JP2002249523A - 蛋白質精製用担体、その製造方法及びそれを用いた蛋白質の精製方法 - Google Patents
蛋白質精製用担体、その製造方法及びそれを用いた蛋白質の精製方法Info
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Abstract
の水酸基が結合に関係している糖質や遊離のアノメリッ
ク水酸基を認識する物質と親和性があり、アノメリック
水酸基以外の水酸基を介して、ポリマー鎖に結合した構
造の糖リガンドを有した、より低温に曇点を有する温度
感受性ポリマー及びその製造方法とそれを利用した蛋白
質の精製方法を提供する 【解決手段】 下記一般式(1)(式中、R1はメチ
レン基又はアルキレン基、Sは糖化合物からアノメリッ
ク水酸基以外の1個の水酸基が除かれた糖残基を示す)
で表される構造単位および下記一般式(2)で表される
構造単位からなる共重合体。 【化1】
Description
性高分子化合物とその製造方法及びそれを利用したアフ
ィニティ沈殿によるタンパク精製に関する。
結合したアフィニティカラムクロマトグラフィーが広く
利用されている。しかし、その精製工程においては長時
間を要し、また大量の溶出液を必要とする。近年、生理
活性物質を機能性高分子で修飾したハイブリッド技術が
めざましく進展してきている。これにより、生理活性物
質の機能変換、新機能の付加が可能となった。そのひと
つとして可溶不溶可逆性高分子を利用したアフィニティ
沈殿法による有用物質の精製が挙げられる(J. Fermen
t. Bioeng., 68, 32-36, 1989、Biomaterial, 11, 625-
639, 1990, Biomaterial, 11, 631-634, 1990 Bioconju
gate Chem., 4, 509-514,1993、Biotechnol.Bioeng., 4
0,1381-1387, 1992)。これまでの研究からPoly N-acry
loyl piperidine (pAP)にマルトースを導入したpAP-Mal
tose(マルトースのアノメリック位に重合性基が結合し
たもの)は、レクチンやα-グルコシダーゼに対して強
い親和性を示し、アフィニティ沈殿により高度にタンパ
クを精製することが明らかになっている(K.Hoshino et
al., Biotechnol. Bioeng., 60, 568-579,1998)。
ック水酸基を介して糖質がポリマー鎖に結合した構造を
有しているため、各種グリコシダーゼを特異的に認識す
ることができなかった。
ティ吸着体の調整方法は、主に糖のアノマー位を化学修
飾した重合性糖質誘導体との共重合体を合成する方法が
とられている。そのためそれらの吸着体を用いたアフィ
ニティ沈殿法は、糖のアノマー位のグリコシル結合を特
異的に認識するレクチン類および糖加水分解酵素などに
対して有効である。しかし、糖のアノマー位以外の水酸
基が関係する糖質間の結合を認識するレクチン類および
糖加水分解酵素などの精製には、これまでの重合性糖質
誘導体では不可能であった。また、N-イソプロピルアク
リルアミドと重合性糖エステルとの共重合体からなる温
度感受性ポリマーも報告されているが(特開2000-21222
8)、沈殿が生じてくる温度が30℃以上と高く不安定な
タンパクの精製には適していない。
は、糖質間の結合の中でアノメリック水酸基以外の水酸
基が結合に関係している糖質を認識する物質と親和性が
あり(例えば、グリコシド結合の非還元末端側の糖質を
認識する物質と親和性があり)、アノメリック水酸基以
外の水酸基を介して、ポリマー鎖に結合した構造の糖リ
ガンドを有した、より低温に曇点を有する温度感受性ポ
リマー及びその製造方法とそれを利用した蛋白質の精製
方法を提供することにある。
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ジカルボン酸ビニ
ルエステルに糖が結合した重合性の糖エステルとアクリ
ロイルピペリジンとを共重合させることにより、10℃辺
りに曇点を持つ共重合体を合成することに成功して、本
発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の発明を
