JPH10120705A - 合成アミノ糖類誘導体及びその製造方法 - Google Patents

合成アミノ糖類誘導体及びその製造方法

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JPH10120705A
JPH10120705A JP8272604A JP27260496A JPH10120705A JP H10120705 A JPH10120705 A JP H10120705A JP 8272604 A JP8272604 A JP 8272604A JP 27260496 A JP27260496 A JP 27260496A JP H10120705 A JPH10120705 A JP H10120705A
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史郎 佐伯
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芳夫 斎藤
Hirofumi Yura
洋文 由良
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医用材料または化粧品材料として有用な新規
な糖含有化合物を提供する。 【解決手段】 アミノ糖を構成糖として含む多糖類及び
/またはオリゴ糖類のアミノ糖の少なくとも一部のアミ
ノ基を介して、少なくとも1種の他の糖類を誘導した新
規な合成アミノ糖類誘導体。前記他の糖類の還元末端を
酸化開環して形成した末端基と前記アミノ糖のアミノ基
とを結合させることからなる合成アミノ糖類誘導体の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医用材料や化粧品
材料として有用な新規な糖含有化合物、特に、キトサン
あるいはキトオリゴ糖という天然の糖鎖に更なる糖側鎖
を結合させた合成アミノ糖鎖誘導体とその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年の糖鎖に関する研究の進歩にはめざ
ましいものがある。例えば、(1)細胞の安定化に寄与
する植物細胞壁のプロテオグリカン、(2)細胞の分
化、増殖、接着、移動などに深い関わりを持つ糖脂質、
および(3)細胞間相互作用や細胞認識に関与している
糖タンパク質などに関する研究がそれである。これらの
生体高分子が有する糖鎖が、互いに機能を代行、補助、
増幅、調節、あるいは阻害しあいながら高度で精緻な生
体反応を制御していることが明らかにされつつある。
【0003】特に、細胞の分化やがん化、あるいは免疫
反応に対する糖鎖の関わりが明確になれば、臨床医学上
有用な応用が期待できる。
【0004】また、糖鎖を介した白血球の接着や浸潤あ
るいはウイルスの結合は、炎症反応あるいは感染に関係
し、肝細胞の糖レセプターを介した糖蛋白質のエンドサ
イトーシスは代謝に関わっている。また、細胞が組織中
で機能を発現するために、糖鎖を介した細胞-マトリッ
クス相互作用も重要な役割を果たしている。
【0005】それらの一例を具体的に示すと、肝実質細
胞はガラクトースやマンノースを選択的に認識し、血管
の組織細胞はMan、N-アセチルグルコサミン、およびN
-アセチルマンナンを、リンパ球はManNAcおよび
GlcNAcを特異的に認識する。
【0006】しかしながら、これらの糖鎖は糖蛋白質や
プロテオグリカンなどの糖質中に含まれるごく一部の構
成糖である、また、その糖蛋白質やプロテオグリカンな
どが植物、海洋生物、昆虫などに含まれる微少成分であ
るため、有用な糖鎖成分を簡便、安価、且つ大量に用い
ることが難しかった。
【0007】そこで、本発明者らは、従来から糖鎖の特
異的な親和力に着目し鋭意検討を重ねてきており、例え
ば、ほ乳類の肝細胞に存在するガラクトース結合性のア
シアロ糖蛋白質レセプターに対するリガンドモデルとし
て、ガラクトースを側鎖に有するビニル系高分子である
ポリ(N−p−ビニルベンジル−[O−β−D−ガラク
トピラノシル−(1→4)−D−グルコンアミド])
(PV−LAと略記)を設計・合成した。
【0008】例えば、このビニル系ポリスチレン誘導体
であるPV−LAを被覆したシャーレ上では、肝実質細
胞のアシアロ糖蛋白質レセプターを介した糖特異的な細
胞接着が起こり、しかも他の培養系では見られない接着
型の三次元的自己集合化が導かれることを見いだした
(由良洋文、赤池敏宏、「組織培養」、19巻、317
−322頁、1993年)。
【0009】そこで今回、有用な糖鎖成分を簡便、安
価、且つ大量に供給するものとして、新たに、天然また
は合成の多糖類もしくはオリゴ糖類に、生物学的に特異
