとの結合を阻害することにより、炎症の発生を防ぐことができる。また、H-60と呼ばれる一種のがん細胞の表面には、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcが常時強く発現されている。すなわち、E-セレクチンにより、上述した白血球の血管外への排出と同様な仕組みで血管外へ浸潤して転移することが知られている。
従って、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcを含有するキトサン誘導体は、H-60とE-セレクチンとの結合を阻害することにより、がん細胞の体内での拡散を防ぐことができる。すなわち、抗炎症剤、抗がん剤等として使用できる。
〈実施例2〉Galα1→4Galβ1→4Glcβ1含有キトサン誘導体の製造
式(6)の化合物(24.0g、57mmol)、ベンズアルデヒドジメチルアセタール(29ml)、及びp-トルエンスルホン酸一水和物(500mg)を、N,N-ジメチルホルムアミド(250ml)に添加して反応混合物とし、これを50〜60°Cにて一晩攪拌した後、常温に戻した。トリエチルアミン(5ml)を、この反応混合物に添加し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=9/1)で精製することにより、式(7)の化合物(15.5g、収率52.5%)を得た。
次に、式(7)の化合物(6.8g、13.2mmol)のピリジン(100ml)溶液に4-ジメトキシアミノピリジン(35mg)、無水酢酸(64ml)を添加した後、オイルバス中、60°Cにて12時間攪拌して反応液を得た。この反応液をオイルバスから取り出して常温に戻す。反応液を氷−水混合物に注ぎ、ジクロロメタンで生成物を抽出した。有機相をさらに飽和重曹水、飽和食塩水の順で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮することにより溶媒を除去し、式(8)の化合物を含む粗生成物(8.5g、収率89%)を白い固形物として得た。
次いで、式(8)の化合物(8.5g、11.7mmol)のジクロロメタン(230ml)溶液を、0°Cまで冷却し、90%(重量比)のトリフルオロ酢酸水溶液(23ml)を添加した。さらに0°Cにて2.5時間攪拌して反応混合液を得た。この反応混合液を、ジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水、次いで蒸留水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=5/1)で精製することにより、式(9)の化合物(5.8g、収率77.3%)を得た。
式(9)の化合物(5.8g、9.1mmol)を溶解したピリジン溶液(80ml)に、−20°Cに冷却したアセチルクロライド(665ml、9.36mmol)をゆっくり滴下した。溶液を常温にした後、2時間攪拌し、蒸留水(20ml)を添加した。
溶液の溶媒を減圧濃縮することにより除去し、残留物を酢酸エチルに溶解した。残留物を、蒸留水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。展開溶媒として最初に酢酸エチル/ヘキサン=1/1(混合比)を流し、続いて酢酸エチル/ヘキサン=4/1を流す(以下、このような操作を、酢酸エチル/ヘキサン=1/1→4/1と記す場合もある。)、シリカゲルクロマトグラフィで精製することにより、式(10)の化合物(5.1g、収率82.9%)を得た。
β-D-ガラクトースペンタアセテート(5.0g、7.4mmol)のクロロホルム溶液(25ml)に、チオフェノール(1.7g)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(9.2g)を添加した後、一晩攪拌して反応混合液を得た。この反応混合液をクロロホルムで希釈し、飽和重曹水、次いで蒸留水で洗浄した。
硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製することにより、式(11)の化合物(3.3g、収率97.7%)を得た。
式(11)の化合物(5.5g、12.0mmol)をナトリウムメトキシドのメタノール溶液(0.05M、55ml)に溶解させた。この反応液を、常温にて24時間攪拌した後、イオン交換樹脂Dowex50 H+(商品名:ALDRICH社製))で中和した。反応液をろ過することにより樹脂を除去し、さらに減圧濃縮することにより溶媒を除去した。残留物をN,N-ジメチルホルムアミド(30ml)に溶解し、テトラアンモニウムブロマイド(79mg)を添加した。この反応溶液を0°Cまでに冷却した後、水素化ナトリウム(3g、60-72% in oil)を添加し、0°Cにて30min攪拌した。
反応溶液にメトキシベンジルブロマイド(10g)を添加し、0°Cにて6時間攪拌した。反応溶液を常温に戻してから、さらに12時間攪拌した。この反応溶液を再び0°Cに冷却し、反応溶液から泡が出なくなるまでメタノールを添加した。