提供するものである。
基、Sは糖化合物からアノメリック水酸基以外の1個の
水酸基が除かれた糖残基を示す)で表される構造単位お
よび下記一般式(2)
位を0.01〜99.99モル%、及び一般式(2)で
表される構造単位を99.99〜0.01モル%含有す
る項1に記載の共重合体。
単糖類、オリゴ糖類、多糖類及びその部分加水分解物並
びにそれらの誘導体から選択される化合物である、項1
又は2に記載の共重合体。
基、Sは糖化合物からアノメリック水酸基以外の1個の
水酸基が除かれた糖残基を示す。)で表される重合性糖
エステルとアクリロイルピペリジンを、重合開始剤存在
下にラジカル重合させる、請求項1〜3のいずれかに記
載の共重合体の製造方法。
づいて、一般式(3)の化合物0.1〜99.9モル
%、アクリロイルピペリジン99.9〜0.1モル%か
らなるモノマー混合物を、重合開始剤存在下にラジカル
重合させる、項4に記載の製造方法。
重合体を用いて、蛋白質を精製する方法。
って、 i)蛋白質を含む試料と項1〜3のいずれかに記載の共重
合体を1〜5℃程度の条件下混合し、 ii)混合物の温度を7〜15℃程度に上昇させ、沈殿物
と溶液とに分離し、 iii)得られた沈殿物に、1〜5℃程度の条件下、脱離剤
を加えて蛋白質を解離させる ことを含む方法。
は、前記一般式(3)で表される。R1としては特に制限
はないが、通常、エチレン基又は炭素数2〜18の直鎖
又は分岐状のアルキレン基、好ましくは炭素数2〜8の
直鎖または分岐アルキレン、例えば、エチレン、トリメ
チレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレ
ン、オクタメチレン基などが挙げられる。好ましくは、
テトラメチレンである。
限はないが、単糖類、オリゴ糖類、多糖類及びその部分
加水分解物ならびにそれらの誘導体(例えば、アミノ
糖、配糖体、核酸、糖アルコール、ウロン酸、アルコル
ビン酸等)が例示できる。
ルクトース、マンノース、ガラクトース等のヘキソー
ス、アラビノース、キシロース、リボース等のペントー
スが例示できる。
トース、セロビオース、ラクトース、トレハロース等の
二糖類、ラフィノース、マルトトリオース等の三糖類、
マルトテトラオース、マルトペンタオース、サイクロデ
キストリン等が例示できる。
は、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、キ
トサン、マンナン、プルラン、カードラン、キシラン、
ガラクトマンナン、グルコマンナン、デキストラン、ヒ
アルロン酸等の多糖およびそれらの部分加水分解物(例
えば、デキストリン)などが挙げられる。
トサミンやノイラミン酸等のシアル酸等が、配糖体とし
ては、アルブチン、サリシン、ポプリン等が、核酸とし
ては、アデノシン、ウリジン、チミジン、グアノシン、
シチジン、2’− デオキシシチジン、2’−デオキシ
アデノシン、2’−デオキシグアノシン等が例示でき
る。
好ましくは、グルコース、マンノース、ガラクトース、
マルトース、トレハロース)である。
し、両者の混合物でもよい。好ましくは、D体のもので
ある。
ては、上記糖化合物中、アノメリック炭素に結合してい
る水酸基以外の水酸基を意味する。即ち、アノメリック
炭素とは、アルドースの場合には、アルデヒド基中の炭
素(C−1)をいい、ケトースの場合には、ケトン基中
の炭素(C−2)をいう。従って、「アノメリック水酸
基以外の水酸基」とは、炭素数6のアルドースの場合に
は、C−2、C−3、C−4及びC−6に結合している
水酸基、炭素数6のケトースの場合には、C−1、C−
3、C−4及びC−5に結合している水酸基となる。
R1がテトラメチレンであり、Sが糖化合物が単糖類ま
たは二糖類(より好ましくは、グルコース、マンノー
ス、ガラクトース、マルトース、トレハロース)であっ
て、6位或いは6’位の水酸基に重合性基を配するもの
である。
(一般式(3)の化合物)は、ジカルボン酸ビニルエス
テルと糖化合物とを化学的にエステル結合させるか、あ
るいは加水分解酵素(もしくは該酵素を産生する微生物
等)を用いて酵素化学的に(もしくは発酵的に)結合さ
