JP2005246374A - 吸着剤および脱臭装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素および合成酵素からなる群から選ばれる少なくとも2種の酵素を、被処理ガスの臭気成分に対する吸着能を有する担体に担持させる。このような担体を含む吸着剤は、対象とする臭気成分を十分に分解して高い脱臭効果を得ることができ、脱臭効果を長時間に渡って維持することができる。
【選択図】 図1
Description
そこで、本発明の目的は、対象とする臭気成分を十分に分解して高い脱臭効果を得ることができ、しかも、その脱臭効果を長期間に渡って維持することができる吸着剤、およびそれを備えた脱臭装置を提供することにある。
すなわち、本発明は、
(1) 酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素および合成酵素からなる群から選ばれる少なくとも2種の酵素を担持し、被処理ガスの臭気成分に対する吸着能を有する担体を含むことを特徴とする、吸着剤、
(2) 前記担体の形状が、ハニカム状であることを特徴とする、前記(1)に記載の吸着剤、
(3) 前記担体が、さらに、金属イオンを含む水溶液、金属塩、金属酸化物および金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の酵素の活性を向上させる酵素活性向上物質を含むことを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の吸着剤、
(4) 被処理ガスの臭気成分を除去するための脱臭装置であって、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の吸着剤と、前記吸着剤に対して被処理ガスの通過方向の上流側または下流側に配置されるフィルターと、前記吸着剤または前記フィルターに酵素を含む酵素補充液を供給する供給手段とを備えることを特徴とする、脱臭装置、
(5) 被処理ガスの臭気成分が、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、アルデヒド類、有機酸類、炭化水素類、エステル類、ケトン類および油類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、前記(4)に記載の脱臭装置
を提供するものである。
本発明において、転移酵素(トランスフェラーゼ)としては、例えば、キナーゼなどが挙げられる。
本発明において、脱離酵素(除去酵素;リアーゼ)としては、例えば、デカルボキシラーゼ、デアミナーゼ、ヒドラターゼなどが挙げられる。
本発明において、異性化酵素(イソメラーゼ)としては、例えば、幾何学的異性化酵素、構造的異性化酵素などが挙げられる。
本発明では、これらの酵素は、上記酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素および合成酵素のそれぞれの酵素群のうち、異なる2種以上の酵素群に属するものを併用するものとし、異なる4種以上の酵素群に属するものを併用することが好ましい。2種類以上の酵素群を併用することにより、対象とする臭気成分をほぼ完全に分解することができ、脱臭効果の向上を図ることができる。
本発明において、吸着剤に吸着される被処理ガスの臭気成分(ミスト状の有機物を含む。)は、特に限定されないが、例えば、硫化水素、メチルメルカプタンなどのメルカプタン類、硫黄などのスルフィド類、二硫化メチルなどのジスルフィド類などの硫黄含有化合物、例えば、アンモニア、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類などの窒素含有化合物、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸などの有機酸類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、例えば、油脂、脂肪族炭化水素などの油類が挙げられる。
本発明において、これらの酵素を担持する担体は、除去対象の臭気成分に対する吸着能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、木質系や石炭系の活性炭、ゼオライト、ケイ酸塩、シリカ、アルミナ、セラミック、樹脂などからなるものなどが挙げられる。すなわち、担体は、無機物であってもよく、有機物であってもよい。また、担体は、天然物であってもよく、合成物であってもよい。これらの担体は、単独または2種以上併用することができる。
これらの担体の形状のうち、好ましくは、ハニカム状、繊維状が挙げられ、より好ましくは、ハニカム状が挙げられる。ハニカム状の担体を用いた場合、吸着剤に対して、被処理ガスの通気抵抗を著しく小さくすることができるとともに、被処理ガスの接触効率を著しく大きくすることができ、さらに、被処理ガスの相対湿度が高い場合でも、通気抵抗の増加がなく脱臭性能を高く維持できる。
