JP2005246972A - 積層体の層の剥離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 建物の内装材等のシート状積層体を構成する各層の再利用を図ることができる積層体の層の剥離方法を提供する。
【解決手段】 複数層からなるシート状積層体の少なくとも1層を、切削刃4をその外周面5aに設けてなる幅広の回転体5により切削剥離する。
前記シート状積層体が、紙、織物、編物、不織布、及びガラス繊維マットからなる群から選択される基材1と、発泡及び/又は非発泡の合成樹脂からなる模様形成層とを少なくとも備えた。
前記基材1が紙からなると共に、前記模様形成層が発泡塩化ビニル系組成物からなる表層材2である。
前記回転体5と、この回転体5側へ前記シート状積層体を送る送り機構8と、切削剥離後のシート状積層体を引き取る引取機構9とを備えた切削剥離装置6により、前記シート状積層体の少なくとも1層をその長手方向に沿って連続的に切削剥離する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えば壁紙等の建物の内装材等に使用される積層体の層の剥離方法に関する。
従来から、例えば壁紙等の建物の内装材等としては、複数層からなるシート状積層体が使用されることが知られている。このシート状積層体の意匠面を構成する表層には、凹凸模様等により所定のデザインで模様形成層等が形成されるが、製造過程でこの模様形成層等にキズやシワ等の製造不良が発生することがある。
また、製造不良のない完成品でも、市場におけるデザインの流行の変遷等により、出荷や使用等されることなく、そのまま在庫として残ることがある。
しかしながら、上記のような不良品や在庫品は、有効に利用されることなく産業廃棄物(例えば、特許文献1参照。)として廃棄処分となるため、資源が無駄になるという問題点がある。
特開平3−1942号公報(第4図、第6図(a)等)
この発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、建物の内装材等のシート状積層体を構成する各層の再利用を図ることができる積層体の層の剥離方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1の手段とするところは、複数層からなるシート状積層体の少なくとも1層を、切削刃をその外周面に設けてなる幅広の回転体により切削剥離することにある。
請求項2の手段とするところは、前記シート状積層体が、紙、織物、編物、不織布、及びガラス繊維マットからなる群から選択される基材と、発泡及び/又は非発泡の合成樹脂からなる模様形成層とを少なくとも備えたことにある。
請求項3の手段とするところは、前記基材が紙からなると共に、前記模様形成層が発泡塩化ビニル系組成物からなる表層材であることにある。
請求項4の手段とするところは、前記切削刃が、前記回転体の外周面に鋸歯状ワイヤを螺旋状に巻回することにより設けられていることにある。
請求項5の手段とするところは、前記切削刃が、前記回転体の外周面に形成した平刃であることにある。
請求項6の手段とするところは、前記切削刃が、前記回転体の外周面に切削用凹凸を形成することにより設けられていることにある。
請求項7の手段とするところは、前記回転体と、この回転体側へ前記シート状積層体を送る送り機構と、切削剥離後のシート状積層体を引き取る引取機構とを備えた切削剥離装置により、前記シート状積層体の少なくとも1層をその長手方向に沿って連続的に切削剥離することにある。
請求項8の手段とするところは、前記回転体と送り機構のいずれか一方を位置調整可能に構成しておくことによって、前記回転体による切削剥離深さを微調整可能としたことにある。
請求項1の発明によれば、複数層からなるシート状積層体の少なくとも1層を、切削刃をその外周面に設けてなる幅広の回転体により切削剥離するので、この切削剥離される層と残りの層を簡単に分別することができる。そのため、これらを廃棄処分することなく他の用途への再利用が可能となり、資源の有効利用を図ることができるという利点がある。
請求項2の発明によれば、前記シート状積層体が、紙、織物、編物、不織布、及びガラス繊維マットからなる群から選択される基材と、発泡及び/又は非発泡の合成樹脂からなる模様形成層とを少なくとも備えているので、従来から大量に廃棄されてきた建物の内装材等の各層の再利用を図ることができるという利点がある。