せることにより合成することができる。
は、酵素としてプロテアーゼやリパーゼ、特に放線菌由
来やバチルス属由来のプロテアーゼやアルカリゲネス属
やブタ膵臓由来のリパーゼが好ましく用いられる。また
は、各種由来のエステラーゼを用いてもよい。
えば、塩基触媒を用いた方法(J. Org. Chem., 53, 449
(1988))に記載の方法によって合成し、例えばシリカ
ゲル等のカラムで分離し得ることができる。
はアクリロイルピペリジンが挙げられる。
ピペリジンの混合比としては、モノマー総重量100モ
ル%に基づいて、一般式(3)の化合物が0.1〜9
9.9モル%、アクリロイルピペリジンが99.9〜
0.1モル%、好ましくは、一般式(3)の化合物が1
〜50モル%、アクリロイルピペリジンが50〜99モ
ル%程度の割合で混合する。このような範囲内であれ
ば、所望の共重合体(即ち、一般式(1)で表される構
造単位が共重合体中に0.01〜99.99モル%、好
ましくは0.1〜20モル%含有される)が得られる。
より製造することができる。即ち、上記の糖エステル
(一般式(3)の化合物)およびアクリロイルピペリジ
ンを混合し、該混合物をラジカル重合開始剤の存在下、
加熱等により重合反応を開始させることによって合成で
きる。好ましくは、糖エステル(一般式(3)の化合
物)およびアクリロイルピペリジンを溶媒中に溶解し、
該混合物をラジカル重合開始剤の存在下、加熱等により
重合反応を開始させることによって合成するのがよい。
モノマーが溶解可能であれば、特に限定されないが、D
MSO、DMF、ピリジンやメタノール、エタノール、
t-ブチルアルコール等のアルコール類、水等が例示で
き、好ましくは、t-ブチルアルコールである。溶媒と該
モノマー混合物との混合比は、得られる共重合体の要求
物性に基づいて任意の範囲で混合できるが、通常は、モ
ノマー混合物1重量部に対して、溶媒を1〜100重量
部の範囲で混合するのがよい。この範囲を越えると分子
量が低下するのおそれがある。
れないが、アゾイソブチルニトリル(Azoisobutylnitri
le (AIBN))、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩(Azobi
s(2-amidinopropane)・2HCl)等のアゾ化合物や、フェ
ントン試薬等が例示でき、好ましくは、アゾ化合物、特
にAIBNである。ラジカル重合開始剤の使用量としては、
得られる共重合体の要求物性に応じて任意の範囲で用い
られるが、通常はモノマー総量100モル%の0.1〜
2モル%程度である。
を均一に混合したモノマー溶液に、ラジカル重合開始剤
を添加、混合し、50〜80℃で1時間以上行わせる。望ま
しくは、65℃程度で2〜24時間程度反応させることに
より合成される。モノマー溶液は、高分子量のポリマー
を得るために脱気することが好ましく、また、ラジカル
重合開示剤を加えた後も同様である。重合反応中、攪拌
することが好ましい。
等に溶解させる。得られた共重合体は、温度応答性があ
るので、7〜15℃程度の条件にすることによって、沈
殿物として回収することができる。
や、透析等によって精製してもよい。
表される構造単位および前記一般式(2)で表される構
造単位からなり、構造単位(1)を0.01〜99.9
9モル%、好ましくは0.1〜20モル%で含有する
(即ち、構造単位(2)を0.01〜99.99モル
%、好ましくは80〜99.9モル%)。低温で沈殿を
生じる温度刺激応答性ポリマーを得るためには、構造単
位(2)を有する共重合体を80〜99.9モル%含む
(即ち、構造単位(1)を0.1〜20モル%)ことが
望ましい。
ないが、好ましくは数平均分子量で3000〜6000
00、好ましくは、10000〜100000である。
分子量は、共重合体の使用目的に応じて適当な大きさの
ものを選択することができる。また、重合性糖エステル
の組成比率を多くすることによって、タンパクの吸着量
を増やすことができる。
ていてもよいし、ブロック構造を有していてもよい。上
記製造方法は、ランダム構造の共重合体を製造する方法
であるが、ブロック共重合体の製造についても、上記製
法を参照し、常法に従い、製造することができる。