また、担体は、多孔質体であることが好ましい。
本発明において、BET法により測定される担体の比表面積は、例えば、20m2/g以上であり、好ましくは、100〜2000m2/gであり、より好ましくは、250〜1500m2/gである。
また、担体がハニカム状である場合、その開口率は、臭気成分の除去効率が損なわれず、かつ、吸着剤による圧力損失が許容できる範囲であれば、特に限定されないが、例えば、50〜80%であり、好ましくは、55〜75%である。
このような担体は、種々の方法で製造できるが、担体が活性炭や無機材料からなる場合は、例えば、それらの粉末と、バインダーと、必要により添加される添加剤とを、水とともに練合し、上記した形状に成形した後、炭化および賦活し、必要により、酸や水などで脱灰することにより得ることができる。
これらの場合、バインダーとしては、担体の製造方法に応じて、有機系バインダーおよび無機系バインダーから選択できる。有機系バインダーとしては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、タール、ピッチなどが挙げられる。無機系バインダーとしては、例えば、木節粘土、活性白土などの粘土鉱物、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
また、これらバインダーは、それ自体、臭気成分に対する吸着能を有し得る場合には、担体中に残留してもよい。バインダーの練合物中の含有量は、特に制限されず、担体が無機材料である場合は、例えば、15重量%以上、好ましくは、20〜95重量%、より好ましくは、25〜90重量%であり、担体が活性炭である場合は、例えば、20重量%以上、好ましくは、25〜98重量%、より好ましくは、30〜95重量%である。
また、担体が樹脂からなる場合、例えば、当該樹脂を溶融し、押出加工またはインジェクションする方法、当該樹脂に発泡剤を添加し、押出加工またはインジェクションする方法、当該樹脂に、活性炭および/または無機材料を添加して溶融し、押出加工またはインジェクションする方法などにより、繊維状または紐状の形状に成形できる。また、これらの方法により得られた繊維状または紐状の担体をバインダーなどで接着し、球状、星状、フィルター状などの形状に成形してもよい。この際、繊維状または紐状の担体を成形型に注入するようにしてもよい。
このようにして得られた吸着剤は、対象とする臭気成分を十分に分解して高い脱臭効果を得ることができ、しかも、その脱臭効果を長期間に渡って維持することができる。そして、この吸着剤は、以下に説明する脱臭装置に用いることができる。
金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属の金属イオンなどが挙げられる。
アルカリ土類金属の金属イオンとしては、例えば、ベリリウムイオン(Be2+)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、ストロンチウム(Sr2+)、バリウム(Ba2+)、ラジウム(Ra2+)などが挙げられる。
また、金属イオンを含む水溶液には、上記した金属イオン(カチオン)の他に、これと対応するアニオンを含んでいてもよく、このようなアニオンとしては、特に制限されず、無機アニオン、有機アニオンなどが挙げられる。
有機アニオンとしては、炭酸イオン、ホウ酸イオン、蟻酸イオン、酢酸イオン、しゅう酸イオンなどが挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)などが挙げられる。
アルカリ土類金属としては、例えば、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)などが挙げられる。
無機塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、りん酸塩などが挙げられる。
有機塩としては、例えば、炭酸塩、ホウ酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、しゅう酸塩などが挙げられる。
金属塩としては、好ましくは、アルカリ土類金属の塩化物が挙げられ、具体的には、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、上記金属塩で説明したアルカリ土類金属および遷移金属の酸化物が挙げられる。具体的には、MgO、CaOなどのアルカリ土類金属の酸化物、MnO、Mn2O3、Mn3O4、FeO、Fe2O3、Fe3O4、CoO、Co2O3、Co3O4、CuO、Cu2O3、ZnO、Zn2O3などの遷移金属の酸化物などが挙げられる。
金属としては、例えば、上記金属塩で説明した遷移金属などが挙げられる。
これら金属は、適宜、単独または2種以上併用することができる。