請求項3の発明によれば、前記基材が紙からなると共に、前記模様形成層が発泡塩化ビニル系組成物からなる表層材であるので、従来から大量に廃棄されてきた壁紙等の各層の再利用を図ることができるという利点がある。
請求項4の発明によれば、前記切削刃が、前記回転体の外周面に鋸歯状ワイヤを螺旋状に巻回することにより設けられているので、切削効率が良く、そのため種々のシート状積層体に対応できるという利点がある。
請求項5の発明によれば、前記切削刃が、前記回転体の外周面に形成した平刃であるので、よりフラットに切削剥離でき、そのため切削剥離する層と残りの層の分別効率がより高くなるという利点がある。
請求項6の発明によれば、前記切削刃が、前記回転体の外周面に切削用凹凸を形成することにより設けられているので、より細かく切削剥離でき、そのため分別効率がより高くなるという利点がある。
請求項7の発明によれば、前記回転体と、この回転体側へ前記シート状積層体を送る送り機構と、切削剥離後のシート状積層体を引き取る引取機構とを備えた切削剥離装置により、前記シート状積層体の少なくとも1層をその長手方向に沿って連続的に切削剥離するので、切削剥離する層と残りの層とを効率良く短時間で分別できるという利点がある。
請求項8の発明によれば、前記回転体と送り機構のいずれか一方を位置調整可能に構成しておくことによって、前記回転体による切削剥離深さを微調整可能としたので、種々の厚さのシート状積層体に対応できると共に、目的の層だけを精度良く切削剥離できるという利点がある。更に、これら回転体と送り機構の間隔を広げることができるので、壁紙等のシート状積層体をこの切削剥離装置に簡単にセットできるという利点がある。
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図3に示すように、この実施形態に係る積層体の層の剥離方法は、例えば、紙からなる基材1と、発泡塩化ビニル系組成物からなる表層材(模様形成層)2との2層からなる壁紙(シート状積層体)3の前記表層材2を、切削刃4をその外周面5aに設けてなる幅広の回転体5を備えた切削剥離装置6により、その長手方向に沿って連続的に切削剥離するものである。
前記壁紙3は、図2に示すように、例えば、紙からなる基材1の表面1aに、模様形成層として発泡塩化ビニル系組成物からなる表層材2を積層したものである。
なお、前記基材1としては、この実施形態のような紙に限定されるものではなく、他にガラス繊維マットや、あるいは木綿等の天然繊維、ポリエステル等の合成繊維、アスベストやガラス繊維等の無機繊維等の適宜の繊維から構成された織物、編物、不織布を使用してもよい。また、前記模様形成層も、発泡塩化ビニル系組成物からなる表層材2の他、各種の発泡及び/又は非発泡の、即ち、所定倍率で発泡させた又は発泡させていない合成樹脂、あるいはこれら発泡合成樹脂と非発泡合成樹脂を積層又は分散等により適宜に複合化したものが挙げられる。更に、シート状積層体も壁紙3の他、2層又は3層以上の複数層からなる各種のシート状の積層体が挙げられる。
前記回転体5は、図4に示すように、幅広のドラム状に形成され、その外周面5aには、例えば鋸歯状ワイヤ7を螺旋状に巻回することにより切削刃4が設けられている。
前記切削剥離装置6は、図1に示すように、所定位置に配置されて高速回転する回転体5と、この回転体5側へ前記壁紙3を送る送り機構8と、切削剥離後の壁紙3を例えば巻き取る引取ロール(引取機構)9とを備えている。
前記送り機構8は、図1及び図3に示すように、例えば、前記回転体5の後方側に所定間隔を開けて配置される送りプレート10と、該送りプレート10の上方に前記壁紙3の厚さ(T1+T2)より少し小さい間隔を開けて配置される送りロール11とから構成されている。
前記送りプレート10は、例えば、幅広の所定厚さの板状に形成され、その前方側の上縁に横断面が山状の突出部12が設けられている。この突出部12の後方側の上面12aは、前記送りロール11の回転により壁紙3をスムーズに送れるように円弧状に形成されている。また、突出部12の前方側は、前記回転体5に面する斜面12bとなっており、この突出部12に密着するようにして前記壁紙3が下方へ送り出されるように構成されている。即ち、前記斜面12bに送られる壁紙3の表層側である例えば表層材2が、前記回転体5によって切削剥離されるようになっている。