反応溶液を減圧濃縮することにより反応溶媒を除去して残った固形物を酢酸エチルに溶かした。この酢酸溶液を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製することにより、シラップ状の性状を有する式(12)の化合物(6.7g、収率74.6%)を得た。
式(12)の化合物(5.0g、6.6mmol)を、アセトン(100ml)−蒸留水(10ml)の混合溶液に溶解し、0°Cまで冷却した。次いで、N-ブロモスクシンイミド(4.7g)を添加して、常温で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、炭酸カリウム水溶液(10%)、蒸留水、飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。
シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/1→4/1)で精製することにより、白い固形物の性状を有する式(13)の化合物(4.3g、収率98.2%)を得た。
式(13)の化合物(4.2g、6.4mmol)をテトラヒドロフラン(40ml)に溶解した溶液を、−20°Cに冷却し、この溶液にジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(1ml)を添加したのち、常温で30分間攪拌した。
溶液を再び−20°Cに冷却し、メタノール(3ml)を添加することにより反応を停止させた。溶液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=3/1)で精製することにより、シラップ状の性状を有する式(14)の化合物(4.1g、収率96.2%)を得た。
ベンゼンで共沸脱水したトリフルオロメタンスルホン酸銀(3.4g)、二塩化すず(2.5g)、及びモレキュラーシーブ4A(商品名)(6g)の混合物に、ジエチルエーテル‐ジクロロメタンの混合液(2:1、130ml)を添加した溶液を、0°Cに冷却した。
予め、調製しておいた式(10)の化合物(4.5g、6.7mmol)のジエチルエーテル‐ジクロロメタン溶液(2:1、30ml)を上記の溶液に添加し、0°Cにて10分間攪拌した後、さらに式(14)の化合物(13.3g、20.1mmol)のジエチルエーテル‐ジクロロメタン溶液(2:1、50ml)を徐々に滴下して反応混合物を得た。
この反応混合物を、0°Cにて一晩攪拌した後、ジクロロメタンで希釈した。反応混合物をろ過することにより沈殿物を除去し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1→1/1)で精製することにより、式(15)の化合物(8.3g、収率94.2%)を得た。
式(15)の化合物(7.0g、5.3mmol)をアセトニトリル−蒸留水(9:1、350ml)の混合液に溶解し、硝酸二アンモニウムセリウム(26g)を添加した後、常温にて20時間攪拌した。反応混合物を、クロロホルムで希釈し、飽和重曹水、飽和食塩水、次いで蒸留水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をナトリウムメトキシドのメタノール溶液(0.05M、55ml)に溶解し、常温にて24時間攪拌した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=14/1)で精製することにより得られた脱メトキシベンジル化物をナトリウムメトキシドのメタノール溶液(0.05M、60ml)に溶解した。反応液を、常温にて24時間攪拌した後、イオン交換樹脂Dowex50 H+(商品名:ALDRICH社製)で中和した。さらにこの反応液を、ろ過することにより樹脂を除去し、減圧濃縮することにより溶媒を除いた。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム/メタノール/蒸留水=65/25/4→6/4/1)で精製することにより、白い固形物の性状を有する式(16)の化合物(1.2g、収率38.6%)を得た。
前述した式(23)の化合物及び式(24)の化合物の調製と同様な操作により、式(16)の化合物(150mg、0.26mmol)をオゾン酸化して、式(17)の化合物を得た。得られた式(17)の化合物を、キトサン分子(27mg、0.13mmol of GlcN residue)のアミノ基と反応させ、目的とするGalα1→4Galβ1→4Glcβ1側鎖を有する式(18)の化合物、すなわち、目的とするキトサン誘導体(30mg、グルコサミン残基に対するGalα1→4Galβ1→4Glcβ1側鎖の導入率:74%)を得た。
NMRデータ
δ = 4.84 (1H, d, J=3.6 Hz, H-1 of Galα), 4.40 (1H, d, J=8.0 Hz, H-1 of Galβ), 4.38 (1H, d, J=7.8 Hz, H-1 of Glc), 4.25 (1H, t, J=6.4 Hz, H-5 of Galα), 3.93-3.25 (23H, m), 3.19 (1H, m, H-2 of Glc), 2.68 (3H, br), 1.96 (1H, br, COCH3), 1.31-1.22 (6H, br).