そして、本発明では、酵素活性向上物質を担体に含ませるには、例えば、上記した酵素活性向上物質を含む液体(例えば、酵素活性向上物質の水溶液)を担体に噴霧または浸漬して含浸させた後、乾燥させて、酵素活性向上物質を担持させればよい。
吸着剤中の酵素活性向上物質の含有量は、吸着剤100gに対して、例えば、0.001〜10g、好ましくは、0.01〜5g、より好ましくは、0.1〜3gであり、酵素100gに対して、例えば、0.001〜200g、好ましくは、0.01〜100g、より好ましくは、0.1〜10gである。
図1において、この脱臭装置10は、カラム11、排気ファン7および酵素タンク2を備えている。カラム11はほぼ円筒状の形状を有しており、その軸方向がほぼ水平になるように配置されている。カラム11内において、円板状のフィルター5、および上記に説明した酵素を担持した担体からなる円筒状の吸着剤1が、排気ファン7側から順にカラム11の軸方向に配置されている。フィルター5と吸着剤1とは、カラム11の軸方向に所定間隔を隔てて配置され、フィルター5が吸着剤1に対して被処理ガスの通過方向の上流側に配置される。
カラム11の一方端には、被処理ガス導入ダクト12が接続されており、カラム11の他方端には処理ガス排出ダクト13が接続されている。被処理ガス導入ダクト12には排気ファン7が介装されており、排気ファン7により機外の被処理ガスをカラム11内に送ることができる。
吸着剤1がハニカム状の担体に酵素を担持させたものである場合は、被処理ガスの吸着剤1による通気抵抗を十分小さくすることができるので、専用の排気ファン7を設けずに、換気用などに用いられる既設の排気ファンまたは自然通風により、被処理ガスをカラム11内に導入することもできる。
酵素補充液供給配管14には、供給手段としてのポンプ4が介装されている。ポンプ4を作動することにより、酵素タンク2内の酵素補充液が、散水噴霧口3からフィルター5に向けて噴霧される。これにより、フィルター5に酵素補充液が供給される。
そして、この脱臭装置10では、排気ファン7を作動させて、機外の被処理ガスをカラム11内に導入する。カラム11内を流れる被処理ガスの線流速は、例えば、10〜500cm/sec、好ましくは、20〜300cm/sec、より好ましくは、30〜250cm/secに設定されている。カラム11内を流れる被処理ガスの空間速度は、例えば、500〜500000/h、好ましくは、1000〜300000/h、より好ましくは、3600〜250000/hに設定されている。
そして、この脱臭装置10では、定期的にポンプ4が作動されて、酵素タンク2に収容された酵素補充液が、フィルター5に向けて噴霧される。これにより、脱臭効果を維持することができる。
また、1回の酵素補充液の噴霧を継続する時間は、吸着剤1の層厚、吸着剤1(担体および酵素)の劣化の程度などにより異なるが、例えば、噴霧(ポンプ4の作動)開始後、ドレイン6から酵素補充液が流出するのが確認されてから、0.1分〜300分、好ましくは、0.5〜120分、より好ましくは、1〜60分である。
このような脱臭装置10により処理される被処理ガスは、上記した臭気成分を含み、より具体的には、特に限定されないが、例えば、下水処理場、し尿処理場、畜産施設、化学工場、塗装工場、肥料工場、食品工場、飲食店などから発生するガスが挙げられる。
図2において、この脱臭装置20は、カラム21、排気ファン7および酵素タンク2を備えている。カラム21はほぼ有底円筒状の形状を有しており、その軸方向がほぼ鉛直方向に沿うように配置されている。カラム21内において、その軸方向のほぼ中間部には、円筒状の吸着剤1が配置されており、上端部には、円板状のフィルター5が設けられている。吸着剤1とフィルター5とは、カラム21の軸方向に所定間隔を隔てて配置され、フィルター5が吸着剤1に対して被処理ガスの通過方向の下流側に配置されている。
吸着剤1およびフィルター5は、それぞれカラム21の内側壁にほぼ全周に渡って接するように設けられている。これにより、カラム21内に導入された被処理ガスの大部分は、吸着剤1およびフィルター5中を通過する。
酵素タンク2からカラム21内へと、酵素補充液供給配管24が延設されている。カラム21内において、酵素補充液供給配管24は、被処理ガスの通過方向において吸着剤1とフィルター5との間に、ほぼ水平に配置されており、その長手方向に沿って下部には複数の散水噴霧口3が互いに所定間隔を隔てて形成されている。したがって、複数の散水噴霧口3は、下方に位置する吸着剤1を指向している。
カラム21の側面底部で、被処理ガス導入ダクト12が接続されている側と反対側には、ドレイン6が設けられている。すなわち、カラム21と酵素タンク2との間は、循環配管22が接続されている。循環配管22には、三方バルブ23が介装されており、この三方バルブ23にドレイン6が接続されている。三方バルブ23により流路を切り換えることにより、カラム21の底部に流れ落ちた酵素補充液を、酵素タンク2に戻したり、ドレイン6から機外に排出することができる。