なお、必要に応じて前記送りプレート10と送りロール11のいずれか一方を位置調整可能に構成しておけば、これらの間の間隔を微調整できるので、種々の厚さのシート状積層体に対応できるという利点がある。また、必要に応じてこれら送りプレート10と送りロール11とからなる送り機構8と前記回転体5のいずれか一方を位置調整可能に構成しておけば、前記回転体5による切削剥離深さを微調整できるので、種々の厚さのシート状積層体に対応できると共に、目的の層だけを精度良く切削剥離できるという利点がある。更に、これら回転体5と送り機構8の間隔を広げることができるので、壁紙3をこの切削剥離装置6に簡単にセットできるという利点がある。
前記引取ロール9は、例えば、前記送りプレート10の下方に、前記送り機構8により送り出されてくる切削剥離後の壁紙3を巻き取り可能に配置されている。なお、引取機構としては、この実施形態のような引取ロール9に限定されるものではなく、例えば前記壁紙3等のシート状積層体を巻き取らずにフィードするだけのもの等であってもよい。
ここで、前記壁紙3は、ロール状に巻回された状態で保管されることが多いので、当該切削剥離処理に際しては、その状態のままの原料ロール3aとして、前記送り機構8の後方側等に回転自在で且つ前記送りプレート10と送りロール11の間に送られるように配置しておけばよい。
次に、上記のように構成される切削剥離装置6の動作について説明する。
まず、必要に応じて前記回転体5と送り機構8の間隔を広げると共に、前記送りプレート10と送りロール11の間隔も広げた状態等において、前記原料ロール3aから壁紙3を引き出し、前記送りプレート10と送りロール11の間にその端部を挿入した後、壁紙3に適度な圧力が加わる程度にこれらの間隔を狭める。次いで、前記送りロール11を適宜に回転させて壁紙3の端部を十分に引き出し、下方の引取ロール9に巻き付け等すれば、壁紙3のセットは完了する。
なお、この実施形態においては、壁紙3のうちの前記発泡塩化ビニル系組成物からなる表層材2の方を切削剥離するため、前記送りプレート10上においてこの表層材2が上方を向くようにセットされているが、前記基材1の方を切削剥離する場合には、この基材1が上方を向くようにセットすればよい。
そして、前記回転体5を作動させて高速回転させると共に、前記送りロール11や引取ロール9も作動させて回転させた状態で前記回転体5又は送り機構8の位置を移動させて間隔を狭めれば、図3に示すように、前記回転体5の切削刃4によって壁紙3の表層側にある表層材2が切削剥離される。
ここで、高速回転する回転体5の前記切削刃4の先端4aと前記送りプレート10の突出部12の斜面12bとの間隔を、前記壁紙3の基材1の厚さT1とほぼ同じ寸法となるように微調整すれば、切削剥離深さが前記表層材2の厚さT2とほぼ同じになるので、この表層材2だけをその長手方向に沿って連続的に切削剥離することができる。なお、壁紙3等のシート状積層体が3層以上からなる場合において、このうちの2層又はそれ以上の層を同時に切削剥離する場合でも、それらの合計厚さに応じて同様に微調整すればよい。
上記のようにして切削剥離された後の壁紙3は、ほぼ基材1だけが残り、前記引取ロール9により連続的に巻き取られていく。なお、前記表層材2は、回転体5により粉末状等に切削剥離されるので、必要に応じてこれを更に風力分離等すれば、純度をより高くできるという利点がある。
このように、前記壁紙3等の複数層からなるシート状積層体の少なくとも1層を、切削刃4をその外周面5aに設けてなる幅広の回転体5により切削剥離するので、この切削剥離される層と残りの層を簡単に分別することができる。そのため、これらを廃棄処分することなく他の用途への再利用が可能となり、資源の有効利用を図ることができるという利点がある。
また、この実施形態のように、前記シート状積層体が、紙、織物、編物、不織布、及びガラス繊維マットからなる群から選択される基材と、発泡及び/又は非発泡の合成樹脂からなる模様形成層とを少なくとも備えている場合には、従来から大量に廃棄されてきた建物の内装材等の各層の再利用を図ることができるという利点がある。この場合、前記基材1が紙からなると共に、前記模様形成層が発泡塩化ビニル系組成物からなる表層材2である時には、従来から大量に廃棄されてきた壁紙等の各層の再利用を図ることができるという利点がある。
更に、前記切削剥離装置6により、前記表層材2等のシート状積層体の少なくとも1層をその長手方向に沿って連続的に切削剥離する場合には、切削剥離する層と残りの層とを効率良く短時間で分別できるという利点がある。
加えて、前記切削刃4が、前記回転体5の外周面5aに鋸歯状ワイヤ7を螺旋状に巻回することにより設けられている場合には、切削効率が良いので、種々のシート状積層体に対応できるという利点がある。