〈応用例1〉Neu5Acα2→3Galβ1→4Glc含有キトサン誘導体の抗インフルエンザウイルス活性
実施例1−1で製造されたキトサン誘導体(式(25)の化合物)のインフルエンザウイルスとの結合活性を測定した。また、ここでは、式(24)の化合物をコントロールとして使用した。
実験方法は、得られたキトサン誘導体とインフルエンザウイルスとを一緒にインキュベートし、この液体のHI titer(力価)を測定する方法である。HI titerの測定は、インフルエンザウイルスが赤血球に付着すると、赤血球同士が凝集を起こす現象を検出することにより行った。
すなわち、得られたキトサン誘導体(式(25)の化合物)、ブランクとしてのフェチュイン、又はコントロールとしての式(24)の化合物のいずれかをリン酸緩衝生理食塩液(PBS、10mg/ml、25ml)に溶解した溶液(1mg/ml)それぞれをサンプルとして、同じリン酸緩衝生理食塩液で2倍、4倍、8倍、・・・、と順次に2段階希釈した溶液それぞれに、A型インフルエンザウイルスA/PE/8/34(H1N1)を浮遊させたリン酸緩衝生理食塩液(4 HAU、25ml)を添加し、4°Cで、1時間インキュベートした。
調製した各液と、0.5% (v/v) のブタ赤血球の浮遊液(50ml、リン酸緩衝生理食塩液)とを混合し、何倍(HI titer)希釈まで、赤血球同士が凝集を起こすかを検出することによって、サンプルのインフルエンザウイルス結合活性を評価した。
結果を表4に示す。なお、ブランクとして用いるフェチュインは、インフルエンザウイルスに対する結合活性を有することが知られている物質である。
Figure 2005247907
表4から明らかなように、式(24)の化合物であるラクトース含有キトサン誘導体には、インフルエンザウイルスとの結合活性が全くないことが理解される(HI titer<2)。
一方で、この発明のNeu5Acα2→3Galβ1→4Glc含有キトサン誘導体(式(25)の化合物)は、フェチュインよりも約2.5倍強い、インフルエンザウイルス結合活性が確認された。
〈応用例2〉繊維状Neu5Acα2→3Galβ1→4Glc含有キトサン誘導体のインフルエンザウイルス吸着(結合)活性
実施例1−2で製造したNeu5Acα2→3Galβ1→4Glc含有キトサン繊維誘導体のベロ毒素に対する中和活性を測定した。なお、比較のため、同じく実施例1−2で得られたラクトース含有キトサン繊維誘導体(N−アセチル化したもの)、及び原料として用いたキトサン繊維についても測定した。
予め、1mlの滅菌済み注射筒の底に、ガラス繊維ろ紙、サンプル20mg、ガラス繊維ろ紙の順に詰めたものをそれぞれ作成した。
インフルエンザウイルスの非特異的な吸着を防ぐため、各注射筒を0.01% Tween 20[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート](界面活性剤の商品名)含有のリン酸緩衝生理食塩液(PBS, 10 ml)で洗浄した後、さらに0.1 %ウシ血清アルブミン(BSA)含有の同緩衝液(5 ml)で洗浄した。
0.1 % BSA含有PBSで希釈したA型インフルエンザウイルスA/PE/8/34(H1N1)懸濁液(64HAU、1ml)を各注射筒に添加し、ろ液を回収した。3種類の繊維状キトサンに吸着したインフルエンザウイルス量を、ろ液の赤血球凝集活性により測定した。すなわち、ろ液をPBSで2倍、4倍、8倍、・・・、と順次に2段階希釈し、何倍(HAU)希釈まで凝集を起こすかによって各サンプルのインフルエンザウイルス吸着能力(=インフルエンザウイルス結合活性)を評価した。その結果を表5に示す。
Figure 2005247907
表5に示すように、繊維状Neu5Acα2→3Galβ1→4Glc含有キトサンのみが、明らかなインフルエンザウイルス吸着効果(インフルエンザウイルス結合活性)を示すことが確認された。すなわち、注射筒を通過したインフルエンザウイルスを含むろ液は、希釈倍数が2倍に達する前に赤血球凝集活性がなくなり(HAU<2)、ろ液中のインフルエンザウイルス数が非常に少なくなっていることが理解される。従って、繊維状Neu5Acα2→3Galβ1→4Glc含有キトサンが、インフルエンザウイルスを効果的に除去するインフルエンザウイルス結合活性を有することが確認された。
〈応用例3〉 Galα1→4Galβ1→4Glc含有キトサン誘導体のベロ毒素に対する中和活性
実施例2で製造したキトサン誘導体(式(18)の化合物)のベロ毒素に対する中和活性を測定した。Galα1→4Galβ1→4Glcは、スフィンゴ糖脂質Gb3の糖鎖部分であり、O-157を代表とする大腸菌や、ベロ毒素または志賀毒素の感染レセプターとして知られている。
この細胞毒性中和実験は、サンプル、ベロ細胞、及びベロ毒素を一緒にインキュベートした後、ベロ細胞の生存数を測定する方法であり、コントロールには、式(24)及び式(17)の化合物を用いた。
ベロ細胞は、生物実験によく使用される実験用動物細胞のことで、サルの腎臓に由来する。ベロ毒素にはStx1とStx2という二種類があり、いずれも病原性大腸菌より分泌され、ベロ細胞表面上の糖鎖配列Galα1→4Galβ1→4Glcに結合することにより細胞を殺す性質を有している。細胞生存数の測定は、この分野で広く用いられているWSTアッセイにより行った。試薬WST−1(商品名)は生きている細胞の脱水素酵素により還元され、発色性のホルマザンという物質を生成する。このホルマザンには450nm付近に特徴的な吸光度を有している。この吸光度の強度を直接的に測定することにより、生細胞数を間接的に計測することができる。
すなわち、得られたキトサン誘導体(式(18)の化合物)、コントロールとしての式(24)又は式(17)の化合物のいずれかをHBSS緩衝液(商品名)に溶解した各種濃度の溶液(0.0001〜1000μg/ml)それぞれをサンプルとして、ベロ細胞を浮遊させたHBSS緩衝液(5000cells、100ml)に10mlずつ添加した。このサンプルとベロ細胞との培養系それぞれに、予め調製したベロ毒素Stx1またはStx2のHBSS溶液(10pg/ml)を10mlずつ加え、37°Cで、3日間インキュベートした。
上記調製した各液それぞれと、WST−1試薬(110ml)とを混合し、37°Cで、1時間反応させた後、プレートリーダ(株式会社BIO RAD製、model3550)で450nm付近の吸光度を測定し、ベロ細胞の生存率(ベロ毒素とインキュベートした後の生細胞数/最初の生細胞数)を計測することによって、サンプルのベロ毒素に対する中和活性を評価した。その結果を図1に示す。
図1は、得られたキトサン誘導体(式(18)の化合物)のベロ毒素に対する中和活性を説明するためのグラフである。(A)図はStx1に対する式(18)の化合物の中和活性を示すグラフである。(B)図はStx2に対する式(18)の化合物の中和活性を示すグラフである。