性の高い糖鎖を結合させた合成アミノ糖鎖誘導体が優れ
た性質を有することを見いだし本発明を完成させるに至
った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明における
課題は、天然または合成の多糖類もしくはオリゴ糖類
に、生物学的に特異性の高い糖鎖を結合させた新規な合
成アミノ糖類誘導体及びその糖類誘導体の製造方法を提
供することにある。本発明によって、これまでにない臨
床医学、生物化学、免疫学に適用可能であり、かつ取扱
いが容易で安価な糖含有材料を提供することができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ア
ミノ糖を構成糖として含む多糖類及び/またはオリゴ糖
類のアミノ糖の少なくとも一部のアミノ基を介して、少
なくとも1種の他の糖類を誘導した合成アミノ糖類誘導
体を提供する。
【0012】さらに本発明は、アミノ糖を構成糖として
含む多糖類及び/またはオリゴ糖類のアミノ糖の少なく
とも一部のアミノ基に、少なくとも1種の他の糖類を結
合させてなる合成アミノ糖類誘導体の製造方法であっ
て、前記他の糖類の還元末端を酸化開環して形成した末
端基と前記アミノ糖のアミノ基とを結合させることから
なる合成アミノ糖類誘導体の製造方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係る合成アミノ糖類誘導
体は、下記の一般構造式(I)に代表されるようなアミ
ノ基を分子中に少なくとも1以上有する構成糖を少なく
とも1つ含有する多糖類もしくはオリゴ糖類を主骨格と
し、このアミノ基の一部もしくは全部を介して、少なく
とも1つの他の糖類を側鎖として結合させた合成アミノ
糖類である。
【0014】
【化1】
【0015】本発明の合成アミノ糖鎖誘導体の主骨格を
なすのは、少なくとも1つのアミノ基を有する構成糖を
少なくとも1つ含む多糖類またはオリゴ糖類であれば、
天然由来でも合成由来でもよく、例えば、以下のものが
好適に用いられる。 ・構成糖としてアミノ基を有するキチン、ヘパリン、ヒ
アルロン酸などの天然の多糖類またはオリゴ糖類、 ・N-アセチルグルコサミンやN-アセチルガラクトサミ
ンを脱アセチル化して合成したアミノ基を有する多糖類
およびオリゴ糖類、及び、 ・構成糖の水酸基、ヒドロキシメチル基に有機合成的に
アミノ基を誘導したアミノ基を有する多糖類およびオリ
ゴ糖類。
【0016】これらの中で、二種類以上の単糖およびそ
の誘導体の縮合体でアミノ基を含むヘパリン、ヒアルロ
ン酸、コンドロイチン硫酸などのヘテロ多糖類やグリコ
サミノグリカン類が好適に用いられ得る。しかし、これ
に限定されるものではなく、セルロース、デキストラ
ン、プルラン、イヌリン、ペクチン、キチンなどの単一
多糖類の水酸基やカルボキシル基を化学的にアミノ化し
たりN-アセチル基を脱アセチル化するなどしてアミノ
基を形成したもの、とりわけ、キチンを脱アセチル化し
たキトサンやそのオリゴ糖は特に好適に用いることがで
きる。
【0017】これらの主骨格をなす糖類としては、構成
糖が線状に配列したもの、分子量:2,000〜20
0,000程度、重合度:10〜1,200程度のもの
が好ましく用いられるが、これらに限定されるものでは
ない。また、主骨格をなす多糖類あるいはオリゴ糖類に
含まれるアミノ基を有するアミノ糖の含有率は、目的や
用途によって適宜選択できるが、一般的には10〜10
0%とするのが好ましい。
【0018】上記の主骨格に側鎖として誘導される他の
糖類は、特に限定されるものではなく、天然または合成
の単糖類、二糖類、オリゴ糖類などである。例えば、マ
ルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオー
ス、ルチノース、ショ糖、トレハロース、ラミナリビオ
ース、マンノビオース、ジガラクトサミン、ジグルコサ
ミン、ジガラクツロン酸、ジグルクロン酸、メリビオー
ス、イソマルトース、マルトトリオース、ラフィノー
ス、またはパノース等の二糖類や三糖類などが好適であ
るが、ブドウ糖、ガラクトース、マンノース、ウロン酸
果糖、およびフコースなどのデオキシ糖などの単糖類も
誘導可能である。
【0019】これらの糖類の中で、生物学的に特異的な
相互作用が認められているラクトース、メリビオース、
カルボキシル化ラクトース、グルコース、マルトース、
ラミナリビオース、セロビオース、マンノビオース、ジ
ガラクトサミン、またはジグルコサミンを用いるのが特
に好ましい。
【0020】構成糖のアミノ基に対する糖鎖の誘導率
は、目的や用途に応じて適宜選択されるが、一般的に
は、10〜100%とするのが好ましい。
【0021】次に、本発明の合成アミノ糖類誘導体の製