温度刺激応答性ポリマーであるため、温度刺激応答性の
機能性材料として使用することができる。即ち、本発明
の共重合体は、5℃程度以下では、水溶液として存在す
るが、7℃程度以上になると沈殿する特性を有してい
る。従って、本発明の温度刺激応答性ポリマーは、物質
精製材料、ドラックデリバリーシステム制御材料等とし
て用いることができ、各用途に応じて適宜、通常用いら
れる他の成分を含有させてもよい。
法 本発明の共重合体を用いて、蛋白質、例えば、熱に不安
定な蛋白質を精製することができる。具体的には、糖類
に親和性のあるタンパク質、具体的には、アノメリック
水酸基以外の水酸基が糖質間の結合に関与している糖質
(例えば、1,6グリコシド結合を有する非還元末端側
の糖質)に親和性のあるタンパク質や遊離のアノメリッ
ク水酸基に親和性のある蛋白質、例えば、グリコシダー
ゼ(例えば、デキストラナーゼ、プルラナーゼ、イソア
ミラーゼ等の1,6−グルコシダーゼ)や糖輸送タンパ
ク(例えば、グルコース輸送担体)、レクチン等が本発
明の共重合体に用いて精製できる。
の条件下混合し、 ii)混合物の温度を7〜15℃程度に上昇させ、沈殿物
と溶液とに分離し、 iii) 得られた沈殿物に、1〜5℃程度の条件下、脱離
剤を加えて蛋白質を解離させる。
を、水溶液に溶解させる。水溶液としては、蛋白質を含
む試料を溶解できるものであれば特に限定されず、例え
ば、酢酸やリン酸等のバッファーが例示できる。
合比については、共重合体中の糖化合物の含有量に依存
するが、例えば、蛋白質1g当たり、共重合体を10〜
500g、好ましくは50〜200gの割合で混合す
る。
合し、共重合体が水中に溶解する温度である1〜5℃程
度の条件下静置させることによって所望の蛋白質を本発
明の共重合体に結合させる。好ましくは、攪拌した方が
よい。
℃程度に水溶液の温度を上げることによって、蛋白質が
結合している共重合体は不溶化させる。不溶化した共重
合体を例えば、遠心分離によって、沈殿物を回収する。
緩衝液(例えば、酢酸バッファー(pH5.5)など)を
添加し、共重合体が溶解できる温度、即ち、1〜5℃程
度に温度を下げ、脱離剤を加えて共重合体から所望の蛋
白質を解離させる。解離剤としては、各種糖化合物、塩
が例示できる。
多糖類およびその部分加水分解物並びにそれらの誘導体
(例えば、アミノ糖、配糖体、核酸、糖アルコールやウ
ロン酸、アルコルビン酸等)が例示できる。これらの具
体例としては、上記の通りである。好ましくは、グルコ
ース、マルトトリオース、プルラン等が挙げられる。
いが、0.01〜10%、好ましくは、0.05〜6%
程度になるような濃度がよい。
が、NaClが好ましい。使用する濃度としては、0.1〜
2M、好ましくは、0.5〜1.5M程度である。
定される。
とによって得ることができる。また、所望によりHPL
C等によって精製してもよい。
うのが好ましい。
くこの新規温度刺激応答性高分子とその製造方法及びそ
れを利用したアフィニティ沈殿によるタンパク精製につ
いて説明するが、これらは単なる例示であって、本発明
の制限をなんら限定するものではない。
合成 グルコース36g、アジピン酸ジビニル305gを含む
DMF溶液1lに、ビオブラーゼ240gを添加し、3
5℃、130rpmにて2週間攪拌した。酵素反応液を濾
過して酵素粉末を除去した後、反応液を減圧濃縮しDM
Fを除去した。シリカゲル100gを充填したカラムに
得られた濃縮液を添加し、クロロホルム:メタノール=
8:1で溶出し、生成物を集めアセトンから標記6−O
−ビニルアジポイル−D−グルコースの結晶を得た。無
色粉末結晶45g(収率68%)。
イルピペリジン共重合体の合成 グルコースエステル−アクリロイルピペリジン共重合体
の合成は、以下のようにして行った。セパラブルフラス
コ内でアクリロイルピペリジン(AP)5 g(36ミリモ
ル)および6-O-vinyladipoyl-D-glucose(VP) 0.122g
(0.36ミリモル)をtert-ブタノール 250 mlに溶解
させた後、窒素ガスにより脱気し65℃にインキュベート
した。この溶液にAIBN 75 mg(0.46ミリモル)を添
加し、65℃で12時間重合させた。この反応の後、ロータ