図1に示すように、ラクトース含有キトサン誘導体(式7の化合物)または低分子のGalα1→4Galβ1→4Glc残基‐アルキル基結合体(式17の化合物)にベロ毒素に対してまったく活性がなかったのに対し、Galα1→4Galβ1→4Glc含有キトサン誘導体(式20の化合物)には高い中和活性が確認された。
この結果から、ベロ毒素がキトサン誘導体のGalα1→4Galβ1→4Glc側鎖と結合することによって、ベロ細胞との結合が阻害されたことを意味している。すなわち、キトサン誘導体により、ベロ細胞に対する毒性が中和されたことを示唆している。
この発明のキトサン誘導体は、細菌やウイルスに対する結合活性を有している。従って、これら細菌、ウイルス、毒素等の検出、また、これらに起因する疾患の治療、診断、さらに炎症やガンなど諸疾患の治療、診断等に適用可能である。
また、この発明の製造方法によれば、インフルエンザウイルス、ベロ毒素、大腸菌等に対する結合活性を有するキトサン誘導体の効率的な製造方法が提供される。従って、有用なキトサン誘導体の大量生産及びキトサン資源の有効利用に大いに寄与する。
ベロ毒素に対する中和活性の説明図である。

Claims (23)

  1. 下記式(i)、(ii)及び(iii);
    Figure 2005247907
    (式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)Glcβ1→Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3Galβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GalNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Galβ1→、Neu5, 9Acα2→3Galβ1→、Neu5, 9Acα2→8Neu5Acα2→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、HO3S→3Galβ1→、Galβ1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3) Manα1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3)Manβ1→、Manα1→、GlcNAcβ1→、Galα1→4Galβ1→、Galα1→4Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4Glcβ1→、GlcNAcβ1→3Galβ1→、Galβ1→4GlcNAcβ1→、GalNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→、GalNAcβ1→3Galβ1→、GalNAcβ1→4Galβ1→、Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα1→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcβ1→、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)GlcNAcβ1→を含む群から選択される1種又は2種以上の糖鎖が、前記R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基であり、x、y及びzは、モル比であって、0≦x<1、0<y≦1、0≦z<1、かつx+y+z=1である。)
    の構造単位を不規則な配列で含むキトサン誘導体。
  2. 下記式(i)、(ii)及び(iii);
    Figure 2005247907
    (式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)Glcβ1→Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3Galβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GalNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Galβ1→、Neu5, 9Acα2→3Galβ1→、Neu5, 9Acα2→8Neu5Acα2→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、HO3S→3Galβ1→、Galβ1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3) Manα1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3)Manβ1→、Manα1→、GlcNAcβ1→、Galα1→4Galβ1→、Galα1→4Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4Glcβ1→、GlcNAcβ1→3Galβ1→、Galβ1→4GlcNAcβ1→、GalNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→、GalNAcβ1→3Galβ1→、GalNAcβ1→4Galβ1→、Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα1→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcβ1→、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)GlcNAcβ1→を含む群から選択される糖鎖が、前記R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基であり、x、y及びzは、モル比であって、0≦x<1、0<y≦1、0≦z<1、かつx+y+z=1である。)
    の構造単位を不規則な配列で含むキトサン誘導体。
  3. 下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
    Figure 2005247907