なお、この切削刃4としては、前記鋸歯状ワイヤ7を使用する他、例えば図5に示すように、前記回転体5の外周面5aに形成した平刃13でもよい。この場合には、よりフラットに切削剥離できるので、切削剥離する層と残りの層の分別効率がより高くなるという利点がある。ここで、図5に示す例では、前記平刃13を回転体5の軸方向に対して平行に形成しているが、螺旋状等に形成したり、あるいは所定幅で段違いに形成しておいてもよい。
また、図6に示すように、前記切削刃4を、前記回転体5の外周面5aに切削用凹凸14を形成することにより設けてもよく、この場合には、より細かく切削剥離できるので、分別効率がより高くなるという利点がある。ここで、前記切削用凹凸14は、前記回転体5の外周面5aに形成したいわゆるヤスリ状の凹凸であってもよいし、あるいは研摩材等を付着させることにより形成してもよい。
以上、この実施形態で説明した切削剥離装置6は、単に一例を示すものであって、その構成としては特に限定されるものではなく、種々の従来技術を利用することができる。
次に、この発明を実施例により更に詳細に説明するが、この発明は係る実施例に限定されるものではない。
シート状積層体として、紙からなる基材(難燃紙)と、発泡塩化ビニル系組成物からなる表層材(発泡倍率3倍)とから構成された壁紙(関東レザー株式会社製,商品名「ホタカ」)を使用した。
切削剥離装置として開繊機(日本スピンドル製造株式会社製,商品名「スーパーオープナ」)を使用し、前記壁紙の表層材側を切削剥離した。また、この切削剥離により生じた粉末状物を風力分離機(日本専機株式会社製,商品名「密閉循環式風力選別機」)にかけ、純度の高い表層材の粉末を得た。
上記で得られた風力分離後の粉末状の表層材の組成(重量率)を測定した。その結果を次の表1に示す。
Figure 2005246972
この実施形態に係る積層体の層の剥離方法に使用される切削剥離装置の概略説明図。 図1の壁紙の要部拡大断面図。 図1の回転体で表層材層を切削剥離する様子を示す要部拡大断面図。 図1の回転体の概略斜視図。 回転体の他の例を示す概略斜視図。 回転体の他の例を示す概略斜視図。
符号の説明
1 基材
2 表層材(模様形成層)
3 壁紙(シート状積層体)
4 切削刃
5 回転体
5a 外周面
6 切削剥離装置
7 鋸歯状ワイヤ
8 送り機構
9 引取ロール(引取機構)
13 平刃
14 切削用凹凸

Claims (8)

  1. 複数層からなるシート状積層体の少なくとも1層を、切削刃をその外周面に設けてなる幅広の回転体により切削剥離することを特徴とする積層体の層の剥離方法。
  2. 前記シート状積層体が、紙、織物、編物、不織布、及びガラス繊維マットからなる群から選択される基材と、発泡及び/又は非発泡の合成樹脂からなる模様形成層とを少なくとも備えたことを特徴とする請求項1記載の積層体の層の剥離方法。
  3. 前記基材が紙からなると共に、前記模様形成層が発泡塩化ビニル系組成物からなる表層材であることを特徴とする請求項2記載の積層体の層の剥離方法。
  4. 前記切削刃が、前記回転体の外周面に鋸歯状ワイヤを螺旋状に巻回することにより設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の積層体の層の剥離方法。
  5. 前記切削刃が、前記回転体の外周面に形成した平刃であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の積層体の層の剥離方法。
  6. 前記切削刃が、前記回転体の外周面に切削用凹凸を形成することにより設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の積層体の層の剥離方法。
  7. 前記回転体と、この回転体側へ前記シート状積層体を送る送り機構と、切削剥離後のシート状積層体を引き取る引取機構とを備えた切削剥離装置により、前記シート状積層体の少なくとも1層をその長手方向に沿って連続的に切削剥離することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の積層体の層の剥離方法。
  8. 前記回転体と送り機構のいずれか一方を位置調整可能に構成しておくことによって、前記回転体による切削剥離深さを微調整可能としたことを特徴とする請求項7記載の積層体の層の剥離方法。
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