そして、この脱臭装置20では、定期的にポンプ4が作動されて、酵素タンク2に収容され所定のpHに調整された酵素補充液が、吸着剤1に向けて噴霧される。これにより、脱臭効果を維持することができる。
また、自然通風可能な状態であれば、排気ファン7などの動力は不要であり、また、用途によりフィルター5を設けなくてもよい。
実施例1
上記に説明した図2に示す脱臭装置を用いて、食堂の排気ガスについて脱臭試験を行なった。
カラムとして、幅が150mmで、長さが150mmのステンレス製のものを用いた。
このハニカム状活性炭は、BET法により測定された比表面積が850m2/gであり、セル数が300(個/6.45cm2)であり、開口率が65%であった。上記複合酵素は、酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ、カタラーゼ)、転移酵素(トランスフェラーゼ)、加水分解酵素(ヒドロラーゼ、アミラーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ)、異性化酵素(イソメラーゼ)、合成酵素(リガーゼ)を含んでおり、上記複合酵素の上記ハニカム状活性炭への担持は、上記複合酵素を10倍に希釈した水溶液を、上記ハニカム状活性炭に均一に散布することにより行なった。得られた吸着剤において、ハニカム状活性炭100gに対する上記複合酵素の担持量は0.5gであった。
このような脱臭装置を用いて、一日に約10時間、被処理ガスである食堂の排気ガスの脱臭処理を行なった。この際、排気ファンを作動させることにより、食堂の排気ガスを、線流速100cm/secでカラム内に導入した。また、ポンプを作動させることにより、酵素タンクに収容された上記酵素補充液を、上記吸着剤に、1〜7日に1回噴霧した。
吸着剤を、外径が8mmで、内径が3mmで、長さが8mmの円筒状セラミック担体の集合物に、実施例1で使用したものと同じ複合酵素を担持させたものを用い、カラムに導入する被処理ガスの線流速を30cm/secとした以外は、実施例1と同様にして、脱臭試験を行なった。なお、吸着剤の担体100gに対する上記複合酵素の担持量は、0.1gであった。
吸着剤として、直径が6〜12mmの球状の繊維塊を積層厚さを300mmにして用い、カラムとして直径30mmの塩化ビニール製のものを用い、酵素補充液として上記複合酵素を200倍に希釈した水溶液を用い、酵素補充液の吸着剤への供給を1分間の散水および5分間の停止状態の繰り返しとし、被処理ガスを畜産排水処理場の発生ガスとし、カラムへの被処理ガスの導入を24時間連続して、線流速30cm/secで導入した以外は、実施例1と同様にして、脱臭試験を行なった。酵素補充液は、定期的に補充または交換した。
吸着剤として、酵素を担持していないハニカム状活性炭を用い、吸着剤に対して酵素補充液の供給を行なわない以外は、実施例1と同様にして、脱臭試験を行なった。
比較例2
吸着剤として、ハニカム状活性炭を担体とし、上記複合酵素の代わりに脂肪分解酵素であるリパーゼを単独で、すなわち他の酵素と併用しないで担持したものを用い、酵素補充液としてリパーゼを100倍に希釈した水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、脱臭試験を行なった。吸着剤の担体100gに対するリパーゼの担持量は、0.5gであった。
吸着剤として、直径が4mmで、BET法により測定される比表面積が1120m2/gである円柱状の活性炭の集合物を担体として、ヨウ化カリウムおよびリン酸を担持したものを用い、吸着剤に対して酵素補充液の供給を行なわない以外は、実施例3と同様にして、脱臭試験を行なった。吸着剤において、活性炭100gに対するヨウ化カリウムの担持量は1.5gであり、リン酸の担持量は7.5gであった。
実施例1、実施例2、比較例1、および比較例2について、試験開始後10日目および20日目に、カラムの被処理ガス導入ダクトの入り口における被処理ガス、およびカラムの処理ガス排出ダクトの出口における処理ガスのそれぞれについて、臭気濃度を三点比較臭袋法によって測定した。結果を、表1にまとめて示す。
これに対して、比較例1では、試験開始後30日を経過した時点で、入り口および出口での臭気濃度がほぼ同じになっており、人の臭覚によっても、カラムの出口側に臭気が流れ出しているのが確認された。
臭気濃度での脱臭効率は56%であった。
試験開始後30日経過後のオイルミストフィルタの表面には、実施例1および実施例2ではオイルが付着しておらず、比較例1では薄くオイルが付着しており、比較例2では比較例1より多くのオイルが付着していた。
実施例3および比較例3について、30日間連続して脱臭装置を運転し、その間のカラムの被処理ガス導入ダクトの入り口における被処理ガス、およびカラムの処理ガス排出ダクトの出口における処理ガスそれぞれについて分析を行なった。