    (式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、前記R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するN−アセチルグルコサミン残基であり、R3基は、Neu5Acα2→3Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5Gcα2→3Galβ1→4、Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)を含む群から選択される、前記R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)
    の構造単位を不規則な配列で含むキトサン誘導体。
  4. 下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
    Figure 2005247907
    (式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、前記R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するN−アセチルガラクトサミン残基であり、R3基は、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、及びGalβ1→3を含む群から選択される、前記R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)
    の構造単位を不規則な配列で含むキトサン誘導体。
  5. 下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
    Figure 2005247907
    (式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、前記R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するラクトース残基であり、R3基は、Neu5Acα2→3、Neu5Acα2→6、Galα1→4、Neu5Gcα2→3、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)及びNeu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)を含む群から選択される、前記R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)
    の構造単位を不規則な配列で含むキトサン誘導体。
  6. 下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
    Figure 2005247907
    (式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、前記R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するグルコース残基であり、R3基は、前記R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するNeu5Acα2→3Galβ1→3、又はNeu5Acα2→6Galβ1→3(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)
    の構造単位を不規則な配列で含むキトサン誘導体。
  7. 下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
    Figure 2005247907
    (式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、前記R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するガラクトース残基であり、R3基は、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5, 9Acα2→3、Galα1→4、Neu5Acα2→3、GlcNAcβ1→3、GalNAcβ1→3及びGalNAcβ1→4を含む群から選択される、前記R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合する糖残基(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)
    の構造単位を不規則な配列で含むキトサン誘導体。
  8. 下記式(i)、(ii)、(iii)及び(iv);
    Figure 2005247907
    (式中、R1基は、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキレン基であり、R2基は、前記R1基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するマンノースであり、R3基は、前記R2基に対して還元末端側で、酸素原子を介して結合するManα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)又はManα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3)(末尾の数字はR2基の炭素の位置を示す。)であり、x、y、z及びwは、モル比であって、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0<w≦1、かつx+y+z+w=1である。)
    の構造単位を不規則な配列で含むキトサン誘導体。
  9. 分子量が、1kDaから1000kDaの範囲である請求項1〜8のいずれか一項に記載のキトサン誘導体。
  10. 繊維状であって、引張強度が0.1cN/dtexから5cN/dtexの範囲である請求項1〜8のいずれか一項に記載のキトサン誘導体。
  11. (1)N−アセチルグルコサミンに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、N−アセチルグルコサミン残基−アルキル基結合体を形成する工程と、
    (2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、前記N−アセチルグルコサミン−アルキル基結合体を導入して、N−アセチルグルコサミン残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、