造方法について説明する。本発明の製造方法は、アミノ
糖を構成糖として含む多糖類及び/またはオリゴ糖類の
アミノ糖の少なくとも一部のアミノ基に、少なくとも1
種の他の糖類を結合させてなる合成糖類誘導体の製造方
法であって、前記他の糖類の還元末端を酸化開環して形
成した末端基と前記アミノ糖のアミノ基とを結合させる
ことを特徴とする。
【0022】アミノ糖を構成糖として含む多糖類及び/
またはオリゴ糖類としては、上記の式(I)で表される
ようなアミノ基を有する構成糖を少なくとも1つ含有す
るものであればよく、例えば、次式(II)で表される
ような、構成糖すべてにアミノ基を含有する多糖類また
はオリゴ糖類であってもよい。式(II)中のXは、多
糖類またはオリゴ糖類の重合度を表し、10から200
程度の数値とするのが好ましい。
【0023】
【化2】
【0024】本発明の製造方法で用いられる他の糖類と
しては、前記したような単糖類、二糖類、オリゴ糖類等
が好適に用いられる。まず、これら他の糖類の還元末端
を酸化開環して、アミノ基と結合可能な末端基を形成す
る。次いで、この末端基を前記多糖類又はオリゴ糖類の
アミノ基に結合させる。以下に、具体例を挙げて本発明
の製造方法をさらに詳細に説明するが、本発明はこの具
体例に限定されるものではない。
【0025】アミノ基を含有する多糖類またはオリゴ糖
類として、下記式(III)で表されるキトサンまたは
キトオリゴ糖を用い、還元末端が開環した他の糖類とし
て、下記式(IV)で表されるD-ガラクトピラノシル
−グルコン酸を用いた場合を考える。なお、下記式中、
Rはアミノ基、アセチル基、硫酸基等の官能基を示す。
Xは、多糖類またはオリゴ糖類の重合度を示し、好まし
くは10から200の数値を表す。
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】上記式(IV)に示したような還元末端が
開環した二糖類は、例えばヨウ素を用いた酸化反応によ
って容易に得られる。また、ラクトースを用いるとき
は、酵素的にカルボシル基を誘導した4-O-β-D-ガラ
クトピラノシル-グルコン酸(商品名:ラクトビオン
酸、東京化成)が市販されていて便利である。
【0029】この末端基(カルボキシル基)と、上記式
(III)で表されるキトサンあるいはキトオリゴ糖の
構成糖の2位のアミノ基との間にアミド結合を形成させ
る。このアミド結合形成には、カルボキシル基またはア
ミノ基を活性化する方法およびカップリング剤を用いる
方法などが好ましく採用される。
【0030】アミド結合形成のうちカルボキシル基を活
性化する方法としては、主骨格である多糖類あるいはオ
リゴ糖類に結合させることができる二糖類のD-ガラク
トピラノシル−グルコン酸などのカルボキシル基を、例
えば、p-ニトロフェニルエステルの形態で活性化し、
活性化化合物を分離した後、これに多糖類あるいはオリ
ゴ糖類のアミノ基と反応させる。この反応は、ジメチル
ホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)などの溶媒中、室温あるいは冷却
下で行われる。反応時間は数時間から数日間で完了す
る。アミド結合形成の進行率は、反応に伴って遊離する
p-ニトロフェノールを定量することによって知ること
ができる。
【0031】次に、カップリング剤を用いる方法として
は、例えば、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド
(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カ
ルボジイミドハイドロクロライド(EDC)などのカルボジ
イミド系カップリング剤、好ましくは、水溶性カルボジ
イミドの存在下、多糖類あるいはオリゴ糖類のアミノ基
とD-ガラクトピラノシル−グルコン酸のカルボキシル
基を縮合させる。この反応条件は、上述のカルボキシル
基の活性化によるアミド結合形成と同様である。このよ
うにして、下記式(V)に示すような本発明の合成アミ
ノ糖類誘導体を得ることができる。
【0032】
【化5】
【0033】上述の方法に従って調製された合成アミノ
糖類誘導体(V)は、例えば、セルロース透析膜などを
用いて透析すること等によって精製してもよい。
【0034】
【実施例】
<合成例1>カニ由来のキチン粉末50gを、5℃に冷
却した48重量%水酸化ナトリウム水溶液1000g中
に分散させ、5℃に保ちながら攪拌して、2時間減圧・
脱気してキチン分散液を得た。ついで、砕氷2150g
を加え、攪拌して、キチン濃度1.5重量%、水酸化ナ
トリウム濃度15重量%のアルカリキチン溶液を得た。