実施例3では、2〜3日に一度酵素補充液を取り替えることにより、試験期間中における臭気濃度の脱臭効率を、80〜95%に保つことができた。
実施例4
図2に示す脱臭装置を用いて、食堂の排気ガスについて脱臭試験を行った。
吸着剤として、幅が150mm、長さが150mm、厚さが30mmのハニカム状活性炭を担体として、実施例1と同じ複合酵素(商品名:複合酵素JCN、株式会社ジェイシーエヌ製)と塩化マグネシウムと塩化カルシウムとを担持させたものを9枚積層し、その厚さが270mmとなるようにして用いた。
上記複合酵素と塩化マグネシウムと塩化カルシウムとをハニカム状活性炭へ予め担持させるために、ハニカム状活性炭を、複合酵素0.1g、塩化マグネシウム0.1g、塩化カルシウム0.1gを0.2Lの水に溶解させた水溶液に含浸させた後、乾燥させて、吸着剤を得た。得られた吸着剤において、ハニカム状活性炭100gに対して、複合酵素の担持量は0.1gであり、塩化マグネシウムの担持量は0.1gであり、塩化カルシウムの担持量は0.1gであった。
上記した吸着剤以外については、実施例1と同様に脱臭処理を行った。
実施例5
実施例4の吸着剤の調製において、塩化マグネシウムと塩化カルシウムとを、ハニカム状活性炭に担持させなかった以外は、実施例4と同様に脱臭処理を行った。
実施例4および実施例5について、試験開始後7日目、30日目および135日目に、カラムの被処理ガス導入ダクトの入り口における被処理ガス、および、カラムの処理ガス排出ダクトの出口における処理ガスのそれぞれについて、臭気濃度を三点比較臭袋法によって測定した。結果を、表2にまとめて示す。
酵素活性向上物質を予め担持させなかった実施例5のハニカム状活性炭では、脱臭効率は80〜90%以上と、実施例4に比べて若干低い。
実施例6
実施例4の吸着剤の調製において、吸着剤として、ハニカム状活性炭の担体を6枚積層し、その厚さが180mmとなるようにして用いた。
この吸着剤を、図2の脱臭装置に用いて、下水処理場(汚泥貯留槽)で脱臭試験を行った。
なお、この場合、循環させる酵素溶液のpHが変動するため、脱臭装置にpH調整機を設置し、pHが7付近となるようにコントロールした。また、酵素補充液は、定期的に補充または交換した。
実施例6の酵素補充液の用意において、酵素補充液に塩化マグネシウムを添加しなかった以外は、実施例6と同様に脱臭処理を行った。
実施例8
実施例7の吸着剤の調製において、塩化マグネシウムを、ハニカム状活性炭に担持させなかった以外は、実施例7と同様に脱臭処理を行った。
実施例6〜8について、検知管(硫化水素用、No.4LT、(株)ガステック製)を用いて、カラムの被処理ガス導入ダクトの入り口における被処理ガスの硫化水素、および、カラムの処理ガス排出ダクトの出口における処理ガスの硫化水素について、それぞれ、脱臭効率を測定した。その結果、試験開始後6月目で、実施例6において、脱臭効率は、80〜95%であり、実施例7において、脱臭効率は、65〜75%であった。また、試験開始後約10日で、実施例8において、脱臭効率が20%であり、試験開始後1月目で、硫化水素の濃度が、カラムの入り口側と出口側とで同程度となり、脱臭効率が著しく低下した。
3 散水噴霧口
4 ポンプ
5 フィルター
10,20 脱臭装置
Claims (5)
- 酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素および合成酵素からなる群から選ばれる少なくとも2種の酵素を担持し、被処理ガスの臭気成分に対する吸着能を有する担体を含むことを特徴とする、吸着剤。
- 前記担体の形状が、ハニカム状であることを特徴とする、請求項1に記載の吸着剤。
- 前記担体が、さらに、金属イオンを含む水溶液、金属塩、金属酸化物および金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の酵素の活性を向上させる酵素活性向上物質を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の吸着剤。
- 被処理ガスの臭気成分を除去するための脱臭装置であって、
請求項1〜3のいずれかに記載の吸着剤と、
前記吸着剤に対して被処理ガスの通過方向の上流側または下流側に配置されるフィルターと、
前記吸着剤または前記フィルターに、酵素を含む酵素補充液を供給する供給手段とを備えることを特徴とする、脱臭装置。 - 被処理ガスの臭気成分が、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、アルデヒド類、有機酸類、炭化水素類、エステル類、ケトン類および油類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項4に記載の脱臭装置。
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