    (3)前記N−アセチルグルコサミン残基−スペーサ基−キトサン中間体のN−アセチルグルコサミン残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Neu5Acα2→3Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5Gcα2→3Galβ1→4、Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)を含む群から選択される糖鎖(末尾の数字は前記N−アセチルグルコサミン残基の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程と
    を含むキトサン誘導体の製造方法。
  12. (1)N−アセチルガラクトサミンに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、N−アセチルガラクトサミン残基−アルキル基結合体を形成する工程と、
    (2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、前記N−アセチルガラクトサミン残基−アルキル基結合体を導入して、N−アセチルガラクトサミン残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、
    (3)前記N−アセチルガラクトサミン残基−スペーサ基−キトサン中間体のN−アセチルガラクトサミン残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、及びGalβ1→3を含む群から選択される糖鎖(末尾の数字は前記糖の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程と
    を含むキトサン誘導体の製造方法。
  13. (1)ラクトースに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、ラクトース残基−アルキル基結合体を形成する工程と、
    (2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、前記ラクトース残基−アルキル基結合体を導入して、ラクトース残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、
    (3)前記ラクトース残基−スペーサ基−キトサン中間体のラクトース残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Neu5Acα2→3、Neu5Acα2→6、Galα1→4、Neu5Gcα2→3、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)及びNeu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)を含む群から選択される糖鎖(末尾の数字は前記ラクトース残基の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程と
    を含むキトサン誘導体の製造方法。
  14. (1)グルコースに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、グルコース残基−アルキル基結合体を形成する工程と、
    (2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、前記グルコース残基−アルキル基結合体を導入して、グルコース残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、
    (3)前記グルコース残基−スペーサ基−キトサン中間体のグルコース残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Neu5Acα2→3Galβ1→3、又はNeu5Acα2→6Galβ1→3(末尾の数字は前記グルコース残基の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程とを含むキトサン誘導体の製造方法。
  15. (1)ガラクトースに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、ガラクトース残基−アルキル結合体を形成する工程と、
    (2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、前記ガラクトース残基−アルキル基結合体を導入して、ガラクトース残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、
    (3)前記ガラクトース残基−スペーサ基−キトサン中間体のガラクトース残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5, 9Acα2→3、Galα1→4、Neu5Acα2→3、GlcNAcβ1→3、GalNAcβ1→3及びGalNAcβ1→4を含む群から選択される糖鎖(末尾の数字は前記糖の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程とを含むキトサン誘導体の製造方法。
  16. (1)マンノースに、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、マンノース残基−アルキル基結合体を形成する工程と、
    (2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、前記マンノース残基−アルキル基結合体を導入して、マンノース残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成する工程と、
    (3)前記マンノース残基−スペーサ基−キトサン中間体のマンノース残基に、さらなる糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)、又はManα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3)(末尾の数字は前記マンノース残基の炭素の位置を示す。)を伸長させる工程と
    を含むキトサン誘導体の製造方法。