【0035】このアルカリキチン溶液を5℃下で、約1
週間静置した後、6N塩酸約2000mlを数回に分けて
加え、pH8.5に調整した。このときに析出した白色
ゲル上沈殿物を、遠心分離によって回収し、蒸留水とエ
チルアルコールの1:1混合液で洗浄して塩分を除去し
た。ついで、この沈殿物を、蒸留水5000mlに分散さ
せ、噴霧乾燥させ白色粉末を42g得た。
【0036】この調製物の脱アセチル化率をコロイド滴
定法により測定したところ、33%であった。
【0037】脱アセチル化反応の進行度合いは、添加す
るキチン濃度、アルカリ濃度、反応温度などで制御でき
る。例えば、90℃前後で反応を行えば、脱アセチル化
度80%のキチンが収率70%で獲得できる。 これ
を、一般的に、分子鎖中にアミノ基を豊富に含む酸可溶
性のキトサンと称する。
【0038】このキトサンに、微生物由来のキチナーゼ
あるいはキトサナーゼを作用させると、鎖長の短いキト
サンオリゴ糖を得ることができる(平野茂博、科学技術
誌VOL. 9, 45-48, 1983)。
【0039】<実施例1>ラクトビオン酸5gをTEMED緩
衝液(50mM テトラメチレンエチレンジアミン、pH
4.7)30mlに溶解し、EDC5gを加えて30分間攪拌
する。このEDC溶液添加に、10gのキトサンを溶解した
TEMED緩衝液120mlを加えて3日間攪拌する。この
間、3.3gのEDCを数回に分けて添加する。その後、透
析あるいはアシライザーにより低分子成分を除き、凍結
乾燥により製品を得た(収量12.5g)。合成された
キトサン-ラクトース誘導体(CH-LA10[ラクトースの導
入率約31.5%])のラクトースの導入を13C-NM
Rによって確認した。今回使用したキトサンには存在し
ないカルボニルに由来する175ppmにラクトース固
有のピークが観察された(図2)。
【0040】<実施例2>添加するラクトビオン酸を
1.5gにした以外は、実施例1に示す手順に従ってラ
クトビオン酸をキトサンに誘導した(収量10g)。合
成されたキトサン-ラクトース誘導体(CH-LA15[ラクト
ースの導入率1.6%])のラクトースの導入を13C-
NMRによって確認した。ラクトースを導入していない
キトサンと異なって、176ppmにラクトース固有の
ピークが観察された(図3)。
【0041】<実施例3>添加するラクトビオン酸を
2.0gにした以外は、実施例1に示す手順に従ってキ
トサンへのラクトビオン酸の誘導を行った(収量11
g)。合成されたキトサン-ラクトース誘導体(CH-LA20
[ラクトースの導入率2.4%])のラクトースの導入
13C-NMRによって確認した。ラクトースを導入し
ていないキトサンと異なって、175ppmにラクトー
ス固有のピークが観察された(図4)。
【0042】(糖導入率の決定)ラクトース(LA)の
導入率の決定はNMR解析によった。キトサン全体を1
00(%)とし、そのうちX(%)にLAが導入された
ものとする。例えば、図2に示したNMRチャートにお
いて、100ppm付近の強いピークは骨格糖類である
キトサンのβ結合のCHによるものであるので、この積
分値を100(%)とする。次に、175ppmの強い
シグナルはラクトースのC=Oによるものであり、95
ppm付近のものは、ラクトースのβ結合のCHによる
ものであるので、これらの積分値は、各々X(%)とな
る。一方、実際の測定値として、175ppm付近のピ
ークの積分値は2.040、100ppmから95pp
m付近のピークの合計積分値は8.516であった。従
って、X:X+100=2.040:8.516なる等
式が成り立ち、この式から計算すると、ラクトース導入
率X=31.5(%)と算出される。実施例2及び3の
キトサン-ラクトース誘導体においても、同様の方法に
よってラクトースの導入率を算出した。
【0043】
【発明の効果】本発明のアミノ糖類誘導体は新規であ
り、前項で示すごとく様々な生物学的に有用な活性な他
の糖類を誘導することにより、種々の生物学的活性を有
するものとなり得る。従って、(1)標的である細胞に
対する認識作用を有する他の糖類を誘導すれば、生体認
識高分子として医療分野に応用することができる。
(2)細胞外基質の構成成分である様々な他の糖鎖を誘
導すれば、細胞培養用の足場として好適に使用できる。
(3)主骨格をなす多糖類あるいはオリゴ糖類は、分子
中に含まれる豊富な水酸基などに基づく保湿性を有する
ので基礎化粧品添加物として有効である。(4)水溶性
の高い糖鎖を更に誘導しているため、結晶性が高く難溶
性だった多糖類でも可溶化し物性が向上する。したがっ
て、本発明は、多くの臨床医学や基礎的研究分野さらに
は工業的分野で応用できるバイオマテリアルとなり得る