リーエバポレーターを用いてtert-ブタノールを除いた
後、残渣を蒸留水200 mlに溶解した。生成した高分子は
温度応答を示すので、遠心分離操作(6,000 ×g, 10分,
10℃)により沈殿として回収した。また、この高分子は
先の沈殿を透析チューブ(Seamless Cellulose Tubing,
Size 24, Wako)に入れ蒸留水にて24時間以上透析するこ
とにより精製した。さらに、透析チューブ内の高分子溶
液を凍結乾燥し、得られた高分子化合物(共重合体)を
pAP-VG1(ポリマーC)とした。
6-O-vinyladipoyl-D-glucoseの配合比を代えて共重合体
を得た。
示す。
ロイルピペリジン共重合体の合成 トレハロースエステル−アクリロイルピペリジン共重合
体の合成は、アクリロイルピペリジン5g(36ミリモ
ル)と、参考例1と同様にして合成した6-O-vinyladipo
yl-D-trehalose 0.175g(0.36ミリモル)を用い
て、実施例1と同様の方法で合成した。
イルピペリジン共重合体の合成 マンノースエステル−アクリロイルピペリジン共重合体
の合成は、アクリロイルピペリジン5g(36ミリモ
ル)と、参考例1と同様にして合成した6-O-vinyladipo
yl-D-mannose 0.122 g(0.36ミリモル)を用い
て、実施例1と同様の方法で合成した。
イルピペリジン共重合体の合成 マルトースエステル−アクリロイルピペリジン共重合体
の合成は、アクリロイルピペリジン5g(36ミリモル)
と、参考例1と同様にして合成した6-O-vinyladipoyl-D
-maltose 0.175g(0.36ミリモル)を用いて、実施例1
と同様の方法で合成した。
以下に示す。
性(温度に対する溶解性の応答)の評価を行った。即
ち、分光光度計を用いて470 nmにおける吸光度を測定す
ることにより評価した。使用した高分子溶液の濃度は3.
0 mg/mlである。
が1の時、その高分子溶液は完全に透明な液体であるが
0の時は完全に白濁していることを示す。従って、本高
分子を含む水溶液は、4.5℃以下で完全に水に可溶状
態、9.0℃以上で完全に不溶化した。また、この温度応
答は完全に可逆的に応答し、pH 2〜10の範囲でその応答
範囲は変化しないことがわかった。
0.25mg蛋白質/ml)と実施例1で得られたポリマーAで
あるpAP-VG(終濃度50mg/ml)を酢酸バッファーpH 5.0
に溶かし、4℃で30分間放置した。
2,000rpm、10分間の遠心分離を行い、沈殿物を回収し
た。
添加し、これに脱離剤(グルコース)を0.1Mの濃度とな
るように添加し、4℃、30分間放置後、12,000rpm、10分
間遠心分離を行い、上清を回収した。
pullulnaseはSDS-PAGEにより確認した。
体的には、Shodex Asahipak GS-320とGS-710を連結させ
た2連のカラムを使用した。また、キャリーとして水を
使用し、1 ml/min 30℃の条件で紫外可視分光光度計検
出器を用い280 nmの波長を測定することにより定量し
た。標準物質として他のクロマトグラフィー法で精製し
たPullulanaseを標準とした。
685, 1970)により行った。使用した電気泳導ゲルはATTO
製の5-20%グラジェントゲル(NPG-520L )を使用した。ま
た、蛋白質の標準マーカーとしてProtein Molecular We
ight Markers High-Range (Seikagaku Co.)を、また、
染色は、Silver stain II Kit Wako (Wako Co.)を使用
した。結果を図2に示す。レーン1と4はマーカータン
パク、2は未精製pullulanase、3はアフィニティ沈殿
後の酵素を示している。未精製pullulanaseには多くの
不純なタンパクが含まれているが、精製後はpullulanas
e(分子量118,000)のバンドのみが確認された。
llulanaseの活性は、基質としてPullulanを用い、酢酸
緩衝液(0.1 N, pH 6.0)30℃の条件下で粗酵素溶液ある
いは精製pullulanase溶液を添加し30 分間酵素反応を行