  17. (1)Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→4(3)Glcβ1→Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GlcNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→3Galβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)GalNAcβ1→、Neu5Acα2→6Galβ1→4(3)Galβ1→、Neu5, 9Acα2→3Galβ1→、Neu5, 9Acα2→8Neu5Acα2→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、HO3S→3 Galβ1→、Galβ1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3) Manα1→、Manα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3)Manβ1→、Manα1→、GlcNAcβ1→、Galα1→4Galβ1→、Galα1→4Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα2→3Galβ1→、Neu5Gcα2→3Galβ1→4Glcβ1→、GlcNAcβ1→3Galβ1→、Galβ1→4GlcNAcβ1→、Galβ1→、GalNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→、GalNAcβ1→3Galβ1→、GalNAcβ1→4Galβ1→、Galβ1→4Glcβ1→、Neu5Acα1→3Galβ1→4GlcNAcβ1→、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)Galβ1→4Glc、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcβ1→、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)GlcNAcβ1→を含む群から選択される1種又は2種以上の糖鎖に、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、糖残基−アルキル結合体を形成する工程と、
    (2)キトサン分子のグルコサミン残基に対し、前記糖残基−アルキル基結合体を導入する工程と
    を含むキトサン誘導体の製造方法。
  18. 前記キトサン分子は分子量が1kDaから1000kDaの範囲である請求項11〜17のいずれか一項に記載のキトサン誘導体の製造方法。
  19. 前記キトサン分子は、繊維状であって、引張強度が0.1cN/dtexから5cN/dtexであることを特徴とする請求項11〜17のいずれか一項に記載のキトサン誘導体の製造方法。
  20. N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、グルコース、ガラクトース及びマンノースを含む群から選択される1種の糖に、炭素数1個から20個の直鎖状アルキル基を付加して、糖残基−スペーサ基結合体を形成し、キトサン分子のグルコサミン残基に対し、前記糖残基−スペーサ基結合体を導入して、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体を形成し、当該糖残基−スペーサ基−キトサン中間体に導入された糖残基−スペーサ基に対して、1種又は2種以上の糖単位を、当該糖単位に所定の糖転移酵素の存在下、順次に付加して、前記糖がN−アセチルグルコサミンの場合には、Neu5Acα2→3Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5Gcα2→3Galβ1→4、Galβ1→4、Neu5Acα2→3Galβ1→4(Fucα1→3)、及びNeu5Acα2→3Galβ1→3(Fucα1→4)を含む群、又は前記糖がN−アセチルガラクトサミンの場合には、Neu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、及びGalβ1→3を含む群、前記糖がラクトースの場合には、Neu5Acα2→3、Neu5Acα2→6、Galα1→4、Neu5Gcα2→3、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→3)、Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)、Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)及びNeu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→4(Neu5Acα2→8Neu5Acα2→3)を含む群、前記糖がグルコースの場合にはNeu5Acα2→3Galβ1→3、又はNeu5Acα2→6Galβ1→3、前記糖がガラクトースの場合にはNeu5Acα2→3Galβ1→3、Neu5Acα2→6Galβ1→4、Neu5Acα2→6Galβ1→3、Neu5, 9Acα2→3、Galα1→4、Neu5Acα2→3、GlcNAcβ1→3、GalNAcβ1→3及びGalNAcβ1→4を含む群、或いは前記糖がマンノースの場合にはManα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)、又はManα1→2Manα1→6(Manα1→2Manα1→3)Manα1→6(Manα1→2Manα1→2Manα1→3
    から選択される糖鎖(末尾の数字は前記糖の炭素の位置を示す。)を伸長させることにより得ることができるキトサン誘導体。
  21. 前記キトサン分子は分子量が1kDaから1000kDaの範囲である請求項20に記載のキトサン誘導体。
  22. 前記キトサン分子は、繊維状であって、引張強度が0.1cN/dtexから5cN/dtexである請求項20に記載のキトサン誘導体。
  23. 複数個の糖単位の残基を含む生理活性を有する糖鎖をキトサン分子に導入するにあたり、
    (1)第1の糖単位に、炭素数1個から20個の範囲の直鎖状アルキル基を含むスペーサ基を付加して、糖残基−スペーサ基結合体を合成する工程と、
    (2)キトサン分子のグルコサミン残基に、前記糖残基−スペーサ基結合体を導入して、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体を合成する工程と、
    (3)前記糖残基−スペーサ基−キトサン中間体の糖残基に、第2の糖単位を、当該第2の糖単位に所定の糖転移酵素の存在下で付加する工程と、
    (4)所定の鎖長に達するまで、第n(nは3以上の正数である。)の糖単位を、第n−1の糖単位が付加されている、糖残基−スペーサ基−キトサン中間体の糖残基に、当該第nの糖単位に所定の糖転移酵素の存在下で付加するサブ工程を繰り返す工程と
    を含むキトサン誘導体の製造方法。
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