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1により得られたアミノ糖類誘導体
(CH-LA10)の1H−NMRスペクトルを示す。
【図2】 実施例1により得られたアミノ糖類誘導体
(CH-LA10)の13C−NMRスペクトルを示す。
【図3】 実施例2により得られたアミノ糖類誘導体
(CH-LA15)の13C−NMRスペクトルを示す。
【図4】 実施例3により得られたアミノ糖類誘導体
(CH-LA20)の13C−NMRスペクトルを示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年1月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】構成糖のアミノ基に対する糖鎖の誘導率
は、目的や用途に応じて適宜選択できる。一般的には、
〜100%とするのが好ましい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】(糖導入率の決定)ラクトース(LA)の
導入率の決定はNMR解析によった。キトサン全体を1
00(%)とし、そのうちX(%)にLAが導入された
ものとする。例えば、図2に示したNMRチャートにお
いて、100ppm付近の強いピークは骨格糖類である
キトサンのβ結合のCHによるものであるので、この積
分値を100(%)とする。次に、175ppmの強い
シグナルはラクトースのC=Oによるものであり、95
ppm付近のものは、ラクトースのβ結合のCHによる
ものであるので、これらの積分値は、各々X(%)とな
る。一方、実際の測定値として、175ppm付近のピ
ークの積分値は2.040、100ppmから95pp
m付近のピークの合計積分値は8.516であった。従
って、X:(X+1)=2.040:8.516なる等
式が成り立ち、この式から計算すると、ラクトース導入
率X=31.5(%)と算出される。実施例2及び3の
キトサン−ラクトース誘導体においても、同様の方法に
よってラクトースの導入率を算出した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 芳夫 神奈川県横浜市金沢区長浜2−6−19 (72)発明者 由良 洋文 神奈川県藤沢市湘南台5−9−1−601

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ糖を構成糖として含む多糖類及び
    /またはオリゴ糖類のアミノ糖の少なくとも一部のアミ
    ノ基を介して、少なくとも1種の他の糖類を誘導したこ
    とを特徴とする合成アミノ糖類誘導体。
  2. 【請求項2】 前記オリゴ糖が、多糖類を酵素的あるい
    は化学的に分解して低分子化したオリゴ糖類であること
    を特徴とする請求項1記載の合成アミノ糖類誘導体。
  3. 【請求項3】 前記多糖類がキチンであり、前記オリゴ
    糖がキチンのN−アセチル基をアルカリ処理によって脱
    アセチル化したキトサンまたはキトオリゴ糖であること
    を特徴とする請求項2記載の合成アミノ糖類誘導体。
  4. 【請求項4】 前記他の糖類が、1以上の構成糖を有す
    る単糖類、二糖類、またはオリゴ糖類であることを特徴
    とする請求項1記載の合成アミノ糖類誘導体。
  5. 【請求項5】 前記他の糖類が、ラクトース、メリビオ
    ース、カルボキシル化ラクトース、グルコース、マルト
    ース、ラミナリビオース、セロビオース、マンノビオー
    ス、ジガラクトサミン、及びジグルコサミンからなる群
    から選択される少なくとも1種の糖類であることを特徴
    とする請求項4記載の合成アミノ糖類誘導体。
  6. 【請求項6】 アミノ糖を構成糖として含む多糖類及び
    /またはオリゴ糖類のアミノ糖の少なくとも一部のアミ
    ノ基に、少なくとも1種の他の糖類を結合させてなる合
    成アミノ糖類誘導体の製造方法であって、 前記他の糖類の還元末端を酸化開環して形成した末端基
    と前記アミノ糖のアミノ基とを結合させることを特徴と
    する製造方法。
  7. 【請求項7】 前記末端基と前記アミノ基との結合が、
    カップリング剤を用いて行われることを特徴とする請求
    項6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記カップリング剤が、少なくとも1種
    の水溶性カルボジイミドを含むことを特徴とする請求項
    7記載の製造方法。
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