うことにより測定した。活性はSomogyi-Nelson法により
生成したMaltotrioseを定量し、その酵素活性1 Uは1分
間に1μmolの還元糖を生成する酵素量とした。結果を表
3に示す。
殿処理により32倍に精製することができた。
AP-VG(実施例1のポリマーA)からの9種類の脱離剤
の効果を示した。具体的には、プルナラーゼが0.25mg/g
の割合で吸着しているポリマー0.5gを、以下の濃度
の脱離剤10mlに添加し、4℃、30分間放置後、遠心分
離し、上清と沈殿を回収した。脱離したプルナラーゼの
量はHPLCで測定した。結果を表4に示す。
は酵素の脱離は起こらなかったが、糖化合物、特に、グ
ルコース、マルトトリオース、プルランを使用した場
合、効率よく酵素が脱離することが分かった。
eの吸着量(4℃)を測定した。具体的には、各プルナ
ラーゼ濃度溶液に0.5gの各ポリマーを添加、混合
し、結果を図3に示す。その結果、グルコース残基の含
有量に応じて吸着量も変化し、ポリマーAはBに比べて
約2倍のpullulanaseを吸着した。さらにPolymerAにつ
いてLangmuir型等温吸着式から吸着係数を求めたところ
5.20×10-5 M-1となりPullulanaseはpAP-VGに対して強く
吸着することが分かった。
酸基、例えば、糖質の6位に重合性置換基を導入した重
合性糖エステルを用いて温度刺激応答性高分子のモノマ
ーであるアクリロイルピペリジンと共重合することによ
り、糖質の6位を認識する蛋白質をアフィニティ沈殿法
により短時間でしかも少量のバッファーで精製すること
が可能となった。
解しており、7〜15℃程度で沈殿となることから、低
温で処理する必要のある酵素タンパクの精製には適した
方法である。
て、温度刺激応答性(温度に対する溶解性の応答)の評
価を示す。横軸に温度、縦軸に透過率を示す。
ィ沈殿後のSDS-PAGEを示した。レーン1と4はマーカー
タンパク、2は未精製pullulanase、3はアフィニティ
沈殿後の酵素を示す。
マーA、Bに対するpullulanaseの吸着量を示す。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1はメチレン基又はアルキレン基、Sは糖化合
物からアノメリック水酸基以外の1個の水酸基が除かれ
た糖残基を示す)で表される構造単位および下記一般式
(2) 【化2】 で表される構造単位からなる共重合体。 - 【請求項2】 一般式(1)で表される構造単位を
0.01〜99.99モル%、及び一般式(2)で表さ
れる構造単位を99.99〜0.01モル%含有する請
求項1に記載の共重合体。 - 【請求項3】 一般式(1)中の糖化合物が、単糖
類、オリゴ糖類、多糖類及びその部分加水分解物並びに
それらの誘導体から選択される化合物である、請求項1
又は2に記載の共重合体。 - 【請求項4】 下記一般式(3)の化合物 【化3】 (式中、R1はメチレン基又はアルキレン基、Sは糖化合
物からアノメリック水酸基以外の1個の水酸基が除かれ
た糖残基を示す。)で表される重合性糖エステルとアク
リロイルピペリジンを、重合開始剤存在下にラジカル重
合させる、請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体の
製造方法。 - 【請求項5】 モノマー総量100モル%に基づい
て、一般式(3)の化合物0.1〜99.9モル%、ア
クリロイルピペリジン99.9〜0.1モル%からなる
モノマー混合物を、重合開始剤存在下にラジカル重合さ
せる、請求項4に記載の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載の共重
合体を用いて、蛋白質を精製する方法。 - 【請求項7】 請求項6に記載の精製方法であって、 i)蛋白質を含む試料と請求項1〜3のいずれかに記載の
共重合体を1〜5℃程度の条件下混合し、 ii)混合物の温度を7〜15℃程度に上昇させ、沈殿物
と溶液とに分離し、 iii)得られた沈殿物に、1〜5℃程度の条件下、脱離剤
を加えて蛋白質を解離させる ことを含む方法。
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